| 【発明の名称】 |
有害物質処理工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉 田 宏
【氏名】羽 田 中
【氏名】田 中 喜 樹
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】改良するべき地盤(G)にボーリング孔(50)を穿孔し、穿孔されたボーリング孔(50)内に挿入された噴射モニタ(42)から地盤改良材及び水を地盤中に噴射(J−2)して地盤(G)の掘削及び地盤改良材との混合を行いつつ前記噴射モニタ(42)を引き上げ以って地中固結体(JG)を造成し、地盤改良材及び水を地盤中に噴射(J−2)するのに先立って前記水に還元剤を混合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 改良するべき地盤にボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入された噴射モニタから地盤改良材及び水を地盤中に噴射して地盤の掘削及び地盤改良材との混合を行いつつ前記噴射モニタを引き上げ以って地中固結体を造成する噴射工程とを含み、該噴射工程に先立って前記水に還元剤を混合する工程を含むことを特徴とする有害物質処理工法。 【請求項2】 還元剤を混入した水及び固結剤を地盤中に噴射して地中固結体を造成し、当該地中固結体により有害物質を含有する領域を包囲することを特徴とする有害物質処理工法。 【請求項3】 内部に鉄材が埋設されている構造物に高圧水を衝突せしめてはつり作業を行い以って鉄材を露出させるはつり工程と、該はつり工程に先立って前記高圧水に還元剤を混合する工程を含むことを特徴とする有害物質処理工法。 【請求項4】 地盤中の有害物質を含有する領域を流れる地下水の水脈に濾過部材を設置し、該濾過部材に還元剤を担持せしめ、前記地下水が前記濾過部材を透過する様に構成したことを特徴とする有害物質処理工法。 【請求項5】 前記還元剤は、エルソルビン酸、エルソルビン酸塩、アスコルビン酸或いはアスコルビン酸塩を成分として含んでいる請求項1−4の何れか1項の有害物質処理工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、地盤改良等の土木作業や、はつり等の建設作業の施工に際して、有害な物質を処理して、作業環境の汚染を防止するための有害物質処理工法に関する。 【0002】 【従来の技術】軟弱地盤の改良に際して、改良するべき地盤にボーリング孔を穿孔し、穿孔されたボーリング孔内に噴射モニタを挿入し、該噴射モニタからセメントその他の地盤改良材(セメントミルク等、或いは固結材)及び水を地盤中に噴射して地盤の掘削及び地盤改良材との混合を行い、前記噴射モニタを引き上げて地中固結体(円柱状或いは壁状)を造成する技術は良く知られている。 【0003】しかし、この様な地盤改良技術の施工に際しては、噴射モニタから噴射された水により、前記ボーリング孔の地上付近には上澄液が滞留するが、当該上澄液は毒性が非常に強い6価クロムを含有している。上澄液中の6価クロムを放置すれば、作業現場の環境を著しく汚染・破壊することになるので、これを収集して、処理しなければならないという問題が存在する。しかしながら、改良工事の現場において、6価クロムその他の有害物質を処理するのに専用の処理設備を設けることは、多大なコストを必要とする。 【0004】また、改良するべき地盤中に、例えばトリクロロエチレン(TCE)やテトラクロロエチレン(PCE)の様な有害な揮発性有機塩素化合物が存在する場合がある。この様な有害物質を放置しておくことは、周辺土壌や地下水の汚染を惹起してしまうので、これを浄化する技術、例えば土壌ガス吸引法、揚水曝気法、バイオメディエーション等が提案されている。しかし、これ等の浄化技術では、有害物質の処理に非常に長い期間を必要としたり、分解困難であったり、或いは、有害物質分解の過程で有害な中間生成物を生じてしまう等の問題を有している。 【0005】さらに、建設現場等においては、鉄筋コンクリート構造物の様に内部に鉄材が埋設されている構造物に高圧水を衝突せしめて、鉄筋等の鉄材を露出させるはつり作業が行われる場合がある。しかし、はつり作業に際して、高圧水により除去されて飛散するコンクリートに6価クロムが包含されていることが、近年において注目されている。そして、その飛散するコンクリートに含まれる6価クロムを回収して、処理しなければ、はつり作業を施工している作業現場の環境に多大な悪影響を与えてしまう。 【0006】この様に、各種土木或いは建設工事を施工するに際しては、6価クロム等の有害物質の回収・処理という問題が、解決するべき重要な課題として存在する。しかしながら、有害物質による環境破壊を効率的に防止出来る技術は、未だに提案されていない。 