トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送




【発明の名称】 ケーシングドライバ
【発明者】 【氏名】田原 正法

【氏名】久住 宏

【氏名】田村 克己

【要約】 【課題】従来のものに比べて、水平方向のサイズを大きくしなくても大きな掘削トルク及び把持力が得られるケーシングドライバを提供する。

【解決手段】ケーシング把持装置6とケーシング把持装置6を回転駆動する回転駆動装置5とケーシング把持装置6及び回転駆動装置5を設けガイドポスト3で案内されて上下方向に昇降する昇降フレーム4と昇降フレーム4を昇降させるスラストシリンダとを備えたケーシングドライバにおいて、ケーシング1をケーシング把持装置6と共に把持可能なケーシング把持装置6’及び回転駆動装置5に同期して回転駆動可能な回転駆動装置5’を設けた副昇降フレーム4’を、昇降フレーム4に随伴して上昇下降させ得るように昇降フレーム4に着脱可能に連結部材7で連結して昇降フレーム4の上方に設置するとともに、ケーシング把持装置6,6’同士をバンド連結装置8で着脱可能に連結した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシングを把持するケーシング把持装置とこのケーシング把持装置を回転駆動する回転駆動装置とこれらケーシング把持装置及び回転駆動装置が設けられ上下方向に昇降可能に設置される昇降フレームとこの昇降フレームを上昇下降させるように駆動する昇降駆動装置とを備え、ケーシングをケーシング把持装置で把持し回転駆動装置で回転駆動しながら昇降駆動装置で下降させて地中に押し込むケーシングドライバにおいて、ケーシングを昇降フレームのケーシング把持装置と共に把持可能なケーシング把持装置及び昇降フレームの回転駆動装置に同期して回転駆動可能な回転駆動装置が設けられ昇降フレームの上昇下降に随伴して上昇下降する副昇降フレームを、昇降フレームの上方に一つ以上設置したことを特徴とするケーシングドライバ。
【請求項2】 ケーシングを把持するケーシング把持装置とこのケーシング把持装置を回転駆動する回転駆動装置とこれらケーシング把持装置及び回転駆動装置が設けられ上下方向に昇降可能に設置される昇降フレームとこの昇降フレームを上昇下降させるように駆動する昇降駆動装置とを備え、ケーシングをケーシング把持装置で把持し回転駆動装置で回転駆動しながら昇降駆動装置で下降させて地中に押し込むケーシングドライバにおいて、ケーシングを昇降フレームのケーシング把持装置と共に把持可能なケーシング把持装置及び昇降フレームの回転駆動装置に同期して回転駆動可能な回転駆動装置が設けられた一つ以上の副昇降フレームと、副昇降フレームを昇降フレームの上昇下降に随伴して上昇下降させ得るように、昇降フレーム及び一つ以上の副昇降フレームの間を上下方向に着脱可能に連結し得る連結部材とを付属品として備えたことを特徴とするケーシングドライバ。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のケーシングドライバにおいて、ケーシング把持装置の上下に隣接するもの同士を連結するケーシング把持装置の連結装置を備えていることを特徴とするケーシングドライバ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケーシングをケーシング把持装置で把持し回転駆動装置で回転駆動しながら昇降駆動装置で下降させて地中に押し込むケーシングドライバに関し、特に、無排土で地中に建て込む羽根付き鋼製ケーシングに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】土木、建築工事に使用する鋼管杭や鋼管類等のケーシングチューブ(以下単に「ケーシング」という。)の圧入等を行う装置として、例えば特開平5ー331853号公報(特公平7ー74500号公報)に示されているようなケーシングドライバと称する縦穴掘削機が従来から一般的に知られている。このケーシングドライバは、「ケーシングドライバの基部をなし複数本のガイドフレームを立設した略方形枠状のベースフレームと、ガイドフレームに沿って上下方向に昇降可能に取り付けられた昇降フレームと、ベースフレームに立設されこの昇降フレームを昇降させるように駆動する複数本のスラストシリンダと、昇降フレーム内に回転自在に取り付けられ油圧モータで回転駆動されるリング状の回転体と、この回転体に取り付けられたケーシング掴み用バンド等のケーシング把持装置」とで構成されている。
