トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り




【発明の名称】 複合弾性糸
【発明者】 【氏名】林 清秀

【氏名】小淵 信一

【氏名】石丸 太

【要約】 【課題】窒素酸化物(NOx)による変色劣化に対して充分に安定化されており、染色仕上加工の如き二次加工を経た後でも、良好な安定化効果が保持される複合弾性糸を提供すること。

【解決手段】弾性繊維としてヒンダードアミン化合物を含有するポリウレタン弾性糸と、非弾性繊維とを合撚、交絡、混繊及び複合紡績のいずれかの手段で複合してなる複合弾性糸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】弾性繊維としてヒンダードアミン化合物を含有するポリウレタン弾性糸と、非弾性繊維とを合撚、交絡、混繊及び複合紡績のいずれかの手段で複合してなることを特徴とする複合弾性糸。
【請求項2】非弾性繊維がポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維、および再生繊維類、半合成繊維類から選ばれる1種以上の繊維であることを特徴とする請求項1記載の複合弾性糸。
【請求項3】ヒンダードアミン化合物が、1分子中に下記一般式(1)で表される1価の有機基及び下記一般式(2)で表される2価の有機基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/又は2価の有機基(D1)を1個以上有するヒンダードアミン化合物であって、ヒンダードアミン化合物1Kg当たりの有機基(D1)の個数が1.3mol以上であり、且つ酸性溶液に対する溶解度が5.0×10-3eq/l以下であるヒンダードアミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合弾性糸。
【化1】

[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコキシ基の何れかを表す。]
【化2】

[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項4】ヒンダードアミン化合物が、1分子中に下記一般式(3)で表される1価の有機基及び下記一般式(4)で表される2価の有機基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/又は2価の有機基(D2)と、炭素数5〜10のシクロアルキル基、及び炭素数5〜10のシクロアルキレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/又は2価の有機基(F1)を有する化合物であって、分子中の有機基(D2)の重量分率(WD2(%))及び(F1)の重量分率(WF1(%))が、下記数式(1)及び数式(2)を満たす化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合弾性糸。
40≦(WD2+WF1)≦70 式(1)
0.6≦(WD2÷WF1)≦3 式(2)
【化3】

[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコシ基の何れかを表す。]
【化4】

[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項5】ヒンダードアミン化合物が下記一般式(5)で表される群より選ばれる1種又は2種以上の混合物のラジカル重合性ヒンダードアミン誘導体単量体成分(D3)及び下記一般式(6)で表される群より選ばれる1種又は2種以上の混合物のラジカル重合性単量体成分(F2)とを必須成分としてラジカル共重合して得られるヒンダードアミン化合物であって、該ヒンダードアミン化合物の成分(D3)、及び成分(F2)の重量分率が下記数式(3)及び数式(4)を満たす化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合弾性糸。
【化5】

[上記一般式において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3は水素原子又はメチル基を表す。R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコキシ基の何れかを表す。X1は−O−基、又は−NH−基を表す。]
【化6】

[上記一般式においてR5は水素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数5〜10のシクロアルキル基を表す。Y1は−O−基、又は−NH−基を表す。]
80≦(WD3+WF2)≦100 式(3)
0.5≦(WD3÷WF2)≦2.3 式(4)
[上記数式中、WD3は成分(D3)の重量分率(%)、WF2は成分(F2)の重量分率(%)を表す]
【請求項6】ヒンダードアミン化合物が、下記一般式(7)で表される構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合弾性糸。
【化7】

[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R7、R8は水素原子、若しくはメチル基の何れかを表す。R9は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、若しくは炭素数1〜10のアルコキシ基を何れかを表す。X,Yは−O−基、若しくは−NH−基の何れかを表す。n,mは 0.35≦(n/m)≦1.75となるような正の数を表す]
【請求項7】ポリウレタン弾性糸が、フェノール系酸化防止剤及び亜リン酸エステル系酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の複合弾性糸。
【請求項8】フェノール系酸化防止剤が下記一般式(8)で表されるフェノール系酸化防止剤であり、且つ、亜リン酸エステル系酸化防止剤が、下記式(9)で表される構造を含む水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマーであることを特徴とする請求項7記載の複合弾性糸。
【化8】

