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【発明の名称】 脱水洗濯機
【発明者】 【氏名】井田 道秋

【氏名】会田 修司

【氏名】高木 亨之

【氏名】大杉 寛

【要約】 【課題】吊り棒機構を多機能に使い分けて、使い勝手が良く、コンパクトで低騒音の脱水洗濯機を提供する。

【解決手段】吊り棒機構2を、一方の端が外枠に取付けられた上部スライダー2aに揺動自在に支持され他方の端が磁性体からなるばね受け2bを介して圧縮ばね2cを支持する吊り棒2dと、該吊り棒2dを通す貫通孔2eを一端に有し吊り棒2dを含むばね受け2b及び圧縮ばね2cを内包する筒状体2hと、該筒状体2hの他端を蓋う蓋2iと、筒状体内に内封された磁性流体2kと、筒状体2hの外側に装着されたコイル2lとで構成し、吊り棒機構2に、内槽に投入される負荷量を計る計測機能と、外槽の共振振幅を小さくするダンパ機能と、外槽の振動量を検出する検出機能とを持たせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、該内槽を内包する外槽と、該外槽を前記外枠に支持する吊り棒機構と、前記内槽及び前記撹拌翼を駆動する駆動機構と、給排水機構と、前記各機構を制御するコントローラとを有する脱水洗濯機において、前記吊り棒機構は、前記内槽に投入される負荷量を計る計測機能と、前記外槽の共振振幅を小さくするダンパ機能と、前記外槽の振動量を検出する検出機能とを有することを特徴とする脱水洗濯機。
【請求項2】外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、該内槽を内包する外槽と、該外槽を前記外枠に支持する吊り棒機構と、前記内槽及び前記撹拌翼を駆動する駆動機構と、給排水機構と、前記各機構を制御するコントローラとを有する脱水洗濯機において、前記吊り棒機構は、前記内槽に投入される負荷量を計る計測機能と、前記外槽の共振振幅を小さくするダンパ機能と、前記外槽の振動量を検出する検出機能とを有し、前記コントローラは、前記吊り棒機構を、運転開始時には前記負荷量を計る荷重計として機能させ、脱水起動時には前記ダンパ機能を働かせ、脱水起動後は前記振動量を検出する振動計として機能させることを特徴とする脱水洗濯機。
【請求項3】外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、該内槽を内包する外槽と、該外槽を前記外枠に支持する吊り棒機構と、前記内槽及び前記撹拌翼を駆動する駆動機構と、給排水機構と、前記各機構を制御するコントローラとを有する脱水洗濯機において、前記吊り棒機構は、一方の端が前記外枠に取付けられたスライダーに揺動自在に支持され他方の端が磁性体からなるばね受けを介して圧縮ばねを支持する吊り棒と、該吊り棒を通す穴を一端に有し前記吊り棒を含む前記ばね受け及び前記圧縮ばねを内包する筒状体と、該筒状体の他端を蓋う蓋と、前記筒状体内に内封された磁性流体と、前記筒状体の外側に装着されたコイルとを有し、前記コントローラは、前記吊り棒機構を、洗濯運転開始時には、前記内槽に投入された負荷量に伴う前記コイルのインダクタンス変化を検出し荷重計として機能させて、前記負荷量に合った水量、洗剤量、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間の設定を行い、脱水起動時には、前記コイルに起動直後から所定の時間通電し、共振点を通過するまでの間、前記磁性流体の特性変化によるダンパ機能を働かせ、脱水起動後の定格回転付近では、前記コイルの誘起電圧を検出し振動計として機能させ、振動量に合った回転数の設定を行うことを特徴とする脱水洗濯機。
【請求項4】請求項3において、前記ばね受けを非磁性体で構成し、かつ前記非磁性体のばね受けに近接して磁性体を設けることを特徴とする脱水洗濯機。
