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【発明の名称】 仮撚機の糸条冷却装置
【発明者】 【氏名】森橋 俊文

【要約】 【課題】従来の仮撚機においては、金属プレート状の糸条冷却装置に糸条を接触させて、該糸条を冷却するように構成していたが、糸条の糸条冷却装置への接触状態や、加熱装置による糸条の加熱度合い等によって、冷却後の糸条温度にバラツキが生じていた。

【解決手段】加撚状態の糸条Yを冷却する仮撚機の糸条冷却装置において、ブロア35に連通する吸引孔4bを冷却プレート4の糸条接触面4aに形成し、糸条Yの加撚領域である第一フィードローラ1から仮撚装置5までの間にて非接触式温度測定装置31により検出した糸条Yの温度の検出値に基づいて、ブロア35による吸引量を制御装置32により制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱状態の糸条を冷却する仮撚機の糸条冷却装置において、強制吸引手段に連通する吸引孔を糸条の接触面に形成し、糸条の加撚領域にて検出した該糸条の温度の検出値に基づいて、強制吸引手段による吸引量を制御することを特徴とする仮撚機の糸条冷却装置。
【請求項2】 糸条の温度を検出する温度検出器を、前記糸条冷却装置と、該糸条冷却装置の下流側に配置される仮撚装置との間に設けたことを特徴とする請求項1に記載の仮撚機の糸条冷却装置。
【請求項3】 前記強制吸引手段による吸引量の制御を、各錘毎に行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仮撚機の糸条冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱した糸条に撚りを付与して加工を施す仮撚機における、加熱状態の糸条を冷却する糸条冷却装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、ポリエステルやポリアミド等の熱可塑性合成繊維に、熱加工を施して縮れを付与し、伸縮性に富んだ加工糸を製造する糸条処理装置としての仮撚機がある。このような仮撚機においては、加熱装置と仮撚装置との間に、例えば金属プレートにより構成される糸条冷却装置を設けて、加熱装置により加熱されるとともに仮撚装置により加撚された糸条を、該糸条冷却装置に接触させて冷却するように構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の如くの仮撚機においては、金属プレート状の糸条冷却装置に糸条を接触させて、該糸条を冷却するように構成していたが、糸条の糸条冷却装置への接触状態や、加熱装置による糸条の加熱度合い、或いは糸条に付着した油剤や白紛の影響等によって、糸条冷却装置による吸引速度又は静圧を、たとえ一定に保持したとしても、冷却後の糸条温度にバラツキが生じることがあった。このように、糸条の冷却温度にバラツキがあると、加工後の糸状体の性状にムラが生じ、染めムラが発生したり捲宿性や引張強度等がばらついたりするという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような課題を解決すべく、次のような手段を用いるものである。即ち、請求項1においては、加熱状態の糸条を冷却する仮撚機の糸条冷却装置において、強制吸引手段に連通する吸引孔を糸条の接触面に形成し、糸条の加撚領域にて検出した該糸条の温度の検出値に基づいて、強制吸引手段による吸引量を制御する。
【0005】また、請求項2においては、糸条の温度を検出する温度検出器を、前記糸条冷却装置と、該糸条冷却装置の下流側に配置される仮撚装置との間に設けた。
【0006】また、請求項3においては、前記強制吸引手段による吸引量の制御を、各錘毎に行う。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付の図面より説明する。図1は本発明の糸条冷却装置を具備する仮撚機を示す概略図、図2は冷却プレートを示す正面断面図、図3は同じく側面断面図である。
