| 【発明の名称】 |
熱寸法安定性厚地編物 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 慶明
【氏名】岩瀬 喜代治
【氏名】岡部 和夫
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| 【要約】 |
【課題】平編系組織で形成される表地、裏地およびそれらをつなぐ接結糸から成る編物において、熱寸法安定性と嵩高性とクッション性に優れ、衣料用のみならず、資材用に好適に使用できる厚地編物を提供する。
【解決手段】平編系組織で形成される表地1、裏地2およびそれらをつなぐ接結糸3から成る編物において、前記表地1および前記裏地2を構成する糸条の沸騰水収縮率を3%以下とする。沸騰水収縮率を低くするには、例えばポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸の場合、ソフト巻きチーズとして染色して先染め加工糸とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平編系組織で形成される表地、裏地およびそれらをつなぐ接結糸から成る編物において、前記表地および前記裏地を構成する糸条の沸騰水収縮率が3%以下であることを特徴とする熱寸法安定性厚地編物。 【請求項2】 表地および裏地を形成するコース方向のループ密度が20コース/インチ以上であり、編地厚さが5mm以上である請求項1に記載の熱寸法安定性厚地編物。 【請求項3】 表地を構成するシリンダー編目のループ長または裏地を構成するダイアル編目のループ長のいずれか短い方のループ長に対し、接結糸の長さが2.5倍以上長い請求項1または2に記載の熱寸法安定性厚地編物。 【請求項4】 表地および裏地を構成する糸条の沸騰水収縮率が2%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の熱寸法安定性厚地編物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は軽量、嵩高でクッション性に優れた厚地編物において、特に熱に対する寸法安定性が良好な高級衣料用及び資材用に好適な厚地編物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】編物において、厚地編物を得る方法としては、編組織に接結リバーシブル(表地、裏地及びつなぎ糸である接結糸から構成される3層構造編地)を活用することが広く知られており、衣料用または資材用の厚地生地として用いられてきた。通常のこの方法で得られる編地については、特開昭63−145454号公報、特開平7−11548号公報、特開平7−292547号公報、特開平7−316959号公報などが提案されている。 【0003】しかしながら、表地及び裏地を構成する糸条としては、熱寸法安定性の点からその熱収縮レベルを特定化して、改善を図ろうという提案は成されていない。前記提案には仮撚り加工糸を使用することが開示されているが、近年の通常の仮撚り加工糸の沸騰水収縮率レベルは4〜7%レベルであり、明示はされていないが、この範囲は開示されていると理解される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】厚地編物が、従来の衣料の分野から多種多様の用途に展開されるようになり、特に資材関係の用途に広く用いられるようになって、高温の環境にさらされるケースも頻度が多くなった。長時間高温の場合は言うまでもないが、瞬間的に高温にさらされて、厚地編物の形状が大きく変化して、審美的にだけでなく実用的にも使用できなくなるケースが発生し、この改善が求められるようになった。軽量、嵩高でクッション性だけでなく熱寸法安定性に優れた厚地編物が求められている訳であるが、前述したように厚さの大きな3層構造編地においては熱寸法安定性に優れる編地はなかったのである。 【0005】本発明の目的はこれらの要望に応え、従来の編地の問題を改善して、熱安定性にも優れた実用的な編地を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の熱寸法安定性厚地編物は、平編系組織で形成される表地、裏地およびそれらをつなぐ接結糸から成る編物において、前記表地および前記裏地を構成する糸条の沸騰水収縮率が3%以下であることを特徴とする。 【0007】前記本発明の編地においては、表地および裏地を形成するコース方向のループ密度が20コース/インチ以上であり、編地厚さが5mm以上であることが好ましい。 【0008】また前記本発明の編地においては、表地を構成するシリンダー編目のループ長または裏地を構成するダイアル編目のループ長のいずれか短い方のループ長に対し、接結糸の長さが2.5倍以上長いことが好ましい。 【0009】また前記本発明の編地においては、表地および裏地を構成する糸条の沸騰水収縮率が2%以下であることが好ましい。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の厚地編物は表地、裏地およびそれらをつなぐ接結糸で構成される。表地はシリンダー編目、裏地はダイヤル編目で形成されている。 【0011】図1に本発明の厚地編物の断面概観を示す。