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【発明の名称】 紡績装置
【発明者】 【氏名】出野 宏二

【氏名】今村 久勝

【要約】 【課題】紡績機で扱う糸の糸種や糸太さ、及び、繊維束導入ガイド部材或いはノズル部に存在する破損部分等に柔軟に対応しうる紡績装置を提供すること。

【解決手段】繊維束導入ガイド部材24をニードル19先端と紡績ノズル26の円筒の中心とが略一致するように装着し、装着した上記繊維束導入ガイド部材24にノズルキャップ35を装着し、紡績ノズル26、繊維束導入ガイド部材24及びノズルキャップ35が所定位置からずれないようにノズルキャップ35で各部材を押さえつけるように固定する。繊維束導入ガイド部材24及びノズルキャップ35装着後は、繊維束導入ガイド部材24はノズルキャップ35と紡績ノズル26との間で挟持され、Oリング33にノズルキャップ35が当接した状態となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ドラフト装置からの繊維束が導入される案内孔を備えた繊維束ガイド部材と、該繊維束ガイド部材の下流側に設けられてエア噴射孔を有するノズル部と、糸通路を備えた中空ガイド軸体とを備え、エア噴射孔から噴射したエアにより、中空ガイド軸体の先端部に旋回気流を発生させて紡績糸を生成する紡績装置であって、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を着脱自在としたことを特徴とする紡績装置。
【請求項2】上記エア噴射孔に連通するエア供給通路が穿設されたノズルキャップをノズル部に取り付けることにより、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を取り付けるようにした請求項1記載の紡績装置。
【請求項3】上記ノズルキャップにより、ノズル部との間で繊維束ガイド部材を挟持するようにした請求項2記載の紡績装置【請求項4】上記ノズルキャップにより弾性部材を介して繊維束ガイド部材を挟持するようにした請求項3記載の紡績装置。
【請求項5】上記弾性部材は、繊維束ガイド部材の外周に嵌められたリング状である請求項4記載の紡績装置。
【請求項6】上記繊維束ガイド部材の外周に円周方向に沿って溝が形成され、該溝にリング状の弾性部材が嵌められた請求項5記載の紡績装置。
【請求項7】上記ノズルキャップと繊維束ガイド部材との間に、ノズル部のエア噴射孔から噴射されるエアのエア溜まり室を形成した請求項5又は6記載の紡績装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドラフト装置からの繊維束が導入される案内孔を備えた繊維束ガイド部材と、該繊維束ガイド部材の下流側に設けられてエア噴射孔を有するノズル部と、糸通路を備えた中空ガイド軸体とを備え、エア噴射孔から噴射したエアにより、中空ガイド軸体の先端部に旋回気流を発生させて紡績糸を生成する紡績装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スライバを引き込みながら実撚り状の紡績糸を生成してパッケージに巻き取る紡績機内の紡績装置は、該紡績機上流側のドラフト装置から送られてくる繊維束を繊維束導入ガイド部材によりノズル部に導入するようになっている。次に、ノズル部のノズルは、エア噴射孔が形成されており、このエア噴射孔から、ノズルの下流側に設けられた中空ガイド軸体の先端近傍にエアを噴射することにより、旋回流を発生させ、繊維束導入ガイド部材から繰り出される繊維束に撚りをかけながら上記中空ガイド軸体内へ送るようになっている。
【0003】ここで、上記繊維束導入ガイド部材は、上記ノズル部に固着された、略円筒形の外枠部材に接着することによりノズル部に固着されている。更に、上記繊維束導入ガイド部材円錐台を中心線に沿ってねじりながら略半割りにした形状を有している。この繊維束導入ガイド部材は、該繊維束導入ガイド部材の中心線上に一体に設けられ、針状の先端を中空ガイド軸体側へ向けて延びるニードルを有している。そして、上記繊維束導入ガイド部材の側壁と外枠部材の側壁とで繊維束案内通路が形成されている。
【0004】又、上記繊維束導入ガイド部材の下流側には、中空ガイド軸体が設けられている。中空ガイド軸体は、先端が円筒状に形成されたものであり、繊維束導入ガイド部材及びノズル部により形成された空間に先端部を挿入され、この空間において、中空ガイド軸体先端部とニードルとの間には若干の距離を有している。
