| 【発明の名称】 |
糸引き出し装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】馬場 健治
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| 【要約】 |
【課題】従来糸送りローラの従動ローラは正逆転自由に軸支されていたため、従動及び駆動ローラに挟持されている糸が送り出される方向とは逆方向に抵抗を受けた場合、この抵抗力によって従動ローラが糸を送り出す方向とは逆方向に回転し、クランプした糸を逃してしまうという問題があった。また、従動ローラ及び駆動ローラの外周面は金属面で形成されているため、摩擦係数が小さく、クランプした糸を逃す一要因となっていた。
【解決手段】糸をクランプするための駆動ローラ7b及び従動ローラ7cを備え、両ローラを移動させることにより、クランプした糸を引き出すようにした糸引き出し装置70であって、従動ローラ7cとして、一方向のみ回転可能なワンウェイローラを使用した。また、従動ローラ7cの外周面をゴム状とした。前記従動ローラ7cは、前記駆動ローラ7bに対して当接離反可能に構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 糸をクランプするための駆動ローラ及び従動ローラを備え、両ローラを移動させることにより、クランプした糸を引き出すようにした糸引き出し装置であって、従動ローラとして、一方向のみ回転可能なワンウェイローラを使用したことを特徴とする糸引き出し装置。 【請求項2】 前記従動ローラの外周面をゴム状としたことを特徴とする請求項1記載の糸引き出し装置。 【請求項3】 前記従動ローラを、前記駆動ローラに対して当接離反可能に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の糸引き出し装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、紡績機の糸継装置の構成に関するものであり、詳しくは、一対の糸送りローラにより糸を挟持して送り出す糸送り(糸引き出し)装置において、糸のクランプを確実に行い、糸継工程の精度を向上させるための構造に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、紡績機の糸継装置において、糸送りアームを回動自在に構成し、該糸送りアームの先端に1対の糸送りローラを設け、該糸送りローラにより挟持捕捉した糸を、糸送りアームを回動させることにより、糸引き出し位置まで搬送するようにした構成が公知となっている。この1対の糸送りローラは、駆動ローラと、該駆動ローラに接触して回転する従動ローラより構成され、従動ローラを駆動ローラから接離可能に構成し、従動ローラの回動によって両ローラ間に糸を挟持し、さらに駆動ローラの駆動によって、挟持した糸を送り出すように構成している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述した従来構成において、駆動ローラがモータにより駆動する構成に対して、従動ローラはボールベアリングにより正逆回転自由に軸支される構成としていた。このため、糸送りアームが回動することにより、両ローラに挟持されている糸が送り出される方向とは逆方向に抵抗を受けた場合、この抵抗力によって従動ローラが糸を送り出す方向とは逆方向に回転し、クランプした糸を逃してしまうという問題があった。紡績中の糸継工程においては、糸送りアームを回動させる動作に伴い、逆転ローラによって巻取パッケージを逆転させるので、ある程度のテンションコントロールを行うことができるが、それでもクランプした糸を逃してしまう可能性があり、玉揚工程の場合には、巻取パッケージとは別に設けた種糸パッケージから糸を解舒しながら糸送りアームが回動するが、種糸パッケージについては、逆転ローラ等の解舒補助手段が設けられていないと共に、解舒抵抗や経路のパイプ等との摩擦抵抗の影響を受けるため、特に糸逃しを起こしやすいという問題があった。