【0007】これに加えて、土壌中に上述した様な各種有害物質で汚染された領域が存在する場合において、当該領域を地下水が流れている場合、その地下水により汚染物質が拡散してしまう。この様な地下水による有害物質の拡散も、緊急に解決するべき技術的課題として当業者には認識されているが、有効な解決手段は未だに提案されていない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した様な従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、地盤改良工事の施工に際して、有害物質による環境汚染を防止すると共に、土壌中の有害物質による各種不都合をも防止出来る様な有害物質処理工法の提供を目的としている。 【0009】本発明の他の目的は、地盤中の有害物質を包含する領域から、有害物質がその他の領域に浸出してしまうことを防止出来る様な有害物質処理工法を提供することである。 【0010】また本発明は、はつり作業の施工に際して、有害物質が作業環境内に飛散することを防止することが出来る有害物質処理工法を提供することを目的としている。 【0011】これに加えて本発明は、地盤中の有害物質を包含する領域を地下水が通過している場合に、当該地下水により有害物質が拡散してしまうことを防止出来る様な有害物質処理工法を提供することを目的としている。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の有害物質処理工法は、改良するべき地盤にボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入された噴射モニタから地盤改良材及び水(高圧水)を地盤中に噴射して地盤の掘削及び地盤改良材との混合を行いつつ前記噴射モニタを引き上げ以って地中固結体を造成する噴射工程とを含み、該噴射工程に先立って前記水に還元剤を混合する工程を含んでいる。 【0013】ここで、前記噴射工程において、噴射モニタを回転しつつ引き上げることにより、円柱状の地中固結体を造成することが出来る。或いは、噴射モニタを回転すること無く、そのまま引き上げることにより、地中に壁状の固結体を造成することも可能である。換言すれば、前記地中固結体は、円柱状であっても、壁状(地中壁)であっても良い。 【0014】本発明の実施に際して、還元剤の混入量は有害物質の当量に応じて定められるべきであるが、一応の目安としては、水1kg当り10mgから500mgが好ましく、さらに、水1kg当り100mgから200mgであればより好ましい。水1kg当り10mg未満では有害物質を還元して無害化するのに不充分な量であると考えられ、一方、水1kg当り500mgより多量であれば効果が飽和して無駄になると考えられる。 【0015】係る構成を具備する本発明の有害物質処理工法によれば、噴射工程に先立って前記水に還元剤を混合している。そのため、前記ボーリング孔の上方に滞留する上澄液中に存在する6価クロムは、還元剤により、無毒の3価クロムに還元される。そして、無毒の3価クロムは、たとえ放置されたとしても、環境中に何等悪影響を与えることは無い。すなわち本発明によれば、上澄液は有害な6価クロムを含んでおらず、上澄液を全て回収・処理をする必要性が無くなるのである。 【0016】ここで、本発明の有害物質処理工法が施工された地盤中に、6価クロム以外の有害物質、例えばトリクロロエチレン(TCE)やテトラクロロエチレン(PCE)等を包含する領域が存在する場合においても、前記噴射工程において還元剤が混合された水が地盤を細かく切り裂いて掘削することにより、当該有害物質は噴射された水中の還元剤により還元されて、無害化する。従って、本発明により地中固結体が造成された領域に存在する有害物質は、全て除去されるのである。 【0017】また、本発明の有害物質処理工法は、還元剤を混入した水及び固結剤を地盤中に噴射して地中固結体を造成し、当該地中固結体により有害物質を含有する領域を包囲することを特徴としている。 【0018】この様な構成を具備する本発明によれば、地中固結体を造成する際に、還元剤を混入した水が地盤を掘削して、細かく切り刻む。そのため、地盤中の有害物質は還元剤と良好に接触し、還元されて無害化する。従って、造成された地中固結体は完全に無害化されている。そして、無害化された地中固結体で有害物質を含有する領域を包囲すれば、有害物質の拡散は当該地中固結体により抑制される。 【0019】本発明の有害物質処理工法は、内部に鉄材が埋設されている構造物に高圧水を衝突せしめてはつり作業を行い以って鉄材を露出させるはつり工程と、該はつり工程に先立って前記高圧水に還元剤を混合する工程を含んでいる。 