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【発明の名称】 バンチ巻き装置を備えた作業台車
【発明者】 【氏名】馬場 健治

【要約】 【課題】バンチ巻き装置の動作を疑似的に行うことにより所望の動作との誤差を確実に認識することが可能で、且つ作業者にとって、上記誤差の補正が容易に行える構造の作業台車を提供すること。

【解決手段】バンチ巻き駆動用モータ1、カム3乃至5を含むバンチ巻き駆動部を作業台車Ad前面に設け、作業台車Adを機台から取り出すことなく作業台車Adの前面からカム調節を行えるようにし、バンチ巻き駆動部からバンチレバーV迄の距離が短くなることから、バンチ巻き駆動部が作業台車Adの奥側に位置する場合に比べてリンク数減少が可能である。更に、バンチ巻き駆動用モータ1の手動操作部として、レンチ差し込み孔27が設け、バンチ巻き駆動用モータ1を作動させる代わりに該差し込み孔27にレンチ29を挿入して手動でのモータ軸2低速回転を可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前面を糸が走行する紡績機の内部において多数並設された紡績ユニット間を走行自在とし、紡績ユニットへの空ボビン供給後にバンチ巻きを形成するためのバンチ巻き装置を備えた作業台車であって、バンチ巻き装置を駆動するモータを作業台車の前面側に設けたことを特徴とするバンチ巻き装置を備えた作業台車。
【請求項2】モータと、ボビンの軸方向に糸を寄せるバンチレバーとを連結する伸縮自在な連結棒を作業台車の前面側に配した請求項2記載のバンチ巻き装置を備えた作業台車。
【請求項3】バンチレバーがバンチ巻き位置に保持される時間を調節するためのバンチレバー調整部材を作業台車の前面側に配した請求項1又は2記載のバンチ巻き装置を備えた作業台車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前面側を糸が走行する紡績機内部において、紡績ユニットへの空ボビン供給後にバンチ巻きを形成するためのバンチ巻き装置を備えた作業台車に関する。
【0002】
【従来の技術】作業台車は多数の紡績ユニットが並設された紡績機の紡績ユニット間を走行自在に設けられており、該作業台車が停止し、空ボビンを供給されたユニットには、通常の巻取作業を行う前に上記空ボビンに対し、作業台車に搭載された糸寄せレバーにより、糸をボビンを挟持するクレードルアームの一方向に移動させる。上記クレードルアームに取着されたボビン把持部にて形成された切り欠きに糸を引っかけ、ボビンの回転により糸を切断すると共に、バンチレバーにより、バンチ巻き位置迄ボビンの軸方向に糸を寄せてバンチ巻きを施して通常の巻取作業の行程へと移るようになっている。
【0003】バンチ巻き装置を構成するバンチレバー及び糸寄せレバーの回動を作動させるべく、バンチレバー調整部材でもあるバンチレバー回動用及び糸寄せレバー回動用のカムがモータと連結している同一の駆動軸に取着されて設けられている。バンチレバー回動用カムは、糸寄せレバー回動用カムに対してモータの軸を中心に位置変更可能となっており、このバンチレバー回動用カムの位置変更を行うことにより、バンチレバーがバンチ巻き位置に保持される時間即ちバンチ巻き量を調節することが可能となっている。
【0004】更に、バンチレバーとバンチレバー回動用カムを連結するリンク及び糸寄せレバーと糸寄せレバー回動用カムを連結するリンクのうち少なくとも1本のリンクには伸縮自在な連結棒としてターンバックルが用いられており、作業者がターンバックルの長さ調節を行うことによってバンチ巻き位置及び糸寄せ位置が調節可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】バンチ巻き量を調節する際、先ずバンチ巻きを実施する。その結果、バンチ巻き量が所望の量でない場合、そのバンチ巻きの状態を作業者が確認した後、所望のバンチ巻き量と上記結果との誤差を比較する。しかしながら、糸が走行する側を前方として従来のカム(バンチレバー調整部材)は作業台車の奥側に位置していたため、機台内部の作業台車停止位置での上記カムの操作が困難であったことから、作業台車を一旦機台から取り出し、作業者は、上記の比較した結果に基づいて上記バンチレバー回動用カムの移動によるバンチ巻き量調節を作業台車取り出し位置で行っていた。更に、再度バンチ巻きを実施し、再びバンチ巻き量が所望の量でない場合上記と同様の作業を繰り返す必要があった。
