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【発明の名称】 組立マンホールの施工方法
【発明者】 【氏名】志村 博正

【氏名】大島 謙二

【氏名】中里 保雄

【要約】 【課題】地震時に円筒リング状部材の接合部の破損を防止する共に、止水性、シール性を確実に確保することができる組立マンホールの施工方法を提供する。

【解決手段】組立式マンホールの円筒リング状部材相互の接合部に互いに遊嵌する凹溝と凸条とを設け、凹溝と凸条との間隙に、軟粘性接着剤を含浸させた連続気泡性スポンジを介在させて組立てる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プレキャストコンクリートの円筒リング状部材を積重して組立てる組立マンホールの施工に当たり、円筒リング状部材相互の接合部に互いに遊嵌する凹溝と凸条とを設け、該凹溝と凸条との間隙に、軟粘性接着剤を含浸させた連続気泡性スポンジを介在させて円筒リング状部材を組立てることを特徴とする組立マンホールの施工方法。
【請求項2】 前記軟粘性接着剤は硬化物特性がヤング率:2N/mm2以下、伸び:150〜600%であることを特徴とする請求項1記載の組立マンホールの施工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組立マンホールの施工方法に関する。さらに詳しくは、地震等によって円筒リング状部材の接合部が破損することなく、その止水性、シール性を好適に保持するようにした組立マンホールの施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】組立マンホールは、底版上に、管取付け壁、直壁、斜壁、及び調整リングなどのプレキャストコンクリート円筒リング状部材を適宜組み合わせて現場で組立てて埋設される。このような底板及び円筒リング状部材は工場で厳密な品質管理のもとに大量生産される。現場でのこれらの円筒リング状部材の接続には、ボルトで円筒リング状部材を直接接合するもの、連結プレートを部材側面にボルト締めして接合するもの、樹脂接着剤で接着接合するものなどがある。このような組立マンホールの円筒リング状部材の接続部は従来、剛性接続であった。特開平11−323978号公報には、これらの剛性接続に代えて、円筒リング状部材相互の接合部に、接着剤を含浸させた連続気泡性スポンジを介在させて組立てる技術であって、後日マンホールの高さ調整が必要になったとき接合部で容易に分離することができるようにした技術が開示されている。
【0003】一方、近年、マンホールのような地下埋設構造物においても地震時における破損、破壊、位置ずれ等を防止する構造が要請されるようになって来た。この場合、従来のマンホールの接続金具等を用いた剛接接合構造は、地震による振動や変位を吸収する能力が乏しく却って破損を生ずるので適切ではない。また、上記特開平11−323978号公報の技術も、地震に対しては、円筒リング状部材のずれ、接合部シール性の不良化による漏水等については未だ十分でないという実情が生じて来た。特に地中深さが5m以上に及ぶ鉛直長さの長いマンホールにおいては、このような地震による継手部のシール性不良を生ずる問題が顕著であり、さらに地中深さが10〜20mに及ぶ長尺のマンホールでは地震によってマンホールが途中で折損するおそれもあり、耐震性を考慮した接続構造を備えることが必須の条件となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問題点を解決し、地震時に円筒リング状部材の接合部の破損を防止する共に、止水性、シール性を確実に確保することができる組立マンホールの施工方法を開発し、これを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その技術手段は、プレキャストコンクリートの円筒リング状部材を積重して組立てる組立マンホールの施工に当たり、円筒リング状部材相互の接合部に互いに遊嵌する凹溝と凸条とを設け、該凹溝と凸条との間隙に、軟粘性接着剤を含浸させた連続気泡性スポンジを介在させて円筒リング状部材を組立てることを特徴とする組立マンホールの施工方法である。
【0006】凹溝と凸条とが遊嵌するとは、凹溝の断面内に凸条の断面の凸状部が、幅、高さ方向共に隙間を持って嵌まるように形成した状態を云う。なお、この凹溝は開放側が幅広のU字溝ないし皿溝形断面とするのがよく、凸状部もこれと相似形断面をもつ突部とするのがよい。
【0007】本発明において軟粘性とは、柔軟な弾性を有するとともに伸び率が大きく粘着性を有する材料特性をいう。このような材料は変形能が大きく、復元性を備えている。また、軟粘性接着剤とは、このような軟粘性を有すると共に接着性を有する材料である。これらの材料は、スポンジ等に含浸させた含浸体として用い、時間の経過と共に硬化し軟粘性の特性を発揮する。
【0008】このような材料としては、例えば、アクリル樹脂、醋酸ビニル樹脂などビニル重合体の液体、エマルジョン又はペースト状のもの、天然ゴム、スチレンブタジェンゴム、ネオプレン(登録商標)ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系接着剤の溶液型又はラテックス型のもの、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、α−オレフィン系樹脂などの一液又は二液性溶液又はこれらに架橋剤、重合剤などを併用したもの等がある。
【0009】前記軟粘性接着剤は硬化物特性がヤング率:2.0N/mm2以下、伸び:150〜600%であることが望ましい。ヤング率は伸びが100〜150%の時の見掛けヤング率によって定める。また、接着強度:1.0N/mm2以上が好ましい。
【0010】連続気泡性スポンジとは連続気泡を有し、液状又はエマルジョン状の材料を含浸する材料をいう。例えば連続気泡を有するウレタン樹脂、エラストマー、ゴム質スポンジ等がある。
【0011】次に数値限定の理由を説明する。軟粘性接着剤の硬化物の特性として、ヤング率が2.0N/mm2を超えると、剛性が大きすぎるので、上限を2.00N/mm2に限定した。ヤング率の下限としては0.05N/mm2未満では僅かな荷重による変形が大きく好ましくない。伸びは150%未満では、地震時の移動により破損に至るので好ましくなく、600%を超える伸びは凹溝内に凸条との間に介在する状態では、不必要であり、過剰な限定となるので、150〜600%とした。なお、接着強度はシール性を好適に維持するように1.0N/mm2以上とするのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施例の軟粘性接着剤の例を表1に示した。特性の評価は次のようにして行った。まず各試料について乾燥面に接着し常温で7日間硬化養生した後、目地モデル引張接着試験を行った。並行してJIS K6301の低伸張応力試験2号型試験片と同一の形状のシート状に成形し、ウレタン樹脂は常温で2日間、その他の樹脂は常温で7日間養生し、JIS規格に準じてヤング率測定引張試験を行った。試験を進めていく過程で次の知見を得た。
【0013】(a)ヤング率測定引張試験で得られる静的ヤング率と目地モデル引張接着試験で得られるヤング率(0〜3mm目開きまで)には、相関関係が見出されない。
【0014】(b)ヤング率測定引張試験で得られる動的ヤング率(100〜150%伸び時)と目地モデル引張接着試験で得られる動的ヤング率は相関関係が見られ、数値が近い。
【0015】実際の地震時の挙動に近いものは、目地モデル引張接着試験で得られるヤング率である。従って、目地モデル引張接着試験において、下記の判定規準(1)〜(3)によって適性素材の選定を行った。
【0016】判定規準(1)……目地目開き量が3.0mm以上好ましくは3.0mm超であること。
【0017】判定規準(2)……破壊状況が目開き量3.0mmで接着剤凝集破壊又は界面破壊であること、目開き量3.0mm超であれば破壊状況を問わないこと。
【0018】判定規準(3)……最大ヤング率:2.0N/mm2以下、好ましくは1.0N/mm2以下(目開き量0〜3mm内)であること。
【0019】以上の判定規準に合格した材料を基本性能試験及び実物試験により適性を測定する。基本性能試験としては、目地モデル引張接着試験(湿潤面)、目地モデルせん断試験、目地引張接着強さの経時変化、引張試験(シート物性)等を行う。表1から明らかなように本発明の実施例では、適切な特性を示している。
【0020】
【表1】

