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【発明の名称】 パネルの固定構造ならびにパネルおよびパネル取り付け部材
【発明者】 【氏名】服部 幸夫

【氏名】横山 昌之

【氏名】沢田 淳也

【氏名】久保田 忠光

【要約】 【課題】取り付け作業の施工性が高く、吸音部材自体の構造も簡単で安価であり、取り付け作業も簡易化されるパネルの固定構造を提供することである。

【解決手段】長方形で平面型の吸音パネル101の上面の左右両端部の中央部位に取り付け用部材102,103が設けられている。一方の取り付け用部材103は、回転可能に仮固定されている。取り付け用部材102を一方の梁(H型鋼)に係合させてから取り付け用部材103を回転させて他方の梁に係合させる。それから吸音パネルをボルト穴112〜115を用いて梁にボルト締めして固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造物に固定された梁にパネルが固定された構造であって、前記パネルは、取り付け面が平坦で、前記取り付け面には、梁にパネルを取り付けるための取り付け部材と、梁にパネルをボルト締めするためのボルト穴とを備え、前記取り付け部材は、前記取り付け面から所定の距離離れて対向した係合用張出部と、前記取り付け面に接触する取り付け部と、パネル落下防止用ワイヤー穴とを備え、前記ボルト穴を用いて梁にパネルが固定されて前記係合用張出部と前記梁との係合状態が解除されていることを特徴とするパネルの固定構造。
【請求項2】 構造物に固定された梁に取り付けられる取り付け面が平坦なパネルと、前記取り付け面に取り付けられる少なくとも2つの取り付け部材とを備え、前記取り付け部材の1個は回転して梁に係合可能であり、前記取り付け部材は、前記取付け面から所定の距離離れて対向した係合用張出部と、前記取り付け面に接触する取り付け部と、パネル落下防止用ワイヤー穴とを備えていることを特徴とするパネル。
【請求項3】 構造物に固定された梁に取り付け面が平坦なパネルを取り付けるための取り付け部材であって、前記取り付け面から所定の距離離れて対向した係合用張出部と、前記取り付け面に接触する取り付け部と、パネル落下防止用ワイヤー穴とを備えていることを特徴とするパネル取り付け部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高架道路の構造物の下面等に取り付けられる吸音パネルの取り付け構造、およびその取り付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高架道路等の下面を吸音構造とすることにより、騒音を低減する技術が知られている(例えば、NIKKEI CONSTRUCTION 1997.12.12 p66〜71参照)。この技術は、高架道路の下に道路がある場合に、高架道路の下面でその道路における車の走行音等が反射し、騒音が発生することを抑制するためのものである。
【0003】高速道路等の高架道路は、その総延長距離が数10Km以上にわたる場合もある。そこで、上記技術には、[1]簡単な構造で信頼性が高く、低コストであること。
[2]施工が極力簡単であること。
が要求される。
【0004】一般に高架道路の下面を吸音構造とするには、高架道路の下面に吸音パネル等の吸音部材を取り付ける。高架道路の下面に吸音部材を取り付けるには、高架道路の下部に所定の間隔で設置されたH型鋼からなる梁に吸音部材をボルトで取り付けるのが普通である。吸音部材は、人が取り扱える程度の寸法と重さであるが、多数の吸音部材を高架道路の下側にボルトで取り付けるのは、かなり面倒な作業となる。
【0005】例えば、作業者が吸音部材を下方から支えながら、ボルト穴の位置合わせを行ない、さらにボルトを締めつける際に吸音部材が動かないように下方から人手で押さえつけるといった作業は、高所での作業でもあり、しかも1個ずつの吸音部材に対しかかる作業を行なわなければならず、極めて施工性の低いものとなっている。吸音部材を下方からボルトで取り付けた場合、振動によりボルトが緩み、ボルトが落下してしまうことがある。