【0006】他に、バンチ巻き装置が作業台車の奥側に位置している問題点としては、バンチ巻き装置のレバーのうち、特にバンチ巻きの位置を決める際に重要となるバンチレバーのバンチ巻き位置調節を行うには、先ずバンチ巻き装置をモータ駆動により動作させて作業者はバンチレバーの回動を目視する。作業者は目視により確認した上記位置を記憶し、所望の位置との誤差を予想し、その予想に基づいて感覚的に各レバーに連結されたターンバックルの長さ調節を行っていた。しかしながら、バンンチレバーの回動が高速に行われるため、これを目視することは作業者にとっては極めて困難であると共に、ターンバックルが作業台車奥側に位置しているために、ターンバックルの長さ調節を行う際、紡績機前面側から作業を行う作業者は作業台車の奥側に手を延ばす必要があった。更に、バンチレバー回動用カムが奥側にあり、バンチレバーが前面側にあるため、上記バンチレバーとバンチレバー回動用カムとの間に介在するリンク数が複数存在するために、リンク間における動作中の誤差により以上の調節を行ったとしても、その調節に基づく回動が正確に行われないという点が挙げられる。
【0007】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、バンチ巻き装置の動作を疑似的に行うことにより所望の動作との誤差を確実に認識することが可能で、且つ作業者にとって、上記誤差の補正が容易に行える構造の作業台車を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、前面を糸が走行する紡績機の内部において多数並設された紡績ユニット間を走行自在とし、紡績ユニットへの空ボビン供給後にバンチ巻きを形成するためのバンチ巻き装置を備えた作業台車であって、バンチ巻き装置を駆動するモータを作業台車の前面側に設けたことを特徴としている。この発明では、バンチ巻き装置を駆動するモータを作業台車の前面側に設けたことにより、モータとバンチ巻き装置(バンチレバー及び糸寄せレバー)との間に介在するリンク数を減らすことが可能となる。更に、作業台車前面側に上記バンチ巻き装置を低速にて動作させるための操作部を設けることが可能となり、バンチレバーをあえて低速で回転させて所望のバンチ位置との誤差を目視で容易に確認することが可能となる。ここで、上記操作部を手動回転可能な手動回転操作部とすれば、作業者がバンチレバーの回動速度を所望のタイミングで減速或いは停止させることが容易となる。尚、前面側とは、紡績機機台において、紡績ユニットの糸走行側を前方とした際、前方にある面の周辺部を指すこととし、上記バンチ巻き装置を構成するものはバンチレバーと糸寄せレバーとを指すこととする。又、低速とはバンチ巻き装置の通常動作と比較して低速である範囲を指すものとする。
【0009】請求項2記載の発明は、モータとボビンの軸方向に糸を寄せるバンチレバーとを連結する伸縮自在な連結棒を作業台車の前面側に配したものである。この発明では、モータ及びボビンの軸方向に糸を寄せるバンチレバーとを連結する伸縮自在な連結棒を作業台車の前面側に配したことにより、ターンバックルを用いた作業者による前面側からのバンチ位置調節を容易に行うことが可能となる。
【0010】請求項3記載の発明は、バンチレバーがバンチ巻き位置に保持される時間を調節するためのバンチレバー調整部材を作業台車の前面側に配したものである。この発明では、バンチレバーがバンチ巻き位置に保持される時間を調節するためのバンチレバー調整部材を作業台車の前面側に配したことにより、バンチレバーがバンチ巻き位置に保持される時間即ちバンチ巻き量調節時において、作業台車を一旦紡績機機台から取り出すことなく上記バンチレバー回動用カムの移動によるバンチ巻き量調節を行うことが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施の形態に限定されるものではない。
