| 【発明の名称】 |
コンクリート構造体およびその補強方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤間 章彦
【氏名】渡辺 淳一
【氏名】野口 浩
【氏名】小泉 雄介
【氏名】村尾 正義
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| 【要約】 |
【課題】容易に短時間で施工でき高強度が得られるコンクリート構造体の補強方法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造体の補強箇所の表面を研磨などにて清掃する。組布をコンクリート構造体の表面に貼り付ける。組布は、複数の繊維束が軸方向を1方向で所定間隔を介して並列状に配列する繊維群を、繊維束を織り込まずに一体的に積層形成したものを用いる。組布の繊維束の軸方向は、3軸もしくは4軸とする。貼り付けた組布に常温で液状の熱硬化性樹脂を含浸し、脱法して硬化し、一体に取り付けて補強する。組布の外部からの引っ張り力に抗する強度に方向性がない。バラツキのない強度にて確実にコンクリート構造体に作用から作用する負荷を吸収でき、高強度に補強できる。施工が容易で短時間にできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸方向を略同一方向に配列した繊維がこれら繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成されコンクリート表面に一体的に取り付けられた組布と、この組布に含浸して硬化された熱硬化性樹脂とを具備したことを特徴としたコンクリート構造体。 【請求項2】 組布は、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層されて形成されたことを特徴とした請求項1記載のコンクリート構造体。 【請求項3】 コンクリート構造体の表面に、軸方向を略同一方向に配列した繊維がこれら繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成された組布を取り付け、このコンクリート構造体の表面に取り付けられた組布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させることを特徴とするコンクリート構造体の補強方法。 【請求項4】 軸方向を略同一方向に配列した繊維がこれら繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成された組布に液状の熱硬化性樹脂を含浸し、この熱硬化性樹脂を含浸した組布をコンクリート構造体の表面に取り付けて前記熱硬化性樹脂を硬化することを特徴とするコンクリート構造体の補強方法。 【請求項5】 繊維の軸方向を3方向または4方向で積層されて形成された組布を用いることを特徴とする請求項3または4記載のコンクリート構造体の補強方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、含浸された熱硬化性樹脂が硬化された組布が表面に一体的に取り付けられたコンクリート構造体およびその補強方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、道路、鉄道、橋、トンネル、建造物などのコンクリート構造体の補強方法として、例えば繊維の軸方向が1方向に沿って連続する連続繊維シートや繊維の軸方向が略直行するように織り込んだ平織クロスなどの織布をコンクリート構造体の表面に取り付けて樹脂を含浸させて硬化することにより、コンクリート構造体の表面に繊維強化プラスチックの層を形成して補強する方法が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、繊維の軸方向が1方向の連続繊維シートを用いたものでは、繊維の軸方向に対して外部から引っ張り力が作用する場合、繊維強化プラスチックの引っ張り力に抗する大きな強度が得られるものの、繊維の軸方向に対して異なる方向、すなわち繊維の軸方向と引っ張り力が作用する方向との成す角が90°に近づくにつれて強度が低下する。このため、繊維の軸方向が1方向の連続繊維シートを用いる場合、コンクリート構造体に亀裂が生じるような大きな引っ張り力が作用すると、繊維強化プラスチックが破損するなどのおそれがある。このことから、連続繊維シートを繊維方向が異なるように、コンクリート構造体の表面に複数積層して張り付けることも考えられるが、施工が煩雑で、施工に時間を要し、例えば道路や鉄道のトンネルを補強する場合には、車両の往来を規制して補強工事をしなければならないため、施工時間に限りがあるコンクリート構造物の補強には、利用できず、汎用性に乏しい問題がある。 【0004】また、織布を用いて補強する場合、織布の引っ張り力に抗する強度に方向性はあまりないものの、互いに織り込まれた繊維の交点に応力が集中するので、実際には理論強度の半分強程度の強度しか得られない。