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【発明の名称】 電気洗濯機
【発明者】 【氏名】服部 直幾

【氏名】相馬 倫弘

【氏名】細川 敦志

【氏名】小倉 健

【氏名】伊東 正一

【氏名】塙 信幸

【要約】 【課題】電気洗濯機の噛み合いクラッチ機構の動作音を低減する。

【解決手段】噛み合いクラッチ機構47における電磁コイル47aに供給する駆動電流をPWM制御することにより駆動電流の立上りを緩やかにして摺動子47cの移動速度を緩和する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外槽内に回転自在に設けた洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の底の内側に回転自在に設けた撹拌翼と、前記外槽の底の外側に設置されて前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を駆動する駆動装置と、制御装置を備え、前記駆動装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を選択的に駆動する電磁操作式のクラッチ機構と電動機を備えた電気洗濯機において、前記制御装置は、前記クラッチ機構の電磁コイルに供給する駆動電流をPWM制御することにより該駆動電流を徐々に大きくするようにして摺動子の移動速度を緩和するようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項2】請求項1において、前記制御装置は、電磁コイルに供給する駆動電流を供給開始から所定時間後に小さくするようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項3】請求項1において、前記制御装置は、電磁コイルに供給する駆動電流を供給開始から所定時間後に小さくすると共に電動機を運転することにより摺動子の吸着子の係止突条を電磁鉄心の係止溝に嵌合させて洗濯兼脱水槽を回り止めするようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項4】外槽内に回転自在に設けた洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の底の内側に回転自在に設けた撹拌翼と、前記外槽の底の外側に設置されて前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を駆動する駆動装置と、制御装置を備え、前記駆動装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を選択的に駆動する電磁操作式のクラッチ機構と電動機を備えた電気洗濯機において、前記制御装置は、前記クラッチ機構の電磁コイルに供給する駆動電流をPWM制御すると共に前記電磁コイルに流れる駆動電流の立上り時間に基づいて摺動子の動作状態を検出するようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項5】請求項4において、前記制御装置は、電磁コイルに供給する駆動電流を小さくした保持状態における駆動電流の立上り時間に基づいて摺動子の動作状態を検出するようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】全自動電気洗濯機は、外枠内に防振支持装置によって懸垂支持した外槽内に洗濯兼脱水槽を回転自在に設置し、更にこの洗濯兼脱水槽内の底部に撹拌翼を回転自在に設置し、外槽の底の外側に取り付けた駆動装置によって前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を回転駆動する構成である。
【0003】駆動装置は、電動機の回転を減速歯車機構を介して撹拌翼に伝達して該撹拌翼を低速で正逆回転させて洗いおよび濯ぎ工程を実施し、また、クラッチ機構を介して洗濯兼脱水槽に伝達して該洗濯兼脱水槽を一方向に高速回転させて脱水工程を実施する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような全自動電気洗濯機において、駆動装置におけるクラッチ機構は、電磁操作式の噛み合い係合機構を採用しており、電磁コイルに駆動電流を供給して噛み合い係合機構の摺動子を電磁操作したときに当り音(動作音)を発生する。また、摺動子を確実に電磁操作することができないときには駆動力の伝達を確実に断続制御することができず、洗濯および脱水運転を確実に実行することができなくなる。