【0003】このケーシングドライバでケーシングを圧入するときには、ケーシングをケーシング把持装置で把持した後、ケーシング把持装置を、回転体を介して油圧モータで回転駆動しながら、昇降フレームをスラストシリンダで下降させることによりケーシングを地中に押し込む。こうしてケーシングを押し込んで行く過程で、ケーシングを適宜継ぎ足すとともに、通常、ケーシング内の掘削土砂をハンマーグラブで地上に搬出してケーシングを順次地中に建て込んで行く。
【0004】本発明は、こうしたケーシングドライバを改良しようとものであるので、その技術内容の理解を容易にするため、まず、従来のケーシングドライバの一例を、図2及び図3に基づいて概説する。図2は、従来例のケーシングドライバの上面図、図3は、従来例のケーシングドライバの側面図である。
【0005】これらの図において、1は土木、建築工事においてケーシングドライバで地中に圧入するケーシング、2は中央にケーシング1の挿通空間を有しケーシングドライバの基部をなす略方形枠状のベースフレーム、3はこのベースフレーム2の四隅に立設されたガイドポスト、4は中央にケーシング1の挿通空間を有しこれらのガイドポスト3で案内されて上下方向に昇降するように昇降可能に設置される昇降フレーム、5はケーシング把持装置6を回転駆動する油圧モータ等の回転駆動装置、6はケーシング1を把持するケーシング把持装置、10はケーシング1の挿通空間を中央部に有しケーシング1の建て込み、回収、鉄筋コンクリートの打設等種々の作業を行う作業足場としての作業用ステージである。
【0006】ガイドポスト3は、中空筒状をなし、昇降フレーム4に嵌入して、ガイドフレームと同様、昇降フレーム4を上下方向にガイドする。このガイドポスト3の中空部には、伸縮して昇降フレーム4を上昇下降させるように駆動する昇降駆動装置としてのスラストシリンダが納められている。昇降フレーム4には、上部に作業用ステージ10が設置され、内部に、図には表れていない回転体が設置されている。この回転体は、ケーシング1の挿通孔を有してリング状をなし、昇降フレーム4内にベアリングを介して回転自在に取り付けられている。回転体は、昇降フレーム4に設置した回転駆動装置5により減速して回転駆動される。
【0007】ケーシング把持装置6は、前記の回転体に固定的に設置された固定バンド6aと、その回転体に非固定的に設置され固定バンド6aの両端部にそれぞれ配置された一対の可動バンド6bと、バンドシリンダ6cとで、これらの隣接する端部同士を枢着してリング状に形成され、バンドシリンダ6cの伸縮によりケーシング1を把持する働きをする。ケーシング把持装置6は、種々のタイプのものがあり、従来周知のものであるので詳細な説明は省略するが、要は、ケーシング1を圧入するときにこれを把持する働きを果たせるものであればよく、ケーシング把持装置6をどのようなタイプのものにするのかは、本発明にとって特に重要なことではない。このケーシング把持装置6は、昇降フレーム4内の回転体に取り付けられているため、ケーシング1を把持した後、回転体を回転駆動装置5で回転駆動しながら昇降フレーム4をスラストシリンダで下降させると、ケーシング1を回転させながら地中に圧入することができる。
