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【発明の名称】 地盤改良工法およびその装置
【発明者】 【氏名】太 田 惠 智

【氏名】中 柴 弘

【氏名】奥 村 良 介

【氏名】大 西 常 康

【要約】 【課題】アースオーガによる掘削方向に変位が生じたとき、速やかに正規の方向に修正して掘削撹拌を続行することを可能とする。

【解決手段】回転駆動自在とされ並列配置される複数本のロッド9,9の下端の連結軸受12と掘削撹拌ヘッド10の上端の連結軸受13とをトルク伝達可能な自在継手14により連結し、前記連結軸受間を等角配置の少なくとも3本のシリンダ15により連結してなり、前記シリンダ15を地上で遠隔操作することにより掘削方向を修正するようにしたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】アースオーガにより地盤を掘削し、掘削された土砂と固化材とを撹拌混練して地盤を改良する地盤改良工法において、アースオーガの掘削方向変位を検出するセンサを掘削撹拌ヘッドの近傍に設け、前記センサにより検出された掘削方向変位を地上で観測しながら掘削方向変位が生じたとき掘削方向を修正しつつ施工することを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】前記センサに、傾斜計とジャイロセンサとの組み合わせからなる3次元ジャイロセンサを用いる請求項1記載の地盤改良工法。
【請求項3】回転駆動自在とされ並列配置される複数本のロッドの下端の連結軸受と掘削撹拌ヘッドの上端の連結軸受とをトルク伝達可能な自在継手により連結するとともに前記連結軸受間を等角配置の少なくとも3本のシリンダにより連結し、前記掘削撹拌ヘッドの近傍に掘削方向変位を検出するセンサを設けてなり、このセンサにより検出された掘削方向変位を観測しながら前記シリンダを地上で遠隔操作することにより掘削方向を修正するようにしたことを特徴とする地盤改良装置。
【請求項4】掘削方向変位を検出するセンサからの検出信号をCPUに入力し、このCPUからの指令に基づいて前記シリンダを作動させることにより掘削方向の修正を行なうようにされている請求項2記載の地盤改良装置。
【請求項5】前記センサは、傾斜計とジャイロセンサとの組み合わせからなる3次元ジャイロセンサとされ、このセンサは前記連結軸受に固定された防水ケース内に収納されている請求項3または4記載の地盤改良工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アースオーガにより地盤を掘削し、掘削された土砂と固化材とを撹拌混練して地盤を改良する地盤改良工法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軟弱な地盤を硬化させる地盤の改良には、図1(A)、(B)に本発明の一実施形態として示す正面図および側面図にみられるようなアースオーガが用いられている。このアースオーガは、自走可能なクローラ型のベースマシン1にその前部の支持部2とステー3とにより直立状態に立設されるリーダマスト4の前面側のガイドレール5に駆動部6が昇降自在に支持されてリーダマスト4の上端のトップシーブ7を経由するワイヤロープ8により吊持され、ベースマシン1に搭載のウインチ(図示省略)による巻上げ巻下げにより昇降されるようになっており、この駆動部6の出力軸に複数本(図では2本)のロッド9,9が連結され、その下端の掘削撹拌ヘッド10,10により地盤を掘削しつつ固化材を供給して掘削撹拌ヘッド10,10により掘削土砂と固化材とを撹拌混合しつつロッド9,9を引抜くことにより掘削地盤を固化材により硬化させて地盤の改良を行なうようになされている。なお符号11,11はロッド9,9を拘束する振止めである。
【0003】ところで上記のようにロッド9,9を回転駆動してその下端の掘削撹拌ヘッド10,10により地盤を掘削するとき、地盤の性状等により掘削方向が予定の方向に対し曲がってしまうことがあり、予定の箇所の地盤が適確に改良されないという問題が生じることがある。
