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【発明の名称】 農業用水路の目地の補強方法および補強構造
【発明者】 【氏名】西森 敏彦

【要約】 【課題】目地の破損を防止し、経年劣化を抑える。

【解決手段】農業用水路の目地に施される充填材の表面および左右両側面に一定幅でプライマを塗布し、プライマの横幅の範囲内で弾性のある樹脂材を一定肉厚で塗布してから、その上に低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材を配置し、当該シート材の上に弾性のある樹脂材を一定肉厚で塗布し、これらの樹脂材を養生させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】農業用水路の目地に施される充填材の表面および左右両側面に一定幅でプライマを塗布し、プライマの横幅の範囲内で弾性のある樹脂材を一定肉厚で塗布してから、その上に低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材を配置し、当該シート材の上に弾性のある樹脂材を一定肉厚で塗布し、これらの樹脂材を養生させることを特徴とする農業用水路の目地の補強方法。
【請求項2】農業用水路の目地に施される充填材の表面および左右両側面に一定幅で弾性樹脂からなる補強材を固着させて配する一方、当該補強材の内部に、低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材が挟み込まれて配されることを特徴とする農業用水路の目地の補強構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業用水路の目地の補強技術に係り、とくに目地の劣化および破損を防止する構造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】農業用水路は、各種のコンクリートトラフやブロック状の石材を用いて構築される。図5はコンクリートトラフ1を用いた構造例であり、図6はコンクリート等のブロック石材2を用いた構造例である。符号3は構築部材の接合部、すなわち目地である。
【0003】目地3には、表面からの水の侵入を防止するため、例えば図7に示すように、モルタル等、適宜の充填材4を施す。かかる技術は公知であり、充填材4として使用できる材料も各種知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、農業用水路に使用されるような各種のコンクリート製品は、その寿命が45年程度はあると説明され、実際にその通りであるが、構築物としての農業用水路は20〜30年程度で寿命をむかえ、改修されるのが実状である。
【0005】コンクリート製品の寿命と構築物の寿命とが食い違う大きな理由は、目地の劣化や破損に伴う漏水の問題にある。農業用水路6は、例えば図8に示すように、田畑7の一般面よりも上に作られることが少なくなく、その場合には漏水が生ずると田畑7が水浸しになり甚大な被害を惹起する虞れがある。また田畑7の一般面より掘り下げて農業用水路6を作った場合も、目地からの漏水が怒ると田畑7の地面下に大量の水が蓄えられ、根腐れなど作物の成長や収穫量、品質に大きなダメージを与えかねない。
【0006】目地の劣化は、主に充填材の経年劣化であり、劣化前に生ずる破損は主として地震や車両振動に起因する亀裂として顕在化する。
【0007】そこで本発明の目的は、目地の破損(とくに亀裂の発生)を確実に防止するとともに、目地の経年劣化を可能な限り抑止することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明に係る補強方法は、農業用水路の目地に施される充填材の表面および左右両側面に一定幅でプライマを塗布し、プライマの横幅の範囲内で弾性のある樹脂材を一定肉厚で塗布してから、その上に低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材を配置し、当該シート材の上に弾性のある樹脂材を一定肉厚で塗布し、これらの樹脂材を養生させる。
【0009】また同一目的を達成する目地の構造は、農業用水路の目地に施される充填材の表面および左右両側面に一定幅で弾性樹脂からなる補強材を固着させて配してなり、当該補強材の内部に、低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材を挟み込んで備える構造となる。
【0010】
【作用】本発明に係る目地の補強方法および補強構造は、一般に使用される充填材の表面を弾性樹脂材によって被覆すること、および弾性樹脂材の内部に低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材を配する点に特徴がある。
【0011】充填材の表面を弾性樹脂材によって被覆する作用効果としては、第一に漏水の防止効果の確実な向上、第二に充填材の表面を被覆することによる充填材の劣化の抑制、第三に弾性樹脂材が目地部分の動き(とくに振動)を吸収しつつ全体の動きを緩和して充填材および弾性樹脂材それ自体の損傷を最小限に抑える点が挙げられる。
