トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送




【発明の名称】 建設機械用旋回軸受のシール
【発明者】 【氏名】並木 清

【氏名】田中 章弘

【氏名】関戸 慎一

【要約】 【課題】シールのシール溝への装着を容易に行えかつ、長年使用してもシールの脱落を防止することができる建設機械用旋回軸受のシールを提供すること。

【解決手段】軸受1の外輪2の内周面側及び内輪3の外周面側に形成したシール溝10,11に、基端部8b,9b側を挿入して取り付けた弾性体によって形成したシール8,9を備え、シール溝10,11に挿入される基端部8b,9b側に磁性体を設け、この磁性体の磁気力によってシール溝10,11へシール8,9を装着するように構成したことにより、シール8,9のシール溝10,11への装着を容易に行えるとともに、長年使用しても磁性体による磁気力によってシール溝10,11からシール8,9が脱落することを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建設機械の走行体と旋回体との接続部分に設けた旋回軸受であって、その軸受の内輪の外周面側及び外輪の内周面側に形成したシール溝と、そのシール溝に基端部側を挿入して取り付けた弾性体によって形成したシールとを備えた建設機械用旋回軸受おいて、前記シールの前記シール溝に挿入される基端部側に磁性体を設け、この磁性体の磁気力によって前記シール溝へシールを装着するように構成したことを特徴とする建設機械用旋回軸受のシール。
【請求項2】 弾性体によって形成された前記シールを、リップ部とそのリップ部と一体的に接続した前記基端部とにより形成したことを特徴とする前記請求項1記載の建設機械用旋回軸受のシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベル、移動式クレーン等の建設機械に係わり、特に走行体と旋回体とを接続する旋回輪部分における旋回軸受のシールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の建設機械における旋回軸受のシールは、特開平9−328777号公報に記載のように構成されている。次にこの構成について、図3ないし図5を用いて説明する。図3は油圧ショベルを示している外観図、図4は旋回軸受のシールの取付構造を示している断面図、図5は図4に示す下シールの取付部分を拡大した説明図である。
【0003】32は履帯31を有する走行体であって、該走行体の旋回輪部には旋回軸受33を介して旋回体34が旋回可能に載置されている。
【0004】旋回軸受33は、その内輪40が走行体32に図示していないボルトなどにより固定されており、また外輪41が旋回体34に図示していないボルトなどにより固定されている。内輪40と外輪41との摺動面部42には、相互の摺動を可能にするためのボール43が等間隔に介装されており、そしてボール43の周囲には潤滑用のグリースが注入されている。
【0005】内輪40の外周面に設けられた環状のシール溝44には環状の下シール45が装着されており、そのシールリップ46は外輪41の底面に接触している。外輪41の内周面に設けられた環状のシール溝47には環状の上シール48が装着されており、そのシールリップ49は内輪40の上面に接触している。
【0006】上・下シール45,48は紐状の弾性シール材(ゴム材)を環状に形成し、その両端部を接合するとともに環状のシール溝44,47の全周に亘って接着剤によって接着することによって内輪40及び外輪41に取り付けられている。この上・下シール45,48によって、旋回軸受33内に外部から異物が侵入することを防止していると共に、内部のグリースを密封している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のシール取付構造では、接着による上・下シール45,48の取付において、上・下シール45,48及びシール溝44,47の相互間の接着面を脱脂処理を行って接着力の強化を図る必要がある。また、脱脂処理を完全に施したとしても、上・下シール45,48及びシール溝44,47の相互間に隙間Sがあるため、接着剤の経年劣化により接着部が剥離して上・下シール45,48がシール溝44,47から外れてしまうことがある。