【0004】このようなことから、従来掘削方向が正しい方向にあるか否かを検出する検出装置を用い、掘削方向の変位をいち早く知るようになされたものが種々開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上記従来の検出手段を用いたものでは、アースオーガの掘削方向の変位の発生は知り得ても、掘削途中で掘削方向を修正することができないため、掘削方向に曲がりが生じた場合には一旦掘削を止め、曲がりが生じた位置までロッド9,9を引抜き、改めて正しい方向に掘削を再開するという方策を採るほかはなく、それにはベースマシン1に対しリーダマスト4を傾動操作してロッド9,9に傾斜を与え、そのうえ新たに掘削を開始するなどの操作が必要となる。そのため掘削方向の修正には確実性に欠ける方策に頼らざるを得ず、正確な方向修正を行なうことがきわめて困難であると同時に方向修正のための作業能率が著しく低いという問題点があった。
【0006】本発明は上記従来の技術の問題点を解決することを課題としてなされたもので、アースオーガによる掘削方向に変位が生じた場合、速やかに正規の方向に修正して掘削撹拌を続行することを可能とする地盤改良工法およびその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段として本発明は、アースオーガにより地盤を掘削し、掘削された土砂と固化材とを撹拌混練して地盤を改良する地盤改良工法において、アースオーガの掘削方向変位を検出するセンサを掘削撹拌ヘッドの近傍に設け、前記センサにより検出された掘削方向変位を地上で観測しながら掘削方向変位が生じたとき掘削方向を修正しつつ施工することを特徴とする地盤改良工法と、地盤を改良する装置として、回転駆動自在とされ並列配置される複数本のロッドの下端の連結軸受と掘削撹拌ヘッドの上端の連結軸受とをトルク伝達可能な自在継手により連結するとともに前記連結軸受間を等角配置の少なくとも3本のシリンダにより連結し、前記掘削撹拌ヘッドの近傍に掘削方向変位を検出するセンサを設けてなり、このセンサにより検出された掘削方向変位を観測しながら前記シリンダを地上で遠隔操作することにより掘削方向を修正するようにしたことにある。
【0008】掘削方向変位を検出するセンサからの検出信号をCPUに入力し、このCPUからの指令に基づいて前記シリンダを作動させることにより掘削方向の修正を行なうようにすれば自動的に方向修正を行なうことができる。
【0009】また前記センサとしては、傾斜計とジャイロセンサとの組み合わせからなる3次元ジャイロセンサを用い、このセンサを防水ケース内に納めて前記連結軸受に固定するようにすることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【0011】図2は図1に示した本発明による地盤改良装置の要部を拡大して示す正面図で、アースオーガの駆動部6の出力軸に連結される2本のロッド9,9が並設される構成とした場合を示している。
【0012】上記ロッド9,9の下端および掘削撹拌ヘッド10,10の上端に連結軸受12,13が設けられ、これら連結軸受12,13間はトルクの伝達が可能な自在継手14,14により連結されているとともに、連結軸受12,13の周面間は等角配置の複数本(図では4本)の油圧シリンダ15,15…により連結されている。
【0013】図示の実施形態では、図3にみられるように前記連結軸受12,13はロッド9の下端および掘削撹拌ヘッド10の上端にそれぞれ連結されるようになっており、上部の連結軸受12の上面にはロッド9の下端の雌継手部16に嵌合して接続される雄継手部17が、下部の連結軸受13の下面には掘削撹拌ヘッド10の上端の雄継手部18に嵌合して接続される雌継手部19が設けられ、いずれもピン20,20を雌雄継手部に跨がって挿入することにより抜止めされるようになっている。
【0014】前記連結軸受12,13は、図3に左側を断面図として示すように、前記雄継手部17および雌継手部19とそれぞれ一体な軸部21,22の外周に軸受筒23,24が外嵌され、前記軸部21,22と軸受筒23,24との間にローラベアリング25,26が介在されてなる。
