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【発明の名称】 アンカー装置の設置方法
【発明者】 【氏名】桶谷 憲一

【氏名】柳屋 博文

【氏名】岡山 隆宏

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アンカー,およびアンカーとは別体の羽根装置を用意し,ここで羽根装置は,アンカーの上部を挿入しうる太さの筒体と,この筒体に放射状に取付けられた少なくとも2枚の羽根とを備え,少なくとも2枚の羽根のなす角度が 180度よりも小さいものであり,アンカーの上部を地表よりも突出するようにしてアンカーを地中に定着し,アンカーの地表上に突出した上部を羽根装置の筒体に挿入し,アンカーに加えられる荷重の方向が, 180度よりも小さい羽根のなす角度のほぼ中央にくるように,羽根装置を位置決めし,この状態で羽根装置をアンカーに沿って地中に打込んでいく,アンカー装置の設置方法。
【請求項2】 筒体に,3枚,4枚または5枚以上の羽根が等角度間隔で取付けられた羽根装置を用いる,請求項1に記載の方法。
【請求項3】 筒体の上部が羽根よりも突出した羽根装置を用い,一端が羽根装置の筒体上部と嵌合し,他端が打込機と嵌合する冶具を用意し,この冶具を介して打込機により羽根装置を地中に打込んでいく,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】 岩盤が表土層により覆われている場所において,アンカーの上部を表土層表面よりも突出するようにしてアンカーを岩盤に定着し,羽根装置を位置決めしたのち,羽根装置をアンカーに沿って表土層内に打込んでいく,請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】 アンカーとは別体の羽根装置であって,アンカーの上部を挿入しうる太さの筒体と,この筒体に放射状に取付けられた少なくとも2枚の羽根とを備え,少なくとも2枚の羽根のなす角度が 180度よりも小さい,羽根装置。
【請求項6】 筒体に,3枚以上,4枚または5枚以上の羽根が等角度間隔で取付けられた請求項5に記載の羽根装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】この発明は,落石防止用のロープ(ワイヤを含む)を止めるために用いるアンカー装置,その他の用途に用いられるアンカー装置の設置方法,およびこの方法で用いられる羽根装置に関する。この明細書において,地表(地面)とは,山林,山岳等における傾斜面(法面),岩盤,大地,その他の地面(地球表面の露出しているすべての面)をいい,地中とは地表(地面)の内部(表土層,礫土,岩盤等を含む)をいう。
【0002】
【従来技術】この種のアンカー(アンカーロッド,アンカーパイプ等を含む)は,一般に,地表(地面)に直接に打込まれるか,または地面に掘削孔を形成し,この掘削孔にアンカーを挿入するとともにモルタル,セメント等の凝固剤を流し込んで埋込むことにより定着される。特に,岩盤が土砂等の表土層で覆われている場所においては,岩盤(岩部)に掘削された孔内にアンカーを挿入し,モルタル,セメント等の凝固剤を注入して定着する。この場合には,アンカーが岩盤に充分に固定されるように長尺のものが用いられる。
【0003】下半部が岩盤に定着されたアンカーについては,特にアンカーの表土内に位置する部分について,次のような対策が行なわれている。
【0004】(1) アンカーの表土層内に位置する部分を補強しないで,そのままにしておく。
(2) 表土層にパンチャーにより岩盤に達する穴をあけ,この穴を利用して削岩機により岩盤にアンカー定着用に削孔し,この孔にアンカーを定着させた後に,パンチャー穴にモルタルを充填する。
(3) 表土層を掘削し,岩盤が現れたら削岩機により岩盤に削孔してアンカーを定着させ,その後,表土層の掘削した比較的大きな穴にコンクリートまたはモルタルを打設する。
【0005】このようにして設置されたアンカーの上端にはロープが固定される。ロープは一般に表土層表面に沿って張られる。したがって,アンカーの上部には表土層表面にほぼ平行な方向(アンカーの長さ方向にほぼ垂直な方向)の荷重が加わる。アンカーの下半分は岩盤にしっかりと固定されているが,上記(1) および(2) の方法では,アンカーの上部を固定する力が弱いので,アンカーの上部がロープによる荷重により曲ってしまう。上記(3) の方法によると,打設されたコンクリートまたはモルタルによりアンカーの上部をしっかりと固定できる可能性があるが,場所によっては,特に傾斜面にアンカーを設置する場合には上記(3) の方法を施工すること自体に困難を伴う。