【0008】こうしたケーシングドライバでケーシングを圧入する場合、一般的には、建て込むケーシングの径が大きくなるに従って、掘削トルク及び把持力が大きく前後左右の幅の大きい大型のケーシングドライバを使用するが、施工条件によってはケーシングの径に比して通常よりも大きな掘削トルクや把持力を要する場合がある。例えば、鋼管の外周に螺旋状の羽根を設けた羽根付き鋼製ケーシング(一種の鋼管杭)を用いて無排土工法を実施する場合がそれに当たる。この鋼製ケーシングを圧入するときには、羽根を地中に捩じ込むようにして押し込むとともにケーシング内の掘削土砂を排出しないため、通常工法と比べて、大きな押し込み力は必要ないにしても大きな掘削トルクや把持力が必要になる。また、掘削抵抗の大きい土質の地盤を地中深く掘削する場合にも、同様の問題が生じる。こうした場合、これまでは、当該ケーシングよりも大径のケーシングを圧入する掘削トルクや把持力の大きい大型のケーシングドライバを使用していた。そして、この大型のケーシングドライバで把持する標準のケーシングよりも小径のケーシングを把持できるように、そのケーシングドライバのケーシング把持装置の内周部にスペーサを取り付けて当該ケーシングを把持し圧入するようにしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうした大型のケーシングドライバは、水平方向のサイズすわち前後左右等の水平方向の張出し量がきわめて大きく、輸送、据付、経済性の面で著しく不利であるという問題があり、特に、既存構造物等が隣接する敷地の境界近傍にケーシングを建て込もうとするときに、ケーシングドライバを配置するスペースを確保することが困難になるという問題が生じた。また、前述した羽根付き鋼製ケーシングによる無排土工法を実施したり、掘削抵抗の大きい土質の地盤を掘削したりする場合には、大きな掘削トルクや把持力を要する反面、押し込み能力やケーシングの回収時の引き抜き能力は、当該ケーシングの径に見合った能力で十分である。それゆえ、ケーシングをその径に比して大きな掘削トルクや把持力で圧入する場合に、従来のようにそのケーシングよりも大径のケーシングを圧入するための大型のケーシングドライバを使用することは、技術的、経済的にみて著しく不合理なことである。
【0010】本発明は、従来の技術にみられるこうした問題を解消しようとするものであって、その技術課題は、従来のものに比べて、水平方向のサイズを大きくしなくても大きな掘削トルク及び把持力が得られるケーシングドライバを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のこうした技術課題は、次に示す1)及び2)の何れの手段によっても解決することができる。
【0012】1)ケーシングを把持するケーシング把持装置とこのケーシング把持装置を回転駆動する回転駆動装置とこれらケーシング把持装置及び回転駆動装置が設けられ上下方向に昇降可能に設置される昇降フレームとこの昇降フレームを上昇下降させるように駆動する昇降駆動装置とを備え、ケーシングをケーシング把持装置で把持し回転駆動装置で回転駆動しながら昇降駆動装置で下降させて地中に押し込むケーシングドライバにおいて、ケーシングを昇降フレームのケーシング把持装置と共に把持可能なケーシング把持装置及び昇降フレームの回転駆動装置に同期して回転駆動可能な回転駆動装置が設けられ昇降フレームの上昇下降に随伴して上昇下降する副昇降フレームを、昇降フレームの上方に一つ以上設置する。
【0013】2)ケーシングを把持するケーシング把持装置6とこのケーシング把持装置6を回転駆動する回転駆動装置とこれらケーシング把持装置及び回転駆動装置が設けられ上下方向に昇降可能に設置される昇降フレームとこの昇降フレームを上昇下降させるように駆動する昇降駆動装置とを備え、ケーシングをケーシング把持装置で把持し回転駆動装置で回転駆動しながら昇降駆動装置で下降させて地中に押し込むケーシングドライバにおいて、ケーシングを昇降フレームのケーシング把持装置と共に把持可能なケーシング把持装置及び昇降フレームの回転駆動装置に同期して回転駆動可能な回転駆動装置が設けられた一つ以上の副昇降フレームと、副昇降フレームを昇降フレームの上昇下降に随伴して上昇下降させ得るように、昇降フレーム及び一つ以上の副昇降フレームの間を上下方向に着脱可能に連結し得る連結部材とを付属品として備える。
