| 【発明の名称】 |
建設機械の油圧回路およびアタッチメント緊急駆動方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】尾上 裕
【氏名】田中 泰
|
| 【要約】 |
【課題】簡単な構成で安全に緊急時のフロントアタッチメントの駆動を可能とする。
【解決手段】エンジンにより駆動される油圧ポンプ11と、油圧ポンプ11の吐出油により駆動されてフロントアタッチメントFAを駆動するアクチュエータ1と、パイロット油圧により切換えられ、アクチュエータ1への圧油の流入/流出を制御する油圧パイロット式制御弁12とを備えた建設機械の油圧回路において、パイロット油圧を制御弁12に導くパイロット管路23bに、手動油圧ポンプ30が接続可能な圧油注入ポート25を設け、ポート25から手動油圧ポンプ30によりパイロット管路23bに圧油を供給して制御弁12を切換可能に構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの吐出油により駆動されてフロントアタッチメントを駆動するアクチュエータと、パイロット油圧により切換えられ、前記アクチュエータへの圧油の流入/流出を制御する油圧パイロット式制御弁とを備えた建設機械の油圧回路において、前記パイロット油圧を前記制御弁に導くパイロット管路に、手動油圧ポンプが接続可能な圧油注入ポートを設け、該ポートから前記手動油圧ポンプにより前記パイロット管路に圧油を供給して前記制御弁を切換可能に構成したことを特徴とする建設機械の油圧回路。 【請求項2】 前記フロントアタッチメントは、建設機械本体に対して上下に回動可能なブームを含み、前記圧油注入ポートは、前記ブームの下げ側のパイロット管路に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の油圧回路。 【請求項3】 前記圧油注入ポートは、前記フロントアタッチメントの移動軌跡から外れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の建設機械の油圧回路。 【請求項4】 前記手動油圧ポンプは、グリースガンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械の油圧回路。 【請求項5】 エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの吐出油により駆動されてフロントアタッチメントを駆動するアクチュエータと、パイロット油圧により切換えられ、前記アクチュエータへの圧油の流入/流出を制御する油圧パイロット式制御弁とを備えた建設機械のアタッチメント緊急駆動方法であって、前記パイロット油圧を前記制御弁に導くパイロット管路に手動のグリースガンを用いて圧油を供給し、その圧油で前記制御弁を切換えて前記アクチュエータを作動させることにより前記アタッチメントを駆動することを特徴とする建設機械のアタッチメント緊急駆動方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、油圧パイロット式制御弁を用いてフロントアタッチメント駆動用のアクチュエータを駆動する建設機械の油圧回路およびアタッチメント緊急駆動方法に関する。 【0002】 【従来の技術】油圧ポンプの吐出油により油圧シリンダを駆動してフロントアタッチメントを作動せしめる建設機械では、油圧ポンプを駆動するエンジン等の故障によりフロントアタッチメントが中空で停止したまま作動不能となることがある。安全性を考慮すると、アタッチメントが中空に停止したままの状態は好ましくないので、何らかの手段によりアタッチメントを地面に降ろす必要がある。 【0003】上記の問題を解決した建設機械の油圧回路として、実開昭59−76659号明細書に開示されたものがある。これは、油圧パイロット式のコントロールバルブを用いてブームシリンダを駆動するものにおいて、ブームシリンダのシリンダ室と油圧パイロット管路とを連通可能なバイパス管路を設けるとともに、このバイパス管路に手動切換弁を介装したものである。ブームを含むフロントアタッチメントが中空で停止した場合に上記切換弁を手動で切換えると、ブームシリンダのシリンダ室の圧力(アタッチメントの自重による圧力)がバイパス管路を介してパイロット管路に導かれ、その圧力がコントロールバルブのパイロットポートに作用してコントロールバルブをブーム下げ位置に切換える。これによりシリンダ室がコントロールバルブを介してタンクに連通され、ブームが自重により下降する。