また、従動ローラ及び駆動ローラの外周面は金属面で形成されているため、糸とローラとの接触面積が小さいと共に、摩擦係数が小さく、クランプした糸を逃す一要因となっていた。そこで、ローラ表面をローレット又は梨地にすることにより摩擦力を増大させる方法が考えられるが、従動ローラを回動させて駆動ローラに接触させるローラ接触時に糸に損傷を与える可能性があり、場合によっては糸が切断されてしまうため、有効な方法ではない。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段について説明する。即ち、請求項1記載の如く、糸をクランプするための駆動ローラ及び従動ローラを備え、両ローラを移動させることにより、クランプした糸を引き出すようにした糸引き出し装置であって、従動ローラとして、一方向のみ回転可能なワンウェイローラを使用した。 【0005】また、請求項2記載の如く、前記従動ローラの外周面をゴム状とした。 【0006】また、請求項3記載の如く、前記従動ローラを、前記駆動ローラに対して当接離反可能に構成した。 【0007】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について、添付の図面を用いて説明する。図1は紡績機の通常の巻取り状態を示す全体図、図2は糸継ぎ動作を示す紡績機の全体図、図3は糸継ぎ動作中の糸送り装置の模式図、図4は糸送り装置の断面図、図5は本発明に係る従動ローラの断面図、図6は種糸パッケージよりサッカーパイプに至る種糸の糸道を示す図、図7は玉揚動作におけるピーシングサイクルの初期状態を示す図、図8はピーシングサイクルの途中の状態を示す図、図9はピーシングサイクル終了後の紡績再開時の状態を示す図である。 【0008】まず、図1を用いて紡績機の全体構成及び、通常の紡績工程について説明する。紡績機は並設された複数の紡績ユニットより構成される。各紡績ユニット上部には、バックローラ11B、ミドルローラ11M、フロントローラ11Fとからなるドラフト装置11が設けられ、該ドラフト装置11の下流側に接離可能な中空ガイド軸体装置12aと空気噴射ノズル12b(何れも図2に図示)とからなる紡績部12が設けられ、該紡績部12により生成された紡績糸Yが、常時回転しているデリベリローラ10aと、該デリベリローラ10aに接触して回転するニップローラ10bとの間に把持されて、巻取パッケージ1方向に送られる。ニップローラ10bは、デリベリローラ10aに対して接離可能に構成されている。 【0009】デリベリローラ10a及びニップローラ10bにより下方に案内された紡績糸Yは、クレードルアーム2に把持された巻取パッケージ1に巻き取られる。該巻取パッケージ1は通常の紡績工程においては、フリクションローラ3に当接しており、該フリクションローラ3の回転駆動により巻取パッケージ1が回転する。また、巻取パッケージ1の近傍位置には、逆転ローラ4が設けられており、糸継工程を行う際には、該逆転ローラ4が巻取パッケージ1に接触して、巻取パッケージ1を逆回転させるように構成している。 【0010】次に、糸継装置を含む玉揚装置の構成について説明する。糸継装置を含む玉揚装置は作業台車Cに搭載され、該作業台車Cが各紡績ユニット間を移動しながら、糸継要求の発生した紡績ユニットにおいて糸継動作を行うものである。糸継装置は吸引管レバー5、糸ガイド6、糸送りアーム7、エアーサッカー装置8等より構成されており、上述した紡績工程において、糸切れが発生した場合には、巻取パッケージ1に巻かれた紡績糸Y、又は、別に設置された種糸パッケージから解舒された種糸を捕捉して、種糸として紡績部12の糸排出口から挿入し、上流側から送られる繊維束(スライバ)を巻き付けて、糸継工程(ピーシング工程)を行うものである。 【0011】吸引管レバー5は、図1及び図2に示すように、枢軸5aを中心に回動可能に構成されており、図1に示す通常の紡績工程においては、糸道に干渉しない位置まで上方に回動されている。該吸引管レバー5の先端部には、図3に示すようにサクションマウス5bが設けられており、糸継工程においては、図2に示すように吸引管レバー5が巻取パッケージ1近傍位置まで回動して、該サクションマウス5bにより、パッケージ表面の糸を吸引捕捉するよう構成している。 