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【発明の名称】 布目矯正機
【発明者】 【氏名】草野 憲雄

【要約】 【課題】簡略な構成で、左右のピンホイールの角度を常時最適に保ち、連続して安定に且つ自動的に布目を矯正することのできる布目矯正機を提供する。

【解決手段】一対のピンホイール4の各々の外周近くに回転軸6を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、駆動源から駆動力を受けて布をピンホイールに供給する供給ロール31と、供給ロールとピンホイールとの間を走行する布に乗って、上下に変位しうるダンサーロール8と、ダンサーロールの変位量を検出する手段と、ピンホイールを通過した布の走行速度を検出する手段と、速度検出手段の信号を変位量検出手段の信号によって補正し、その補正信号に基づいて供給ロールの回転速度を制御する制御手段とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一対のピンホイールの各々の外周近くに回転軸を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、駆動源から駆動力を受けて布をピンホイールに供給する供給ロールと、平面3節からなり、供給ロールを中間節とし、両側の各節が供給ロールと鋭角をなして静止系に回転可能に固定されたリンク機構とを備えることを特徴とする布目矯正機。
【請求項2】一対のピンホイールの各々の外周近くに回転軸を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、布の走行路中ピンホイールの前段階に配置されて、長さ方向の中心点を回転中心として揺動可能なバランスロールを備え、バランスロールを通過する布の両端の張力差に応じてバランスロールが揺動することを特徴とする布目矯正機。
【請求項3】一対のピンホイールの各々の外周近くに回転軸を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、前記回転軸を各々駆動させる流体圧シリンダーと、流体圧シリンダーの出力と前記回転軸とを連結し、その出力Fを回転力に変換して回転軸に伝達するアームとを備え、前記両回転軸を含む平面とアームとのなす角度をθとするとき、前記流体圧シリンダーは、θの絶対値の増加とともにピンホイールが広がるようにそのストロークが設定されていることを特徴とする布目矯正機。
【請求項4】前記流体圧シリンダーが、回転軸の外側上方に配置された引きシリンダーである請求項3に記載の布目矯正機。
【請求項5】θ>0である請求項3又は4に記載の布目矯正機。
【請求項6】一対のピンホイールの各々の外周近くに回転軸を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、布を前記ピン群に掛けるブラシロールを各ピンホイールごとに個別に配置したことを特徴とする布目矯正機。
【請求項7】一対のピンホイールの各々の外周近くに回転軸を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、駆動源から駆動力を受けて布をピンホイールに供給する供給ロールと、供給ロールとピンホイールとの間を走行する布に乗って、上下に変位しうるダンサーロールと、ダンサーロールの変位量を検出する手段と、ピンホイールを通過した布の走行速度を検出する手段と、速度検出手段の信号を変位量検出手段の信号によって補正し、その補正信号に基づいて供給ロールの回転速度を制御する制御手段とを備えることを特徴とする布目矯正機。
【請求項8】前記変位量検出手段がダンサーロールの支持軸に取り付けられたポテンショメーターであり、速度検出手段が布によって連れ回りするジェネレーターロールである請求項7に記載の布目矯正機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、布目矯正機に属する。詳しくは、仕上げ乾燥機、捺染台用の生地張り機、給付装置などに付設して、走行する長寸の布の横糸目の斜向歪みを矯正する布目矯正機に属する。
【0002】
【従来の技術】捺染に際して、布目の斜向や波状曲がりのない状態で給付し、また生地張りすることは、捺染品の品質を保持するために重要である。このため従来、走行する布の横糸目の斜向歪みを矯正する布目矯正機が、生地張り機、給付装置などに付設されている。
【0003】一般に布目矯正機は、いずれも一対のピンホイールを末広がりに対向して配置し、走行する布の両端を外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させて、両ピンホイールの回転速度の差と回転に伴う拡幅力とによって横糸目の斜向歪みを吸収し矯正するものである。
