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【発明の名称】 警報手段付き重機
【発明者】 【氏名】新井 祐二

【要約】 【課題】走行部本体の上部に旋回部を備えてなる重機において、旋回部の後方の危険ゾーンに人や物が近づいた時に旋回部の回転や車両の後方移動に警報を発し、更に旋回部の後方側の広範囲に亘って人や物が接触した時に直ちに旋回部の回転や重機の後方移動を停止するようにして大きな接触事故を防止し得る警報手段付き重機を提供すること。

【解決手段】走行部本体12の上に旋回部13が設けられ、この旋回部に運転室14を備える重機10において、旋回部13の後方面に非接触型センサ17と接触型センサ18とを取り付け、接触型センサ18がテープスイッチで構成され且つこのテープセンサが旋回部の後方面において旋回方向にある長さ範囲に亘って取り付けられ、非接触型センサが検知信号を出力した時重機の運転者に警報を発すると共に接触センサ18が検知信号を出力した時重機の動力を停止するように制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行部本体の上に旋回部が設けられ、この旋回部に運転室を備える重機において、前記旋回部に設けられた前記運転室側を前方とすると、前記旋回部の後方面に非接触型センサと接触型センサとが取り付けられ、前記接触型センサがテープスイッチで構成されていると共にこのテープスイッチが前記旋回部の後方面において旋回方向にある長さ範囲に亘って取り付けられ、前記非接触型センサが検知信号を出力した時前記重機の運転者に警報を発すると共に前記接触型センサが検知信号を出力した時前記重機の動力を停止するように制御する制御部を備えていることを特徴とする警報手段付き重機。
【請求項2】 前記テープスイッチが、クッション材を台座として前記旋回部の後方面に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の警報機付き重機。
【請求項3】 前記テープスイッチが、帯状をした可撓性の包囲体内に2つのストリップ状電極板をその両側部に絶縁材を介在させて重ねて配置することで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の警報手段付き重機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は警報手段付き重機に関し、更に詳細には、例えばバックホウ、パワーショベル、ドラグライン、クラムシェル、クレーン車両などのような走行部本体の上部に旋回部を備える車両(以下、重機と称す)における後方接触防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前述したバックホウ、パワーショベル、ドラグライン、クラムシェル、クレーン車両などは、履帯又は車輪等を駆動して自走し得るようにした走行部本体を備え、この走行部本体の上部には旋回部が設けられている。そして、アームやブームはこの旋回部に取り付けられている。
【0003】一般的に、この種の重機では、旋回部に設けられた運転室に作業者が乗り込んで、当該旋回部を走行部本体に対して旋回させてアームやブームを適正な向きに操作し、各種の作業を行う。このような重機は、既によく知られており、多くの建築工事現場や土木工事現場などで使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したような走行部本体の上部に旋回部を備える重機では、旋回部に設けられた運転室から逆方向の後方部を確認し難く、そのため旋回部を回転させたり、車両を後方へ移動させたりする時、旋回部の後方に近づいてきた人や物に接触するという事故の発生があった。
【0005】そのため、現在では、旋回部の後方面に赤外線、超音波、電波、或いは熱で障害物を検知する非接触型のセンサ、或いは物が当接した時にこれを検知する接触型のセンサを取り付け、旋回部の後方近接位置に人や物がある時、或いは旋回部の後方面に人や物が接触した時に、これを検知して運転者に警報を発するようにした重機が使用されるようになってきた。
【0006】しかし、従来の非接触型センサや接触型センサは、検知範囲が狭く、そのため旋回部を旋回させると、旋回部の後方面が側方に向き、これに伴ってセンサの検知方向も車両の横方向即ち側方に向いてしまうことから、この状態で後方へ移動したりすると、後方に存在する人や物を検知できずに接触してしまう恐れがあった。
【0007】また、このような非接触型センサ又は接触型センサを旋回部の後方面に取り付けた重機では、当該センサが車両の後方に人や物が近接又は接触した時、これを検知した検知信号によって旋回部に設けられた運転室内で警報音を鳴らすだけであったため、警報音が周囲の騒音に消されて確認できないという問題があった。
