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【発明の名称】 橋面排水溝
【発明者】 【氏名】大巻 慎一

【氏名】熊谷 悟

【要約】 【課題】特に積雪地帯での使用を考慮した、設置・交換および維持管理の容易な橋面排水溝を提供することである。

【解決手段】鋼製の下部構造体12と、鋼製の上部構造体14とを備え、下部構造体が、底板と、底板の面に対して直角に上方に延びた後板と、底板の面に対して直角に上方に延びた前板とを有し、上部構造体が、頂板と、頂板の面に対して直角に下方に延びた後板と、頂板の面に対して後板から遠去かる方へ斜め下方に延びた傾斜板と、傾斜板の縁部に連結され、後板と平行に下方に延びた前板とを有し、上部構造体を下部構造体に嵌め込むことができるように、下部構造体の後板の内面と下部構造体の前板の内面との間隔が、上部構造体の後板の外面と上部構造体の前板の外面との間隔と略等しくなるように形成されており、上部構造体の傾斜板に、適当な間隔を隔てて、複数の開口28が設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼製の下部構造体と、鋼製の上部構造体とを備え、下部構造体が、底板と、底板の一方の縁部に連結され、底板の面に対して直角に上方に延びた後板と、底板の他方の縁部に連結され、底板の面に対して直角に上方に延びた前板とを有し、前記前板の高さが、前記後板の高さよりも低く、上部構造体が、頂板と、頂板の一方の縁部に連結され、頂板の面に対して直角に下方に延びた後板と、頂板の他方の縁部に連結され、頂板の面に対して後板から遠去かる方へ斜め下方に延びた傾斜板と、傾斜板の縁部に連結され、後板と平行に下方に延びた前板とを有し、上部構造体の前板の高さが、下部構造体の前板の高さと略同じであり、上部構造体を下部構造体に嵌め込むことができるように、下部構造体の後板の内面と下部構造体の前板の内面との間隔が、上部構造体の後板の外面と上部構造体の前板の外面との間隔と略等しくなるように形成されており、上部構造体の傾斜板に、適当な間隔を隔てて、複数の開口が設けられていることを特徴とする橋面排水溝。
【請求項2】 上部構造体の傾斜板が、頂板側の傾斜部と、前板側の水平部とによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の橋面排水溝。
【請求項3】 下部構造体に嵌め込まれた上部構造体が脱落するのを防止するための固定装置を更に備え、固定装置が、上部構造体の後板に回動可能に取付けられたアーム部材と、アーム部材を押し込んだときにアーム部材の先端が係止されるように下部構造体の後板に設けられた突起とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の橋面排水溝。
【請求項4】 上部構造体の傾斜板に取付けられ、開口を塞ぐカバー装置を更に備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の橋面排水溝。
【請求項5】 カバー装置が、カバーと、カバーを上部構造体の傾斜板に回動可能に取付けるシャフトとを有しており、カバーに水圧が作用するとカバーが回動して開口を塞ぎ、カバーに水圧が作用しないとカバー自体の重量によりカバーが垂下して開口が開くように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の橋面排水溝。
【請求項6】 カバー装置が、カバーと、カバーを上部構造体の傾斜板に回動可能に取付けるシャフトとを有しており、カバーに水圧が作用しないとシャフトに装着されたバネによってカバーが垂下して開口が開き、カバーに水圧が作用するとカバーがバネ力に抗して回動して開口を塞ぐように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の橋面排水溝。
【請求項7】 カバー装置が、上部構造体の傾斜板に対して所定間隔を隔てて開口を被覆するL形カバーを有していることを特徴とする請求項4に記載の橋面排水溝。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般に、橋面排水溝に関する。より詳細には、本発明は、特に積雪地帯での使用を考慮した、設置・交換および維持管理の容易な橋面排水溝に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】橋面の側部には通常、コンクリート製縁石が設置されている。また、従来、橋面の排水手段としては、橋桁の腹部に横引管を設け、これにより橋面に溜まった水を排水するようになっている。しかしながら、積雪地帯では、除雪車のプラウによって、コンクリート製縁石が破損する被害が続出している。また、従来の排水手段では、橋桁の腹部に横引管を設けるため、橋梁の景観が損なわれるとともに、横引管に土砂や塵埃が堆積して十分に排水されない事態が発生することがあり、その結果、橋梁の主構造に悪影響を及ぼすという不都合もあった。
【0003】一方、内部が排水路となっている鋼製縁石が使用されている例もある。しかしながら、既存の鋼製縁石は、設置や交換が容易ではなく、排水路を高圧水で洗浄する際に手間がかかるという課題があり、満足のゆく橋面排水溝が見当たらないのが現状である。