【0004】現時点で出願人の知る限り、最も優れた布目矯正機は、特開平11−222769号公報に記載されているように、ピンホイールの外周に近接してそれらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能に支持する変角軸と、変角軸を布幅方向に移動させる送り機構と、変角軸の回転力を一定範囲に保つエアーシリンダー及び減圧弁からなる回転力保持機構と、エアーシリンダー自体をその出力軸方向に変位させる昇降装置とを備えるものである。
【0005】この布目矯正機によれば、変角軸の回転力が一定範囲に保持されているので、その回転力が布の幅方向の張力と均衡したところで変角軸の回転が止まる。逆に横糸目の斜向の程度が弱い場合、少ない変角量で回転力が張力と均衡する。従って、ピンホイールによる拡幅力を布の性質や横糸目の斜向の程度に応じて適正値に保つことができる。また、斜向の程度が強くてエアーシリンダーのストロークが不足したときは、昇降装置が働いてエアーシリンダーを変位させ、ストロークの不足分を補う。即ち、昇降装置によって粗調整が、エアーシリンダーによって微調整がなされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記載の布目矯正機は、昇降装置が存在するので、その分だけ機械全体が複雑且つ大型となっている。また、上記公報以前の布目矯正機はもとより、上記公報記載の布目矯正機であっても昇降装置の応答性が悪いので、幅方向の適正な張力を得るために昇降装置の応答速度に合わせて布を走行させると矯正状態にするのに長時間を要する。逆に走行速度を速めると左右のピンホイールが対称に末広がりにならないうちに布がピンホイールを通過するので矯正不十分となる。結局、左右のピンホイールの角度を常時安定して対称な末広がりに保ちながら短時間で矯正することは困難であった。
【0007】それ故、この発明の一の課題は、ピンホイールの前段階で布の幅方向の位置を矯正することにより、布目の極端な斜向を防止する布目矯正機を提供することにある。もう一つの課題は、布の両端の張力差をピンホイールの前段階で自動的に調整することにより、布を確実にピン掛けする布目矯正機を提供することにある。また、もう一つの課題は、従来よりも速やかに、ピンホイールを左右対称の末広がりに保つことを可能にした布目矯正機を提供することにある。別の課題は、ピンホイールの拡幅力が布に十分に伝わるようにした布目矯正機を提供することにある。更に別の課題は、布を高速で走行させても無理な張力が布に加わらず、ピンホイールの拡幅作用を十分に発揮することのできる布目矯正機を提供することにある。また、以上の課題を包括する上位的な課題は、従来よりも簡略な構成で、左右のピンホイールの角度を常時最適に保ち、連続して安定に且つ自動的に布目を矯正することのできる布目矯正機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】[請求項1]上記課題を解決するために、本件第一の発明は、一対のピンホイールの各々の外周近くに回転軸を配置し、それらピンホイールを互いに平行ないし末広がりに変角可能なように各々回転軸にて支持し、走行する布の両端をピンホイールの外周に突出したピン群で掛けて各別に回転させることにより、布目を矯正する布目矯正機において、駆動源から駆動力を受けて布をピンホイールに供給する供給ロールと、平面3節からなり、供給ロールを中間節とし、両側の各節が供給ロールと鋭角をなして静止系に回転可能に固定されたリンク機構とを備えることを特徴とする。
【0009】従来の供給ロールは、単に布をピンホイールに供給するために自転するだけであった。このため、布の蛇行を矯正するためには布目矯正機の前段に供給ロールとは別途にロールガイド装置が設けられていた。これに対して、第一発明の布目矯正機によれば、供給ロールがそのロール軸を含む平面内でリンク機構により旋回する。そして、そのリンク機構は、図1に示すように両側の各節A、Bが中間節C(供給ロールの軸)と鋭角をなして静止系に固定されているので、上記のリンク機構によれば、中間節Cの旋回方向前方側の端部は旋回とともに布の長さ方向の変位量が徐々に増す。一方、旋回方向後方側の端部は布の幅方向の変位が支配的である。従って、供給ロールは旋回の初期には布の幅方向に移動し、旋回に伴って布の長さ方向に対する傾斜量を増していく。その結果、布の幅方向の中心位置の誤差が小さい状態では供給ロールを幅方向に直線的に移動させ、誤差が大きくなったとき供給ロールを大きく傾斜させることにより、布の幅方向中心位置を速やかにピンホイールの間隔中心に一致させることができる。