【0021】表1中No.1〜5はウレタン樹脂であって、目地モデル引張接着試験における見掛ヤング率が0.370N/mm2〜0.708N/mm2、伸びが230〜710%を示している。好適な伸びとしては600%を越えることは必ずしも必要ではない。変性エポキシ樹脂ではNo.6〜9は伸びが小さいが、引張強さが大きい。一方、No.10〜11、13〜15では引張強さが小さいが伸びとヤング率が好適な値を示している。またNo.12は強度が大きく伸びやヤング率も好ましい特性を示している。これらは何れも適切な軟粘性を示している。No.16〜18は変性エポキシ樹脂にポリマーを加えたもので、これも適切な特性を示した。No.19〜20は変性シリコーン樹脂でヤング率の判定は85〜90%伸びのときの値を示している。No.21〜22は変性ビニルエステル樹脂である。何れも適切な特性を示している。
【0022】次に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施例の組立マンホールの施工方法を示す図、図2はマンホールの全体組立を示す縦断面図である。図2に示すように、組立マンホールは底版1の上に流入管及び接続管7を取付ける管取付壁2が載せられ、その上に順次直壁3、斜壁4、調整リング5等が一体的に積み重ねられ最頂端に蓋6が設置されている。8はステップである。上下に隣接するリング状のコンクリート部材3、4の接合部は、図1に示すように、凹溝11とこれに対向する凸条12が遊嵌関係にあるほぞ継手となっている。凹溝11と凸条12とは、例えば幅方向の差が3〜6mm、深さ方向の差が1.5〜3mm程度とするのがよい。本発明では、凹溝11内に、軟粘性接着剤を含浸させた連続気泡性のスポンジ材14を介在させて組み立てる。この軟粘性接着剤を含浸させた連続気泡性のスポンジ材14は、凹溝11内に圧縮されて上下部材3、4を接着する。本発明ではスポンジ材が凹溝11と凸条12との間の隙間に圧着され、凹溝11及び凸条12の表面に接着する。軟粘性接着剤は時間の経過と共に軟粘性を保ちつつ硬化する。
【0023】本発明によれば、軸方向の圧縮荷重に対しては、荷重が一部に集中することはなく一様なシール性が保たれる。また、地震による横方向の震動や荷重に対しては、軟粘性によって多数の継手部の軟粘性接着剤が微小移動する。このとき、軟粘性接着剤は適正なヤング率を有し、伸びが大きく、凹凸のほぞ形状と接着力との協働によって、地震の振動や横荷重を吸収し、何らの問題も生じない。
【0024】
【発明の効果】本発明の組立マンホールの施工方法は以上のように構成されているので、地震の震動や横加重に対して、軟粘性接着剤を含侵したスポンジ材が変形してこれを吸収し、コンクリートに破損を生じない。また、シール性、水密性を害しない。また、敷設手間が少くなく効率的施工ができる。
【出願人】 【識別番号】000135553
【氏名又は名称】株式会社ハッコー
【識別番号】591027422
【氏名又は名称】株式会社ニチコン
【出願日】 平成12年5月29日(2000.5.29)
【代理人】 【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−336167(P2001−336167A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−158475(P2000−158475)