トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り

【発明の名称】 仮撚被覆弾性糸の製造方法
【発明者】 【氏名】木村 俊彦
【氏名】梅田 和生
【氏名】高橋 徹
【氏名】三木 芳幸
【氏名】井上 啓
【課題】鞘部のポリアミドマルチフィラメント仮撚糸の総糸繊度を低減しながら被覆性を良好にし、編地にしたとき美しい外観、高度のソフト感、フィット性が得られる仮撚被覆弾性糸の製造方法を提供する。

【解決手段】仮撚加工後の繊度が3.75〜15dtexになるポリウレタン弾性糸を芯部用原糸としてドラフトしながら解舒し、該ポリウレタン弾性糸に、仮撚加工後の単繊維繊度が1.7dtex以下で、総糸繊度が15〜55dtexになるフィラメント数10〜40本のポリアミドマルチフィラメント糸を鞘部用原糸として芯鞘状に引き揃え、該引き揃えた両糸を仮撚張力比(解撚張力/加撚張力)1.1〜3.5、熱セット時間0.1〜0.6秒で仮撚加工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 仮撚加工後の繊度が3.75〜15dtexになるポリウレタン弾性糸を芯部用原糸としてドラフトしながら解舒し、該ポリウレタン弾性糸に、仮撚加工後の単繊維繊度が1.7dtex以下で、総糸繊度が15〜55dtexになるフィラメント数10〜40本のポリアミドマルチフィラメント糸を鞘部用原糸として芯鞘状に引き揃え、該引き揃えた両糸を仮撚張力比(解撚張力/加撚張力)1.1〜3.5、熱セット時間0.1〜0.6秒で仮撚加工する仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【請求項2】 前記仮撚加工を2軸式摩擦仮撚具によって行う請求項1に記載の仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【請求項3】 前記ポリウレタン弾性糸のドラフトを2段階以上に分けて行い、その2段目以降のドラフト中のポリウレタン弾性糸に前記ポリアミドマルチフィラメント糸の引き揃えを行う請求項1又は2に記載の仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【請求項4】 前記仮撚加工後に追撚又は交絡を施す請求項1,2又は3に記載の仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は仮撚被覆弾性糸の製造方法に関し、さらに詳しくは、特にパンティストッキングやタイツ用に使用するとき優れたソフトな風合やソフトなフィット性を与えることができる仮撚被覆弾性糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特公平3−10739号公報(特許第165949号)は、ポリウレタン弾性糸を芯糸にし、その周囲を単繊維繊度1.5d(1.7dtex)以下、総糸繊度50〜70d(56〜78dtex)、フィラメント数40〜68本のポリアミドマルチフィラメント仮撚糸を鞘糸として被覆するようにした仮撚被覆弾性糸を提案している。この仮撚被覆弾性糸は、パンティストッキング、タイツ、ソックス、インナーなどの編地にすると、その編地にソフトな風合やソフトなフィット性(パワー)を与えることができるものであった。
【0003】しかし、近年、需要者の嗜好が多様化するにつれ、さらに高度なソフト感を有するタイツやパンティストッキングが強く要望されるようになっている。このような高いソフト感を可能にする仮撚被覆弾性糸を得る対策としては、鞘部のポリアミドマルチフィラメント仮撚糸の総糸繊度を低減する方法がある。しかしながら、ポリアミドマルチフィラメント仮撚糸の総糸繊度を単に56dtexよりも小さくしただけで、フィラメント数が40〜68本の多い状態のままであると被覆性不良を生じ、芯糸が部分的に鞘糸の表面に露出する所謂「目むき」を発生するようになる。