【0005】繊維束案内通路を通過して、ニードルの延長方向へ向けて紡績装置内に導入された繊維束は、外枠部材と繊維束導入ガイド部材の間に形成された螺旋状の案内通路で制動され、中空ガイド軸体へ向けて送られるようになっている。
【0006】この時、ニードルは、中空ガイド軸体の先端近傍で繊維にかけられる撚りを止めるようになっており、ニードルの上流側には撚りが伝播しないようなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した紡績装置内にニードルが設けられている場合、紡績中におけるニードルの先端と中空ガイド軸体先端との間の距離の違いにより、異なる糸物性を有する紡績糸が生成されるようになっている。そこで、繊維束導入ガイド部材は、上記ノズル部に固着され、略円筒形の外枠部材に接着することにより互いに固着されて1セット化されたものであるため、中空ガイド軸体が上記空間に挿入された際に、中空ガイド軸体先端とニードルの先端との間の距離がそれぞれ異なるように上記セットが複数個用意されている。従って、紡績機で扱う糸の糸種や糸太さに応じて、上記紡績装置内のニードルの先端と中空ガイド軸体先端との間の距離を変える場合、上記セットの種類は紡績機で扱う糸の糸種や糸太さのパターン数に応じて必要となっていた。
【0008】更に、繊維束導入ガイド部材或いはノズル部の少なくともいずれか一方に破損部分等が存在し、部材の交換が必要となった場合、繊維束導入ガイド部材とノズル部とを組み合わせたセットをまるごと取り替えなければならないという問題点があった。
【0009】仮に、紡績機にて紡績糸の糸物性の不良な紡績糸が生成された場合、或いは、不良ではないが、所望の糸物性とは異なる紡績糸が生成された場合、紡績装置内における上記原因の究明を行う際、上記繊維束導入ガイド部材、ノズル部のいずれによるものかを評価することが困難であった。
【0010】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、紡績機で扱う糸の糸種や糸太さ、及び、繊維束導入ガイド部材或いはノズル部に存在する破損部分等に柔軟に対応しうる紡績装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ドラフト装置からの繊維束が導入される案内孔を備えた繊維束ガイド部材と、該繊維束ガイド部材の下流側に設けられてエア噴射孔を有するノズル部と、糸通路を備えた中空ガイド軸体とを備え、エア噴射孔から噴射したエアにより、中空ガイド軸体の先端部に旋回気流を発生させて紡績糸を生成する紡績装置であって、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を着脱自在としたことを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明は、上記エア噴射孔に連通するエア供給通路が穿設されたノズルキャップをノズル部に取り付けることにより、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を取り付けるようにしたことを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明は、上記ノズルキャップにより、ノズル部との間で繊維束ガイド部材を挟持するようにしたことを特徴としている。
【0014】請求項4記載の発明は、上記ノズルキャップにより弾性部材を介して繊維束ガイド部材を挟持するようにしたことを特徴としている。
【0015】請求項5記載の発明は、上記弾性部材は、繊維束ガイド部材の外周に嵌められたリング状であることを特徴としている。
【0016】請求項6記載の発明は、上記繊維束ガイド部材の外周に円周方向に沿って溝が形成され、該溝にリング状の弾性部材が嵌められたことを特徴としている。
【0017】請求項7記載の発明は、上記ノズルキャップと繊維束ガイド部材との間に、ノズル部のエア噴射孔から噴射されるエアのエア溜まり室を形成したことを特徴としている。
【0018】この発明では、ドラフト装置からの繊維束が導入される案内孔を備えた繊維束ガイド部材と、該繊維束ガイド部材の下流側に設けられてエア噴射孔を有するノズル部と、糸通路を備えた中空ガイド軸体とを備え、エア噴射孔から噴射したエアにより、中空ガイド軸体の先端部に旋回気流を発生させて紡績糸を生成する紡績装置であって、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を着脱自在とし、ノズルキャップをノズル部に取り付けて、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を取り付けるようにしたことにより、ノズルキャップをノズル部から取り外すことで繊維束ガイド部材を簡単に取り外し、交換することが可能となる。更に、上記ノズルキャップにより、ノズル部との間で繊維束ガイド部材を挟持するようにしたことにより、ノズル部からノズルキャップを取り外して、挟持力を開放するだけで、より簡単に繊維束ガイド部材をノズル部から取り外すことができる。