【0008】本発明の非接触式温度測定装置を具備する糸条処理装置としての仮撚機の概略構成について説明する。図1に示す仮撚機においては、給糸パッケージ6から解舒された糸条Yが第一フィードローラ11と、該第一フィードローラ11の下流側に配置される第二フィードローラ12とによって延伸可能な糸張力に保持されている。これら第一・第二フィードローラ11・12間における下流側部分に仮撚装置5が設けられている。該仮撚装置5により糸条Yに撚りがかけられ、第一フィードローラ1から仮撚装置5までの間は加撚領域となっており、この間の糸条Yは撚りが入った加撚状態となっている。仮撚装置5を通過した糸条Yは解撚され、仮撚装置5と第二フィードローラ12との間は解撚領域となっている。
【0009】また、第一・第二フィードローラ11・12間における上流側部分には熱固定用のヒーター3が設けられている。該ヒーター3は、撚りが入った糸条Yを延伸温度まで加熱するものであり、その加熱温度は、ヒーター3の下流側端部に設けられ赤外放射温度計等で構成される非接触式温度測定装置21にて検出した糸条Yの温度に基づいて制御装置23によりフィードバック制御されている。
【0010】該ヒーター3の下流側且つ仮撚装置5の上流側には冷却プレート4が設けられ、ヒーター3により加熱された糸条Yを所定の温度まで冷却するようにしている。該冷却プレート4の下流側端部には、赤外放射温度計等で構成される非接触式温度測定装置31が配設され、冷却後の糸条Yの糸温度を検出・測定している。非接触式温度測定装置21・31を構成する赤外線放射温度計としては、走行する糸条Yから放射される赤外線を入射し、その赤外線の変化量に応じた電荷を発生する焦電型の赤外線検出素子を備えたものが使用される。
【0011】第二フィードローラ12と第三フィードローラ13との間には第二ヒーター8が設けられ、糸条Yが再度加熱される。その後、糸条Yは、オイリング装置9によりオイリング処理され、巻取パッケージ7に巻き取られる。このように、仮撚機においては、給糸パッケージ6から解舒した糸条Yを必要な延伸比で延伸しながら撚りを付与し、この撚りを熱固定することで、該糸条Yを嵩高加工糸に加工するようにしている。仮撚機は、以上に説明したような錘が複数並設されて構成されている。
【0012】尚、糸条Yは、例えばポリエステルやポリアミド等の熱可塑性合成繊維にて構成されている。また、糸条Yは、仮撚装置5による撚りの伝達が妨げられないように、ヒーター3の下流側端部に設けられる非接触式温度測定装置21内、及び冷却プレート4の下流側端部に設けられる非接触式温度測定装置31内を、糸条Yがその位置で屈曲されないように、実質的に非接触状態で走行している。
【0013】次に、加熱された糸条Yを冷却するための糸条冷却装置について説明する。図1乃至図3に示すように、糸条冷却装置は、前記冷却プレート4、温度検出器である前記非接触式温度測定装置31、及び強制吸引手段であるブロア35等により構成されており、該ブロア35は、吸引管38により冷却プレート4に接続されている。
【0014】冷却プレート4は金属部材等にて筒状体に形成されており、長手方向の一面に形成される糸条接触面4aに糸条Yを接触させることで、該糸条Yの冷却を行うとともに、加撚によって発生する糸条Yのバルーンを抑制するようにしている。糸条接触面4aには、冷却プレート4の内部空間4cと連通する吸引孔4b・4b・・・が複数形成されており、該内部空間4cは前記吸引管38と連通している。
【0015】そして、ブロア35を駆動させると、吸引孔4b・4b・・・、内部空間4c、及び吸引管38を通じて糸条接触面4aからエアーが吸引され、糸条Yの走行方向に対する略垂直方向に吸引流が発生することとなる。この吸引流により、該糸条接触面4aに接触しながら走行する糸条Yの冷却を促進して、冷却効果を高めるようにしている。
【0016】ここで、本糸条冷却装置においては制御装置32が具備されており、該制御装置32は、ブロア35におけるブロアモータの回転速度を制御するためのインバータを含み、非接触式温度測定装置31及びブロア35に接続されている。制御装置32内には、冷却後の糸条Yの目標温度が予め設定されており、非接触式温度測定装置31による糸条Yの検出温度と該目標温度とが制御装置32内で比較され、該検出温度と該目標温度との偏差に応じてブロア35の回転数を制御するようにしている。