【0020】係る構成を具備する本発明の有害物質処理工法によれば、はつり作業に際して、例えば鉄筋コンクリート構造物のコンクリートを除去する高圧水には還元剤が混合されているので、除去されたコンクリートは還元剤と接触し、そこに包含されている6価クロムは無害な3価クロムに還元される。その結果、高圧水によりコンクリートが広範囲に飛散しても、有害な6価クロムは還元剤により既に還元されているので、作業環境の汚染を惹起することは防止される。 【0021】さらに本発明の有害物質処理工法は、地盤中の有害物質を含有する領域を流れる地下水の水脈に濾過部材を設置し、該濾過部材に還元剤を担持せしめ、前記地下水が前記濾過部材を透過する様に構成したことを特徴としている。 【0022】この様な本発明によれば、有害物質を包含した地下水(汚染された地下水)は、前記濾過部材を透過する際に還元剤と接触する。そして、還元剤により地下水忠の有害物質は還元されて無害化する。その結果、前記濾過部材を透過した地下水が広範囲に流れても、有害物質は既に無害化されており、拡散しても環境に何等悪影響を及ぼすものではない。すなわち、前記濾過部材は有害物質を濾過する化学的なフィルタとして作用し、当該化学的なフィルタで濾過された地下水は、有害物質を包含しないのである。 【0023】本発明の実施に際しては、還元剤としては、例えばエルソルビン酸、エルソルビン酸塩(C6 H7 NaO6 ・H2 O)、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩(C6 H7 NaO6 )、チオ硫酸ソーダ(Na2 S2 O3 ・5H2 O)、亜硫酸ソーダ(Na2 SO3 ・7H2 O)水加ヒドラジン(N2 H4 ・H2 O)、ハイドロキノン(C6 H4 (OH)2 )よりなる還元剤の群より選択した1つ又は2つ以上を採用することが出来る。 【0024】そして、環境に対する悪影響を可能な限り減少するという観点からは、エルソルビン酸、エルソルビン酸塩、アスコルビン酸、或いはアスコルビン酸塩を還元剤の成分とすることが、特に好ましい。 【0025】この2種類の物質は、還元剤としての性質を顕著に具備していると共に、人体に悪影響がなく、したがって取扱いが容易であると共に、工事現場の環境を悪化させる恐れが少ないからである。その意味で、本発明において用いられる酸化防止剤としては、例えば、藤沢薬品工業株式会社製の商標名「エルビットN」が好ましい。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。 【0027】先ず、図1−図6を参照して、本発明の第1実施形態として、本発明の有害物質処理工法を実施した地盤改良作業について説明する。図1は、第1実施形態に係る地盤改良工事を実施するために必要な構成を示している。 【0028】図1において、地盤G中に円柱状の地中固結体JGを造成するのに必要な構成要素として、掘削及び注入機20と、掘削及び地中固結体造成に必要な各種機器を備えた地盤改良用のユニット30とが示されている。 【0029】掘削及び注入機20は、後述するボーリング孔穿孔用ロッド38(図2、図3参照:図1では図示せず)と地盤改良材噴射用ロッド40とを支持して地中に挿入し、地中から引き上げることが出来る様に構成されている。なお、地盤改良材噴射用ロッド40の先端には、噴射モニタ42が設けられている。地盤改良剤噴射用ロッド40には、供給ラインL1を介して、ユニット30側から地盤改良材及び水が、高圧で供給されている。 【0030】ユニット30には水タンク31が設けられ、水タンク31に隣接して、使用前の地盤改良材Sを載置しておくための材料架台32が設けられている。水タンク31内の水と材料架台32に貯蔵された地盤改良材Sは、グラウトミキサ33、攪拌機34で混合・攪拌され、高圧ポンプ35でヘッドを付加されて、ラインL1、ロッド40を介してモニタ42から噴射される。高圧ポンプ35は油圧ユニット36により駆動されている。 【0031】ユニット30には、さらに還元剤貯蔵手段37が設けられており、貯蔵手段37には、還元剤としてエルソルビン酸、エルソルビン酸塩、アスコルビン酸、或いはアスコルビン酸塩が貯蔵されている。そして、後述する様に、必要に応じて還元剤を水タンク31内の水に供給する(符号A37で示す)。ここで、還元剤を水タンク31に供給する手法としては、自動制御された機械的な手段を用いても良いし、或いは、マニュアルによる供給であっても良い。 【0032】なお、地盤改良に際して、圧縮空気の噴射を必要とする場合には、ユニット30に設けられたコンプレッサ39より、ラインL2、スイベルジョイント41を介してモニタ42より圧縮空気を噴射すれば良い。 【0033】図1において、符号44は上澄液やスライム(或いはスラリー)が地表部に流出するのを防止するためのスライムピットを示す。