また他の方法として、パイロット油圧源の吐出管路にアキュムレータを設け、エンジン停止時にアキュムレータに畜圧された圧力でコントロールバルブを切換えるようにしたものも知られている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に開示されたものではバイパス管路や手動切換弁などが新たに必要となり、またアキュムレータを用いるものもアキュムレータが必要となるため、部品点数の増加によるコストアップを招く。 【0005】本発明の目的は、ごく簡単な構成で安全に緊急時のフロントアタッチメントの駆動が可能な建設機械の油圧回路を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1〜図3に対応づけて説明すると、請求項1の発明は、エンジンにより駆動される油圧ポンプ11と、油圧ポンプ11の吐出油により駆動されてフロントアタッチメントFAを駆動するアクチュエータ1と、パイロット油圧により切換えられ、アクチュエータ1への圧油の流入/流出を制御する油圧パイロット式制御弁12とを備えた建設機械の油圧回路に適用される。そして、パイロット油圧を制御弁12に導くパイロット管路23bに、手動油圧ポンプ30が接続可能な圧油注入ポート25を設け、ポート25から手動油圧ポンプ30によりパイロット管路23bに圧油を供給して制御弁12を切換可能に構成し、これにより上記問題点を解決する。請求項2の発明は、フロントアタッチメントFAがブーム2を含むもので、圧油注入ポート25をブーム2の下げ側のパイロット管路23bに設けたものである。請求項3の発明は、圧油注入ポート25をフロントアタッチメントFAの移動軌跡から外れた位置に設けたものである。請求項4の発明は、手動油圧ポンプとしてグリースガン30を用いたものである。請求項5の発明は、建設機械のアタッチメント緊急駆動方法に適用されるもので、パイロット油圧を制御弁12に導くパイロット管路23bに手動のグリースガン30を用いて圧油を供給し、その圧油で制御弁12を切換えてアクチュエータ1を作動させることによりアタッチメント2を駆動するものである。 【0007】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。 【0008】 【発明の実施の形態】−第1実施形態−図1〜図3により本発明の第1実施形態を説明する。図1は本実施形態における油圧ショベルを示している。上部旋回体に連結されるフロントアタッチメントFAは、ブームシリンダ1により駆動されるブーム2と、アームシリンダ3により駆動されるアーム4と、バケットシリンダ5により駆動されるバケット6とから成る。 【0009】図2は上記油圧ショベルのブーム駆動用油圧回路を示している。不図示のエンジンにより駆動される油圧ポンプ11とブームシリンダ1との間には、油圧パイロット式コントロールバルブ12が介装され、コントロールバルブ12の切換えによりブームシリンダ1に流入/流出される圧油の流量および方向が制御される。コントロールバルブ12はパイロット油圧回路20のパイロット油圧によって切換えられる。パイロット油圧回路20は、パイロット油圧ポンプ21と、パイロット油圧ポンプ21の吐出圧力を減圧するパイロット弁(減圧弁)22a,22bと、パイロット弁22a,22bの二次圧をコントロールバルブ12のパイロットポート12a,12bに導くパイロット管路23a,23bとから成り、パイロット弁22a,22bは運転室に設けられた操作レバー22cにより操作される。 【0010】パイロット管路23a,23bのうちブーム下げ側の管路23bには、ストップバルブ24が介装されるとともに、その下流に設けられた圧油注ポート25には油圧カップリング26が装着されている。通常は、ストップバルブ24は開状態で、圧油注入ポート25は油圧カップリング26によって閉じられているため、パイロット弁22bの二次圧は支障なくパイロットポート12bに作用する。一方、緊急時には注入ポート25からパイロット管路23bに手動で圧油を供給することになるが、この作業には図3に示すようなグリースガン30が用いられる。グリースガン30は、関節部等にグリースを補充すべく油圧ショベルに標準装備されるものであるが、ここでは圧油を供給するための手動油圧ポンプとして用いる。その手順および作用については後述する。ここで、注入ポート25は、圧油の注入作業が行い易く、かつ安全性を考慮してフロントアタッチメントFAの移動軌跡から外れた位置に設けられる。 【0011】以上の構成において、操作レバー22cによりブーム上げ操作を行うと、パイロット油圧ポンプ21の吐出圧力がパイロット弁22aで減圧され、その二次圧(パイロット油圧)がパイロット管路23aを介してコントロールバルブ12のパイロットポート12aに作用する。