【0017】例えば、非接触式温度測定装置31による検出温度が目標温度よりも高ければ、ブロア35は制御装置32により回転数が増加する方向に制御され、糸条接触面4aからのエアー吸引量を増して、糸条Yの冷却効果を高めるようにし、逆に、非接触式温度測定装置31による検出温度が目標温度よりも低ければ、ブロア35は制御装置32により回転数が減少する方向に制御され、糸条接触面4aからのエアー吸引量を少なくして、糸条Yの冷却効果を抑えるようにし、また、非接触式温度測定装置31による検出温度と目標温度とが一致していれば、ブロア35は回転数をそのまま維持するように制御される。
【0018】このように、ブロア35のエアー吸引量は、非接触式温度測定装置31により検出される糸条Yの温度に基づいてフィードバック制御されており、冷却プレート4により冷却された後の糸条Yの温度を一定に保持することができる。これにより、仮撚装置5を通過して解撚される時点での糸条Yの温度を一定に保持できるので、加工後の糸条Yの性状や特性のバラツキを抑えることができ、該糸条Yの糸品質を一定に保つことができる。尚、糸条Yの糸品質を監視するために、検出した糸温度の現在値及び/又は所定期間分の波形を表示するようにしてもよい。
【0019】そして、糸条Yの温度を検出する非接触式温度測定装置31は、冷却プレート4と仮撚装置5との間、特に冷却プレート4の下流側端部近傍に配置しているので、該冷却プレート4により冷却された後の糸条Yの糸温度を正確に検出することができ、ブロア35を適切に制御して、冷却後の糸条Yの糸温度を正確に一定に保つことが可能となる。本例では、ヒーター3の出口近傍での検出糸温度に基づいてヒーター加熱をフィードバック制御するとともに、冷却プレート4の出口近傍での検出温度に基づいて冷却プレート4での吸収量をフィードバック制御することにより、冷却前の糸温度(冷却プレート4入口での糸温度)、及び冷却後の糸温度(冷却プレート4出口での糸温度)を正確に一定に保持できる。尚、ヒーター3の出口近傍には、糸温度測定用の非接触式温度測定装置21を設けることなく、ヒーター3に内蔵した温度センサによる検出温度に基づいてヒーター加熱をフィードバック制御することもできる。
【0020】また、糸条冷却装置を構成する、冷却プレート4、非接触式温度測定装置31、ブロア35、及び制御装置32は各錘毎に設けられており、各錘毎にブロア35の回転数の制御を行い、冷却後の糸条Yの糸温度を目標値に一定に保持するようにしているので、各錘間での加工品質のバラツキをも抑えることができ、一定品質の加工糸を生産することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明は、以上のような構成とすることで、次のような効果を奏する。まず、請求項1の如く、強制吸引手段に連通する吸引孔を、糸条冷却装置における糸条の接触面に形成し、糸条の加撚領域にて検出した該糸条の温度の検出値に基づいて、強制吸引手段による吸引量を制御するので、糸条冷却装置により冷却された後の糸条の温度を一定に保持することができる。これにより、加工後の糸条の性状や特性のバラツキを抑えることができ、該糸条の糸品質を一定に保つことができる。
【0022】更に、請求項2の如く、糸条の温度を検出する温度検出器を、前記糸条冷却装置と、該糸条冷却装置の下流側に配置される仮撚装置との間に設けたので、糸条冷却装置により冷却された後の糸条の糸温度を正確に検出することができ、強制吸引手段を適切に制御して、冷却後の糸条の糸温度を正確に一定に保つことが可能となる。
【0023】更に、請求項3の如く、前記強制吸引手段による吸引量の制御を、各錘毎に行うので、各錘毎に冷却後の糸条の糸温度を目標値に一定に保持することが可能となり、各錘間での加工品質のバラツキを抑えることができ、一定品質の加工糸を生産することができる。
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−355142(P2001−355142A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−176761(P2000−176761)