【請求項5】洗濯、脱水、すすぎ工程に応じて、内槽を含む外槽を支持する吊り棒機構の機能を使い分け、洗濯機を運転する脱水洗濯機の運転方法において、洗濯開始時には、前記吊り棒機構を前記内槽に投入された負荷量を計る荷重計として機能させ、前記負荷量に合った洗濯、脱水、すすぎ条件の設定を行なって運転を開始し、脱水起動時には、前記吊り棒機構を前記内槽を含む外槽の共振振幅を小さくするダンパとして機能させ、低共振振幅の脱水起動運転を行ない、脱水起動後は、前記前記内槽を含む外槽の振動量を検出する振動計として機能させ、振動量に合った回転数の設定を行なって低騒音運転を行なうことを特徴とする脱水洗濯機の運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱水洗濯機に関し、特に防振支持機構の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の脱水洗濯機は、外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、この内槽を内包する外槽と、この外槽を外枠に支持する吊り棒機構と、内槽及び撹拌翼を駆動する駆動手段と、給排水機構と、駆動および給排水を制御するコントローラと、を備えた構成となっている。
【0003】脱水洗濯機のコンパクト化及び低騒音化には、外槽の低振動化が必要不可欠であり、吊り棒機構で減衰を働かせ、外槽の低振動化を図っている。
【0004】高減衰化を目的とした吊り棒機構に、特開平8-309084号公報に記載されている懸架装置がある。この懸架装置は、内槽を内包し動力伝達系を底部に締結してなる洗濯槽を、外枠の4角から吊り下げる役目をなし、圧縮コイルスプリングで荷重を受ける構造となっている。
【0005】懸架装置は、密閉されたハウジングを上部空間と下部空間とに分けるスプリング受止板と、ハウジングの上面とスプリング受止板との間に設置された圧縮コイルスプリングとから構成される。さらにスプリング受止板には通気孔を形成し、かつ、懸架棒が貫通するハウジングの貫通孔は上部空間の空気が外に漏れないようにして、上下空間のみで空気を流通させる構成となっている。
【0006】構成は若干異なるが、同じように低振動化を図る機構として、緩衝器を用いる方法があり、高減衰化を目的とする緩衝器を用いた洗濯機に、特開平10-323489号公報に記載されている脱水洗濯機がある。
【0007】また、負荷量(洗濯物量)測定や不つりあい量あるいは振動量の測定は、対象とする物理量の直接的な測定ではなく、間接的にモータ負荷電流等の測定により行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】洗濯工程から脱水工程まで人手を介さずに移行して実行する全自動脱水洗濯機では、使い勝手向上のため、負荷量に応じた洗剤量及び水量並びに洗濯時間やすすぎ時間、そして脱水時間の設定が重要である。そのためには、正確な負荷量把握のための荷重計が必要である。
【0009】また、脱水運転時において、起動時の回転数の上昇時と停止時の回転数の下降時に、パラレルモード(洗濯機の内槽と外槽が同位相でほぼ剛体の並進運動する振動形態)とコニカルモード(洗濯機の内槽と外槽が同位相でほぼ剛体の胡麻擂り運動する振動形態)の二つの危険速度を通過する。
【0010】特に、洗いまたはすすぎ動作後の脱水運転起動時には、洗濯物が絡み合って内槽内に偏在しやすく、大きな不つり合いが存在することが多い。この不つり合いによって大きな共振振幅現象を呈するため、振動数が高いコニカルモードはその振動形態上通過が特に困難という問題がある。
【0011】また、コンパクト化には、内槽の容積を高めるため外枠と外槽間の隙間を狭めることが必要であり、そのためには共振振幅の低減が必要という問題もある。
【0012】これらを解決するためには、共振振幅を低減するための減衰を付与するダンパが必要である。上述のように共振通過時には共振振幅の抑制のため高減衰が必要とされるが、しかし、共振通過後では振動伝達の抑制のため低減衰が要求される。つまり、付与する減衰の可変化が必要である。