このため、コンクリート構造体に亀裂が生じるような大きな引っ張り力が作用する場合には、繊維が切断して繊維強化プラスチックが破損するなどのおそれがある問題がある。 【0005】本発明は、上記問題点に鑑みて、容易に短時間で施工でき高強度が得られるコンクリート構造体およびその補強方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1記載のコンクリート構造体は、軸方向を略同一方向に配列した繊維がこれら繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成されコンクリート表面に一体的に取り付けられた組布と、この組布に含浸して硬化された熱硬化性樹脂とを具備したものである。 【0007】そして、軸方向を略同一方向に配列した繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成した組布を用い、組布をコンクリート表面に一体的に取り付け熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させたり、熱硬化性樹脂を含浸させた組布をコンクリート表面に取り付けてから硬化させるなどにより、組布に外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても、強度の低下があまりなく、組布を取り付けて熱硬化性樹脂と一体化させるのみで容易に施工され、高強度が得られる。 【0008】請求項2記載のコンクリート構造体は、請求項1記載のコンクリート構造体において、組布は、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層されて形成されたものである。 【0009】そして、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層して形成した組布を用いることにより、外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても強度の低下がほとんどなく、外力が部分に集中して作用することを防止し、高強度が容易に得られる。ここで、繊維の軸方向が3方向より少なくなると、外部からの引っ張り力に対する強度のばらつきが大きくなり、外力が部分的に集中して作用するおそれがあり、4方向より多くなると厚さ寸法が厚くなり施工性の向上が図りにくくなるとともに組布の製造性が低下するため、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層する。 【0010】請求項3記載のコンクリート構造体の補強方法は、コンクリート構造体の表面に、軸方向を略同一方向に配列した繊維がこれら繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成された組布を取り付け、このコンクリート構造体の表面に取り付けられた組布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させるものである。 【0011】そして、コンクリート構造体の表面に、軸方向を略同一方向に配列した繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成された組布を取り付けた後、組布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させることにより、組布に外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても、強度の低下があまりなく、組布を取り付けて熱硬化性樹脂と一体化させるのみで施工が容易で、高強度のコンクリート構造体に補強する。 【0012】請求項4記載のコンクリート構造体の補強方法は、軸方向を略同一方向に配列した繊維がこれら繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成された組布に液状の熱硬化性樹脂を含浸し、この熱硬化性樹脂を含浸した組布をコンクリート構造体の表面に取り付けて前記熱硬化性樹脂を硬化するものである。 【0013】そして、軸方向を略同一方向に配列した繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成され液状の熱硬化性樹脂が含浸された組布をコンクリート構造体の表面に取り付けて熱硬化性樹脂を硬化することにより、組布に外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても、強度の低下があまりなく、あらかじめ熱硬化性樹脂を含浸した組布を取り付けて硬化させるのみで施工が容易で、高強度のコンクリート構造体に補強する。 【0014】請求項5記載のコンクリート構造体の補強方法は、請求項3または4記載のコンクリート構造体の補強方法において、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層されて形成された組布を用いるものである。 