[上記一般式中、R10はt−ブチル基、sec−ブチル基、及びネオベンチル基から選ばれた基を表す。]
【化9】

【請求項9】ポリウレタン弾性糸が、(a)ポリウレタンに対するフェノール系酸化防止剤の配合量が0.1〜2.0重量%、(b)亜リン酸エステル系酸化防止剤の配合量が0.1〜2重量%、及びヒンダードアミン化合物の配合量が0.5〜5重量%であることを特徴とする請求項7又は8に記載の複合弾性糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維、および再生繊維類、半合成繊維類等の非伸縮性繊維とポリウレタン弾性糸からなる複合弾性糸に関する。更に詳しくは、窒素化合物(NOx)の存在下の雰囲気に暴露されたり、染色加工等の二次加工の工程を経ても変色や劣化に安定な、複合弾性糸に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維などの非伸縮性繊維とポリウレタン弾性糸からなる織編物は、ストレッチ性能に優れていることから、パンティストッキングやソックスの脚廻り、ブラジャー、ガードル、ボディスーツなどのファウンデーションや肌着、水着やレオタードなどのスポーツ衣料、スキーパンツ,ストレッチデニムなどの外衣などの他ストレッチ包帯、ストレッチのあるコルセット、ストレッチテープの基布、サポーター類の医療用途や、ストレッチブーツの基布等多岐の用途に使用されている。
【0003】一般に前記の用途に使用されるポリウレタン弾性糸はポリイソシアネート、比較的低分子量の多官能性活性水素化合物から製造される場合が多い。
【0004】中でもポリイソシアネートとして4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートから得られるポリウレタン弾性糸は力学的性質が特に優れていることから、広く用いられている。しかしながら、芳香族イソシアネートから得られるポリウレタン弾性糸は、窒素酸化物(以下NOxと略す)による変色が特に著しいと言う欠点があり、該ポリウレタン弾性糸を含有した織編物をNOxの存在する雰囲気下に暴露しておくと、わずかな時間で白色の生地がバターの如き色に黄変するといった現象が発生したりした。
【0005】NOxは、燃焼ガスや排気ガス中に含まれ、極めて微量でもポリウレタン弾性糸の著しい変色を引き起こす。この為、NOxによるポリウレタン弾性糸の変色を抑制することは、古くから検討されてきた。例えば亜リン酸エステル系酸化防止剤、脂肪族アミン誘導体やヒドラジン誘導体などの変色防止剤などが知られている。この中でも亜リン酸エステル系酸化防止剤や脂肪族アミン誘導体としてのヒンダードアミン化合物などが、安定化効果の高いことから広く用いられている。
【0006】しかしながら、亜リン酸エステル系酸化防止剤やヒンダードアミン化合物などの安定剤を配合したポリウレタン弾性糸を混用した伸縮性織編物の染色加工を行なう場合に、その安定効果が著しく損なわれることがしばしばあった。その為、これらのポリウレタン弾性糸を混用した伸縮性織編物やその最終製品において窒素酸化物(NOx)の存在する雰囲気下に暴露された場合に黄変や劣化といった不具合を起こす危険性が大きかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情を背景として、鋭意検討したものであり、ポリウレタン弾性糸に染色加工などの後加工を経ても、NOxの存在する雰囲気下においても変色・劣化に充分に安定な性能を付与し、該ポリウレタン弾性糸を用い、天然繊維、化学繊維の非弾性繊維と合撚、交絡、混繊等の手段により複合した複合弾性糸を用いることで前記課題を解決せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討の結果、複合弾性糸に用いられるポリウレタン弾性糸がヒンダードアミン化合物を配合されており、かつヒンダードアミン化合物として、特定のヒンダードアミン化合物を用いることで染色加工のような後加工を経た後でも安定化効果が高まることを見い出した。
【0009】更に、ポリウレタン弾性糸に、該ヒンダードアミン化合物に加えてフェノール系酸化防止剤、及び亜リン酸エステル系酸化防止剤としてそれぞれ特定の化合物を用いると、さらに高い安定効果が得られ該ポリウレタン弾性糸を混用した編地がNOxによる変色劣化に対して、後加工を経た後でも高度に安定化されていることを見い出し、本発明の完成に至った。
【0010】すなわち本発明はポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維、および再生繊維類、半合成繊維類から選ばれる1種以上の非伸縮性繊維と、ポリウレタン弾性糸から構成される複合弾性糸において、該ポリウレタン弾性糸がヒンダードアミン化合物を配合してなる組成物であり、窒素化合物(NOx)による変色劣化に対して安定であり、且つ染色加工の如き二次加工を経た後でも、安定であることを特徴とする複合弾性糸であって、該ポリウレタン弾性糸に配合されるヒンダードアミン化合物が1分子中に下記一般式(1)で表される1価の有機基及び下記一般式(2)で表される2価の有機基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/または2価の有機基(D1)を1個以上有するヒンダードアミン化合物であって、ヒンダードアミン化合物1Kg当たりの有機基(D1)の個数が1.3mol以上であり、且つ酸性溶液に対する溶解度が5.0×10-3eq/l以下である【0011】
【化10】

【0012】[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコキシ基の何れかを表す。]
【0013】
【化11】

【0014】[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【0015】また好ましいヒンダードアミン化合物としては、1分子中に下記一般式(3)で表される1価の有機基及び下記一般式(4)で表される2価の有機基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/又は2価の有機基(D2)と、炭素数5〜10のシクロアルキル基、及び炭素数5〜10のシクロアルキレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/又は2価の有機基(F1)を有する化合物であって、分子中の有機基(D2)の重量分率(WD2(%))及び(F1)の重量分率(WF1(%))が、下記数式(1)及び数式(2)を満たす化合物である。
40≦(WD2+WF1)≦70 式(1)
0.6≦(WD2÷WF1)≦3 式(2)
【0016】
【化12】

【0017】[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコシ基の何れかを表す。]
【0018】
【化13】

【0019】[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【0020】また、好ましいヒンダードアミン化合物が下記一般式(5)
【0021】
【化14】

【0022】[上記一般式において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3は水素原子又はメチル基を表す。R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコキシ基の何れかを表す。X1は−O−基、又は−NH−基を表す。]
【0023】で表される群より選ばれる1種又は2種以上の混合物のラジカル重合性ヒンダードアミン誘導体単量体成分(D3)及び下記一般式(6)
【0024】
【化15】

【0025】[上記一般式においてR5は水素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数5〜10のシクロアルキル基を表す。Y1は−O−基、又は−NH−基を表す。]で表される群より選ばれる1種又は2種以上の混合物のラジカル重合性単量体成分(F2)とを必須成分としてラジカル共重合して得られるヒンダードアミン化合物であって、該ヒンダードアミン化合物の成分(D3)、及び成分(F2)の重量分率が下記数式(7)、(8)を満たすヒンダードアミン化合物である。
80≦(WD3+WF2)≦100 式(7)
0.5≦(WD3÷WF2)≦2.3 式(8)
[上記数式中、WD3は成分(D3)の重量分率(%)、WF2は成分(F2)の重量分率(%)を表す]また、好ましいヒンダードアミン化合物は、下記一般式(7)
【0026】
【化16】

【0027】[上記一般式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。R7、R8は水素原子、若しくはメチル基の何れかを表す。R9は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、若しくは炭素数1〜10のアルコキシ基を何れかを表す。X,Yは−O−基、若しくは−NH−基の何れかを表す。n,mは 0.35≦(n/m)≦1.75となるような正の数を表す]で表される構造のヒンダードアミン化合物である。更に好ましい態様としては、該ポリウレタン弾性糸がフェノール系酸化防止剤及び亜リン酸エステル系酸化防止剤がさらに配合されており、さらには、ポリウレタン弾性糸に配合されるフェノール系酸化防止剤が下記一般式(8)で表されるフェノール系酸化防止剤であり、【0028】
【化17】

【0029】[上記一般式中、R10はt−ブチル基、sec−ブチル基、及びネオベンチル基から選ばれた基を表す。]
且つ、亜リン酸エステル系酸化防止剤が、下記式(9)で表される構造を含む【0030】
【化18】