【0013】さらに、使い勝手向上となる低振動、低騒音の要求に対応するためには、振動を検出し回転数などを制御することで適切な振動値や騒音値とすることも重要である。このためには、振動値を把握するための振動計が必要である。
【0014】つまり、上述したように、ダンパの機能以外に負荷量把握のための荷重計や振動検出のための振動計の機能も同時に要求されている。
【0015】本発明の目的は、吊り棒機構を多機能に使い分けて、使い勝手が良く、コンパクトで低騒音の脱水洗濯機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明における脱水洗濯機の特徴とするところは、外槽を外枠に支持する吊り棒機構に、内槽に投入される負荷量を計る計測機能と、外槽の共振振幅を小さくするダンパ機能と、外槽の振動量を検出する検出機能とを持たせることにある。
【0017】具体的には本発明は次に掲げる装置及び方法を提供する。
【0018】本発明は、外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、該内槽を内包する外槽と、該外槽を前記外枠に支持する吊り棒機構と、前記内槽及び前記撹拌翼を駆動する駆動機構と、給排水機構と、前記各機構を制御するコントローラとを有する脱水洗濯機において、前記吊り棒機構は、前記内槽に投入される負荷量を計る計測機能と、前記外槽の共振振幅を小さくするダンパ機能と、前記外槽の振動量を検出する検出機能とを有することを特徴とする脱水洗濯機を提供する。
【0019】また、本発明は、外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、該内槽を内包する外槽と、該外槽を前記外枠に支持する吊り棒機構と、前記内槽及び前記撹拌翼を駆動する駆動機構と、給排水機構と、前記各機構を制御するコントローラとを有する脱水洗濯機において、前記吊り棒機構は、前記内槽に投入される負荷量を計る計測機能と、前記外槽の共振振幅を小さくするダンパ機能と、前記外槽の振動量を検出する検出機能とを有し、前記コントローラは、前記吊り棒機構を、運転開始時には前記負荷量を計る荷重計として機能させ、脱水起動時には前記ダンパ機能を働かせ、脱水起動後は前記振動量を検出する振動計として機能させることを特徴とする脱水洗濯機を提供する。
【0020】また、本発明は、外枠と、底部中央に撹拌翼を有する内槽と、該内槽を内包する外槽と、該外槽を前記外枠に支持する吊り棒機構と、前記内槽及び前記撹拌翼を駆動する駆動機構と、給排水機構と、前記各機構を制御するコントローラとを有する脱水洗濯機において、前記吊り棒機構は、一方の端が前記外枠に取付けられたスライダーに揺動自在に支持され他方の端が磁性体からなるばね受けを介して圧縮ばねを支持する吊り棒と、該吊り棒を通す穴を一端に有し前記吊り棒を含む前記ばね受け及び前記圧縮ばねを内包する筒状体と、該筒状体の他端を蓋う蓋と、前記筒状体内に内封された磁性流体と、前記筒状体の外側に装着されたコイルとを有し、前記コントローラは、前記吊り棒機構を、洗濯運転開始時には、前記内槽に投入された負荷量に伴う前記コイルのインダクタンス変化を検出し荷重計として機能させて、前記負荷量に合った水量、洗剤量、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間の設定を行い、脱水起動時には、前記コイルに起動直後から所定の時間通電し、共振点を通過するまでの間、前記磁性流体の特性変化によるダンパ機能を働かせ、脱水起動後の定格回転付近では、前記コイルの誘起電圧を検出し振動計として機能させ、振動量に合った回転数の設定を行うことを特徴とする脱水洗濯機を提供する。
【0021】好ましくは、前記ばね受けを非磁性体で構成し、かつ前記非磁性体のばね受けに近接して磁性体を設ける。