【0012】図1、図9は本発明実施の形態における紡績ユニットU及び作業台車Adの側面図を示している。図2、図3は本発明の実施の形態におけるバンチレバーV及び糸寄せレバーZの駆動部を示す正面図、側面図であり、図4乃至図6はバンチ巻き装置駆動部のカムを示した正面図である。図7は糸寄せレバーZの待機状態を示す平面図である。図8は種糸給排部Sを示す斜視図である。図10乃至図12はバンチレバーV及び糸寄せ装置Zの動作を示す斜視図及び平面図である。
【0013】本実施形態の紡績機は、図1に示す紡績ユニットUが多数並設されたものであり、これらの紡績ユニットU間には、作業台車Adが走行自在に設けられている。
【0014】紡績ユニットUは、加撚装置u1の上流側にドラフト装置のフロントローラu3、u3’が設けられ、加撚装置u1の下流側には、エア噴射パイプu8を有した糸引き込み部u2、糸引き込み部u2の下流側には糸送り装置としてデリベリローラu4、ニップローラu5が設けられており、糸送り装置の下流側にはクレードルアームD及び駆動ローラu6が設けられている。
【0015】図1に示す作業台車Adはレールr1上に載置される車輪a1及びレールr2を挟持する一対又は複数対のガイドローラa2、a2’を有しており、作業台車Adにおいて糸走行側である前面側には、糸案内板g1、g2、糸寄せ部材g3を有した糸案内部G、種糸パッケージC、軸t1を中心に旋回可能であり、先端部に糸把持部材t2を有したトランスファーアームT、軸m1を中心に旋回可能な吸引管レバーM、種糸給排部Sが配されている。又、上記駆動ローラu6の上方にはバンチレバーV、駆動ローラu6の下方には糸寄せレバーZ(以降バンチレバーV,糸寄せレバーZを総合してバンチ巻き装置と述べる。)が配され、バンチレバーVの上方には、バンチ巻き装置の駆動部が配されている。該バンチ巻き装置の駆動部はバンチ巻き装置の駆動源となる駆動モータ1を有している。
【0016】バンチ巻き装置の駆動部は、バンチレバーVがバンチ巻き位置に保持される時間を調節するための調整部材であるカム4、5を含んでいる。図2、図3に示すように、バンチ巻き装置駆動用モータ1の前面側にモータ軸2が突出し、モータ軸2には図4乃至図6に示すカム3、4が固定されており、カム5はカム4に対して回動可能に設けられている。又、軸28に枢着されたリンク7には、カム3に当接するカムフォロワ9が設けられている。リンク7は伸縮自在な連結棒であるターンバックル12とロッドエンド11、軸19を介して回動自在に連結されており、リンク7と連結された側と反対側のロッドエンド13は、軸19と直交する方向の軸21を介して連結板14と連結され、連結板14は、軸21の方向に延びる回転軸15に取り付けられている。モータ軸2の先端部には、バンチ巻き装置手動操作部としてレンチ29の挿入を許容するレンチ差し込み孔27が設けられている。
【0017】図3に示すように、カム4、5は2枚重ねで互いに近接して設けられており、軸28に枢着されたリンク6には、カム4、5に当接するカムフォロワ8が設けられている。リンク6はターンバックル16とロッドエンド10、軸20を介して回動自在に連結されており、リンク6と連結された側と反対側のロッドエンド18は軸22を介して、先端部に糸道規制部v2を有したバンチレバーVと連結されている。又、バンチレバーVは軸v1を有しており、該軸v1と軸22との間から、ロッドエンド10にかけてバネ17が取り付けられている。更に、図2、図5、図6に示すようにカム4はモータ軸2の周辺に2本のボルト23、25が突出し、カム5はモータ軸2を中心として長孔状の溝24、26が上記ボルトと嵌合可能に設けられている。ここでは、ボルトに螺合するナットは省略している。
【0018】図4に示すカム3の縁の途中にはモータ軸2からの距離が急激に変化する点X1、カム4の縁の途中においてもモータ軸2からの距離が急激に変化する点X2、カム5の縁の途中にはモータ軸2からの距離が徐々に減少する点X3が設けられている。