【0031】水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマーであり、(a)ポリウレタンに対するフェノール系酸化防止剤の配合量が0.1〜2.0重量%、(b)亜リン酸エステル系酸化防止剤の配合量が0.1〜2重量%、(c)該ヒンダードアミン化合物の配合量が0.5〜5重量%、である。
【0032】本発明で使用するポリウレタン弾性糸とは、ポリウレタンを主体とする重合体組成物を紡糸して得られる弾性繊維である。
【0033】ポリウレタンはポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系など、公知のポリウレタンを挙げることが出来る。かかるポリウレタンはポリイソシアネート、ポリマージオール、所望により低分子多官能活性水素化合物を反応させて得ることが出来る。ポリイソシアネートとしては、例えば4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シシクロヘキサンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの1種またはこれらの混合物を用いることが出来る。中でも好ましいのは4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートである。ポリマージオールは両末端にヒドロキシル基を持つ分子量が600〜7000の実質的に線状の重合体として、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオールや、コポリ(テトラメチレン・ネオペンチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2−メチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,3−ジメチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,2−ジメチルブチレン)エーテルジオールなどの2種以上の炭素数6以下のアルキレン基を含むコポリエーテルポリオールや、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、マゼライン酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、β―メチルアジピン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの2塩基酸の1種または2種以上の混合物とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンなどのグリコールの1種あるいは2種以上の混合物から得られるポリエステルポリオールや、ポリエーテルエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどの任意のポリオールを用いることが出来る。
【0034】低分子多官能水素化合物としては、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を分子中に2つ以上有する化合物(鎖延長剤)を挙げることが出来る。鎖延長剤としては、例えば、水、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのポリアミン、エチレングリコール、ブタンジオールなどのポリオール、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリヒドロキシルアミンなどの1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】また、鎖延長剤と共に末端手停止剤として分子中にイソシアネート基と反応しうる活性水素を分子中に1つだけ有する化合物として、エチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミンなどのジアルキルアミンの1種または2種以上の混合物を挙げることが出来る。
【0036】ポリウレタンは公知の方法で重合することが出来る。例えば溶液重合、溶融重合などの任意の方法およびそれらの組合せによって重合することが出来る。また原料を一括して混合させるワンショット法、あるいは、先ずプレポリマーを形成し鎖延長するプレポリマー法などの任意の方法をとることができる。
【0037】重合されたポリウレタン組成物を紡糸して弾性繊維となす方法は特に限定されないが ポリウレタン組成溶液を乾式紡糸するのが好ましい。
【0038】本発明における、1価及び/又は2価の有機基(D1)は、上記一般式(1)で表される1価の有機基及び上記一般式(2)で表される2価の有機基からなる群より選ばれる1種又は2種以上のの1価及び/又は2価の有機基である。有機基(D1)が1価の有機基の場合は、上記一般式(1)におけるピペリジン環の4位において、化合物中の他の部位と結合していることが好ましい。上記一般式(1)におけるR1は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基のいずれかであり、中でも水素原子又はメチル基が安定化効果の面からさらに好ましい。また、有機基(D1)が2価の有機基の場合には、上記一般式(2)におけるピペリジン環の1位及び4位で、化合物中の他の部位と結合していることが好ましい。有機基(D1)の好ましい例として、下記構造式(10)〜(12);
【0039】
【化19】