【0022】また、本発明は、洗濯、脱水、すすぎ工程に応じて、内槽を含む外槽を支持する吊り棒機構の機能を使い分け、洗濯機を運転する脱水洗濯機の運転方法において、洗濯開始時には、前記吊り棒機構を前記内槽に投入された負荷量を計る荷重計として機能させ、前記負荷量に合った洗濯、脱水、すすぎ条件の設定を行なって運転を開始し、脱水起動時には、前記吊り棒機構を前記内槽を含む外槽の共振振幅を小さくするダンパとして機能させ、低共振振幅の脱水起動運転を行ない、脱水起動後は、前記前記内槽を含む外槽の振動量を検出する振動計として機能させ、振動量に合った回転数の設定を行なって低騒音運転を行なうことを特徴とする脱水洗濯機の運転方法を提供する。
【0023】また、負荷量把握のための荷重計としての機能は、負荷に伴う筒状体の鉛直下方への移動により前記コイル内に占める磁性体長が変化することで変化する前記コイルのインダクタンスを検出し、この変化量から負荷量を検出する機能としたことにある。
【0024】減衰力可変ダンパとしての機能は、筒状体内に磁性流体(MR流体:magneto-rheological流体)を封入し、筒状体外周に装着されたコイルに通電および遮断することで筒状体内の磁性体からなるばね受けとの間で磁気回路形成の有無を成し、磁気回路中に位置する磁性流体の特性を変化させることで減衰力を可変とする機能としたことにある。
【0025】振動値を把握するための振動計としての機能は、コイルに特定周波数の微弱な交流電流を通電した励磁下において、外槽の振動に伴う、前記コイルに内包されている磁性体から成るばね受けの鉛直方向移動により、前記コイルに誘起される電圧を検出し、この電圧の変化量から振動量を検出する機能としたことにある。また、前記ばね受けの磁性体として永久磁石を用いコイルに微弱な交流電流の通電を必要とせずに、外槽の振動に伴う、前記コイルに内包されている磁性体から成るばね受けの鉛直方向移動により、前記コイルに誘起される電圧を検出し、この電圧の変化量から振動量を検出する機能としたことにある。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態例に係る脱水洗濯機を、図を用いて説明する。
【0027】図1は、本発明の一実施の形態例に係る脱水洗濯機の縦断面図を示す。図1では、本発明の主要素である吊り棒機構と洗濯機の基本構成要素のみについて記載し、その他の要素、例えばパネルスイッチ等は省略し図示していない。その主要構成は、外枠1と、この外枠1に吊り棒機構2を介して弾性支持されている合成樹脂製の外槽3と、この外槽3に内装され撹拌翼4を内装し不つり合いをキャンセルするための流体バランサー10を装着するSUS製の内槽5と、この内槽5をクラッチ軸に支持しているアルミ製のフランジ6と、このフランジ6を支え減速機構を内蔵するクラッチ7と、このクラッチ7及びブラシレスモータ8を支持し外槽3に保持されている取付板9とである。
【0028】洗濯時には撹拌翼4が、脱水時には内槽5が、ブラシレスモータ8によりクラッチ7を経て回転駆動される。これらの駆動や給排水などの制御はすべてコントローラ11にて行われる。
【0029】図2は、吊り棒機構2の縦断面図を示す。図2に示すように、吊り棒機構2の基本構成は、外槽3を外枠1に揺動自在に支持するための球状面を有する上部スライダ2aと、一端をこの上部スライダ2aに保持され他端が磁性体から成るばね受け2bを介して外槽3を弾性支持するための圧縮ばね2cを受ける磁性体から成る吊り棒2dと、ばね受け2bおよびばね2cを内包し吊り棒2dを貫通させ滑らかな移動が可能な貫通孔2eを一端に有し、この貫通穴2eを内包する形状で磁性流体シールの役目を果たす永久磁石から成るリング2fと、この端の内側にばね2cの一端と嵌合する部分を有し外側には外槽3を揺動自在に支持するための球状面を有するスライダー面2gを有する非磁性体で構成される筒状体2hと、筒状体2hの下部に嵌合する蓋2iを設け両者の間にはシールのためのシール部材2jを設けて内部に磁性流体2k(MR流体:magneto-rheological流体)を内封し、負荷によって相対移動するばね受け2bの位置をカバーする位置と大きさを有するコイル2lを筒状体2hの外側に装着し、コイル2lのインダクタンス検出回路2m、およびコイル2lへ通電するための直流電源回路2n、並びにコイル2lの誘起電圧検出回路2o、から構成される。
