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【発明の名称】 糸加熱装置
【発明者】 【氏名】徳田 和郎

【要約】 【課題】加熱された糸温度を応答性よく一定に制御できる糸加熱装置及び加熱方法を提供すること。

【解決手段】走行速度が略一定の糸Yがピンヒータ3に巻回されるように接触した状態において、温度センサ13から出力される温度検出信号12における糸Yの温度検出結果と予め設定された糸温度目標値とを比較して、制御部11は、流体シリンダ8のシリンダロッド7が収縮、伸長するように切換弁9に対し切り換え制御を行い、これによりシリンダロッド7が収縮、伸長し、糸ガイド支持部材6を介して各糸ガイド4、5がピンヒータ3の軸方向に移動することになる。この糸ガイド4、5の移動に伴って、糸Yの糸道がピンヒータ3の円錐台の軸方向へ移動することにより、糸Yがピンヒータ3円周表面上を接触する距離(時間)を変化させ、ピンヒータ3から糸Yへの熱エネルギー供給量を変化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】加熱体に走行する糸を接触させて加熱する糸加熱装置であって、上記加熱体の糸走行路下流側に位置し、加熱後の走行糸の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器の検出温度に基づいて加熱体と走行糸との接触時間を制御する制御装置とを設けたことを特徴とする糸加熱装置。
【請求項2】上記加熱体は、外周径が軸方向に次第に変化する円錐台形状を呈すると共に、上記制御装置は、加熱体と走行糸とを加熱体の軸方向に相対移動させる変位手段と、上記温度検出器の検出温度に基づいて変位手段を制御する制御手段とからなる請求項1記載の糸加熱装置。
【請求項3】上記変位手段は、走行糸に係合可能な糸ガイドと、該糸ガイドを加熱体の軸方向に相対移動させるアクチュエータとからなり、上記糸ガイドは、加熱体の上流側及び下流側にそれぞれ位置し、温度検出器の検出温度に基づいて、アクチュエータにより上記上流側糸ガイド及び下流側糸ガイドを変位させる請求項2記載の糸加熱装置。
【請求項4】上記上流側に糸ガイド及び下流側の糸ガイドを共通のアクチュエータにより変位させる請求項3記載の糸加熱装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱体に走行する糸を接触させて加熱する糸加熱装置であって、加熱された糸温度を応答性よく一定に制御できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の糸加熱装置は、ヒータ(加熱体)を有したものであって、該ヒータの下流側に、走行糸の糸温度を検出する温度センサ、該温度センサの検出温度に基づいて上記加熱体の発熱温度を制御するヒータ温度制御部を備えたものが知られている。更に、上記ヒータの上流側(走行糸の入口側)、下流側(走行糸の出口側)にそれぞれ糸道規制部材である糸ガイドが固設されており、走行糸は上記糸ガイドにより糸道を規制されることにより所定の糸道を通過し、上記ヒータ部表面によって接触又は非接触の状態で加熱されるようになっている。そして、温度制御部は上記温度センサにより検出された糸温度と予め設定された所定温度とを比較して、糸温度が常に上記所定温度となるようにヒータ(加熱体)の発熱温度を制御するようになっている。
【0003】上述の糸加熱装置では、温度センサの検出温度が所定温度よりも高い場合に、温度制御部が上記検出結果に基づいてヒータの発熱温度を下げるように制御することとなる。しかし、ヒータに対して発熱温度を下げる制御を行ったとしても、加熱体及びヒータ表面の温度の下降速度は鈍く(即応性に欠ける)、糸温度を迅速に下降させる制御が要求される場合には問題点がある。
【0004】そこで、特開平6−235583号公報には、検出温度と予め設定された設定温度とに基づいて、制御装置がアクチュエータを駆動制御し、このアクチュエータの駆動により、走行糸がヒータに対して離間、接近させられることにより温度制御されるような糸加熱装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この糸加熱装置では、ヒータ表面と走行糸とは非接触の状態で加熱されている。故に、ヒータと走行糸との間には空気が介在しており、検出温度と予め設定された設定温度とに基づいて、制御装置がアクチュエータを駆動制御することにより加熱温度を制御するとしても、ヒータと走行糸との間の気温等の状況変化に伴って、加熱される走行糸の温度が正確に制御できない可能性がある。