【0006】このような問題を解決する技術としては、従来、例えば、特開平9−165722号公報に記載されたものが公知である。この公報に記載されているのは、吸音部材を高架橋の下面に取り付ける構造において、吸音部材の端部に回転部材を設けておき、この回転部材を回転させて梁に仮支持させたあと、その吸音筒を高架道路下面の梁に固定する技術である。
【0007】この公報に記載された施工技術では、吸音部材を所定の配置位置に下方から押さえつけ、その状態で回転部材を吸音部材から外方に回転させ、この外方に突出した部分を利用して吸音部材と梁の一部とを係合させて吸音部材が高架道路の下面から落下しない状態を得る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、高速道路等の高架道路の内部には、光ファイバーケーブル等の通信回線が配設されており、そのメンテナンスのための空間が高架道路内に設けられている。このような構造においては、高架道路の下面に取り付けられる吸音部材の上面と高架道路の下面との間の空間が上記メンテナンス空間の床となることが要求される。
【0009】これは、吸音部材をメンテナンス空間の床としても機能させることにより、[1]高架道路の構造を簡略化し、部品コストや工事コストを削減する。
[2]限られた容積の中で、メンテナンス空間を極力大きくする。といった要求事項を満足するためである。
[3]振動により固定部分が緩み、吸音部材やその構成部材、または吸音部材を取り付けるための部品等が落下してしまうことがない構造を得る。吸音部材をメンテナンス空間の床として機能させる場合、その上を人間が歩き回り、作業ができ、またメンテナンスに必要な機材や材料の重さに耐える程度の耐久性が要求される。
【0010】前述した特開平9−165722号公報に記載された技術では、吸音部材が回転部材によって支えられる構造となるので、吸音部材をメンテナンス空間の床として機能させた場合、その耐久性に問題が生じる。これは、床として機能させた場合に、吸音部材の重量、人の重量、メンテナンス用の機材や材料の重量の総てを合計した重さが回転部材によって支えられる構造となるからである。
【0011】また、特開平9−165722号公報に記載された技術では、回転部材によって、吸音部材と高架道路下部の梁とを係合させた状態では、吸音部材が梁に引っ掛かった状態であり、特殊なバネによって吸音部材を梁に固定する必要がある。このような構造は、部品数の増加、作業の煩雑化、信頼性の低下といった点で好ましくない。
【0012】本発明は、以上述べたような従来技術の問題を解決した構成を提供することを課題とする。即ち、高架道路の下面に配置される吸音部材において、[1]施工性が高い。
[2]吸音部材自体の構造が極力簡単である。
[3]吸音部材を高架道路内に設けられたメンテナンス空間の床として機能させた場合に高い信頼性がある。
[4]パネル取り付けボルトが緩んだり、外れたりしても、パネルが梁から落ちない構造とする。
といった効果を得ることができる吸音パネルの固定構造ならびにパネルおよびパネル取り付け部材を提供することを本発明の課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1の発明によるパネルの固定構造は、構造物に固定された梁にパネルが固定された構造であって、前記パネルは、取り付け面が平坦で、前記取り付け面には、梁にパネルを取り付けるための取り付け部材と、梁にパネルをボルト締めするためのボルト穴とを備え、前記取り付け部材は、前記取り付け面から所定の距離離れて対向した係合用張出部と、前記取り付け面に接触する取り付け部と、パネル落下防止用ワイヤー穴とを備え、前記ボルト穴を用いて梁にパネルが固定されて前記係合用張出部と前記梁との係合状態が解除されていることを要旨とする。
【0014】また請求項2の発明によるパネルは、構造物に固定された梁に取り付けられる取り付け面が平坦なパネルと、前記取り付け面に取り付けられる少なくとも2つの取り付け部材とを備え、前記取り付け部材の1個は回転して梁に係合可能であり、前記取り付け部材は、前記取付け面から所定の距離離れて対向した係合用張出部と、前記取り付け面に接触する取り付け部と、パネル落下防止用ワイヤー穴とを備えていることを要旨とする。
