| 【発明の名称】 |
紙糸、しわ圧潰加工紙および編織物 |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 順一
【氏名】篠原 斉
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| 【要約】 |
【課題】伸度が高く、表面が滑らかですべりの良い、編織時に切れ難い紙糸を提供し、品質が良好な編織物を生産性良く製造できるようにする。さらに、このような紙糸の製造に適した、初期伸びが小さく、しかも限界破断伸びの大きいしわ圧潰加工紙を提供する。
【解決手段】長手方向に沿う折り目を有する紙製テープか、あるいは、抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製された紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状にしてなる紙糸。抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙。編織されこの紙糸を含む編織紙布。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】長手方向に沿う折り目を有する紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状にしてなる、紙糸。 【請求項2】前記折り目がエンボス加工により形成されたものである、請求項1に記載の紙糸。 【請求項3】抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製された紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状にしてなる、紙糸。 【請求項4】前記紙製テープに耐水処理が施されている、請求項1から3までのいずれかに記載の紙糸。 【請求項5】抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなる、しわ圧潰加工紙。 【請求項6】初期伸びが4%以下で、しかも限界破断伸びが14%以上である、請求項5に記載のしわ圧潰加工紙。 【請求項7】編織された前記請求項1から4までのいずれかに記載の紙糸を含む、編織物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、紙糸、およびこの紙糸の製造に適した紙、およびこの紙糸を用いた編織物に関する。 【0002】 【従来の技術】和紙を細長い短冊状に切り、撚って紙糸にして、得られた紙糸を製織した紙布は、古くは鎌倉時代より紙衣として使用されていたが、紙糸の製造に手間がかかるため、一般に普及することはなかった。 【0003】近年は、楮、三椏、およびマニラ麻等の原料を使用した機械漉和紙製の紙糸が製造されている。しかし、この紙糸は、伸びがなく、糸の表面が粗いものであったため、編織機にかけたときに糸が切れ易く、手織りでないと編織困難であったり、編織機を使用できた場合でも高速では糸切れが頻繁に起こるので、編織スピードに制限を受け、生産効率を向上させることができないという問題を有していた。さらに、前記紙糸から得られた紙布は編織り地面が荒れて見え、高品質の編織物を得ることは困難であった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、伸度が高く、表面が滑らかですべりの良い、編織時に切れ難い紙糸を提供し、品質が良好な編織物を生産性良く製造できるようにすることである。さらに、本発明は、このような紙糸の製造に適した初期伸びが小さく、しかも限界破断伸びの大きいしわ圧潰加工紙を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、紙製テープに長手方向に沿う折り目を施しておくことによって、および/または、抄紙後のウエットクレープ加工により形成されたしわを押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて紙製テープを作製することによって、該紙製テープをらせん甘撚りして紐状にしたときに、糸の断面が丸くて、伸度が高く、表面が滑らかですべりの良い、編織時に切れ難い紙糸が効率良く得ることができることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明にかかる第1の紙糸は、長手方向に沿う折り目を有する紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状にしてなる。 【0006】本発明にかかる第2の紙糸は、抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製された紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状にしてなる。 【0007】本発明にかかるしわ圧潰加工紙は、抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなる。本発明にかかる編織物は、編織された前記紙糸を含んでいる。 