【0010】[請求項2]上記課題を解決する本件第二の発明は、布の走行路中ピンホイールの前段階に配置されて、長さ方向の中心点を回転中心として揺動可能なバランスロールを備え、バランスロールを通過する布の両端の張力差に応じてバランスロールが揺動することを特徴とする。
【0011】走行する布は、末広がりに保たれたピンホイールの拡幅力により、ピンホイールの広がり幅が最大となる位置で横糸が走行方向に対して垂直となる。このため、ピンホイールに差し掛かる位置では、斜向により布の両端間で張力差が生じて、一方(例えば左端)が他方(例えば右端)に比べて大きく弛み、布がピンに掛からないことがある。そこで、第二発明の布目矯正機によれば、ピンホイールの手前で張力の大きい側の端がバランスロールの対応する端を押すので、布の両端の張力が均衡するところまでバランスロールが揺動する。その結果、ピンホイールに差し掛かる際の布の両端に均等に張力が加わり、確実にピンに掛けられる。
【0012】[請求項3−5]上記課題を解決する本件第三の発明は、前記回転軸を各々駆動させる流体圧シリンダーと、流体圧シリンダーの出力と前記回転軸とを連結し、その出力Fを回転力に変換して回転軸に伝達するアームとを備え、前記両回転軸を含む平面とアームとのなす角度をθとするとき、前記流体圧シリンダーは、θの絶対値の増加とともにピンホイールが広がるようにそのストロークが設定されていることを特徴とする。
【0013】従来、流体圧シリンダーのストロークとθとの関係は、回転軸d、アームf、ピンホイールg及び両回転軸を含む平面pを布の走行方向から眺めた図として図2(a)に示すようになっていた。すなわち、出力Fの変角回転軸dへの伝達効率を最大にするために、θ=0を基準として例えば−7°<θ<7°の範囲でアームfが動作するようにシリンダーのストロークが設定されていた。従って、アームfの長さをLとするとき、回転モーメント(F・cosθ)Lは、図2(b)に示すようにアームfが出力Fと垂直状態にあるとき最大値FLとなっていた。そして、その位置よりもアームfがピンホイールgを広がらせる方向(θ>0)に動作するときも、狭まらせる方向(0<θ)に動作するときも回転モーメントはθの絶対値の増大に伴ってFLより小さくなっていた。
【0014】その結果、左右のアームfのうち、相対的にθ=0に近い位置にあって回転モーメントに勝る一方(例えばf1)が、回転モーメントに劣る他方(例えばf2又はf3)を互いに均衡する位置まで引き戻し、左右対称を維持する。この場合、アームfがともにθ>0の位置にあるとき(即ちf1とf2の関係にあるとき)は、問題ない。
【0015】しかし、布目の斜向の程度が強くて偶々他方のアームfがθ<0の位置にあるとき(即ちf1とf3の関係にあるとき)も回転モーメントに勝るf1がf2を自己の出力方向に引っ張るので、ますます左右の均衡が崩れて布目の矯正ができなくなる。そこで、従来はシリンダーのストロークを小さめにして左右の均衡が崩れるのを未然に防止するとともに、シリンダー自体を昇降ギアなどの昇降装置で上下させることによりストロークの不足分を補っていた。しかし、ギア操作は応答性に劣るため、左右のピンホイールを安定して対称に末広がりに保つことはできていなかった。
【0016】これに対して、第三発明の布目矯正機では、図3(a)に示すように常にθ≧0となるようにシリンダーのストロークを設定した。これにより左右のアームの回転モーメントの関係は図3(b)に示す通りとなり、左右のアームは常に回転モーメントが互いに均衡する方向に動作する。その結果、左右のピンホイールが安定して対称に末広がりに保たれる。また、θ<0となることがないから、シリンダーのストロークを十分大きくとることができ、そのためシリンダー自体の昇降装置は不要となった。しかもシリンダーの出力のみで布に拡幅力を与えるので、応答性に優れ、斜向を素早く矯正することが可能となった。
【0017】第三発明の布目矯正機において、前記流体圧シリンダーを、回転軸の内側上方に配置された押しシリンダーとしても、回転軸の外側上方に配置された引きシリンダーとしてもよいが、後者にすると、布の張力に負けてピストンロッドが折れる心配が無い点で望ましい。更にθ>0であると望ましい。これは、θが大きくなるほどF・cosθの変化率が大きくなるので、θの範囲を0から開始するよりも0より大きい値から開始するほうが矯正能力が高まるからである。
【0018】[請求項6]上記課題を解決する本件第四の発明は、布を前記ピン群に掛けるブラシロールを各ピンホイールごとに個別に配置したことを特徴とする。従来の布目矯正機では、1本のブラシロールが両ピンホイールに跨っていたので、左右のピンホイールがブラシロールを介して互いに回転速度を規制しあっていた。従って、ブラシロールが布の両端の位相差の解消を妨げていた。これに対して、第四発明の布目矯正機では、ブラシロールが各ピンホイールごとに個別に配置されているので、各々のピンホイールの回転に同調して回転する。従って、ピンホイールによる布両端の位相差解消を妨げることがない。