【0019】図7、図12に示すように、上記軸15はリンクz1に取り付けられており、リンクz1は回動軸z9を介してリンクz2と連結されている。更に、リンクz2と、回動軸z11を介してリンクz3と連結されており、リンクz3は固定軸z8に枢着されると共に、回動軸15を介してリンクz5と、回動軸z13を介してリンクz6と連結されている。リンクz5は、リンクz5は回動軸z12を介してリンクz4と連結され、リンクz4は固定軸z7に枢着されている。リンクz6は回動軸z14を介して糸寄せレバーZと連結しており、糸寄せレバーZは回動軸10を介してリンクz5と連結している。又、糸寄せレバーZ先端部には糸道規制部z16が設けられている。
【0020】図8に示すように、種糸パッケージCの下方には、種糸給排部Sが設けられ、該種糸給排部Sは種糸導入孔s3、種糸排出用エア噴射孔s4、噴射エア供給パイプs5、s7により構成された種糸給排パイプs1を有している。種糸給排パイプs1は軸s2を中心に旋回自在となっていると共に、図1において紡績機機台に設けられた吸引ダクトu7と連結可能なパイプs6と連通し、連結部近傍には糸Yを切断すると共にパイプs6を遮蔽可能とするシャッターカッタs8が設けられている。種糸パッケージCと種糸給排部Sとの間には、糸ガイドc1、糸道規制パイプc2が設けられ、待機状態においては、種糸パッケージCから解舒された糸Yは糸道規制パイプc2出口から上記種糸導入孔s3を通って図8の破線で示すように、パイプs6内に貯留されている。
【0021】図10に示すように、駆動ローラu6近傍に配されたクレードルアームDは、駆動ローラ側に切り欠きd3が形成され、クレードルアームDの先端部にはボビン把持部d1が取り付けられており、該ボビン把持部d1には切り欠き部d2が形成されている。
【0022】図1の紡績ユニットUのドラフト装置のフロントローラu3、u3’は、上流側から送り込まれたスライバを細く引き伸ばして繊維束にし、該繊維束を加撚装置u1に送り込むようになっており、加撚装置u1は上流側より送られた繊維束に旋回気流を作用させて実撚りを施すようになっている。エア噴射パイプu8を有した糸引き込み部u2は下流側より送られる糸Yをエア噴射パイプu8により上流側に向かって噴射される噴射エアの作用により上流側の加撚装置u1へ送り込むようになっている。糸引き込み部u2の下流側にある糸送り装置であるニップローラu5とデリベリローラu4とは接離可能となっており、糸送り装置の下流側の駆動ローラu6は、クレードルアームDに挟持された図10の二点鎖線で示すボビンBに接触して回転駆動させるようになっており、クレードルアームDはボビンBを回転自在に支持するようになっている。
【0023】図1に示す作業台車Adはレールr1、レールr2に沿って紡績機長手方向に並設された紡績ユニットU間を往復動し得るようになっており、作業台車Adによる作業を必要とするユニットUが存在した場合、そのユニットUに停止するようになっている。
【0024】種糸パッケージCから解舒される種糸Yは図10に示す空ボビンBへの巻き取り開始時に用いられるものであり、巻取途中の糸切れの際には用いないようになっている。吸引管レバーMは図9の二点鎖線位置迄軸m1を中心として旋回可能で、先端の開口部は糸継ぎ時に吸引力を有しており、下流側(下方)の糸端を二点鎖線で示すように吸引把持して上流側(上方)に誘導するようになっている。糸案内部Gは、上記吸引管レバーMが糸端を上流側に誘導した際に前方へ突出し、糸Yが糸寄せ部材g3によって糸案内板g1と糸案内板g2へ案内されるようになっており、上記案内板g1、g2間に設けられた図示しないカッタは、案内された糸Yを切断するようになっている。トランスファーアームTは、軸t1を中心に図1、図9において時計回りに旋回するようになっており、トランスファーアームT先端の糸把持部t2は糸案内板g1と糸案内板g2との間にある糸Yを把持するようになっている。