【0004】この目むきが生じた被覆弾性糸を使って編地にすると、芯糸のポリウレタン弾性糸が染色されにくい特性を有しているため、編地全体が白っぽく見える「しらけ」を生ずるようになる。例えば、上記のような被覆弾性糸から編成した黒色のタイツを着用し膝を曲げたとき、その膝部が丸く灰色に見えるようになるという問題があり、着用時の外観を美しく見せられなくなる欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述した問題を解消し、鞘部のポリアミドマルチフィラメント仮撚糸の総糸繊度を低減しながら被覆性を良好にし、編地にしたとき美しい外観を呈するようにすると共に、高度のソフト感やフィット性が得られるようにする仮撚被覆弾性糸の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の仮撚被覆弾性糸の製造方法は、仮撚加工後の繊度が3.75〜15dtexになるポリウレタン弾性糸を芯部用原糸としてドラフトしながら解舒し、該ポリウレタン弾性糸に、仮撚加工後の単繊維繊度が1.7dtex以下で、総糸繊度が15〜55dtexになるフィラメント数10〜40本のポリアミドマルチフィラメント糸を鞘部用原糸として芯鞘状に引き揃え、該引き揃えた両糸を仮撚張力比(解撚張力/加撚張力)1.1〜3.5、熱セット時間0.1〜0.6秒で仮撚加工することを特徴とするものである。
【0007】このように仮撚加工後の仮撚被覆弾性糸の鞘糸を単繊維繊度を1.7dtex以下、総糸繊度を15〜55dtexに低減したことにより、編地にしたときのソフト感を一層向上することができる。
【0008】また、鞘糸の総糸繊度とフィラメント数を低減した上に、仮撚加工時の仮撚張力比(解撚張力/加撚張力)を高くし、熱セット時間を短縮したことの総合作用により残留トルクヨリ数を増加させ、かつ芯糸側面に多数の鱗片状圧痕を形成して鞘糸を絡みやすくするため、これらによって被覆性が一層向上し、目むきの発生を低減することができる。
【0009】さらに仮撚加工時の熱セット時間を0.1〜0.6秒に短縮したことにより、鞘糸を芯糸に融着させないため仮撚被覆弾性糸のストレッチ率を向上することことができる。また、鞘糸を芯糸に融着させないことによりストレッチ後の回復率を向上させ、ストレッチパワーを下げることなく上記ソフトなフィット性を高めることができる。
【0010】また、本発明において、上記のように高い仮撚張力比の仮撚加工を2軸式摩擦仮撚具によって行い、かつポリウレタン弾性糸のドラフトを2段階以上に分けて行うことにより、上記のようにして得られる仮撚被覆弾性糸の被覆性、残留トルクヨリ数、ストレッチ率のバラツキを抑えて均一化するため、着用時の編地外観を美しくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、仮撚加工後の仮撚被覆弾性糸におけるポリウレタン弾性糸およびポリアミドマルチフィラメント仮撚糸の繊度とは、次の方法により測定されたものをいう。
【0012】仮撚被覆弾性糸に13.7cNの荷重を吊るして1mの試長を採取する。この試長の仮撚被覆弾性糸の重さを測定する共に、その測定値をdtexに換算して総糸繊度とする。次いで、この試長の仮撚被覆弾性糸を芯糸(ポリウレタン弾性糸)と鞘糸(ポリアミドマルチフィラメント仮撚糸)とに分繊し、その鞘糸の重さを測定すると共に、その測定値をdtexに換算して鞘糸の繊度とする。芯糸繊度は、(総糸繊度−鞘糸繊度)から算出するものとする。
【0013】この測定方法により得られる繊度の特徴は、鞘糸の繊度は表示繊度に近いものになるが、芯糸の繊度は元糸よりも細くなることである。
【0014】図1は、本発明の仮撚被覆弾性糸の製造方法を実施する工程の一例を示す。
【0015】1は芯部用原糸のポリウレタン弾性糸A’が巻かれたパッケージであり、一対の転動ローラ3,3に回転自在に支持されている。このポリウレタン弾性糸A’には、仮撚加工後に繊度が3.75〜15dtexの範囲になる原糸が使用される。また、2は鞘部用原糸のポリアミドマルチフィラメント糸B’が巻かれたボビンである。このポリアミドマルチフィラメント糸B’には、仮撚加工後に単繊維繊度が1.7dtex以下で、総糸繊度が15〜55dtexになるようにしたフィラメント数10〜40本の原糸が使用される。