【0012】糸ガイド6は、図示せぬ枢軸を中心に回動可能に構成されており、図1に示す通常の紡績工程においては、糸道に干渉しない位置まで上方に回動されている。糸ガイド6は、図3に示すように上下方向に2段に配設された上下ガイド6a・6bと、上ガイド6aの上面に配設されたカッター6cとを有しており、糸継工程においては、図2に示すように該糸ガイド6が糸道とラップする前方位置まで回動するように構成している。 【0013】糸送りアーム7は、枢軸7aを中心に回動可能、且つ、その軸方向に移動可能に構成されており、該枢軸7aより湾曲状に延設したフレームの先端には、本発明に係る糸送りローラ等からなる糸送り装置(糸引き出し装置)70が取付けられている。通常の紡績工程においては、図1に示すように、糸送りアーム7は先端に設けられた糸送り装置70が糸道に干渉しない待機位置に回動されている。 【0014】図3及び図4に示すように、糸送りローラは駆動ローラ7bと、該駆動ローラ7bに接触回転する従動ローラ7cとからなる。駆動ローラ7bには連結軸71bが挿入固定され、該連結軸71bには、糸送りローラ駆動用モータであるモータ7eの駆動軸71aが挿入固定されており、該モータ7eの駆動により、駆動ローラ7bが回転駆動する構成としている。 【0015】従動ローラ7cはソケット77に回転自在に軸支されており、該ソケット77が枢軸77aを中心にフレーム76上で図4の矢視Z方向に回動自在に支持されている。ソケット77には凹状に窪んだ係止部77bが形成されており、シリンダ78のピストンロッド79の端部に設けられた係止軸79aが該係止部77bに嵌合しており、ピストンロッド79の伸縮によりソケット77と従動ローラ7cを一体的に矢視Z方向に回動させるようにしている。このような構成により、シリンダ78は従動ローラ7cを駆動ローラ7bに対して接触離反させると共に、駆動ローラ7bに対して従動ローラ7cを所定の押圧力で押し付ける手段となっている。また、前記フレーム76内には、ケース74、モータ支持ブラケット73、Oリング72、ボルト75等を介してモータ7eを弾性支持している。 【0016】そして、本発明に係る従動ローラ7cは、図5に示すように、ワンウェイクラッチ81によって、ローラ軸回りの一方向にのみ回転可能なワンウェイローラとして構成されている。つまり、前記ソケット77には相対回転不能にローラ軸83が挿入固定され、ソケット77より外方に突出したローラ軸83の一端には、ワンウェイクラッチ81が挿嵌されており、該ワンウェイクラッチ81を介して従動ローラ7cが糸を送り出す方向にのみ回転可能に支持される構成としているのである。即ち、従動ローラ7cは、引き出された糸が戻る方向には回転不能となっている。このような構成とすることで、糸継工程、及び、後述する玉揚工程において、糸送りアーム7が回動する際、クランプしている糸を逃してしまうという問題を解消し、糸継工程の精度向上を図っている。なお、本実施例においてはワンウェイクラッチとしてワンウェイニードルローラを使用しているが、ワンウェイクラッチとしてローラ式、カム式、つめ式等、いずれのタイプでも実施可能であり、特に限定されるものではない。 【0017】また、本発明においては、該従動ローラ7cの外周面をゴム材82で被装する構成としている。このような構成とすることで、クランプした糸とローラ表面との接触面積及びローラ表面の摩擦係数を大きくすることができ、同様に糸継工程及び玉揚工程において、従動ローラ7cと駆動ローラ7bの両ローラによって糸を挟持した場合、ゴム材82の摩擦力により糸を両ローラ間で確実に保持できる構成となる。そして、上述したワンウェイローラとしての機能と併せて糸のクランプが確実となり糸継工程(及び玉揚工程)の精度が向上するのである。 【0018】エアーサッカー装置8は、紡績部12内に上流側に向かう空気流を発生させるためのものであり、平行リンク8a・8bにより支持され上下方向回動可能とし、基部8c上にシリンダー8dを載置し、該シリンダー8dのピストンロッド8e先端には、吸引ヘッド8fが装着されている。