【0005】本発明の1つの目的は、電磁操作式のクラッチ機構の動作音を低減することにある。
【0006】本発明の他の目的は、電磁操作式のクラッチ機構の動作状態を検出することができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、外槽内に回転自在に設けた洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の底の内側に回転自在に設けた撹拌翼と、前記外槽の底の外側に設置されて前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を駆動する駆動装置と、制御装置を備え、前記駆動装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を選択的に駆動する電磁操作式のクラッチ機構と電動機を備えた電気洗濯機において、前記制御装置は、前記クラッチ機構の電磁コイルに供給する駆動電流をPWM制御することにより該駆動電流を徐々に大きくするようにして摺動子の移動速度を緩和するようにしたことを特徴とする。
【0008】また、前記制御装置は、電磁コイルに供給する駆動電流を供給開始から所定時間後に小さくするようにしたことを特徴とする。
【0009】また、前記制御装置は、電磁コイルに供給する駆動電流を供給開始から所定時間後に小さくすると共に電動機を運転することにより摺動子の吸着子の係止突条を電磁鉄心の係止溝に嵌合させて洗濯兼脱水槽を回り止めするようにしたことを特徴とする。
【0010】また、本発明は、外槽内に回転自在に設けた洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の底の内側に回転自在に設けた撹拌翼と、前記外槽の底の外側に設置されて前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を駆動する駆動装置と、制御装置を備え、前記駆動装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を選択的に駆動する電磁操作式のクラッチ機構と電動機を備えた電気洗濯機において、前記制御装置は、前記クラッチ機構の電磁コイルに供給する駆動電流をPWM制御すると共に前記電磁コイルに流れる駆動電流の立上り時間に基づいて摺動子の動作状態を検出するようにしたことを特徴とする。
【0011】また、前記制御装置は、電磁コイルに供給する駆動電流を小さくした保持状態における駆動電流の立上り時間に基づいて摺動子の動作状態を検出するようにしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の全自動洗濯機の基本構成の概略を示す縦断側面図である。1は、内部機構を内包する枠体である。2は、洗濯兼脱水槽であり、その上縁部に流体バランサー3を備え、底部の内側には回転自在に撹拌翼4を備える。5は、前記洗濯兼脱水槽2を回転自在に内包する外槽であり、底部の外側には駆動装置6を鋼板製の取り付けベース7を介して取り付け、外枠1の上端四隅から防振支持装置8によって懸垂支持する。駆動装置6の内部構成については後述する。
【0013】衣類投入開口9aを設けた上面カバー9は、枠体1の上部開口を覆うように該開口端縁に嵌め込み、フロントパネル10およびバックパネル11と共に取り付けねじ(図示省略)によって枠体1に取り付ける。
【0014】上面カバー9とフロントパネル10の間に形成されるフロントパネルボックス12には、電源スイッチ13と入力スイッチ群14と表示素子群15と外槽5内の水位に応じた水位信号を発生する水位センサー16と制御装置であるコントロールユニット17を内蔵する。
【0015】上面カバー9とバックパネル11の間に形成されるバックパネルボックス18には、入水側を水栓19に接続し、出水側を注水口20に接続した給水電磁弁21を内蔵する。注水口20は、洗濯兼脱水槽2の開口に向けて放水するように形成する。
【0016】上面カバー9に形成した衣類投入開口9aは、蓋22によって開閉自在に覆うようにする。
【0017】外槽5の底部に形成した排水口5aは、排水電磁弁23を介して排水ホース24に接続し、エアートラップ5bは、エアーチューブ25を介して前記水位センサー16に接続する。