そして符号46は、産業廃棄物であるスラリーを回収するバキューム車である。ここで、後述する様に上澄液中には6価クロムは存在せず、無害な3価クロムしか存在しないので、図1−図6の実施形態においては、上澄液の回収、処理は不要である。 【0034】次に、図2−図6を参照して、第1実施形態に係る地盤改良工事の施工手順について説明する。 【0035】先ず、図2で示す据付工程では、掘削及び注入機20が地盤改良工事を施工するべき箇所(地中固結体を造成するべき箇所)に設置される。図2で示す段階では、先端に穿孔用モニタ38Mを備えたボーリング孔穿孔用ロッド38が支持されており、スライムピット44が既に形成されている。 【0036】図3で示すボーリング孔穿孔工程では、穿孔用モニタ38Mより高圧水噴流J−1を噴射して、ボーリング孔50を穿孔する(矢印D方向へ掘り下げる)。ここで、穿孔用モニタ38Mより噴射される高圧水には、還元剤貯蔵手段37から還元剤であるエルソルビン酸、エルソルビン酸塩、アスコルビン酸、或いはアスコルビン酸塩が供給されている(矢印A37)。そのため、地盤Gが6価クロムやトリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)等の有害物質で汚染されていたとしても、前記還元剤により無害化されるので、ボーリング孔50から地上側に溢れてきた水を回収・処理しなくても、作業現場の環境悪化を惹起しないのである。なお、地盤Gが各種有害物質で汚染されていないのであれば、このボーリング孔掘削工程において、水タンク31(図1)内に還元剤を供給(A37)する必要は無い。 【0037】図示はされていないが、ボーリング孔50が所定の深度に到達したならば、ボーリング孔穿孔用ロッド38を矢印U方向へ上昇させて、地上側へ引き上げる。次に、ボーリング孔50には、地盤改良材噴射用ロッド40を挿入する。そして、地盤改良剤噴射用ロッド40の先端に設けた噴射モニタ42から、地盤改良剤及び水を高圧で噴射(J−2)する(図4)。図4で示す段階において、水タンク31(図1)内には還元剤が供給される。 【0038】図5で示す噴射工程においては、噴射モニタ42から高圧で水及び地盤改良剤を噴射(J−2)しつつ、噴射用ロッド40を回転し(矢印R)且つ上方(矢印U)へ引き上げる。その結果、噴流J−2により地盤Gが切削されつつ地盤改良剤と攪拌・混合され、符号JGで示す様な円柱状の地中固結体が造成される。 【0039】高圧水及び地盤改良剤の噴流J−2により地盤Gが切削されつつ地盤改良剤と攪拌・混合される際に、ボーリング孔50及びスライムピット44にはスラリーSuと上澄液とが貯溜される。上述した通り、噴流J−2を構成する高圧水には還元剤が混入している。そして当該還元剤は、従来技術においては上澄液に包含される6価クロムを、無害な3価クロムに還元する。そのため、ボーリング孔50から大量に溢れ出る上澄液を全て回収しなくても、従来技術の様に作業環境を汚染・悪化してしまう恐れが無い。 【0040】なお、スラリーSuについては、図1で示すバキューム車46により回収する。 【0041】また、噴流J−2は地盤Gを細かく切り刻み、地盤と高圧水及び地盤改良剤とを攪拌・混合するが、その際に、地盤G中に有害物質が存在したとしても、当該有害物質は噴流J−2を構成する高圧水中に混入している還元剤と接触し還元反応して、無害化されるので、地中固結体JGは有害物質を全く包含しないのである。換言すれば、地盤Gが有害物質で汚染されていても、図1−図6の実施形態を実施して造成された地中固結体JGの内部では、汚染物質が浄化されるのである。 【0042】噴射用ロッド40を所定の深度まで引き上げれば、地盤改良範囲R−JG全体の地盤改良が終了し、地中固結体JGが造成される(図6)。なお、図6で示す状態では、ボーリング孔50全体及びスライムピット44の一部は、地盤改良剤で充填される。 【0043】従来技術においては上澄液に包含される6価クロムによる弊害を除去するために、高圧水及び地盤改良剤の噴流J−2の噴射時にボーリング孔50から溢れ出る上澄液を全て回収して処理しなければならなかったのに対して、上述した第1実施形態によれば、当該上澄液に含有される6価クロムは無害な3価クロムに還元される。そのため、上澄液が地表に流出しても、作業環境を汚染或いは悪化することが無い。 【0044】また、図1−図6の第1実施形態は、従来有効な対処策が無かった汚染地盤の浄化処理について、極めて有効である。 【0045】次に、図7−図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図7−図10の第2実施形態は、土壌中に有害物質で汚染された領域が存在する場合、当該領域から有害物質が拡散(或いは浸出)してしまうのを防止する技術に関する。 