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【発明の名称】 岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設とその施工方法
【発明者】 【氏名】矢部 幸男

【氏名】征矢 雅宏

【氏名】大槻 直紀

【要約】 【課題】コンクリートプラグの長さを短縮してコンクリート量を削減し、引張応力の作用を回避することで鉄筋の使用も排除して、コンクリートプラグの滑動に対して安全確実な構造から成る岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設におけるコンクリートプラグを提供する。

【解決手段】アクセストンネル3を塞ぐために内部にマンホール12を内蔵してアクセストンネルの貯蔵施設端4に設置され、貯蔵内圧16と相対する岩盤面7に貯蔵内圧による滑動力を受け持たせて設置するコンクリートプラグ10と、コンクリートプラグの滑動方向と交角を持って配置されるアクセストンネル3から構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アクセストンネルを塞ぐために、内部にマンホールを内蔵してアクセストンネルの貯蔵施設端に設置される岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設におけるコンクリートプラグであって、貯蔵内圧と相対する岩盤面に貯蔵内圧による滑動力を受け持たせて設置するコンクリートプラグ、該コンクリートプラグの滑動方向と交角を持って配置されるアクセストンネルから構成されることを特徴とする岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設。
【請求項2】 コンクリートプラグが、周面を岩盤と縁切りして構成されることを特徴とする請求項1に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設。
【請求項3】 コンクリートプラグが、周面に縁切りされた金属板を配置して構成されることを特徴とする請求項1に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設。
【請求項4】 コンクリートプラグが、内蔵するマンホールを中間位置でアクセストンネルに臨ませることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設。
【請求項5】 マンホールが、コンクリートプラグのアクセストンネルへの開放穴に臨むことを特徴とする請求項4に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設。
【請求項6】 貯槽に臨むアクセストンネルの端部を貯槽内圧と交角を持たせる方向に掘削し、次いで、該アクセストンネルの端部を拡幅して貯槽内圧に相対する岩盤面を形成し、しかる後に、該アクセストンネルの端部と拡幅岩盤面とに貯蔵内圧による滑動力を受け持たせてコンクリートプラグを施工する工程から構成する岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法。
【請求項7】 アクセストンネルの端部が、貯槽内圧に対して90度の交角を持たせて掘削されることを特徴とする請求項6に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートプラグの長さを制限し、コンクリートの鉄筋構造を排除した岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国では、エネルギー貯蔵の必要性から高圧ガスや高圧液体を地上に建設した球形や円筒状の高圧タンクに貯蔵せずに地下の岩盤に貯蔵するためと、施設を設置する地域の減少や環境問題を解決するためにも、岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設が必要になっている。
【0003】特に、夜間に於ける余剰電力を貯蔵することによって、昼間の電力供給に振り向ける施設の一環として、夜間電力によって、空気等の気体や液体を地下の岩盤内に構築した貯蔵タンクに高圧で貯蔵しておき、電力需要のピーク時等にこれらを払い出すことで、発電機を運転して電力を供給する方式が注目されている。
【0004】高圧気体や液体のエネルギー貯蔵は、岩盤内に空洞を形成して空洞周辺の地下水圧によって高圧気体を貯蔵する方式も検討されたが、貯蔵する気体の内圧と地下水圧をバランスさせるためには1000m以上の深度に空洞を形成する必要があることと地下水の浸出対策等から、岩盤内に形成した空洞内に気密性を有する貯蔵タンクを構築して貯蔵する、気体や液体の内圧を周辺の岩盤で支持する方式の大規模な岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設によって行われている。高圧の空気、ガス等を岩盤内に貯蔵する施設50は、図10に示すように岩盤内に高圧エネルギー貯蔵施設51を築造しており、貯槽を築造する際に構築した地上施設52から岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設51に連絡しているアクセストンネル53を、貯槽築造後に塞ぐためにコンクリート製のプラグ54を設置している。
【0005】コンクリートプラグ54は、図11に示すように構成しており、貯蔵内圧55による滑動をコンクリートプラグ54と岩盤56のせん断抵抗57で受け持つために、中央部58を膨大させて長い傾斜面59を形成しており、中心部に受け払い用のマンホール60を内蔵した洋梨形状を採用していることで、次のような問題点を抱えている。