図1において、表地1と裏地2が接結糸3でつながれた構成となっている。 【0012】本発明の厚地編物は、軽量、嵩高かつクッション性に加え、熱寸法安定性を付与させるために、表地および裏地を構成する糸条の沸騰水収縮率を3%以下とする必要がある。際だった熱寸法安定性を付与させるためには、表地および裏地を構成する糸条の沸騰水収縮率は2%以下とすることが好ましい。 【0013】本発明の厚地編物の表地及び裏地を構成する糸条は、沸騰水収縮率が3%以下であれば、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、あるいは羊毛、麻、コットンなどの天然繊維のフィラメント糸や紡績糸などを用いることができるが、低沸騰水収縮率特性を付与させやすい点から合成繊維マルチフィラメント糸、特にポリエステルマルチフィラメント糸が編地の形態安定性、耐久性、抗ピル性、コストなどの点でも優れており好ましく適用できる。さらに仮撚り加工糸であることが編地の伸縮性の点で好ましい。 【0014】沸騰水収縮率のレベルを製造方法と対応させてみると、沸騰水収縮率を3%以下とするには、生糸あるいは加工糸においても、格別な高温あるいは長時間の熱処理を施すことが必要である。沸騰水収縮率を安定して2%以下とするには、仮撚り加工糸をソフトにチーズ巻きしてから、熱水処理あるいは染色処理したいわゆる先染めチーズ処理糸を好適に使用できる。 【0015】本発明の厚地編物は、表地及び裏地の組織が平編系組織であることが必要である。平編系組織とは、天竺組織やその変形組織のニットとウェルトを組合わせたもので、タック組織や目移し組織などを含まない組織のことである。このように、表地及び裏地の編地組織が天竺やニットとウェルトの組合わせ組織であるために、編地表面が緻密になり、その結果、中間層の接結糸が露出することがなく、厚地編物の物性や風合い、外観を良好に保つことができる。 【0016】本発明の厚地編物は、良好な軽量、嵩高およびクッション性を発揮させるために、編地厚さは5mm以上とすることが好ましく適用され、6mm以上とすることが更に好ましく適用される。 【0017】衣料用の通常の厚地編地の厚さは2〜3mm程度である。編地の厚さはシリンダー針とダイヤル針の間隔を広くすることによりシリンダー編目とダイヤル編目との対抗する間隔を大きくすし、接結糸長を長くすることで対応できる。しかし、接結リバーシブルにおいて接結糸の糸長を長くすると、編成時に接結糸が表地の後ろにかくれず、表地からのぞいて見える、通常「カブリ」と言われる組織崩れが発生する。前述したように平編系組織とすることが組織崩れ対策に有効であるが、更に編地の密度を大きくすることが有効で、表地および裏地を形成するコース方向のループ密度を20コース/インチ以上とすることが好ましく、24コース/インチ以上とすることがより好ましい。また表地を構成するシリンダー編目のループ長または裏地を構成するダイアル編目のループ長のいずれか短い方のループ長に対し、接結糸の長さを2.5倍以上長くすると、編地の厚さが5mm以上、特に6mm以上が安定して得られるので、好ましく適用できる。 【0018】更に、接結糸による表地との連結目数は表地総編目数の50%以上であることが好ましい。接結糸による表地との連結編目数を表地総目数の50%以上とすることで、表地と裏地の中間層における接結糸の密度が大きくなり、クッション性に優れた厚地編物とすることができる。 【0019】本発明の厚地編物の接結糸については、一般に用いられるポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、あるいは羊毛、麻、コットンなどの天然繊維のフィラメント糸や紡績糸などを用いることができるが、合成繊維マルチフィラメント糸、特にポリエステルマルチフィラメント糸が編地の形態安定性、耐久性、コストなどの点で優れており好ましく適用できる。良好な嵩高性と対圧縮ヘタリ性を付与するために、ポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸が好適に使用できる。厚地編物の対圧縮ヘタリ性を向上させかつソフトなクッション性を付与させるために、接結糸の単糸繊度は、1.5〜4デニールの範囲とすることが好ましい。編地の熱寸法安定性の向上の点からは沸騰水収縮率は、表地あるいは裏地を構成する糸条のレベル以下とすることが好ましい。 【0020】また接結糸が実質的にノントルクであるかまたはS方向とZ方向の残留トルクを有する糸を交互に配置させて編成することは、表地と裏地の間で接結糸が一定の方向に倒れることを防ぎ、表地と裏地の間で安定するために嵩高性に優れた厚地編物を得ることが可能で、好ましいことである。 【0021】残留トルクは、試料長50cmのほぼ中央部に0.001g/D(Dはデニール)に相当する荷重を掛け、試料の両端を合わせた時に発生する2重撚りの回数を回/25cmとして求めたものである。ここで実質的にノントルクであるとは残留トルクが20回/25cm以下のものを言う。 【0022】本発明の厚地編物は、一般衣料、スポーツ衣料などの外、防寒具、ブラインドなどの断熱材、カーペット、シートマット、アンダーカーペット、、天井材などの内装材、ヘルメットの内張、メディカルテープなどのクッション材、ベッドカバー、芯材、ケースなどの成形品などに好適に使用できる。