【0019】[請求項7]上記課題を解決する本件第五の発明は、駆動源から駆動力を受けて布をピンホイールに供給する供給ロールと、供給ロールとピンホイールとの間を走行する布に乗って、上下に変位しうるダンサーロールと、ダンサーロールの変位量を検出する手段と、ピンホイールを通過した布の走行速度を検出する手段と、速度検出手段の信号を変位量検出手段の信号によって補正し、その補正信号に基づいて供給ロールの回転速度を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】従来、供給ロールを通過する布の走行速度とピンホイールを通過する布の走行速度とが異なるときは、その速度差をダンサーロールで吸収させていただけであった。そして、ダンサーロールは、布の縦方向の張力(縦張力)とダンサーロールの重量とが均衡するように上下に変位するだけであった。この場合、ダンサーロールの重量が軽すぎるとハンチングするし、重すぎると縦張力が強くなりすぎてピンホイールによる拡幅作用を妨害する。従って、拡幅作用を十分に発揮させるためには、ダンサーロールの変位範囲を大きく取るか、又はダンサーロールを若干重くするとともに布の走行速度を遅くしてピンホイールを通過する時間を長くするしかなかった。
【0021】これに対して、本件第五発明では、速度検出手段の信号に基づいて供給ロールの回転速度を制御する。但し、速度検出手段の信号を直接供給ロールに伝達したのでは、ダンサーロールが定位置に復帰せず、次に速度差が生じたときにダンサーロールがその変位量の限界に達して機能を果たさなくなる可能性がある。そこで、ダンサーロールの重量をピンホイールによる拡幅作用を妨害しない程度に軽くするとともに、ダンサーロールの変位量を検出する。そして、その変位量検出信号で上記の速度検出信号を補正し、補正信号に基づいて供給ロールの回転速度を制御することにより、供給ロールを通過する布とピンホイールを通過した布の走行速度を同調させる。これにより、ダンサーロールがハンチングすることはないし、またピンホイールによる拡幅作用を害することもなく、布にほぼ一定の適正な縦張力を付与しながら高速で走行させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明の布目矯正機の実施形態を図面とともに説明する。図4は実施形態の布目矯正機から変角機構を省いたところを示す正面図、図5は同じくダンサーロールとブラシロールを省いたところを示す正面図、図6は同じく右側面図、図7は一部拡大右側面図、図8は供給ロールの制御方法を示す回路図である。布目矯正機1は、矯正しようとする布幅よりも十分広い間隔をあけて立てられた左右の支持板21、21及び両支持板21、21間に亘って固定されたフレーム91を有する本体2と、本体2より上方に固定されたガイド装置3とを備える。
【0023】本体2は、支持板21、21間に左右対称に配置された一対のピンホイール4、4、背面上端付近に左右方向に長いバランスロール5、各ピンホイール4の接線上且つ後方にバランスロール5に対して捻れ方向を向いた変角回転軸(以下、変角軸)6、並びに各ピンホイール4の上端に接するブラシロール7を備える。
【0024】フレーム91の中央には上下方向に支柱22が取り付けられ、一方の支持板21と支柱22にそれらの間隔方向に2本のガイド軸61,61及び1本の回転ネジ62が、ピンホイールの外周に近接して固定されている。他方の支持板21と支柱22との間にも同様にガイド軸61及び回転ネジ62が配置されている。尚、回転ネジ62は軸受けを介して支持板21と支柱22に固定されている。以下、本体2は、基本的に左右同一構造であるので、左右一対の構成要素に関しては一方のみについて説明する。
【0025】変角軸6の前端にはピンホイール4の半径より少し長いホイールアーム41の一端が固定され、ホイールアーム41の他端は軸受けを介してピンホイール4の回転軸を支持している。従って、左右の変角軸6の回転に伴って左右のホイールアーム41が揺動し、両ピンホイール4、4が互いに平行ないし末広がりに変角する。そして、変角軸6は軸受けを介してブラケット63に保持されている。ブラケット63は、ガイド軸61及び回転ネジ62に、ガイド軸61とは摺動自在に、回転ネジ62とはネジ軸方向に運動可能に固定されている。回転ネジ62の端部には駆動ギア64が付けられており、これと追従駆動モータ65の出力軸が噛み合い、追従駆動モータ65の駆動により回転ネジ62が回転するとともにブラケット63が左右に移動する。ホイールアーム41の中間には、ホイールアーム41と交差する方向に延びる第二アーム42が取り付けられ、その先端にブラシロール7が回転可能に取り付けられている。従って、ブラケット63の移動に伴ってピンホイール4の間隔が広狭自在に変化し、ブラシロール7がピンホイール4と共に移動する。尚、ブラケット63の移動範囲は、ブラケット63の上方に突出した接点66がフレーム91に固定されたリミットスイッチ95、96に当たる位置が限界とされる。
