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【発明の名称】 建設機械の天蓋開閉装置
【発明者】 【氏名】藤本 孝志

【要約】 【課題】運転室内垂直方向への突出を抑え、天蓋の開口を大きくでき、天蓋の閉塞位置及び所定の中間開き位置を確実に保持できる建設機械の天蓋開閉装置を提供する。

【解決手段】上方に開放可能な建設機械の天蓋10の両側中間の裏側に、天蓋の両側部と並行にスライド穴11aを形成した被摺動金具11を取付け、また天蓋の開口部12aを形成する天井部材12には、被摺動金具の付近で被摺動金具に対峙するよう、開口部12aに突出させた支持金具13を設置するとともに、該金具に一端を回動自在に支持したリンク部材14の他端を、被摺動金具のスライド穴11aに摺動且つ抜け止めして装着し、被摺動金具と支持金具13並びにリンク部材14間に、天蓋10の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段15を設け、更に被摺動金具と支持金具並びにリンク部材間に、天蓋の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一方向の上方に開放可能に構成した建設機械の天蓋において、該天蓋の両側中間の裏側に、天蓋の両側部と並行にスライド穴を形成した被摺動金具を取付け、また前記天蓋の開口部を形成する天井部材には、前記被摺動金具の付近において該被摺動金具に対峙するよう前記開口部に突出させた支持金具を設置するとともに、該支持金具に一端を回動自在に支持したリンク部材の他端を、前記被摺動金具のスライド穴に摺動且つ抜け止めして装着し、前記被摺動金具と前記支持金具並びにリンク部材間に、前記天蓋の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段を設けたことを特徴とする建設機械の天蓋開閉装置。
【請求項2】前記ロック手段が、前記被摺動金具の下部に取付けられ、前記天蓋の側部に向かってロックバーをばねで常時突出させるロック金具と、前記支持金具及びリンク部材に形成され、前記天蓋の閉塞時及び同天蓋の所定中間開扉時に前記ロック金具のロックバーが突入して固定されるロック穴とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の建設機械の天蓋開閉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワーショベル等の建設機械における運転室(キャブ)の天井に設けた天蓋(ルーフハッチ)を、全開するのとは別に、所定の小角度開閉することができる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】前記建設機械の運転室には、上方視界の確保、運転室内の換気等のため開閉可能な天蓋を設けることがあり、これには乗用車、レジャーカー等で採用されているスライド式のものより構造の簡単な、一方向に回動して開放するドア式のもの、例えば特開平4−136326号公報第5図に示すごときものが広く採用されている。即ち前記公報第5図のものは、天蓋(ハッチ)(2)の一端(後端)をヒンジ(3)で運転室(キャビン)(1)の天井に回転可能に取り付け、他端側をラッチ(4)により天井に着脱可能に接続するとともに、前記ヒンジ(3)側とハッチ(2)との間にガス圧で伸長するステー(5)を設けたものである。〔( )内符号は前記特開平公報の符号を示し、以下同じ〕
【0003】前記構成によって、ハッチ(2)を閉塞状態から開くときは、ラッチ(4)を外せばハッチ(2)がステー(5)の伸長とともにヒンジ(3)を中心に上方に回動して開くが、ハッチ(2)の開放は全開しかなく、即ちハッチ(2)は全開か全閉(閉塞)のどちらかの位置しかとれない。これでは雨、雪の降る条件下で運転者(オペレータ)が上方視界を確保しようとすると、雨や雪が運転室内に入ってしまう。また冬期に運転室を暖房中に煙草を吸いたいときなどに、ハッチを少し開けたくてもそれができない。また、殊に超小旋回機等では、狭い場所での作業に対応するため、バケットがキャブ(キャビン)の前端上部ギリギリを通る作業軌跡に設定されているため、ハッチを大きく開くと、前記バケットと干渉してハッチを損傷するおそれがある。