【0006】■ 貯蔵内圧の大きさ、コンクリートプラグを設置する位置の岩盤状態にもよるが、コンクリートプラグは非常に長く、使用するコンクリート量も多大になる。
【0007】■ コンクリートプラグに、岩盤のせん断抵抗によって発生する引張応力が作用するために、鉄筋コンクリート構造もコンクリートプラグの軸、半径及び円周の3方向に対しての鉄筋が必要になり複雑な配筋になる。
【0008】■ コンクリートプラグにマンホールを設置する必要があるために、鉄筋組み立て、マンホールの設置、コンクリートの打設等の困難な施工が多くなり、工期の長期化が避けられない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題点に鑑みてこれを解決するために考案されたものであり、コンクリートプラグの長さを短縮してコンクリート量を削減し、引張応力の作用を回避することで鉄筋の使用を排除して、コンクリートプラグの滑動に対して安全確実な構造から成る岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設を提供している。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、アクセストンネルを塞ぐために内部にマンホールを内蔵してアクセストンネルの貯蔵施設端に設置される岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設におけるコンクリートプラグにおいて、貯蔵内圧と相対する岩盤面に貯蔵内圧による滑動力を受け持たせて設置するコンクリートプラグと、コンクリートプラグの滑動方向と交角を持って配置されるアクセストンネルから構成されており、コンクリートプラグに作用する貯蔵内圧による滑動力を周辺岩盤のせん断抵抗で受けずに相対する岩盤面への圧縮力として対応することで、コンクリート構造を鉄筋のない簡潔なものにしている。
【0011】請求項2に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項1に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、コンクリートプラグの周面を、岩盤と縁切りして構成することを特徴としており、コンクリートプラグからのせん断力が岩盤に殆ど伝達されないのでコンクリートプラグの躯体に引張応力の発生が無くなり、上記機能をさらに増進している。
【0012】請求項3に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項1に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、コンクリートプラグの周面に、縁切りされた金属板を配置して構成されることを特徴としており、貯蔵内圧の作用が3軸圧縮状態を形成することでコンクリートプラグの躯体に無筋コンクリートの採用を可能にして、上記機能をさらに増進している。
【0013】請求項4に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項1乃至3のいずれかに記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、コンクリートプラグに内蔵するマンホールを、中間位置でアクセストンネルに臨ませることを特徴としており、上記機能に加えて、受払用のマンホール関連の構造を簡潔にしている。
【0014】請求項5に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項4に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、マンホールを、コンクリートプラグの中間部に形成してアクセストンネルに連絡している開放穴に臨ませることを特徴としており、上記機能に加えて、マンホールの構造を簡素にしている。
【0015】請求項6に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法は、貯槽に臨むアクセストンネルの端部を貯槽内圧と交角を持たせる方向に掘削してから、アクセストンネルの端部を拡幅して貯槽内圧に相対する岩盤面を形成し、しかる後に、アクセストンネルの端部と拡幅岩盤面とに貯蔵内圧による滑動力を受け持たせてコンクリートプラグを施工する工程から構成しており、貯蔵内圧による滑動力を貯槽内圧に相対する岩盤面で受け持たせながら内蔵するマンホールをアクセストンネルに臨ませるコンクリートプラグの施工を狭い範囲で効率的に実施している。
【0016】請求項7に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法は、請求項6に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法 において、アクセストンネルの端部を、貯槽内圧に対して90度の交角を持たせて掘削することを特徴としており、上記機能に加えて、貯槽本体施工時における施工機械、器材の搬入等の条件を最小限に満たしながら、貯槽内圧に相対する岩盤面を構成する拡幅工事を容易にしている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、基本的に、アクセストンネルを塞ぐために内部にマンホールを内蔵してアクセストンネルの貯蔵施設端に設置され、貯蔵内圧と相対する岩盤面に貯蔵内圧による滑動力を受け持たせて設置するコンクリートプラグと、コンクリートプラグの滑動方向と交角を持って配置されるアクセストンネルから構成されている。以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1〜4は、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の実施の形態を説明するための断面図と部分詳細図である。図1は、図2の(1)−(1)矢視による平断面図、図2は、図1の(2)−(2)矢視による縦断面図であり、図3は、図1の(3)−(3)矢視によるコンクリートプラグの断面図である。そして、図4は、図3a部の拡大詳細図である。