【0015】そして左右のロッド9,9側の連結軸受12,12の軸受筒23,23間は連結部材27により結合されて両ロッド9,9間の間隔を保持するとともにこの連結部材27の中央位置に掘削方向を検出するためのセンサSを取付けるセンサ保持部28が設けられている。
【0016】前記軸受筒23,24の外周面には周方向に等間隔をおいて軸受29,30…が突設され、これら軸受29,30間に前記油圧シリンダ15のシリンダ部15aとピストンロッド15bがそれぞれ連結されている。
【0017】地上には前記センサSからの掘削方向変位の検出信号が送られ、この信号をモニタに受信して曲進状況を観測し得るようになっている。
【0018】また前記各油圧シリンダ15,15…への圧油の給排も地上において切換バルブスタンドのバルブ操作により所望の油圧シリンダ15を伸縮させることができるように配管されている。
【0019】前記自在継手14は、上部の連結軸受12の軸部21の下端に設けられた外環部材31と、下部の連結軸受13の軸部22の上端に突設された内環部材32との嵌合により構成されており、前記外環部材31の内周面には前記連結軸受12,13の軸心を中心とする縦方向の断面円弧状をなす凹曲面31aとされ、前記内環部材32の外周面には前記凹曲面31aに密接して摺動し得る断面円弧状の凸曲面32aとされていて、これらの摺接によりロッド9と掘削撹拌ヘッド10とが所要の角度にわたり屈曲自在となるように構成されている。
【0020】なお図3において符号33は、前記外環部材31および内環部材32の嵌合部に土砂が侵入しないよう上下の軸受筒23,24間に接続されたゴム等の可撓性材料からなる筒状のカバーである。上記自在継手14に関しては図示の構成に限定されるものではなく、他の構成によるものであってもよい。
【0021】前記掘削撹拌ヘッド10は、図2に示すように前記連結軸受13が上端に接続される所要長さのロッド部34と、多数のビットを有するヘッド部35と、前記ロッド部34の外周に直径方向にかつ上下のものが90°方向を異にして突設された撹拌羽根36,36…とで構成され、最下位の撹拌羽根36の先端にはカッタ36aが設けられている。なお前記ヘッド部35は隣位のものと90°位相を異にしている。
【0022】前記ロッド部34内には前記ロッド9内から前記連結軸受12,13、自在継手14内を通りセメントミルク等の固化材を供給する供給通路37に連通する供給通路が設けられており、前記ヘッド部35の吐出口38から掘削地盤中に固化材を吐出するようになっている。
【0023】前記ロッド部34,34の下端でヘッド部35,35の直上位置は、掘削撹拌ヘッド10,10が相互に振れないように拘束するよう自在軸受39,39を内蔵した連結部材40により結合されている。
【0024】前記センサSとしては、その一例を図6に示すように、前記連結軸受12,12間に前記連結部材27,27を介して固定される防水ケース41内に収納されたX−Yの2次元方向の傾斜計42とジャイロセンサ43との組み合わせからなる3次元ジャイロセンサが用いられており、このセンサSはロッド9の方位角をリアルタイムで検出する。
【0025】すなわち前記ロッド9、延いてはこれにより改良処理されたソイル柱44列が図7(A)から図7(B)のように回転(捩れ)した場合の回転中心線はP点を通る鉛直線であり、また図7(C)の状態に回転した場合の回転中心線はQ点を通る鉛直線へと変化する。
【0026】上記のように回転中心位置がP,Qのように常に変化する運動系に対しての角度の検出には前記ジャイロセンサ44を用いて計測するのが最適である。これは地盤改良装置のロッド9のように鉛直軸が傾斜する場合においてはX−Yの2方向の傾斜の検出のみでは高精度の測定には無理があるが、ジャイロセンサ44と組み合わせることにより座標軸変換の式で補正することによって測定精度の向上を図ることができる。
【0027】次に上記実施形態の作用を説明する。
【0028】改良すべき地盤の近傍にベースマシン1を移動させ、駆動部6を駆動してロッド9,9を回転させ、これに連結されている掘削撹拌ヘッド10,10を回動してそのヘッド部35,35により地盤を掘削しつつワイヤロープ8を緩めてロッド9,9および掘削撹拌ヘッド10,10を自重下降させ、掘削を進める。このとき供給通路37を通じてセメントミルク等の固化材を供給し、ヘッド部35の吐出口38から掘削地盤中に吐出させながら掘削を行ない、吐出された固化材と掘削土砂とは撹拌羽根36,36…により撹拌されて混練される。