【0008】 【発明の実施形態】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に用いられる紙製テープの原料は、特に限定されるものではなく、例えば、モミ、ウラジロモミ、トドマツ、シラベ、ヒノキ、サワラ、スギ、カラマツ、アカエゾマツ、エゾマツ、クロエゾマツ、トウヒ、アカマツ、クロマツ、マキ、ヒバ、カヤ、ツガ、ベイモミ、ピーオーシーダー、アラスカシーダー、レッドウッド、ヘムロック等の針葉樹;コットンウッド、アスペン、タスマニアンオーク等の広葉樹;竹、バカス、ケナフ、マニラ麻、わら等のその他の植物;等から得られるパルプが使用される。また、楮や三椏等の靭皮繊維またはレーヨン等を使用することもできる。このように、本発明の紙糸は紙を素材にしているため、高い断熱性を発揮するものである。 【0009】本発明において、前記原料を抄紙して得られる紙の目付は、特に限定はないが、得られる紙糸の強度を保持し、機械による編織作業を容易にするためには、8〜40g/m2 の範囲にある薄い紙とすることが好ましい。目付が8g/m2 未満であると、紙糸が弱く、糸切れし易くなり、40g/m2 を超えると、紙糸が硬くなり、取扱いにくくなる。 【0010】本発明にかかる第1の紙糸に用いられる紙製テープは、図1にみるような、長手方向に沿う折り目を有するものである。該折り目は、紙製テープの幅に応じて、1本のみ形成されていてもよいし、複数本が形成されていてもよい。このように、紙製テープの長手方向に細かい折り目をつけることによって、紙糸を製造したときに、断面が丸く滑りの良い紙糸とすることができるのである。なお、折り目が形成されてなる紙製テープは、例えば、原紙の段階で折り目を形成しておいた後に、該原紙をテープ状にカットして得られたものでもよいし、あるいは、原紙を先にテープ状にカットしておいた後、折り目を形成する加工を施して得られたものでもよい。好ましくは、折り目の形成加工は、原紙の段階で行われる。 【0011】前記折り目を形成する手段としては、特に限定されるものではないが、製造コスト等の点から、エンボス加工が好ましい。原紙にエンボス加工を施す際の好ましい実施形態を図2に示す。抄紙され乾燥した広幅(例えば、1240mm)の紙は、帯状の連続体(原紙)10として一定方向に走行させておく。紙の走行経路には、周方向に続く溝または突起が軸方向に多数並んでいるエンボスロール20が、原紙10を挟むようにして2つ配置されている。エンボスロール20,20を両側から原紙10に押し当てると、エンボスロール20の凹凸形状にしたがって原紙10に微細な凹凸が形成される。エンボス加工紙11にこのようにして形成された微細な凹凸は、原紙10の長手方向に沿って、図1にみるように1本または複数のストライプ状の連続した折り目となっている。ここで、エンボスロール20の微細な凹凸とは、凹部同士あるいは凸部同士の間隔、すなわち凹凸ピッチが、好ましくは2mm以下であり、紙にそうした跡が残る程度の凹凸である。凹凸の配置は、紙をテープ状に裁断した際にテープの長手方向に折り目、すなわちエンボス跡が残るようになっていれば特に制限されるものではなく、格子状、点状、模様状、あるいは不定形の凹凸が前後左右あるいは千鳥状に配置されたエンボスロールであることもできる。 【0012】本発明にかかる第2の紙糸に用いられる紙製テープは、抄紙後のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製されたものである。 【0013】本発明にかかる前記しわ圧潰加工紙は、抄紙段階でいったんしわを形成した後に該しわを押しつぶしたものであり、さらに詳しくは、まず、ウエットクレープ加工により細かいしわ付けを行い、次に、このしわの山を潰して、平滑性を発現させたものである。このようなしわ圧潰加工紙は、表面は平滑でしわがなくなったように見えるのであるが、実際は、図3の(a)のように、しわは紙層内に残存している。 【0014】これに対して、従来のしわ加工紙(例えば、ウエットクレープ加工のみを施した場合)は、図3の(b)のようになっている。本発明のしわ圧潰加工紙は、圧接しながらドライヤーの熱により乾燥させることで、図3の(a)に示す状態で水分を強制的に蒸発させることができ、これにより、紙層内セルロース繊維間に水素結合を生じさせることができる。その結果、この水素結合による強度により、らせん甘撚り等の加工時のテンション程度の力では図3の(a)の状態が崩されないので、加工時のしわの伸びきりや消失を防ぎ、高い伸度を維持することができる。一方、さらに大きな力が加わり紙が切れようとする時の伸びは、元々のウエットクレープ加工時に設定した伸び率のままに発現しうることとなる。 【0015】本発明にかかる前記しわ圧潰加工紙は、初期伸びが4%以下で、しかも限界破断伸びが14%以上であり、初期伸びは小さく、限界破断伸びが大きい紙である。そのため、紙糸の製造に用いた場合にも、撚糸の際に該しわが伸びきってしまうことを防ぎ、伸度の大きい紙糸とすることができ、ひいては編織時の糸切れを回避することができるのである。初期伸びが4%を越えると、撚糸時に紙が伸びてしまうので好ましくない。また、限界破断伸びが14%未満であると、編織時に糸切れし易くなるので好ましくない。 