【0014】前記1)の手段を採用したこの出願の第1発明のケーシングドライバにあっては、ケーシングを、昇降フレームのケーシング把持装置と共に一つ以上の副昇降フレームのケーシング把持装置で把持することにより、従来のものに比べて、把持力を副昇降フレームのケーシング把持装置の分だけ増加させることができる。また、こうしてケーシングを複数のケーシング把持装置で把持した後、昇降フレームの回転駆動装置に同期してケーシングを一つ以上の副昇降フレームの回転駆動装置で回転駆動することにより、従来のものに比べて、掘削トルクを副昇降フレームの回転駆動装置の分だけ増加させることができる。そして、こうして副昇降フレームにより把持力やを掘削トルクを増加させる場合に、副昇降フレームを昇降フレームの上方に設置することにより増加させるようにているので、本発明のケーシングドライバは、従来のものに比べて、水平方向のサイズを大きくしなくても、大きな掘削トルク及び把持力を得ることができる。
【0015】前記2)の手段を採用したこの出願の第2発明のケーシングドライバにあっては、一つ以上の副昇降フレーム及び連結部材を付属品として備えるようにしたので、その副昇降フレーム及び連結部材を必要に応じて使用して、昇降フレーム及び一つ以上の副昇降フレームの間を連結部材で上下方向に連結することにより、前記1)の手段を採用したケーシングドライバと同様、従来のものに比べて水平方向のサイズを大きくしなくても、大きな掘削トルク及び把持力を得ることができる。また、大きな掘削トルクや把持力を要しない場合には、副昇降フレーム及び連結部材を取り外すことにより、通常のケーシングドライバと同様の形態にしてコンパクトな状態で使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1を用いて説明することにより本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例のケーシングドライバの側面図である。図1において図2及び図3と同一の符号を付けた部分は、これらの図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0017】本具体化例のケーシングドライバは、図2及び図3の従来例のケーシングドライバと同様、ケーシング1を把持するケーシング把持装置6と、このケーシング把持装置6を回転駆動する回転駆動装置5と、これらケーシング把持装置6及び回転駆動装置5が設けられ上下方向に昇降可能に設置される昇降フレーム4と、この昇降フレーム4を上昇下降させるように駆動する昇降駆動装置としてのスラストシリンダとを備え、ケーシング1をケーシング把持装置6で把持し回転駆動装置5で回転駆動しながらでスラストシリンダで下降させて地中に押し込む。また、昇降フレーム4は、ベースフレーム1の四隅に立設された中空筒状のガイドポスト3で案内されて上下方向に昇降するようになっており、この昇降フレーム4を昇降させるスラストシリンダは、ガイドポスト3の中空部に納められていて、この点でも従来例のケーシングドライバと変わらない。
【0018】そこで、以下に本具体化例のケーシングドライバについて特徴的な構造を中心に説明する。図1において、4’は昇降フレーム4の上方に配置され昇降フレーム4の上昇下降に随伴して上昇下降する副昇降フレーム、5’はこの副昇降フレーム4’に設けられ昇降フレーム4の回転駆動装置5に同期して回転駆動することができる回転駆動装置、6’は副昇降フレーム4’に設けられケーシング1を昇降フレーム4のケーシング把持装置6と共に把持することができるケーシング把持装置、7は副昇降フレーム4’を昇降フレーム4の上昇下降に随伴して上昇下降させ得るように昇降フレーム4と副昇降フレーム4’の間を上下方向に着脱可能に連結する連結部材、8は上下に隣接するケーシング把持装置6,6’同士を連結するバンド連結装置、9は副昇降フレーム4’上に取外し可能に立設され作業用ステージ10を四個所で支持する作業用ステージ10の支持部材である。