【0006】土砂質の地表(地面)または礫土層に打込まれた,または凝固剤で固定されたアンカーについては(アンカーは岩盤に固定されない),アンカーと地面(地中)との結合力が弱いので,ロープによる荷重によって,アンカーが屈曲するというよりは,アンカーの位置がずれやすいという問題がある。
【0007】この発明は比較的簡単にアンカーを設置でき,しかもアンカーの位置がずれにくい,または岩盤の上に表土がある場合であってもアンカー上部が変形しにくい高耐力アンカー装置の設置方法を提供するものである。
【0008】この発明はまた,この設置方法において用いられる羽根装置を提供するものである。
【0009】この発明によるアンカー装置の設置方法では,アンカー,およびアンカーとは別体の羽根装置をあらかじめ用意する。
【0010】ここでアンカーは,アンカーロッド,パイプアンカー,ロックボルト,掘削(削孔)ロッド等,さまざまな名称で呼ばれるもの,すなわち,中実,中空を問わず,断面については円形,多角形(異形)を問わず,アンカーとして用いられる棒状のものすべてを含む。
【0011】羽根装置は,アンカーの上部を挿入しうる太さの筒体と,この筒体に放射状に取付けられた少なくとも2枚の羽根とを備え,少なくとも2枚の羽根のなす角度が 180度よりも小さいものである。
【0012】好ましくは羽根装置は,筒体に,筒体を中心として,等角度間隔で,放射状に,3枚,4枚,またはそれ以上の枚数の羽根が固定されたものである。羽根装置はアンカーと同じように一般的には鋼鉄製または鉄製であるが,強化プラスチック等を用いて作ることもできる。
【0013】この発明によると,アンカーの上部を地表(地面)よりも突出するようにしてアンカーを地中に定着する。アンカーの定着方法は一般に知られているものを採用すればよい。たとえば,アンカーを単に地面に打込む。または,地面に掘削孔を形成し,この掘削孔にアンカーを挿入するとともに,モルタル,セメント等の凝固剤を流し込む。先端に穴があいたパイプアンカーを用いた場合には,パイプアンカー内に凝固剤を注入することもある。削孔に用いる掘削ロッドをそのまま地中に埋込んで(必要に応じて凝固剤を注入して),アンカーとすることもできる。凝固剤はアンカーの下半部に位置するようにする。
【0014】特に,岩盤が表土層(土被り部)により覆われている場所においては,アンカーの上部が表土層表面よりも突出するようにしてアンカーを岩盤に定着する。
【0015】この場合も,さまざまな定着方法がある。たとえば,表土層にパンチャーによって穴(径約10cm程度)をあける(岩盤の位置,深さを確認する)。穴が岩盤に到達すると,削岩機で岩盤に削孔する。掘削された孔にモルタル,セメント等の凝固剤を注入し,かつアンカーを挿入する。アンカーはモルタル,セメント等により固定(定着)される。削孔するときに用いる掘削ロッドをそのままアンカーとして埋込んでおく場合もある。中空掘削ロッドの内部にセメント,モルタル等を充填し,掘削ロッドの下端または周囲の穴からセメント,モルタル等をロッドの周囲に漏出させる。
【0016】表土層の深さがあらかじめ分っている場合には,表土層上から削岩機で削孔してアンカーを定着してもよい。
【0017】また,表土層を広く掘削する。岩盤が現われたら削岩機により岩盤に削孔し,上記と同様にアンカーを定着する。最後に掘削した穴を土で埋める。この方法は,場所によっては(たとえば傾斜面では)施行が困難な場合があるが,この発明はこの定着方法によりアンカーを定着することも含む。
【0018】必要に応じて,アンカーを定着した後,引抜き試験を行い,定着強度を確認する。
【0019】アンカーを定着した後,アンカーの地面(表土層)上に突出した上部を羽根装置の筒体に入れ,(ロープによって)アンカーに加えられる(であろう)荷重の方向が, 180度よりも小さい羽根のなす角度のほぼ中央にくるように,羽根装置を位置決めする。
【0020】アンカーの上端には,たとえば落石防止用のロープが締結される。アンカーの上端はこのロープによって引張られる(すなわち,荷重が加えられる)。ロープを張る方向がアンカーに加えられる荷重の方向である。