【0015】そして、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層して形成した組布を用いることにより、外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても強度の低下がほとんどなく、外力が部分に集中して作用することを防止し、コンクリート構造体を容易に高強度に補強する。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態におけるコンクリート構造体の補強工程について図1に示すフローチャートを参照して説明する。 【0017】まず、道路や鉄道の高架や橋、トンネル、ビルなどのコンクリート製の建造物であるコンクリート構造体の補強する箇所の表面を例えば水洗や研磨などの清掃をする(ステップ1)。 【0018】そして、あらかじめ形成した例えば図2示すような組布1をコンクリート構造体の表面に貼り付ける(ステップ2)。この組布の貼り付けは、例えば接着剤をコンクリート構造体の表面に塗布して貼り付けたり、組布を接着剤や粘着テープなどにより複数箇所で点接着する。 【0019】ここで、組布1は、複数の繊維である繊維束2a,2b,2c,2dが軸方向を1方向で所定間隔を介して並列状に配列する繊維群3a,3b,3c,3dを繊維束2a,2b,2c,2dの方向が交差する状態で繊維束2a,2b,2c,2dが織り込まれることなく一体的に複数層、例えば繊維束2a,2b,2c,2dの軸方向が4方向(以下、4軸という)となるように5層に積層されて形成されている。なお、この組布1は、積層する繊維群の繊維束2a,2b,2c,2dの交点において圧着や接着剤による接着などにて一体的に積層形成されている。 【0020】そして、繊維束2a,2b,2c,2dは、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維などの有機繊維、あるいはガラス繊維や金属繊維などの無機繊維、もしくは炭素繊維などが束状に形成されたものである。 【0021】なお、組布1は、4軸に限らず、繊維の軸方向が3方向(以下、3軸という)または繊維の軸方向が5方向(以下、5軸という)以上に積層形成したものでもよいが、好ましくは3軸または4軸とする。すなわち、繊維の軸方向が2方向(以下、2軸という)では、2軸間の約45°となる方向で最も強度が弱くなるが、この弱くなる強度と2軸の軸方向の最大強度との差がある程度あり、また5軸以上となると組布1の製造が煩雑となるとともに、厚さ寸法が厚くなって、補強するコンクリート構造体の表面にある程度凹凸がある場合には表面に沿って取り付けることが困難となり、さらには後述する熱硬化性樹脂の含浸性や脱気性が低下するおそれもあるので、3軸または4軸とする。 【0022】また、繊維を束状にした繊維束2a,2b,2c,2dにて形成した繊維群3a,3b,3c,3dに限らず、繊維にて形成した繊維群3a,3b,3c,3dを積層して組布を形成してもよい。さらに、繊維束2a,2b,2c,2dは、繊維が縒れていてもよいが、交点に応力が集中するおそれがあることから縒れることなく束状となったものを用いることが好ましい。また、1層である繊維群3a,3b,3c,3dにおける繊維間もしくは繊維束2a,2b,2c,2d間を所定の間隔を介することなく略接する繊維群状に形成してもよい。さらに、積層形成する際、繊維もしくは繊維束が弛むことなくある程度張力が作用する状態で組布が形成されることが好ましいが、繊維もしくは繊維束がウェーブ状であってもよい。 【0023】そして、このコンクリート構造体の表面に貼り付けられた組布1に常温で液状の熱硬化性樹脂を含浸させる、例えば吹き付けやローラあるいははけなどによる塗布などにより、コンクリート構造体の表面とともに含浸させる。 【0024】ここで、液状の熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレ−ト樹脂(ビニルエステル樹脂ともいう)、ウレタンアクリレ−ト樹脂、アクリルシロップ樹脂などのラジカル硬化型樹脂、あるいはエポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂などが用いられる。 【0025】また、液状の不飽和ポリエステル樹脂としては、グリコール類を主成分とする多価アルコ−ル類とα,β−不飽和二塩基酸またはその無水物のうちの少なくともいずれか一方と、さらに必要に応じて飽和二塩基酸またはその無水物のうちの少なくともいずれか一方とを適宜重縮合して得られる不飽和ポリエステルをスチレンモノマなどの液状の重合性単量体に溶解したものが用いられる。 【0026】そして、液状のエポキシアクリレ−ト樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂にアクリル酸またはメタクリル酸を付加して得られるエポキシアクリレ−トをスチレンモノマなどの液体の重合性単量体に溶解したものが用いられている。 