【0008】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、走行部本体の上部に旋回部を備えてなる重機において、旋回部の後方の危険ゾーンに人や物が近づいた時に運転者に警報を発し、更に旋回部の後方側の広範囲に亘って人や物が接触した時に直ちに旋回部の回転や重機の後方移動を停止するようにして大きな接触事故を防止し得る警報手段付き重機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は警報手段付き重機であり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、走行部本体の上に旋回部が設けられ、この旋回部に運転室を備える重機において、旋回部に設けられた運転室側を前方とすると、旋回部の後方面に非接触型センサと接触型センサとが取り付けられ、接触型センサがテープスイッチで構成されていると共にこのテープスイッチが旋回部の後方面において旋回方向にある長さ範囲に亘って取り付けられ、非接触型センサが検知信号を出力した時重機の運転者に警報を発すると共に接触センサが検知信号を出力した時重機の動力を停止するように制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【0010】<本発明における具体的構成>本発明の警報手段付き重機は、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても成立する。その具体的構成要素とは、前記テープスイッチが、クッション材を台座として旋回部の後方面に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】また、本発明の警報機付き重機では、前記テープスイッチが、帯状をした可撓性の包囲体内に2つのストリップ状電極板をその両側部に絶縁材を介在させて重ねて配置することで構成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の警報手段付き重機を図に示される実施形態について更に詳細に説明する。図1には本発明の一実施形態に係る警報手段付き重機が示されている。この実施形態は、重機としてバックホウ10に警報手段を取り付けた場合についての例である。このバックホウ10は、自走可能なように両側に履帯11を備えてなる走行部本体12を有している。この走行部本体12の上部には旋回部13が回転可能に設置されている。
【0013】旋回部13には運転室14が形成されており、この運転室14の横には油圧で動かされるアーム15が取り付けられ、このアーム15の先端にはバケット16が着脱可能に取り付けられている。この旋回部13において運転室14とアーム15が設けられている側を前方とすると、その反対側の後方面の両サイドには非接触型センサ17がそれぞれ1つ取り付けられている。
【0014】この非接触型センサ17は、超音波、赤外線、熱感知など種々の公知のセンサを用いることができる。非接触型センサ17を旋回部13の後方面の両サイドに設けることにより図1から明らかなようにそれぞれの扇形検知領域が部分的にオーバーラップして旋回部13の後方ほぼ全域を検知領域とすることができる。
【0015】この非接触型センサ17が、超音波、赤外線、熱感知などにより旋回部13の後方に近づいてくる人や物等を検知すると、その検知信号によってバックホウ10の運転室14内に設置されている警報器(図示せず)を鳴らし、旋回部13の後方危険ゾーンに障害物のあることを運転者に知らせるようになっている。
【0016】更に、旋回部13の後方面には、図1に示されるようにその全幅に亘って接触型センサ18が取り付けられている。この接触型センサ18としてはテープスイッチが用いられる。このテープスイッチ18は、図2及び図3に示されるように帯状をした可撓性の包囲体18a内に2つのストリップ状電極板18b、18cをその両側部に絶縁材18dを介在させて重ねて配置することで構成されている。なお、図2及び図3において、参照符号18eはバックアップ板、18fは絶縁板をそれぞれ示している。
【0017】このようなテープスイッチ18は、図4及び図5に示されるように旋回部13の後方面全幅とほぼ同じ長さに調整された断面台形状のウレタンホームからなる帯状のクッション材19を台座として、その上辺面にその全長に亘って貼り付けられ、更にこのクッション材19はその底辺面を旋回部13の後方面ほぼ全幅に帯状をしたシート状マグネット板20が両面接着テープなどを用いて固着されている。
【0018】これにより、上辺面にテープスイッチ18を取り付けたクッション材19は、その底辺面に設けられたマグネット板20により旋回部13の後方面全幅に着脱自在に取り付けることができ、またその取り付け高さなどを含めて取付け位置を適宜変更することができ、その結果テープスイッチ18を最も適切と思われる位置に取り付けることができる。
【0019】このテープスイッチ18は、図6(a)及び図6(b)に示されるように、その上部を押圧すると、可撓性の包囲体18aの上部が撓んで1つのストリップ状電極板18bを押し曲げ、他のストリップ状電極板18bに接触する。これにより2つのストリップ状電極板18a、18bが通電可能な状態となってスイッチオンとなる。このテープスイッチ18の端部において各ストリップ状電極板18b、18cに接続された制御電線21a、21bが出ており、この制御電線21a、21bは図8に示される制御部22の回路に接続されている。
【0020】この制御部22は、バッテリ23のプラス端子に接続された配線24がテープスイッチ18からの制御電線21aに接続され、更に制御電線21bは、再始動時に使用する復帰スイッチ即ちリセットスイッチ41を介してリレー装置26の一方の端子に接続され、且つバッテリ23のマイナス端子に接続された配線25がリレー装置26の他方の端子に接続されてなる回路27を備えている。このリレー装置26は並列に配置された2つのリレースイッチX1RとX2Rにより構成されている。