【0021】ロープは一方向にのみ張られるとは限らず,複数方向に張られる場合もある。羽根装置に,3枚,4枚またはそれ以上の羽根(等角度間隔でも,不等角度間隔でもよい)を設けることが好ましい理由がここにある。羽根装置が2枚の羽根を持つ場合には,2枚の羽根のなす角度が 180度以下になるように羽根を筒体にとりつける。
【0022】羽根装置を位置決めした後,羽根装置をアンカーに沿って地中(表土層内)に,たとえば打込機(コンクリートブレーカーなど)で打込んでいく。好ましくは,羽根装置が地中(表土層内)に埋まるまで(羽根装置が見えなくなるまで)打込む。羽根装置は,一般的には,土砂層,礫土層等の岩盤以外の土の部分に打込まれる。
【0023】好ましい実施態様においては,筒体の上部が羽根よりも突出した羽根装置を用い,一端が羽根装置の筒体上部と嵌合し,他端が打込機と嵌合する冶具(打込み工具)を用意する。そして,この冶具を介して打込機(削岩機)により羽根装置を地中(表土層内)に打込んでいく。すなわち,羽根装置の筒体上部に冶具の一端を嵌合させ,冶具の他端を打込機等の撃打ロッドに嵌合させて,打込機を駆動し,羽根装置に冶具を介して打撃力を与える。
【0024】このようにして,地中に定着されたアンカーの上部には,地中において羽根装置が取付けられる(アンカーの上部が羽根装置の筒体内に挿通されている)。アンカーの上端部にはロープが固定され,ロープによって引張り力が加えられる。このロープによる荷重は,アンカー上部において地中で羽根装置によって受止められる。ロープによる荷重の加わる方向をほぼ中央にして羽根装置の少なくとも2枚の羽根がその両側に位置し,しかも2枚の羽根のなす角度は 180度以下である(3枚の羽根をもつ羽根装置では 120度,4枚の羽根をもつものでは90度)。したがって,ロープによる荷重は,地中にある少なくとも2枚の羽根によって確実に,かつ安定した状態で受止められる。ロープによる引張り力によってアンカーの位置が大きくずれることが防止され,高耐力のアンカー装置が実現する。
【0025】岩盤が表土層で覆われている場所においては,アンカーは少なくともその下半分において岩盤に固定される。アンカーの上部の表土層内に位置する部分には羽根装置が取付けられる(アンカーの上部が羽根装置の筒体内に挿通されている)。
【0026】アンカーの上端部にはロープが固定され,ロープによって引張り力が加えられる。このロープによる荷重は,表土層内においては羽根装置によって受止められる。ロープによる荷重の加わる方向をほぼ中央にして羽根装置の少なくとも2枚の羽根がその両側に位置し,しかも2枚の羽根のなす角度は 180度以下である(3枚の羽根をもつ羽根装置では 120度,4枚の羽根をもつものでは90度)。したがって,ロープによる荷重は,表土層内にある少なくとも2枚の羽根によって確実に,かつ安定した状態で受止められる。アンカーの上部がロープによる引張り力によって大きく変形することが防止され,高耐力のアンカー装置が実現する。
【0027】羽根装置の大きさ(高さ,幅等)は使用する地面(表土層)(地中)の性質(硬さ,深さ等)に応じて適宜決定,または選択することができる。
【0028】アンカーの定着と羽根装置の打込みによりアンカー装置の設置が完了するから,傾斜面,その他の場所においても,比較的容易にアンカー装置の設置が可能である。
【0029】羽根装置はアンカー装置と別体である。したがって,これらを現場に運搬するのが比較的容易である。また,現場において,羽根装置を用いるかどうかの決定,および用いる場合には羽根装置の選択が可能である。たとえば,同じ現場でも,表土層が存在する箇所と存在しない箇所(岩盤が剥き出しになっている)とがあり,表土層が存在しない場合にはアンカーを定着すれば充分で,羽根装置を打込む必要はない。ロープを張る方向に応じて羽根装置を位置決め(羽根の方向決め)を行うことが容易にできるので,羽根装置を効果的に利用できる。
【0030】
【実施例】この発明を,岩盤が表土層で覆われている傾斜面(法面)に適用した実施例について説明する。図1において,落石,崩壊等のおそれのある傾斜面1に,落石,崩壊を防止するためにロープ(ワイヤ)4,5が縦,横(場合によっては斜めに)に張設されている。これらのロープ4,5には,必要に応じて,金網(図示略)が取付けられる。傾斜面1の内部は岩盤3であり,岩盤3は表土層2によって覆われている。岩盤3の一部または岩が表土層2から剥き出している場合もある。