【0027】さらに、液状のウレタンアクリレート樹脂としては、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとを反応させて分子末端をイソシアネート化し、これにアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートを反応させるか、またはアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートとジイソシアネートとを反応させてイソシアネート基を残し、これとポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとを反応させて得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有するウレタンアクリレートをスチレンモノマや(メタ)アクリレートモノマなどの液状の重合性単量体に溶解したものが用いられる。 【0028】また、液状のアクリル樹脂、すなわちアクリルシロップとしては、メチルメタクリレート(以下、MMAという。)を主成分として部分重合するか、もしくはその重合体をMMAに溶解して得られるものが用いられる。 【0029】さらに、液状のエポキシ樹脂としては、各種フェノール性化合物とエピクロルヒドリンとの重縮合物で、各種アミンや酸無水物を硬化剤として用いることにより硬化されるものが用いられる。 【0030】また、液状のフェノール樹脂としては、フェノールとホルマリンとをアルカリの系で反応させて得られるレゾール型液状樹脂で、強酸を硬化剤として用いることにより硬化されるものが用いられる。 【0031】なお、ラジカル重合型の熱硬化性樹脂を用いる場合には、上記各種樹脂を複数種適宜混合して使用してもよい。 【0032】そして、熱硬化性樹脂の含浸後、組布1の繊維束2a,2b,2c,2d間や組布1とコンクリート構造体の表面との間などに存在する気泡を除去するために、鏝やはけ、ローラなどにて組布1をコンクリート構造体の表面に押し出すようにして脱泡する。 【0033】このステップ3の熱硬化性樹脂の含浸後、放置により常温にて硬化させたり、熱風を吹き付けたり、加熱装置にて加熱したり、紫外線を照射するなどして熱硬化性樹脂を硬化させ(ステップ4)、コンクリート構造体の表面に硬化した熱硬化性樹脂により組布1を一体に取り付け、補強する。 【0034】次に、上記実施の一形態の作用を説明する。 【0035】例えば、コンクリート構造体のコンクリートの膨張や収縮、コンクリート構造体を構成する鉄筋の膨張や収縮によりコンクリートに作用する応力により、コンクリート構造体に亀裂が生じるような引っ張り力が作用する場合、コンクリート構造体の表面に一体に取り付けられた組布1にも引っ張り力が作用する。 【0036】ここで、繊維束2a,2b,2c,2dの軸方向に沿った方向で引っ張り力が作用する場合には、引っ張り力に抗する大きな強度が得られる。そして、組布1は、繊維束2a,2b,2c,2dが複数軸、例えば3軸または4軸となるように繊維束が折り込まれることなく積層形成されていることから、組布に作用する引っ張り力に抗する最大強度が得られる方向は繊維束の軸方向である3軸または4軸方向となり、組布は外部から作用する引っ張り力の方向性を問わず引っ張り力に抗する強度がバラツキなく均一化する。 【0037】このため、コンクリート構造体の表面のいずれの方向に引っ張り力が作用しても、表面に一体に取り付けられた組布にて引っ張り力を吸収し、コンクリート構造体に亀裂が生じ、剥落などを防止できる。 【0038】また、組布は、繊維束が織り込まれることなく積層する状態で交差するので、積層する繊維群3a,3b,3c,3dの繊維束の交点に応力が集中しにくく、外部からの引っ張り力が作用しても交点で繊維束が切断することを防止でき、コンクリート構造体に亀裂が生じるような大きな引っ張り力が作用しても組布が破れるなどを防止でき、コンクリート構造体の亀裂による剥落などを防止できる。 【0039】さらに、クロスなどの織布に比して、組布の形成の際に織り込み工程がなく、製造性を向上でき、コストも低減できる。 【0040】次に、上記の組布を用いて補強することによる強度の増大を確認した実験例1および実験例2について図面を参照して説明する。 【0041】(実験例1)まず、コンクリート構造体として、図3ないし図5に示すように、1辺が約300mmの正方形で厚さ寸法が約60mmのJIS−A−5304の歩道用のコンクリート平板10を用い、このコンクリート平板10の中心部をカッタを用いて直径約50mmの切断コア11を切り抜きする。そして、直径約8mmの発泡ポリエチレンロッドなどのバックアップ材12にて間隙を埋めるようにして、切断コア11を再び開口する穿孔13内に挿入し、さらに隙間(約5mm)の溝内にセメントモルタル14を約5mm程度となるように充填して固定し、試験体15とした。 