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【発明の名称】 アイロン
【発明者】 【氏名】岡部 一夫

【要約】 【課題】消費電力を増大させずに立ち上げ時の待ち時間を短縮したアイロンを提供する。

【解決手段】アイロン掛面の尖形状の前方部位を加熱する第1の電熱ヒーターと、前記掛面の中間部位を加熱する第2の電熱ヒーターと、前記掛面の後方部位を加熱する第3の電熱ヒーターと、前記各部位ごとの温度を検知する温度検知部と、前記掛面の温度を任意に設定する温度設定部と、前記温度設定部の入力および前記温度検知部の出力に基づいて前記第1・第2・第3のヒーターへの通電を制御する制御部と、加熱中の部位および前記設定温度に達した部位を使用者に知らせる温度報知部と、前記昇温中の部位が前記設定温度に達するまでの推定残り時間を表示する残り時間表示部とを備え、前記制御部は、加熱開始時に前記第1のヒーターへの通電を前記第2・第3のヒーターへの通電よりも優先的に行うようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アイロン掛面の尖形状の前方部位を加熱する第1の電熱ヒーターと、前記掛面の中間部位を加熱する第2の電熱ヒーターと、前記掛面の後方部位を加熱する第3の電熱ヒーターと、前記掛面の前方・中間・後方部位ごとの温度を検知する温度検知部と、前記掛面の温度を任意に設定する温度設定部と、前記温度設定部の入力および前記温度検知部の出力に基づいて前記第1・第2・第3のヒーターへの通電を制御する制御部と、前記掛面の前方・中間・後方部位のうち加熱中の部位および前記設定温度に達した部位を使用者に知らせる温度報知部と、前記昇温中の部位が前記設定温度に達するまでの推定残り時間を表示する残り時間表示部とを備え、前記制御部は、加熱開始時に前記第1のヒーターへの通電を前記第2・第3のヒーターへの通電よりも優先的に行うようにすることを特徴とするアイロン。
【請求項2】 請求項1において、前記アイロン掛面の前方部位が前記設定温度に達した後において、前記制御部は、前記第2・第3のヒーターへの通電を前記第1のヒーターへの通電よりも優先的に行うようにすることを特徴とするアイロン。
【請求項3】 請求項1または2において、前記制御部は、前記第1・第2・第3のヒーターへ供給する総電力量が加熱期間中は一定になるように制御することを特徴とするアイロン。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、ヒーター出力・加熱部位・アイロン掛面の初期温度と現在温度・気温などをパラメータとする温度推移計算モデルを格納する記憶部を備え、前記制御部はこのモデルに沿って前記昇温中の部位が前記設定温度に達するまでの推定残り時間を逐次計算することを特徴とするアイロン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】この発明はアイロンに関し、とくに、立ち上げ時の待ち時間を短縮するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電熱式アイロンは底面をできるだけ均一に加熱するように構成されていた。すなわち、アイロン本体下部にアイロン掛面を形成するアイロンベースを有し、アイロンベースに内蔵された1本の電熱ヒーターでアイロン掛面を加熱するようになっていた。また、アイロン掛面の温度制御は、掛面中央がほぼ設定温度になるようにバイメタルまたはサーミスタなどでヒーターへの通電を制御することで行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アイロン掛けは夕食の準備などの炊事と異なり主たる家事ではない。しかしやらなくてはならないのも確かである。それゆえに、ちょっとした空き時間を利用して早急に片づけてしまいたいと誰もが思っている。しかし、前述した均一加熱式のアイロンではどんなに短く見積もっても、作業開始まで1分から1分半程度の時間を要する。多忙な主婦はこの待ち時間のために多大な心理的ストレスを蓄積していくことになる。
【0004】ところで、特開平10―277298に開示されているアイロンのように補助ヒーターを内蔵しておけば、立ち上げ時にその補助ヒーターを用いることで待ち時間をある程度短くできる。しかしこの場合、補助ヒーターを加熱するのに余計な電力が必要になるので経済的でない。