【0006】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、加熱された糸温度を応答性よく一定に制御できる糸加熱装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、加熱体に走行する糸を接触させて加熱する糸加熱装置であって、上記加熱体の糸走行路下流側に位置し、加熱後の走行糸の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器の検出温度に基づいて加熱体と走行糸との接触時間を制御する制御装置とを設けたことを特徴としている。この発明では、上記加熱体の糸走行路下流側に位置し、加熱後の走行糸の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器の検出温度に基づいて加熱体と走行糸との接触時間を制御する制御装置とを設けたことにより、加熱体の温度を昇降させる必要がないため、加熱された糸温度を応答性よく一定にすることが可能となる。
【0008】請求項2記載の発明は、上記加熱体は、外周径が軸方向に次第に変化する円錐台形状を呈すると共に、上記制御装置は、加熱体と走行糸とを加熱体の軸方向に相対移動させる変位手段と、上記温度検出器の検出温度に基づいて変位手段を制御する制御手段とからなることを特徴としている。この発明では、上記加熱体は、外周径が軸方向に次第に変化する円錐台形状を呈すると共に、上記制御装置は、加熱体と走行糸とを加熱体の軸方向に相対移動させる変位手段と、上記温度検出器の検出温度に基づいて変位手段を制御する制御手段とからなることにより、加熱体と走行糸との接触時間を容易に且つ確実に制御することが可能となる。
【0009】請求項3記載の発明は、上記変位手段は、走行糸に係合可能な糸ガイドと、該糸ガイドを加熱体の軸方向に相対移動させるアクチュエータとからなり、上記糸ガイドは、加熱体の上流側及び下流側にそれぞれ位置し、温度検出器の検出温度に基づいて、アクチュエータにより上記上流側糸ガイド及び下流側糸ガイドを変位させることを特徴としている。この発明では、上記変位手段は、走行糸に係合可能な糸ガイドと、該糸ガイドを加熱体の軸方向に相対移動させるアクチュエータとからなり、上記糸ガイドは、加熱体の上流側及び下流側にそれぞれ位置し、温度検出器の検出温度に基づいて、アクチュエータにより上記上流側糸ガイド及び下流側糸ガイドを変位させることにより、加熱体に比べて軽量な糸を移動させるため、アクチュエータの行う仕事量を小さく抑えることができる。更に、加熱体に対して糸が斜めに接触することがないため、糸道が不規則になることによる糸品質の劣化を防止することができる。又、常に加熱体の軸方向に対して垂直方向に接触するため、接触時間を正確に制御することができる。
【0010】請求項4記載の発明は、上記上流側に糸ガイド及び下流側の糸ガイドを共通のアクチュエータにより変位させることを特徴としている。この発明では、上記上流側に糸ガイド及び下流側の糸ガイドを共通のアクチュエータにより変位させることにより、簡素な構成で上流側、下流側の糸ガイドを一体的に変位させることができるため、加熱体に対して糸道を適切な状態に維持したまま接触時間を制御することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施の形態に限定されるものではない。
【0012】図1は、本発明の第一の実施形態における加熱装置1を示す斜視図であり、図2は図1に示す加熱体のイ−イ矢視図である。図3は、第二の実施形態における加熱体を示すロ−ロ矢視図である。図4は、第三の実施形態における加熱装置1’を示す斜視図である。図5、図6は、本発明の加熱装置1を適用した糸加工機を示す側面図である。
【0013】図1に示すように、加熱装置1のピンヒータ(加熱体)3は、機台フレーム2から突設され、軸方向に径が異なる円錐台形状を呈しており、ピンヒータ3の軸(図1の一点鎖線部)が糸Yの走行する方向に対して略直交するように機台フレーム2に固着されている。
【0014】又、加熱装置1には、上記ピンヒータ3と走行糸Yとの接触時間を制御する制御装置を構成する変位手段として、ピンヒータ3の糸Y走行路の上流側及び下流側には各々糸ガイド4、5が配され、コの字状をなした糸ガイド支持部材6の両端に取り付けられている。上記糸ガイド4、5はピンヒータ3の軸方向に対して直交する同一直線上に位置するようになっている。上記糸ガイド支持部材6の略中心部位置には、アクチュエータとして設けられた流体シリンダ8のシリンダロッド7の先端が取り付けられている。上記流体シリンダ8は、切換弁9に接続されており、更に、切換弁9の切り換え制御を行うための制御部として制御部11が設けられている。制御部11では、糸Yの所定の目標温度が予め設定されている。又、上記ピンヒータ3の直ぐ下流側には、ピンヒータ3により加熱された糸Yの温度を計測する温度検出器(温度センサ)13が設けられている。但し、本実施形態においては、流体シリンダ8を備えているが、リニアモータ等の他のアクチュエータを用いてもよい。温度検出器13としては、走行糸Yから放射される赤外線を入射し、その入射赤外線に応じた検出信号を出力する非接触型温度検出機を使用できる。