【0021】更に、制御部22は、前述した回路27に対して並列に接点スイッチ28と回転灯(パトライト)29が配置され、更にバックホウ10のエンジンスタータスイッチ30、接点スイッチ31及びストップソレノイド32が同様に前述した回路27に対して並列に配置されている。接点スイッチ28はリレースイッチX1Rに連動し、接点スイッチ31はリレースイッチX2Rに連動して動作する。
【0022】次に、この実施形態に係る警報手段付き重機の動作を図8の制御用の回路図と図9に示されるフローチャート図を参照しながら説明する。この実施形態において重機であるバックホウ10それ自体は従来のものと同じであり、旋回部13の運転室14に乗った運転者がアーム15やバケット16を操作して掘削などの作業を行う(ステップ35)。
【0023】バックホウ10の運転中に、2つの非接触型センサ17がこれから発する超音波で旋回部13の後方1m以内に人や物等の障害物がないかを判断する(ステップ36)。もし、非接触型センサ17が旋回部13の後方1m以内に人や物等を検知した時には、センサーからの検知信号が前述したように運転室14内に設置された警報器から警報音を鳴らして運転者に旋回部13の後方危険ゾーンに障害物の存在を知らせる(ステップ37)。
【0024】これにより運転者はバックホウ10のエンジンを停止して後方を確認し、安全を確かめてから再始動を行う(ステップ38)。もし、運転者が周囲の騒音に紛れてこの警報音を聞き落としたりして、エンジンの停止及び再始動を行わないと、テープスイッチ18に接触したか否かが判断され(ステップ39)、テープスイッチ18がオンにならない場合には元のスタート状態に戻る。
【0025】旋回部13の後方に近づいた人や物が旋回部13の後方面に接触して、後方面の全幅に取り付けた帯状のクッション材19に固着されたテープスイッチ18がオンとなった場合には、図8の回路図から明らかなように回路27が閉じて電流が流れ、その結果リレー装置26のリレースイッチX1Rがオンになると同時にリレースイッチX2Rもオンになる。
【0026】リレースイッチX1Rがオンになると、これに連動する接点スイッチ28がオンとなり、回転灯29が点灯する。同時に、リレースイッチX2Rもオンとなり、接点スイッチ31がオフにされてストップソレノイド32への通電が遮断される。このストップソレノイド32はエンジンスタータスイッチ30によりオン状態にされている時、安全ロッドが内部のスプリングを圧縮してソレノイド本体内に引き込まれ、エンジンを作動可能な状態とするものである。
【0027】従って、ストップソレノイド32への通電が遮断されると、スプリングの付勢力により安全ロッドがソレノイド本体から突出して、エンジンを強制的に停止するようになっている。これによりテープスイッチ18がオンになると、バックホウ10のエンジンが緊急停止すると共に警報器から警報音が鳴動し且つ回転灯29が点灯する(ステップ40)。
【0028】バックホウ10において走行部本体12の作動や旋回部13の回転は、すべて旋回部13に搭載されたエンジンによる動力で作動しているためエンジンが停止すれば、旋回部13の回転やバックホウ自体の移動は停止し、旋回部13の後方面に接触した人や物を安全に保護することができる。
【0029】再始動においては、テープスイッチ18が閉じたままの状態でエンジンが停止していることから、常閉のリセットスイッチ41を操作して一時的に開放し、リレー装置26への通電を遮断する。リレー装置26への通電が遮断されると、各リレースイッチX1R、X2Rが共に作動して、連動する接点スイッチ28をオン状態からオフ状態にして回転灯29を消灯し、同時に連動する接点スイッチ31もオフ状態からオン状態にされる。
【0030】リレー装置26への通電を一時的に遮断し、エンジンを再始動してバックホウ10を動作させることによりテープスイッチ18の接点が開放するので、その後にリセットスイッチ41が常閉の状態に戻される。エンジン再始動の時にエンジンスタータスイッチ30がオンされてストップソレノイド32に通電されるため、ストップソレノイド32はオン状態にされて安全ロッドをソレノイド本体内に引き込んでエンジンを作動可能な状態とする初期状態に戻る。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の警報手段付き重機によれば、走行部本体の上部に旋回部を備えてなる重機において、旋回部の後方の危険ゾーンに人や物が近づいた時に非接触型センサによる検知信号により運転者に警報を発し、更に旋回部の後方側の広範囲に亘って接触型センサであるテープスイッチを取り付けたことにより、このテープスイッチに人や物が接触した場合のスイッチ信号により直ちに重機の動力を停止するようにしたことから、大きな接触事故を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
【出願日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【代理人】 【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外2名)
【公開番号】 特開2001−336178(P2001−336178A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−160997(P2000−160997)