【0040】
【化20】

【0041】
【化21】

【0042】で表される基を挙げることができる。これらの有機基は、上記のとおり規定された範囲であれば、1種の有機基のみからなっていても、2種以上の有機基の混合物からなっていてもよい。また、1価の有機基と2価の有機基の混合物からなっていてもよい。なかでも、有機基(D1)が上記一般式(12)で表される有機基からなることが最も好ましい。ヒンダードアミン化合物1kg当たりの有機基(D1)の個数は1.3mol以上であることが必要である。有機基(D1)の個数がこれより小さいと,化合物中の安定化に寄与する有効部位が少なくなるため、安定化効果が失われてしまう。有機基(D1)の個数が少ないほど、同等の効果を得るためにはヒンダードアミン化合物の添加量を大きくしなければならず、経済的に不利になる。ヒンダードアミン化合物1kg当たりの有機基(D1)の個数として、2.0mol以上であれば安定化効果の面においてさらに好ましい。
【0043】本発明におけるヒンダードアミン化合物の酸性溶液への溶解度は、以下の方法によって測定される。
(ヒンダードアミン化合物1kg当たりの塩基量の測定)ヒンダードアミン化合物0.0200gを正確に秤量する。ヒンダードアミン化合物が溶液の状態である場合には、いったん溶液からヒンダードアミン化合物を分離してから秤量してもよいし、溶液のままヒンダードアミン化合物の重量が所定の量になるような溶液量を秤量してもよい。ヒンダードアミン化合物を分離する方法としては、再沈澱、再結晶、溶媒の留去など公知の任意の方法を用いることができる。秤量したヒンダードアミン化合物は溶媒100mlに溶解する。用いる溶媒は、ヒンダードアミン化合物をよく溶解し、溶媒自身が塩基性を示さず、水と混和するものであることが望ましい。そのような溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒などを挙げることができる。これらの溶媒の中から、測定しようとするヒンダードアミン化合物が溶解するものを、適宜選択して使用することができる。ヒンダードアミン化合物溶液を、電位差滴定装置(COMTITE−980/平沼産業株式会社)を用いて、1/100Nの塩酸水溶液によって、ガラス電極(GE−101/平沼産業株式会社)及び比較電極(RE−101/平沼産業株式会社)を用いて、中和滴定する。滴定曲線における終点を滴定量とする。ヒンダードアミン化合物1kg当たりの塩基量は、下記数式(9)によって求めることができる。
BA=V×F×10-2÷0.0200 数式(9)
〔上記数式中、BAはヒンダードアミン化合物1kg当たりの塩基量(eq/kg)を、Vは滴定量(ml)を、Fは1/100N塩酸水溶液のファクターを、それぞれ表す。〕
【0044】(酸性溶液の調製)酢酸1.200g、無水酢酸ナトリウム0.250gを正確に秤量しメスフラスコを用いて1lの純水に溶解する。
(ヒンダードアミン化合物の酸性溶液への溶解度測定)ヒンダードアミン化合物1kg当たりの塩基量から、溶解性試験のための試料重量を総塩基量が5.0×10-5molになるように下記数式(10)によって求める。
wA=(5×10-2)÷BA 数式(10)
〔上記数式中、wAはヒンダードアミン化合物の重量(g)、BAはヒンダードアミン化合物1kg当たりの塩基量(eq/kg)を、それぞれ表す。〕
【0045】上記数式(10)によって求めた重量のヒンダードアミン化合物を正確に秤量し、上記のようにして調製した酸性溶液5mlと共にガラスアンプル中に封入する。アンプルを100℃で1時間熱処理し、冷却後開封する。0.45μmの孔径のフィルターで濾過したアンプル内液3mlと、1/10N 水酸化ナトリウム水溶液1mlとを溶媒100mlに溶解する。用いる溶媒は上記の塩基量測定で用いるものと同じ溶媒を用いることができる。混合した溶液を、電位差滴定装置を用いて1/100Nの塩酸水溶液で中和滴定する。ブランクとして、酢酸3.6×10-3g、無水酢酸ナトリウム0.75×10-3gを含む蒸留水3mlと、1/10N 水酸化ナトリウム水溶液1mlとを溶媒100mlに溶解し、同様に滴定する。滴定において、被滴定液中の全ての塩基(ヒンダードアミン化合物、酢酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウム)が全て滴定された点を終点とし、滴定量を求める。酸性溶液中へのヒンダードアミン化合物の溶解度は、酸性溶液1l(1リットル)当たりに溶け出した塩基量として、試料溶液及びブランク溶液の滴定量より下記数式(11)によって求める。
SA=(VS−VB)÷300 式(11)
〔上記数式中、SAは、ヒンダードアミン化合物の酸性溶液に対する溶解度(eq/l)を、VSは試料溶液3mlの滴定量(ml)を、VBはブランク溶液3mlの滴定量(ml)を、BAはヒンダードアミン化合物1kg当たりの塩基量(eq/kg)を、それぞれ表す。〕
【0046】本発明におけるヒンダードアミン化合物において、上記の様にして求めた酸性溶液に対する溶解度は5.0×10-3eq/l以下であることが必要である。溶解度は小さいほうが好ましいが2.5×10-3eq/l以下であれば、さらに好ましい特性を示す。
【0047】本発明におけるヒンダードアミン化合物の有機基(D2)は、上記一般式(3)で表される1価の有機基及び上記一般式(4)で表される2価の有機基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価及び/又は2価の有機基である。上記一般式(3)において、R2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基のいずれかであり、中でも水素原子又はメチル基が安定化効果の面からさらに好ましい。また、有機基(D2)が2価の有機基の場合には、上記一般式(4)におけるピペリジン環の1位及び4位で、化合物中の他の部位と結合していることが好ましい。有機基(D2)の好ましい例として、上記構造式(10)〜(12)で表される基を挙げることができる。これらの有機基は、上記のとおり規定された範囲であれば、1種の有機基のみからなっていても、2種以上の有機基の混合物からなっていてもよい。また、1価の有機基と2価の有機基の混合物からなっていてもよい。中でも、有機基(D2)が上記構造式(12)で表される有機基のみからなることが最も好ましい。
【0048】本発明におけるヒンダードアミン化合物の有機基(F1)は、炭素数が5〜10の飽和のシクロアルキル基、及び炭素数が5〜10の飽和のシクロアルキレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価/及び又は2価の有機基である。有機基の炭素数が小さいとおのおのの基による効果が小さく、炭素数が大きいと基としての数が少なくなるため、結果として効果が小さくなり、加工後での充分な安定化効果が得られない。有機基(F1)としては、炭素数が5〜15の飽和のシクロアルキル基が特に好ましい。本発明におけるシクロアルキル基とは、複数の炭素原子が互いに共有結合して閉鎖した環を1個以上有する基を表す。シクロアルキル基において、2個以上の環が同一基内に存在する場合には、それぞれの環が幾つかの炭素原子を共有していてもよい。また、シクロアルキル基において、環を形成する炭素原子の数は3以上であればよいが、5又は6であることがより好ましい。環を形成する炭素原子は、置換基として炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有していてもよい。シクロアルキル基における置換基としてのアルキル基の数に特に制限はないが、炭素原子の総数として5〜10であることが必須である。シクロアルキル基は、炭素原子と水素原子のみから構成されていることが好ましい。シクロアルキル基は全て共有結合で構成され、二重結合や三重結合などの不飽和結合を含まないことが、安定化効果の面から好ましい。有機基(F1)は、全て同一の基でもよいし、2種以上の基からなっていてもよい。有機基(F1)の例として下記一般式(13)〜(22);
【0049】
【化22】