【0030】本実施の形態例では、上部スライダ2aおよびばね受け2bと吊り棒2dとの保持に、吊り棒両端にプレス加工による曲げ等の加工を施している。これは、上部スライダ2aおよびばね受け2bの吊り棒2dへの保持が目的であるから、これ以外に、例えば、ナット等を用いたネジ止めでもよく、前記の保持が可能なら別の手段を用いても本来の目的は達成される。
【0031】また、筒状体2hおよび蓋2iの嵌合は、それぞれ嵌合する部分に凹部と凸部を構成し、蓋2iを筒状体2hに押圧することにより、それぞれの弾性変形により凹部と凸部がしっくりと嵌合される構造とした例である。これ以外に、筒状体2hおよび蓋2iは溶着接合しても、あるいは筒状体2hの下部に作成したねじ部により、蓋2iを、ねじ止めしても本来の目的は達成される。
【0032】次に、吊り棒機構2の動作説明をする。先ず、負荷(洗濯物)が内槽へ投入された時点で、洗濯物重量の把握をするための荷重計としての働きについて説明する。
【0033】投入された洗濯物の重量により、内槽5及び外槽3を介して吊り棒機構2の筒状体2hに内包された圧縮ばね2cに荷重が付加され、圧縮ばね2cは圧縮し、これに伴い筒状体2hは鉛直下方に移動する。
【0034】この結果、筒状体2hの外周に設けられたコイル2lに内包される磁性体量が変化することになる。言い換えると、コイル2lと磁性体とで形成される磁気回路内の磁性体分の磁路長が変化することになり、コイル2lのインダクタンスが変化することを表している。
【0035】つまり、線形性のある圧縮ばねを用いていれば、荷重に比例した圧縮量となり、コイル内の磁路を形成している磁性体長が荷重に比例して変化し、コイル2lのインダクタンスも荷重に比例して変化することになり、正確な負荷量検出が可能になる。
【0036】図3は、試作の吊り棒機構で得られた実験データに基づいて、本発明に係わるコイル2lのインダクタンスの変化量を示したものである。縦軸にインダクタンスを、横軸に筒状体への荷重をとっている。これらの物理量のスケールについては秘密保持のため省略している。
【0037】洗濯機の電源が投入された時点で、コイル2lはインダクタンス検出回路2mに接続され、上記のインダクタンスの変化量を検出する。次に、予め求められ、コントローラ11に搭載のROMに記載されている荷重とインダクタンスとの関係により、荷重を求める。
【0038】インダクタンスの変化を電気信号に変換する手段としては、コイル2lとコンデンサとによる共振回路を構成し、コイル2lのインダクタンス変化による共振周波数の変化を用いる方法が廉価で一般的であり、ここでは図示せず省略する。
【0039】上述したように、正確な負荷量が検出できるので、予め定められ、コントローラ11に搭載のROMに記載されている負荷量と水量、洗剤量、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間の関係マップ、に従いそれぞれの量や時間を木目細かく設定することが可能になる。
【0040】次に、可変減衰ダンパとしての働きについて説明する。
【0041】洗いまたはすすぎ動作後の脱水運転起動時には、洗濯物が絡み合って内槽内に偏在しやすく、この片寄りに起因する大きな不つりあいの存在することが多い。このため、共振点通過には高減衰による低共振振幅化が不可欠であり、また、共振通過後では振動伝達の抑制のため低減衰を達成する、可変減衰が要求されている。
【0042】問題となる共振現象のコニカルモードは、俗に言われるごますり運動をする振動モードであり、筒状体2hはばね受け2bに対し周期的な上下運動を行う。これは、相対的にばね受け2bが粘性を有する磁性流体内を移動することになり、粘性減衰作用が発生する。
【0043】要求される可変減衰を低コストで達成するため、この共振点を通過するまでの間、つまり、予め定められた時間のみ直流電源回路2nから筒状コイル2lへ電流を供給する簡便な方法としている。