そして、通常の紡績工程においては、図1及び図2の実線で示す位置に待機しているエアーサッカー装置8が、糸継工程及び玉揚工程においては、前記平行リンク8a・8bの回動により上方に回動し、吸引ヘッド8fが図2に示す2点鎖線の位置へ移動するよう構成している。尚、エアサッカー装置8と同様の機能を果たすものとして、例えば、中空ガイド軸体12aの糸通路に上流側に向かって圧縮空気を噴射する手段を設けることもできる。 【0019】スラックチューブ9は巻取パッケージ1から巻き戻された紡績糸Yを、所定長さ貯留するためのものであり、前記糸送りアーム7の枢軸7aよりもやや上方に配置され、略水平方向に延設した後端が図示せぬ空気吸引源に接続されている。 【0020】以上の如く構成された紡績機及び作業台車による糸継工程について説明する。巻取パッケージ1へと至る糸道途中で糸が切断したことを検出した場合、ドラフト装置11のバックローラ11Bの回転を停止させると共に、巻取パッケージ1をフリクションローラ3から離反させる。これにより、回転を停止したバックローラ11Bと、回転を続行しているミドルローラ11M間でスライバー13が切断されると共に、切断された紡績糸Yが巻き込まれた状態で巻取パッケージ1が停止する。また、バックローラ11Bの停止にやや遅れて、紡績部12の駆動も停止される。 【0021】糸継要求を検知して作業台車Cが当該ユニットに到着すると、作業台車Cはニップローラ10bをデリベリローラ10aから離反させると共に、前記吸引管レバー5を、図2で示す2点鎖線の待機位置から、実線で示す位置まで回動させる。そして、サクションマウス5bをパッケージ表面に接近させ、前記逆転ローラ4を巻取パッケージ1に圧接させて、巻取パッケージ1を逆回転(通常の巻取り方向に対して逆回転)させながら、糸端の口出しを行いサクションマウス5bで吸引する。尚、ニップローラ10bの軸方向に糸を移動させる手段を設けることで、糸の引き出しを開始する際、両ローラ10a・10bを接触させたまま、側方から糸を挿入することができ、ニップローラ10bとデリベリローラ10aとを離反させる手段を不要にできる。 【0022】作業台車Cは糸端の口出し終了後、吸引管レバー5を再び図2の2点鎖線位置で示す待機位置に復帰させる。この状態で吸引管レバー5に捕捉されている糸を図2においてY’で示す。そして、図3に示すように前記糸ガイド6を糸Y’の糸道とラップする位置まで回動させ、上下ガイド6a・6bに形成されたスリットに糸Y’を挿入して、糸Y’を所定位置で維持する。この状態で、糸ガイド6のカッター6cは開いており、糸Y’はサクションマウス5bに吸引されている。 【0023】そして、図2に示すように、糸送りアーム7を2点鎖線で示す待機位置から糸Y’の糸道方向に回動させ、先端の糸送りローラを側面視で上下ガイド6a・6b間となるクランプ位置に移動させる。そして、図3及び図4で示すように、従動ローラ7cが駆動ローラ7bから離反された状態で、糸送りアーム7を矢視X方向(枢軸7aの軸方向)に移動させ、該従動ローラ7cと駆動ローラ7b間に糸Y’を挿入する。次いで、シリンダ78を作動することにより従動ローラ7cを回動させて、従動ローラ7cと駆動ローラ7bとを当接させて、両ローラにより糸Y’を挟持し、カッター6cにより糸Y’を切断する。駆動ローラ7bに対する従動ローラ7cの押圧力、即ち、両ローラ7b・7cによる糸Y’の挟持力はシリンダ78による押圧力で付与される。 【0024】そして、従動ローラ7cと駆動ローラ7bで糸Yを挟持した状態で、逆転ローラ4を駆動して巻取パッケージ1の糸を巻き戻しながら、糸送りアーム7を上方に回動させ、糸送りローラを有する先端の糸送り装置70を図2の2点鎖線に示すように紡績部12近傍(引き出し位置)に位置させる。この糸送りアーム7の上方への回動中は、糸送りローラは駆動されない。糸送り装置70は、前述した糸のクランプ動作時には図3に示す状態(つまり、駆動ローラ7bと従動ローラ7cが略水平方向に併設された状態)で動作するが、糸をクランプした後、上下方向に略90度スイングし、従動ローラ7cが駆動ローラ7bの略鉛直下方側に位置する状態となり、この状態で糸送りアーム7が回動して種糸の引き出し動作を行う。 