トップ :: E 固定構造物 :: E01 道路,鉄道または橋りようの建設




【発明の名称】 道路の目地部構造
【発明者】 【氏名】片山 英治

【氏名】今塩 宏之

【氏名】吉武 英樹

【氏名】塩田 啓介

【要約】 【課題】支持機構の異なる道路の接合部において、一方が相対的に地盤沈下を起こしてもその上方に位置する路面においては安全交通に影響を及ぼす局所的な著しい段差を生じることを防止できる道路の目地部構造を提供する。

【解決手段】コンクリート路盤30aと砕石路盤10との間の道路の目地部構造である。砕石路盤10の路床は埋め戻した土砂から構成されて相対的に軟弱である。上記コンクリート路盤30aにアンカー22で固定した鋼板21を、上記砕石路盤10上面に向けて水平に突出する。路盤上面には一体にアスファルト11が敷設されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持する路床部分の強度が異なる道路の境界となる、道路の目地部構造であり且つ少なくとも一方の道路の路盤がコンクリート路盤で構成される道路の目地部構造において、上記コンクリート路盤に固定されて当該コンクリート路盤から他方の道路の路盤に向けて水平若しくは略水平に突出する鋼板を舗装表層底部に設けたことを特徴とする道路の目地部構造。
【請求項2】 道路のコンクリート路盤と砕石路盤との間の目地部構造であって、コンクリート路盤に固定されて当該コンクリート路盤から砕石路盤に向けて水平若しくは略水平に突出する舗装表層底部に鋼板を設けたことを特徴とする道路の目地部構造。
【請求項3】 拡幅道路と既存道路との間の目地部構造であって、拡幅道路部の床版と既存道路の路盤との間に水平若しくは略水平に鋼板を舗装表層底部に設けたことこと特徴とする道路の目地部構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路を延長・拡幅する場合などに生じる隣り合う道路間の目地部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、傾斜地に既設された既存道路1を使用可能な状態のまま、道路の拡幅工事を行う場合には、例えば、図1に示すように、既存道路1の谷側に隣接して、つまり既存道路1と独立させて拡幅道路構造物2を構築することで拡幅を実現する。上記拡幅道路構造物2は、地盤に固定される杭3及び桁4からなる支持体と、その支持体の上部に載置されて路盤を構成する床版5とからなる。
【0003】このとき、上記既存道路1及びその地盤と上記拡幅道路構造物2との境界接合部6については、既存道路1の路肩及びそれに続く谷側斜面を掘削し、続いてその掘削面7と拡幅道路構造物2との間に、土留めのための擁壁8を現場打ちコンクリートで構築し、その擁壁8の背面と上記掘削面との間を土砂で埋め戻した後、その上に砕石を敷設して砕石路盤とすることで行われ、その後、その埋戻部9の表層(砕石路盤10部分)、擁壁8の上面(コンクリート路盤8aとなる部分)、及び上記拡幅道路構造物2の床版5の上に対し、一体にアスファルトなどの舗装材料11で舗装して舗装表層を形成し、もって拡幅道路とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにコンクリート擁壁8の背面(既存道路1側)の空間を砂や砕石で埋め戻すが、掘削する範囲が広く且つ土砂などで埋め戻して境界接合部6の地盤を構築することから接合部6の路床が軟弱となる。このため、拡幅工事完了後の車両の通行により、つまり通行する車両荷重により埋戻部9が経年的に沈下する。このとき、床版5からなる拡幅道路部分は、路床を構成する杭3等で堅固に支持されていることからさほど沈下せず、また、擁壁8部分についても路床が強固なコンクリート及びその下側の強固な地盤(掘削・埋め戻しを行っていない地盤)であるためにさほど沈下しない。
【0005】このため、長年使用していくうちに擁壁8部分の道路と埋戻部7の道路との境界Aで著しい段差やクラックが生じるおそれある。また、境界Aほどではないが、床版5部分の道路と擁壁8部分の道路の境界Bにおいても、支持機構の違いから段差やクラックが生じる恐れがある。本発明は、上述のような点に着目したもので、原地盤上の直接基礎と、埋め戻し部あるいは杭基礎といった道路を支持する路床部分の強度が異なる道路の接合部において、一方が相対的に地盤沈下を起こしてもその上方に位置する路面においては、安全交通に影響を及ぼす局所的な著しい段差を生じることが防止できる道路の目地部構造を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、支持する路床部分の強度が異なる道路の境界となる道路の目地部構造であり且つ少なくとも一方の道路の路盤がコンクリート路盤で構成される道路の目地部構造において、上記コンクリート路盤に固定されて当該コンクリート路盤から他方の道路の路盤に向けて水平若しくは略水平に突出する鋼板を舗装表層底部に設けたことを特徴とするものである。
