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【発明の名称】 ポリエステル仮撚加工糸の製造方法
【発明者】 【氏名】清水 伸次

【氏名】松木 貞夫

【氏名】中嶋 弘隆

【要約】 【課題】仮撚加工速度をアップしても従来技術と同等の生産性や品質レベルを得られる画期的なポリエステル仮撚加工糸の製造方法を提供する。

【解決手段】複屈折率が0.06〜0.1であり、密度が1.365g/cc以下であるポリエステル原糸を供給し、仮撚加工速度1000m/min以上でかつ仮撚加工して得られる加工糸の強度が3.5cN/dtex以上、伸度が20%以上となる延伸倍率で仮撚加工することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複屈折率が0.06〜0.1であり、密度が1.365g/cc以下であるポリエステル原糸を供給し、仮撚加工速度1000m/min以上でかつ仮撚加工して得られる加工糸の強度が3.5cN/dtex以上、伸度が20%以上となる延伸倍率で仮撚加工することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
【請求項2】複屈折率が0.06〜0.1であり、かつ、密度が1.365g/cc以下であることを特徴とするポリエステル仮撚加工糸製造用原糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル仮撚加工糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、延伸と同時に仮撚加工する方法として摩擦仮撚加工法が採用されているが、その加工速度は、600〜900m/minに達しており、その範囲において、加工糸の糸切れ、毛羽などが満足できる良好な工業生産性レベルに達している。また、その際供給されるポリエステル原糸は複屈折率0.03〜0.05程度の高配向未延伸糸が一般に使用されている。近年設備的には1000〜1500m/min可能な仮撚加工機の開発により、さらなる加工速度のスピードアップが望まれている。
【0003】しかしながら、従来技術の摩擦仮撚加工に供給するポリエステル原糸を用いて、仮撚加工速度を1000m/min以上にすると、未解撚発生による仮撚加工時の糸切れや強伸度不足による加工糸の毛羽が増加し、生産性や品質レベルから良好な工業生産性を得ることができないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、仮撚加工速度をアップしても従来技術と同等の生産性や品質レベルを得られる画期的なポリエステル仮撚加工糸の製造方法を提供することにある。
【0005】すなわち、本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、仮撚加工速度をアップしても生産性の指標である糸切れや品質レベルを代表する加工糸の毛羽、強伸度などが工業生産性を充分満足する画期的なポリエステル仮撚加工糸の製造方法を提供するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本発明のポリエステル仮撚加工糸の製造方法は、複屈折率が0.06〜0.1であり、密度が1.365g/cc以下であるポリエステル原糸を供給し、仮撚加工速度1000m/min以上でかつ仮撚加工して得られる加工糸の強度が3.5cN/dtex以上、伸度が20%以上となる延伸倍率で仮撚加工することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステル仮撚加工糸の供給原糸は、複屈折率が0.06〜0.1、好ましくは0.07〜0.09であり、密度が1.365g/cc以下であるものである。
【0008】複屈折率が0.06未満の供給原糸を使用した場合、未解撚糸の発生により品質レベルおよび糸切れ等の生産性レベルを得ることが難しく、複屈折率が0.1を超える供給原糸、もしくは密度が1.365g/ccを超える供給原糸を使用した場合も、毛羽の発生により品質レベルおよび糸切れ等の生産性レベルを得ることが難しい。
【0009】ここで、複屈折率は透過定量干渉顕微鏡を使用して干渉縞法によって繊維の側面から観察した複屈折率の分布をいう。
【0010】仮撚加工速度は、1000m/min以上とし、延伸倍率は安定加工倍率以上から仮撚加工して得られた加工糸の特性が糸強度3.5cN/dtex以上、糸伸度20%以上を得られる延伸倍率以下とするものである。
【0011】ここで、安定加工倍率とは各仮撚加工速度においてヒーター上で糸条が揺れるサージング現象を生じない倍率をいう。仮撚加工速度が1000m/min未満で上記供給原糸を使用しても仮撚加工時の安定性や品質に問題は生じないが、安定加工倍率の低下により供給する原糸の生産性が損なわれる。また、仮撚加工速度は1700m/min以下が望ましい。1700m/minを越えると、本発明範囲の供給原糸を用いても、延伸倍率が本発明の範囲とならず、毛羽の発生により品質レベルを得ることが難しくなり、設備負荷が大きく生産性を損なうので好ましくない。
