トップ :: D 繊維 紙 :: D06 繊維または類似のものの処理;ラウンドリ−;他に分類されない可とう性材料




【発明の名称】 繊維処理剤及び繊維の処理方法
【発明者】 【氏名】中川 百樹

【要約】 【課題】

【解決手段】動物蛋白質加水分解物、キトサン・乳酸塩及び第4級アンモニウム塩を1種類又は2種類以上含有されてなる、繊維処理液によって繊維を処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動物蛋白質加水分解物、キトサン・乳酸塩及び、1種又は2種以上の第4級アンモニウム塩を含有されてなる、皮膚の自然保湿因子成分を衣類に固着させることを特徴とする肌の生理的保護効果を有する繊維処理剤。
【請求項2】 動物蛋白質加水分解物1部に対してキトサン・乳酸塩1〜3部の重量比を混合加熱してなるA液と、動物蛋白質加水分解物1部に対して第4級アンモニウム塩1〜3部の重量比を混合加熱してなるB液よりなることを特徴とする請求項1の繊維処理剤。
【請求項3】 動物蛋白質加水分解物が、動物の皮膚、骨より抽出される天然コラーゲン又はアテロコラーゲンの加水分解物で分子量5,000 〜100,000 の抽出物であること、もしくはセリシン又はフイブロインの加水分解物で分子量5,000〜100,000 の抽出物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維処理剤。
【請求項4】 第4級アンモニウム塩が、アルキル・トリメチルアンモニウム系、ベタイン系アンモニウム塩又はグアニジン系アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種類又は2種類以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の繊維処理剤。
【請求項5】 さらに、アラントイン、グリチルレチン酸塩、シコン抽出成分、アロエ抽出成分、クチナシ抽出成分、クエン酸、酒石酸、ハマメリス抽出成分、西洋ノコギリ草抽出成分、ユキノシタ抽出成分、ヨモギ抽出成分、ニンジンエキス、へチマ抽出成分、マロニエ抽出成分又はオオバク抽出成分などを配合することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の繊維処理剤。
【請求項6】 動物蛋白質加水分解物1部に対してキトサン・乳酸塩1〜3部の重量比を混合加熱してなるA液と、動物蛋白質加水分解物1部に対して第4級アンモニウム塩1〜3部の重量比を混合加熱してなるB液よりなる処理液を用いて繊維に含浸することを特徴とする繊維の処理方法。
【請求項7】 繊維が、肌着類、バスロ一ブ類、タオル類、靴下類、医療繊維製品などの織物、編物、不織布であり、肌に優しい柔軟風合が得られ同時に肌荒れ、かゆみ、免疫性などの改善に有効な肌の生理的保護効果を恒久的に得ることを特徴とする請求項6に記載の繊維の処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肌に接する繊維製品の表面処理剤に関する。また、本発明は、肌荒れ、かゆみ、免疫性などの改善に有効な肌の生理的保護効果が恒久的に得られるための繊維処理剤及び、このような繊維処理剤を用いた繊維の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アトピー性皮膚炎が増加しており、社会的に問題となっているが、アトピ−の主な原因は生活の高度化にともなう居住環境の変化などにより、皮膚のバリア機能の異常や角質の保温能低下などを招いていることによるものと考えられている。アトピー性皮膚炎の原因となる免疫性の低下は、肌着などの衣類による肌への刺激によっても湿疹やかゆみの影響が大きいとされている。このため肌に直接に接する衣類に皮膚のバリヤ機能の改善や角質の保湿の機能が付与され、肌の免疫性や肌荒れかゆみなどの抑制に有効な肌の生理的保護効果を付与することができれば非常に有益と考えられるが、未だこれらの機能を有する繊維処理剤は存在していなかった。