【0025】バンチ巻き装置の駆動部は、図2、図3に示すように、バンチ巻き装置駆動用モータ1により、カム3乃至5は図2においてモータ軸2を中心にして反時計方向に回動するようになっており、カム3の回転で、比較的モータ軸2からの距離が急激に変化する点X1でカムフォロワ9が当接すると糸寄せレバーZが図12に示す糸寄せ位置に回動するようになっている。尚、糸寄せレバーZ側のターンバックル12は、該ターンバックル12を回転させることによって軸19と軸21との距離を調節するようになっており、この調節に伴って図12に示す糸寄せ位置を調節することができるようになっている。
【0026】バンチ巻き装置駆動用モータ1のモータ軸2の先端に設けられたレンチ差し込み孔27は、作業者が図3に示すレンチ29を挿入できるようになっており、作業者は、バンチ巻き駆動用モータ1を作動させる代わりに、レンチ差し込み孔27に挿入したレンチ29を回転させることによって、カム3乃至5を回転駆動させて、バンチ巻き装置の駆動を疑似的に行えるようになっている。
【0027】図2において、バンチレバーVはボビンBの軸方向(図2紙面左右方向)に糸Yをよせるようになっており、バンチ巻き装置側のターンバックル16は、該ターンバックル16を回転させることによって軸20と軸22との距離を調節するようになっており、この調節に伴って図11に示すバンチ巻き位置を調節することができるようになっている。カム4に設けられた比較的モータ軸2からの距離が急激に変化する点X2でカムフォロワ8が当接すると、バンチレバーVが図11に示すバンチ巻き位置(先端がボビンB端部にある位置)に回動するようになっている。又、カム5において、モータ軸2からの距離が徐々に減少する点X3でカムフォロワ8が当接すると、バンチレバーVがバンチ巻き位置から待機位置への回動を行い、バンチ巻きを終了するようになっている。又、バンチレバーVがバンチ巻き位置から待機位置への回動を行う前に、バンチレバーVはバンチ巻き位置よりボビンBの端部方向へ更に1mm乃至2mm程度寸動することにより、糸Yがバンチ巻き箇所を斜めに押さえつけて、バンチ巻きを固定するようになっている。ここで、バネ17は常時バンチレバーVを待機位置に保持するように付勢しており、カム4、5の作用によりバネ17の付勢力に抗してバンチレバーVが軸v1を中心にバンチ巻き位置に回動した場合、上記バネ17は伸長し、カム4、5の作用によりバンチレバーVが待機位置への回動を始めると収縮して、軸v1を中心とした待機位置へ回動させる方向に付勢するようになっている。
【0028】図6に示すようにカム5の長孔状の溝24、26をカム4の2本の突出したボルト23、25に沿わせて回動可能に設けてあることから、モータ軸2に固定されているカム3の点X1、カム4の点X2とカム5の点X3との距離を調節することができる。従って点X1からのX3の距離を調節することによって、図12に示す糸寄せレバーZによって糸Yが糸寄せ位置で位置決めされてから、図11に示すバンチレバーVによってバンチ巻きを終了する迄の時間(バンチレバーVが待機位置に戻る迄の時間)を調節することができるようになっている。図1に示すように、バンチ巻き装置駆動部が前方(作業台車Ad前面側)に位置することから、作業者は上記の調節を作業台車Adが紡績機内の停止位置にある状態で容易に行える。
【0029】糸寄せレバーZの図7から図12への動作について説明する。カムz3の作用により、上記軸z15が回動すると、リンクz2が回動軸z9を中心に回動しながら図12、図7紙面右方向に押される。ここでリンクz2はリンクz3を回動軸z11を介して、固定軸z8を中心として右上方に押し出すと共に、リンクz5を回動軸z15を中心に、リンクz6を回動軸z13を中心として右方向へ押し出す。リンクz5の回動に伴って、リンクz4は回動軸z12の移動によって固定軸z7を中心に時計方向への回転を行う。リンクz4、z5の回動により回動軸z10は右下方向に押し出され、この作用と、上記リンクz6の回動に伴う回動軸z14の右下方への移動により糸寄せレバーZは時計方向に回動し、クレードルDをオーバーランして糸寄せ位置に位置するようになっている。