【0016】ウエットクレープ加工の後にドライヤーによる圧接を行う際の好ましい実施形態を図4に示す。抄紙された広幅(例えば、1240mm)の紙12は、乾燥する前の湿った状態で、一定方向に走行している。湿紙12の走行経路には、クレープ加工ロール(上)30およびクレープ加工ロール(下)40が、湿紙12を挟むようにして配置されており、さらにその先に、ドライヤー50とタッチロール60が当接して配置されている。ここで、クレープ加工ロール30,40の周速は、ドライヤー50の周速よりも速く設定されている。湿紙12は、クレープ加工ロール(上)30とクレープ加工ロール(下)40とで加圧されつつ、これらの間を通過し、続いてクレープ加工ロール(上)30に当接されたドクターナイフ70によってクレープ加工ロール(上)30から剥がされると、図5の左側部分にみるような、湿紙12の幅方向につづく微細な波状のしわが形成されたクレープ加工湿紙13となる。その断面は図3(b)にみるようである。次いで、このクレープ加工湿紙13を、タッチロール60によってドライヤー50に強く圧接させながら乾燥することにより、前記微細なしわが押しつぶされ、図3の(a)にみるような断面を有し、表面が図5の右側部分に示すように平滑な、しわ圧潰加工紙14となる。 【0017】本発明にかかる第1の紙糸および第2の紙糸に用いられる紙製テープはいずれも、耐水処理が施されたものであることが好ましい。耐水処理を施した紙製テープを使用することにより、耐水性・耐洗濯性に優れた紙糸とすることができる。さらに、耐水処理された紙製テープからなる紙糸は、通常の糸の染色と同様の方法で、紙糸の状態で任意の色に染色することができる。このとき使用される染料としては、例えば、化学染料、藍のような天然染料、紅花、くちなし等の天然色素等のいずれをも使用することができる。 【0018】耐水処理の方法については、特に限定はなく、例えば、水中に分散させた状態のパルプに耐水剤を添加してから抄紙する方法、耐水剤を含んだ溶液を既にパルプを抄紙して得られた紙(加工紙)に含浸させたり、塗工機で塗布する方法が挙げられる。なお、含浸させたり、塗工機で塗布する方法については、既にテープ状にカットされた後に適用してもよい。中でも、特別の工程をもうける必要がなく、しかも均一に耐水剤を施すことが可能な、水中に分散させた状態のパルプに耐水剤を添加してから抄紙する方法が好ましい。 【0019】耐水剤としては、特に限定はなく、例えば、エポキシ化ポリアミド樹脂、アクリル酸エステル、ジアルデヒドデンプン、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンイミン等を含む湿潤紙力増強剤;ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、尿素樹脂等を含む乾燥紙力増強剤;が挙げられる。特に、これらから選ばれる湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤とを併用することによって、強靱で、耐水性・耐洗濯性に優れ、毛羽立ちが生じにくくなり、機械織りおよび機械編み可能となり、紙糸が、湿潤時、乾燥時のいずれの状態にあっても紙糸の強さが増す。前記湿潤紙力増強剤の中では、エポキシ化ポリアミド樹脂が好ましく、前記乾燥紙力増強剤の中では、ポリアクリルアミド樹脂が好ましい。エポキシ化ポリアミド樹脂とポリアクリルアミド樹脂とを併用すると、パルプを抄紙して得られる紙を硬くすることなく、紙の張力を強くすることができる。 【0020】耐水剤の使用量については、特に限定はないが、パルプから得られる紙に対して絶乾重量比で、0.1〜3%の割合で付着させるのが好ましい。耐水剤の使用量が0.1%未満であると、十分に紙糸に耐水性・耐洗濯性を付与することはできず、毛羽立ちが生じ、紙糸を機械織りまたは機械編みするのが困難となる。耐水剤の使用量が3%を超えると、得られる紙が堅くなり、耐水剤の使用量に応じた耐水性向上の効果は得られなくなる。 【0021】本発明の紙糸に用いられる紙製テープの幅は、特に限定はないが、得られる紙糸の強度を保持し、テープを紙糸にする作業性を上げ、機械による編織作業を容易にするためには、1〜100mmであるのが好ましい。さらに好ましくは2〜50mmである。紙の厚みを薄くしてテープの幅を広くすると柔らかな紙糸となり、紙糸の強度が高く、編織に適するようになる。例えば、8g/m2 で10cm幅のテープで得られる紙糸の方が40g/m2 で2cm幅の紙糸よりも紙糸の強度が高く、柔らかで、編織に適するものになる。なお、紙をテープ状に加工して紙製テープを得る方法としては、特に限定はないが、作業を効率良く行うため、得られた紙を取扱の容易なロール状に巻き取り、スリッターを使用してテープ状に加工する方法が好ましい。 【0022】本発明の紙糸は、前記のような紙製テープをらせん甘撚りすることにより紐状にしてなるものである。このように紙製テープをらせん甘撚りして得られた本発明の紙糸は、外壁が多孔質の紙でできた中空繊維のような形状を有し、中空部分に空気を多量に含むことができるので、編織した場合には、毛羽がなく、肌触り良く、断熱性の高い編織物とすることができる。