【0026】ブラケット63内ではエアーシリンダー9、9が変角軸6、6の外側に垂れ下がるように吊されている。エアーシリンダー9のピストンロッド92の先端と変角軸6とは伝達アーム93で連結されている。左右の伝達アーム93、93は両ピンホイール4、4が左右対称且つ平行になっているときも水平面に対してθ=5°、ピストンロッド92に対して95°程度の角度をなしている。しかも、ピストンロッド92は、θ=5°であるときが最先端となるようにストロークの下限がブラケット内のストッパー94で設定されている。従って、ピストンロッド92がその出力Fで後退するのに伴って右(又は左)の伝達アーム93がF・cosθの回転力で反時計回り(又は時計回り)に回転してピンホイール4、4を末広がりにさせる。
【0027】ピンホイール4は傾きが大きくなるほど、θが大となるので回転力が弱まる。従って、右(左)のピンホイール4が左(右)のピンホイール4より大きく外側に傾いたときは、θの小さい左(右)の伝達アーム93が右(左)の伝達アーム93を互いのピンホイールの傾きが等しくなる位置まで逆回転させる。そして、θが5°未満とならないようにシリンダーのストロークがストッパー94で設定されているので、相対的に回転力が弱くなる伝達アームは、常に相対的に大きく外側に傾いているピンホイールの方である。また、回転モーメントの大きい伝達アームが他方の伝達アームを過度に逆回転させることはないから、シリンダーのストロークは十分長く設定されている。従って、シリンダー自体を昇降させることなく、そのストロークの範囲で布に必要な拡幅力を付与することができる。よって、素早く布目の斜向を矯正することができる。
【0028】支柱22の上端にはバランスロール5を支持する支持軸51が回転可能に固定され、バランスロール5はその両端を挟んでこれを保持するブラケット52を介して支持軸51に支持されている。ピンホイール4の上方且つバランスロール5より下方には、支持板21、21に跨る支持軸81にダンサーアーム82を介してダンサーロール8が上下に変位可能に取り付けられている。ダンサーロール8は、支持板21に固定された棒状のダンサーストッパー86、86にダンサーアーム82が当たる位置をもって上限又は下限と決められる。支持軸81にはポテンショメータ85が接続されていて、ダンサーロール8の変位方向を検出し、後述のジェネレータロール84が発する信号を補正する。
【0029】一方、ガイド装置3は、前後に平行に並んだ2本のロール31、31と、これらロールを軸受けを介してその両端で支持するブラケット32、32と、本体2の上端を支点としてロール31と平行な面に対して回転可能に固定されるとともにブラケット32を支持する連結部材33、33と、ロール31、31のうち一本を駆動するモータ34とで実質的に構成される。従って、ロール31、31を併せて1本のリンクとみなすと、ロール31と2本の連結部材33、33とにより4つの回転対偶をもつ平面3節のリンク機構が構成されることになる。尚、連結部材33、33の支点間の距離はブラケット32、32間の距離よりも小さくされている。また、連結部材33の下方には、モータ(図示省略)によって回転する左右方向に長い回転ネジ35、その前後にレール36、36及び回転ネジ35の回転に伴ってレール36上を摺動する移動体(図示省略)が設けられている。この移動体が更に連結部材33、33の少なくとも一方に軸受けを介して連結されることによって連結部材33に回転力が伝達される。
【0030】そのため、ロール31の両端は、図略のモータの駆動によって移動体がレール36上を摺動するとき図1に示すような軌跡a、bを描いて変位する。図中、旋回方向前方の軌跡aは軌跡bに比べてY方向の変位が大きく、旋回方向後方の軌跡bは軌跡aに比べてX方向の変位が大きく、この関係はロール31の位置が支点の間隔中心を軸として反転しない限り一定である。このガイド装置のみの詳細な構成は実公平4−27891号公報に開示されている。