【0044】脱水運転起動と同時にタイマーを働かせコイル2lをインダクタンス検出回路2mから遮断すると共に、コイル2lを直流電源回路2nに接続し通電により電磁石となし、ばね受け2bとの間で磁気回路を形成し、磁気回路内の磁性流体2kの特徴である粘性特性を変更させ減衰力を増大させるダンパとして作用させる。
【0045】この結果、低共振振幅化が達成され、安定で良好な脱水起動運転の達成と共に、外枠・外槽間の小隙間化が達成され、コンパクト大容量化が図れることになる。
【0046】また、共振点通過後は、タイマーによる所定経過時間とコントローラ11に搭載のROMに記載されている設定時間とにより制御され、コイル2lへの通電が遮断されるため、ダンパ作用が働かず、低減衰が達成され、外枠1などへの振動伝達が抑制されることになる。
【0047】図4は、試作の吊り棒機構で得られた実験データに基づいて、本発明に係わる可変減衰ダンパの振動減衰力の変化及びその効果を予想して示したものである。縦軸に電流、減衰力、振幅および振動伝達率を、横軸に経過時間あるいは回転数をとっている。これらの物理量のスケールについては秘密保持のため省略している。
【0048】尚、ここでは制御因子として時間を用いているが、回転数(起動直後から共振現象が収まる回転数まで通電)を用いても本来の機能は十分達成される。回転数検出手段としては、ブラシレスモータ駆動に必要なロータ位置検出用に設置されている磁気検出素子を利用し、回転に伴って発生する磁気検出素子の出力波形から求める方法がある。
【0049】次に、振動計としての働きについて説明する。
【0050】共振点通過後は、コイル2lに電流が通電され、コイル2lと筒状体2hに内包されたばね受け2bとで磁気回路が形成されているとき、内槽5内の布の片寄りに起因する内槽5の振れまわり振動が発生した場合、吊り棒機構2を構成するばね受け2bに対し筒状体2hは鉛直方向に上下運動することになる。
【0051】この結果、ばね受け2bは磁界中をある速度を有して移動することになり、コイル2lにはばね受け2bの移動速度に比例した電圧が誘起される。予め、振動振幅と発生誘起電圧との関係を把握しておくことにより、誘起電圧を検出することで、振動振幅が算出可能となる。
【0052】また、ばね受け2bの磁性体として永久磁石を用いた場合、コイル2lに内包されているばね受け2bの鉛直方向移動により、コイル2lに電流の通電を必要とせずにコイル2lに誘起される電圧が検出できる。この電圧の変化量から上記と同様に振動振幅が算出可能となる。
【0053】ここでは、ばね受け2bの磁性体として永久磁石を用いた場合で説明する。共振点通過後、すなわち所定時間経過後は、コイル2lは電源回路2nから遮断され、変わりに誘起電圧検出回路2oに接続される。
【0054】内槽5内の布の片寄りに起因する内槽5の振れまわり振動により、ばね受け2bに対し筒状体2hは、鉛直方向に上下運動しているため、コイル2lにはばね受け2bの移動速度に比例した電圧が誘起され、この誘起電圧が誘起電圧検出回路2oにより検出される。
【0055】この誘起電圧値を基に、予め求められ、コントローラ11に搭載のROMに記載されている誘起電圧と振動振幅との関係マップ、および振動振幅と回転数との関係マップにより、最高到達回転数とその継続時間とが決定され、設定されることになる。
【0056】それは、例えば、振動振幅が大きければ低い回転数と長い継続時間、振動振幅が小さければ高い回転数と短い継続時間という具合である。最高回転数とその継続時間は、強度および騒音レベル並びに脱水率などの相互関係により定められる数値である。これらの結果、低騒音運転と所定の脱水率が達成され、使い勝手の向上が図られる。
【0057】ここで、図5により、上述した一連の動作の流れについて説明する。図5は洗濯の一般的な標準コースの流れを示し、ユーザの動作は、内槽への負荷(洗濯物)投入、次に主電源スイッチ押入、標準コース選択、スタートボタンの押入で後は自動的に実行される。