【0016】上記パッケージ1からポリウレタン弾性糸A’が第1供給ローラ4と第2供給ローラ5の作用により2段階に分けてドラフトされながら解舒される。第1段目のドラフトは一対の転動ローラ3,3と第1供給ローラ4との間で受け、第2段目のドラフトは第1供給ローラ4とそれより周速度の速い第2供給ローラ5との間で受ける。他方、ボビン2からポリアミドマルチフィラメント糸B’が第2供給ローラ5により解舒され、集束ガイド6において上記ポリウレタン弾性糸A’の周囲を包み込むように芯鞘状に引き揃えられる。
【0017】次いで、集束ガイド6で芯鞘状に引き揃えられたポリウレタン弾性糸A’とポリアミドマルチフィラメント糸B’は、第2供給ローラ5と引取ローラ7との間の仮撚加工域に送られる。引取ローラ7は第2供給ローラ5よりも速い周速度で回転し、仮撚加工域を緊張状態で走行しながら摩擦仮撚具9により加撚され、ヒータ9で熱セット・冷却後に摩擦仮撚具9を経て解撚されることにより仮撚被覆弾性糸Yが形成される。得られた仮撚被覆弾性糸Yは、図2に示すように、ポリウレタン弾性糸からなる芯糸Aを、ポリアミドマルチフィラメント糸からなる鞘糸Bが撚回・反転しながら実質的無撚で被覆した無撚被覆構造になっている。
【0018】引取ローラ7から出た仮撚被覆弾性糸Yは、引取ローラ7と弛緩ローラ10との間で弛緩条件下に交絡ノズル11で圧空により交絡処理されたのちチーズ12に巻き上げられる。または、仮撚被覆弾性糸Yは交絡処理することなく、引取ローラ7から直接チーズ13に巻き上げるようにしてもよい。或いは、引取ローラ7から直接チーズ13に巻き上げ後に追撚を施すようにしてもよい。
【0019】本発明の仮撚被覆弾性糸の製造方法は、上記のような仮撚加工工程において、仮撚加工域において摩擦仮撚具9の加撚側の加撚張力に対する解撚側の解撚張力の比で定義される仮撚張力比(解撚張力/加撚張力)を1.1〜3.5に設定すると共に、仮撚セット時間を0.1〜0.6秒に設定することを必須とするものである。
【0020】本発明では、ソフト性を向上するために仮撚加工後の鞘糸の総糸繊度が15〜55dtexになるようにした原糸を使用するが、そのフィラメント数を10〜40本の範囲に低くし、仮撚加工時の仮撚張力比を1.1〜3.5に高くし、かつ熱セット時間を0.1〜0.6秒の短時間にしたことにより、残留トルクヨリ数を増加させ、その結果として鞘糸による芯糸に対する被覆性を向上し、目むきの発生を抑制することができる。また、熱セット時間が短時間であるため、芯糸のポリウレタン弾性糸を必要以上に熱劣化させず、かつ鞘糸が芯糸に融着しないことの相乗効果により、高いストレッチ率を得ることができる。
【0021】仮撚張力比の設計は、摩擦仮撚具におけるツイスターのディスク径、厚さ、材質、表面仕上げ、組み合わせ枚数、ディスク間隔、軸数などの組立構成により決めることができる。摩擦仮撚具には、2軸式、3軸式、ベルトニップ式、スピンドル式など多くの種類が存在するが、上記のように仮撚張力比を1.1〜3.5の高い範囲に設定するには、2軸式摩擦仮撚具が最適である。
【0022】スピンドル式摩擦仮撚具は、仮撚張力比を1.0以上にすることは容易であるが、ペッグと呼ばれる細いピンに巻き付けるため仮撚加工中にコアー切れしたり、被覆不良を起こしたりしやすい。ベルトニップ式摩擦仮撚具や3軸摩擦式摩擦仮撚具では仮撚張力比を1.0以上に調整することが極めて難しく、糸加工性が不安定になりやすい。
【0023】仮撚セット時間は0.1〜0.6秒の短時間にして熱セットを行うことで、芯糸のポリウレタン弾性糸に必要以上の熱劣化を与えず、かつ鞘糸のポリアミドマルチフィラメント糸が芯糸に融着しないようにする。仮撚セット時間が0.6秒よりも長くなると、鞘糸が芯糸に融着したり、芯糸を脆化させたりしてストレッチ率を低下させる原因になる。また、0.1秒未満では、受熱時間が短いため充分な仮撚加工が行われず、仮撚被覆弾性糸を形成しにくくなる。