【0046】図7で示す様に、地盤G中に有害物質(6価クロム等)で汚染された領域PAが存在する場合、例えば図1−図6で示すのと同様な態様で、還元剤を混入した水及び固結剤を地盤中に噴射して地中固結体JG−1を造成する。ここで、図1−図6で示すのとは異なり、図7において、地中固結体JG−1は鉛直方向に造成されるのではなく、水平面に対して90゜未満の傾斜角αを有する様に、鉛直方向ではなく斜め方向に造成される。 【0047】そして、図8で示す様に、地中固結体JG−1と交差する態様にて、第2の地中固結体JG−2が造成される。図8から明らかな様に、第2の地中固結体JG−2も、鉛直方向には造成されておらず、水平面に対して90゜未満の傾斜角βを有する様に、斜め方向に造成される。ここで、傾斜角α、βは、地中固結体JG−1、JG−2が交差する様な角度であって、地中固結体JG−1、JG−2の長手方向長さ(それぞれ中心線C1、C2に沿った長さ)が出来る限り短くなる様に設定されている。 【0048】図8で示す様な状態から、図8の紙面に垂直な方向に地中固結体JG−1、JG−2と同様な地中固結体を複数造成し、汚染領域PAを図8の紙面に垂直な方向についてもカバーし、且つ、図8の紙面に垂直な方向について隣接する地中固結体同士をオーバーラップする様に造成する。換言すれば、図8の紙面に垂直な方向について隣接する地中固結体の境界面は、有害物質についてシールされた状態に造成する。 【0049】その様に構成することにより、図8において矢印P(点線)で示す様に有害物質が汚染領域PAから他の領域に拡散或いは浸出したとしても、図8の紙面に垂直な方向に複数造成された地中固結体JG−1、JG−2によりも外側の領域に拡散或いは浸出することは出来ない。そして、第1実施形態と同様な態様で造成された地中固結体JG−1、JG−2は、造成に際して、還元剤を混合した水が地盤と混合・攪拌することにより、土壌中の有害物質を還元して無害化すると共に、上澄液中に包含される6価クロムも無害な3価クロムに還元される。すなわち、地中固結体JG−1、JG−2は有害物質を全く包含しておらず、当該地中固結体から有害物質が地盤G中に拡散してしまうことは無い。 【0050】図7、図8で示す例では、2本の地中固結体JG−1、JG−2がV字状に交差する様に造成されて、汚染領域PAを包囲しているが、地中固結体による汚染領域の包囲は、これに限定されるものではない。例えば、図9で示す様に、所謂「曲りボーリング」の技術を用いて地中固結体JG−3を造成し、図9の紙面に垂直な方向に密な状態で複数造成しても良い。 【0051】或いは、図10で示す様に、鉛直方向に造成された地中固結体JG−4、JG−5により側壁部を構成し、水平方向に造成された地中固結体JG−6により底壁部を構成することも可能である。造成に際しては、例えば、発進立坑H1と到達立坑H2とを穿孔し、その間に水平坑HHを掘削し、水平坑HH、発進立坑H1、到達立坑H2に、還元剤を混合した水とセメントミルク等の固結剤(地盤改良剤)とを注入すれば良い。 【0052】図9の地中固結体JG−3、図10の地中固結体JG−4、JG−5、JG−6の何れについても、汚染領域PAを各図面に垂直な方向についてもカバーし、且つ、図面に垂直な方向について隣接する地中固結体の境界面を有害物質についてシールされた状態に造成する。 【0053】図11は本発明の第3実施形態に係るものであり、はつり作業に本発明を適用した実施形態である。次に図11を参照して、鉄筋コンクリート構造物のはつり作業に本発明の有害物質処理工法を適用した場合について説明する。 【0054】図11において、全体を符号1で示す鉄筋コンクリート構造物(内部に鉄材が埋設されている構造物)には、複数の鉄筋2が埋設されている。そして、複数の鉄筋2に近い領域のコンクリート部分3にクラックが発生し、その部分3をはつって補修するものとする。 【0055】部分3のはつり・除去作業は、図11の第3実施形態では、符号Wで示すウォータジェットにより行っている。すなわち、ノズル5からウォータジェットWを噴射してコンクリート部分3に衝突して、当該部分をはつる。これにより、鉄筋2を残して劣化したコンクリートの除去が行われる。 【0056】コンクリート部分のはつり・除去を行う際に、ウォータジェットWとしては、還元剤(エルソルビン酸ソーダ或いはアスコルビン酸ソーダ)をあらかじめ混入して溶かした水を、高圧で吐出して構成している。図11において、前記還元剤は還元剤収納手段37に貯蔵されており、攪拌機12を有する混合槽13に投入される(矢印A37で示す)。すなわち、混合機13には水と前記還元剤とが投入されて混合される。その混合液(還元剤水溶液)は高圧ポンプ14によりラインL12を介してノズル5からジェットWとして噴射される。 