【0042】そして、試験体15の表面をサンダを用いて研磨し、ガラス繊維が4軸で形成された組布(日東紡績株式会社製 商品面:KQT190)をエポキシ樹脂(株式会社東邦アーステック製 商品名:トーホーダイトCF5P)を用いて貼り付け、実験試料とした。なお、比較例として、組布の代わりに繊維が折り込まれたガラスクロス(日東紡績株式会社製 商品面:WL230)を用いて同様に作製した。また、エポキシ樹脂は、600g/m2となるように塗布した。 【0043】また、補強強度の測定としては、図6に示すように、万能圧縮試験機を用いて切断コア11の略中心部を鉛直方向に略均等に荷重が掛かるようにし加圧した。そして、ブランクとして試験体を用い、組布とガラスクロスとを用いて補強した場合の強度を測定するとともに、補強強度の測定後の外観を比較検討した。その結果を表1、図7および図8に示す。なお、表1に示す組布を用いて補強したものの最大荷重については、3回測定し、平均値とした。 【0044】 【表1】
これら表1、図7および図8に示す結果から、組布やガラスクロスを用いて補強することにより、強度が増大することがわかる。そして、図8に示すように、ガラスクロスを用いて補強したものでは、折り込まれたガラス繊維の2方向が対角線となる略四角形状に剥離17が認められた。さらに、剥離17の部分の略中央に折り込まれたガラス繊維の方向に沿った大きなかぎ裂き状の破断18が認められた。すなわち、2軸のガラスクロスでは、外部からの負荷に対する強度に方向性があり、繊維が切断して2方向で破断するおそれがあることがわかる。 【0045】一方、図7に示すように、4軸の組布1を用いて補強したものでは、1方向にのみの破断が認められるとともに略円形の剥離17が認められた。すなわち、組布1では、外部からの負荷に対する強度にばらつきなく、均等に負荷を吸収でき、繊維束2a,2b,2c,2dの交点に応力が集中することによる切断も生じにくく、破断は1方向で破断箇所からコンクリート片が落下することを防止できることがわかる。 【0046】なお、実験試料の作製の際、組布1およびガラスクロスを裁断した際、ガラスクロスでは裁断した縁部にほつれが生じたが、組布1ではほつれは認められなかった。また、エポキシ樹脂を塗布した際に、組布1の含浸性がガラスクロスに比して極めて良好であったとともに、脱泡も組布1を用いたものの方が極めて容易にできた。すなわち、組布1を用いることにより、補強の際の作業性も向上できることがわかる。これは、使用した組布1は、繊維束2a,2b,2c,2dが所定の間隔を介する網目状のものを用いたためと考えられる。 【0047】(実験例2)まず、コンクリート構造体として、厚さ寸法が約30mm、縦寸法が約250mm、横寸法が約600mmのコンクリート製のU字溝蓋21を試験体に用い、このU字溝蓋21の表面をサンダを用いて研磨し、実験例1と同様に組布をエポキシ樹脂にて貼り付けて実験試料とした。 【0048】そして、補強強度の測定としては、図9に示すように、試験体を支持する支持点22を中心から235mmずつ両端側に変移した位置とし、荷重を掛ける載荷点23を中心から75mmずつ両端側に変移した位置として、三等分載荷による4点曲げ試験をした。その結果を表2に示す。なお、ブランクとして補強していない試験体を用いた。 【0049】 【表2】
この表2に示す結果から、最大荷重が大きく増大し、高強度に補強できることがわかる。 【0050】上述したように、上記実施の一形態によれば、コンクリート構造体の表面に、繊維束2a,2b,2c,2dが軸方向を略同一方向に配列した繊維群3a,3b,3c,3dが繊維束2a,2b,2c,2dを織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成した組布を取り付けた後、組布1に液状の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させるため、組布1に外部から作用する引っ張り力の方向に対する強度のバラツキがあまりなく、コンクリート構造体の表面にいずれの方向に引っ張り力が作用しても十分に吸収してコンクリート構造体に亀裂が生じることを防止でき、組布1を取り付けて熱硬化性樹脂と一体化させるのみで容易に短時間で補強工事でき、コンクリート構造体を容易に短時間で高強度に補強できる。 【0051】また、組布1として、4軸のものを用いたため、外部から作用する引っ張り力の方向に対する強度のバラツキがほとんど生じず、高強度が得られるとともに、凹凸面に対応して屈曲可能となる厚さ寸法にでき、製造性および補修作業性も向上でき、コストも低減できる。 【0052】なお、上記実施の形態において、コンクリート構造体の表面に貼り付けた組布1に熱硬化性樹脂を含浸させて説明したが、熱硬化性樹脂を含浸させた後に貼り付けてもよい。 【0053】すなわち、図1に示すように、まずコンクリート構造体の補強する箇所の表面を清掃し(ステップ1)、あらかじめ工場などで熱硬化性樹脂を含浸させておいた組布1を貼り付けた後(ステップ5)、熱硬化性樹脂を硬化して(ステップ4)、コンクリート構造体の表面に硬化した熱硬化性樹脂により組布1を一体に取り付けて補強する。 