【0004】従来、上記問題に関して採られた手段としては、前記特開平4−136326号公報の第1図乃至第4図に示された如き、前記ハッチの開度を適度の位置で位置決め可能であるストローク調整手段をハッチと天井の間に設けるものや、特開平8−300950号公報の図1乃至図6に示し、且つ本願図面図8に示された如き、天蓋1の下面部に天蓋閉止位置ロック係合部2aと天蓋僅少開き位置ロック係合部2bをそなえたロック金具2を設け、また天蓋1の閉止状態時に上記天蓋閉止位置ロック係合部2aに対応するキャブ内部の位置にストッパ金具3を固定して設け、そのストッパ金具3のストッパ部3aに対して上記天蓋閉止位置ロック係合部2a又は天蓋僅少開き位置ロック係合部2bを選択係合操作するようにしたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者は天蓋(ハッチ)を全閉状態から全開状態までの間のいずれの位置でも固定できる利点はあるが、ストローク調整手段をもつステー(15)は構成が複雑であるばかりでなく、前記天蓋を少し開く開度は経験的にほぼ一定でよいのに、天蓋を少し開く必要がある度に前記ストローク調整手段を一々調整する必要があり、非常に煩わしいという問題点がある。
【0006】その点後者は、前記ロック金具2によって天蓋閉止位置ロック係合部2aと天蓋僅少開き位置ロック係合部2bが選択でき、前者における煩わしさは解消されているが、天蓋1の開度をロック金具2の前記天蓋閉止位置ロック係合部2aと天蓋僅少開き位置ロック係合部2bの間隔距離l(前記公報の図6参照)と言う垂直方向の長さで決めているため、前記ロック金具2は天蓋1の下面より運転室内へかなり突出し、これは前記僅少開き量を更に大きくしようとすれば、当然それに比例して室内への突出量も大となる。このため小さな運転室では頭等をぶつける心配もあり、運転室の居住性が著しく損なわれる。従って天蓋の「僅少」開き量をあまり大きくできないという問題点がある。もっとも、前記突出量を変えずに開き量を大きくするには、前記ロック金具等をキャブ後方側へずらして取付ければ可能になるが、ハッチを支える位置もヒンジに近づくため、全開時のハッチがばたつくなど不安定となってしまう問題が出てくる。
【0007】更に、後者のものでは、前記ストッパ金具3は前記天蓋閉止位置ロック係合部2a及び天蓋僅少開き位置ロック係合部2bと係合するが、実際には天蓋閉止位置ロック係合部2aはロック金具2の先端の肩部であり、また天蓋僅少開き位置ロック係合部2bは挿入しやすいようにテーパー形状となっている。従って係合時にストッパ金具3の先端が天蓋閉止位置ロック係合部2a又は天蓋僅少開き位置ロック係合部2bの奥まで入らずその入り口で止まって係合した場合には、建設機械の振動等で外れるおそれがあり、外れたときは作業中天蓋がばたついたり、或いは例えばバケットが干渉して破損するおそれもある。
【0008】よって、本発明の解決しようとする課題は、殊に運転室内垂直方向への突出を抑え、しかも天蓋の開口の大きさ(開き量)を任意に設定(設計)でき、更に、天蓋の閉塞位置及び所定の中間開き位置を確実に保持できる建設機械の天蓋開閉装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明建設機械の天蓋開閉装置は、一方向の上方に開放可能に構成した建設機械の天蓋において、該天蓋の両側中間の裏側に、天蓋の両側部と並行にスライド穴を形成した被摺動金具を取付け、また前記天蓋の開口部を形成する天井部材には、前記被摺動金具の付近において該被摺動金具に対峙するよう前記開口部に突出させた支持金具を設置するとともに、該支持金具に一端を回動自在に支持したリンク部材の他端を、前記被摺動金具のスライド穴に摺動且つ抜け止めして装着し、前記被摺動金具と前記支持金具並びにリンク部材間に、前記天蓋の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段を設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明建設機械の天蓋開閉装置の好ましい実施の形態を、図1乃至図7により詳細に説明する。図1乃至図3は本発明建設機械の天蓋開閉装置の全体を示す図であり、本発明の天蓋開閉装置は、一方向の上方に開放可能に構成した建設機械の天蓋10において、該天蓋10の両側中間より前方の裏側に、天蓋の両側部と並行にスライド穴11aを形成した被摺動金具11を取付け、また前記天蓋10の開口部12aを形成する天井部材12には、前記被摺動金具11の付近において該被摺動金具11に対峙するよう、前記開口部12aに突出させた支持金具13を設置するとともに、該支持金具13に一端を回動自在に支持したリンク部材14の他端を、前記被摺動金具11のスライド穴11aに摺動且つ抜け止めして装着し、前記被摺動金具11と前記支持金具13並びにリンク部材14間に、前記天蓋10の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段15を設けたものである。
【0011】前記天蓋10は、従来例と同様に、運転室の天井部材12に開けられた開口部12aを覆うように天井部材12の曲率に合わせて形成され、その一端が一方向、例えば建設機械の進行方向、即ち運転室の前面に向かって開くように、他端はばねヒンジ16により天井部材12に取付けられている。なお、前記ばねヒンジ16を通常のヒンジとし、別途天蓋10と天井部材12間にガス圧で伸縮するステーを取付けてもよい。