【0004】したがって、本発明は、特に積雪地帯での使用を考慮した、設置・交換および維持管理の容易な橋面排水溝を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願請求項1に記載の橋面排水溝は、鋼製の下部構造体と、鋼製の上部構造体とを備え、下部構造体が、底板と、底板の一方の縁部に連結され、底板の面に対して直角に上方に延びた後板と、底板の他方の縁部に連結され、底板の面に対して直角に上方に延びた前板とを有し、前記前板の高さが、前記後板の高さよりも低く、上部構造体が、頂板と、頂板の一方の縁部に連結され、頂板の面に対して直角に下方に延びた後板と、頂板の他方の縁部に連結され、頂板の面に対して後板から遠去かる方へ斜め下方に延びた傾斜板と、傾斜板の縁部に連結され、後板と平行に下方に延びた前板とを有し、上部構造体の前板の高さが、下部構造体の前板の高さと略同じであり、上部構造体を下部構造体に嵌め込むことができるように、下部構造体の後板の内面と下部構造体の前板の内面との間隔が、上部構造体の後板の外面と上部構造体の前板の外面との間隔と略等しくなるように形成されており、上部構造体の傾斜板に、適当な間隔を隔てて、複数の開口が設けられていることを特徴とするものである。
【0006】本願請求項2に記載の橋面排水溝は、前記請求項1の橋面排水溝において、上部構造体の傾斜板が、頂板側の傾斜部と、前板側の水平部とによって形成されていることを特徴とするものである。
【0007】本願請求項3に記載の橋面排水溝は、前記請求項1又は2の橋面排水溝において、下部構造体に嵌め込まれた上部構造体が脱落するのを防止するための固定装置を更に備え、固定装置が、上部構造体の後板に回動可能に取付けられたアーム部材と、アーム部材を押し込んだときにアーム部材の先端に係止されるように下部構造体の後板に設けられた突起とを有していることを特徴とするものである。
【0008】本願請求項4に記載の橋面排水溝は、前記請求項1〜3のいずれか1項の橋面排水溝において、上部構造体の傾斜板に取付けられ、開口を塞ぐカバー装置を更に備えていることを特徴とするものである。
【0009】本願請求項5に記載の橋面排水溝は、前記請求項4の橋面排水溝において、カバー装置が、カバーと、カバーを上部構造体の傾斜板に回動可能に取付けるシャフトとを有しており、カバーに水圧が作用するとカバーが回動して開口を塞ぎ、カバーに水圧が作用しないとカバー自体の重量によりカバーが垂下して開口が開くように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】本願請求項6に記載の橋面排水溝は、前記請求項4の橋面排水溝において、カバー装置が、カバーと、カバーを上部構造体の傾斜板に回動可能に取付けるシャフトとを有しており、カバーに水圧が作用しないとシャフトに装着されたバネによってカバーが垂下して開口が開き、カバーに水圧が作用するとカバーがバネ力に抗して回動して開口を塞ぐように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】本願請求項7に記載の橋面排水溝は、前記請求項4の橋面排水溝において、カバー装置が、上部構造体の傾斜板に対して所定間隔を隔てて開口を被覆するL形カバーを有していることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る橋面排水溝の平面図、図1(b)は、図1(a)の橋面排水溝の正面図、図1(c)は、図1(a)の橋面排水溝の側面図である。図2は、図面の簡単化のため、後述するアンカー部材、アングル材およびカバー部材を取り除いた橋面排水溝の側面図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施の形態に係る橋面排水溝は、鋼製の下部構造体12と、鋼製の上部構造体14とを備えている。
【0013】下部構造体12は、図2に最も良く示されるように、底板12aと、底板12aの一方の縁部に連結され、底板12aの面に対して直角に上方に延びた後板12bと、底板12aの他方の縁部に連結され、底板12aの面に対して直角に上方に延びた前板12cとを有している。前板12cの高さは、後板12bの高さよりも低い。また、後板12bの内面と前板12cの内面との間隔は、図2に示されるように、Wである。
【0014】なお、下部構造体12の底板12a、後板12b、及び前板12cは好ましくは、鋼板を折り曲げることによって一体に形成されている。
【0015】下部構造体12の後板12bの外面には、詳細には後述するように、コンクリートに定着させるのに用いられるアンカー部材16が、所定間隔を隔てて、溶接等によって固定されている。アンカー部材16は典型的には、鉄筋を「コ」の字形に折り曲げたものが使用される。また、下部構造体12の前部には、橋面排水溝10を設置する際に使用されるアングル材18が取付けられている。
【0016】上部構造体14は、図2に最も良く示されるように、頂板14aと、頂板14aの一方の縁部に連結され、頂板14aの面に対して直角に下方に延びた後板14bと、頂板14aの他方の縁部に連結され、頂板14aの面に対して後板14bから遠去かる方へ斜め下方に延びた傾斜板14cと、傾斜板14cの縁部に連結され、後板14bと平行に下方に延びた前板14dとを有している。前板14dの高さは、下部構造体12の前板12cの高さと略同じである。また、後板14bの外面と前板14dの外面との間隔は、図2に示されるようにWである。
【0017】なお、上部構造体14の底板14a、後板14b、傾斜板14c、及び前板14dも、下部構造体12と同様に、好ましくは、鋼板を折り曲げることによって一体に形成されている。
【0018】以上の構成により、図2に示されるように、上部構造体14を下部構造体12に嵌め込むことができる。嵌め込みは、図3に示されるように、上部構造体14の前板14dを下部構造体12の前板12cの内側に接触させた状態で、上部構造体14の後板14bを下部構造体12内に挿入することによって行われる。