【0018】枠体1の下端縁には、四隅に脚26を取り付けた合成樹脂製のベース27を装着する。
【0019】図2は、この全自動洗濯機の具体的な構成を示す縦断側面図であり、その一部は展開して図示している。この全自動洗濯機は、基本的には、図1に示した全自動洗濯機と同一の構成であるので、図1に示した全自動洗濯機の構成部品に相応する構成部品に同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】図3〜図6は、前記駆動装置6の内部構成を詳細に示している。図3は駆動装置の全体を示す縦断側面図である。図4は、噛み合いクラッチ機構の噛み合い結合を解いた状態を示す部分的な縦断側面図、図5は、噛み合い結合している状態を示す縦断側面図、図6は、外側回転軸系を係止するための摺動子と電磁鉄心の噛み合い係合部の断面図である。
【0021】この駆動装置6は、洗濯兼脱水槽2および撹拌翼4の駆動回転軸を軸心にして垂直方向に減速歯車機構と噛み合いクラッチ機構と可逆回転電動機を同心的に直列に配列した構成である。
【0022】減速歯車機構は、結合フランジを合わせて取り付けねじ31によって取り付けベース7に取り付けた2つ割りの減速機構外ケース32a,32bの内側にボールベアリング33a,33bによって内外2重構造の駆動回転軸系34を支持する。
【0023】この駆動回転軸系34は、中空の外側回転軸系35とその中空内に配置した内側回転軸系36を備える。
【0024】外側回転軸系35は、電動機の回転を直に洗濯兼脱水槽2に伝達して該洗濯兼脱水槽2を駆動する回転軸系であり、外ケース32aの外側に伸びて外槽5を貫通した先端部に洗濯兼脱水槽2を結合する外側出力軸部35aと、外ケース32bの外側に伸びた筒部に噛み合いクラッチ機構に係合するセレーション35bを形成し、内側端にフランジ35cを形成した外側入力軸部35dと、その中間に位置して遊星歯車減速機構を収容する歯車ケース部35eを備える。歯車ケース部35eの内周には遊星歯車減速機構の一部を構成する環状歯車35fを固着する。
【0025】この外側回転軸系35の内側に設ける内側回転軸系36は、電動機の回転を減速して撹拌翼4に伝達して該撹拌翼4を駆動する回転軸系であり、前記外側出力軸部35a内にシール37とメタル軸受38a,38bとグリップ止め輪(プッシュナット)39によって水密および抜け止め状態に設けられ、外側出力軸部35aの先端から洗濯兼脱水槽2内に突出して撹拌翼4が取り付けられる外端部分に取り付けねじ36aが形成され、内端から歯車ケース部35e内に突出して遊星歯車減速機構と結合する内端部分にセレーション36bが形成された内側出力軸部36cと、外側入力軸部35dの内側にボールベアリング40a,40bによって支持され、この外側入力軸部35dの外端から片持ち状態に伸び出た外端部分に電動機回転子嵌着部36dと止めねじ36eが形成され、歯車ケース部35e内に伸びた内端側部分に太陽歯車36fが形成された内側入力軸部36gと、歯車ケース部35e内において前記内側出力軸部36cのセレーション36bに嵌合したキャリア36hに軸支されて前記歯車35f,36fに噛み合って回動して前記キャリア36hに減速した回転力を伝達する遊星歯車36iを備える。
【0026】ボールベアリング40a,40bは、電動機の回転子軸となる内側入力軸部36gを高精度に支持するために、外側入力軸部35d内に外輪圧入状態に取り付ける。内側入力軸部36gは、後述するように、電動機の回転子を片持ち状態に支持するようになるので、この内側入力軸部36gを支持する軸受は、損失が少なく且つ径方向の大きな荷重を支えるのに好適な転がり軸受の代表的なボールベアリング40a,40bを使用したが、ローラベアリングに置き換えることもできる。
【0027】電動機は、外ケース32bの下端面に絶縁部材41を介在させて取り付けねじ42によって絶縁状態に取り付けた電動機ハウジング43を下向きに開口させ、開口端から固定子44を嵌入して複数個の切り越し突起43aと折り曲げ爪43bによって挟持するように固定した構成である。具体的には、固定子44は、可逆回転誘導電動機を構成するように、固定子鉄心44aに6極構成の固定子巻線44bを巻装し、固定子鉄心44aの外周面を電動機ハウジング43に嵌入して固定し、その後に、この電動機ハウジング43を外ケース32bの下端面に取り付ける。この固定子44に組する回転子45は、内側入力軸部36gに形成した回転子嵌着部36dに嵌着し、止めねじ36eに螺着した止めナット46によって固定する。