【0031】縦および横に張られたロープ4,5の両端はアンカー装置6によって止められている。縦,横のロープ4,5の交叉部はクロスアンカークリップ(後述する)により相互に締結され,かつアンカー装置7に止められている。ロープの交叉部が羽根装置を持たないアンカーによって止められている箇所もあってもよい。さらに,ロープの交叉部がクロスアンカークリップによって相互に締結されるだけで,アンカーに固定されない箇所があってもよい。
【0032】図2および図3はアンカー装置の一部を構成する羽根装置の一例を示すものである。
【0033】羽根装置10は中心に筒体15を持っている。この筒体15の内径は後述するアンカーが挿通されるようにアンカーの外径よりも若干大きい。筒体15には,4枚の羽根11,12,13,14が等角度間隔(90度間隔)(等角度間隔でなくてもよい)で,放射状に固定(固着)されている。筒体15の上部15aは羽根11〜14よりも若干,上方に突出している。羽根11〜14は,表土層2に打込みやすいように,その下縁が筒体15から遠ざかるにしたがって上方に傾斜している。すなわち,羽根装置10は全体的にみて,中央の筒体15が最も突出するように尖っている。羽根装置10は,鉄,鋼鉄,強化プラスチック,その他の強固な材料によりつくられる。
【0034】図4および図5は,羽根装置10を表土層2に打込むときに好適に用いられる打込み用冶具または金具(その1)(第1の打込み用冶具または金具)を示している。この打込み用冶具20は全体的にみると筒体21であるが,この筒体21の上部には隔壁22が設けられている。別の表現をすれば,冶具20は丸棒21の上端と下端からそれぞれ孔23,24を形成したものである。
【0035】冶具20の上部の孔23には,後述するように,打込機の撃打ロッドが挿入(嵌入,嵌合)される。また,冶具20の下部の孔24には,羽根装置10の筒体15の突出した部分15aが挿入(嵌入,嵌合)される。
【0036】図6および図7は,羽根装置10を表土層2に打込むときに好適に用いられるもう一つの打込み用冶具または金具(その2)(第2の打込み用冶具または金具)を示している。この冶具30はリングであって,その孔31の内径は,羽根装置10の筒体15の突出部15aが入るように,筒体15の外径よりも大きい。
【0037】アンカー装置の設置の手順について説明する。
【0038】アンカー,羽根装置10,冶具20,30をあらかじめ用意し,アンカー装置を設置すべき現場に運ぶ。羽根装置10はアンカーとは別体である。
【0039】図8を参照して,アンカー40を岩盤3に定着する。アンカー40の上部は表土層2の表面よりも上方に突出している。アンカー40の定着は通常の方法により行うことができる。
【0040】たとえば,表土層2にパンチャーによって穴(径約10cm程度)をあける。穴が岩盤3に到達すると,削岩機で岩盤に削孔する。これにより,岩盤の位置,深さを確認する。掘削された孔にモルタル,セメント等の凝固剤41を注入し,かつアンカー40を挿入する。アンカー40はモルタル,セメント等により固定(定着)される。削孔するときに用いる掘削ロッドをそのままアンカー40として埋込んでおく場合もある。中空掘削ロッドの内部にセメント,モルタル等を充填し,掘削ロッドの下端または周囲の穴からセメント,モルタル等をロッドの周囲に漏出させる。
【0041】表土層の深さがあらかじめ分っている場合には,表土層上から削岩機で削孔してアンカー40を定着してもよい。
【0042】必要に応じて,アンカー40を定着した後,引抜き試験を行い,定着強度を確認する。
【0043】アンカーとしてはパイプアンカーのように中空のものを用いてもよい。
【0044】次に,図9に示すように,表土層2上に突出したアンカー40の上部を羽根装置10の筒体15の下部に入れ,羽根装置10を表土層2上に置く。羽根装置10の筒体15の突出部15aに第2の冶具(リング)30を嵌入れる。さらに,筒体15の突出部15aを第1の冶具20の下部孔24内に入れるようにして,第1の冶具20を突出部15aと嵌合させる。第1の冶具20の下端部は第2の冶具30の上に乗る。第2の冶具30はいわば当て板(リング)である。打込機(コンクリートブレーカー)50の撃打ロッド51を第1の冶具20の上部孔23内に嵌入れる。