また、中空部分を有することにより、本発明の紙糸は、該中空部分による毛管現象で多量の水分を素早く吸収し、吸収した水分を表面積の広い紙面に広げて蒸発によって効率良く排出させることができるので、水分の吸排出性に優れた紙糸となる。 【0023】本発明において、紙製テープをらせん甘撚りする方法は、特に限定されるものではない。また、撚り回数や仕上がり糸径等のらせん甘撚り条件についても特に限定はないが、例えば、撚り回数については、通常、紙糸30cm当たり1〜150回とするのが、肌触り、水分の吸排出性および断熱性の観点から好ましい。これまでのように紙製テープに前記折り目を施すことなしでは、撚り回数を上げても、紙糸の強度が弱くなり、実用に供し得る細糸を得ることは困難であったが、本発明においては、用いる紙製テープに前記折り目を施すこと、あるいは前記しわ圧潰加工紙を用いて紙製テープを作製することによって、用途に応じて、撚り回数を紙糸30cm当たり120回程度にまで上げ、非常に細い糸を得ることができる。 【0024】本発明の紙糸は、代表的な天然繊維である綿花のように、植物の一部分を利用するものではなく、樹木の木部全体を利用することができるために、エコロジーの観点からも好ましく、植物資源を最大限有効に利用することが可能である。 【0025】本発明の編織物は、編織された前記紙糸を含むものである。本発明の編織物は前記紙糸を使用しているため、水分の吸排出性および耐洗濯性に優れ、毛羽立ちが生じにくく、肌触り良く、断熱性が高い。また、編織物の表面に凹凸が生じるように編織することによって、水分の吸排出性をさらに向上させることができる。なお、本発明の編織物は、前記紙糸を含むものであれば特に限定はなく、綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アセテート、ウール等の他の材質の糸を混ぜて混織または混編されてもよい。 【0026】本発明の編織物は、本発明の紙糸を通常の手編みまたは手織りすることよっても、製造することができるが、作業の効率が高く、安定した品質が得られる編機または織機を使用する方法が好ましい。編機または織機を使用する場合も、通常の編織作業と何ら変わることはなく、所望の編目構造または織構造の編織布を製造することができる。 【0027】本発明の編織物は、断熱性および水分の吸排出性に優れるため、例えば、前記紙糸で編んだ編物は、セーター、カーディガン、カーテン、浴用タオル等に使用できる。また、前記紙糸で織った紙布は、壁紙、油絵のキャンバス、床ずれ防止シーツ、空手着等のスポーツ着、浴衣の帯、自動車のシートカバーとして使用することができる。さらに、イ草よりも数倍強度が高いため、ゴザおよび畳の表材としても最適である。 【0028】 【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、得られた紙糸および編織物の物性は、以下の方法で測定した。 【0029】〔糸強度〕 JIS−L−1095に記載の方法に準じて測定した。 〔伸度〕 JIS−L−1095に記載の方法に準じて測定した。 〔耐洗濯性に関する評価〕 JIS−L−1096に記載の方法に準じ、洗濯10回後の生地の引張強度を測定して、その変化の有無で評価した。 【0030】〔編織物の断熱性〕 JIS−L−1096に記載の方法に準じて測定した。 (実施例1)針葉樹パルプ600kgを水中に分散させ、エポキシ化ポリアミド樹脂を含む耐水剤(商品名:スミレーズレジン)固形分3kgと、ポリアクリルアミド樹脂を含む耐水剤(商品名:ハーマイドB−15)固形分3kgとを添加してよく攪拌した。水中によく分散したパルプを抄紙し、湿紙を得た。 【0031】引き続き、この湿紙に、図4に示すクレープ加工ロール(上)(下)30、40とドクターナイフ70にてウエットクレープ加工を施した後、ドライヤー50にタッチロール60を強く圧接することによりしわを押しつぶして乾燥し、しわ圧潰加工紙を得た。次いで、このしわ圧潰加工紙に、図2に示すように、凹凸の溝のついたエンボスロール20を用いてエンボス加工を施し、目付15g/m2、幅120cm、10000mでロール状に巻き取られた、薄紙を得た。 【0032】次に、得られた幅120cmのロール状に巻き取られた薄紙を、ロールの幅中央部で切断して、幅60cmのロール2つにした後、その1つを10mmの間隔に回転刃がセットされたスリッターを使用して、テープ60本に切りわけた。そして、それぞれのテープを巻き取り、2000m巻きのロール状の紙製テープを得た。 【0033】このようにして得られた紙製テープを用いて、紙紐製造機で30cm当たり20回の撚りをかけ、ストロー状にらせん甘撚りのかかった紙糸を得た。なお、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。 【0034】得られた紙糸の糸強度は、2.0kg、伸度は、10%であり、糸断面は、図6に示すように丸くて歪みのない円形であった。また、洗濯10回後の引張強度は洗濯前と変わらず、耐洗濯性は良好であった。 【0035】(実施例2)実施例1において、ウエットクレープ加工およびドライヤーの圧接処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。