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【発明の名称】 杭と柱との接合方法
【発明者】 【氏名】高橋 正美

【氏名】下村 英男

【要約】 【課題】従来に比較して、工事工程を減少させるとともに、排土量を削減し、これにより、コストの削減と工期の短縮化を図る。

【解決手段】地表面Gsから地盤G内に掘削孔17を形成し、掘削孔17内部に、杭12のうち、杭頭部15より下方の本体部23を先行構築しておき、杭頭部15のうち、柱13の芯材16の下端部16aの埋設対象位置26を囲むように位置する筒状部分27を、本体部23に連続させて形成し、筒状部分27の内方に、柱13の芯材16を建て込み、しかる後に、杭頭部15のうち、筒状部分27の内方にあたる部分を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 杭と柱とを備えるとともに前記杭の杭頭部に前記柱の下端部が埋設されて直接接合された構造物を構築する際に適用されて、前記杭の杭頭部に対して前記柱の下端部を接合するための方法であって、地表面から地盤内に掘削孔を形成し、該掘削孔内部に、前記杭のうち、前記杭頭部より下方の部分を先行構築しておき、前記杭頭部のうち、前記柱の下端部の埋設対象位置を囲むように位置する筒状部分を、前記杭のうち先行構築した部分に連続させて形成し、該筒状部分の内方に、前記柱を構成する柱材を建て込み、しかる後に、前記杭頭部のうち、前記筒状部分の内方にあたる部分を形成することを特徴とする杭と柱との接合方法。
【請求項2】 請求項1記載の杭と柱との接合方法であって、前記杭は、場所打ちコンクリート杭とされ、前記杭のうち前記杭頭部より下方の部分を先行構築する際には、前記杭の鉄筋かごの上端部が前記先行構築した部分から上方に突出状態となるようにしておき、前記鉄筋かごの上端部にコンクリートを打設することにより前記筒状部分を形成することを特徴とする杭と柱との接合方法。
【請求項3】 請求項2記載の杭と柱との接合方法であって、前記筒状部分を形成する際には、前記掘削孔の内壁面を前記コンクリートの打設時における前記筒状部分の外周面側の型枠とすることを特徴とする杭と柱との接合方法。
【請求項4】 請求項3記載の杭と柱との接合方法であって、前記杭を構築するにあたっては、前記掘削孔の内壁面の上端縁と、該掘削孔周囲の地表面との双方を覆うような定規治具をあらかじめ設けておき、該定規治具を、前記筒状部分を形成するにあたって、該筒状部分の外周面の上端部の型枠として用いることを特徴とする杭と柱との接合方法。
【請求項5】 請求項2から4のいずれかに記載の杭と柱との接合方法であって、前記筒状部分を形成する際には、あらかじめ前記鉄筋かごの内面に設置しておいたラス材を、該筒状部分の内周面側の型枠とすることを特徴とする杭と柱との接合方法。
【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の杭と柱との接合方法であって、前記杭頭部を、前記先行構築された部分に比較して、その径が大となるように形成することを特徴とする杭と柱との接合方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、杭と柱とを備えるとともに杭の杭頭部に柱の下端部が埋設されて直接接合された構造物を構築する際に適用されて、杭の杭頭部に対して柱の下端部を接合するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、杭頭に柱が直接接合された構造物が、近年実現している。このような構造物においては、杭頭に直接柱を接合することにより、地中梁および基礎フーチングを省略して、工期の短縮化および施工コストの削減を図ることが可能である。
【0003】従来、このような構造物において杭と柱とを直接接合するには、例えば、以下のような方法が採用されていた。すなわち、図5に示すように、地表面Gsから地盤G内に向けて掘削孔1を掘削し、さらに、掘削孔1内部に、場所打ちコンクリート杭2のうち、杭頭部3の設置対象位置より下方に位置する本体部4を先行構築しておく。この際、場所打ちコンクリート杭2の鉄筋かご5の上端部5aを本体部4より上方に突出状態としておき、さらに、杭頭部3の周辺の地盤Gを根切りする。そして、鉄筋かご5の上端部5aの内部に、鉄骨6を建て込むとともに、杭頭部3の周囲を型枠7によって囲み、さらに型枠7の内部にコンクリートを打設することにより、場所打ちコンクリート杭2と柱鉄骨6との接合部を形成する。また、接合部を形成した後は、杭頭部3の周辺の地盤を埋め戻す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のような杭と柱との接合方法によれば、杭頭部3周辺の根切りや、型枠7の建て込みなどの作業が必要であり、工事工程が多くなることから、コストが嵩み、また、工期も長期化することとなっていた。