【0012】第一の点に関しては、弾性樹脂材そのものが防水効果をもち一定肉厚で施されることから万一充填材が破損しても表面部分で漏水を確実に食い止めることが出来るという意味である。第二の点は、目地の充填材が外側から被覆されることにより、酸性雨や厳しい寒暖の繰り返し(とくに厳冬期)に起因する自然劣化から保護されることに意味がある。第三の点は、目地に沿って弾性樹脂材を配する結果、地震や車両振動を受けても、構造パーツであるトラフやブロックが独立して勝手に動くのではなく、構築物全体が動くよう外力が吸収され、目地部分の充填材に加わる外力がより低減されるためである。
【0013】また弾性樹脂材の内部に低伸縮性の素材で作ったメッシュ状のシート材を配する作用効果としては、第一に弾性樹脂材からなる補強材それ自体の構造を強化できること、第二に地震や車両振動に伴う弾性樹脂材の動きを一体化して目地部分に加わる外力をより確実に低減できることにある。
【0014】弾性樹脂材からなる補強材の内部に配置するシート材をメッシュ構造とするのは、シート材を挟み込む上下の弾性樹脂材が格子の隙間(間隙)を通して確実に連結しあい両者が一体化すること、つまり弾性樹脂材が上下で分離されず一体化して強い構造を呈すること、第二に、低伸縮性の強い素材(樹脂/金属)を用いてもメッシュの隙間が動きを許容する働きをするため、シート材は上下左右および斜め方向に若干の伸縮する性質をもつことが出来る。この結果としてシート材の素材自体は強い外力を受けても破損する可能性が殆どなく、一方で、外力に応じてある程度の伸縮性を発揮して補強材の振動を全体として受け止め、目地に対する外力を極力緩和する働きをみせる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本発明に係る目地の補強構造の一実施形態を示すものである。この補強構造は、まず目地部分にモルタル等の充填材11を入れ(既設の場合はそのままで良い)、充填材11の表面および左右に一定幅でプライマ12を施す。目地に沿ってプライマ12は一定幅の帯状になる。
【0016】プライマ12の塗布後、その上から弾性樹脂材14を塗布する。一回目に塗布する弾性樹脂材(下塗り材)14の肉厚は、例えば0.3〜2mm程度で十分である。下塗り材(14)は目地部分を平滑に均し、次段の処理を容易にするためのものであるから大きな肉厚にする必要はない。尚、施工に際しては吹き付け法が容易であるが、肉厚をつけるときはゴムベラやマスチックローラを用いても良い。後述する上塗り材(24)も同じである。
【0017】下塗り材(14)の塗布後、直ちにその上からメッシュシート16を配する(図2)。下塗り材(14)が乾燥する前にメッシュシート16を配すれば、メッシュシート16は弾性樹脂材14の表面に貼り付いて固定が確実になる。メッシュシート16は、例えば、図4に示すようにナイロンや塩化ビニル等の樹脂或いはアルミ等の金属泊を打ち抜いたメッシュ地を用いることが望ましい。符号21は肉薄のシート地、22は打ち抜いた空隙である。シート地21に殆ど伸縮性がなくても多数の空隙22がある結果として、前後左右方向および斜め方向の外力に追従して形状を変えることが出来る。網状のもの(例えば金網)でも良いのであるが、編み込んだものは表面に微小な凹凸ができるほか、金網の場合は外力が加わると元の形状に復元しない可能性があり、実際の使用においては好ましい手段ではない。むしろシート状のものを打ち抜いて表面略平滑になっている素材の方が復元力もあり、目地構造の長期保全の観点からは優れている。また凹凸もないので施工が容易である(とくに定着と上塗り材の塗布)。
【0018】次に、図3に示すように、メッシュシート16の上から弾性樹脂材(上塗り材)24を塗布する。上塗り材(24)と下塗り材(14)は同一の樹脂剤を用いて構わない。例えばモルタル配合樹脂であるハイトラフロン(商標名;株式会社共栄)などである。勿論、上塗り材(24)と下塗り材(14)とを変えても良いが、全体を一体化させるという点では好ましくない。上塗り材(24)の塗布後、これを所定時間養生させて工事を完了する。養生の時間は3時間程度、せいぜい24時間を見込めばよい。乾燥により弾性樹脂材14,24の肉厚が減少するので、上塗り材(24)はやや厚めに塗布することが望ましい。例えば、肉厚を1〜3mmとする程度である。
【0019】このようにして施工した目地まわりは、充填材11がの表面が被覆されるので劣化が抑えられ、外力に応じてメッシュシート16と弾性樹脂材14,24が外力によるコンクリートトラフ等の動きを抑えつつ追従して動くため、目地部分の動きは最小限に抑えられ、また弾性樹脂材14,24は可撓性であるから亀裂も生じない。この結果、目地まわりは長期に渡って初期状態を維持し、漏水を確実に防止する。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る農業用水路の目地の補強方法および補強構造によれば、目地の破損(とくに亀裂)を確実に防止でき、経年劣化を可能な限り抑えることが出来る。
【出願人】 【識別番号】500132867
【氏名又は名称】株式会社 共栄
【出願日】 平成12年3月24日(2000.3.24)
【代理人】 【識別番号】100099014
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 滿茂
【公開番号】 特開2001−271326(P2001−271326A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−85372(P2000−85372)