【0003】従来、皮膚角質の保湿にはコラーゲンが有効とされているが、ウレタン樹脂基体に天然コラ−ゲン粒子を分散した皮膜とすることによって汗のベトツキ感のない高透質性、高吸放湿性としたもの(特開平4−82974号公報)、コラ−ゲン水解物と界面活性剤からなる保湿性衛生製品用カバ−不織布の表面処理剤(特開昭62−90375号公報)があるが、コラーゲンはべとつきがあり、これで処理しても肌着の表面感触が満足できるものではなく、そのまま繊維処理剤として用いることに無理があった。一方、自然界に広く、豊富に存在し、無脊椎動物や菌類などに蛋白質との複合体として存在するキチンやキチン誘導体を皮膚障害を起こさない抗菌効果を発揮するための繊維処理剤として使用することによって、吸水性、水分拡散性、さらには防水性や透湿性をも改善することも公知(特開平3−76871号公報)であるが、キチン系化合物が繊維間に分散しているだけであるので、得られる繊維製品は洗濯によりキチン系化合物が溶出したり、脱落したりして、耐久性に問題があった。
【0004】また、肌着類の耐久抗菌性を改善するために、吸放湿性の優れたコラ−ゲンをグラフト重合させる技術も知られる(特開平7−300770号公報)も知られているが、対象の繊維がポリエステル繊維に限られており、汎用性の面で問題があった。さらに、コラーゲンをキトサン・カルボン酸塩に担持させることによりコラーゲンのべとつきを解消して、合成樹脂バインダーと配合して繊維処理剤とすることも試みられたが、バインダーを使用することによって、柔軟な風合が得られなくなって、皮膚刺激も少ないとは言えず、しかもバインダーの包埋効果によりコラーゲン成分自体が肌に直接的に作用し難くなり、当初の目的とする生理的保護効果が不十分であった。
【0005】さらに、絹蛋白質主体の繊維処理剤、例えばシルク微粒子による繊維の表面処理(特開平8−49161号公報)や、セリシンで処理することによって繊維の親水性を改善する処理(特開平9−322911号公報)、肌を接する表面部にセリシンを配した繊維質肌当て用品、例えばオムツ、眼帯、化粧パック、ウエットナップなど(特開平10−1872号公報)も知られるが、肌への着用感や角質の保湿の面で満足すべきものではなかった。また、繭の加水分解物より抽出した蛋白質成分の液状又は粉末状のものと合成樹脂バインダーとを混合して繊維に固着する技術も知られているが、バインダーの包埋効果によりセリシンが成分が肌に作用し難くなっており、期待するような生理的保護効果が十分に得られないこと、バインダー使用により皮膚刺激を与え難くなる欠点がある上に、肌着やタオル類は頻繁に洗浄されときの、洗濯性耐久性の面で満足できるものではなかった。
【0006】一方、第4級アンモニウム塩を含む処理液で繊維を処理することも知られており、柔軟な風合いを現出するもの(特開平7−82668号公報)、撥水・撥油性の改善(特開平7−145119号公報)、抗菌・消臭性、吸水加工性の改善(特開平8−311769号公報)、帯電防止処理(特開平9−173961号公報、特開平10−37071号公報)、光沢性、風合いの改善(特開平10−237771号公報)などがあるが、いずれも生理的保護効果を示すものではなかった。また、コラ−ゲン及びキトサン第4級アンモニウム塩を併用するものも知られており、例えばポリエステル繊維表面にコラ−ゲン又は/及び抗菌剤をグラフト重合して抗菌性、吸放湿性、吸水性に優れた改質ポリエステル繊維を得るもの(特開平7−300770号公報)があるが、本技術は大規模での前記物性を有する繊維の製造方法であり、繊維の後加工技術に関するものではなく、しかも、本発明で得られる繊維におけるような着用感や生理的保護効果の面で満足のいくものではなかった。