【0019】各図面が示すように、岩盤1内に構築されている貯槽2の側面には、これに結合して地上施設からのアクセストンネル3が構築されている。本実施の形態では、アクセストンネル3は、貯槽2に結合する端部4において交角90度の曲線形状に形成されている。
【0020】尚、貯槽2の形状については、本発明が目的にしているコンクリートプラグの構造に関係しないものであるから、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、サイロ型、トンネル型等の各種貯槽に適用可能である。
【0021】端部4の交角部分はアクセストンネル形成後に拡幅されており、貯槽2の壁面5と直交して形成される拡幅壁面6とアクセストンネル3の接線方向に拡幅されて貯槽2の壁面5と平行な拡幅壁面7とが形成されている。
【0022】コンクリートプラグ10は、貯槽2の壁面5に開放して一端8を形成しており、拡幅して形成された拡幅壁面7に密に接合させて他端9を形成している。又、拡幅壁面6とアクセストンネル3の部分にはコンクリートプラグ10の周面11が形成されている。
【0023】コンクリートプラグ10には、中央部分に受払用のマンホール12が配置されており、マンホール12の一端13は貯槽2に対して開口している。マンホール12の他端14は、アクセストンネル3に臨んで開口するものであるが、本実施の形態では、コンクリートプラグ10の長手方向でアクセストンネル3側に露出している周面11の適切な位置に形成されている開放穴15に開口することでアクセストンネル3に臨んでいる。
【0024】貯槽2に高圧エネルギーが保管された場合には、貯槽2の壁面5に発生する貯蔵内圧16によって、コンクリートプラグ10にも同様の圧力が加えられる。この圧力に対して、従来のコンクリートプラグでは、コンクリートプラグの周面と岩盤とのせん断応力で対処していたが、本発明では上記の構成によって、この貯蔵内圧16をこれに相対している拡幅壁面7において受け持っている。
【0025】このことから、コンクリートプラグ10の躯体に加えられる応力は、引張応力ではなく全て圧縮応力である。加えて、コンクリートプラグの躯体に加えられる圧縮力は、コンクリートプラグ10の3軸方向に全て圧縮力として伝達され、この押圧力は、全てにおいて周辺の岩盤によって受け持たれるものであるから、コンクリートプラグのコンクリート構造は、無筋コンクリートでも充分な強度を保持できることになる。
【0026】図3、4は、以上の根拠から構築されたコンクリートプラグを断面図によって詳細に示している。
【0027】即ち、本実施の形態では、コンクリートプラグ10を施工するに当たって、岩盤掘削面の強度と平滑性を確保するために、岩盤1の各壁面に吹付けコンクリート17を施工している。そして、吹付けコンクリート17の表面に縁切材18を貼着してからコンクリートプラグ10を施工することで、コンクリートプラグ10と岩盤1との間にせん断応力を殆ど発生させないようにしている。
【0028】そして、コンクリートプラグの躯体には、図示のようにコンクリートプラグ自体のひび割れを防止するためにひび割れ防止鉄筋19を配筋するのみで、コンクリートプラグを補強するための配筋は全く施されていない。
【0029】図5〜8は、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設における他の実施形態を説明するための断面図と部分詳細図である。
【0030】図5は、図6の(5)−(5)矢視による平断面図、図6は、図5の(6)−(6)矢視による縦断面図であり、図7は、図5の(7)−(7)矢視によるコンクリートプラグの断面図である。そして、図8は、図7a部の拡大詳細図である。
【0031】各図面が示すように、岩盤1内に構築されている貯槽2と、これに結合されて地上施設からのアクセストンネル3が構築され、アクセストンネル3が端部4において交角90度の曲線形状に形成されている点と、端部4の交角部分がアクセストンネル形成後に拡幅されて、貯槽2の壁面5と直交して形成される拡幅壁面6と貯槽2の壁面5と平行な拡幅壁面7とが形成されている点は、上記実施の形態と同様である。
【0032】コンクリートプラグ20は、拡幅後のアクセストンネル3に設置した円筒形状の鉄板21中にコンクリートを流込んだ無筋コンクリート22として構成している。鉄板21としては、水力発電所の内張管に類似した構造等も考えられるが、材質的には通常の鉄板で充分である。
【0033】コンクリートプラグ20は、貯槽2の壁面5に開放して一端を形成しており、拡幅して形成された拡幅壁面7に密に接合させて他端を形成している。又、拡幅壁面6とアクセストンネル3の部分にはコンクリートプラグ20の周面23が形成されている。
