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【発明の名称】 海水交換型防波堤
【発明者】 【氏名】本田 秀樹

【氏名】塩崎 禎郎

【要約】 【課題】低波浪で潮位が低いときでも海水交換ができる海水交換型防波堤を提供する。

【解決手段】前壁に設けた海水面の上下に亘って開口を有する開口部11aと、後壁に設けた海水面下に開口する開口部11bとを介して港外1と港内2の海水4に連通する遊水室13を堤体3の内部に形成し、前記遊水室内に遊水室を前後に分割する壁体5を設け、この壁体の上端に港外に向かって下る傾斜部20を形成させた海水交換型防波堤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前壁に設けた海水面の上下に亘って開口を有する開口部と、後壁に設けた海水面下に開口する開口部とを介して港外と港内の海水に連通する遊水室を堤体の内部に形成し、前記遊水室内に遊水室を前後に分割する壁体を設け、該壁体の上端に港外に向かって下る傾斜部を形成させたことを特徴とする海水交換型防波堤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、漁港や港湾等に構築される海水交換型防波堤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、防波堤は港湾内の静穏度の確保に重点をおき構築されてきたため、閉鎖性が強く港湾内外の海水の交換が悪い場合が多い。このため、港湾内の水質が悪化していた。この水質の悪化を防ぐとともに、港湾内の静穏度を維持すると言う一見相反する目的を達成するために、港外の海水を港内に積極的に取り入れる海水交換型防波堤の開発が行われるようになった。
【0003】この海水交換型防波堤として、特開平09−031937号が開示されている。これは、図4に示すように、前壁11に設けられた海水面6の上下に亘って開口した開口部11aと、後壁12に設けられた海水面下に開口する開口部とを介して港外1と港内2の海水4に連通する遊水室13を堤体の内部に形成し、上部工14を海面上に突出させた海水交換機能を有する防波堤において、遊水室13内にその下部を前後に分割する壁体5を立設したもので、後壁12の近くで発生する強い流れをなくして港内の静穏度を確保するとともに、海水交換を十分行おうとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開平09−031937号の防波堤においては、港内の静穏度を維持し、かつ、海水交換を行うという目的は一応達成できるが、波高が20cm程度の低波浪時で、潮位が壁体高さより波高の半分程度低いときには、前壁の開口部を通過してきた波が壁体を越えることができないため、海水交換が行われないという問題がある。
【0005】本発明は、低波浪で潮位が低いときでも海水交換ができる海水交換型防波堤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を、前壁に設けた海水面の上下に亘って開口を有する開口部と、後壁に設けた海水面下に開口する開口部とを介して港外と港内の海水に連通する遊水室を堤体の内部に形成し、前記遊水室内に遊水室の下部を前後に分割する壁体を設け、該壁体の上端に港外に向かって下る傾斜部を形成させた海水交換型防波堤によって達成する。
【0007】この防波堤は、上端に港外に向かって下る傾斜部を形成してあるので、低波浪時であって、潮位が壁体上面より波高の半分程度低いときでも、遊水室前室に侵入した波が壁体の傾斜部に達すると、斜面に沿って波がはい上がる打ち上げ現象が生じ、傾斜部を昇り遊水室後室に流入する。これにより、遊水室後室の水位が上昇し、港内水位との間に水位差を生じて港内への海水導入が行われる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は、本発明に係る海水交換型防波堤の幅方向断面図である。図において、防波堤3を海面6の下の所定深さから上方に、港外に面する前壁11と港内に面する後壁12を設け、前壁11と後壁12との間を底部が閉鎖された遊水室13とする。さらに、この遊水室13の底部の後壁12寄りの位置から壁体5を立設して、前壁11側の前室13aと後壁12側の後室13後室13bに分ける。ここで、前壁11および後壁12の上端は、波が乗り越えない高さレベルとし、前壁11に高さ方向に延びるスリット状開口部11aを、防波堤の長さ方向に一定の間隔で設けている。また、後壁12にも開口部12aが防波堤の長さ方向に一定の間隔で設けられている。後壁12の開口部12aは、海水面下に設けられ、干潮時でも水没するような低い位置で、かつ、前壁11よりも小さい開口率に形成されている。なお、前壁11と後壁12の上部には、上部工13が架け渡されるている。
【0009】本発明では上記構造の防波堤において、低波浪で潮位の低いときでも海水交換を実現するために、壁体5の上端に港外1に向かって下る傾斜部20を形成している。この傾斜部の水平面に対する傾斜角度は、8°〜10°の範囲が望ましい。
【0010】この壁体5の傾斜部20の機能を次に説明する。比較的波高が高い場合には、押し波時において、図2(a)に示すように、港外1から防波堤3に押し寄せた波Wは前壁11の開口部11aから遊水室13の前室13aに侵入し、壁体5を乗り越え後室13bに流入して後室13b内の水位を上昇させる。これにより、遊水室後室13bと港内2との間に水位差が生じ、港内2へ海水導入が行われる。また、引き波時においては、図2(b)に示すように、遊水室前室13aの水位が低下するが、壁体5があるので遊水室後室13bの水位は低下しないので、港内2の海水が前壁開口部11aを通して港外1に流出(逆流)することはない。即ち、開口部12aにおいては、常に港内2への一方向流であり、港外1の海水が港内2へ導入される。
【0011】一方、低波浪時において、潮位が壁体5上端より波高の半分程度に低くなったときは、図3(a)のように、壁体5の上面が水平になっている場、港外1からの矢印イの方向に進行し、遊水室前室13aに入ってきた波Wは壁体5で押し戻され、壁体5を越えることはできず、港内2への海水導入は行われない。しかし、図3(b)のように、壁体5の上端に港外1に向かって下る傾斜部20を形成すれば、遊水室前室13aに入った波Wは、傾斜部20に至り、港内側に向かう速度を得て傾斜部20を昇り遊水室後室13bに流入する。これにより遊水室後室13bの水位が上昇し、港内水位との間に水位差を生じて、港内2への海水導入が行われる。
【0012】
【発明の効果】本発明の海水交換型防波堤は以上のように構成されているから、低波浪時で、潮位が壁体上面より波高の半分程度下がっても港外の海水を港内に取り込むことができる。即ち、従来の海水交換型防波堤よりも、より多く海水を港内に導入することができる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【代理人】 【識別番号】100097272
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 茂
【公開番号】 特開2001−271320(P2001−271320A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−87724(P2000−87724)