【0015】ピンヒータ3は、例えば電熱式のコイルを発熱体として内部に有し(図示せず)、この発熱体の発熱現象によって表面が加熱された状態となっている。走行する糸Yは加熱装置1において、各糸ガイド4、5と係合することによって糸道が規制されるようになっており、ピンヒータ3表面上に少なくとも1回以上巻回された状態で接触して走行するようになっており、ピンヒータ3を通過した糸Yは、上記ピンヒータ3の下流側に位置する温度センサ13を非接触で通過するようになっている。
【0016】ここで、流体シリンダ8により、糸ガイド支持部材6を介して上記糸ガイド4、5を変位させるのは、ピンヒータ3に対して糸Yが斜めに接触することがないようにし、糸道が不規則になることによる糸品質の劣化を防止すると共に、常に加熱体の軸方向に対して垂直方向に接触させることで、糸Yに対する接触時間を正確に制御して加熱ムラが生じないようにするためである。
【0017】又、上記糸ガイド4、5は流体シリンダ8のシリンダロッド7の収縮、伸長に伴い、糸ガイド支持部材6を介してピンヒータ3の軸方向に相対移動し、変位自在となるようになっており、上記シリンダロッド7の伸長、収縮は、切換弁9の切り換えによって駆動切り換えがなされるようになっている。この切換弁9の制御は、制御部11によりなされるようになっており、制御部11は必要に応じて、上記切換弁9に対して制御信号10を出力するようになっている。
【0018】又、上記制御部11に対しては、常時温度センサ13による糸Yの温度検出信号12が出力されるようになっており、該温度検出信号12と、制御部11にて予め設定された糸Yの温度目標値と比較するようになっている。ここで、制御部11から切換弁9に出力される制御信号10によって駆動切り換えが行われ、上記シリンダロッド7は、所定長或いは上記比較の際の偏差に応じた長さだけ収縮、伸長するようになっている。
【0019】ここで、図1に示す第一の実施形態における加熱装置1による糸Yの温度制御について説明する。
【0020】例えば、図1、図2の糸Yの巻回領域bに示す糸道の状態において、温度センサ13から出力される温度検出信号12における糸Yの温度検出結果と予め設定された糸温度目標値とを比較して、温度検出信号12における糸Yの温度検出結果の方が大である場合、制御部11は、流体シリンダ8のシリンダロッド7が収縮するように切換弁9に対し切り換え制御を行う。
【0021】本実施形態では、糸Yのピンヒータ3との接触時間を変化させる方法として、糸Yの走行速度が略一定であるという条件において、糸Yとピンヒータ3との接触距離を変化させる制御を行っており、上記制御部11の、切換弁9への切り換え制御により、シリンダロッド7は所定長或いは、上記比較した際の偏差に応じた長さだけ収縮し、該シリンダロッド7の収縮に伴って、糸ガイド支持部材6を介して各糸ガイド4、5がピンヒータ3の軸方向において、ピンヒータ3の円錐台の小径側に移動することになる。この糸ガイド4、5の移動に伴って、糸Yの糸道もピンヒータ3の円錐台の小径側(図2の二点鎖線で示した巻回領域aを有する糸道)へ移動することにより、糸Yがピンヒータ3円周表面上を巻回して接触する距離(時間)が短くなる。従って、巻回された糸Yと発熱を帯びたピンヒータ3表面との接触距離(時間)が短くなることから、ピンヒータ3から糸Yへの熱エネルギー供給量が減少し、ピンヒータ3通過後の糸Yの温度が下降することになる。
【0022】逆に、図1、図2の糸Yの巻回領域bに示す糸道の状態において、温度センサ13から出力される温度検出信号12における糸Yの温度検出結果と予め設定された糸温度目標値とを比較して、温度検出信号12における糸Yの温度検出結果の方が小である場合、制御部11は、流体シリンダ8のシリンダロッド7が伸長するように切換弁9に対し切り換え制御を行う。
【0023】上記制御部11の、切換弁9への切り換え制御により、シリンダロッド7は所定長或いは、上記比較した際の偏差に応じた長さだけ伸長し、該シリンダロッド7の収縮に伴って、糸ガイド支持部材6を介して各糸ガイド4、5がピンヒータ3の軸方向において、ピンヒータ3の円錐台の大径側に移動することになる。この糸ガイド4、5の移動に伴って、糸Yの糸道もピンヒータ3の円錐台の大径側(図2の二点鎖線で示した巻回領域cを有する糸道)へ移動することにより、糸Yがピンヒータ3表面上を巻回して接触する距離(時間)が長くなる。従って、巻回された糸Yと発熱を帯びたピンヒータ3表面との接触距離(時間)が長くなることから、ピンヒータ3から糸Yへの熱エネルギー供給量が増大し、ピンヒータ3通過後の糸Yの温度が上昇することになる。