【0025】従来この引き出し動作中にクランプした糸を逃してしまうという問題があったが、駆動ローラ7bはモータ7eが停止中であるので回転不能であると共に、前述の如く従動ローラ7cがワンウェイローラとして構成されているので、引き出されている糸張力により、従動ローラ7cが糸を逃す方向に回転することがなく、確実に糸を保持することが可能となった。また、従動ローラ7cの外周面がゴム状に構成されているので、駆動ローラ7bとの接触面において糸を確実に保持することが可能となった。また、従動ローラ7cの接離動作によって、駆動ローラ7bとの間に衝撃が発生するが、該従動ローラ7cのゴム状に形成された外周面がこの衝撃を吸収する構成となり、糸が切れたり、損傷するといった問題を解消できるのである。 【0026】糸送りアーム7によって、クランプした糸Yを紡績部12近傍位置に移動させた後、前記エアサッカー装置8を図2の2点鎖線で示す位置(吸引ヘッド8fが中空ガイド軸体装置12aと空気噴射ノズル12bとの間になる位置)まで回動させ、紡績部12内に上流側(スライバ導入口)に向かう空気流が発生した状態とする。この状態で糸送りローラを所定量だけ駆動させて、巻取り側の種糸を紡績部12の糸排出側からドラフト装置11側に向かって通した後、停止していたドラフトローラを駆動すると共に、紡績部12の駆動を開始し、また、ニップローラ10b及びデリベリローラ10aによる種糸の引き出しを開始して、種糸の周りにドラフト装置11から供給される繊維束を巻き付けて糸継(ピーシング)を行うのである。 【0027】次に、玉揚工程に関連する玉揚装置の構成について説明する。上述した吸引管レバー5、糸ガイド6、糸送りアーム7、エアサッカー装置8等の糸継装置に加えて、玉揚装置には、玉揚工程において使用するサッカーパイプ20が設けられている。サッカーパイプ20は作業台車Cに搭載され、種糸パッケージ23から引き出された種糸を貯留しておくと共に、ピーシング完了直後において、バンチ巻きが完了して糸が切断されるまでの紡出糸(走行糸)を吸引除去するためのものであり、図1及び図7等に示すように水平軸20aを中心に回動可能な吸引レバー20cと、吸引レバー20cと連通するパイプ20bとを有し、作業台車Cが各ユニット位置に停止しているとき、パイプ20bの基部側が機台に取付けられた吸引ダクト21に連結される。パイプ20bの他端は水平軸20aに配設された連結部材20dを介して吸引レバー20cに連結されている。 【0028】作業台車Cはサッカーパイプ20の吸引を停止する手段及びサッカーパイプ20の途中で糸を切断する手段を備えている。具体的にはサッカーパイプ20の途中(吸引ダクト21付近のパイプ20b)に、パイプ20bを閉鎖する(パイプ内の吸引流を停止させる)と同時に、吸引された糸を切断することができるシャッターカッタ20eが設けられている。図6に示すように湾曲状に形成された吸引レバー20cの先端は開口20fとし、該開口20f付近の周壁には、透孔20gが設けられている。また、吸引レバー20cの回動中心に近い位置には、圧縮空気供給パイプ20hが設けられており、該圧縮空気供給パイプ20hより、吸引レバー20cの先端の開口20fへと向かう空気流を形成可能に構成している。さらに、吸引レバー20の先端に近い位置には、圧縮空気供給パイプ20iが設けられており、吸引レバー20cの先端より、パイプ20b側へと向かう空気流(開口20fにおける吸引流)を形成可能に構成している。 【0029】また、図1及び図6等に示すように、作業台車C内の上方位置には種糸パッケージ23が設けられている。種糸パッケージ23は装着部材(ペグ)に装着され、該種糸パッケージ23から引き出された種糸Sが、フリー回転自在なフライヤー23aにガイドされながら、下方に案内され、テンサ23bにおいて適当なテンションが与えられた後、種糸案内パイプ24内に導入される。該種糸案内パイプ24は作業台車C内を下方に延設し、その下端が屈曲して、図に示すように所定位置に位置する吸引レバー20cの近傍に臨んでいる。