【0007】ところで、従来、肌の保湿剤としては、1.3−ブチレングリコール、ソルビトール、ヒアルロン酸又はCPCMキトサンなどが汎用されているが、最近の研究によれば、これら従来の保湿性化合物よりも、自然保湿因子(NMF:natural moisuturizing factor)成分の方が角質の保湿や皮膚のバリヤ機能の回復の上で大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。このような自然保湿因子成分は、従来から用いられている保湿剤に比較して、湿疹や肌荒れ、かゆみ、免疫性などの改善に有効であり、皮膚のバリヤ機能の回復や角質の保湿に優れた成分と言うことができ、皮膚外用薬に自然保湿因子成分を配合する試みが、最近、盛んに行われようとしている。ここで言う主な自然保湿因子とその成分率を第1表に示す。
【0008】
【表1】

【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来から化粧品などで用いられている保湿剤ではなく、上述するような自然保湿因子を成分割合で高率に繊維に固着させることにより、皮膚のバリヤ機能の回復や角質の保湿機能を図ることを課題とするものである。本発明では、合成樹脂バインダーを極力用いることなく、自然保湿因子成分を繊維に固着する課題を解決することにより、肌に優しい柔軟な風合と保護効果を有する肌着類を提供することができる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、自然保湿因子成分のアミノ酸類及びペプチドとして動物蛋白質加水分解物で動物の皮膚骨より抽出される抽出物を用い、グルコサミンとしてキトサンを用い、乳酸塩としてキトサン乳酸塩を用い、Na類は蛋自質の加水分解に使用した酸をアルカリで中和する工程で含有させることができる。処理剤をこれらの組成とすることにより合成樹脂バインダーを用いることなく、自然保湿因子成分率の80%程度を繊維に固着させることができる。すなわち、本発明は、動物蛋白質加水分解物、キトサン・乳酸塩及び、1種又は2種以上の第4級アンモニウム塩を含有されてなる、皮膚の自然保湿因子成分を衣類に固着させることによって肌に対する生理的保護効果を改善する繊維処理液と、この繊維処理液を使用することによる繊維処理方法を基本的構成とするものである。本発明における繊維処理液は、自然保湿因子成分の約40%を占めるアミノ酸、約8.5 %を占めるペプチド、約12%を占める乳酸、約1.5 %を占めるグルコサミン、及び約18.5%を占めるNa類を主体として構成されたものであり、蛋白質の加水分解物の腐敗防止及び繊維表面の雑菌防止の上で、パラベン類の殺菌剤を使用することなく、抗菌力を保待させるので、このような本発明の繊維処理剤を用いた結果として、皮膚に刺激の少ない素材となり、得られた肌着は、好ましい柔軟平滑性を有し、肌荒れ、かゆみ、免疫性などの改善に有効な肌の生理的保護効果の優れたものとなる。
【0011】本発明の動物蛋白質加水分解物としては、動物の皮膚骨より抽出される天然コラーゲン、アテロコラーゲンの加水分解物で分子量が5,000 〜100,000 の抽出物、又はセリシン、フイブロインの加水分解物で分子量が5,000 〜100,000 の抽出物を用いる。例えば、絹より得られるセリシンについては、塩酸を用いて50℃で1〜2時間程度処理して分子量を5,000 〜100,000 程度にして、苛性ソーダで中和して活性炭層及び限外ろ過膜を通したろ液を用いる。ろ液の成分濃度は0.2 %程度であるが濃縮して用いてもよい。従来、絹より除去されるセリシンは廃棄されていたが、自然界を汚染するので、廃棄公害対策としてもセリシンの利用は有効である。絹のフリブロインについても同時に加水分解して分子量5,000 〜100,000 として用いることができる。動物蛋白質加水分解抽出物の分子量が100,000以上になると、角質の保湿効果や皮膚のバリヤー効果が低下するので、分子量5,000 〜100,000 の抽出物が好ましい。