【0030】図8において、種糸パッケージCの下方の種糸給排部Sは、パイプs6が、紡績ユニットUで停止することにより紡績機の吸引ダクトu7と連結するようになっている。この連結が行われた際に、種糸導入孔s3から導入された糸Yを図8の破線で示す状態で吸引し、上記連結が解除された後においても糸Yを種糸給排部S内に貯留するようになっている。ここで、糸継ぎ作業が行われる際は図9に示すように、種糸給排パイプs1が軸s2を中心に旋回すると共に、シャッターカッタs8が吸引ダクトu7とパイプs6との連結を遮断する。この状態で、噴射エア供給パイプs5から供給されたエアが種糸排出用エア噴射孔s4から先端開口に向かって噴射され、図8の破線で示す貯留された糸Yを図9の二点鎖線で示すように種糸給排パイプs1から排出するようになっている。更に、糸継ぎ作業が完了すると、シャッターカッタs8が開くと共に、噴射エア供給パイプs7から吸引ダクトu7方向へ向かう噴射エアが供給されて再び吸引ダクトu7方向の吸引力が付与されるようになっている。
【0031】図10に示すように、クレードルアームDの切り欠きd3は糸寄せレバーZがクレードルDをオーバーランして糸寄せ位置に位置する際に、該糸寄せレバーZとクレードルDとが互いに干渉するのを防止するためであり、バンチレバーVのボビンB方向への糸寄せにより、ボビン把持部d1の切り欠きd2に引っかけられるようになっている。ここで、駆動ローラu6の回転に伴う空ボビンの回転でボビン把持部d1が回転することにより切り欠きd2に引っかけられた糸Yが引きちぎられて切断されるようになっている。
【0032】作業者は、予め、図3に示すレンチ29をバンチ巻き装置手動操作部であるレンチ差し込み孔27に挿入し、図2においてモータ軸2(レンチ29)を反時計方向へ回転させることにより疑似的にバンチ巻き装置を手動で駆動させる。カムフォロワ8がカム4の回転でX2に当接すると、リンク6が図2紙面右方向へ移動すると共にロッドエンド18、軸22を紙面右方向へ移動させる。この動作により、図10及び図11に示すように、バンチレバーVは軸v1中心に図2において時計方向へと回動してバンチ巻き位置に位置する。この時点でモータ軸2の回転を中断し、バンチ巻き位置を確認すると共に所望のバンチ巻き位置との誤差が生じている場合、レンチ29を静止させたまま、ターンバックル16を回転させてバンチレバーVのバンチ巻き位置を補正する。
【0033】ここで、更にモータ軸2を回転させてカム3の回転に注目し、カムフォロワ9がカム3の回転で点X1に当接すると、上述したリンク及び軸(z1乃至z15)の動作により、糸寄せレバーZは図12に示す糸寄せ位置に位置する。この時点でモータ軸2の回転を中断し、糸寄せ位置を確認すると共に所望の糸寄せ位置との誤差が生じている場合、レンチ29を静止させたまま、ターンバックル12を回転させて糸寄せレバーZの糸寄せ位置を補正する。補正が終了すれば、作業者はカム3乃至5とカムフォロワ8、9との当接位置を当初の位置に戻すことにより、バンチ巻き装置を各々所定位置へと戻す。
【0034】ある紡績ユニットUで図1に示す作業台車Adが停止し、新たな空ボビンBが供給される時、図8において、紡績機の吸引ダクトu7が糸給排部Sのパイプs6と連結し、種糸パッケージCから解舒された糸Yは上記吸引ダクトu7により吸引された状態であるが、糸給排パイプs1が軸s2を中心に図9に示す方向へ回動し、シャッターカッタu8が閉じて吸引ダクトu7からの吸引力を遮断すると共に、噴射エアが種糸排出用エア噴射孔s4より供給される。この噴射エアにより糸Yの糸端は図9の二点鎖線で示すように、クレードルアームDと駆動ローラu6との間から作業台車Ad前方へ送り出される。
【0035】次に、吸引管レバーMが先端部にて吸引力を有した状態で図9に示すように軸m1を中心として二点鎖線で示した位置まで旋回し、上記の作用で送りだされた糸端を吸引把持する。糸Yを吸引把持した吸引管レバーMは再び実線で示す上方へと旋回した後、糸案内部Gが前方に突出して糸Yを糸寄せ部材g3により糸案内板g1、g2へと案内する。糸案内板g1、g2によりボビンB軸方向の所定位置に位置決めされた糸Yは、軸t1を中心に旋回したトランスファーアームTの先端部に設けられた把持部材t2に把持される。更に、糸Yは上記把持部材t2の上方にて、糸案内板g1と糸案内板g2との間に設けられた図示しないカッタにより切断され、吸引管レバーM側の糸は吸引され排出される。糸給排パイプs1は、糸端の吸引管レバーM先端部への受け渡しが終了すると再び、図1に示す位置へと退避する。
