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【発明の名称】 拡幅道路の施工方法
【発明者】 【氏名】片山 英治

【氏名】今塩 宏之

【氏名】吉武 英樹

【氏名】塩田 啓介

【要約】 【課題】地滑り域での拡幅工事の工期を短縮すると共にコストの削減を図ることが可能な拡幅道路の施工方法を提供する。

【解決手段】傾斜地に既設された既存道路3の谷側に隣接して、当該既存道路3に沿って順次基礎杭を打設しながら、当該基礎杭1の上に拡幅道路本体を順次構築する拡幅道路の施工方法である。地滑り域においては、上記基礎杭1を打設する際に、当該基礎杭1の近傍に配置される地滑り抑止杭2を同期をとって打設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 傾斜地に既設された既存道路の谷側に隣接して、当該既存道路に沿って順次基礎杭を打設しながら、当該基礎杭の上に拡幅道路本体を順次構築する拡幅道路の施工方法において、地滑り域においては、上記基礎杭を打設する際に、当該基礎杭近傍に配置される地滑り抑止杭を並行して打設することを特徴とする拡幅道路の施工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路の拡幅工事に係り、特に地滑り域で杭基礎方式の拡幅道路を構築する際の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】傾斜地に既設された既存道路を拡幅するとき、当該拡幅場所が地滑り域である場合には、重量がある建設用車両等によって地滑りが起きないように、予め既存道路の谷側に当該既存道路に沿って所定ピッチ間隔で地滑り抑止杭を打設し、その後に、道路の拡幅工事を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来にあっては、地滑り抑止工事と道路工事とは別個独立した工事とみなして個々に時期をずらして施工を行っていたため、工期が長くなるという問題がある。また、拡幅道路が杭基礎以外の構造による場合には、当該道路の拡幅工事に使用する建機と地滑り抑止杭を打設する建機が別途必要となるため、上記建機の費用がかさみ、搬入・搬出作業も別途行う形となっている。
【0004】さらに、従来、地滑り抑止杭の打設作業は、既存道路から行うために、地滑り抑止工事の施工中は、既存道路を交通止めにする必要がある。本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、地滑り域での拡幅工事の工期を短縮すると共にコストの削減を図ることが可能な拡幅道路の施工方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、傾斜地に既設された既存道路の谷側に隣接して、当該既存道路に沿って順次基礎杭を打設しながら、当該基礎杭の上に拡幅道路本体を構築する拡幅道路の施工方法において、地滑り域においては、上記基礎杭を打設する際に、当該基礎杭近傍に配置される地滑り抑止杭を並行して打設することを特徴とする拡幅道路の施工方法を提供するものである。
【0006】ここで、上記「基礎杭の上」とは、当該基礎杭に支持させて当該基礎杭の上に拡幅道路本体である拡幅道路プレハブ部材を載置する場合と、当該基礎杭上部間に桁を横架して拡幅道路本体を構築する場合の両方を含む。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、拡幅道路用の基礎杭及び地滑り抑止杭を打設する位置をそれぞれ示す平面図である。○が基礎杭1の位置を、黒丸が地滑り抑止杭2の位置を示す。この図1に示すように、基礎杭1及び地滑り抑止杭2は、既存道路3の谷側であって且つ当該既存道路3に沿って配置される。なお、地滑り抑止杭2のピッチは、基礎杭1のピッチよりも短い。また、符号4の部分が拡幅道路である。
【0008】本実施形態では、図1中左側から拡幅工事を行う場合を例に説明する。例えば、図2(a)に示すA位置まで拡幅工事が完了し、拡幅道路ができているとする。符号5が、構築した拡幅道路の部分を示す。次に、この構築した拡幅道路5に杭打ち機を設置して、図2(b)に示すように、次に延長する拡幅道路部分のB位置にある基礎杭1を打設する。このとき、当該基礎杭1の打設に前後して当該基礎杭1の近傍に配置される地滑り抑止杭2についても打設する。なお、図では、基礎杭1及び地滑り抑止杭2として共に鋼管である場合が図示されているが、杭はH形鋼など他の鋼材を使用しても良い。