【0028】回転子45は、回転子鉄心として外側鉄心45a1と内側鉄心45a2を積層し、外側鉄心45a1に対してアルミニウムダイカストにより籠型2次導体45b1と冷却羽根45b2,45b3を一体的に成形し、外側鉄心45a1と内側鉄心45a2の間の間隙に絶縁樹脂を注入して両者を結合する絶縁樹脂層45c1を形成すると共に下側の端面に伸ばして回転検出センサー用の回転磁石受け部45c2を形成し、この回転磁石受け部45c2に永久磁石45dを嵌着する。また、この絶縁樹脂層45c1は、回転子鉄心の上側の端面に伸ばして該端面に後述する噛み合いクラッチ機構の摺動子を噛み合い/解除自在に係合させる噛み合い凹凸部45c3を形成する。
【0029】このようにして構成した回転子45は、内側入力軸部36gに形成した電動機回転子嵌着部36dに嵌着し、止めナット46を締め付けて電動機回転子嵌着部36dに固着する。
【0030】噛み合いクラッチ機構47は、その一部を図4〜図6に詳しく示すように、外側回転軸系35を電動機の回転子45に噛み合い係合によって結合して該外側回転軸系35に回転子45の回転力を伝達して回転させ、または噛み合い係合を解いて該外側回転軸系35を回り止めするように係止する。
【0031】この噛み合いクラッチ機構47は、駆動装置6の軸方向の全体寸法を小さくするために、環状の電磁コイル47aを内包する環状の電磁鉄心47bを前記取り付けねじ42によって電動機ハウジング43の内側に共締めして取り付け、固定子巻線44bのエンドコイルによつて囲まれた内側空間に外側入力軸部35dを取り巻くように設置する。外側入力軸部35dに形成したセレーション35bに軸方向に摺動可能に係合させた絶縁樹脂製の摺動子47cは、コイルばね47dによって前記回転子45の噛み合い凹凸部45c3に係合するように押し下げ、前記電磁コイル47aの電磁力によってコイルばね47dの押し下げ力に逆らって摺動子47cを引き上げることにより噛み合いを解除して電磁鉄心47bに吸着して回り止める。
【0032】摺動子47cは、前記電磁鉄心47bによって吸引する鉄製の吸着子47eを一体的に樹脂成形して設け、前記噛み合い凹凸部45c3に嵌入して噛み合わせる噛み合い突起47fを樹脂成形により一体的に形成する。
【0033】摺動子47cの吸着子47eを電磁鉄心47bに吸着したときに該摺動子47cを係止して回り止めするために、図6に詳しく示すように、電磁鉄心47bの吸着面には複数本の放射状の係止溝47b1を形成し、吸着子47eには前記係止溝47b1に嵌入する複数本の放射状の係止突条47e1を形成する。係止溝47b1は、係止突条47e1を係止する側壁面が奥方向に1〜2度の傾斜で広がるように形成し、係止突条47e1は、係止溝47b1の側壁面に当接する側面が先端方向に1〜2度の傾斜で広がるように形成することにより、噛み合い係合させたときに抜け止め方向の分力が発生するようにする。
【0034】電動機ハウジング43の下端は、カバー48を嵌着して覆う。そして、このカバー48に回転検出センサーの回転検出素子(感磁素子)49を取り付け、この回転検出素子49を前記回転子45の永久磁石45dの回転軌道に対向させて設置する。
【0035】このような駆動装置6は、取り付けベース7を取り付けねじ50によって外槽5の底の外側に取り付ける。また、この駆動装置6の外側は、前記取り付けねじ50によってこの駆動装置6と一緒に取り付けた外カバー51によって覆うようにする。
【0036】図7は、この全自動洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。
【0037】コントロールユニット17は、マイクロコンピュータ17aを中心にして構成し、電源回路17bと、電源リレー17cと、給水電磁弁21と排水電磁弁23と噛み合いクラッチ機構の電磁コイル47aと電動機の固定子巻線44bへの給電を制御する半導体スイッチング素子群や補助電源回路等で構成した駆動回路17dを備える。
【0038】電源回路17bは、制御回路用の低圧直流電圧を生成する。
【0039】駆動回路17dは、電動機の固定子巻線44bへの給電制御に関しては、可逆回転制御用の2つの半導体交流スイッチング素子(FLS)17d1,17d2を備える。FLS17d1は、正回転給電制御用の半導体交流スイッチング素子、FLS17d2は逆回転給電制御用の半導体交流スイッチング素子である。また、電磁コイル47aへの給電制御に関しては、吸着子47eを吸引する初期段階では大きな電磁力を必要とするために大きな電流とし、吸着後は電流を小さくして発熱を軽減するように制御する。詳細は後述する。