【0024】また、上記のように仮撚撚張力比を高くすることにより、鞘糸による芯糸に対する側圧を高め、図3に示すように、芯糸Aの側面に斜線状圧痕Cや鱗片状圧痕Dを発生させ、これら圧痕変形を利用して鞘糸を芯糸に絡みやすくするため、互いが融着することなく被覆性を高めることができる。このように鞘糸が芯糸に融着せずに上記のようにストレッチ率が高いため、ストレッチパワーを下げることなくフィット性を高めることができる。
【0025】また、本発明の仮撚加工では、ポリウレタン弾性糸の解舒を2段階以上に分けてドラフトしながら行うようにし、かつ前述したように2軸式摩擦仮撚具を使用して高仮撚張力比を採用するようにするとよい。このようにポリウレタン弾性糸解舒時のドラフトを2段階以上に分けることで給糸張力を安定化させ、その給糸張力が安定したポリウレタン弾性糸にポリアミドマルチフィラメント糸を引き揃え、2軸式摩擦仮撚具を使用し高仮撚張力比で仮撚加工を行うようにすると、仮撚加工張力が安定し、得られた仮撚被覆弾性糸の糸筋を均一にすることができる。また、上述のようにして得られた高い残留トルクヨリ数やストレッチ率のバラツキも抑制され、編物にしたとき目むき、筋ムラ、しらけなどが著しく少ない高品位にすることができる。
【0026】このようにポリウレタン弾性糸の解舒張力(給糸張力)を多段ドラフトで均一化する場合のドラフト倍率としては、1段目はポリウレタン弾性糸の解舒張力変動を吸収するため低目にし、2段目以降を仮撚加工に必要なドラフト倍率に設定することが好ましい。具体的なドラフト倍率の設定例として、1段目を1.0〜2.0倍、2段目を1.5〜4.0倍にするとよい。
【0027】また、仮撚加工後の仮撚被覆弾性糸は、チーズに巻き取る前に軽く交絡処理すると被覆性がさらに向上し、高次加工における工程通過性を良好にすることができる。ただし、交絡処理を強く施すと、製品の編面がピンホール状のムラになりやすいので留意する必要がある。
【0028】交絡処理の代わりに追撚を施してもよい。追撚の場合は、仮撚被覆弾性糸の持つソフトな風合を損なわずに被覆性を向上することができ、高次加工における工程通過性を良好にするだけでなく、タイツやパンティストッキングなどの目むきをほぼ解決することができる。追撚の方向としては、S,Zのいずれであってもよいが、一般的には仮撚加工の加撚方向と同方向にした方が、集束性や被覆性の効果が良好である。しかし、逆方向であっても、嵩高性やソフト性を付与することができるので、用途により使い分けることが好ましい。
【0029】追撚する場合の追撚数としては、仮撚被覆弾性糸の繊度によって異なるが、繊度が10〜50dtexの場合は200〜700T/m、50〜100dtexの場合は50〜300T/m、100〜200dtexの場合は30〜150T/mにすることが好ましい。
【0030】本発明の製造方法により得られる仮撚被覆弾性糸は、衣料用途であれば特に限定されないが、特にパンティストッキング、タイツ、ソックス、ボディスーツ等の編物に好適に使用することができる。
【0031】
【実施例】以下に説明する実施例および比較例において使用する「残留トルクヨリ数」、「目むき度」、「ストレッチ率」、「CV率」は、以下の測定法により測定したものである。
【0032】〔目むき度〕試料糸に13.7cNの荷重を吊し、糸長方向に30cm間隔の印をつけたのち荷重を外して12cm弛緩させ、該30cm間隔の長さを18cmの試料長さにする。再度13.7cNの荷重を吊して30cmまで伸長させ、この操作を4回繰り返したのち5回目の弛緩状態の長さを固定する。この固定した30cm間隔の試料長さ内で、芯糸(ポリウレタン弾性糸)が鞘糸(ポリアミドマルチフィラメント仮撚糸)から露出した目むき数nを測定する。この測定を20本の試料について行って、それぞれ目むき数nを測定し、20本分(合計長さ6m)の目むき数nの総数から、次式■により目むき度Mmを計算する。
【0033】