【0012】前記被摺動金具11は、図4乃至図7に詳細を示すように、一方が開いたほぼ箱形の板製品で、箱の底に該当する平板部11bには基部11cと並行に長いスライド穴11aが形成されている。このスライド穴11aの長さは、天蓋10の開口の大きさにより決定される。このような被摺動金具11は図3に示すように、天蓋10の中間の両側部付近裏側に、前記平板部11bを垂直に、且つスライド穴11aが天蓋の両側部と並行になるよう、基部11cを天蓋10にビス17で取付けている。
【0013】前記支持金具13は台形の板製品で、図3、図7に示すように、天井部材12の開口部12aにおける前記被摺動金具11の付近において、該被摺動金具11に対峙するよう、前記開口部12aに、この例では水平に突出させビス等で固定されている。なお、13aは後記ロック手段15の一部を構成するロック穴である。
【0014】前記リンク部材14は、一端に広幅部14aを形成したレバー状の板製品で、両端部にピンの挿通する丸穴14b、14cを、また前記広幅部12aに後記ロック手段15の一部を構成するロック穴14dを各々形成している。このようなリンク部材14は図4乃至図7に詳細示すように、その一端を前記丸穴14bに通したピン18とワッシャ19により支持金具13に回動自在に支持し、適宜抜け止めを行って取付けるとともに、他端を同じく前記丸穴14cに通したピン18とワッシャ19により被摺動金具11のスライド穴11aに回動及び摺動自在に取付け、適宜抜け止めを行っている。
【0015】前記ロック手段15は、前記被摺動金具11の下部に取付けられ、前記天蓋10の側部に向かってロックバー20aをばね(図示せず)で常時突出させるロック金具20と、前記支持金具13及びリンク部材14に形成され、前記天蓋10の閉塞時及び同天蓋の所定中間開扉時に前記ロック金具20のロックバー20aが突入して固定される前記ロック穴13a及び14dとから構成されている。尚、図中21は被摺動金具11に取付けた操作ハンドルである。
【0016】上記のように構成された本発明天蓋開閉装置は、図1、図4及び図7の如く天蓋10が閉塞されているときは、前記ロック金具20のロックバー20aが支持金具13のロック穴13aに突入しておりロックされている。
【0017】天蓋10を所定中間位置まで開こうとするときは、前記操作ハンドル21を保持しながら前記ロック金具20のレバー20bを押せば、ロックバー20aが引っ込み支持金具13のロック穴13aから外れるから、天蓋10は前記ばねヒンジまたはガス圧で伸長するステーによって図2または図5のように開き、所定中間開扉位置間で開いたところで、リンク部材14の前記スライド穴11aに挿通したピン18がスライド穴11aの図で左端に掛かって停止し、これ以上天蓋10を開口させない。この状態で前記ロック金具20のレバー20bを緩めれば、ロックバー20aはばねによりリンク部材14のロック穴14dに突入し、リンク部材14の回動を阻止し、天蓋10をロックする。
【0018】
【発明の効果】本発明建設機械の天蓋開閉装置は、一方向の上方に開放可能に構成した建設機械の天蓋において、該天蓋の両側中間の裏側に、天蓋の両側部と並行にスライド穴を形成した被摺動金具を取付け、また前記天蓋の開口部を形成する天井部材には、前記被摺動金具の付近において該被摺動金具に対峙するよう前記開口部に突出させた支持金具を設置するとともに、該支持金具に一端を回動自在に支持したリンク部材の他端を、前記被摺動金具のスライド穴に摺動且つ抜け止めして装着し、前記被摺動金具と前記支持金具並びにリンク部材間に、前記天蓋の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段を設けたので、殊に運転室内垂直方向への突出は最小限で済むから安全であり、しかも天蓋の開口の大きさ(開き量)を大きくするときも、運転室の垂直方向に突出することのない前記リンク部材、スライド穴を長くするのみでよく、更に前記被摺動金具と前記支持金具並びにリンク部材間に、前記天蓋の閉塞時及び所定中間開扉時に両者を固定するロック手段を設けることにより、天蓋の閉塞位置及び所定の中間開き位置を確実に保持できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】390001579
【氏名又は名称】プレス工業株式会社
【出願日】 平成12年3月8日(2000.3.8)
【代理人】 【識別番号】100066762
【弁理士】
【氏名又は名称】椎原 英一
【公開番号】 特開2001−254398(P2001−254398A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−64229(P2000−64229)