【0005】この発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、消費電力を増大させずに立ち上げ時の待ち時間を短縮するとともに、その待ち時間によって使用者が心理的ストレスを感じることがないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するために、この発明のアイロンは、アイロン掛面の尖形状の前方部位を加熱する第1の電熱ヒーターと、前記掛面の中間部位を加熱する第2の電熱ヒーターと、前記掛面の後方部位を加熱する第3の電熱ヒーターと、前記掛面の前方・中間・後方部位ごとの温度を検知する温度検知部と、前記掛面の温度を任意に設定する温度設定部と、前記温度設定部の入力および前記温度検知部の出力に基づいて前記第1・第2・第3のヒーターへの通電を制御する制御部と、前記掛面の前方・中間・後方部位のうち加熱中の部位および前記設定温度に達した部位を使用者に知らせる温度報知部と、前記昇温中の部位が前記設定温度に達するまでの推定残り時間を表示する残り時間表示部とを備え、前記制御部は、加熱開始時に前記第1のヒーターへの通電を前記第2・第3のヒーターへの通電よりも優先的に行うように構成されている。
【0007】また好ましくは、前記アイロン掛面の前方部位が前記設定温度に達した後において、前記制御部は、前記第2・第3のヒーターへの通電を前記第1のヒーターへの通電よりも優先的に行うようにする。
【0008】また好ましくは、前記制御部は、前記第1・第2・第3のヒーターへ供給する総電力量が加熱期間中は一定になるように制御する。
【0009】さらに好ましくは、ヒーター出力・加熱部位・アイロン掛面の初期温度と現在温度・気温などをパラメータとする温度推移計算モデルを格納する記憶部を備え、前記制御部はこのモデルに沿って前記昇温中の部位が前記設定温度に達するまでの推定残り時間を逐次計算する。
【0010】
【発明の実施の形態】===基本構成===この発明の一実施例に係るアイロンの外観図およびブロック図をそれぞれ図1、2に示す。図1において1はアイロン本体であり、その下部にアイロンベース2、上部にアイロンハンドル3を有している。ベース2は前方が尖形状であり、その下面がアイロン掛面2aとなる。
【0011】ベース2の内部には、図3に示すように、掛面2aの前方部位(以下、Aエリア)を加熱する3つの電熱ヒーターA1・A2・A3が埋設されている。また、掛面2aの中間部位(Bエリア)を加熱する電熱ヒーターB1・B2・B3、および掛面2aの後方部位(Cエリア)を加熱する電熱ヒーターC1・C2・C3がそれぞれ埋設されている。また、ベース2には各エリアの温度を検知するための温度センサーSがA・B・C各エリアごとに埋設されている。
【0012】ハンドル3の上面には、図4に示すように、加熱中のエリアおよび設定温度に到達したエリアをエリアごとに使用者に知らせるための状態表示ランプ31(LEDなど)と、加熱中のエリアが設定温度に到達するまでの推定残り時間を表示する残り時間表示パネル32(液晶など)と、スタートモードの切替えを行うための切替スイッチ33とが形成されている。また、本体1の上面には使用者が任意に温度設定を行う温度設定ダイヤル11が形成されている。
【0013】前記11および31〜33は、それぞれハンドル2の内部に埋設されたマイコン4に接続されている。以下、このアイロンの基本動作について、マイコン4による制御を中心に説明する。
【0014】===基本動作===各ヒーターのオンオフはマイコン4のスイッチ回路41によってそれぞれ個別に行われる。このスイッチ回路41の制御はマイコン4に内蔵された情報処理ユニット42からの出力に基づいて行われる。
【0015】このユニット42での処理のため、マイコン4の内蔵ROM43には、ヒーター出力・加熱部位・アイロン掛面の初期温度と現在温度・気温などをパラメータとした『温度推移計算モデル(計算式)』が格納されている。
【0016】通電中のヒーターが1本でもあれば、ユニット42はそのエリアに対応する状態表示ランプ31を点滅させるとともに、そのエリア内の温度センサーSからの情報をもとに該当する前記計算モデルをROM43から読み出す。つづいて読み出した計算モデルに沿って設定温度に到達するまでの残り時間を逐次計算し、その結果を表示パネル32に表示する。また、ダイヤル11から入力された設定温度、および温度センサーSからの温度情報に基づいてスイッチ回路41に適宜な切替信号を出力し、エリア単位での温度制御を行う。
【0017】===クイックモードでの立ち上げ===スタートモード切替スイッチ33を"クイックモード"にして電源スイッチを入れる。するとまずAエリアの3本の電熱ヒーターA1〜3だけに設定温度に応じた電力が供給される。Aエリアに電力を集中させるのは、Aエリアの熱容量が他に比べて小さく、昇温効率がよいからである。なお、Aエリア内のヒーターはこの電力集中に耐えられるように設計しておく必要がある。例えば、総消費電力が1200Wの場合、3本のヒーターA1〜3はすべて400W相当としておく。