【0007】次に、請求項2に記載した発明は、道路のコンクリート路盤と砕石路盤との間の目地部構造であって、コンクリート路盤に固定されて当該コンクリート路盤から砕石路盤に向けて水平若しくは略水平に突出する舗装表層底部に鋼板を設けたことを特徴とするものである。一方の路盤がコンクリート製であるので、当該路盤に鋼板を確実に固定して水平に突出させた状態にすることができる。なお、鋼板のコンクリート路盤への固定は、例えば、アンカーボルトによって行えば良い。
【0008】さらに、請求項3に記載した発明は、拡幅道路と既存道路との間の目地部構造であって、拡幅道路部の床版と既存道路の路盤との間に水平若しくは略水平に鋼板を舗装表層底部に設けたことこと特徴とするものである。また、境界部の舗装表層の底部において路盤間に段差が生じた状態で車両荷重が負荷されても、鋼板が撓むように変形することで、舗装表層に急峻な段差が形成されることは防止される。つまり、舗装面上では、境界の対向方向に沿ったなだらかな傾斜となって、段差が緩和される。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記従来例と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。本実施形態では、上記従来例と同様に、傾斜面の既存道路1を拡幅道路構造物2で拡張した場合を例に説明する。ただし、道路の拡幅工事による拡張された道路の基本構成は、上記従来例と同様であるため、その詳細は省略して、その各道路間の目地部構造について、図面を参照しつつ以下に説明する。
【0010】すなわち、図2に示すように、擁壁8の上部からなるコンクリート路盤8aが、拡幅道路構造物2の床版5、及び接合部分の上部に形成された砕石路盤10とそれぞれ隣り合って配置されている。まず、上記コンクリート路盤8aと上記砕石路盤10との間の道路の目地部構造の施工について図2を参照しつつ説明する。
【0011】まず、砕石路盤10におけるコンクリート路盤8aに近接部分を当該コンクリート路盤8a上面とほぼ同じ高さレベルに調整する。次に、コンクリート路盤8a及び砕石路盤10の上面における鋼板21を設置する位置に均しモルタル20を敷設して不陸を解消する。これによって、鋼板21を載置する下面が平坦となる。均しモルタル20を敷設する理由は、コンクリート路盤8aの上面と砕石路盤10の上面を完全に面一とするのは困難であり、また砕石路盤10の上面には必然的に凹凸が存在するためである。この均しモルタル20を敷設しない場合には、拡幅道路の施工が完了した後、路面23に車両荷重等が負荷された場合に、鋼板21下面における砕石路盤10側の不陸によって鋼板21が常時揺動変形しやすくなって好ましくない。
【0012】次に、上記未固結状態の均しモルタル20の上に鋼板21を載置し、鋼板21をアンカー22でコンクリート路盤8aに固定する。図1に図示するアンカー22では、コンクリート路盤8aから突設する筒体にアンカーボルトを螺合させて固定しているが、アンカー構成は、これに限定されることはなく。公知の他のアンカーを採用しても良い。
【0013】次に、コンクリート路盤8aと床版5との間の道路の目地部について説明する。コンクリート路盤8aと床版5との間には間隙があるので、当該間隙を目地材24で塞ぐ。図2中、符号25は目地受け鋼板である。次に、目地材24の上方に鋼板ずれ止め材26が予め溶接された鋼板28を取り付ける。このとき、コンクリート路盤8a及び床版5との間隙を確保するように取り付ける。
【0014】次に、上記間隙に均しモルタル27を注入する。なお、本実施形態では、コンクリート路盤8aの上面と床版5上面との面をあわせるために、床版5上面を多少はつっている。これは鋼板28のずれ止め効果と施工誤差によって生じるコンクリート路盤8aと床版5との間の段差の解消を目的とする。ここで、上記各鋼板21、28としては、厚さが4.5mm以上12mm以下が好ましい。厚さが4.5mm未満では、車両荷重によって撓まないで折れるように変形する可能性があるためである。また、厚さが12mmを越えると車両荷重によって鋼板21が撓まずに、鋼板による舗装破壊が生じるおそれがあるためである。
【0015】また、上記鋼板21は幅が約400mmの鋼板21であり、コンクリート路盤8aから砕石路盤10に向けて200mmだけ突出させている。また、鋼板21は、道路の延在方向に沿って、連続的に配置されている。上述のように、各路盤間の目地部の施工が完了したら、路盤上面に対し、一体にアスファルトなどの舗装材料11を舗装して路面23を形成する。
【0016】次に、上記構成のコンクリート路盤8aと砕石路盤10との間の道路の目地構造の作用・効果について説明する。コンクリート路盤8aにあっては、路床がコンクリート及び強固な地盤で構成されるために、車両荷重による経年沈下はさほど生じないが、砕石路盤10にあっては、路床が埋め戻した土砂からなるために車両荷重による経年沈下が生じる。
【0017】この結果、経年的に、コンクリート路盤8aと砕石路盤10との間に段差が生じて、その上方の道路面23に局所的な段差が生じるおそれがある。しかし、本実施形態にあってはコンクリート路盤8aと砕石路盤10との間に段差が生じても、車両荷重によって鋼板21が撓むように変形することで、当該路盤8a、10の上方に位置する道路面23(図2中、符号C部分)の道路に目地部に局所的な段差やクラックが形成されることが防止される。つまり、路面23上では、路盤8a、10間の対向方向に沿ったなだらかな傾斜となって、道路表面23での段差が緩和される。