そして、種糸Sを使用しない待機状態においては、該種糸案内パイプ24内に導入された種糸Sが、該種糸案内パイプ24の下端から外方に送り出され、前記吸引レバー20cの透孔20gから該吸引レバー20c内に挿入されている。このように、待機状態においては、種糸案内パイプ24の先端(下端)から飛出している種糸Sは、サッカーパイプ20内に貯留された状態となっている。 【0030】以上の如く構成された作業台車Cを含む紡績機における玉揚動作について説明する。巻取パッケージ1が満巻となると、ドラフト装置11のバックローラ11Bの回転を停止させると共に、巻取パッケージ1をフリクションローラ3から離反させる。これにより、回転を停止したバックローラ11Bと、回転を続行しているミドルローラ11M間でスライバー13が切断される。また、バックローラ11Bの停止にやや遅れて紡績部12の駆動(紡績ノズルからの圧空噴射)も停止される。尚、紡績ユニットにおいては、満巻の検知に応じて、玉揚要求ランプ等の玉揚要求手段を作動させるようにしている。 【0031】玉揚要求を検知して作業台車Cが当該ユニットに到着すると、作業台車Cは、ニップローラ10bをデリベリローラ10aから離反させると共に、クレードル2を押し開いて巻取パッケージ1を押出し、押出レバー22を図7の実線で示す位置に回動させる。玉揚動作を伴わないピーシング時には、この押出レバー22の回動により押出板22aが巻取パッケージ1をフリクションローラ3から所定量遠ざけることになる。 【0032】このとき、前記種糸パッケージ23から引き出された種糸Sは、種糸案内パイプ24内を通って、前記吸引レバー20cの透孔20gより該吸引レバー20c内に導入され、シャッターカッター20eの位置までパイプ20b内に貯留されている(この種糸Sの状態を図6に示し、図7では図示省略)。次いで、吸引レバー20cを回動させて、図7の実線位置に示すように、吸引レバー20cの先端部をフリクションローラ3近傍の糸渡し位置20Aに位置させる。尚、このとき、パイプ20bに設けられているシャッターカッター20eは閉鎖状態にあり、従って、吸引レバー20cには吸引作用は働いていない。 【0033】次いで、前記吸引管レバー5を、図8で示す2点鎖線の待機位置から、実線で示す糸受け取り位置まで回動させる。そして、糸渡し位置20Aにおいて種糸Sを保持している吸引レバー20cの開口20fに吸引状態にあるサクションマウス5bを接近させ、種糸Sを吸引する。これにより、種糸パッケージ23から、種糸案内パイプ24を経て引き出された種糸Sは、周壁に穿設された透孔20gから吸引レバー20cに入り、その後、先端の開口20fを経て、サクションマウス5bに吸引される。この際、吸引管レバー5のサクションマウス5bが吸引レバー20cに接近した状態で、或いは、その接近に前後して、前記圧縮空気供給パイプ20hから吸引レバー20c内に圧縮空気を供給して、吸引レバー20cの開口20fに向かう空気流を発生させ、サッカーパイプ20に貯留していた糸端をサクションマウス5bに向かって送り出すことにより、サクションマウス5bにより種糸Sの捕捉が確実に行われるようにしている。 【0034】作業台車Cは、糸端の口出し終了後、吸引管レバー5を再び図8の2点鎖線位置で示す待機位置に復帰させる。また、作業台車Cは、サクションマウス5bに対する種糸Sの受け渡しを完了した後、図8に示すように、透孔20gが種糸案内パイプ24の先端近傍に位置する中間待機位置20Mまで吸引レバー20cを復帰させる。これにより、種糸案内パイプ24の先端(出口)から出た種糸Sが透孔20gまで略一直線の状態(種糸案内パイプ24の先端で屈曲されていない状態)となり、種糸パッケージ23からサッカーパイプ20(透孔20g)までの間で種糸Sに付与される抵抗を軽減できる。この状態で吸引管レバー5に捕捉されている糸を図8においてY’で示す。そして、前記糸ガイド6を糸Y’の糸道とラップする位置まで回動させ、上下ガイド6a・6bに形成された図示せぬスリットに糸Y’を挿入して、糸Y’を紡績ユニットの幅方向(巻取パッケージに巻き取る際のトラバース方向)における所定位置で維持する。