【0040】また、マイクロコンピュータ17aは、予め組み込まれた制御処理プログラムに従って、電源スイッチ13,入力スイッチ群14,水位センサー16および回転検出素子49からの入力信号を取り込み、表示素子群15と電源リレー17cと駆動回路17dを制御する。
【0041】コントロールユニット17のマイクロコンピュータ17aは、電源スイッチ13が投入されると、電源リレー17cをオンして待機状態となる。
【0042】そして、入力スイッチ群14から洗濯開始を指示されると、入力スイッチ群14によって設定された洗濯脱水モードを確認し、設定された洗濯脱水モードの洗濯脱水工程に入る。
【0043】図8は、基本的な洗濯脱水モードにおいてマイクロコンピュータ17aが実行する制御処理を示している。
【0044】ステップ1701電磁給水弁21を開いて外槽5内に所定の水位まで給水する。この所定の水位は、次のステップでの布量検出に適した水位であり、その水位検出は、水位センサー16から出力される水位検出信号を監視して行う。
【0045】ステップ1702布量の検出を行う。この布量検出は、従来と同様に、撹拌翼4を回転させたときの洗濯物の抵抗力の大きさに基づいて行う。そのために、噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを付勢して吸着子47eを電磁吸引することにより、摺動子47cをコイルばね47dに逆らって引き上げて該摺動子47cの噛み合い突起47fを電動機の回転子45の噛み合い凹凸部45c3から切り離し、吸着子47eを電磁鉄心47bに吸着し、吸着子47eの係止突条47e1を電磁鉄心47bの係止溝47b1に係合することにより外側回転軸系35(洗濯兼脱水槽2)の回転を抑制するように係止する。この状態で、電動機の固定子コイル44bを付勢して回転子45を回転させ、内側入力軸部36gから遊星歯車36iを介して減速した後に内側出力軸部36cに伝達して撹拌翼4を回転させるようにする。そして、駆動を停止したときの惰性回転速度を回転検出素子49からの信号に基づいて検出し、その減衰特性に基づいて布量を検出する。この検出処理は、水位を変えながら行うことにより、布質の検出も可能となる。
【0046】ステップ1703布量および布質に応じて洗濯水位を決定し、この洗濯水位まで給水を実行する。
ステップ1704布量および布質に応じた洗い工程を実行する。この洗い工程は、撹拌翼4を正逆回転させて行う洗い方と洗濯兼脱水槽2を正逆回転させて行う洗い方と洗濯兼脱水槽2を一方向に連続的に回転させて行う洗い方を選択的に実行することができる。
【0047】撹拌翼4を正逆回転させて行う洗い方は、例えば、木綿の下着や靴下などの洗濯物を強く撹拌して洗濯するのに適している。また、洗濯兼脱水槽2を正逆回転させて行う洗い方は、例えば、シーツやバスタオルなどの大きい洗濯物を撹拌して絡み合いおよび洗濯むらを軽減するように洗濯するのに適している。そして、洗濯兼脱水槽2を一方向に連続的に回転させて行う洗い方は、例えば、ドライマーク衣料などの洗濯物を型崩れしないように洗濯するのに適している。
【0048】撹拌翼4を正逆回転させる洗い方は、噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを付勢して摺動子47cを引き上げて該摺動子47cと回転子45との噛み合いを解き、吸着子47eを電磁鉄心47bに吸着して係止突条47e1を係止溝47b1に係合させて外側入力軸部35dを回り止めして洗濯兼脱水槽2を静止状態にし、回転子45を正逆回転するように固定子コイル44を付勢することにより、この回転を内側入力軸部36g,遊星歯車36i,内側出力軸部36cを介して撹拌翼4に伝達して行う。
【0049】洗濯兼脱水槽2を正逆回転させる洗い方は、噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを消勢して摺動子47cをコイルばね47dによって押し下げて該摺動子47cの噛み合い突起47fを回転子45の噛み合い凹凸部45c3嵌入して噛み合わせて該回転子45と連結状態にし、電動機の回転子45を正逆回転するように固定子コイル44bを付勢することにより、この回転を外側入力軸部35d,歯車ケース部35e,外側出力軸部35aを介して洗濯兼脱水槽2に伝達して行う。このときは、遊星歯車機構は減速機能を失うので、撹拌翼4は、洗濯兼脱水槽2と同期して一体的に回転する。