【0050】
【化23】

【0051】
【化24】

【0052】
【化25】

【0053】
【化26】

【0054】
【化27】

【0055】
【化28】

【0056】
【化29】

【0057】
【化30】

【0058】
【化31】

【0059】〔上記一般式(13)〜(22)において、Zは、水素原子、炭素数が1〜5である直鎖又は分岐の飽和のアルキル基、ヒンダードアミン化合物中の他の部位との結合部位のいずれかを表す。ただし、式中における総炭素原子数は10を超えることはなく、Zにおけるヒンダードアミン化合物中の他の部位との結合部位の数は、1若しくは2である。〕で表される基などを挙げることができる。中でも好ましいのは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基、デカヒドロナフチル基などであり、最も好ましいのはシクロヘキシル基、イソボルニル基である。
【0060】本発明のヒンダードアミン化合物は、有機基(D2)及び(F1)を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物である。該ヒンダードアミン化合物における有機基(D2)の重量分率と有機基(F1)の重量分率の和は、40〜70重量%の範囲であることが必要である。これより少ないと、安定化効果が小さくなり、安定剤として多量の添加を必要とするため経済的にも不利である。これより多いと、各種加工前の安定化効果は比較的向上するものの、各種加工後の安定化効果が失われてしまう。より好ましい範囲は、50〜60重量%の範囲である。加えて、有機基(F1)の重量分率に対する有機基(D2)の重量分率の比は、0.6〜3の間にあることが必要である。0.6よりも小さいと加工前の安定化効果が小さくなり、3よりも大きいと各種加工後の安定化効果が失われてしまう。より好ましい範囲は、1.0〜2.5の範囲である。有機基(D2)及び(F1)の重量分率は、各有機基の式量の合計について分子量に対する割合として表される。該ヒンダードアミン化合物が繰り返し単位を有する高分子化合物の場合には、繰り返し単位について計算することもできる。
【0061】本発明におけるヒンダードアミン化合物は、上記一般式(5)で表される群より選ばれる1種又は2種以上の重合性ヒンダードアミン化合物単量体成分(D3)と、上記一般式(6)で表される群より選ばれる1種又は2種以上の混合物の重合性単量体成分(F2)とを、必須成分として共重合して得られるヒンダードアミン化合物であり、成分(D3)及び成分(F2)の重量分率の和が80〜100重量%の間であること及び、成分(F2)の重量分率に対する成分(D3)の重量分率の比が、0.5〜2.3の間であることのいずれをも満たすことが必要である。各成分の重量分率は、各成分に由来する重量の合計の、該ヒンダードアミン化合物の重量に対する割合で表される。ヒンダードアミン化合物中の各成分の重量を求めることは、高分子の解析方法として公知の任意の方法を用いて行うことができる。
【0062】定量の例として、1H−NMRによる各成分の定量、中和滴定によるヒンダードアミン成分の定量、などが例としてあげられるがこれに限定されるものではない。また、ヒンダードアミン化合物からの定量が困難な場合には、各種成分の仕込みの重量%を代わりに用いることもできる。成分(D3)と成分(F2)の重量分率の和が、80重量%よりも小さいと、各種加工前後の安定性をバランスよく良好に発現させることができなくなる。より好ましいのは95〜100重量%の範囲である。また成分(F2)の重量分率に対する成分(D3)の重量分率の比が0.3よりも小さいと、加工前の安定化効果が小さくなり、安定化効果を充分に得ようとすると配合量を多くせざるを得ず、経済的にも不利となる。また2.3よりも大きいと、加工前の安定化効果は充分に得られるものの、各種加工後の安定化効果が得られなくなる。中でも、1.0〜1.6の範囲にあることが特に好ましい。
【0063】上記一般式(5)中のR3は水素原子又はメチル基であり、メチル基がより好ましい。R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜10のアルコキシ基のいずれかであり、中でも水素原子及びメチル基がさらに好ましく、水素原子が安定化効果の面から最も好ましい。上記一般式(5)中のX1は−O−基又は−NH−基であり、より好ましいのは−O−基である。重合性ヒンダードアミン化合物単量体成分(D3)は、上記一般式(5)で表される群より選ばれた1種又は2種以上の混合物であり、R3、R4、X1のそれぞれが異なる基で混在していても、それぞれが全て単一の基であってもよい。最も好ましい組合せとしては、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、X1が−O−基である場合である。重合性ヒンダードアミン化合物単量体成分(D3)の好ましい例として、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−メタクリルアミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−メタクリルアミド、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アクリルアミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−アクリルアミドが挙げられる。中でも特に好ましいのは、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレートである。最も好ましいのは、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートである。成分(D3)としては、上記のとおり規定された化合物の範囲にある化合物を任意の組成比で混合して用いることができる。中でも、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートのみを用いることが好ましい。
【0064】上記一般式(6)中のR5は、水素原子又はメチル基であり、メチル基がより好ましい。R6は、炭素数が5〜10の飽和のシクロアルキル基及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の1価の有機基である。有機基の炭素数が小さいとおのおのの基による効果が小さく、炭素数が大きいと基としての数が少なくなるため、結果として効果が小さくなり、加工後での充分な安定化効果が得られない。本発明におけるシクロアルキル基とは、複数の炭素原子が互いに共有結合して閉鎖した環を1個以上有する基を表す。シクロアルキル基において、2個以上の環が同一基内に存在する場合には、それぞれの環が幾つかの炭素原子を共有していてもよい。また、R6において、環を形成する炭素原子の数は3以上であればよいが、5又は6であることがより好ましい。環を形成する炭素原子は、置換基として炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有していてもよい。シクロアルキル基における置換基としてのアルキル基の数に特に制限はないが、炭素原子の総数として5〜10であることが必須である。シクロアルキル基は、炭素原子と水素原子のみで構成されていることが好ましい。シクロアルキル基は全て共有結合で構成され、二重結合や三重結合などの不飽和結合を含まないことが、安定化効果の面から好ましい。R6におけるX2との結合部位は、シクロアルキル基上の炭素原子でも、シクロアルキル基の置換基として存在するアルキル基のいずれでもよい。R6の具体的な例として前記した一般式(13)〜(22)で表される基などを挙げることができる。中でも好ましい基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、デカヒドロナフチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基などが挙げられる。最も好ましいのはシクロヘキシル基、イソボルニル基である。上記一般式(6)中のY1は−O−基又は−NH−基であり、より好ましいのは−O−基である。重合性単量体成分(F2)は、上記一般式(6)で表される群より選ばれた1種又は2種以上の混合物であり、R5、R6、Y1のそれぞれが、異なる基で混在していても、又は全て単一の基であってもよい。最も好ましい組合せとしては、R5がメチル基であり、R6がシクロヘキシル基であり、Y1が−O−基である場合である。