これによりコントロールバルブ12が図示左側の位置に切換わり、油圧ポンプ11の吐出油がコントロールバルブ12を介してブームシリンダ1のボトム室1aに導かれるとともに、ロッド室1bがタンク13と連通し、ブームシリンダ1が伸張してブーム2が上昇する。一方、操作レバー22cによりブーム下げ操作を行うと、同様にパイロット弁22bの二次圧がパイロット管路23bを介してコントロールバルブ12のパイロットポート12bに作用し、コントロールバルブ12が図示右側の位置に切換わる。これにより油圧ポンプ11の吐出油がコントロールバルブ12を介してブームシリンダ1のロッド室1bに導かれるとともに、ボトム室1aがタンク13と連通し、ブームシリンダ1が収縮してブーム2が下降する。 【0012】ここで、ブーム2が上昇しバケット6が中空にある状態でエンジンが緊急停止し、作動不能となった場合、オペレータは次の手順でバケット6を接地させる。まず、ブーム下げ側パイロット管路23aにあるストップバルブ24を締めて圧油のパイロット弁22b側への流入を阻止し、次いで上記グリースガン30を用いて注入ポート25から圧油を注入する。すなわち、グリースが充填されたカートリッジに代えて、作動油が充填されたカートリッジをグリースガン30に装填し、グリースガン30のホース31(図3)の先端に設けられた油圧カップリング32を上記注入ポート25側の油圧カップリング26に係合させる。 【0013】この状態でグリースガン30を操作し、作動油を圧油としてパイロット管路23bに注入する。ストップバルブ24が閉じているため、注入された圧油はコントロールバルブ12のパイロットポート12bに導かれ、コントロールバルブ12を図示右側の位置に切換える。これによりブームシリンダ1のボトム室1aがコントロールバルブ12を介してタンク13と連通するため、ブーム2は自重により下降し、バケット6が地面に接地すると停止する。 【0014】このように本実施形態では、グリースガン30を用いてパイロット回路23bに圧油を供給することでコントロールバルブ12を切換え、これによりブーム2を下降させるようにしたので、パイロット管路23aに圧油注入ポート25を設けるだけの改良で済み、従来方式と比べてコストダウンが図れる。また圧油の注入の程度によりコントロールバルブ12の切換量を調節できるので、ブームの下降速度を自由にコントロールできる。加えて圧油注入ポート25はフロントアタッチメントFAの移動軌跡から外れた位置に設けられているので、安全性にも優れている。 【0015】以上の実施形態において、ブームシリンダ1がアクチュエータを、コントロールバルブ12が油圧パイロット式制御弁を、グリースガン30が手動油圧ポンプをそれぞれ構成する。 【0016】−第2実施形態−図4〜図7によりオフセット仕様の油圧ショベルに本発明を適用した場合の一実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同様の役割を果たす部材には100番台の符号を付し、下2桁を上述と同一番号とした。図4において、油圧ショベルの上部旋回体には、キャビン51,エンジン52,油圧ポンプ111,コントロールバルブユニットVU等が搭載されるとともに、図示右側にはフロントアタッチメントFA’が連結されている。フロントアタッチメントFA’は、ブームシリンダ101により駆動されるブーム102と、アームシリンダ103により駆動されるアーム104と、バケットシリンダ105により駆動されるバケット106等から成る。 【0017】ブーム102は基端部102Aと先端部102Bとから成り、オフセットシリンダ61の伸縮により先端部102Bが図5に示すように基端部102Aに対して回動する。先端部102Bに回動可能に連結されたシリンダステー62は、先端部102Bの回動により基端部102Aと平行状態を保ったまま左右に移動し、その先端に連結されたアーム104およびバケット106が一体に左右にオフセットする。したがって、油圧ショベルの側方の地面に溝を掘削するいわゆる側溝掘りが可能である。 【0018】図6は上記油圧ショベルのブーム駆動用油圧回路を示している。図2との相違点は、パイロット管路123a,123bが共通の電磁弁ユニット70を通過する点である。この電磁弁ユニット70は、図4に示すようにキャビン51の左側部に配置されており、ブームシリンダ101に限らず、オフセットシリンダ61,アームシリンダ103,バケットシリンダ105等の各アクチュエータ駆動用のパイロット管路が電磁弁ユニット70を通過する。