【0019】副昇降フレーム4’は、昇降フレーム4のようにスラストシリンダの伸縮によりガイドポスト3で案内されて昇降するものではなく、昇降フレーム4に連結部材7で連結されて、昇降フレーム4に随伴して昇降する点で昇降フレーム4とは異なる。この副昇降フレーム4’内には、昇降フレーム4と同様、図には表れていない回転体がベアリングを介して回転自在に取り付けられている。回転駆動装置5’は、この回転体を減速して回転駆動するもので、その機能は、基本的には昇降フレーム4の回転駆動装置5と変わらない。この副昇降フレーム4’の回転駆動装置5’は、昇降フレーム4の回転駆動装置5に同期して回転駆動することができるように、図示してない油圧回路で制御される。ケーシング把持装置6’は、前記の回転体に固定的に設置された固定バンド6’aと、その回転体に非固定的に設置され固定バンド6’aの両端部にそれぞれ配置された一対の可動バンド6’bと、図に明示されていないバンドシリンダとで、これらの隣接する端部同士を枢着してリング状に形成されており、その機能は、基本的には昇降フレーム4のケーシング把持装置6と変わらない。
【0020】連結部材7は、筒状体をなして上下両端部にそれぞれフランジ7a,7bを有する。これら上方のフランジ7a及び下方のフランジ7bは、それぞれ副昇降フレーム4’及び昇降フレーム4に螺着するようにしており、そのため、連結部材7は、昇降フレーム4と副昇降フレーム4’の間を着脱可能に連結することができる。ここに示す例では、こうした連結部材7を各ガイドポスト3に対応する上方位置にそれぞれ配置するようにしている。なお、連結部材7の構造、配置数及び配置位置は、設計上適宜選択することができる。
【0021】バンド連結装置8は、ケーシング把持装置6の固定バンド6a及び一対の可動バンド6bとケーシング把持装置6’の固定バンド6’a及び一対の可動バンド6’bとの間をそれぞれ連結する。そのため、固定バンド6a及び一対の可動バンド6bの上方側には、ねじ孔を有する第1のブラケットを外側に突出するようにそれぞれ設け、固定バンド6’a及び一対の可動バンド6’bの下方側には、そのブラケットに対応して、ボルト挿通孔を有する第2のブラケットを外側に突出するようにそれぞれ設けている。そして、頭部を有するボルトを第2のブラケットのボルト挿通孔に挿通した後に第1のブラケットのねじ孔に螺着して、ボルトの頭部を第2のブラケットに当接することにより、固定バンド6a及び可動バンド6bと固定バンド6’a及び可動バンド6’bとの間をそれぞれ連結できるようにしている。
【0022】このように、バンド連結装置8は、二つのブラケットと頭部を有するボルトとで構成され、固定バンド6a,6’a同士及び一対の可動バンド6b,6’b同士をそれぞれ連結するようにしているが、バンド連結装置8は、要は上下に隣接するケーシング把持装置6,6’同士を連結できるものであればよいから、こうしたものだけに限定されない。前述したように、副昇降フレーム4’の回転駆動装置5’は、昇降フレーム4の回転駆動装置5に同期して回転駆動されるように制御しているが、回転駆動装置5,5’の起動直後及び停止直前のような過渡状態では、回転駆動装置5と回転駆動装置5’とが正確に同期して回転しないこともある。その場合、ケーシング把持装置6,6’の回転力がケーシング1に不均一に作用してケーシングに捩じれをもたらすが、バンド連結装置8は、こうした不具合をなくすために設けられたものである。
【0023】以上述べたケーシングドライバは、副昇降フレーム4’を設置した図1の形態で製作してもよいが、ここに示す例では、ケーシング1の圧入時に通常より大きな掘削トルクや把持力を要しない通常施工時に、図3に示すような通常のケーシングドライバと同様の形態で使用できるようにするため、副昇降フレーム4’及び連結部材7を付属品として備えておくようにしている。すなわち、ケーシング1をケーシング把持装置6と共に把持可能なケーシング把持装置6’及び回転駆動装置6に同期して回転駆動可能な回転駆動装置5’が設けられた副昇降フレーム4’と、副昇降フレーム4’を昇降フレーム4の上昇下降に随伴して上昇下降させ得るように、昇降フレーム4及び副昇降フレーム4’の間を上下方向に着脱可能に連結し得る連結部材7とを付属品として常備している。
【0024】また、これに伴って、作業用ステージ10を、図3に示すように昇降フレーム4の真上に設置したり、図1に示すように副昇降フレーム4’の真上に設置したりすることができるように、支持部材9を昇降フレーム4や副昇降フレーム4’に着脱可能に立設できるようにするとともに作業用ステージ10に対しても着脱できるようにしている。また、バンド連結装置8も付属品として備えておき、ケーシング把持装置6,6’に対して着脱するようにしている。ここでは、説明の便のため、副昇降フレーム4’を1段備えた例しか示していないが、副昇降フレーム4’を複数段用意しておき、ケーシング1の圧入時に要する掘削トルクや把持力に応じて、昇降フレーム4及び適宜の段数の副昇降フレーム4’の間を連結部材7で上下方向に順次連結するようにすることもできる。