【0015】さらに請求項3の発明によるパネル取り付け部材は、構造物に固定された梁に取り付け面が平坦なパネルを取り付けるための取り付け部材であって、前記取り付け面から所定の距離離れて対向した係合用張出部と、前記取り付け面に接触する取り付け部と、パネル落下防止用ワイヤー穴とを備えていることを要旨とする。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施の形態の一例を示す。図1には、吸音部材として、長方形で平板型の吸音パネル101および吸音パネル101の上面の左右両端部中央に取り付けられた吸音パネルの取り付け用部材102,103が示されている。
【0017】吸音パネル101は、長方形の金属製箱体110を有し、その下面109が多数の吸音孔を有するパンチングメタルとなっており、その内部にはグラスウールが充填されている。ここで示す吸音パネル101は、その寸法が、例えば、2000mm×650mm×100mmであり、その重さは27kgである。
【0018】図1に示す構造では、吸音パネル101の長手方向の両端部位にパネル取り付け用部材102および103が取り付けられている。前記取り付用部材102および103は、図3に示すような形状を有している。同図において、206は係合用補助穴、207は梁への係合用張出部、208は取り付け部で、この取り付け部に取り付け穴104,105(図1参照)が設けられている。図1は、吸音パネルを取り付ける前段階の状態を示す。図1に示す状態において、一方の取り付け用部材102は、パネル取り付け穴104および105の部分でリベット止め又はボルト止めにより、吸音パネル101に固定されている。
【0019】他方の取り付け用部材103は、取り付け穴106の部分のみでボルトが緩められた状態で吸音パネル101に仮固定されている。この状態において、取り付け用部材103は、矢印107で示されるように106の部分を軸として回転可能となっている。
【0020】また、吸音パネル101の108で示す部分にはボルト緩め用の穴が設けられており、取り付け用部材103の取り付け穴105と穴108の位置合わせを行なってボルト締めを行なうことができる構造となっている。また、吸音パネル101の長手方向の両端部位には、112,113,114,115で示されるボルト締め用の穴が設けられている。各ボルト取り付け用の穴には、その反対側にナットが溶接されており、ボルトが螺合できる構造となっている。
【0021】吸音パネル101を高架道路の下面に取り付ける手順を以下に示す。まず、図1の状態の吸音パネルを用意する。この状態では、一方の取り付け用部材103を他方の取り付け用部材102に対して、90°程度内側に回転させた状態となっている。
【0022】そして、図2(A)の205で示されるように高架道路の下面300に固定されたH型鋼201の一部分に吸音パネル101に予め固定されている取り付け用部材102の係合用張出部207を係合させる。さらに吸音パネル101の位置を水平に保持した状態で回転可能な取り付け用部材103を回転させ、上記下面300に固定された他のH型鋼202の一部に取り付け用部材103を係合させる。これにより、パネル101は取り付け用部材102,103を介して梁201,202に仮支持される。
【0023】このあと、ボルト取り付け用の穴105とパネル側のボルト穴108との位置合わせを行ない、そこにボルトで締めつけ、取り付け用部材103を吸音パネル101に固定する。また、緩く締められた106の部分のボルトを締めつける。ここまでの施工は、吸音パネルの下方に1人、吸音パネルの上方に1人の計2名の作業者によって行なうことができる。
【0024】この図2(A)に示す状態では、H型鋼201に対して、取り付け用部材102が係合し、さらにH型鋼202に対して、取り付け用部材103が係合している。この状態では、吸音パネル101が取り付け用部材102,103により2本のH型鋼201と202にぶら下がった状態となっている。
【0025】この状態では、取り付け用部材102,103がH型鋼の一部に引っ掛かっただけの状態であるから、吸音パネル101は、H型鋼201,202の長手方向に移動させることができる。
【0026】また、この状態においては、吸音パネル101上を人が歩くのに十分な程度の強度が確保されている。当然のことながら、吸音パネル101の上面側110は、床として機能するために十分な強度を有していることが必要とされる。