尚、吸引管レバー5が待機位置に復帰した際にも、圧縮空気供給パイプ20hから吸引レバー20c先端への圧縮空気の供給は継続して行われる。 【0035】そして、図8に示すように、糸送りアーム7を図7で示した待機位置から糸Y’の糸道方向に回動させ、先端の糸送り装置70を側面視で上下ガイド6a・6b間となる糸捕捉位置に移動させる。そして、上述した糸継工程と同様に、従動ローラ7cと駆動ローラ7bとにより糸Y’を挟持し、カッター6cにより糸Y’を切断した後、逆転ローラ4を駆動して巻取パッケージ1の糸を巻き戻しながら、糸送りアーム7を上方に回動させ、糸送り装置70を図8の2点鎖線に示すように紡績部12近傍(引き出し位置)に位置させる。そして、本発明においては、上述した糸継工程と同様に、この引き出し動作中においては、駆動ローラ7bはモータ7eが停止中であるので回転不能であると共に、前述の如く従動ローラ7cがワンウェイローラとして構成されているので、引き出されている糸張力により、従動ローラ7cが糸を逃す方向に回転することがなく、確実に糸を保持することが可能となった。 【0036】特に、前述した糸継工程とは異なり、玉揚工程においては、種糸パッケージ23に逆転ローラ等の解舒補助手段が設けられていないこと、又、解舒抵抗や経路のパイプ等との摩擦抵抗の影響を受けるため、特に糸逃しを起こしやすいという問題があったが、本発明の如く、従動ローラ7cをワンウェイローラで構成したことで、糸の保持を確実に行うことができるのである。このように、本発明は玉揚工程において、最も大きな効果を奏すると言える。また、従動ローラ7cの外周面がゴム状に構成されているので、駆動ローラ7bとの接触面において糸を確実に保持することが可能となった。また、従動ローラ7cの接離動作によって、駆動ローラ7bとの間に衝撃が発生するが、該従動ローラ7cのゴム状に形成された外周面がこの衝撃を吸収する構成となり、糸が切れたり、損傷するといった問題を解消できるのである。 【0037】そして、上述した糸送りアーム7の回動中も、吸引レバー20c内から開口20fに向かう空気流は継続して行われる。このように、吸引管レバー5及び糸送りアーム7より構成される糸搬送部材により、サッカーパイプ20から糸を受け取って紡績部12まで搬送する間も継続して吸引レバー20c内から開口20fに向かう圧縮空気の噴射を行うことで、糸送り装置70に把持された種糸Sの搬送時の張力を抑制し、把持された種糸が外れることを防止するようにしている。 【0038】糸送りアーム7によって、把持した種糸Sを紡績部12近傍位置に移動させた後、前記エアサッカー装置8を図5の2点鎖線で示す位置まで回動させ、上述した糸継工程で説明したように、紡績部12内において種糸の周りにドラフト装置11から供給される繊維束を巻きつけて糸継(ピーシング)を行うのである。ピーシングが完了すると、図9に示すように紡出側の糸はサッカーパイプ20に向かって走行を開始する。 【0039】糸継動作が終了して種糸パッケージ23からドラフト装置11まで糸(繊維)が繋がった状態で、紡績(糸走行)が開始されると略同時に、吸引レバー20cの先端に設けられた圧縮空気供給パイプ20iから吸引レバー20c内に圧縮空気を供給して、該吸引レバー20cの先端より、パイプ20bへと向かう空気流を発生させると共に、前記サッカーパイプ20に設けられたシャッタカッタ20eを開いて、吸引レバー20cの吸引を開始する。これにより、種糸S及び種糸Sに繋がれた糸Yは、図9に示されるように、前もって、クレードルアーム2に把持された空ボビンbとフリクションローラ3との間に位置し、紡績の再開後に吸引状態にある吸引レバー20cに吸引される。尚、クレードルアーム2から満巻パッケージ1を排出した後、吸引レバー20cが中間待機位置20Mに戻るタイミングで空ボビンbがクレードルアーム2に装着される。 【0040】次いで、空ボビンbをフリクションローラ3に接触させて回転させると共に、図示せぬバンチ巻装置によりバンチ巻を行い、走行する紡績糸Yを空ボビンbに受け渡す。このバンチ巻動作中に、クレードルアーム2に設けられた図示せぬカッターにより糸Yが切断される。