そのため電磁弁ユニット70は、各管路が接続される複数のポート(入力および出力ポート)を有し、必要に応じてパイロット管路の組み替えが行える。本実施形態ではこのポートを緊急時の圧油注入ポートとして用いる。 【0019】上述したようにブーム102が上昇しバケット106が中空にある状態でエンジン52が緊急停止し、作動不能となった場合、オペレータは手動によるブーム下げ動作を行うが、ブーム102を前方に降ろすか後方に降ろすかはフロントアタッチメントFA’姿勢によって異なる。フロントアタッチメントFA’の重心位置がブーム回動軸よりも前方にある場合には前方に降ろし、後方にある場合には後方に降ろすことになる。 【0020】前方に降ろす場合には、まず電磁弁ユニット70の入口ポートのうち、ブーム下げ側パイロット管路123bが接続されるポート70b(図6)から管路123bを外し、代わりにグリースガン30のホースを接続する。上述したと同様にグリースガン30には予め作動油が充填されたカートリッジを装填しておく。グリースガン30を操作し、作動油を圧油としてパイロット管路123bに注入することで、コントロールバルブ112を右側の位置に切換え、ブームシリンダ101のボトム室101aをタンク113と連通させてブーム102を自重により前方に下降させる。 【0021】一方、ブーム102を後方に降ろす場合には、ブーム上げ側パイロット管路123aが接続されるポート70aにグリースガン30で圧油を注入し、コントロールバルブ112を左側の位置に切換え、ブームシリンダ101のボトム室101bをタンク113と連通させ、ブーム102を自重により後方に下降させる。 【0022】ところで、ブーム102は図7に示す角度範囲で回動するが、上述した電磁弁ユニット70が配置されるキャビン51の左側部位置は、フロントアタッチメントFA’の移動軌跡から完全に外れており、アタッチメントFA’のオフセット状態やブーム102,アーム104の回動角に拘わらず、電磁弁ユニット70の近傍をアタッチメントFA’が通過することはない。したがって、電磁弁ユニット70に対して上記ブーム下げ作業が安全に行える。 【0023】因みにブーム下げ作業は、例えばブームシリンダ101の出入口管路に配置されるオーバーロードリリーフ弁(不図示)から圧油を抜くことでも達成できる。しかし、一般にオーバーロードリリーフ弁は、コントロールバルブユニットVUを構成するコントロールバルブ102に一体化されるものであるから、圧油抜き作業はコントロールバルブユニットVUに対して行われることになる。このコントロールバルブユニットVUは、図4から分かるようにキャビン51の右側に設けられており、フロントアタッチメントFA’が図5に示すように右オフセットしているときには、コントロールバルブユニットVUの近傍がフロントアタッチメントFA’の移動軌跡内となる。したがって、コントロールバルブユニットVUに対するブーム下げ作業は安全性に問題がある。 【0024】なお、手動によって駆動すべきアタッチメントはブームに限定されず、緊急時に移動させる必要のあるものであれば他のアタッチメントでもよい。建設機械も油圧ショベルに限定されない。またグリースガンを用いて圧油を注入するようにしたが、他の手動の油圧ポンプを用いてもよい。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、パイロット油圧を制御弁に導くパイロット管路に圧油注入ポートを設け、このポートから手動油圧ポンプ(例えば、グリースガン)によりパイロット管路に圧油を供給して制御弁を切換可能としたので、従来のようなバイパス管路や切換弁,アキュムレータ等を設ける必要がなく、ごく簡単な改良を施すだけでフロントアタッチメントを緊急駆動でき、以てコストダウンが図れる。特に圧油注入ポートをフロントアタッチメントの移動軌跡から外れた位置に設ければ、圧油の供給作業を安全に行える。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005522 【氏名又は名称】日立建機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年5月31日(2000.5.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100084412 【弁理士】 【氏名又は名称】永井 冬紀
|
| 【公開番号】 |
特開2001−336177(P2001−336177A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−161468(P2000−161468) |
|