【0024】ここで、上記のように、糸ガイド4、5をピンヒータ3の軸方向に相対移動させるのは、ピンヒータ3に比べて軽量な糸Yを移動させることにより、流体シリンダ8の行う仕事量を小さく抑えるためである。又、上流側の糸ガイド4及び下流側の糸ガイド5を共通の流体シリンダ8により変位させることで構成を簡素なものにすることができる。
【0025】又、上記実施形態では、糸Yをピンヒータ3円周表面に巻回させるようにして接触させ、加熱していたが、図3に示す第二の実施形態のように、糸Yをピンヒータ3表面の一部のみ接触させ、糸Yの接触領域b’に示す糸道の状態において、温度センサ13から出力される温度検出信号12における糸Yの温度検出結果と予め設定された糸温度目標値とを比較して、温度検出信号12における糸Yの温度検出結果の方が大(小)である場合、流体シリンダ8のシリンダロッド7の収縮(伸長)によって各糸ガイド4、5をピンヒータ3の軸方向において、ピンヒータ3の円錐台の小径側(大径側)に移動させ、糸Yの糸道を図3の接触領域a’(c’)に示す糸道へ移動させることにより、ピンヒータ3通過後の糸Yの温度が下降(上昇)するように制御してもよい。又、本実施形態においても、糸Yのピンヒータ3との接触時間を変化させる方法として、糸Yの走行速度が略一定であるという条件において、糸Yとピンヒータ3との接触距離を変化させる制御を行っている。
【0026】更に、第一、第二の実施形態において適用された加熱装置1の、軸方向に径が異なる円錐台形状を呈したピンヒータ3の代わりに、図4に示す加熱装置1’のように円筒形状を呈したピンヒータ3’円周表面上の一部のみ接触させ、糸Yの接触領域b’’に示す糸道の状態において、温度センサ13から出力される温度検出信号12における糸Yの温度検出結果と予め設定された糸温度目標値とを比較して、温度検出信号12における糸Yの温度検出結果の方が大(小)である場合、流体シリンダ8のシリンダロッド7の収縮(伸長)によって、上記第一、第二の実施形態とは異なり、各糸ガイド4、5をピンヒータ3’の軸方向と直交する方向に移動させ、糸Yの糸道を図3の接触領域a’’(c’’)に示す糸道へ移動させることにより、ピンヒータ3’通過後の糸Yの温度を下降(上昇)制御してもよい。但し、本実施形態において、ピンヒータ3’以外の装置は、第一、第二の実施形態と形状、作用が略同様であるため、同一の符号を付し、詳述は略することとした。本実施形態においても、糸Yのピンヒータ3’との接触時間を変化させる方法として、糸Yの走行速度が略一定であるという条件において、糸Yンヒータ3’との接触距離を変化させる制御を行っている。
【0027】次に、上記第一乃至第三の実施形態の加熱装置1(加熱装置1’でも可)の適用例として、延伸仮撚加工機20、糸加工機30について、図5、図6を用いて説明する。
【0028】図5に示す仮撚加工機20において、パッケージP1から糸Yの走行路下流側には、第0フィードローラFR0、上記加熱装置1(又は加熱装置1’)、第1フィードローラFR1、ヒータ21、ベルト式仮撚装置22、第2フィードローラFR2が順番に設けられている。
【0029】パッケージP1から解舒された糸Yは、略一定の走行速度となるように第0フィードローラFR0から加熱装置1に送り込まれる。ここで、第0フィードローラFR0と第1フィードローラFR1との速度比は、所定延伸率に対して半延伸となるように設定されている。この第0フィードローラFR0と加熱装置1とにより冷延伸(延伸適温未満の加熱による延伸)による半延伸が行われ、延びきるまでの延伸を無理やり施すため、部分的な延伸が第0フィードローラFR0と第1フィードローラFR1との間で発生する。糸Yは連続走行しているので、糸Yの走行速度に応じて、部分的な延伸が一定の分布をもって現れ、良く延伸された部分とあまり延伸されない部分とが互いに出現する。
【0030】次に、糸Yはヒータ21に導入され、該ヒータ21を出た糸Yは、ベルト式仮撚装置22に入り、更に、第2フィードローラFR2を経て巻取パッケージP2に巻き取られる。上記ベルト式仮撚装置22で形成された撚りは第1フィードローラFR1まで伝播し、ヒータ21で熱固定され、パッケージP2に巻き取られることとなる。
【0031】以上のような加工を施すことにより、加工された糸Yを染色すると、濃く染まる部分と薄く染まる部分とが規則正しく出現した染色糸になり、この染色糸を織機にかけると色の風合いの異なる生地ができる。