【0045】羽根装置10の羽根の方向を,アンカー40の上端部に固定されるロープ4または5の引張り方向を考慮して定めておく。すなわち,ロープ4または5による引張り方向(荷重方向)が隣接する羽根(たとえば羽根11と12)の中央にくるように(羽根11と12のなす角を荷重の方向で2等分するように)(図12参照),羽根装置10を位置(角度)決めする。
【0046】この状態で打込機50を駆動する(一般には,作業員が打込機を持って操作,作業する)。打込機50で発生する打撃力は第1の冶具20,第2の冶具30を介して羽根装置10に加えられ,羽根装置10は表土層2内に打込まれていく(もぐり込んでいく)。
【0047】羽根装置10が表土層2内にかなり打込まれた状態が図10に示されている。羽根装置10の打込み作業は,羽根装置10が表土層2内に完全に入り込むまで続けられる。
【0048】図11および図12を参照して,羽根装置10の全体が表土層2内に埋まると,打込機50,第1の冶具20および第2の冶具30を取外す。
【0049】アンカー40の表土層2上に突出している上端部にロープ4(または5)の端部を掛ける,固定する,または締結する。たとえば,ロープ4(5)の端部にループを形成し(ロープの端部を折り返して締結具で止める),このループをアンカー40の上端部に掛ける。アンカー40の上端部に止め金61を挿入し,さらにナット62をアンカー上端部のねじ部にねじはめる。これにより,ロープ4(5)の端部を止めるアンカー装置6が完成する。
【0050】ロープ4(5)の引張方向は羽根装置10の2つの隣接する羽根11と12のほぼ中央である。ロープ4(5)による引張り力(荷重)は2つの羽根11と12によってほぼ均等に受止められ,羽根装置10およびアンカー40の上半部分は安定する。アンカー40の表土層2内に位置している上半部分が大きく変形したり,曲ったりすることが効果的に防止される。
【0051】図13および図14は2つのロープ4と5の交叉部を固定するアンカー装置7の例を示している。
【0052】受座金71と押座金72とが用いられる。受座金71にはロープ4が沿う溝が,押座金72にはロープ5が沿う溝が形成されている。これらの座金71,72の両端部に2つの穴があけられている。受座金71の一つの穴にアンカー40の上端部を通し,かつその溝にロープ4を沿わせる。2つの座金71と72の溝が向い合うように,押座金72の一つの穴にアンカー40の上端部を通し,その溝にロープ5を沿わせる。アンカー40の上端部にナット75をねじはめる。2つの座金71,72の他の穴にボルト73を通し,ナット74で締める。これにより,交叉するロープ4と5は,上記座金71,72を含むクロスアンカークリップにより相互に締結され,かつアンカー40に固定される。
【0053】羽根装置10は90度間隔で設けられた4枚の羽根11〜14を持っている。ロープ4と5はほぼ直交するように交叉している。ロープ4による引張り方向(荷重方向)は羽根12と13の中央および羽根11と14の中央とほぼ一致する。同じように,羽根11と12の中央および羽根13と14の中央にロープ5による引張り力がかかる。これにより,ロープ4,5による荷重はすべての羽根11〜14にほぼ均等にかかり,羽根装置10は安定する。羽根装置10の存在により,アンカー40の上半部分が大きく変形することが防止される。
【0054】羽根装置の羽根は少なくとも2枚あればよい。2枚の羽根を設ける場合には,これら2枚の羽根のなす角度が 180度よりも小さくなるようにし,この 180度よりも小さい角度のほぼ中央にロープによる荷重がかかるように羽根装置の方向を定める。羽根装置の羽根を何枚にするかは表土層(地面)(地中),ロープの荷重,ロープの方向,羽根装置の大きさ等を考慮して定めればよい。上記実施例では岩盤にアンカーの下部を固定しているが,この発明は岩盤の存在しない地面(地中)にも適用可能であるのはいうまでもない。
【出願人】 【識別番号】000003528
【氏名又は名称】東京製綱株式会社
【出願日】 平成12年2月15日(2000.2.15)
【代理人】 【識別番号】100080322
【弁理士】
【氏名又は名称】牛久 健司 (外1名)
【公開番号】 特開2001−226961(P2001−226961A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−36509(P2000−36509)