【0054】この構成によれば、現地での施工時間をより短縮できる。 【0055】なお、熱硬化性樹脂を含浸した組布1の両面を一対の剥離シートにて挟み込むようにし、コンクリート構造体に取り付ける際には、一面側の剥離シートを剥離して取り付け、さらに剥離シートを剥離して熱硬化性樹脂を硬化すればよい。この剥離シートを取り付ける構成によれば、取扱性および補修作業性を向上できるとともに、塵埃が付着するなどの汚染や外部から受ける衝撃にて破けるなどの損傷も防止できる。 【0056】さらに、熱硬化性樹脂を含浸した組布1をコンクリート構造体に貼り付けた後にさらに熱硬化性樹脂を塗布してから熱硬化性樹脂を硬化して補強してもよい。この構成によれば、さらに高強度が得られるとともに、補強部分の平滑性が得られ、外観性も向上できる。 【0057】 【発明の効果】請求項1記載のコンクリート構造体によれば、軸方向を略同一方向に配列した繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成した組布を用い、熱硬化性樹脂を含浸硬化させるため、組布に外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても強度の低下があまりなく、高強度に補強できるとともに、組布をコンクリート表面に一体的に取り付け熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させたり、熱硬化性樹脂を含浸させた組布をコンクリート表面に取り付けてから硬化させるなど、組布を取り付けて熱硬化性樹脂と一体化させるのみで容易に短時間で施工できる。 【0058】請求項2記載のコンクリート構造体によれば、請求項1記載のコンクリート構造体の効果に加え、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層して形成した組布を用いるため、外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても強度の低下がほとんどなく、外力が部分に集中して作用することを防止でき、容易に高強度を得ることができる。 【0059】請求項3記載のコンクリート構造体の補強方法によれば、コンクリート構造体の表面に、軸方向を略同一方向に配列した繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成された組布を取り付けた後、組布に液状の熱硬化性樹脂を含浸して硬化するため、組布に外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても、強度の低下があまりなく、組布を取り付けて熱硬化性樹脂と一体化させるのみで容易に短時間で施工でき、コンクリート構造体を容易に短時間で高強度に補強できる。 【0060】請求項4記載のコンクリート構造体の補強方法によれば、軸方向を略同一方向に配列した繊維を織ることなしに軸方向を交差させて一体的に積層形成され液状の熱硬化性樹脂が含浸された組布をコンクリート構造体の表面に取り付けて熱硬化性樹脂を硬化するため、組布に外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても、強度の低下があまりなく、あらかじめ熱硬化性樹脂を含浸した組布を取り付けて硬化させるのみで容易に短時間で施工でき、コンクリート構造体を容易に短時間で高強度に補強できる。 【0061】請求項5記載のコンクリート構造体の補強方法によれば、請求項3または4記載のコンクリート構造体の補強方法の効果に加え、繊維の軸方向を3方向または4方向で積層して形成した組布を用いるため、外部からいずれの方向に引っ張り力が作用しても強度の低下がほとんどなく、外力が部分に集中して作用することを防止でき、コンクリート構造体を容易に短時間で高強度に補強できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591236437 【氏名又は名称】株式会社 東邦アーステック 【識別番号】000230364 【氏名又は名称】日本ユピカ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月19日(2000.5.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062764 【弁理士】 【氏名又は名称】樺澤 襄 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−329511(P2001−329511A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月30日(2001.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2000−149048(P2000−149048) |
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