【0050】そして、洗濯兼脱水槽2を一方向に連続回転させて行う洗い方は、水位を低めに設定し、噛み合いクラッチ機構47を噛み合わせた連結状態において、電動機を一方向に連続回転させるように固定子コイル44bを付勢することによって実現する。
【0051】このような3種類の洗い方の選択は、マイクロコンピュータ17aが布量や布質あるいは入力スイッチ群14によって設定された洗濯モードに応じて決定し、噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aを制御して該噛み合いクラッチ機構47の断続状態を制御することによって行う。また、必要に応じて、これらを組み合わせた洗い方にすることもできる。
【0052】ステップ1705濯ぎ工程を実行する。この濯ぎ工程は、シャワー脱水濯ぎと溜め濯ぎを組み合わせて実行するようにすると良い。組み合わせ方は、先ず、シャワー脱水濯ぎを行い、その後に溜め濯ぎを行うようにすると良い。
【0053】シャワー脱水濯ぎは、排水電磁弁23を開いて排水状態とし、撹拌翼4および洗濯兼脱水槽2を高速回転させて脱水運転にした状態で給水電磁弁21を開いて該洗濯兼脱水槽2内に注水するようにして行う。
【0054】このときの洗濯兼脱水槽2の高速回転させる脱水では、噛み合いクラッチ機構47は、前述した洗濯兼脱水槽2を回転させる洗い方のときと同様に、電磁コイル47aを消勢して摺動子47dを電動機の回転子45に連結状態にして該電動機を所定の方向に高速回転させることにより実現する。
【0055】溜め濯ぎは、撹拌翼4および洗濯兼脱水槽2を静止状態にして排水電磁弁23を開いて外槽5内の洗い水を排水し、洗濯兼脱水槽2を高速回転させて脱水し、次いで、排水電磁弁23を閉じて給水電磁弁21を開くことによって洗濯兼脱水槽2に注水して外槽5内に濯ぎ水を溜め、撹拌翼4または洗濯兼脱水槽2を回転させて洗濯物を撹拌する動作を繰り返すように行う。
【0056】ステップ1706脱水工程を実行する。この脱水工程は、前述した濯ぎ工程における脱水と同様にして行う。
【0057】マイクロコンピュータ17aは、これらの各ステップにおいて、設定状態および工程進行状態を表示素子群15を制御して表示し、異常が発生したときや洗濯終了時には、ブザー17hを鳴動させて報知するようにする。
【0058】このような電気洗濯機において、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を回転させて脱水するときには、駆動装置6における噛み合いクラッチ機構47の電磁コイル47aの駆動電流を遮断して摺動子47cをばね47dによって押し下げて電動機の回転子45に噛み合わせ、撹拌翼4を回転させて洗濯するときには電磁コイル47aに駆動電流を供給して電磁力によって摺動子47cを引き上げて回転子45との噛み合いを解除して電磁鉄心47bに吸着することにより洗濯兼脱水槽2を回り止めする引き上げ制御を実行する。この引き上げ制御では、電磁コイル47aに供給する駆動電流をPWM制御して該駆動電流の平均値(大きさ)を変えることによって摺動子47cを駆動する電磁力を調整する。
【0059】この電磁コイル47aの駆動電流の制御は、マイクロコンピュータ17aからの指令に基づいて駆動回路17deによって実行する。
【0060】図9は、マイクロコンピュータ17aからの指令に基づいて電磁コイル47aへ供給する駆動電流をPWM制御するための駆動回路17dにおける部分的な構成を示し、図10は動作特性を示している。
【0061】電磁コイル47aに供給する駆動電流をPWM制御するために、駆動回路17dは、補助電源回路17d3から電磁コイル47aに供給する駆動電流の大きさを供給電流検出抵抗17d4の電圧降下で検出し、この供給電流検出抵抗17d4の端子電圧をフィルター回路17d5を介してPWMコントロール回路17d6の差動アンプ17d61に取り込み、マイクロコンピュータ17aから与えられる電流指令値との差分を増幅して制御信号を生成し、この制御信号と3角波生成器17d62から出力する3角波信号を比較器17d63によって比較してPWM信号を出力し、このPWM信号によつてスイッチング素子17d7を断続制御する。スイッチング素子17d7が遮断状態になると電磁コイル47aに流れていた駆動電流は還流ダイオード17d8を介して還流しながら減衰する。そして、電磁コイル47aに流れる駆動電流は脈動し、その平均値は、マイクロコンピュータ17aから与えられる電流指令値に追従する。