重合性単量体成分(F2)としての好ましい例として、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、シクロノニルメタクリレート、シクロデシルメタクリレート、デカヒドロナフチルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロノニルアクリレート、シクロデシルアクリレート、デカヒドロナフチルアクリレート、ノルボルニルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、N−シクロペンチル−メタクリルアミド、N−シクロヘキシル−メタクリルアミド、N−シクロヘプチル−メタクリルアミド、N−シクロオクチル−メタクリルアミド、N−シクロノニル−メタクリルアミド、N−シクロデシル−メタクリルアミド、N−デカヒドロナフチル−メタクリルアミド、N−ノルボルニル−メタクリルアミド、N−ボルニル−メタクリルアミド、N−イソボルニル−メタクリルアミド、N−シクロペンチル−アクリルアミド、N−シクロヘキシル−アクリルアミド、N−シクロヘプチル−アクリルアミド、N−シクロオクチル−アクリルアミド、ノルボルニルメタクリレート、ノルボルニルアクリレート、N−ノルボルニル−メタクリルアミド、N−ノルボルニル−アクリルアミド、N−シクロノニル−アクリルアミド、N−シクロデシル−アクリルアミド、N−デカヒドロナフチル−アクリルアミド、N−ノルボルニル−アクリルアミド、N−ボルニル−アクリルアミド、N−イソボルニル−アクリルアミドが挙げられる。特に好ましい例としては、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、が挙げられ、最も好ましい例はシクロヘキシルメタクリレートである。
【0065】本発明において、重合性ヒンダードアミン化合物単量体成分(D3)と、重合性単量体成分(F2)の、最も好ましい組合せは、それぞれ、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートである。
【0066】各成分の重量分率は、各成分に由来する重量の合計の、該ヒンダードアミン化合物の重量に対する割合で表される。ヒンダードアミン化合物中の各成分の重量を求めることは、高分子の解析方法として公知の任意の方法を用いて行うことができる。定量の例として、1H−NMRによる各成分の定量、中和滴定によるヒンダードアミン成分の定量、などが例として挙げられるがこれに限定されるものではない。また、ヒンダードアミン化合物からの定量が困難な場合には、各種成分の仕込みの重量%を代わりに用いることもできる。
【0067】本発明のヒンダードアミン化合物は、上記に示したような化合物を原料として合成することができる。本発明の範囲内であれば、効果を損なわない範囲内で、本発明の範囲外である任意の公知の重合性単量体も同時に共重合してもよい。また、必要に応じて公知の連鎖調節剤を重合反応の際に添加してもよい。重合反応は、公知の任意の方法で行うことができるが、中でもラジカル重合法が好ましく、さらには、簡便であり反応を制御しやすいことから、溶媒中で原料をラジカル重合開始剤の存在下で反応させる溶液重合法が好ましい。用いる重合溶媒は、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、などの炭化水素系溶媒や、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどのアミド系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系溶媒などの、ラジカルと反応を起こさず重合性単量体と共重合物を溶解する溶媒であれば、任意の溶媒が使用できる。
【0068】用いる重合開始剤としては、任意の公知の重合開始剤として用いられているものが使用できる。中でも、2,2’−アゾビス(2−ジアミノプロパン)二塩酸塩、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)メチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などのアゾ系重合開始剤などが好ましい。重合仕込み時の重合性単量体濃度は、特に限定されないが、20〜70重量%の間にあることが好ましい。反応の進行に伴って随時溶媒を追加していくこともできる。重合開始剤の添加量は、目的の重合度に応じて自由に変えることができる。特に限定されないが、重合性単量体に対して0.01〜2重量%の範囲が適当である。重合開始剤はそのまま系に加えても、重合溶媒に溶解して加えてもよい。また、一度に加えても何回かに分割して加えてもよい。また必要に応じて公知の連鎖調節剤を加えてもよい。
【0069】反応温度は特に限定されないが、50〜100℃が好ましい。反応時間は特に限定されないが1〜24時間であることが好ましい。重合体組成物における未反応重合性単量体の量は特に限定されるものではないが、重合体重量に対して20重量%以下であることが望ましい。ヒンダードアミン化合物中における未反応重合性単量体の量が多すぎると、重合性単量体そのものが劣化の原因となり安定化効果が損なわれる場合がある。得られた共重合体は、溶液としてそのまま用いることもできるし、若しくは再沈、溶媒の溜去、カラムクロマトグラフィーなどの任意の方法によって精製してから用いることもできる。本発明におけるヒンダードアミン化合物の分子量は、特に制限されるものではないが1000〜500000の間であることが好ましい。1000より小さいと、樹脂中での移動性が大きくなり、ブリードアウトを起こす恐れがある。500000よりも大きいと、樹脂の物性に悪影響を及ぼす可能性があり、分子量が小さい場合に比べて、安定化効果が劣る恐れがある。さらに好ましい分子量の範囲は、2000〜200000の間である。用途や目的に応じて適当な分子量のものを用いることができる。分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、光散乱法、浸透圧法など、公知の方法によって測定することができる。
【0070】本発明におけるヒンダードアミン化合物は、ヒンダードアミノ基の全部又は一部が、有機カルボン酸、炭酸ガス、リン酸化合物、リン酸エステル化合物、亜リン酸化合物、亜リン酸エステル化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物と、塩を形成していてもよい。ヒンダードアミン化合物のヒンダードアミノ基の全部又は一部を、上記化合物と塩を形成させることで、ヒンダードアミン化合物が本来有する安定化効果を損なうことなく、ヒンダードアミン化合物の塩基性度や溶解性などを調整することができる。
【0071】有機カルボン酸としては、炭素数1〜10の有機カルボン酸が好ましく、飽和のカルボン酸であることが好ましい。また、ポリカルボン酸よりもモノカルボン酸が好ましい。具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、アセト酢酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、ナフト酢酸、フェニル酢酸などを挙げることができる。
【0072】リン酸化合物とは、リン酸及びリン酸とアミン、金属イオンなどの塩基化合物との塩を表す。亜リン酸化合物とは、亜リン酸及び亜リン酸とアミン、金属イオンなどの塩基化合物との塩を表す。リン酸エステル化合物としては、リン酸モノエステル化合物又はジエステル化合物が好ましいが、高分子化合物であって一部がリン酸モノエステル又はジエステル構造を有しているような化合物であってもよい。亜リン酸エステル化合物としては、亜リン酸モノエステル化合物又はジエステル化合物が好ましいが、高分子化合物であって一部が亜リン酸モノエステル又はジエステル構造を有しているような化合物であってもよい。リン酸エステル化合物及び亜リン酸エステル化合物は、部分的にアミン、金属イオンなどの塩基化合物との塩であってもよい。