【0012】本発明では、動物蛋白質加水分解物は、キトサン・乳酸塩と混合して加熱することにより、動物蛋白質加水分解物をキトサン・乳酸塩に担持させて使用する。得られたものは、乾燥によってジェル状になり、処理した繊維表面に造膜するが、これだけではジェル膜は繊維に対して吸着性がなく、耐洗濯性が得られないが、後述するように添加成分として後出の特定の第4級アンモニウム塩を用いることにより耐洗濯性を大巾に改善することが可能となった。本発明では、上記乳酸を用いることは、自然保湿因子成分として有効であるが、ピロリドンカルボン酸を用いてもよいが、酢酸、リンゴ酸、蟻酸などの酸は好ましくない。
【0013】本発明では、動物蛋白貿加水分解物と第4級アンモニウム塩を混合・加熱することにより、動物蛋白質加水分解物を第4級アンモニウム塩に担待させるものである。得られた生成物の性状は、第4級アンモ二ウム塩の分子量により相違するが、グアニジン系アンモニウム塩系ではアルキル・トリメチルアンモニウム系を併用した方がキトサン・乳酸塩の固着効果に有効である。さらに、本発明で用いる第4級アンモニウム塩は、蛋白質加水分解物を担持して繊維に固着するのみでなく、キトサン・乳酸塩と蛋白質加水分解物のジェル膜を繊維に固着する機能も果たす。このようにアルキル・トリメチルアンモニウム系、べタイン系アンモニウム塩又はグアニジン系アンモニウム塩より選ばれた第4級アンモニウム塩によって、肌着類に耐洗濯性を有する吸着と柔軟平滑性と抗菌性を付与することができる。
【0014】上記第4級アンモニウム塩のアルキル・トリメチルアンモニウム系のものは、アルキル基としてドデシル、ヤシアルキル、ヘキサデシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイルのものを用いるのがよい。また、べタイン系アンモニウム塩としては、トリノチルグリシンが使用できる。べタイン系アンモニウム塩は、繊維に吸着するとともに柔軟平滑性に優れ、髪のリンスとして用いられる程であり、人体に対して安全であるからである。さらに、グアニジン系アンモニウム塩としては、Triethoxysilylpropyl grafted Polyhexamethylenguanidine Hydrochloride(韓国;SK株式会社製品、YSB-TX)が有効である。なお、上記第4級アンモニウム塩の中には、肌のかぶれや肌荒れを生ずるものものがあるが、本発明では肌に優しいものであれば、上記に限定されるものではない。
【0015】
【発明の実施の態様】本発明は、動物蛋白質加水分解物、キトサン・乳酸塩及び、1種又は2種以上の第4級アンモニウム塩が含有されてなる繊維処理液によって、繊維を処理することにより繊維における皮膚の自然保湿因子成分を衣類に固着させるものであふ。すなわち、本発明では、動物蛋白質加水分解物1部とキトサン乳酸塩1〜3部を混合して60℃で2時間撹拌し、A液を得る。別に動物蛋白質加水分解物1部とアルキル・トリメチル型、ベタイン型又はグアニジン型より選ばれた第4級アンモニウム塩1〜3部を混合して60℃で2時間撹拌してB液を得る。次いでA液にB液を配合して繊維処理液とし、この処理液を衣類に固着させるものである。本発明では、例示的には自然保湿因子成分のアミノ酸類及びペプチドとして動物蛋白質加水分解物で分子量5,000 〜100,000 の抽出物を用い、グルコサミンとしてキトサンを用い、乳酸塩としてキトサン乳酸塩を用い、Na類は蛋自質の加水分解に使用した酸をアルカリで中和する工程で含有させることができる。これらの組成により自然保湿因子成分率の80%を合成樹脂バインダーを極力用いることなく、繊維に固着させる。
【0016】動物蛋自質加水分解物には、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニン、グリシン、バリン、プロリン、グルタミン酸又はアスパラギン酸などのアミノ酸が含有されるので、生理的に免疫性や肌荒れを改善する効果が大きい。本発明において有効な繊維素材としては、綿、レイヨン、アセテート、麻、キュプラレイヨン、アクリル又はナイロンなどがあり、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などには補助的にウレタン系バインダーを併用するとよい。本発明の繊維処理剤は単独又は従来の繊維仕上剤に併用して繊維に処理することができる。