【0036】トランスファーアームTに把持された糸Yは、トランスファーアームTの図1の二点鎖線で示す位置へ旋回することにより、加撚装置u1下流側の糸引き込み部u2に送られた後、エア噴射パイプu8の噴射エアにより加撚装置u1へ送り込まれて、この糸Yを種糸として糸継ぎが行われる。尚、トランスファーアームTが二点鎖線への旋回を行う時、ニップローラu5はデリベリローラu4から離反した状態にある。
【0037】加撚装置u1での糸継ぎが完了すると、トランスファーアームTが図9に示す位置に旋回して、ニップローラu5はデリベリローラu4と再び接触し、下流側へと糸Yを送り込むように作用する。糸案内部Gについては図1に示す位置へと退避している。下流側へ送り込まれた糸Yは種糸パッケージCと繋がっている状態が続いており、この時、糸継ぎが完了した糸の走行開始と略同時に、糸給排パイプs1のエア噴射パイプs7が吸引ダクトu7方向へのエアを噴射するとと共にシャッターカッタs8を開くことにより糸Yは吸引ダクトu7の吸引力で吸引される。更に、空ボビンBは把持したクレードルDにより駆動ローラu6と接触して回転力が付与される。
【0038】次に、バンチ巻き駆動用モータ1が作動することによりモータ軸2が回転を始め、カム3乃至5は図2において反時計方向への回動を行う。ここで、モータ軸2の回転に伴い先ずカムフォロワ8がカム4の点X2に当接すると、バンチレバーVは図11の実線で示すバンチ巻き位置に位置し、糸Yは糸道規制部v2により、ボビンBの軸方向に寄せられつつ、糸道が規制される。モータ軸2が更に回転し、カムフォロワ9がカム3の点X1に当接すると、糸寄せレバーZが図7に示す状態から図10のクレードルアームDの駆動ローラu6側に設けられた切り欠きd3を通ることによりクレードルDをオーバーランして図12に示す糸寄せ位置に接近するが、糸Yは糸寄せ位置に至るまでに、糸寄せレバーZの糸道規制部z16に引っかけられて糸道を規制される。そして、駆動ローラu6の空ボビンBへの回転力付与に伴うボビン把持部d1の回転により、ボビン把持部d1付近を走行中の糸Yは切り欠きd2に引っ掛けられる。上記切り欠きd2に引っ掛かった糸Yはボビン把持部d1の回転によって引きちぎられることにより切断される。
【0039】切断された糸Yのうち、種糸パッケージC側の糸端は、空ボビンBと駆動ローラu6との間を通り抜けて図8の種糸給排部Sの糸給排パイプs1から噴射されるエアとパイプs6で連結された吸引ダクトu7の吸引力とにより、吸引ダクトu7側へ吸引されて図8に示す状態で貯留される。駆動ローラu6とボビンBとが接触回転した状態で、且つ糸道がバンチレバーVの糸道規制部v2によりバンチ巻き位置で規制されている。従って、上流側の糸端は、上記バンチ巻き位置にて空ボビンBに巻き取られる糸Yに押さえつけられ、固定されることからバンチ巻きが開始される。
【0040】モータ軸2が更に回転し、カムフォロワ8が点X3に当接する時点の付近でバンチレバーVは、バンチ巻き位置から待機位置への回動を行う前に、バンチ巻き位置よりボビンBの端部方向へ更に1mm乃至2mm程度寸動し、糸Yがバンチ巻きを斜めに押さえつけて、バンチ巻きを固定する。カムフォロワ8が点X3を通過すると、モータ軸2からの距離が徐々に短くなることから図2においてリンク6が軸28を中心にして時計方向へと回動すると共にロッドエンド10、18が各々図2紙面左方向へ移動することにより、バンチレバーVは軸v1を中心に図2において反時計方向への回動を行うため、待機位置への退避を開始する。このバンチレバーVの待機位置への回動に伴って糸道規制部v2から糸Yが外れることからバンチ巻きが終了することとなる。従って、カム3の点X1からカム5の点X3迄の距離によってバンチ巻きの時間即ちバンチ巻き量が決定される。