【0073】本発明のヒンダードアミン化合物の配合時期は紡糸工程までであれば特に限定されるものではなく、樹脂あるいは繊維となる樹脂の重合反応に影響を及ぼさない場合には、原料に配合しておくこともできる。樹脂あるいは繊維となる樹脂の重合が完結した後に配合することもできる。樹脂の重合終了後から成形前までの間に配合することが好ましい。また、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などの酸化防止剤や、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤や、ジヒドラジド誘導体系金属不活性化剤、シュウ酸誘導体系金属不活性化剤などの金属不活性化剤や、ステアリン酸マグネシウム、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粘着防止剤、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、硅酸マグネシウム、硅酸カルシウムなどの無機微粒子や、難燃剤や、防黴剤など公知の添加剤と混合して添加することもできる。繊維に対して配合する際、溶融方式で紡糸する場合には、本発明のヒンダードアミン化合物を原料レジンに溶融混練することで配合することができる。湿式又は乾式で紡糸する場合には、紡糸原液に本発明のヒンダードアミン化合物を単体若しくは溶液として混合することで配合することができる。紡糸の際に使用する紡糸装置や紡糸条件は、特に限定されるものではなく、樹脂の組成、用途、目的、糸物性などによって公知の任意の方法を選択することができる。本発明のヒンダードアミン化合物は、特に繊維、中でもポリウレタン繊維の安定化剤として適している。さらにはポリウレタン繊維の中でも、ポリウレタン溶液から乾式紡糸法や湿式紡糸法によって製造されるポリウレタン繊維に特に適している。
【0074】本発明のヒンダードアミン化合物は、樹脂や繊維の種類や用途に応じて、安定化作用を充分に発現するような量を配合することができる。特に限定されるものではないが、繊維重量に対して0.05〜10重量%であることが好ましい。ポリウレタン繊維の場合では、特に0.5〜5重量%の間であることが特に好ましい。
【0075】ポリウレタン弾性糸には、本発明のヒンダードアミン化合物以外にフェノール系酸化防止剤及び亜リン酸エステル系酸化防止剤を配合することが好ましい。フェノール系酸化防止剤を配合すると、光や紡糸・加工時の熱などに対する耐久性が向上する。亜リン酸エステル系酸化防止剤を配合すると、耐NOx黄変性をさらに向上することができる。
【0076】ポリウレタン組成物を構成するポリウレタン以外の構成物は(a)フェノール系酸化防止剤、(b)亜リン酸エステル系酸化防止剤、(c)ヒンダードアミン化合物の他に、平滑剤、紫外線吸収剤などの安定剤、顔料、帯電防止剤、表面処理剤、難燃剤、補強剤および塩素劣化防止剤などを挙げることが出来る。中でも耐光性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤を配合することが好ましい。紫外線吸収剤としては公知の任意の化合物を必要な量を必要に応じて使用することができる。
【0077】フェノール系酸化防止剤は、公知の任意のフェノール系酸化防止剤を用いることができる。溶剤への溶解性や、ポリウレタンとの相溶性などを考慮して、適当な化合物を選ぶことが出来る。フェノール系酸化防止剤の例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート],オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−sec−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1.3.5−トリス(4−ネオペンチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキスベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N‘−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N‘−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、p−クロロメチルスチレンとP−クレゾールの重縮合物、p−クロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの重縮合物、p−クレゾールとジビニルベンゼン重縮合物のイソブチレン反応物などが挙げられる。中でも1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(sec−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−ネオペンチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸が特に好ましく、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸が最も好ましい。
【0078】フェノール系酸化防止剤は、実際の使用において劣化を充分に抑制出来るような量をポリウレタンに配合して用いることができる。また2種以上のフェノール系酸化防止剤を併用しても良い。フェノール系酸化防止剤の配合量は、ポリウレタンに対して 0.1〜2重量%の間にあることが好ましい。
【0079】亜リン酸エステル系酸化防止剤としては、任意の公知の化合物を用いることが出来る。溶剤への溶解性やポリウレタンとの相溶性などを考慮して、適当な化合物を選ぶことができる。亜リン酸エステル系酸化防止剤の例としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4‘−ビフェニレンフォスフォナイト、トリスノニフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリストリール・ジホスファイト、ジ(2.4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリール・ジホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4‘−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライル(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/あるいはジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトースジホスファイト、2,2‘−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリアウリトール・ジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトール ホスファイトポリマー、水添ビスフェノールA・ホスファイトポリマー、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4‘−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトなどが挙げられる。中でも水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホスファイトポリマーが好ましい。亜リン酸エステル系酸化防止剤は、実際の使用において劣化を充分に抑制出来るような量をポリウレタンに配合して用いることが出来る。
【0080】また、2種類以上の亜リン酸系酸化防止剤を併用してもよい。亜リン酸エステル系酸化防止剤の配合量は ポリウレタンに対して0.1〜2重量%の間にあることが好ましい。
【0081】本発明で用いられる複合手段としては、弾性糸を2〜4倍のドラフトをかけて供給し、非弾性繊維と複合する手段であり、弾性糸の周囲に非弾性繊維を捲きつけるいわゆるカバリングや、引き揃え後に加撚するなどの合撚による方法、弾性糸と非弾性繊維を空気等の流体によって相互の位置を変更して間欠的に絡み合いを形成させる交絡による方法、電気等の手段により非弾性繊維を開繊し、弾性糸の周辺に配置させる混繊による方法、さらには弾性糸の周囲に粗糸を配した後、加撚する複合紡績による方法などである。
【0082】本発明で用いられる非弾性繊維はポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維、および再生繊維類、半合成繊維類である。
【0083】本発明で用いられるポリエステル系繊維とは、当業者に知られている ポリエステル系繊維のことであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが代表的な例として挙げることが出来る。
【0084】本発明で用いられるポリアミド系繊維とは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、およびこれらのカチオン可染型変成物やポリアミド/エステル複合繊維であり、任意の繊度、断面形状のものが使用出来る。
【0085】更に本発明に使用される再生繊維類とは、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等であり、半合成繊維類はセルロース、プロミックス繊維等である。さらにPBZ、ポリイミドなどの高弾性繊維等も選ぶことができる。