【0018】Aエリアの温度変化はAエリア内の温度センサーSにより検知されている。昇温中はAエリアに対応する表示ランプ31aを点滅させるとともに、表示パネル32にAエリアが設定温度になるまでにかかる時間を表示する。例えば"点滅エリアが使用できるようになるまであと○○秒"などのメッセージを表示する。
【0019】そしてこの表示が"0秒"になった後、すなわちAエリアが設定温度になった後は、表示ランプ31aを点滅から点灯に変えて使用者に知らせる。またこれと同時に消費電力を一定に保ちながらB・Cエリアを加熱する段階に移る。B・Cエリアの加熱はBからCに段階的にシフトさせて行う。例えば、Bエリア2本+Cエリア1本から、Bエリア1本+Cエリア2本といった具合に通電ヒーターをシフトさせる。このときの表示ランプ31b・cおよび表示パネル32の制御は、前述した31aと32の制御と同様に行う。なお、この段階での加熱方法はこれに限るものではない。例えば、Bエリアを完全に加熱しおわった後にCエリアの加熱を開始するようにしたり、Aエリアの温度が下がり始めたら消費電力を一定に保ちながらAエリアのヒーターにも通電して再加熱を行ったりすることなどが考えられる。
【0020】A・B・Cエリアすべてが設定温度に達すると、すべての表示ランプ31a〜cを点灯させるとともに、表示パネル32の表示を消すかまたは"0秒"と表示する。これ以降は通常のアイロンとほぼ同じ動作をするので説明を省略する。
【0021】===その他===アイロンは、スタートモードスイッチ33を"平均モード"にして電源スイッチを入れることで、アイロンを従来の均一加熱方式として用いることができる。このモードではA・B・Cエリアに対応するすべての表示ランプ31a〜cが点滅中になり、全エリアが加熱中であることを示す。また、表示パネル32は全エリアが設定温度になるまでの時間を表示する。
【0022】この実施例では、アイロン掛面を前方から順にAエリア、Bエリア、Cエリアの3つに分割しているがこれに限定されるものではない。例えば、従来の均一加熱方式と比較して待ち時間を4分の1に短縮したい場合は4つに分割すればよいし、5分の1にしたい場合は5分割すればよい。ちなみにこの実施例では3分の1にしている。
【0023】各エリアに配置するヒーターの数およびその消費電力はこの実施例のものに限定されない。例えば各エリアに1200Wのヒーターを1本づつ配置する構成としてもよい。ただしこの場合、1本のヒーターによっても該当のエリア全体がすみやかに加熱できるように、ベース2の材質・構造やヒーターの配置に配慮する必要がある。
【0024】エリア単位で発熱を制限すれば節電モードとしても使える。ハンカチなどの小物だけを扱うときなどに便利である。
【0025】アイロン掛面の前方から後方にかけてフルに電熱ヒーターを配置する構成とすれば、前方と後方のうちのどちらを優先して加熱するかを任意に選ぶことができる。
【0026】使用開始時間を液晶などで視覚的に表示する代わりに、音声で"あと○○秒で使用可能です"とアナウンスして知らせるようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】この発明によれば、電源が入れられてからまずアイロン掛面の前方部位に加熱用電力を集中させるようにしているため、使用者は電源を入れてすぐにアイロン掛面の前方部位を使うことができる。すなわち、ハンカチなどの小物やシャツの袖口などからアイロン掛けを始めるようにすれば、待ち時間はほとんどなくなる。
【0028】また、加熱用に供給する総電力量を一定に保ちながら掛面の前方部位から後方部位に向かって段階的に加熱していくようにしたので、単位エネルギーあたりの加熱効率に優れる。
【0029】また、アイロン掛面のうち加熱中の部位を使用者に知らせるとともに、その部位が使用可能になるまでの推定残り時間を表示するようにしたので、使用者は計画的にアイロン掛けを行うことができる。
【0030】また、ヒーター出力・加熱部位・アイロン掛面の初期温度と現在温度・気温などをパラメータとする温度推移計算モデルに沿って前記残り時間が逐次計算されるので、アイロン掛面の温度変化に対して高精度かつ迅速に対応できる。
【0031】さらに、全面を総出力でオンオフする場合と異なり、小電力のオンオフが可能であるため温度変化の幅が小さくなる。
【出願人】 【識別番号】397039849
【氏名又は名称】株式会社スクリプト
【出願日】 平成12年4月3日(2000.4.3)
【代理人】 【識別番号】100071283
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外3名)
【公開番号】 特開2001−276497(P2001−276497A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−100946(P2000−100946)