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【発明の名称】 ロックシェッド又は/及びスノーシェッド
【発明者】 【氏名】下山 義秀

【氏名】小柳 直昭

【要約】 【課題】高い耐衝撃性を有し、基礎工が軽減でき、物理的・化学的耐久性があって維持管理が殆ど不要のロックシェッド及び/又はスノーシェッドを提供する。

【解決手段】少なくとも、セメント、ポゾラン質微粉末、粒径2mm以下の骨材、水及び減水剤を含む配合物からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、セメント、ポゾラン質微粉末、粒径2mm以下の骨材、水、及び減水剤を含む配合物からなることを特徴とするロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項2】 配合物が、金属繊維、有機繊維、炭素繊維の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項3】 金属繊維が、径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmの鋼繊維である請求項2記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項4】 有機繊維が、径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維から選ばれる一種以上の繊維である請求項2記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項5】 炭素繊維が、径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmである請求項2記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項6】 配合物に、平均粒径3〜20μmの無機粉末を含む請求項1〜5の何れか記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項7】 配合物に、平均粒径1mm以下の針状粒子及び/又は板状粒子を含む請求項1〜6の何れか記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【請求項8】 配合物に、粗骨材を含む請求項1〜7の何れか記載のロックシェッド又は/及びスノーシェッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、山間部などの道路等で、車両や通行人を落下物や流入物などから防ぐ為に道路横に設置される防護柵に関するものであって、具体的には道路等に、土石が落下するのを防止するロックシェッドや雪崩の流入や雪氷落下を防止するスノーシェッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ロックシェッドやスノーシェッドは山間地や山間積雪地の道路、或いは路壁が切り立った崖地に面する道路などにおいて、落石や雪崩などから通行車両や乗員、通行者を守ると共に、道路機能が失われないようにするために設置される。このような防護柵に要求される特性としては、落石や雪崩による衝撃荷重作用に対する耐力が求められる。耐力を確保するためには、用いる材料の強度と部材厚さの組合せにより行う。即ち、同じ耐力を発現さすには、高強度・高靱性の材料を用いればそれだけ部材の厚みを薄くすることができる。この材料特性の他、山間狭盆地等の地理的・地形的な建設条件も考慮し、また建設費や維持管理費のコスト的観点などを総合し、コンクリート製若しくは鋼製の材質からなる防護柵が使用されている。
【0003】ロックシェッドやスノーシェッドなどの防護柵の設置場所は前記のような地形的な面から、機材搬入、設置作業、設置スペース等に制約を受けることが多い。このため基礎工などをできるだけ軽減できる構造とすることが求められ、鋼製の防護柵を使用することが多かった。鋼製のロックシェッドやスノーシェッドは構築時の作業性に優れ、脆性破損が起き難いものの、化学的耐久性に難があり、腐食防止用の塗装が定期的に必要で維持コストが大きくなるという欠点があった。一方、コンクリート製のロックシェッドやスノーシェッドは衝撃抵抗が比較的優れ、また塗装が不要のため維持コストが殆どかからないものの、基礎工が大きくなり易く、設置上の制約などから採用できないことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記欠点を改善するものであって、従来のコンクリートよりも高い強度と靱性を有し、基礎工が軽減でき、且つ耐腐食性にも優れたロックシェッド及び/又はスノーシェッドを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題解決のため鋭意検討した結果、以下(1)〜(8)に記した水硬性の配合物の硬化体をロックシェッド及び/又はスノーシェッドとして活用することで前記目的に適う効果が得られたことから、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、(1)少なくとも、セメント、ポゾラン質微粉末、粒径2mm以下の骨材、水、及び減水剤を含む配合物からなることを特徴とするロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(2)配合物が、金属繊維、有機繊維、炭素繊維の何れか1種又は2種以上を含むことを特徴とする前記(1)のロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(3)金属繊維が、径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmの鋼繊維である前記(2)のロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(4)有機繊維が、径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維から選ばれる一種以上の繊維である前記(2)のロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(5)炭素繊維が、径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmである前記(2)のロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(6)配合物に、平均粒径3〜20μmの無機粉末を含む前記(1)〜(5)の何れかのロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(7)配合物に、平均粒径1mm以下の針状粒子及び/又は板状粒子を含む前記(1)〜(6)の何れかのロックシェッド及び/又はスノーシェッド。(8)配合物に、粗骨材を含む前記(1)〜(7)の何れかのロックシェッド及び/又はスノーシェッド。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に於いて、配合物に必須含有されるセメントは、特に限定されず何れのセメントでも使用でき、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトセンドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントを挙げることができる。
【0008】また、本発明に於いて、配合物に必須含有されるポゾラン質微粉末は、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ等が挙げられる。一般に、シリカフュームやシリカダストでは、その平均粒径は、1.0μm以下であり、粉砕により微粉化する必要がないので好適である。比較的粒径の大きいポゾラン物質では粉砕を行い、平均粒径1.0μm以下に調整する。
【0009】ポゾラン質微粉末が配合されることにより、そのマイクロフィラー効果及びセメント分散効果により硬化体が緻密化し、圧縮強度が向上する。一方、ポゾラン質微粉末の添加量が多くなると単位水量が増大するので、ポゾラン質微粉末の添加量はセメント100重量部に対して5〜50重量部が好ましい。
【0010】また、配合物には粒径2mm以下の骨材、好ましくは粒径1.5mm以下の骨材、が必須含有される。この場合、骨材の粒径とは85%(重量)累積粒径であり、従って粒径2mmを超える骨材が多少含まれても良い。全骨材量に対する粒径2mm以下の骨材量が少なくなると、強度が低下するため、粒径2mm以下の骨材量は、全骨材量の50重量%以上が好ましい。
【0011】本発明では、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂の何れか1種又は2種以上からなる混合砂が粒径2mm以下の骨材として使用できる。この骨材の配合量は、強度や耐久性を高める上で、セメント100重量部に対して50〜250重量部が好ましく、80〜180重量部がより好ましい。
【0012】また、本発明に於ける配合物は、減水剤を必須含有する。減水剤は、減水効果の大きい高性能減水剤又は高性能AE減水剤が好ましく、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の何れかの成分系のものを使用することができる。減水剤の添加量は、配合物の流動性や分離抵抗性、硬化後の強度、更にはコスト等から、セメントに対して固型分換算で0.5〜4.0重量%が好ましい。尚、減水剤は粉末状又は液状の何れであっても良い。
【0013】また、本発明に於いて、必須配合する水の量は、含水配合物の流動性や分離抵抗性、また硬化後の強度や性状安定性等からセメント100重量部に対し10〜35重量部が好ましく、15〜25重量部がより好ましい。水の配合量が10重量部未満では流動性が低下して配合物の混練が困難になるので何れも好ましくない。
【0014】また、本発明では、硬化体の曲げ強度を高め、とりわけ靱性を向上させる点から、金属繊維、有機繊維、炭素繊維の何れか1種以上を含んだ配合物を用いるのが好ましい。金属繊維は鋼繊維やアモルファス繊維等が挙げられるが、特に鋼繊維が高強度であって入手し易く、又コスト的にも比較的安価であることから推奨される。金属繊維は、直径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。直径0.01mm未満では張力によって切断され易くなり、また直径1.0mmを超えると同一配合量では硬化体に含まれる繊維の数が激減することになるため、強度や靱性の低下が顕著となるので何れも好ましくない。また、繊維長さが30mmを超えると、混練時にファイバーーボールが生じ易くなるので、好ましくない。繊維長さが2mm未満ではマトリックスとの付着力が低下するため曲げ強度が低下するので好ましくない。金属繊維の配合量は、凝結後の硬化体体積の4%未満に相当する量が好ましく、より好ましくは、3.5%未満に相当する量とする。配合量が4%以上では、流動性が低下して作業性も低下するので好ましくない。
【0015】また、有機繊維は、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維などを挙げることができる。有機繊維と炭素繊維の形状寸法は、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。有機繊維及び/又は炭素繊維の配合量は、凝結後の硬化体体積の10%未満に相当する量が好ましく、より好ましくは7%未満に相当する量とする。配合量が10%以上では繊維分散性が低下し、また配合物の流動性も乏しくなるので好ましくない。