また、杭頭部3の周辺を根切りする際の排土処理も問題となっていた。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、従来に比較して、工事工程を減少させるとともに、排土量を削減し、これにより、コストの削減と工期の短縮化を図ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、請求項1記載の杭と柱との接合方法は、杭と柱とを備えるとともに前記杭の杭頭部に前記柱の下端部が埋設されて直接接合された構造物を構築する際に適用されて、前記杭の杭頭部に対して前記柱の下端部を接合するための方法であって、地表面から地盤内に掘削孔を形成し、該掘削孔内部に、前記杭のうち、前記杭頭部より下方の部分を先行構築しておき、前記杭頭部のうち、前記柱の下端部の埋設対象位置を囲むように位置する筒状部分を、前記杭のうち先行構築した部分に連続させて形成し、該筒状部分の内方に、前記柱を構成する柱材を建て込み、しかる後に、前記杭頭部のうち、前記筒状部分の内方にあたる部分を形成することを特徴としている。
【0007】このような構成とされることにより、筒状部分を、杭頭部を形成する上での型枠として機能させることができ、杭頭部の周囲を根切りすることなく、杭頭部を形成することができる。
【0008】請求項2記載の杭と柱との接合方法は、請求項1記載の杭と柱との接合方法であって、前記杭は、場所打ちコンクリート杭とされ、前記杭のうち前記杭頭部より下方の部分を先行構築する際には、前記杭の鉄筋かごの上端部が前記先行構築した部分から上方に突出状態となるようにしておき、前記鉄筋かごの上端部にコンクリートを打設することにより前記筒状部分を形成することを特徴としている。
【0009】このような構成により、筒状部分を容易に形成することができる。
【0010】請求項3記載の杭と柱との接合方法は、請求項2記載の杭と柱との接合方法であって、前記筒状部分を形成する際には、前記掘削孔の内壁面を前記コンクリートの打設時における前記筒状部分の外周面側の型枠とすることを特徴としている。
【0011】このような構成により、筒状部分を形成する際の外周面側の型枠を不要とすることができる。
【0012】請求項4記載の杭と柱との接合方法は、請求項3記載の杭と柱との接合方法であって、前記杭を構築するにあたっては、前記掘削孔の内壁面の上端縁と、該掘削孔周囲の地表面との双方を覆うような定規治具をあらかじめ設けておき、該定規治具を、前記筒状部分を形成するにあたって、該筒状部分の外周面の上端部の型枠として用いることを特徴としている。
【0013】このような構成により、掘削孔内面の崩落を防ぎ、筒状部分を掘削孔内面を型枠として形成する場合に、困難が生じることを防ぐことができる。
【0014】請求項5記載の杭と柱との接合方法は、請求項2から4のいずれかに記載の杭と柱との接合方法であって、前記筒状部分を形成する際には、あらかじめ前記鉄筋かごの内面に設置しておいたラス材を、該筒状部分の内周面側の型枠とすることを特徴としている。
【0015】このような構成により、筒状部分の内周面側の型枠の費用を最小限とすることができる。
【0016】請求項6記載の杭と柱との接合方法は、請求項1から5のいずれかに記載の杭と柱との接合方法であって、前記杭頭部を、前記先行構築された部分に比較して、その径が大となるように形成することを特徴としている。
【0017】このような構成により、上部構造の架構剛性を増大させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1から図3は、本発明の一実施の形態を模式的に示す図であり、図1は、杭と柱とが直接接合された構造物11において、杭12と柱13とを直接接合するための接合構造14を構築する際の状況を示す図、図2は、図1におけるI−I線矢視断面図、図3は図1におけるII−II線矢視断面図である。
【0019】これら図中に示す接合構造14は、場所打ちコンクリート杭である杭12の杭頭部15に対して、鉄骨柱である柱13の芯材16の下端部16aを埋設することにより、杭12と柱13とを直接接合するものとなっている。
【0020】以下、接合構造14の構築方法(杭12と柱13との接合方法)について説明する。これには、まず、地表面Gsから地盤G内に向けて掘削孔17を形成する。この際、掘削孔17の内壁面18の上端部18aには、内壁面18が崩落しないように、図示略のケーシングを配置しておく。さらに、掘削孔17の上端部17aには、掘削孔17の内壁面18の上端縁18bを覆う管状部20と、掘削孔17の周囲の地表面Gsを覆うフランジ部21とを備えた定規治具22を設置しておく。なお、この場合、定規治具22の管状部20は、図示略のケーシングの外側に配置される。