切断された一方の走行糸Yは、往復運動している図示せぬ綾振装置に係合されて、綾振りされながら空ボビンbに巻取られる。また、吸引レバー20c側の糸Yは、該吸引レバー20c内を通って、パイプ20b内に吸引される。その後、種糸パッケージ23に連なる種糸Sを吸引保持している吸引レバー20cを中間待機位置20Mから待機位置(図9の2点鎖線で示す位置)に戻した後に、シャッターカッター20eを閉鎖すると共に、圧縮空気供給パイプ20iに接続されているバルブを閉じることによりパイプ20b内に吸引されている種糸Sを切断し、サッカーパイプ20内の奥方向に向かう吸引空気を遮断する。このようにして玉揚げ作業の1サイクルが終了し、サッカーパイプ20内に種糸が所定量貯留された待機状態となる。 【0041】以上、糸送りアーム7の先端部に設けられた本発明に係る糸送り装置(糸引き出し装置)70は、糸をクランプするための駆動ローラ7b及び従動ローラ7cを備え、糸送りアーム7を回動させることにより、糸をクランプした状態で両ローラ7b・7cをクランプ位置から引き出し位置(紡績部12の糸排出口近傍)まで移動させて、位置固定の種糸供給源(巻取パッケージ1又は別の種糸パッケージ23)から種糸を引き出すと共に、引き出し位置にある両ローラ7b・7cを駆動させて種糸を所定量だけ送る装置である。このような装置において、従動ローラ7cをローラ軸回りの一方向にのみ回転可能なワンウェイローラとすることにより、糸送りアーム7の回動時(糸の引き出し時)に、糸張力によってクランプした糸がずれてしまうのを確実に防止できる。従って、引き出し位置にある両ローラ7b・7cを駆動させてクランプした糸を所定量だけ送り、その後、その種糸の走行を開始すると共にドラフト装置11の駆動を再開し、ドラフト装置11から供給される繊維を、走行する種糸の周囲に巻き付かせて行う糸継ぎを確実に行えると共に、その継ぎ目形態を良好なものにできる。 【0042】 【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。即ち、請求項1記載の如く、糸をクランプするための駆動ローラ及び従動ローラを備え、両ローラを移動させることにより、クランプした糸を引き出すようにした糸引き出し装置であって、従動ローラとして、一方向のみ回転可能なワンウェイローラを使用したので、糸を逃す方向に糸送りローラが回転することがなくなり、解除抵抗等を受けながら糸を引き出す際にも、糸逃しが発生したり、両ローラに対して引き出される糸がずれてしまったりすることなく、糸継工程や玉揚工程の精度が向上した。 【0043】また、請求項2記載の如く、前記従動ローラの外周面をゴム状としたので、ローラ表面の摩擦係数を大きくする構成となり、糸のクランプが確実に行える構成となった。 【0044】また、請求項3記載の如く、前記従動ローラは、前記駆動ローラに対して当接離反可能に構成したので、ワンウェイローラである従動ローラの接離動作により、駆動ローラとの間で糸をクランプする構成となり、糸のクランプを確実に行える構成となった。また、従動ローラの接離動作によって、駆動ローラとの間に衝撃が発生するが、請求項2記載の従動ローラを使用することで、従動ローラのゴム状表面がこの衝撃を吸収する構成となり、糸が切れたり、損傷するといった問題を解消できるのである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006297 【氏名又は名称】村田機械株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月20日(2000.1.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−200433(P2001−200433A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−11951(P2000−11951) |
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