【0058】上述した負荷量検出は主電源スイッチ押入後に実施され、押入と同時にコイル2lにインダクタンス検出回路2mが接続され、検出されたインダクタンスを基に、コントローラ11に記載のソフトに従い、負荷量が算出され、その後はコイル2lからインダクタンス検出回路2mは切断される。
【0059】この負荷量により、必要水量および必要洗剤量ならびに洗いとすすぎと脱水の各時間の設定と表示をコントローラ11に記載のソフトに従い実行する。
【0060】ここで、標準コースとは、給水、洗い、排水、中間脱水1、給水、すすぎ1、排水、中間脱水2、給水、すすぎ2、排水、最終脱水の一連の工程作業をいう。スタートボタンの押入後は、コントローラ11に記載のソフトの標準コースに従い工程を実行する。各工程の実行時間などは、前述の設定時間に従う。
【0061】脱水工程では、コントローラ11に記載のソフトに従い、工程開始と同時にタイマーの作動とコイル2lへの電源回路接続と通電が、また、所定時間経過後の通電遮断が実施される。
【0062】この結果、所定の時間内はダンパ作用が働き吊り棒機構2は高減衰を果たし、その後は通電が遮断され吊り棒機構2は低減衰となる。また、所定の時間経過後は、電源回路の切断と誘起電圧検出回路2oのコイルへの接続がコントローラ11に記載のソフトに従い実施され、振動に伴いコイルに発生する誘起電圧を検出する。
【0063】検出された誘起電圧値を基に、コントローラ11に記載のソフトに従い、振動値の算出と、この振動値により脱水最高回転数とその継続時間との設定を実施する。この例では各脱水工程の全てにおいて、上述したダンパ機能と振動値検出は実施されるが、例えば、最終脱水工程のみ振動値検出を行うなど、実施内容を限定しても何ら差し支えない。
【0064】図6は、他の実施例の吊り棒機構2の縦断面図を示す。図2のばね受け2bに近接して新たに他の磁性体2pを設ける構成とした例である。例えば、ばね受け2bを磁性体で構成し、ばね受け2bを部分的に内包するように永久磁石からなる磁性体2pを設ける構成とした例がある。また、例えば、ばね受け2bを製作性の良いプラスチック等の非磁性体で構成し、ばね受け2bを部分的に内包するように永久磁石からなる磁性体2pを設ける構成とした例がある。上記例では、ばね受け2bを新たな磁性体2pで部分的に内包する形を示しているが、ばね受け2b内に磁性体2pを埋め込んだ形でも、本来の目的は達成される。
【0065】これらの結果、全自動脱水洗濯機の脱水運転における問題が解決される。起動前は荷重計として、脱水起動時はダンパとして、脱水起動後は振動計として、の機能を集約して有する吊り棒機構により、正確な負荷量の把握による水量、洗剤量、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間の木目細かな設定、可変減衰ダンパによる低共振振幅化、振動振幅に応じた脱水最高回転数とその継続時間の設定による低騒音運転、が達成される。さらに、上記の低共振振幅化により外槽3と外枠1間の小隙間化が図られ、コンパクト大容量化が達成される。この結果、使い勝手が良いコンパクトで低騒音の脱水洗濯機を提供することができる。
【0066】
【発明の効果】1.コニカルモードの共振点通過時の低共振振幅化が図られる。
【0067】2.低共振振幅化の結果、外枠と外槽間の隙間低減が図られ、コンパクト大容量洗濯機が提供可能となる。
【0068】3.可変減衰化の結果、振動伝達の低減が図られ、低騒音の洗濯機が提供可能となる。
【0069】4.上記の結果、低騒音コンパクト大容量洗濯機が提供可能となり、据え付け性の良い、使い勝手の良い洗濯機が提供可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年4月3日(2000.4.3)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−276475(P2001−276475A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−101413(P2000−101413)