【0016】また、配合物には、硬化体の充填密度や耐久性を高める観点から、平均粒径3〜20μm、より好ましくは平均粒径4〜10μmの無機粉末を含むことが好ましい。無機粉末としては石英粉末がコスト的に安価であり、所望の効果を十分発現できることなどから特に推奨される。石英粉末は天然鉱物源とする晶質又は非晶質の石英の他、シリカを主成分とする無機粉末であれば限定されない。該粉末の配合量は、セメント100重量部に対し、50重量部以下が好ましく、20〜35重量部がより好ましい。配合量が50重量部を超えると配合物の流動性が低下したり、硬化後の強度が低くなるので好ましくない。
【0017】また、本配合物は、硬化後の靱性を高めるため、平均長軸径が1mm以下の針状及び/又は板状の粒子を含むものが好ましい。針状粒子としては、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等の天然若しくは合成の鉱石類からなるものを挙げることができ、板状粒子としては、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等を挙げることができる。針状及び/又は板状の粒子の配合量は、セメント100重量部に対し、最大35重量部とするのが好ましく、10〜25重量部がより好ましい。配合量が35重量部を超えると、配合物の流動性が低下したり、硬化性が低下することがあるので好ましくない。尚、針状粒子の形状寸法は、針状度、即ち(長軸径/短軸径)の値が3以上のものが望ましい。
【0018】また、本発明のロックシェッド及び/又はスノーシェッドは粗骨材を含むものであっても良い。粗骨材は液分を除く全配合物中の60体積%まで含有することができる。好ましくは50体積%以下とする。60体積%を超えると実用上必要とされる耐衝撃性が得られ難くなるので好ましくない。細骨材に比べて比較的安価である粗骨材を含有させることにより、粒径2mm以下の骨材の使用量を低く抑えることが可能となり、コスト低減に繋がる。
【0019】本発明に於ける配合物は、上記成分以外の他の成分、例えば他の混和剤などを必要に応じて適宜含むものであっても良い。
【0020】ロックシェッド及び/又はスノーシェッドを製造する上で、配合物を構成する各成分の配合順序は特に限定されない。一例を挙げれば、各成分を混練機に一括投入して混練する方法。また、水、減水剤以外の成分を予め乾式混合(プレミックス)し、次いで該プレミックス物、水及び減水剤を、粗骨材を使用する場合はこれに粗骨材を加えたものを、混練機に投入し混練する方法。但し、粉末状減水剤使用の場合は減水剤もプレミックスしておく、などの方法がある。混練は、一般にコンクリート製造で使用されている混練機なら何れのものを用いて行っても良く、例えば揺動型ミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等を使用することができる。
【0021】本発明では、ロックシェッド及び/又はスノーシェッドの構築方法は、特に限定するものではないが、通常は、前記の如く混練した配合物を施工現場へ搬送し、打設し、締め固めて施工場所に敷設するか、或いは前記の如く混練した配合物を工場でロックシェッド及び/又はスノーシェッド製品を構成する部材型枠に充填し、硬化後の部材を施工現場へ搬送し、現地で組み立て設置しても良い。尚、本発明ではロックシェッド及び/又はスノーシェッドの形状を制約するものではない。
【0022】
【実施例】普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)、平均粒径0.7μmのシリカフューム、珪砂4号と5号の重量比2:1からなる混合砂、直径0.2mmで長さ15mmの鋼繊維、市販のポリカルボン酸系高性能AE減水剤、平均粒径7μmの天然石英粉末、長軸径0.3mmで長軸径/短軸径=約4の針状ウォラストナイト、粗骨材(砕石1505)並びに水から選ばれた材料を、表1に表す配合量となるよう二軸練りミキサに投入し、混練を行った。尚、粗骨材を配合したものについては粗骨材、水及び減水剤以外の材料を予め乾式混合した後、該混合物、粗骨材、水及び減水剤を二軸練りミキサに投入し、混練を行った。粗骨材を配合しないものは各材料を二軸練りミキサに一括投入し、混練を行った。
【0023】
【表1】

【0024】混練してなる配合物からJIS A1132に準じた方法により圧縮強度試験用供試体及び曲げ試験用供試体をそれぞれ作製し、JIS A1108の方法に準じて圧縮強度を、またJIS A1106の方法に準じて曲げ強度を測定した。測定結果を表1に併せて表す。
【0025】
【発明の効果】本発明のロックシェッド及び/又はスノーシェッドは、格段に高い強度と靱性を有し、その結果、従来のコンクリート系ロックシェッド及び/又はスノーシェッドと比べると、同様の耐衝撃性を発現させる上で、その部材厚さなどの断面寸法を大幅に削減することが可能となり、より縮小・軽量化が図れるので施工現場への搬入や組立設置等の作業負担を著しく軽減できる。また、従来の金属系ロックシェッド及び/又はスノーシェッドより優れた化学的耐久性を有するので、腐食防止等に対する装備や維持管理が不要になり、トータルコスト低減も図れる。
【出願人】 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【出願日】 平成12年2月14日(2000.2.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−226916(P2001−226916A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−34395(P2000−34395)