従来の厚地編物の使用可能な温度の上限を拡大することができる。 【0023】 【実施例】以下実施例を用いて本発明のをさらに具体的に説明する。 【0024】なお、熱寸法安定性は、沸騰水中に厚地編物試料を15分間浸し、縦方向と横方向の原長に対する収縮率を測定した。いずれの方向とも2%以下が合格で、1%以下が好ましいレベルである。 【0025】(実施例1)20G30インチのダイヤルーシリンダー式の厚地専用丸編機(56口給糸)を使用して編成した。表地用および裏地用にはトータル繊度:100デニール、フィラメント数:24本(以下、100d−24fのように表示する。)のポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸をソフト巻きチーズとして染色した沸騰水収縮率が0.4%の先染め加工糸を使用した。接結糸には150d−48fのポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸を先染め加工した沸騰水収縮率0.3%の先染め加工糸を使用した。また、S撚りとZ撚りの双糸合糸とした。接結糸の残留トルクは0回/25cmであった。これらのフィラメントのポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸を使用して天竺に編成した。編地の厚さは7.1mm、表地と裏地のコース方向のループ密度は、それぞれ26コース/インチ、27コース/インチで、ダイヤルループ長、シリンダーループ長及び接結糸の糸長は、それぞれ5.1mm、5.0mm及び20.4mmであった。編地の沸騰水収縮率は縦方向、横方向にそれぞれ0.7、0.6%と熱寸法安定性は良好であった。 【0026】得られた厚地編物は、熱寸法安定性が良好な他、軽量、嵩高でクッション性が良好な編物で、編地表面には毛羽や組織乱れもなく、また対圧縮ヘタリ性も良好で高級厚地編物素材として好適であった。 【0027】(実施例2)実施例1において、表地用、裏地用および接結糸には仮撚加工時の熱処理を強化したが、チーズ染色はしない仮撚加工糸を使用した以外は実施例1と同様に編成した。それぞれの糸条の沸騰水収縮率は、表地用2.8%、裏地用2.9%、および接結糸2.8%であった。接結糸の残留トルクは0回/25cmであった。 【0028】得られた編地の厚さは6.9mm、表地と裏地のコース方向のループ密度は、それぞれ26コース/インチ、26コース/インチであった。ダイヤルループ長、シリンダーループ長及び接結糸の糸長はそれぞれ4.9mm、4.8mm及び19.2mmであった。編地の沸騰水収縮率は縦方向、横方向にそれぞれ1.8、1.9%と熱寸法安定性は合格レベルであった。 【0029】得られた厚地編物は、熱寸法安定性が合格レベルである他、軽量、嵩高でクッション性が良好な編物であった。編地表面には毛羽や組織乱れもなく、また対圧縮ヘタリ性も良好でソフトに溢れた高級厚地編物素材として好適であった。 【0030】(比較例1)実施例1において、表地用、裏地用および接結糸にはチーズ染色しない仮撚加工糸とした以外は実施例1と同様に編成した。それぞれの糸条の沸騰水収縮率は、4.2、4.4および4.5%であった。接結糸の残留トルクは0回/25cmであった。 【0031】得られた編地の厚さは6.8mm、表地と裏地のコース方向のループ密度は、それぞれ27コース/インチ、27コース/インチであった。ダイヤルループ長、シリンダーループ長及び接結糸の糸長はそれぞれ4.9mm、5.1mm及び19.3mmであった。編地の沸騰水収縮率は縦方向、横方向にそれぞれ3.0、3.2%と熱寸法安定性は不合格であった。 【0032】 【発明の効果】本発明の厚地編物は従来にない熱寸法安定性を有し、嵩高性、クッション性に優れており、衣料用のみならず、資材用に好適に使用できる。従来の厚地編物においては寸法変化のため使用できなかった高温の環境化でも使用できる範囲を拡大した。更に編地組織の点で表面外観の均一性も良好で、審美性にも優れた効果を示す。また従来にない大きな厚さとしても、対圧縮ヘタリに優れており、繰り返し使用、長期使用に耐える実用的な編物構造とすることも可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000219255 【氏名又は名称】東レ・テキスタイル株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月6日(2000.3.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095555 【弁理士】 【氏名又は名称】池内 寛幸 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−254248(P2001−254248A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月21日(2001.9.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−59894(P2000−59894) |
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