【0019】又、上記ノズルキャップにより弾性部材を介して繊維束ガイド部材を挟持するようにしたことにより、ノズルキャップ、繊維束ガイド部材及びノズル部の部品公差を弾性部材の弾性変形で吸収することが可能となる。
【0020】上記弾性部材は、繊維束ガイド部材の外周に嵌められたリング状とし、上記繊維束ガイド部材の外周に円周方向に沿って溝が形成され、該溝にリング状の弾性部材を嵌めて、上記ノズルキャップと繊維束ガイド部材との間にノズル部のエア噴射孔から噴射されるエアのエア溜まり室を形成したことにより、繊維束ガイド部材とノズルキャップとの間からのエア漏れを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施の形態に限定されるものではない。
【0022】図1は、本発明の実施形態の紡績装置6を示す側断面図であり、図2は、図1に示す紡績装置6のうち、要部を示す側断面図拡大図であり、図3は、図1に示す紡績装置6の要部において、繊維束導入ガイド部材24の装着前の状態を示す斜視図である。図4は、本発明実施形態を適用してなる紡績機のユニット1を示す斜視図であり、図5は、紡績装置6における紡績原理を示す説明図である。図6は、別の実施形態における紡績装置6aの要部を示す側断面図である。
【0023】図4に示すように、紡績機のユニット1は、スライバ2をドラフトするドラフト装置4と、ドラフト装置4の下流側に設けられ、該ドラフト装置4から送られる繊維束5に撚りを施して紡績糸を生成する紡績装置6と、該紡績装置6の下流側に設けられた送り装置7と、該送り装置7の下流側で紡績糸8を巻き取る巻取装置9とを備え、スライバ2を実撚り状の紡績糸にしてパッケージ3に巻き取るものである。
【0024】ドラフト装置4は、最も上流側に配置されるバックローラ10と、バックローラ10の下流側に配置されるサードローラ11と、サードローラ11の下流側に配置されるエプロン12を有するセカンドローラ13と、最も下流側に配置されるフロントローラ14とからなる。
【0025】図1に示すように、紡績装置6は、後述のノズル部16に対して着脱自在の繊維束導入ガイド部材24と、空気噴射孔20を有する紡績ノズル26と、該紡績ノズル26を保持し、外殻を形成する中空のノズルホルダ15とからなるノズル部16と、該ノズル部16に対して着脱自在であり、上記空気噴射孔20に連通するエア供給流路21が穿設されたノズルキャップ35と、紡績ノズル26の下流側に設けられ、紡績ノズル26から送られてくる繊維束5の通過経路であると共に、その先端部において紡績糸8を形成する中空ガイド軸体17とからなる。紡績ノズル26とノズルホルダ15は互いに一体に固定されている。
【0026】中空ガイド軸体17は、先細の略円筒状に形成されており、先端の開口18を上記繊維束導入ガイド部材24の、撚り伝播阻止用ガイド部材であるニードル19へ向けて配されている。ここで、紡績点(糸生成箇所)である中空ガイド軸体17先端位置で旋回空気流により繊維束5に付与された撚りがフロントローラ14迄伝播するのを阻止する。これにより、旋回空気流にさらされたファイバ後端が繊維束5から分離され、中空ガイド軸体17先端部に巻き付きながら中空ガイド軸体17内に引き込まれて紡績糸を製造する。
【0027】ノズルホルダ15は、上記空気噴射孔20から噴射されたエアを紡績装置外部に排出するための排気通路となる空気室22を形成する。
【0028】繊維束導入ガイド部材24は、ドラフトされた繊維束5を導入する案内孔23を有し、該案内孔23から排出された繊維束5の流路上にニードル19を保持している。ノズル部16は、繊維束導入ガイド部材24の下流側において中空ガイド軸体17の先端部25を所定の間隔を隔てて覆っている。更に、上記ニードル19の先端と中空ガイド軸体17先端の開口18との間は、糸種や糸太さを含む紡績条件に応じた所定の間隔を有している。尚、場合によれば、ニードル19先端が中空ガイド軸体17の糸通路内に挿入されてもよい。
【0029】図2及び図3に示すように、繊維束導入ガイド部材24は、耐摩耗性のファインセラミックスにより形成され、外観を略円柱状に形成されている。ニードル19は、金属製の針で構成されており、繊維束導入ガイド部材24の中心線上に一体に設けられているニードル19の先端部は、繊維束導入ガイド部材24から突出されている。