【0027】一般的な施工では、まず、複数枚の吸音パネルを図2(A)に示すような仮止めの状態とする。その後に1枚ずつ吸音パネルの位置を微調整しながら、図1の112〜114で示されるような各パネルのボルト穴(H型鋼へ直接ボルト締めを行なうためのボルト穴)の位置合わせを行なって、吸音パネルをH型鋼にボルトで固定していく。このボルト締めを行なうことによって、吸音パネル101は、2本のH型鋼201および202に本止めされる。このボルト締めは、1人の作業者によって簡単に行なうことができる。これは、取り付け用部材102および103によって、吸音パネル101がすでに仮止めされているからである。
【0028】図2(B)には、本止めされた後における吸音パネル101のH型鋼201と202への固定部を拡大したものが示されている。図2(B)に示すように、本止め用のボルト203や204を締めつけると、取り付け用部材102および103は、同図(A)の仮止め状態からH型鋼201および202に対して相対的に浮き上がり、係合状態が解除される。但し、両者は上下方向に離れているだけで、互いに重なりあった状態は維持される。従って、203や204で示される本止め用のボルトを緩めると、取り付け金具がH型鋼に対して再び係合した状態となる。従って、本止め用のボルトを外しても取り付け部材によって、吸音パネルはH型鋼に引っ掛かって仮止めされた状態となるので、吸音パネルの交換時における危険性を大きく防止することができる。また、振動等により、ボルトが緩んだり、外れても、取り付け用部材がH型鋼に対して係合するので、吸音パネルをH型鋼に保持させることができる。
【0029】図2(B)で示す構造では、H型鋼に対して、吸音パネルをボルトでもってしっかりと固定することができる。こうすることで、吸音パネルの床としての信頼性を高いものとできる。なお、図2(B)に示す係合用補助穴206にワイヤーを通し、さらにそのワイヤーを高架道路側の部材に固定することで、不慮の事故時における吸音パネルの落下を防止することもできる。
【0030】なお、ここでは、平板状の吸音パネルを用いる例を示したが、裏面側(高架道路内部側)が床として機能する形状で、表面側(露呈する面)がカマボコ形状や適当な凹凸形状を有する吸音パネルを用いることもできる。また、吸音パネルを水平に取り付ける場合のみではなく、多少斜めに取り付ける場合にも本発明を利用することができる。さらに取り付け用部材は吸音パネルの一方端部に2個以上設けてもよく、吸音パネルの長手方向の一側面に振動吸収用ゴム部材等を接着しておくと、高架道路の振動吸収に有効である。なお、上述した説明では、高架道路の下面に吸音部材を配置する場合の例を示したが、本発明は、その他の構造物の下面に各種パネルを固定する場合にも利用することができる。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、高架道路の下面に吸音パネルを取り付ける構造において、[1]高い施工性が得られる。即ち、パネルの梁への仮支持作業、仮支持させたパネルを梁の延長方向に移動させる作業、パネルを梁に固定する作業は、2人の作業者によって行なうことが可能である。
[2]吸音部材自体の構造を極力簡単なものとし、低コスト化できる。
[3]吸音部材を高架道路内に設けられたメンテナンス空間の床として機能させた場合に高い信頼性を得ることができる。
[4]吸音部材を取り付けるためのボルトを上方から取り付ける構造とできるので、振動によるボルトの落下をなくすことができる。
[5]また、ボルトが外れてしまっても吸音部材を梁で支持させることができるので、パネルを落下させるおそれはない。
といった効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
【出願日】 平成10年3月30日(1998.3.30)
【代理人】 【識別番号】100072383
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 武三郎
【公開番号】 特開2001−271312(P2001−271312A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2001−63268(P2001−63268)