【0017】本発明の繊維処理剤における綿100 %メリヤス布に処理して耐洗濯性のあることを実証するために、日本食品分析センターにおいて該処理綿布の洗濯前と洗濯後のアミノ酸含有量を分析してその測定結果を下記第2表に示す。
【0018】
【表2】

【0019】なお、下記実施例1では、セリシン加水分解物を用いた綿メリヤス布が得られるが、洗濯50回後においても自然保湿因子成分の各アミノ酸類が含有されており、耐洗濯性の優れていることが注目される。特にアスパラギン酸の多いことがセリシン由来成分の特徴である。10回、50回の洗濯結果に示されているように自然保湿因子成分の含有量は低下しているが、後出の実施例1の第3表、後出の実施例2の第4表に示すように、保湿効果も十分保持されている。このように自然保湿因子成分が適度に低減することは、僅かな脱落が肌に作用して生理的保護結果をもたらすのに必要なことである。
【0020】本発明では、肌荒れ防止効果をさらに改善するために、上記繊維処理剤にアラントイン、グリチルレチン酸塩、シコン抽出成分、アロエ抽出成分、クチナシ抽出成分、クエン酸、酒石酸、ハマメリス抽出成分、西洋ノコギリ草抽出成分、ユキノシタ抽出成分、ヨモギ抽出成分、ニンジンエキス、へチマ抽出成分、マロニエ抽出成分又はオオバク抽出成分などを配合することが好ましい。また、パンティストッキングのような合成繊維には、肌の生理的保護機能と風合を損ねない範囲でウレタン系などのバインダー類を少量添加することは構わない。本発明は、上記皮膚の自然保湿因子成分を含む処理液で肌着類、バスローブ、タオル類、ベッドシーツ、靴下、パンテイストッキング又は医療用繊維製品などの織物、編物、不織布を処理することによって肌に優しい柔軟風合と肌荒れやかゆみ、湿疹などの改善に有効な肌の生理的保護効果を発揮させることができる。
【0021】
【実施例1】A液の調製;キトサン2重量%、乳酸2重量%、水96重量%を混合して、50℃で40分間反応させてキトサン乳酸塩溶液を得た。一方、絹より抽出されたセリシン液100 gに10%塩酸100 gを加え、50℃で1時間加水分解し、苛性ソーダーで中和して中性としてろ紙を用いてろ過し、ろ液をゲルろ過によりふるい分けする。さらに、分子量10,000〜20,000の蛋自質区分を回収・濃縮してセリシン加水分解物成分2%の液を得た。上記キトサン・乳酸液60部と上記セリシン加水分解液40部を混合して60℃で2時間撹拌してA液を得た。
B液の調製;第4級アンモニウム塩としてYSB−TX(韓国SK社製品グアニジン系アンモニウム塩30%液)40部、セチルトリメチルアンモニウム塩(30%液)20部及び上記セリシン加水分解物成分液40部を混合して60℃で2時間撹拌してB液を得た。
繊維処理液の作成;A液とB液を等量混合し、撹拌し、さらに精製水で10倍に希釈して処理液とした。得られた処理液を綿100 %の肌着用メリヤス生地にマングルを用いて生地重量の200 %含浸して100 ℃で乾燥した。得られた処理綿布に固定されたアミノ酸の耐洗濯性は、上記第2表に示すように優れた耐洗濯性が認められた。また、長袖の肌着の左半分を実施例1によって処理した生地を用い、右半分を従来の普通の綿生地をブランクとして用い、左右で生地素材を異にする肌着を縫製した。該肌着をアトピー性皮膚炎患者により着用試験をした結果を第3表に示す。
【0022】
【表3】

【0023】アトピー性皮膚炎患者で胸、背中、上腕を湿疹患部とする10名を対象に着用試験を行った。年齢は15歳から38歳。皮膚炎の重症度は高度3名、中程度7名である。着用試験は6週間から8週間にわたり実施した。一日着用した後は、家庭用電気洗濯機を使用して洗濯した。試験開始日と比較して全般改善度を評価した。かゆみの軽減について身自己評価によれば、左側(本発明の処理布)のかゆみ低減を認めている。アトピー性皮膚炎患者が着用する上で安全性の高い肌着ということができる。