なお、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。 【0036】得られた紙糸の糸強度は、1.8kg、伸度は、6%であった。 (実施例3)実施例1において、エンボス加工を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。なお、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。 【0037】得られた紙糸の糸強度は、1.9kg、伸度は、8%であった。 (実施例4)実施例1において、耐水処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。なお、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。 【0038】得られた紙糸の糸強度は、1.3kg、伸度は、10%であった。また、洗濯10回後、生地は破れてしまっており、耐洗濯性は不良であった。 (比較例1)実施例1において、ウエットクレープ加工、ドライヤーの圧接処理、およびエンボス加工を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。なお、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。 【0039】得られた紙糸の糸強度は、1.8kg、伸度は、4%であり、糸断面は、図7に示すように円が偏平状に潰れたような形であった。 (実施例5)実施例1で得られた紙糸を経糸および緯糸に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織布を得た。製織時の糸切れ回数は0回であった。 【0040】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍高かった。 (実施例6)実施例2で得られた紙糸を経糸および緯糸に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織布を得た。製織時の糸切れ回数は1回であった。 【0041】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍高かった。 (実施例7)実施例3で得られた紙糸を経糸および緯糸に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織布を得た。製織時の糸切れ回数は1回であった。 【0042】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍高かった。 (実施例8)実施例4で得られた紙糸を経糸および緯糸に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織布を得た。製織時の糸切れ回数は5回であった。 【0043】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍高かった。 (比較例2)比較例1で得られた紙糸を経糸および緯糸に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織布を得た。製織時の糸切れ回数は5回であった。 【0044】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍高かった。 【0045】 【発明の効果】本発明によれば、水分の吸排出性および断熱性に優れ、しかも、伸度が高く、表面が滑らかですべりの良い、編織時に切れ難い紙糸を提供することができる。そして、この紙糸を使用することにより、品質が良好な編織物を生産性良く製造することができる。さらに、本発明によれば、このような紙糸の製造に適した初期伸びが小さく、しかも限界破断伸びの大きいしわ圧潰加工紙を提供することができる。 【0046】本発明の編織物は、前記の紙糸を用いてなるため、水分の吸排出性および断熱性に優れ、肌触りが良い等の良好な品質を備える。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591283132 【氏名又は名称】株式会社和紙のイシカワ 【識別番号】398001595 【氏名又は名称】寒川製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月20日(2000.1.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073461 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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| 【公開番号】 |
特開2001−200441(P2001−200441A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−12241(P2000−12241) |
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