【0025】本具体化例のケーシングドライバは、ケーシング1の圧入時に通常より大きな掘削トルクや把持力を要しない通常施工時には、副昇降フレーム4’を設置していない図3と同様の形態で使用するが、ケーシング1を、その径のに比して通常よりも大きな掘削トルクや把持力で圧入することが必要な場合には、付属品として備えた副昇降フレーム4’及び連結部材7を使用して昇降フレーム4及び副昇降フレーム4’の間を連結部材7で連結することにより、副昇降フレーム4’を昇降フレーム4の上方に設置した図1の形態に組み立てる。その場合、上下に隣接するケーシング把持装置6,6’同士を付属品のバンド連結装置8で連結するとともに、支持部材9を副昇降フレーム4’上に立設して作業用ステージ10を副昇降フレーム4’の真上に設置する。
【0026】次いで、ケーシング1を昇降フレーム4のケーシング把持装置6及び副昇降フレーム4’のケーシング把持装置6’で把持した後、各ケーシング把持装置6,6’をそれぞれ昇降フレーム4の回転駆動装置5及び副昇降フレーム4’の回転駆動装置5’で同期するように回転駆動しながら昇降フレーム4をスラストシリンダで下降させる。そうすると、副昇降フレーム4’も昇降フレーム4の下降に随伴して下降し、ケーシング1は、二つのケーシング把持装置6,6’で把持されて一つのスラストシリンダ及び二つの回転駆動装置5,5’でそれぞれ押し込み力及び回転力が付与され、地盤を掘削しながら地中に押し込まれる。
【0027】このケーシングドライバは、このようにケーシング1を昇降フレーム4のケーシング把持装置6と副昇降フレーム4’のケーシング把持装置6’とで把持するので、従来のものに比べて、把持力を副昇降フレーム4’のケーシング把持装置6’の分だけ増加させることができる。また、こうしてケーシング1をケーシング把持装置6,6’で把持した後、昇降フレーム4の回転駆動装置5に同期してケーシング1を副昇降フレーム4’の回転駆動装置5’で回転駆動するので、従来のものに比べて、掘削トルクを副昇降フレーム4’の回転駆動装置6’の分だけ増加させることができる。そして、こうして副昇降フレーム4’により把持力や掘削トルクを増加させる場合に、副昇降フレーム4’を昇降フレーム4の上方に設置することにより増加させるようにているので、従来のものに比べて、前後左右の寸法等水平方向のサイズを大きくしなくても、大きな掘削トルク及び把持力を得ることができる。
【0028】その結果、ケーシング1を、その径のに比して通常よりも大きな掘削トルクや把持力で圧入することが必要な場合でも、水平方向の張出し量が通常よりも大きくならないため、従来の技術のように輸送、据付、経済性の面で不利になるようなことはない。そして、このように水平方向の張出し量が通常よりも大きくならないため、特に、既存構造物等が隣接する敷地の境界近傍にケーシング1を建て込もうとするときに、従来の技術のように、ケーシングドライバを配置するスペースを確保することが困難になるという問題が生じるようなことはない。
【0029】ケーシング把持装置6,6’を回転駆動装置5,5’で回転駆動したとき、上部の副昇降フレーム4’に発生する回転反力は、連結部材7を通じて下部の昇降フレーム4に伝達され、下部の昇降フレーム4に発生する回転反力と共にガイドポスト3に伝達され、究極的には、このガイドポスト3からベースフレーム2に伝達される。上部の副昇降フレーム4’に発生する回転反力は、このように下部の昇降フレーム4を通じてガイドポスト3に伝達され、かつ、昇降フレーム4の昇降運動のストロークは、通常施工時と変わらないので、ガイドポスト3の長さは、通常のケーシングドライバと同程度の長さで必要かつ十分である。また、このケーシングドライバは、ケーシングの押し込み能力や引き抜き能力は増加させているものの、昇降駆動装置としてのスラストシリンダは、ケーシングの径に見合った能力のもので通常のストロークのものを設置すればよいので、技術的、経済的にみて、従来の技術よりも合理的である。