【0030】繊維束導入ガイド部材24の案内孔23は断面円形状の孔であり、略ニードル19に沿って形成されている。案内孔23はニードル19の基端側に導入口27を位置させると共に、ニードル19の先端側に排出口28を位置させている。
【0031】図3に示すように、導入口27は、繊維束5の導入方向から見て楕円状又は長孔状に形成されており、案内孔23の奥へ向かうにつれて断面円形状に狭まるようにテーパ部29が形成されている。そして、導入口27から導入された繊維束5をテーパ部29で漏斗状に集めて排出口28へ導くようになっている。
【0032】図2及び図3に示すように、案内孔23は、中間で屈曲されており、屈曲部30を境に導入口27側に形成されるニードル19と並行な導入通路31と、屈曲部30の排出口28に形成されニードル19に対して傾斜された傾斜通路32とからなる。
【0033】上記屈曲部30は、案内孔23内を移動する繊維束5の移動速度をコントロールするためのものであり、屈曲部30の屈曲角度は、排出口28から出る繊維束5の移動速度が均整な紡績糸8を得るために最適な速度となるように決定される。
【0034】図2に示すように、導入通路31は、ニードル19から所定の間隔を隔てて形成されている。屈曲部30は、案内孔23の若干排出口28側に位置されている。
【0035】傾斜通路32は、排出口28側をニードル19に近づけるように傾斜されており、繊維束5をニードル19へ案内するようになっている。即ち、上記傾斜通路32は、排出口28近傍でニードル19とねじれた位置で公差するように形成されており、ニードル19を排出口28の片側一方に位置させるように形成されている。
【0036】図1、図2に示すようにノズルキャップ35は、繊維束ガイド部材24をノズル部16(ノズル26又はノズルホルダ15)との間で挟持した状態でノズル部16に対し、留めネジ60により所定位置に固着されるようになっている。従って、ノズルキャップ35を外すと、ノズル部16から繊維束ガイド部材24が開放される。更に、繊維束導入ガイド部材24の外周には環状の密封部材として、リング状弾性部材であるOリング33が、繊維束ガイド部材24の外周に円周方向に沿って形成された溝33aに嵌められている。Oリング33は繊維束ガイド部材24の外周から突出し、ノズルキャップ35により押圧するようになっており、繊維束導入ガイド部材24と紡績ノズル26とを組付けたときに、繊維束導入ガイド部材24とノズルキャップ35との間に挟まれてることにより、上記ノズルキャップ35と繊維束ガイド部材24との間の後述するエア溜まり室20aのエアの漏れを防止するようになっている。そして、エア溜まり室20aのエアがエア噴射孔20から噴射される。
【0037】上記紡績ノズル26は、円筒状に形成されており、繊維束導入ガイド部材24と同心状に組付けられるようになっている。上記紡績ノズル26の内部には繊維束導入ガイド部材24から送られてくる繊維束5に旋回流を当てて紡績するための紡績室34が形成されており、紡績室34内に中空ガイド軸体17の先端部25が同軸状に収容されるようになっている。
【0038】又、上記紡績ノズル26には、紡績室34内に、平面から見て図5に示す反時計方向36の旋回流を発生させるための空気噴射孔20が複数形成されている。空気噴射孔20は、紡績ノズル26の径方向外側から紡績室34内につながる径の細い孔であり、各々空気を紡績ノズル26の内周に沿って流すように中心からオフセットした位置に、且つ繊維束5の送り方向下流側に傾斜して形成されている。
【0039】更に、上記紡績室34は、所定の長さに渡って繊維束5の送り方向下流側へ向けて内径は拡張されており、下流側の端でノズルホルダ15の空気室22に接続されている。
【0040】紡績機による紡績糸の生成を行う際、先ずこの紡績機で扱う糸の糸種や糸太さに応じて定められた長さを有するニードル19を備えた繊維束導入ガイド部材24を選定し、図3に示す矢印38の向きに、上記繊維束導入ガイド部材24をニードル19先端と紡績ノズル26の円筒中心とが略一致するように装着する。
【0041】次に、装着した上記繊維束導入ガイド部材24の導入口27側(図3紙面上側)からノズルホルダ15にノズルキャップ35を装着し、繊維束導入ガイド部材24をノズル26又はノズルホルダ15との間で挟持するように保持する。繊維束導入ガイド部材24及びノズルキャップ35装着後は図1、図2に示すように、繊維束導入ガイド部材24はノズルキャップ35と紡績ノズル26(ノズルホルダ15)との間で挟持され、Oリング33にノズルキャップ35が当接した状態となる。