【0029】上記の掘進時には、ロッド9,9の重量を掘削撹拌ヘッド10,10に掛けながら降下するので、その途中で地盤の状態や障害物の存在等により長尺であるロッド9,9は常に曲がり勝手になる。
【0030】掘削方向に曲がりが生じ、その変位をセンサSが検出すると、地上の観測者がその変位量および変位方向をモニタ等を通じて把握し、その変位を修正する位置にある油圧シリンダ15を作動して掘削撹拌ヘッド10,10の向きを修正する。
【0031】図4(A),(B)に方向修正状況を示しており、(A)はロッド9,9が左方に曲った場合であり、(B)は右方に曲った場合を示している。
【0032】上記図4(A)の場合は、図において左側に位置する油圧シリンダ15を伸長作動させる。これによりロッド9,9の下端の連結軸受12に対し掘削撹拌ヘッド10,10の連結軸受13が右方へ傾くよう自在継手14により追動し、曲がりが修正される。また図4(B)の場合は図において右側に位置する油圧シリンダ15を伸長作動させて修正を行う。紙面に対し前後方向に曲がった場合には前記と同様に曲った側の油圧シリンダ15を伸長作動させればよい。
【0033】ロッド9,9に対し所定角度変位を与えられた掘削撹拌ヘッド10,10により修正させたい方向に余掘りaが行なわれ、希望する掘削方向に掘進することができる。
【0034】方向修正が完了したことを観測した時点で前記の油圧シリンダ15を短縮させることにより修正工程を終える。
【0035】このようにして常時掘削方向を観察することにより曲進の発生を直ちに知り、直ちに方向修正ができるので、所定の深度まで曲がることなく掘削することができる。
【0036】予定の深度まで掘削したらロッド9,9の引抜き工程に入り、引抜き完了により作業を終了する。
【0037】図8はCPUを用いて自動的に掘削方向を修正する場合の一例を示す制御ブロック図で、センサSからの検出信号がCPU45に入力され、このCPU45からモニタ信号がモニタ46に出力されてこのモニタ46を通じ掘削方向の変位状況を観察する一方、切換バルブスタンド47へ動作指令信号が出力されて油圧ユニット48からの圧油を方向修正すべき油圧シリンダ15に給排し、ロッド9,9に対する掘削撹拌ヘッド10,10の掘進方向を修正するようになされる。
【0038】このようにすれば自動的に方向修正をなさしめることができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、掘削方向に変位が生じた場合に掘削方向を修正しながら施工するので、掘削方向の検出データを有効に利用して計画通りの施工を可能とすることかできる。
【0040】また本発明の装置(請求項2)によれば、ロッドに対し掘削撹拌ヘッドを連結軸受およびトルク伝達可能な自在継手を介して連結し、シリンダの伸縮動作により掘削撹拌ヘッドを方向変更操作するようにしたので、掘削方向変位時にロッドを引抜くなどの作業が不要であり、施工を中断することなく連続的に作業を進めることができる。
【0041】さらに請求項3によれば、CPUからの指令により方向修正を行なえるので、人的なタイミングのずれ等の不安定要素がなく、更なる施工精度の向上を図ることができるとともに観測者を常時配置する必要もないのでコストダウンにも寄与することができる。
【0042】そしてロッドの先端部の掘削撹拌ヘッドの近傍にセンサ保持部、方向修正用シリンダ等、主要部材を集約して配置するので、アースオーガの本体やロッド類は従来のものをそのまま使用することができ、経済的にきわめて有利である。
【出願人】 【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
【出願日】 平成12年3月14日(2000.3.14)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−254388(P2001−254388A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−70146(P2000−70146)