【0012】また、本発明におけるポリエステル繊維としては、繊維形成可能な重合度を有するポリエチレンテレフタレートまたは全構成単位の少なくとも80%がポリエチレンテレフタレートからなる繊維形成可能な共重合ポリエステルが採用できる。
【0013】次に、図1を用いて、本発明の実施形態の一例を簡単に説明すると、図1は本発明の仮撚加工糸の製造方法の一例を示す模式図であり、供給原糸1として、複屈折率が0.06〜0.1であり、かつ、密度が1.365g/cc以下であるポリエステル原糸を用い、熱処理ヒーター3および摩擦仮撚装置4を通過させると同時にフィードロール2と5の間にて仮撚加工速度1000m/min以上で延伸および仮撚を行い熱固定されることにより得られる。その際、ヒーター温度は特に限定されず捲縮にあわせ150〜250℃程度が使用されている。また、高温非接触ヒーターでも糸に付与される熱が同等であれば問題ない。
【0014】複屈折率が0.06〜0.1であり、かつ、密度が1.365g/cc以下であるポリエステル原糸は具体的には例えば通常、紡糸速度が4000〜6000m/min程度の範囲で得ることができる。
【0015】また、摩擦仮撚り装置としては、例えば3軸外接型仮撚装置や、ベルトニップ型仮撚装置などが採用できる。
【0016】
【実施例】図2に示す口金9、冷却装置10、油剤付与装置11、ゴデーローラー12および巻取り機13からなる紡糸機により酸化チタン0.5%含有のポリエチレンテレフタレートを紡糸温度300℃で溶融紡糸し冷却固化させ、仮撚加工後の繊度が90dtexとなる36ホールの供給原糸を紡糸速度を変更して試料1〜6の原糸を得た。その供給原糸の物性を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】次に、図1に示す仮撚加工機にて表2の条件で仮撚加工を行った。
【0020】まず、比較例1として表1に示す試料1である複屈折率が0.035の供給原糸1をヒーター3の温度215℃、仮撚装置4として3軸外接型の摩擦仮撚装置を使用し、ローラー2と5の間の延伸倍率を安定加工倍率の1.930でかつ加工速度を850m/minで仮撚加工した。この仮撚加工糸は、品質レベル満足するものであったが加工速度が遅いため、生産性に難がある。次に、比較例2として、同様に試料1を供給原糸として、ヒーター温度220℃、延伸倍率を仮撚り加工後の糸強度が3.5cN/dtex以上糸伸度が20%以上を得られる1.930でかつ加工速度1000m/minで仮撚加工したところ、供給原糸の複屈折率が低いため安定加工倍率以上とならずこの加工糸は未解撚による糸切れが発生した。つぎに、比較例3として、同様に試料1を供給原糸として、ヒーター温度220℃延伸倍率を安定加工倍率1.950とし、かつ加工速度1000m/minで仮撚り加工した。この加工糸は仮撚り加工後の糸強度3.5cN/dtex以上糸伸度20%以上を得られず毛羽の発生により品質レベルが十分でなかった。
【0021】次に、表1の試料2、3、4、5の供給原糸をヒーター温度220℃で加工速度1000m/minとし、それぞれの試料をそれぞれの安定加工倍率以上でかつ仮撚り加工後の糸強度が3.5cN/dtex以上糸伸度が20%以上を得られる表2の実施例1、2、3、4の条件にて仮撚加工を行た。これら実施例1、2、3、4では、品質レベル、生産性と共に比較例1と同程度に満足できるものであった。
【0022】さらに、表1の試料6を供給原糸としてヒーター温度220℃で加工速度1000m/minとし、延伸倍率を安定加工倍率である比較例4の条件にて仮撚加工を行った。これは仮撚り加工後の糸強度3.5cN/dtex以上糸伸度20%以上を得られず毛羽の発生により品質レベルが十分でなく、かつ、糸切れが発生した。さらに、本発明の供給原糸である表1の試料5を用いてヒーター温度230℃で加工速度1800m/minとし安定加工倍率である比較例5の条件で仮撚り加工を行った。これは、仮撚り加工後の糸強度3.5cN/dtex以上糸伸度20%以上を得られず毛羽の発生および糸切れが発生した。
【0023】
【発明の効果】上述のように、本発明による仮撚加工糸の製造方法によれば、仮撚加工速度を1000〜1700m/minにしても、仮撚加工時の糸切れや加工糸の毛羽、未解撚糸の発生が少なく生産性や品質レベルから良好な工業生産性を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年3月8日(2000.3.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−254237(P2001−254237A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−63080(P2000−63080)