【0031】モータ34の出力制御は次のように行われる。図8に示すように、ジェネレータロール84の回転速度に応じてパルスジェネレータPGが発するパルス信号をF/V変換器にて電圧に変換する。この出力電圧を、同時にポテンショメータ85が支持軸81の回転角に応じて出す電圧により補正する。具体的にはダンサーロール8が定位置より上方にあるときは、出力電圧が更に増すようにプラス補正し、逆に定位置より下方にあるときは、出力電圧が更に減るようにマイナス補正する。続いて、補正された電圧信号を増幅し、その補正信号に基づいてベクトルインバータFVRにてモータ34の出力を連続的に変える。こうして、ピンホイール4を通過した布の走行速度とピンホイールへの布の供給速度が常時同じになるように制御される。
【0032】次に、この実施形態の布目矯正機1の動作を説明する。布目矯正機1に送られてきた布は、2本のロール31、31上をS字掛けで通過し、本体2に向かう。本体2にはガイド装置3の直下に中央位置検出センサー37が設けられており、本体2に供給された布の幅方向の中心位置を検出している。このセンサー37は、水平方向に直列に且つ左右対称に付けられた多数の発光素子37aと、それらに対向する位置に付けられた同数の受光素子37bとからなる。そして、各発光素子37aから出た光線のうち布の両端より外側のものだけが対向する受光素子37bに入る。従って、光線を受けた受光素子37bが左右同数の場合は、布の幅中心とピンホイール4、4の間隔中心が一致しており、左(又は右)の方が右(左)よりも受光した素子数が多い場合は布が右(又は左)に偏っていることになる。こうして、布の幅方向の中心位置を検出し、その検出信号に基づいてロール31を連結部材33の回転動作によって移動させ、布の幅中心をピンホイール4,4の間隔中心に一致させる。同時にモータ34の駆動によって布を本体2に供給する。
【0033】ガイド装置3によって蛇行を矯正されながら本体2に供給された布は、ダンサーロール8、バランスロール5及び固定ロール83を順に通過し、ブラシロール7によってピンホイール4のピン群に押さえつけられることにより、その両端がピン群に掛けられる。各ピンホイール4の直前には光電式の端位置検出センサー43が取り付けられており、布の端部の幅方向位置を検出している。従って、ピンホイール4、4の間隔は、回転ネジ62に対するネジ運動によりセンサー43の検出信号に基づいてブラケット63をガイド軸61に沿って移動させることにより、布幅に応じて決められる。また、布の走行速度は、ジェネレータロール84の回転速度によって検出され、回転速度に応じてパルス信号が発せられる。この信号は、ダンサーロール8が定位置より上方にあるときはポテンショメータ85にてプラス補正され、逆に下方にあるときはマイナス補正される。補正された出力信号に基づいてインバータFVRがモータ34の出力を増減する。
【0034】こうして布の縦方向に加わる張力は、布全体に弛みが生じることなく且つピンホイールの拡幅作用を妨げることのない適正な範囲に常に保たれる。また、このように布の縦張力がほぼ一定であるから、布を高速で走行させることができ、矯正に要する時間が短くてすむ。例えば、従来の矯正機では走行速度60m/分が限界であったのに対し、この実施形態の矯正機は走行速度85〜100m/分でも安定して運転可能である。
【0035】一方、斜向等により布の両端に生じた位相差は、後述のピンホイール4の拡幅力によって矯正されるが、このときの位相差解消によってダンサーロール8とピンホイール4との間を走行する布の一方の端に弛みが生じようとする。そこで、布の両端の縦糸の張力が均衡するところまでバランスロール5が傾く。従って、弛みは防止されて布が確実にピン群に掛けられる。
【0036】続いてピン群に掛けられた布は、布に連れだって末広がりを保ちながら回転するピンホイール4によって拡幅され、幅方向に引っ張られることにより斜向が矯正される。既にガイド装置3によって蛇行修正され、且つバランスロール5によって両端の縦糸の張力が均等にされていることから、大きな斜向は無い。ピンホイール4の変角軸6はシリンダー9の空気圧によって駆動するから、変角軸6はピンホイール4が左右対称の末広がりを保つ方向に速やかに回転する。よって、ピンホイール4を連れ回りさせる布は、速やかに斜向が矯正されてジェネレータ84を通過する。
【0037】
【発明の効果】以上の通りであるから、この発明の布目矯正機によれば、布目を速やかに連続して自動的に矯正することができる。
【出願人】 【識別番号】592219086
【氏名又は名称】株式会社エム・イー開発技研
【出願日】 平成12年1月18日(2000.1.18)
【代理人】 【識別番号】100098969
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 正行
【公開番号】 特開2001−200468(P2001−200468A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−9062(P2000−9062)