【0034】コンクリートプラグ20には、中央部分に受払用のマンホール24が配置されており、マンホール24の一端25は貯槽2に対して開口している。無筋コンクリート22中に内蔵されたマンホール24の他端26は、途中から曲線状に形成しており、コンクリートプラグ10の長手方向でアクセストンネル3側に露出している周面23の適切な位置に開口することでアクセストンネル3に臨んでいる。
【0035】尚、本実施の形態におけるマンホール24の形状は、これに限定されるものでなく、上記実施の形態と同様にマンホール24の曲線形状を回避して、コンクリートプラグ20の長手方向でアクセストンネル3側に露出している周面23の適切な位置に開放穴を形成することで、その開放穴に直線部を開口させることでアクセストンネル3に臨ませることもできる。
【0036】本実施の形態の場合も、貯槽2に高圧エネルギーが保管された場合には、貯槽2の壁面5に発生する貯蔵内圧16によって、コンクリートプラグ20に同様の圧力が加えられるが、貯蔵内圧16に相対している拡幅壁面7において、これを受け持っている。
【0037】従って、鉄板21で周辺を保持された無筋コンクリート22は3軸圧縮状態にに成ることで高耐力を発揮すると共に、その押圧力は、鉄板21を介しながら周辺の岩盤によって受け持たれるものであり、コンクリートプラグ20は、無筋コンクリートでも充分な強度を保持できる。
【0038】図7、8は、構築されたコンクリートプラグ20を断面図によって詳細に示している。
【0039】本実施の形態では、コンクリートプラグ20を施工するに当たって、岩盤1の各壁面に吹付けコンクリート17を施工している。そして、吹付けコンクリート17と構築されたコンクリートプラグ20との間には、裏込コンクリート27が充填されており、相互間を密接に結合することで応力の伝達を円滑にしている。前述のように、コンクリートプラグ20は、円筒形の鉄板21中にコンクリートを流込んだ無筋コンクリート22として構成しているが、鉄板21の内側にはアスファルト等の縁切材28を貼着してから無筋コンクリート22を施工しており、貯蔵内圧16を受ける無筋コンクリート22と鉄板21との間にせん断応力を殆ど発生させないようにしている。
【0040】以上のように、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、内部にマンホールを内蔵してアクセストンネルの貯蔵施設端に設置され、貯蔵内圧と相対する岩盤面に貯蔵内圧による滑動力を受け持たせて設置するものであるから、コンクリートプラグに作用する貯蔵内圧による滑動力を、周辺岩盤のせん断抵抗で受けることなく、相対する岩盤面への圧縮力として対応することで、コンクリートプラグのコンクリート構造を鉄筋のない簡潔なものにしている。
【0041】次に、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法について説明する。
【0042】本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法は、貯槽に臨むアクセストンネルの端部を貯槽にほぼ90度の交角を持たせて掘削してから、アクセストンネルの端部を拡幅して貯槽内圧に相対する岩盤面を形成するものであり、しかる後に、アクセストンネルの端部と拡幅岩盤面とに貯蔵内圧による滑動力を受け持たせてコンクリートプラグを施工している。
【0043】図9は、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法を、各工程に沿って説明するために示す施工平断面図である。
【0044】図9(a)は、貯槽本体を施工するために構築するアクセストンネルの断平面図であり、貯槽2と接合するアクセストンネル3の端部4は、図示のように貯槽内圧と交角(W)の方向に掘削されており、本実施の形態では交角(W)を90度の円弧形状に形成させている。
【0045】平面線形を従来の直線形でなく曲線形にするのは、本発明の目的であるコンクリートプラグを貯蔵内圧と相対する岩盤面で受け持たす拡幅施工を容易にするためである。従って、交角(W)は、90度を最善にして諸般の条件を勘案して任意の角度に設定しており、円弧半径(R)は、貯槽本体を施工する際に施工機械、器材の搬入等で決められる諸条件を満足させる最小値に設定されている。
【0046】貯槽2の本体施工が完了すると、アクセストンネル3の端部4は造築するコンクリートプラグの構造に併せて、図9(b)のように円弧部27を拡幅している。本実施の形態では、拡幅施工が円弧部27の接線方向に沿って直線上に推進されており、貯槽2の壁面5と直交して形成される拡幅壁面6と、貯槽2の壁面5と平行に形成される拡幅壁面7とが形成されている。拡幅後の掘削壁面にはモルタルを吹き付けて吹付けコンクリート17を形成している。
【0047】コンクリートプラグの造築は、上記実施の形態で示したコンクリートプラグのそれぞれの形態によって異なってくるが、図9(c)には、上記した他の実施の形態で説明したコンクリートプラグ20の例を示している。
【0048】コンクリートプラグ20の造築は、拡幅後のアクセストンネル3内に円筒形状の鉄板21を設置してから、鉄板21の内部にマンホール24を据え付けて行われる。次いで、鉄板21の内面にアスファルト等を塗布してコンクリートとの縁切材28を設置してから、鉄板21の内部に無筋コンクリート22を打設することでコンクリートプラグ20を構築している。
【0049】コンクリートプラグ20は、その後にアクセストンネルの壁面との間に裏込コンクリートを打設して造成を完了しているが、以上の工程において、鉄板21内の無筋コンクリート22は、貯蔵内圧が作用するコンクリートプラグの端面と反対側になる端面を、貯蔵内圧に相対する拡幅壁面7に密着させている。