目むき度Mm(%)=(Σn/20)×100 ・・・・〔残留トルクヨリ数〕試料に13.7cNの荷重を吊し、糸長さ方向に1mの間隔に印を付けたのち、該試料を横方向に固定する。次いで、上記1m間隔の中央(50cm)に0.392cNの荷重W1 をつるすことにより、図4のように試料の両端を中央で合わせ、試料が回転して止まるまでの回転数Nを検撚機で読みとる。その読みとった回転数Nを残留トルクヨリ数(回/50cm)とする。
【0034】〔ストレッチ率〕試料を10回巻きしたカセを作り、60℃の温水に20分間フリーで浸漬する。このカセを乾燥した後、常温(20℃)の水中にて1.13cN/dtexの荷重を30秒間吊した後のカセ長L1 を読む。次いで、この荷重を除重して2分後に0.00227cN/dtexの荷重を30秒間吊した後のカセ長L2 を読み、次式■よりストレッチ率Sを算出する。
【0035】
ストレッチ率S(%)=〔(L1 −L2 )/L1 〕×100 ・・〔CV率〕繊度、残留トルクヨリ数、ストレッチ率など、各特性値のバツラキを表す尺度である。各特性値についてN=4のデータを測定し、その最大値と最小値との差をR、N=4のデータの平均値をsとするとき、次式■で計算される。
【0036】
CV率(%)=(R/s)×100 ・・・・・実施例1繊度が21.1dtexのポリウレタン弾性糸を芯部原糸に使用し、繊度22.2dtex、フィラメント数20本のナイロン6マルチフィラメント延伸糸を鞘部原糸に使用し、図1に示す仮撚加工工程により、第1段目のドラフト倍率1.1倍、第2段目のドラフト倍率3.18倍、トータルドラフト3.5倍の2段ドラフトにより、仮撚数4200T/m、セット温度175℃、フィード率−2.0%、セット時間0.40秒、加工速度450m/minで2軸型摩擦仮撚具にて仮撚加工して、総糸繊度28.0dtex,鞘糸繊度21.9dtex,芯糸繊度6.1dtexの仮撚被覆弾性糸を得た。
【0037】上記仮撚被加工時の加撚張力は4.0cN、解撚張力は7.5cNで、仮撚張力比は1.875であり、仮撚張力の変動幅は3.9〜4.1cN、解撚張力の変動幅は7.3〜7.8cNであった。
【0038】また、得られた仮撚被覆弾性糸の残留トルクヨリ数は124回/50cm、ストレッチ率は61%、目むき度は10%であり、鞘部に集束不良は認められなかった。また、仮撚被覆弾性糸の総糸繊度、残留トルクヨリ数、ストレッチ率のCV率は、それぞれ総糸繊度は7.1%、残留トルクヨリ数は8.1%、ストレッチ率は8.1%であり、非常に高い均一性を有していた。
【0039】この仮撚被覆弾性糸を永田機械(株)スーパーIV針数400本によりストッキングに編成した後、黒染色して製品を得た。得られたストッキングは、着用時において締め付け感がなく、ソフトな風合いを有し、また編地の「しらけ」はほとんど目立たず、編目が明瞭で美しい外観を呈して高級感を有していた。
【0040】比較例1実施例1において、ドラフト倍率を3.5倍として、1段のみのドラフト、摩擦仮撚具を3軸型摩擦仮撚具にして、加撚張力の値が平均4cNになるようフィード率を調整し、その他は同一条件として仮撚加工を行うことにより、総糸繊度28.0dtex,鞘糸繊度21.9dtex,芯糸繊度6.1dtexの仮撚被覆弾性糸を製造した。
【0041】上記仮撚被加工時の加撚張力の平均値は4cN、解撚張力は2.5cNで、仮撚張力比は0.625であり、仮撚張力の変動幅は3.7〜4.3cN、解撚張力変動幅2.3〜2.7であった。
【0042】得られた仮撚被覆弾性糸の残留トルクヨリ数は117回/50cm、ストレッチ率は53%、目むき度は19%であった。また、仮撚被覆弾性糸の総糸繊度、残留トルクヨリ数、ストレッチ率のCV率は、それぞれ総糸繊度は10.7%、残留トルクヨリ数は10.2%、ストレッチ率は12.0%であり、実施例1の仮撚被覆弾性糸に比べてバラツキが大きかった。
【0043】この仮撚被覆弾性糸を永田機械(株)スーパーIV針数400本によりストッキングに編成し、黒染色した製品を得た。得られたストッキングは、編地の「しらけ」がやや目立ち、若干の筋ムラを有するのが認められた。