【0008】本発明の目的は、上記の課題に鑑みなされたもので、シールのシール溝への装着を容易に行えかつ、長年使用してもシールの脱落を防止することができる建設機械用旋回軸受のシールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために本発明は、建設機械の走行体と旋回体との接続部分に設けた旋回軸受であって、その軸受の内輪の外周面側及び外輪の内周面側に形成したシール溝と、そのシール溝に基端部側を挿入して取り付けた弾性体によって形成したシールとを備えた建設機械用旋回軸受おいて、シールのシール溝に挿入される基端部側に磁性体を設け、この磁性体の磁気力によって前記シール溝へシールを装着するように構成したことにより、シールのシール溝への装着を容易に行えるとともに、長年使用しても磁性体による磁気力によってシール溝からシールが脱落することを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一つの実施の形態を図1及び図2を用いて説明する。図1は旋回軸受への上・下シールの取付状態を示している旋回軸受の一部断面拡大図であり、図2は図1の内輪側に取り付けられた下シールの取付状態を示している一部断面拡大図である。
【0011】図において、1は走行体と旋回体との間に配置された旋回軸受であって、その旋回軸受は旋回体に固定された外輪2と、走行体に固定され、かつ内周面に内歯が形成された内輪3とを備え、そして外輪2の内周面側に設けられた円弧状の環状溝4及び内輪3の外周面側に設けられた円弧状の環状溝5を合わせることによって形成される断面円形の溝6と、その溝6に回転可能に挿入された複数のボール7とを備えている。
【0012】溝6内には、作動を滑らかにするための潤滑油であるグリスが注入されており、この溝6及び外輪2と内輪3との摺動面間の隙間はゴム等の弾性体で形成された上シール8及び下シール9によって密閉されている。
【0013】上シール8は、長い紐状に形成されたシール部材を外輪2の内周面側に形成された環状のシール溝10の内周長さに合わせて切断し、両端面を接着剤により接合し、その接合面を含む基端部8bの部分を環状のシール溝10にはめ込んでおり、リップ部8aのシールリップは内輪3の上端面の外周面に接触している。基端部8bは、ゴム材などの弾性部材と磁気を有する部材とを複合して形成された磁性体によって構成されており、リップ部8aと一体的に形成されている。
【0014】下シール9は、長い紐状に形成されたシール部材を内輪3の外周面側に形成された環状のシール溝11の内周長さに合わせて切断し、両端面を接着剤により接合し、その接合面を含む基端部9bの部分を環状のシール溝11にはめ込まれており、リップ部9aのシールリップは外輪2の下端面の内周側に接触されている。基端部9bは、ゴム材などの弾性部材と磁気を有する部材とを複合して形成された磁性体によって構成されており、リップ部9aと一体的に形成されている。
【0015】上記の構成により、建設機械の旋回体に取り付けられた作業リンク機構の作動により旋回軸受1にモーメントが作用し、外輪2と内輪3とが相対的に上下動すると、環状の上・下シール8,9のリップ部8a,9aのシールリップが追従し、上・下シール8,9のシール溝10,11内へはめ込まれた基端部8b,9bの部分にモーメントが作用することは、前記従来技術と同様である。
【0016】上記モーメントによる力で、上・下シール8,9がシール溝10,11から外れようとするが、基端部8b,9bがシール溝10,11に磁気力によって確実に装着されていることから、上・下シール8,9がシール溝10,11から抜け出すことが防止される。従って、上記のモーメントが旋回軸受1に作用した場合にあっても上・下シール8,9の抜け出しが生じることがないので、シール機能を維持継続することができる。
【0017】なお、上記の実施の形態におけるリップ部8a,9aと基端部8b,9bとは、別々の材料によって別々に形成しておいて、接着剤などにより一体的に形成した場合であっても同様な効果を奏する。
【0018】また、基端部8b,9bに設けられる磁性体は、基端部の外周部への塗布、基端部内部への磁性部材の内装、基端部外周部への磁性部材の埋込(適宜に間隔を置いて埋め込む)など種々の方法によって設けた場合であっても同様な効果を奏する。
【0019】
【発明の効果】以上説明した本発明の建設機械用旋回軸受のシールによれば、シールのシール溝への装着を容易に行うことができるとともに、長年使用してもシールの脱落を磁気力によって防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成12年3月27日(2000.3.27)
【代理人】 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−271383(P2001−271383A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−86855(P2000−86855)