【0021】次に、掘削孔17内部に、杭12のうち、杭頭部15より下方に位置する本体部23を先行構築する。これには、掘削孔17内部に鉄筋かご24を配置し、その後、鉄筋かご24内部にトレミー管などを用いてコンクリートCを打設する。鉄筋かご24配置時には、定規治具22が鉄筋かご24の位置を正確に保つための定規として機能する。また、鉄筋かご24設置後に、鉄筋かご24の上端部24aの内周面側にラス材25を設置しておく。さらに、コンクリートCの打設時には、打設されたコンクリートCの上面から鉄筋かご24の上端部24aが突出状態となるように、余盛りされたコンクリートCを適宜バキューム処理する。
【0022】この後、掘削孔17の内壁面18の上端部18aを覆うように設けられた図示しないケーシングを引き抜く。この際、定規治具22は、内壁面18の崩落を防止する役割を果たす。
【0023】次に、杭頭部15のうち、芯材16の下端部16aの埋設対象位置26を囲むように位置する筒状部分27を、鉄筋かご24の上端部24aにコンクリートCを打設することにより、本体部23の上部に連続させて形成する。この場合、ラス材25が筒状部分27の内周面側の型枠として機能することとなり、また、掘削孔17の内壁面18が、筒状部分27の外周面側の型枠として機能することとなる。また、この場合、定規治具22の管状部20は、筒状部分27の外周面の上端部27aにおける型枠として機能する。
【0024】次に、筒状部分27の内部に芯材16を建て込み、さらに、筒状部分27の内方にコンクリートを打設することにより、杭頭部15のうち筒状部分27の内方にあたる部分を形成する。これにより、杭12と柱13とを直接接合するための接合構造14が形成される。
【0025】上述の杭12と柱13との接合方法は、杭頭部15のうち、柱13の芯材16下端部16aの埋設対象位置26を囲むように位置する筒状部分27を、杭12のうち先行構築した本体部23に連続させて形成し、筒状部分27の内方に、芯材16を建て込み、その後、杭頭部15のうち、筒状部分27の内方にあたる部分を形成するようになっているため、筒状部分27が杭頭部15を形成する上での型枠として機能することとなり、したがって、従来と異なり、杭頭部15の周囲を根切りすることなく、杭頭部15を形成することができる。これにより、根切り工事を省略して、従来に比較して、工期を短縮化するとともに、コストを縮減することが可能となる。
【0026】また、上述の杭12と柱13との接合方法は、杭12が、場所打ちコンクリート杭とされており、なおかつ、本体部23を先行構築する際に、鉄筋かご24の上端部24aが本体部23から上方に突出状態となるようにしておき、さらに、この鉄筋かご24の上端部24aにコンクリートCを打設することにより筒状部分27を形成するようになっているために、所定の強度を有する筒状部分27を容易に形成することができ、筒状部分27に杭頭部15を形成する上での型枠としての強度を良好に発揮させることが可能となる。
【0027】さらに、上述の杭12と柱13との接合方法においては、筒状部分27を形成する際に、掘削孔17の内壁面18を筒状部分27の外周面側の型枠とするようになっているために、筒状部分27を形成する際における外周面側の型枠を不要とし、型枠工事に係る工期を短縮化することができるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0028】また、上述の杭12と柱13との接合方法においては、杭12を構築するにあたって、掘削孔17の内壁面18の上端縁18bと、掘削孔17周囲の地表面Gsとの双方を覆うような定規治具22をあらかじめ設けておき、さらに、この定規治具22を、筒状部分27を形成するにあたって、筒状部分27の外周面の上端部27aの型枠として用いるようになっているため、筒状部分27を形成する以前の掘削孔17の内壁面18、特に上端縁18bの崩落を防ぐことができ、したがって、筒状部分27を形成するにあたり掘削孔17の内壁面18を型枠として利用する際に、コンクリートCの打設が困難となることを防ぐことができる。
【0029】また、筒状部分27を形成する際には、あらかじめ鉄筋かご24の内面に設置しておいたラス材25を、筒状部分27の内周面側の型枠とするようになっているために、筒状部分27の内周面側の型枠の費用を最小限とすることができ、これにより、コストの削減に貢献することができる。