【0032】図6に示す糸加工機30において、給糸パッケージAから芯糸Yの走行路下流側には、フィードローラFR0A、FR1Aと、給糸パッケージBから鞘糸yの走行路下流側には、フィードローラFR0B、FR1Bと、芯糸Y及び鞘糸yに空気又は水によるテクスチャード加工を施す加工手段31とフィードローラFR2とを順番に備えて構成されている。
【0033】図6に示すように、フィードローラFR0BとフィードローラFR1Bとの間には、上記加熱装置1(又は加熱装置1’)が設けられている。
【0034】上記糸加工機30を稼働させると、各フィードローラFR0、FR1はそれぞれ別個に独立して回転され、未加工糸Y、yを略一定の走行速度となるように送る。図6に示すように、芯糸Yに合糸する鞘糸yを送るフィードローラFR0B、FR1Bは、芯糸YのフィードローラFR0A、FR1Aより高速に回転され、鞘糸yを芯糸Yより高速に送り続けるようになっている。ここで、鞘糸yは、フィードローラFR0B、FR1Bで下流側に送られると共に必要に応じて加熱装置1で加熱され、オーバーフィードされて加工手段31に供給されるようになっている。
【0035】芯糸Yと鞘糸yは、加工手段31にて噴射空気による交絡加工等が施され、第2フィードローラFR2を経て巻取手段32に送られ、巻き取られるようになっている。
【0036】以上のように、糸Y、yの走行速度を略一定とするような図5、図6に示す延伸仮撚り加工機20、糸加工機30に第一乃至第三の実施形態の加熱装置1又は加熱装置1’を適用することにより、ピンヒータ3の温度を昇降させる必要がないため、加熱された糸Y(y)の温度を応答性よく一定にすることが可能となると共に、ピンヒータ3(又はピンヒータ3’)と走行糸Y(y)との接触距離を変化させることで接触時間を容易に且つ確実に制御することが可能となる。ピンヒータ3、3’に対して糸Y(y)が斜めに接触することがないため、糸道が不規則になることによる糸品質の劣化を防止することができる。又、常にピンヒータ3、3’の軸方向に対して垂直方向に接触するため、接触時間を正確に制御することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されるので、以下のような効果を奏する。
【0038】請求項1記載の発明によれば、加熱体に走行する糸を接触させて加熱する糸加熱装置であって、上記加熱体の糸走行路下流側に位置し、加熱後の走行糸の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器の検出温度に基づいて加熱体と走行糸との接触時間を制御する制御装置とを設けたことにより、加熱体の温度を昇降させる必要がないため、加熱された糸温度を応答性よく一定にすることができる。
【0039】請求項2記載の発明によれば、上記加熱体は、外周径が軸方向に次第に変化する円錐台形状を呈すると共に、上記制御装置は、加熱体と走行糸とを加熱体の軸方向に相対移動させる変位手段と、上記温度検出器の検出温度に基づいて変位手段を制御する制御手段とからなることにより、加熱体と走行糸との接触時間を容易に且つ確実に制御することができる。
【0040】請求項3記載の発明によれば、上記変位手段は、走行糸に係合可能な糸ガイドと、該糸ガイドを加熱体の軸方向に相対移動させるアクチュエータとからなり、上記糸ガイドは、加熱体の上流側及び下流側にそれぞれ位置し、温度検出器の検出温度に基づいて、アクチュエータにより上記上流側糸ガイド及び下流側糸ガイドを変位させることにより、加熱体に比べて軽量な糸を移動させるため、アクチュエータの行う仕事量を小さく抑えることができる。更に、加熱体に対して糸が斜めに接触することがないため、糸道が不規則になることによる糸品質の劣化を防止することができる。又、常に加熱体の軸方向に対して垂直方向に接触するため、接触時間を正確に制御することができる。
【0041】請求項4記載の発明によれば、上記上流側に糸ガイド及び下流側の糸ガイドを共通のアクチュエータにより変位させることにより、簡素な構成で上流側、下流側の糸ガイドを一体的に変位させることができるため、加熱体に対して糸道を適切な状態に維持したまま接触時間を制御することができ、接触時間をより正確に制御することができる。
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成12年6月15日(2000.6.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−355141(P2001−355141A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−179240(P2000−179240)