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【発明の名称】 建設機械の手摺り装置
【発明者】 【氏名】川上 孝浩

【氏名】中村 和則

【氏名】此村 靖

【要約】 【課題】手摺り本体の振動に起因した固着ボルトの破損を防止した建設機械の手摺り装置を提供する。

【解決手段】建設機械の手摺り装置は、手摺り本体30の連結端42と固着ボルト50のヘッドとの間にスペーサ46を介在させた状態で、固着ボルト50をシートスクリュー36のねじ穴40にねじ込み、連結端42を固着している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建設機械の旋回体に備えられる手摺り装置であって、前記手摺り装置は、前記旋回体のベースフレームから上方に向け、前記ベースフレーム上の機器まで延びる手摺り本体と、前記手摺り本体の両端を前記ベースフレームおよび前記機器の取付け面にそれぞれ固着する固着手段とを具備し、少なくとも一方の前記固着手段は、前記取付け面に設けられたねじ穴と、前記手摺り本体の端部を貫通し、前記ねじ穴にねじ込まれる固着ボルトと、前記固着ボルトのヘッドと前記手摺り本体の端部との間若しくは前記端部と前記取付け面との間に介在されたスペーサとを備えることを特徴とする建設機械の手摺り装置。
【請求項2】 前記固着ボルトは伸びボルトであることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の手摺り装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベル等の建設機械に装備され、その旋回体上の機器のメンテナンス等のために旋回体上に作業者が登る際、その昇降を補助する手摺り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、特開平10-140612号公報に開示された油圧ショベルは、その旋回体のベースフレームから旋回体のタンク上方まで一旦延びた後、タンクに向けて垂下された手摺り本体を備え、この手摺り本体はその両端がベースフレームおよびタンクの取付け面にそれぞれ固着されている。
【0003】より詳しくは、各取付け面にねじ穴を設ける一方、手摺り本体の両端部にボルト挿通孔を形成しておき、そして、そのボルト挿通孔を通じ、取付け面のねじ穴に固着ボルトをねじ込むことで、手摺り本体の両端をベースフレームおよびタンクの双方に固着している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した手摺り本体はその両端のみにて固着されている構造上、油圧ショベルの走行や旋回に伴い前後左右に振動し易い。一方、作業上の安全性を確保する上で、手摺り本体は近年ますます大形化する傾向にあり、このような手摺り本体の大形化はその振動をますます増大させる。
【0005】それゆえ、手摺り本体が振動するたびに、その両端の固着ボルトに大きな衝撃力が加わり、固着ボルトの破断を招く虞がある。このような不具合を解消するには、固着ボルト自体を大径にするか、または、その本数を増加させることが考えられるものの、前者の場合には手摺り本体における固着構造の美観が損なわれ、そして、後者の場合には固着ボルトの配置スペースが確保できないこともある。
【0006】本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは固着ボルトの大径化やその本数の増加を招くことなく、手摺り本体の両端を確実に固着することができる建設機械の手摺り装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、請求項1に係る本発明の建設機械の手摺り装置は、手摺り本体の両端をそれぞれ固着するための固着手段を備え、これら固着手段の少なくとも一方は手摺り本体における端部の取付け面に設けられたねじ穴および手摺り本体の端部を貫通して、ねじ穴にねじ込まれる固着ボルトに加え、固着ボルトのヘッドと手摺り本体の端部との間若しくは手摺り本体の端部と取付け面との間に介在されたスペーサをさらに備えて構成されている。
【0008】上述の手摺り装置によれば、スペーサの介在により固着ボルトはその首下長さ、すなわち、その締付け長さが延長されることになる。それゆえ、固着ボルトが手摺り本体の端部を介し、規定の締付けトルクで固着されても、締付け長さの増加分だけ固着ボルトの歪み度が低下し、外力に対する固着ボルトの強度が増加する。
【0009】請求項2に係る本発明の手摺り装置はその固着ボルトが伸びボルトからなっている。このような伸びボルトはそのヘッドとねじ部との間の柄部分の横断面積が減少されているので、衝撃荷重に対する耐性が高い。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、建設機械の一例として油圧ショベルを示す。油圧ショベルはクローラ型の走行体2上に旋回体4を備え、この旋回体4はそのベースフレーム6上に運転室8、そして、この運転室8から操作されるフロント作業機構10が設けられている。なお、フロント作業機構10はブーム12、アーム14およびバケット16、そして、これらを回動させる油圧シリンダ等から構成されている。
【0011】また、ベースフレーム6上には種々の機器が設けられ、具体的には、これらの機器には運転室8の後方に配置され、エンジンや油圧ポンプ等を収容した機械室18や、運転室8の側方に配置されたツールボックス20、そして、このツールボックス20と機械室18との間に配置された燃料および作動油等のタンク22等が含まれる。さらに、ベースフレーム6の最後尾にはカウンタウエイト24が取り付けられている。
【0012】機械室18のメンテナンスを行うため、ベースフレーム6とベースには作業者の昇降を補助するステップ26や手摺り装置28が設けられており、ステップ26は図2に示すようにツールボックス20の前側に位置し、ベースフレーム6の前端に固定されている。そして、ツールボックス20およびタンク22はステップ26とともに、昇降のための階段状の踏み台を構成すべく、それらの高さが設定されている。