【0030】このケーシングドライバは、副昇降フレーム4’を設置したときに、上下に隣接するケーシング把持装置6,6’同士をバンド連結装置8で連結することにより、ケーシング1に、これら上下のケーシング把持装置6,6’を通じて均一な回転力を付与することができるため、ケーシング把持装置6,6’の回転力がケーシング1に不均一に作用してケーシング1に捩じれをもたらすようなことはない。また、ケーシング1を圧入する際、通常よりも大きな掘削トルクや把持力を要しない場合は、付属品として備えた副昇降フレーム4’及び連結部材7を取り外した後、支持部材9を昇降フレーム4上に立設して作業用ステージ10を昇降フレーム4’上に設置することにより、通常のケーシングドライバと同様の形態にしてコンパクトな状態で使用することができて使い勝手がよい。
【0031】以上、副昇降フレーム4’を1段備えた場合を例にして説明したが、副昇降フレーム4’を複数段備えた場合でも、以上述べた効果と同様の効果を奏することができる。そして、副昇降フレーム4’を複数段備えた場合には、その段数分だけ、通常のケーシングドライバよりも掘削トルクや把持力を増加することができて、その使途を拡大することができる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この出願の第1発明及び第2発明は、それぞれ、「課題を解決する手段」に示した1)及び2)の手段を採用しているので、これらの発明のケーシングドライバによれば、従来のものに比べて、水平方向のサイズを大きくしなくても大きな掘削トルク及び把持力が得られる。その結果、ケーシングをその径のに比して通常よりも大きな掘削トルクや把持力で圧入することが必要な場合でも、水平方向の張出し量が通常より大きくならないため、従来の技術のように輸送、据付、経済性の面で不利になるようなことはない。そして、このように水平方向の張出し量が通常よりも大きくならないため、特に、既存構造物等が隣接する敷地の境界近傍にケーシングを建て込もうとするときに、従来の技術のように、ケーシングドライバを配置するスペースを確保することが困難になるという問題が生じるようなことはない。また、ケーシングの押し込み能力や引き抜き能力を増加させる必要があるにしても、昇降駆動装置は、当該ケーシングの径に見合った能力のもので通常のストロークのものを設置すればよいので、技術的、経済的にみて、従来の技術より合理的なケーシングドライバを得ることができる。
【0033】特に、この出願の第2発明では、ケーシングを、その径のに比して通常よりも大きな掘削トルクや把持力で圧入することが必要な場合、付属品として備えた一つ以上の副昇降フレームを使用して、この一つ以上の副昇降フレーム及び昇降フレームの間を連結部材で上下方向に連結することにより大きな掘削トルク及び把持力を得ることができ、また、大きな掘削トルクや把持力を要しない場合には、副昇降フレーム及び連結部材を取り外すことにより、通常のケーシングドライバと同様の形態にしてコンパクトな状態で使用することができて使い勝手がよい。出願の第1発明及び第2発明を具体化する場合、特に、請求項3に記載のように具体化すれば、上下に隣接するケーシング把持装置同士をケーシング把持装置の連結装置で連結することにより、ケーシングに、これら上下のケーシング把持装置を通じて均一な回転力を付与することができるため、ケーシング把持装置の回転力がケーシングに不均一に作用してケーシングに捩じれをもたらすようなことはない。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成12年3月24日(2000.3.24)
【代理人】 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−271348(P2001−271348A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−84562(P2000−84562)