【0019】なお、橋面排水溝10には、下部構造体12に嵌め込まれた上部構造体14が脱落しないように、所定間隔隔てて固定装置20が設けられている。固定装置20は、上部構造体14の後板14bにピン22によって回動可能に取付けられたアーム部材24と、下部構造体12の後板12bに設けられた突起26とを有しており、アーム部材24を図1(b)に示されるように押し込んだときにアーム部材24の先端が突起26に係止するようになっている。また、上部構造体14の下部構造体12への嵌め込みを一層容易にするため、図3(b)に示されるように、下部構造体14の前板14dに凹部15を設け、上部構造体12の前板12cに凹部15に対応する凸部17を設けてもよい。或いは、前板14dに凸部を設け、前板12cに対応する凹部を設けてもよい。かかる構成により、橋面排水溝10を設置するときは、上部構造体14を下部構造体12に嵌め込んだ後にアーム部材24を押し込んでアーム部材24の先端を突起26に係止させることによって、上部構造体14が脱落しないようにすることができる。一方、橋面排水溝10のメンテナンス等のため橋面排水溝10を取り外す必要があるときは、アーム部材24を回動させてアーム部材24の先端と突起26との係止を解除することによって、上部構造体14を取り外すことができる。
【0020】上部構造体14の傾斜板14cには、適当な間隔を隔てて、複数の開口28が設けられている。これらの開口28は、橋面排水溝10に流入する雨水の流入口となる。
【0021】好ましくは、上部構造体14の傾斜板14cには、開口28を塞ぐカバー装置が取付けられている。橋面排水溝10内を洗浄して汚泥物や他の堆積物を除去するために橋面排水溝10内に高圧水を噴射することがあるが、カバー装置は、このような場合に、開口28から高圧水が外部に噴出するのを阻止する役目を果たす。
【0022】図4〜図7には、種々の形式のカバー装置が示されている。図4に示されるカバー装置30は、開口28を被覆するカバー32と、カバー32を上部構造体14の傾斜板14cに回動可能に取付けるシャフト34とを有している。そして、通常時は、カバー32がそれ自体の重量により垂下するため、開口28が開くことになるが、洗浄時に高圧水が注入されるとカバー32に水圧が加えられるため、図4(a)に示されるように、カバー32が回動して開口28を塞ぐようになっている。
【0023】図5に示されるカバー装置40は、カバーが通常時にはカバー自体の重量ではなくバネ付勢されて下方に垂れ下がる点を除いて、カバー装置30と実質的に同一である。すなわち、カバー装置40は、開口28を被覆するカバー42と、カバー42を上部構造体14の傾斜板14cに回動可能に取付けるシャフト44とを有しており、カバー42は、通常時は、シャフト44に装着されたバネ(図示せず)によって垂下するように付勢されている(図5(b)参照)。そして、洗浄時に高圧水が注入されるとカバー42に水圧が加えられ、これにより、図5(a)に示されるように、カバー42がバネ力に抗して回動して開口28を塞ぐようになっている。
【0024】図6に示されるカバー装置50は、傾斜板14cに対して間隔dを隔てて開口28を被覆するL形カバー52を有している。図7に示されるカバー装置54は、L形カバー56が複数の開口28を被覆している点を除いて、カバー装置50と実質的に同一である。
【0025】図8は、橋面排水溝10が設置されている状態を示した図である。橋面排水溝10は、下部構造体12を設置箇所に固定し、その後、上述のようにして、上部構造体14を下部構造体12に嵌め込むことによって設置される。
【0026】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る橋面排水溝を示した図2と同様な図である。図9において全体として参照符号60で示される本発明の第2の実施の形態に係る橋面排水溝は、上部構造体の傾斜板が、頂板側の傾斜部と、前板側の水平部とによって形成されている点を除いて、橋面排水溝10と実質的に同一である。すなわち、橋面排水溝60は、鋼製の下部構造体62と、鋼製の上部構造体64とを備えており、下部構造体62が、底板62aと、後板62bと、前板62cとを有しており、上部構造体64が、頂板64aと、後板64bと、傾斜部64cおよび水平部64dによって形成された傾斜板と、前板64eとを有している。傾斜部64cと水平部64dには、開口28が設けられている。
【0027】本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0028】たとえば、前記実施の形態では、開口28およびカバー32、42が四分の一円の形状を有しているが、矩形等の他の形状を有していてもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、上部構造体が嵌め込み式であるので、橋面排水溝の設置や交換が容易である。また、カバー装置を備えているので、高圧水による洗浄に際しても洗浄水が開口から噴出することがない。さらに、橋面排水溝の内部が排水路になり横引管を設ける必要がないので、橋梁の景観が損なわれることもない。
【出願人】 【識別番号】598077554
【氏名又は名称】ダイチ工営株式会社
【出願日】 平成12年5月23日(2000.5.23)
【代理人】 【識別番号】100104330
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 誠二
【公開番号】 特開2001−329509(P2001−329509A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−151029(P2000−151029)