【0042】ドラフト装置4でドラフトされ、フロントローラ14から送られてくる繊維束5は、繊維束導入ガイド部材24の導入口27に案内され、案内孔23内に導入される。この時、導入口27は楕円状又は長孔状に形成され、内部にテーパ部29が形成されて漏斗状に狭まっているため、繊維束5を円滑に案内孔23内に導入することができる。案内孔23において、繊維束5は、屈曲部にて流れが適度に制動されることとなる。
【0043】案内孔23内に導入された繊維束5は、屈曲部30を通過し、排出口28から紡績室34に送られる。この時、案内孔23は、繊維束導入ガイド部材24を形成するセラミックピースに貫通孔を形成してなるものであり、断面を円形状に形成されているため、繊維束5を引っかけることなく案内することができる。
【0044】又、図5に示すように、紡績室34内には空気噴射孔20からエアが噴射されており、平面から見て反時計方向36の旋回流となる。ここで、ノズルキャップ35と繊維束ガイド部材24との間に形成されるエア溜まり室と、ノズル部16とノズルキャップ35との間に形成されるエア溜まり室とが連通してエア溜まり室20aが形成され、これらのエア溜まり室20aに外部からエア供給流路21を通って圧縮エアを供給することで、ノズル部16に形成された空気噴射孔20から中空ガイド軸体17先端部に向かってエア噴射を行う。ノズルキャップ35と繊維束導入ガイド部材24との間の密封部材として、Oリング33が繊維束ガイド部材24外周から突出し、その突出部をノズルキャップ35により押圧することから、繊維束ガイド部材24が抜け出すのを防止すると共に、上記エア溜まり室20a、空気噴射孔20から噴射エアが紡績部6外部に漏れないようになっている。
【0045】傾斜通路32を経て排出口28から排出された繊維束5は、この旋回流に押されてニードル19に当たり、図5に示すように、ニードル19に巻きかかりつつ中空ガイド軸体17内に導入される。
【0046】この時、傾斜通路32は、排出孔28近傍でニードル19とねじれた位置で公差するように形成されているため、排出口28から排出される繊維束5がニードル19を境に二分されることなく、繊維束5がニードル19の両側に枝分かれするのを防止することができる。
【0047】又、排出口28から排出される繊維束5を構成する繊維37は、中空ガイド軸体17の先端近傍で形成されつつある紡績糸の各繊維に先端側を巻き付けられた状態で中空ガイド軸体17内に導入される。繊維束5の移動に伴って繊維37の後端が中空ガイド軸体17に近づくと、繊維37の後端側は紡績室34内の旋回流によって瞬時に紡績室34内に引き込まれ、中空スピンドル17内へ向かう繊維束5の周囲を振り回されることになる。
【0048】振り回された繊維37の後端側は中空ガイド軸体17内へ導入される繊維束5に引き込まれながらその外周に巻き付いていく。このようにして、連続的に実撚り状の紡績糸を生成する。
【0049】このように、繊維束5は紡績室34内では旋回流によって振り回されて、撚られるが、繊維束5はニードル19に一旦巻きかかってから送られるため、繊維束5の撚りがニードル19の上流側に伝播することなく紡績することができる。
【0050】そして、繊維束導入ガイド部材24の排出口28から送られる繊維束5は、案内孔23の屈曲部30で制動されており、適度な速度で送られてくるため、均斉度の高い紡績糸を得ることができる。
【0051】又、繊維束導入ガイド部材24は、紡績ノズル26に対し、密封部材であるOリング33を介して着脱自在なものとしたため、扱う糸の糸種や糸の太さに応じて繊維束導入ガイド部材24を交換することができ、多品種の生産に適応した紡績装置6を得ることができる。
【0052】仮に、紡績機1にて紡績糸8の糸物性の不良なものが生成された場合、或いは、不良ではないが、所望の糸物性とは異なる紡績糸8が生成された場合、紡績装置6内における上記原因の究明を行う際、上記繊維束導入ガイド部材24、ノズル部16のいずれかを交換し、紡績糸8の生成実験を行うことにより、繊維束導入ガイド部材24、ノズル部16のいずれに原因があるのかを評価することが容易となる。
【0053】密封部材を弾性変形可能なOリング33とすることにより、繊維束導入ガイド部材24を紡績ノズル26に装着する際、繊維束導入ガイド部材24とノズルキャップ35及びノズル部16との間における設計上の微小な部品公差を弾性吸収することができる。従って、繊維束導入ガイド部材24とノズルキャップ35及びノズル部16との間に間隙が生じ、繊維37がこの間隙に入り込んで引っ掛かるのを防止することができる。