【0024】
【実施例2】A液の調製;キトサン2重量%、乳酸2重量%、水96重量%、を混合して50℃で40分反応させてキトサン乳酸塩溶液を得た。一方、絹より抽出されたセリシン液100 gに10%塩酸100 gを加えて50℃で1時間加水分解した。次に、苛性ソーダーで中和して中性とし、ろ紙を用いてろ過する。さらに、ろ液をゲルろ過してふるい分けし、分子量10,000〜20,000の蛋白質分画を回収・濃縮してセリシン加水分解物成分2%の液を得た。上記キトサン・乳酸液60部と上記セリシン加水分解液40部を混合して60℃で2時間撹拌してA液を得た。
B液の調製;第4級アンモニウム塩としてヤシアルキル・トリメチルアンモニウム塩(30%液)40部及びトリメチルグリシン5部の溶液に上記セリシン加水分解物成分液40部、水15部を混合して60℃で2時間撹拌してB液を得た。
処理液の調製;A液にB液を等量混合し、精製水を加えて10倍に希釈して処理液とした。得られた処理液を綿100 %のタオル生地にマングルを用いてタオル重量の200%を含浸した後、120 ℃で乾燥して柔軟で良好な風合を得た。該処理をしたタオル生地は洗濯50回後も柔軟風合に変化がなく、風合の耐洗濯性が認められた。また、保湿性の効果により吸水性は優れている。抗菌力を評価するために、Stap hylococous Aureus IF012732 を用いて、18時間培養による菌数変化を測定した。測定結果は第4表に示すように、50回の洗濯後にも優れた抗菌力が認められた。
【0025】
【表4】

【0026】
【実施例3】A液の調製;キトサン2重量%、乳酸2重量%及び水96重量%を混合して60℃で、40分間反応させてキトサン乳酸塩溶液を得た。得られたキトサン乳酸塩液60部とコラーゲン原料とする分子量10,000〜20,000の抽出物(2%液)を40部を混合し、60℃で2時間加熱してA液を得た。
B液の調製;第4級アンモニウム塩としてトリメチルグリシン20部と、ラウリル・トリメチルアンモニウム塩(30%液)30部と上記コラーゲン抽出液50部を混合して60℃で2時間撹拌し、該配合液に補助的にバインダーとしてUPM -Z12HN(商品名、帝国化成株式会社製品、ウレタン系バインダー、30%濃度)を20部を混合してB液を得た。
A液にB液を等量撹拌配合して精製水により10倍に希釈して処理液とした。得られた処理液をナイロン製のパンテイストッキングに含浸して100 ℃で乾燥した。処理後のストッキングは、風合にはさらっとした柔軟性があり、保湿性のために着用感は従来品よりはるかに優れており、肌の生理的保護効果を有することが確かめられた。
【0027】
【発明の効果】上述するように、本発明の繊維処理剤は,従来から化粧品などで用いられている保湿剤に比較して、自然保湿因子を成分率で高率に繊維に固着させることができるので、皮膚のバリヤ機能の回復や角質の保湿機能を図ることが可能でである。本発明では、合成樹脂バインダーを極力用いることなく、自然保湿因子の成分を繊維に固着することができるので、従来品に比してはるかに優れた、肌に優しい柔軟風合と保護効果を有する肌着類が得られる。
【出願人】 【識別番号】591112832
【氏名又は名称】中川 百樹
【識別番号】000212005
【氏名又は名称】中村 憲司
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
【出願日】 平成12年1月18日(2000.1.18)
【代理人】 【識別番号】100105061
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 喜博
【公開番号】 特開2001−200478(P2001−200478A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−9117(P2000−9117)