【0044】比較例2実施例1において、繊度が21.1dtexのポリウレタン弾性糸を芯糸に使用し、繊度77dtex、フィラメント数68本のナイロン6マルチフィラメント延伸糸を鞘糸に使用し、1段ドラフトのみの3.5倍ドラフトを行い、摩擦仮撚具を3軸型摩擦仮撚具にして、仮撚張力の値が平均10cNになるようフィード率を調整し、その他は同一条件として仮撚加工を行うことにより総糸繊度81.5dtex,鞘糸繊度75.5dtex,芯糸繊度6.0dtexの仮撚被覆弾性糸を製造した。
【0045】上記仮撚被加工時の仮撚張力の平均値は10cN、解撚張力は3.2cNで、仮撚張力比は0.32であり、加撚張力の変動幅は8.3〜12.7cN、解撚張力変動幅は3.2〜3.7であった。
【0046】得られた仮撚被覆弾性糸の残留トルクヨリ数は101回/50cm、ストレッチ率は46%、目むき度は28%、総糸繊度のCV率は3.7%であった。
【0047】この仮撚被覆弾性糸を永田機械(株)スーパーIV針数400本によりストッキングに編成し、黒染色した製品を得た。得られたストッキングは、編地の「しらけ」はやや目立ち、若干の筋ムラが認められた。
【0048】実施例2繊度が22dtexのポリウレタン弾性糸を芯糸にし、繊度44dtex、フィラメント数34本で、4000m/分で紡糸巻取りしたナイロン6マルチフィラメント糸を鞘糸に使用し、芯糸を2段ドラフトし、さらにフィード率をアンダーサイドの−14%に設定してトータルドラフト率3.5倍により、仮撚数4300T/m、加熱温度175℃、セット時間0.42秒、加工速度300m/分にて2軸式摩擦仮撚具を用い仮撚加工し、総糸繊度44.1dtex,鞘糸繊度37.8dtex,芯糸繊度6.3dtexの仮撚被覆弾性糸を得た。
【0049】上記仮撚被加工時の仮撚張力は6.5cN、解撚張力は13.8cNで、仮撚張力比は2.12であった。
【0050】得られた仮撚被覆弾性糸を使用し、永田機械(株)スーパーIV針数360本によりストッキングを編成し、黒染色した製品を得た。得られたストッキングは、着用時に締め付け感がなく、ソフトな風合を有し、また編地の編目が明瞭であり美しい外観を呈していた。
【0051】比較例3実施例2において2軸式摩擦仮撚具の代わりにスピンドル式摩擦仮撚具を用い、加工速度を100m/分、セット時間を0.55秒にした以外は、実施例2と同条件にし仮撚加工を行い、仮撚被覆弾性糸を製造した。なお、上記測定方法による繊度の測定は、コアー切れのため測定できなかった。
【0052】上記仮撚被加工時の加撚張力は6.7cN、解撚張力は24cNであり、仮撚張力比は3.6であった。
【0053】得られた仮撚被覆弾性糸は若干のコアー切れが認められた。また、ストッキングに編成したところ、コアー切れによる編面不良が一部認められた。
【0054】
【発明の効果】上述したように、本発明の仮撚被覆弾性糸の製造方法によれば、仮撚加工後の仮撚被覆弾性糸の鞘糸を単繊維繊度を1.7dtex以下、総糸繊度を15〜55dtexに低減したことにより、編地にしたときのソフト感を一層向上することができる。
【0055】また、鞘糸の総糸繊度とフィラメント数を低減した上に、仮撚加工時の仮撚張力比(解撚張力/加撚張力)を高くし、熱セット時間を短縮したことの総合作用により残留トルクヨリ数を増加させ、かつ芯糸側面に多数の鱗片状圧痕を形成して鞘糸を絡みやすくするため、これらによって被覆性が一層向上し、目むきの発生を低減することができる。
【0056】さらに仮撚加工時の熱セット時間を0.1〜0.6秒に短縮したことにより、鞘糸を芯糸に融着させないため仮撚被覆弾性糸のストレッチ率を向上することことができる。また、鞘糸を芯糸に融着させないことによりストレッチ後の回復率を向上させ、ストレッチパワーを下げることなく上記ソフトなフィット性を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−348748(P2001−348748A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−167565(P2000−167565)