【0086】さらにこれらの繊維類を混合した、例えばナイロン/エステル長繊維の複合糸なども非弾性繊維として用いる事が可能であり、任意の繊度を選ぶことが出来る。
【0087】本発明で対象とする複合弾性糸を用いて前記の各種用途に用いるに際しては、複合弾性糸のみで織物や編物用として供することができるほか、弾性糸および/または非弾性糸と交織や交編することによっても使用可能である。
【0088】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明がこれら実施例によって限定されるものでは無い。本発明で用いた評価方法を以下に示す。
【0089】(ヒンダードアミン化合物の酸性溶液への溶解度測定)ヒンダードアミン化合物溶液を純水中に滴下してヒンダードアミン化合物を再沈澱させた。沈澱物を濾過し、80℃で12時間真空乾燥し、ヒンダードアミン化合物を得た。得られたヒンダードアミン化合物は、それぞれ本文中に記載の方法に従って酸性溶液への溶解度を測定した。滴定用の溶媒としてはメタノールを用いた。
【0090】(NOx変色性試験)約1gの評価用編地を、パーミエーターPD−1−B(株式会社ガステック)を用いて発生させた200ppmのNO2を含む乾燥した空気を500ml/分の流量で連続して流した密閉した容器中で1.5時間暴露させる。暴露後、JIS−L0855に記載の緩衝尿素溶液、ついで純水で充分に洗浄し、窒素気流下で24時間乾燥させ、カラーメーターTC1500MC−88(東京電色株式会社)を用いて、HunterのLab表色系におけるb値を8枚重ねの評価用編地について測定する。変色性(△b)を下記の数式(9)によって求めた。
△b=NOx処理後のb値−NOx処理前のb値 (数式9)
bの値が小さいほど変色が小さく、優れていることを示す。
【0091】(実施合成例);ヒンダードアミン化合物の合成温度計、攪拌装置、窒素導入管、及び還流冷却管を取り付けた500ccの枝付きフラスコに2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87/旭電化工業株式会社)60部、シクロヘキシルメタクリレート40部、及びN,N´−ジメチルアセトアミド213部を取り、攪拌して溶解した。フラスコをオイルバス中で窒素をバブリングしながら60℃まで攪拌しながら加熱した。
【0092】60℃に達した後、4,4−アゾイソブチロニトリル(AIBN)0.8部を加えた。そのまま攪拌しながら60℃に保ち反応させた。AIBNを最初に添加してから5時間後、AIBN0.2部を更に加えた。さらに反応を60℃で15時間続けた後、室温まで冷却して反応を終了したヒンダードアミン化合物溶液を得た。円錐角3°、半径14mmのローターを用い、30℃でE型粘度計で測定した溶液粘度は15poiseであった。溶液中の未反応重合性単量体をガスクロマトグラフィーにより定量したところ、仕込んだ重合性単量体の重量に対して4重量%であった。テトラヒドロフランを溶媒に屈折率計を検出器としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は2700であった。得られたヒンダードアミン化合物の 1H−NMRスペクトルをDMSO−d6 とCDCl3 の1:1混合物を溶媒として50℃で測定したところ、ピペリジル基のメチン炭素のプロトンとシクロヘキシル基のメチン炭素のプロトンはそれぞれ、5.0,4 .6ppmに検出され、積分比は52:48であった。この積分比が、ヒンダードアミン化合物中での、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート由来の単位とシクロヘキシルメタクリレート由来の単位のmol比であると考えられることから、それぞれの重量分率は、60,40重量%であると計算され、仕込み量から求められる値と一致した。
【0093】このヒンダードアミン化合物の特性値を表1に示す。
【0094】(比較合成例)重合性単量体として 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートを80部、及びシクロヘキシルメタクリレート20部を用いたことの他は全て実施合成例と同様にしてヒンダードアミン化合物を得た。このヒンダードアミン化合物の特性値を表1に示す。
【0095】(ポリウレタン弾性糸の実施製造例1)数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコール175.37部と、4、4―ジフェニルメタンジイソシアネート38.92部を、N2気流下80℃で3時間反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを得た。プレポリマーを40℃まで冷却した後、N,N‘−ジメチルアセトアミド308.36部を加えて溶解し。更に10℃まで冷却した。エチレンジアミン3.58部と、ジエチルアミン0.46部をN,N´−ジメチルアセトアミド146.86部に溶解した溶液を、高速攪拌しているプレポリマー溶液に一度に加え混合し反応を完結させた。この溶液の30℃における粘度が2000poiseだった。この溶液に、上記実施合成例で得られたヒンダードアミン溶液13.42部、酸化防止剤として1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2.6−ジメチルベンジルイソシアヌレート) (サイアノックス1790/日本サイアナミド)2.15部、紫外線吸収剤として、2−[2−ヒドロキシ−(3,5−ジ−t−アミル)フェニル]ベンゾトリアゾール(KEMISORB74/ケミプロ化成株式会社)1.08部、及び粘着防止剤としてステアリン酸マグネシウム0.69部を加えて、攪拌混合してポリウレタン溶液を得た。該ポリウレタン溶液を脱泡後 細孔径の口金から230℃に加熱した空気を流した紡糸筒内に押し出し、繊維状とする所謂乾式紡糸にてポリウレタン弾性糸を得た。
【0096】(ポリウレタン弾性糸の製造例2)ポリウレタン弾性糸の実施製造例1における紡糸原液に、亜リン酸エステル系酸化防止剤として、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー(JPH−3800/城北化学工業株式会社)2.15部をさらに配合する他は、製造例1と同様にしてポリウレタン弾性糸を得た。
【0097】(ポリウレタン弾性糸の製造比較例)ヒンダードアミン化合物として、実施合成例で得られたヒンダードアミン化合物13.42部の代りに、比較合成例で得られたヒンダードアミン化合物を用いた他は、全て上記ポリウレタン弾性糸の実施製造例1と同様にして ポリウレタン弾性糸を得た。
【0098】(実施例1)上記実施製造例1によって得られたポリウレタン弾性糸78デシテックスの糸を3.5倍に延伸しながら30番の綿糸2本と合撚して、約14番手の複合弾性糸を得た。該複合弾性糸を用いて筒編を作成し、これを当業者が知る通常の染色仕上げ条件で加工し、評価用編地とした。
【0099】(実施例2)上記実施例1と同様の方法でポリウレタン弾性糸33デシテックスの糸を得、該弾性糸を3.5倍に伸張させながら33デシテックス−10フィラメントのナイロン6仮撚糸を撚数700T/mで巻き付け、複合弾性糸(シングルカバリング糸)を得た。実施例1と同様の方法で該複合弾性糸を用いて筒編を作成し、これを当業者が知る通常の染色仕上げ条件で加工し、評価用編地とした。
【0100】(比較例1〜2)上記比較製造例によって得られたポリウレタン弾性糸を使用する他は、全て実施例1〜2と同様な糸の組合わせ、織機にて製織され染色仕上加工により実施例1〜2と同じ性量で得られた生地を用い、実施例と同様にしてストレッチパンツを作製した。実施例1〜2、比較例1〜2のストレッチパンツを用い、前述のNOx変色性試験を行ない、NOx処理前後のb値を測定し、変色性△b値を比較した。その結果を表2に示す。実施例の△b値が比較例の△b値よりも小さく、変色し難く安定している。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【発明の効果】本発明の複合弾性糸は、窒素酸化物(NOx)による変色劣化に対して充分に安定化されており、染色仕上加工の如き二次加工を経た後でも、良好な安定化効果が保持される。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成12年6月14日(2000.6.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−355138(P2001−355138A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−178547(P2000−178547)