【0013】手摺り装置28は金属パイプからなる手摺り本体30を有し、手摺り本体30はベースフレーム6の前端から一旦前方に突出した後、ツールボックス20の上方を大きく越えてタンク22の上方位置に達し、そして、この後、タンク22の上面まで垂下されている。ここで、タンク22上からの手摺り本体30の高さは一般的な作業者の腰の高さ程あり、手摺り本体30は大形である。なお、図中、参照符号32は手摺り本体30に装着したサイドミラーを示す。
【0014】図3に示すように手摺り本体30の両端部はベースフレーム6の幅方向内側にそれぞれ水平に折曲され、ベースフレーム6およびタンク22の取付け面にそれぞれ固着されている。なお、図3中、参照符号13は前述したブーム12の枢支部を示す。図4はタンク22に対する手摺り本体30の固着構造を示す。図4に示すように、タンク22の上面には取付け座34が溶接されている。取付け座34はタンク22における上壁によりも厚く、この上壁を補強する。さらに、取付け座34上にはシートスクリュー36が同じく溶接により固定され、このシートスクリュー36の上面が取付け面38として形成されている。取付け面38は2つのねじ穴40を有し、これらねじ穴40はベースフレーム6の幅方向に所定の間隔を存して離間している。
【0015】一方、手摺り本体30の端部は上下から押し潰された連結端42として形成され、この連結端42は平坦な上面および下面を有する。連結端42には2つのボルト挿通孔44を有し、これらボルト挿通孔44は連結端42の軸線方向にねじ穴40間の間隔と同一の間隔を存して離間し、その平坦な上面および下面にてそれぞれ開口している。したがって、図4に示すように手摺り本体30の連結端42はその平坦な下面にてシートスクリュー36の取付け面38上に載置され、そして、各ボルト挿通孔44はシートスクリュー36の対応するねじ穴40に合致させることができる。
【0016】さらに、連結端42の平坦な上面にはスペーサ46が載置され、このスペーサ46にも連結端42の各ボルト挿通孔44と合致するボルト挿通孔48がそれぞれ形成されている。そして、2つの固着ボルト50がワッシャ52を介して、スペーサ46および連結端42の組をなすボルト挿通孔48,44に挿通され、そして、そのねじ部はシートスクリュー36の対応するねじ穴40にねじ込まれている。
【0017】したがって、図4から明らかなように手摺り本体30の連結端42はシートスクリュー36とスペーサ46との間に挟持された状態で、その取付け面38、つまり、タンク22の上面に固着ボルト50を介して締付け、つまり、固着されている。固着ボルト50は伸びボルトからなり、そのヘッドとねじ部との間の柄部分はその横断面積が減少されている。より詳しくは、図5に示すように固着ボルト50における柄部分の外周面にはその周方向に等間隔を存して複数の円弧溝54が形成され、これら円弧溝54は固着ボルト50の軸線方向に延びている。なお、円弧溝54を設ける代わりに、固着ボルト50はその内部にヘッドからねじ部に至るセンタ穴を有する伸びボルトであってもよい。
【0018】一方、手摺り本体30の他端もまた前述の連結端42と同様な形状の連結端に形成され、そして、ベースフレーム6の前端面に同様にして固着されている。この場合、ベースフレーム6はその前端面が手摺り本体30の取付け面として形成され、その前端面に固定ボルト50のためのねじ穴が直接に形成されている。上述したようにして手摺り本体30の両端が固着ボルト50を介して固着され、各固着ボルト50に規定の締付けトルクが付与されたとき、固着ボルト50は、スペーサ46の厚みT(図4参照)に分だけ、その首下が長く確保されているので、その初期歪み度は減少されることになり、その強度が増加される。
【0019】したがって、油圧ショベルの走行や旋回時に手摺り本体30が前後左右に振動し、この振動により、手摺り本体30の連結端42から固着ボルト50に衝撃力を加わるとしても、固着ボルト50の破断が防止される。しかも、固着ボルト50は伸びボルトとして構成されているので、固着ボルト50自体の衝撃荷重に対する強度は優れ、手摺り本体30の振動に起因する固着ボルト50の破断を確実に防止することができる。
【0020】この結果、手摺り本体30の両端を固着するにあたり、固着ボルト50の本数や径寸法を増加させる必要もないので、手摺り装置の美観を損なうこともない。本発明は上述した一実施の形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、手摺り本体30の連結端42とシートスクリュー36との間にスペーサ46を介在させても同様な作用効果が得られる。
【0021】また、ベースフレーム6に対する手摺り本体30の固着に関しては、ベースフレーム6自体が強度メンバであることから、大径の固着ボルトの使用が可能であり、スペーサ46や伸びボルトの採用は必ずしも必要不可欠なものではない。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に係る本発明の建設機械の手摺り装置によれば、手摺り本体の端部上又は下にスペーサを介在させ、固定ボルトの首下を長く確保するようにしたので、その固着時における固着ボルトの初期歪み度を低減して、衝撃荷重に対する強度を高めることができ、手摺り本体の振動に起因した固着ボルトの破損を確実に防止できる。
【0023】また、請求項2に係る本発明の手摺り装置によれば、その固着ボルトが伸びボルトからなっているので、固着ボルト自体の衝撃荷重に対する強度は高く、その破損をより確実に防止できる。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成12年5月19日(2000.5.19)
【代理人】 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二 (外1名)
【公開番号】 特開2001−329569(P2001−329569A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−148131(P2000−148131)