【0062】摺動子47cを吸引して引き上げるために電磁コイル47aに供給する駆動電流を最初から大きい値にすると摺動子47cの吸着子47eに作用する電磁力が過大になり、摺動子47cの引き上げ速度が過大になって吸着子47eが電磁鉄心47bに吸着されるときに大きな当り音を発生する。
【0063】この実施の形態においては、この当り音を小さくするために、マイクロコンピュータ17aは、電流指令値を徐々に大きく(ソフトスタート)して電磁コイル47aに供給する駆動電流の平均値を徐々に大きくすることにより、吸着子47eに作用する電磁力を徐々に大きくして該摺動子47cの引き上げ速度を緩慢にして当り音を緩和するようにしている。
【0064】電磁鉄心47bに吸着した吸着子47eを保持するための電磁力は、小さい駆動電流(保持電流)により発生することができ、駆動電流を小さくすることにより電力消費と発熱量を軽減することができる。
【0065】マイクロコンピュータ17aは、駆動電流供給開始から所定時間後に供給する駆動電流を減少するように電流指令値を小さくし、駆動電流を減少させた状態において、電動機を運転して撹拌翼4を回転させて該撹拌翼4の回転力を洗濯物を介して洗濯兼脱水槽2に作用させて該洗濯兼脱水槽2を緩やかに回転させ、従って、摺動子47cも緩やかに回転することによって該摺動子47cの吸着子47eの係止突条47e1を電磁鉄心47bの係止溝47b1に嵌合させて洗濯兼脱水槽2を回り止めする。このときの電磁力は、供給駆動電流を減少させているので、吸着子47eと電磁鉄心47bの接触面は比較的に滑り易い状態にあり、係止突条47e1と係止溝47b1が一致して嵌合するまで容易に摺動して嵌合する。そして、その後は、保持駆動電流で嵌合状態を保持する。
【0066】電磁コイル47aは、摺動子47cを完全に引き上げて吸着子47eを電磁鉄心47bに吸着すると該電磁鉄心47bと吸着子47eが接触して磁気回路の透磁率が大きくなるためにインダクタンスが大きくなり、供給する駆動電流の立上りが緩慢になる。しかし、摺動子47cの引き上げが不十分で電磁鉄心47bと吸着子47eが離れた状態にあると磁気回路の透磁率が小さいまま(または大きくなりきれない)であるので電磁コイル47aのインダクタンスは小さいままであり、従って、供給する駆動電流が急峻に立ち上がる。図11は、このような状態を示している。
【0067】マイクロコンピュータ17aは、この供給駆動電流の立上り時間を観察して摺動子47cが正常に動作したかどうかを判定する。すなわち、マイクロコンピュータ17aは、供給電流検出抵抗17d4の端子電圧を波形整形回路17d9を介して取り込み、その時間幅tを基準時間t0と長短比較して摺動子47cの動作状態を判定する。吸着子47eの係止突条47e1が電磁鉄心47bの係止溝47b1に嵌合した正常状態における供給駆動電流の立上り時間tをt1とし、嵌合しない異常状態における供給駆動電流の立上り時間tをt2とするとき、基準時間t0をその間に設定することにより、この基準時間t0と立上り時間tを長短比較することにより、摺動子47が正常に動作したかどうかを判定する。
【0068】そして、摺動子47が正常に動作しなかったときには、引き上げ制御をやり直す。
【0069】以上に述べた実施の形態におけるクラッチ機構は、電磁コイルに駆動電流を供給することにより電磁力を発生させて摺動子を直接的に操作するようにしたが、間接的に操作するようなクラッチ機構とすることもできる。
【0070】
【発明の効果】本発明は、電磁操作式のクラッチ機構における電磁コイルに供給する駆動電流をPWM制御することによって徐々に大きくするようにしたので、摺動子の動作音を軽減することができる。また、PWM制御される駆動電流の立上り時間を観察してクラッチ機構の動作状態を検出するようにしているので、動作不良による不具合を回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年4月19日(2000.4.19)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−300187(P2001−300187A)
【公開日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願番号】 特願2000−118441(P2000−118441)