【0041】作業者は上記バンチ巻き量が所望の量でないと判断した場合、図1において、バンチ巻き装置駆動部が作業台車Adの前面に、且つ図6に示すカム5の長孔状の溝24、26をカム4の2本の突出したボルト23、25に沿わせて回動可能に設けてあることから、作業台車Adを一旦機台端部へ取り出すことなく作業台車Adの前面から手を延ばしてモータ軸2に固定されているカム3の点X1からカム5の点X3迄の距離を調節を行い、再び上記バンチ巻きを実施する。再度、バンチ巻き量が所望の量でない場合、上記の調節を行う等同様の作業を繰り返すことにより所望のバンチ巻き量へ近づけていく。
【0042】このように、バンチ巻き駆動用モータ1、カム3乃至5を含むバンチ巻き駆動部を作業台車Ad前面に設けることにより、作業台車Adを一旦機台から取り出すことなく作業台車Adの前面から手を延ばしてバンチ巻き量の調節を行うことができる。又、バンチ巻き駆動部からバンチレバーV迄の距離が短くなることから、バンチ巻き駆動部が作業台車Adの奥側に位置する場合に比べてリンク数を減らすことができるため、バンチ巻き終了直前で行うボビンB端部方向への寸動における誤差を減少させることができる。更に、バンチ巻き駆動用モータ1の手動操作部として、レンチ差し込み孔27を設け、バンチ巻き駆動用モータ1を作動させる代わりに該差し込み孔27にレンチ29を挿入して手動でモータ軸2を低速回転させることにより、バンチレバーVをバンチ巻き位置へ、糸寄せ装置Zを糸寄せ位置へ停止させることができるため、上記各位置を所望の位置に調節することが容易になる。
【0043】ここで、バンチ巻き駆動用モータ1によるバンチ巻き装置の駆動の代替手段として上記実施例ではレンチ差し込み孔27とレンチ29とを用いたが、上記モータ1に別途該モータ1の低速運転及び停止制御可能な機能を持たせ、作業者がスイッチ等を用いて外部から操作する方式を採用してもよい。
【0044】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されるので、以下のような効果を奏する。
【0045】請求項1記載の発明によれば、前面を糸が走行する紡績機の内部において多数並設された紡績ユニット間を走行自在とし、紡績ユニットへの空ボビン供給後にバンチ巻きを形成するためのバンチ巻き装置を備えた作業台車であって、バンチ巻き装置を駆動するモータを作業台車の前面側に設けたことにより、モータとバンチ巻き装置(バンチレバー及び糸寄せレバー)との間に介在するリンク数を減らすことが可能となり、リンク間における動作のずれが減少するため、カムによるバンチ巻き装置の動作規制を確実にバンチ巻き装置に伝達することができる。更に、作業台車前面側に上記バンチ巻き装置を低速にて動作させるための操作部を設けることができ、バンチレバーをあえて低速で回転させて所望のバンチ位置との誤差を目視で容易に確認することができる。ここで、上記操作部を手動回転可能な手動回転操作部とすれば、作業者がバンチレバーの回動速度を所望のタイミングで減速或いは停止させることが容易となる。
【0046】請求項2記載の発明によれば、モータと、ボビンの軸方向に糸を寄せるバンチレバーとを連結する伸縮自在な連結棒を作業台車の前面側に配したことにより、ターンバックルを用いた作業者による前面側からのバンチ位置調節を容易に行うことが可能となる。
【0047】請求項3記載の発明によれば、バンチレバーがバンチ巻き位置に保持される時間を調節するためのバンチレバー調整部材を作業台車の前面側に配したことにより、バンチ巻き量調節時において、作業台車を一旦紡績機機台から取り出すことなく上記バンチレバー回動用カムの移動によるバンチ巻き量調節を行うことが可能となり、作業効率を著しく向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−254235(P2001−254235A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−61452(P2000−61452)