【0050】以上のように、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法は、貯槽本体施工時における施工機械、器材の搬入等の条件を最小限に満たしながら、貯槽内圧に相対する岩盤面を構成する拡幅工事を容易にすると共に、貯蔵内圧による滑動力を貯槽内圧に相対する岩盤面で直接的に受け持たせながら、内蔵するマンホールをアクセストンネルに臨ませるコンクリートプラグの施工を確実にしている。
【0051】以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設とその施工方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0052】
【発明の効果】請求項1に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、貯蔵内圧と相対する岩盤面に貯蔵内圧による滑動力を受け持たせて設置するコンクリートプラグと、コンクリートプラグの滑動方向と交角を持って配置されるアクセストンネルから構成されているので、コンクリートプラグに作用する貯蔵内圧による滑動力を周辺岩盤のせん断抵抗で受けずに相対する岩盤面への圧縮力として直接対応することで、以下の効能を発揮させて安全性の向上とコスト低減、工期短縮を図る効果を奏している。
■ アクセストンネルの配置を、必要最小半径の交角にしてコンクリートプラグのコンクリート量を低減できる。
■ コンクリートプラグに引張応力を発生させないので、コンクリート補強配筋を不要にできる。
■ コンクリートプラグの滑動に安全、確実に対応できる。
【0053】請求項2に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項1に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、コンクリートプラグの周面を、岩盤と縁切りして構成することを特徴としているので、コンクリートプラグからのせん断力が岩盤に殆ど伝達されずにコンクリートプラグには引張応力の発生が無くなり、上記効果をさらに増進する効果を発揮している。
【0054】請求項3に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項1に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、コンクリートプラグの周面に、縁切りされた金属板を配置して構成されることを特徴としているので、貯蔵内圧の作用がコンクリートプラグに3軸圧縮状態を形成して無筋コンクリートの採用を可能にする上記効果をさらに増進する効果を発揮している。
【0055】請求項4に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項1乃至3のいずれかに記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設において、コンクリートプラグに内蔵するマンホールを、中間位置でアクセストンネルに臨ませることを特徴としているので、上記効果に加えて、受払用のマンホール関連の構造を簡潔にする効果を発揮している。
【0056】請求項5に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設は、請求項4に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施において、マンホールを、コンクリートプラグの中間部に形成してアクセストンネルに連絡している開放穴に臨ませることを特徴としているので、上記効果に加えて、マンホールの構造を簡素にする効果を発揮している。
【0057】請求項6に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法は、貯槽に臨むアクセストンネルの端部を貯槽内圧に交角を持たせる方向に掘削してから、アクセストンネルの端部を拡幅して貯槽内圧に相対する岩盤面を形成し、しかる後に、アクセストンネルの端部と拡幅岩盤面とに貯蔵内圧による滑動力を受け持たせてコンクリートプラグを施工する工程から構成しているので、貯蔵内圧による滑動力を貯槽内圧に相対する岩盤面で受け持たせながら内蔵するマンホールをアクセストンネルに臨ませるコンクリートプラグの施工を狭い範囲で効率的に実施できる効果を発揮している。
【0058】請求項7に記載の発明である岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法は、請求項6に記載の岩盤内高圧エネルギー貯蔵施設の施工方法 において、アクセストンネルの端部を、貯槽内圧に対して90度の交角を持たせて掘削することを特徴としているので、上記効果に加えて、貯槽本体施工時における施工機械、器材の搬入等の条件を最小限に満たしながら、貯槽内圧に相対する岩盤面を構成する拡幅工事を容易にする効果を発揮している。
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【出願日】 平成12年6月9日(2000.6.9)
【代理人】 【識別番号】100097423
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 良徳 (外1名)
【公開番号】 特開2001−348897(P2001−348897A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−172995(P2000−172995)