【0054】更に、図6に示す他の実施形態のように、フロントローラ42の下流側に位置し、噴射孔48を有した紡績ノズル41及びノズルホルダ43からなるノズル部45と、撚り伝播阻止部材であるニードル51、糸案内孔44を有し、ノズル部45に対し着脱自在の繊維束導入ガイド部材40と、ノズルキャップ46と、中空ガイド軸体47とからなる紡績装置6aにおいて、アダプタ49を嵌着して形成された繊維束導入ガイド部材40を用いると共に、該繊維束導入ガイド部材40のアダプタ49外周に円周方向に沿って形成された溝50aにOリング50を嵌め、繊維束導入ガイド部材40を紡績ノズル41に、且つOリング50をノズルキャップ46に当接させ、留めネジ61がノズルホルダ43、ノズルキャップ46に螺着して、該ノズルホルダ43、ノズルキャップ46を所定位置に固着せしめることにより、ノズル部45の紡績ノズル41とノズルキャップ46との間に嵌め込まれた繊維束導入ガイド部材40を紡績ノズル41とノズルキャップ46との間の所定位置に挟持させるように設け、繊維束ガイド部材40とノズルキャップ46とノズル部45とによりエア溜まり室48aを形成したものでもよい。
【0055】以上のように、「従来の技術」では、繊維束導入ガイド部材の側壁と外枠部材の側壁とで繊維束案内通路が形成されている場合、繊維束導入ガイド部材と外枠部材との間のわずかな間隙に繊維が引っ掛かるという可能性があったが、本発明では、繊維束導入ガイド部材24、40が糸案内孔23、44を形成していることにより、上記の問題を回避することができる。
【0056】上記実施形態においては、上記繊維束導入ガイド部材24、40により保持され、上記中空ガイド軸体17、47と対向する位置にニードル19、51を設けたものについて説明したが、上記ニードルを有しないものにおいても適用することができる。ニードル19、51を有しない場合でも、例えばノズル26、41や繊維束ガイド部材24、40の不良、破損に対して、ノズル26、41のみ又は繊維束ガイド部材24、40のみを容易に交換することが可能となる。
【0057】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されるので、以下のような効果を奏する。
【0058】この発明では、ドラフト装置からの繊維束が導入される案内孔を備えた繊維束ガイド部材と、該繊維束ガイド部材の下流側に設けられてエア噴射孔を有するノズル部と、糸通路を備えた中空ガイド軸体とを備え、エア噴射孔から噴射したエアにより、中空ガイド軸体の先端部に旋回気流を発生させて紡績糸を生成する紡績装置であって、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を着脱自在とし、ノズルキャップをノズル部に取り付けて、ノズル部に対して繊維束ガイド部材を取り付けるようにしたことにより、ノズルキャップをノズル部から取り外すことで繊維束ガイド部材を簡単に取り外し、交換することが可能となる。更に、上記ノズルキャップにより、ノズル部との間で繊維束ガイド部材を挟持するようにしたことにより、ノズル部からノズルキャップを取り外して、挟持力を開放するだけで、より簡単に繊維束ガイド部材をノズル部から取り外すことができる。
【0059】又、上記ノズルキャップにより弾性部材を介して繊維束ガイド部材を挟持するようにしたことにより、ノズルキャップ、繊維束ガイド部材及びノズル部の部品公差を弾性部材の弾性変形で吸収することが可能となる。従って、繊維束導入ガイド部材とノズルキャップ及びノズル部との間に間隙が生じ、繊維がこの間隙に入り込んで引っ掛かるのを防止することができる。
【0060】上記弾性部材は、繊維束ガイド部材の外周に嵌められたリング状とし、上記繊維束ガイド部材の外周に円周方向に沿って溝が形成され、該溝にリング状の弾性部材を嵌めて、上記ノズルキャップと繊維束ガイド部材との間にノズル部のエア噴射孔から噴射されるエアのエア溜まり室を形成したことにより、繊維束ガイド部材とノズルキャップとの間からのエア漏れを防止することができるため、エア噴射孔からの噴射エアによる旋回流が乱れるのを防止することができる。
【0061】更に、紡績機にて紡績糸の糸物性の不良なものが生成された場合、或いは、不良ではないが、所望の糸物性とは異なる紡績糸が生成された場合、紡績装置内における上記原因の究明を行う際、上記繊維束導入ガイド部材のみ又は、ノズル部のみを交換して糸を生成してみることでいずれによるものかを評価することが容易となる。
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成12年6月8日(2000.6.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−348736(P2001−348736A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−171733(P2000−171733)