【0030】以上において、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、必要に応じて、他の構成を採用することができる。例えば、図4に示す接合構造14’のように、杭12’の杭頭部15’を、本体部23に比較して、その径が大となるように形成してもよい。この場合、杭頭部15’を拡頭することにより、構造物全体の架構の剛性を確保することができるため、杭12’を鉛直荷重を保持するのに必要最小限の軸径とすることができる。したがって、これにより、経済的な設計を行うことができ、コストを最小限とすることができる。
【0031】また、このように架構の剛性を確保することができるために、架構剛性を補うために2階の大梁や柱13の断面を大きくするなどの必要がなく、コストアップを避けることができる。
【0032】さらに、柱13の芯材16の納まりから杭12’の軸径を決定する必要が無く、鉛直耐力から杭12’の軸径を決定するとともに、納まり上必要な杭頭部15’のみ拡径して径を選択することができ、これにより経済的な杭12’が施工できる。
【0033】また、柱13を鉄骨造とするとき、場合によっては、杭頭部を鋼管で補強する必要が生じるが、このように杭頭部15’を拡径することにより架構剛性を増大させて補強鋼管を不要とすることができる。
【0034】また、これとは別に、上記実施の形態の杭12と柱13との接合方法は、杭12の形態によらず適用することができ、また、杭頭部15の周囲を鋼管で補強して型枠兼用とする場合にも適用することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る杭と柱との接合方法によれば、杭頭部のうち、柱下端部の埋設対象位置を囲むように位置する筒状部分を、杭のうち先行構築した部分に連続させて形成し、筒状部分の内方に、柱材を建て込み、その後、杭頭部のうち、筒状部分の内方にあたる部分を形成するようになっているため、筒状部分が杭頭部を形成する上での型枠として機能することとなり、したがって、従来と異なり、杭頭部の周囲を根切りすることなく、杭頭部を形成することができる。これにより、根切り工事を省略して、従来に比較して、工期を短縮化するとともに、コストを縮減することが可能となる。
【0036】請求項2に係る杭と柱との接合方法においては、杭が、場所打ちコンクリート杭とされており、なおかつ、杭のうち杭頭部より下方の部分を先行構築する際に、鉄筋かごの上端部が突出状態となるようにしておき、さらに、この鉄筋かごの上端部にコンクリートを打設することにより筒状部分を形成するようになっているために、所定の強度を有する筒状部分を容易に形成することができ、筒状部分に対して、杭頭部を形成する上での型枠としての強度を良好に発揮させることが可能となる。
【0037】請求項3に係る杭と柱との接合方法においては、筒状部分を形成する際に、掘削孔の内壁面を筒状部分の外周面側の型枠とするようになっているために、筒状部分を形成する際における外周面側の型枠を不要とし、型枠工事に係る工期を短縮化することができるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0038】請求項4に係る杭と柱との接合方法においては、杭を構築するにあたって、掘削孔の内壁面の上端縁と、掘削孔周囲の地表面との双方を覆うような定規治具をあらかじめ設けておき、この定規治具を、筒状部分を形成するにあたって、筒状部分の外周面の上端部の型枠として用いるようになっているため、筒状部分を形成する以前の掘削孔の内壁面、特に上端縁の崩落を防ぐことができる。これにより、筒状部分を形成するにあたり掘削孔の内壁面を型枠として形成する場合に、コンクリートの打設が困難となることを防ぐことができる。
【0039】請求項5に係る杭と柱との接合方法においては、筒状部分を形成する際に、あらかじめ鉄筋かごの内面に設置しておいたラス材を、筒状部分の内周面側の型枠とするようになっているために、筒状部分の内周面側の型枠の費用を最小限とすることができ、コストの削減に貢献することができる。
【0040】請求項6に係る杭と柱との接合方法においては、杭の杭頭部を、その下方の先行構築した部分に比較して、その径が大となるように形成したので、構造物全体の架構の剛性を確保することができるとともに、杭頭部における柱下端部の納まりを良好なものとすることができる。したがって、杭を鉛直荷重を保持するのに必要最小限の軸径とすることができ、経済的な設計を行ってコストを最小限とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【出願日】 平成12年2月10日(2000.2.10)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外3名)
【公開番号】 特開2001−220737(P2001−220737A)
【公開日】 平成13年8月17日(2001.8.17)
【出願番号】 特願2000−34202(P2000−34202)