【0057】ここで、高圧水ジェットを用いた従来のはつり作業に際しては、コンクリートをはつった水には6価クロムが含有されているので、作業環境の悪化防止のため、はつり後の水を全て回収して処理する必要があった。これに対して図11の第3実施形態によれば、高圧水には還元剤が混入しているので、コンクリートのはつりにより水中に溶出した6価クロムは、無害な3価クロムに還元される。そのため、はつりに使用した水を放置しても、作業環境に全く悪影響を与えないのである。 【0058】すなわち、図11の第3実施形態によれば、従来技術において必要とされたはつり作業に使用された水の回収・処理という煩雑で多大な労力を必要とする工程を、省略することが出来るので、はつり作業に必要な設備が簡略化され、作業労力及び作業コストが低減されるのである。 【0059】図12及び図13は、本発明の有害物質処理工法の第4実施形態に係る工事(有害物質の拡散防止技術の施工工事)を示している。図12において、地盤G中に有害物質で汚染された領域PA(有害物質を含有する領域)を地下水の水脈が貫通していると、当該地下水により有害物質が広範囲に拡散して、重大な環境汚染問題を惹起する恐れがある。なお、図12及び図13において、地下水の水脈は符号Wtで示す流線により表現されている。 【0060】汚染領域PAを通過する地下水の水脈Wtによる有害物質の拡散を防止するため、本発明の第4実施形態では、先ず図12で示す様に、当該地下水の水脈Wtを横断するのに十分な長さ(図面に垂直な方向における長さ)及び深さの溝60を掘削する。溝60の掘削については、従来・公知の方法により掘削すれば良い。 【0061】そして溝60に、従来・公知の手法で還元剤を担持した濾過部材70を挿入・設置している(図13:矢印D)。その結果、記地下水脈Wtは濾過部材70を透過し、水脈Wtの地下水中に溶存している各種有害物質(6価クロム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等)は、濾過部材70を通過する際に、担持された還元剤(図12、図13では図示せず)と反応して無害化される。従って、地下水脈Wtにより有害物質が拡散されることが防止されて、各種有害物質による環境汚染は防止される。 【0062】すなわち、図12、図13の第4実施形態によれば、化学的フィルタとして機能する濾過部材70により、有害物質で汚染された地下水が流れる地下水脈Wtを濾過して、有害物質を地下水中から除去するのである。濾過部材70に担持された還元剤が消費され或いは還元効果が低下した場合には、図13の矢印Uで示す様に濾過部材70を溝60から引き上げて、図示しない施設により新たな還元剤を濾過部材70に担持すれば良い。 【0063】図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を減縮する趣旨の記述ではない旨を付記する。 【0064】 【発明の効果】本発明によれば、下記のすぐれた効果を奏する。 (1) 地中固結体造成の際に発生する上澄液中に有害物質が存在することを防止して、当該上澄液の全量回収及び全量処理が不要となる。 (2) 地中固結体を造成するべき地盤中に存在する有害物質を無害化することが出来る。 (3) 地盤中に有害物質で汚染された領域が存在する場合に、当該領域から有害物質が拡散してしまうことを防止出来る。 (4) コンクリート構造物を高圧水ジェットではつる作業において、使用された水内に有害物質が存在しない様にせしめ、使用された水の全量回収及び全量処理を不要とする。 (5) 地下水脈により、有害物質が広範囲に拡散されてしまうことを防止出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390002233 【氏名又は名称】ケミカルグラウト株式会社 【識別番号】595009958 【氏名又は名称】大翔化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月1日(2000.5.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071696 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 敏忠 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−311140(P2001−311140A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−132095(P2000−132095) |
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