【0009】上記基礎杭1及び地滑り抑止杭2の打設が完了したら、予め構築しておいた拡幅道路プレハブ部材6を吊り上げて、上記基礎杭1の上に設置し、続いて拡幅道路プレハブ部材6の柱部下端部と基礎杭1の杭頭とを溶接にて接合する。ここで、上記拡幅道路プレハブ部材6の構成は、図3に示すように、上記各基礎杭1の杭頭に接合される鋼管からなる柱部6aと、当該柱部6a間に横架された桁6b(例えばH形鋼から構成される)とから構成される。なお、図3では、分かりやすくするために、基礎杭1の位置から地滑り抑止杭2の位置を既存道路3側にずらして図示してある。
【0010】当該拡幅道路プレハブ部材6の設置が完了したら、その上に床版7を設置して新たな拡幅道路部分とする。次に、この新たに構築した拡幅道路部分(B部分)から、次に拡幅道路を構築する位置に対し基礎杭1を打設すると共に、当該基礎杭1の打設に前後して当該基礎杭1の近傍に配置される地滑り抑止杭2を打設する。
【0011】以上の施工を繰り返すことによって、地滑り域においては、基礎杭1を打設する際に同期をとって、その近傍に位置する地滑り抑止杭2を打設しながら、順次、拡幅道路を延長していく。なお。舗装は、既存道路3と拡幅道路との間の接合工事を完了した後に行う。以上のように、本発明に基づく拡幅道路の施工方法では、基礎杭1の打設と地滑り抑止杭2の打設作業が同期をとって行われるために、拡幅道路工事の工期が短縮する。
【0012】しかも、基礎杭1の打設作業と地滑り抑止杭2の打設作業とが同時期に行われることで、杭打設のための建機が共用して同時に使用されることから、当該工事に従来必要であった建機の搬入回数が減少する。さらに、順次構築した拡幅道路部分に建機を設置して地滑り抑止杭2の打設作業も並行して行われるために、地滑り抑止工事を行っても、既存道路3の交通を止める必要は無い。
【0013】また、本実施形態では、地滑り抑止杭2に並べて既存道路3側の基礎杭1aを打設しているために、当該既存道路3側の基礎杭1aが地滑り抑止杭2を兼ねる。このことから、打設すべき地滑り抑止杭2の本数や打設回数の削減が図られ、コスト低減や工期短縮に繋がる。なお、既存道路3側の基礎杭1aには、地滑り抑止杭2のピッチ幅の水平荷重だけを支持すれば良いので、負荷される水平荷重を当該基礎杭1で十分に支持できると考えられる。
【0014】ここで、上記実施形態では、地滑り抑止杭2の並びに既存道路3側の基礎杭1aを配置して当該既存道路3側の基礎杭1aに地滑り抑止杭2の役割を兼ねさせているが、図4に示すように、既存道路3側の基礎杭1aを地滑り抑止杭2の並びよりも谷側に配置して、当該既存道路3側の基礎杭1aに負荷される水平荷重を軽減しても良い。ただし、この場合には、既存道路3側の基礎杭1aの位置が既存道路3からその分だけ遠く配置される。
【0015】また、逆に、既存道路3側の基礎杭1aを地滑り抑止杭2の並びよりも山側に配置しても良い。なお、基礎杭1の既存道路3に沿ったピッチは広いために、当該基礎杭1だけでは地滑りを抑止することはできない。このため、地滑り抑止杭2の並びに既存道路3側の基礎杭1aを配置しない場合には、打設する基礎杭1a近傍の地滑り抑止杭2を打設してから、当該基礎杭1aを打設することが好ましい。これによって、基礎杭1aと地滑り抑止杭2を同時期に打設作業を行っても、当該基礎杭1aが水平荷重で傾くことが防止される。なお、地滑り抑止杭2は、水平荷重によって軸が多少、谷側に傾斜する場合も多い。
【0016】また、地滑り抑止杭2の並びに既存道路3側の基礎杭1aを配置する場合であっても、当該基礎杭1aの前後に配置される地滑り抑止杭2を打設してから当該基礎杭1aを打設することが好ましい。この方が、杭打設時から当該基礎杭1aで負担する水平荷重が軽減され当該基礎杭1aが水平荷重で傾くことが防止される。
【0017】また、上記実施形態では、拡幅道路プレハブ部材6を、予め工場や現場で構築してから打設した基礎杭1の上に設置しているが、打設した基礎杭1の上部に直接桁を架け渡して拡幅道路本体を構築しても良い。また、拡幅道路と既存道路3とを必ずしも幅方向で接合を行う必要はなく、拡幅道路を、独立した道路として、例えばバイパス路として構築する場合であっても本発明は適用できる。
【0018】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明を採用すると、地滑り域での拡幅道路の工事の工期が短縮できるばかりか、コストの削減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成12年3月24日(2000.3.24)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2001−271302(P2001−271302A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−85208(P2000−85208)