【0018】なお、地震動による水平挙動に対しても、路盤8a、10間の道路の目地部を上記鋼板21が覆うこととなる。次に、上記構成のコンクリート路盤8aと床版5との目地構造の作用・効果について説明する。コンクリート路盤8a及び床版5は、その路床がともに強固であるために経年沈下はさほど生じないが、擁壁8及び拡幅道路構造物2は共に独立して自立する構造体であるため、杭基礎と直接基礎といった支持機構の違いによる不等沈下のおそれがある。また、地震によって両者に相対的に水平変位が生じる。この水平変位があっても、鋼板28があることで、コンクリート路盤8aと床版5との間の路面23でクラックなどが生じることが防止される。
【0019】ここで、各鋼板21、28としては、縞鋼板など、上面の粗度が粗い鋼板を使用することが好ましい。鋼板21、28に上面が粗いものを使用すると、鋼板21、28と舗装表層となるアスファルトの間の摩擦力が大きくなって、鋼板21、28に対するアスファルトの密着性が増加する。これによって、車両の制動・加速により路面23が受ける荷重によって、アスファルトが鋼板21、28から剥がれ難くなる。交通量が多い場合に有効である。
【0020】なお、上記実施形態では、コンクリート路盤8aから砕石路盤10に突設した鋼板21が、当該砕石路盤10の上面に配置されているが、当該鋼板21の上面に砕石を敷設しておいても良い。つまり、鋼板21は、必ずしも砕石路盤10の上面に配置されていなくても良い。但し、この場合には、コンクリート路盤8aの上面にも砕石を敷いて置くことが好ましい。
【0021】次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部材等については同一の符号を付して説明する。本実施形態も、上記第1実施形態と同様に、傾斜面の既存道路1を拡幅道路構造物2で拡張した場合を例に説明する。ただし、図3に示すように、拡幅道路構造物2と既存道路1との間に擁壁8を構築せず、既存道路1の路肩側の掘削面7と上記拡幅道路構造物2との間の接合部6の溝に、コンクリート30を打設することで埋め戻しを行った場合の例である。
【0022】この場合には、接合部分の現場打ちコンクリート30の上面がコンクリート路盤30aとなる。また、既存道路1部分は砕石路盤1aとなっている。そして、図4に示すように、上記第1実施形態と同様に、コンクリート路盤30aにアンカー22で固定された鋼板21を砕石路盤1aに向けて水平若しくは略水平に突設させて構成されている。
【0023】これによって、路面23における既存道路1部分と接合部6との間の安全交通に影響を及ぼす局所的な著しい段差やクラックの発生が防止される。他の構成や作用・効果等については、上記第1実施形態と同様である。なお、コンクリート路盤30aと床版5との目地については、コンクリートが打ち込まれることで、コンクリート30が拡幅道路構造物2の杭3や桁4と一体的に固着されて、当該コンクリート路盤30aと床版5とが一体となって杭基礎により支持されることから不等沈下の恐れがないので、鋼板21の設置を実施していない。
【0024】次に、第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、図5に示すように、隣り合う路盤が共にコンクリート路盤31a、32であるが、一方の路盤31aの路床がコンクリートから構成されて強度が高く、且つ他方の路盤32の路床33が埋め戻した土砂から構成された相対的に路床の強度が低い場合である。
【0025】この場合も、両路盤31a、32間の施工誤差から生じる段差を埋めて不陸を解消するために、鋼板21を設置する部分に均しモルタル20を敷設し、その上に鋼板21を設置して、当該鋼板21を相対的に路床強度の大きい側のコンクリート路盤30aにアンカー22で固定している。これによって、既存道路1部分と埋め戻し部との間の安全交通に影響を及ぼす局所的な著しい段差やクラックの発生が防止される。
【0026】他の構成や作用・効果等については、上記第1及び第2実施形態と同様である。
【0027】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の道路の目地部構造を採用すると、経年的に路盤間に段差が生じても、その上面の路面に安全交通に影響を及ぼす局所的な著しい段差やクラックが生じ難くなるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成12年3月27日(2000.3.27)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2001−271303(P2001−271303A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−87180(P2000−87180)