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【発明の名称】 染色キャリアに対する耐性の優れたポリウレタン繊維及び伸縮性布帛
【発明者】 【氏名】北村 幸太

【氏名】大下 千博

【氏名】石丸 太

【氏名】岡田 徹

【要約】 【課題】キャリア染色におけるパワーダウンの少ない伸縮性布帛及び該伸縮性布帛に用いるポリウレタン繊維の提供。

【解決手段】5%のクロルベンゼン系染色キャリアを含む水溶液中で100℃で60分間処理したときの、強力保持率が80%以上であるポリウレタン繊維を用いて伸縮性布帛を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 5%のクロルベンゼン系染色キャリアを含む水溶液中で100℃で60分間処理したときの、強力保持率が80%以上であるポリウレタン繊維。
【請求項2】 ポリウレタン繊維が、ヒンダードアミン化合物、亜リン酸エステル化合物、及びフェノール系酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン繊維。
【請求項3】 ヒンダードアミン化合物が、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位を含有し、下記式(2)で表される繰り返し単位の数に対する下記式(1)で表される繰り返し単位の数の比が0.35以上かつ1.75以下であり、下記式(1)で表される繰り返し単位の数と下記式(2)で表される繰り返し単位の数の合計が2以上かつ10000以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリウレタン弾性繊維。
【化1】

【化2】

[上記式中、R1はメチル基または水素原子を、R2〜R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し{但し、全てが水素原子であることはない}、R6は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはオキシアルキル基を表し、R7はメチル基または水素原子を、R8は、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数10〜30のアルキル基を、X,Yは−O−基あるいは−NH−基を、それぞれ表す。]
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載のポリウレタン繊維を含む伸縮性布帛。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、繊維製品の染色に使用される染色キャリアに対して耐性の優れたポリウレタン繊維及び伸縮性布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイソシアネート、ポリマージオール、及び低分子多官能活性水素化合物を原料とするポリウレタンから製造されるポリウレタン繊維は、伸長性、回復性、回復力などの弾性的性質に優れていることから、女性用下着、水着、ストッキングなど伸縮性が必要な用途に広く用いられている。ポリウレタン繊維は、通常それ単独で使用されることはほとんどなく、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維など、他の素材と交編、交織して伸縮性布帛として使用される。しかしながら、染色キャリアを用いてポリウレタン繊維を含む布帛を染色する際に布帛のパワーが低下することがしばしばあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、染色キャリアを使用した染色におけるパワーダウンを改善した伸縮性布帛及び該伸縮性布帛に用いるポリウレタン繊維の提供である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討の結果、染色キャリアがポリウレタン繊維の強度を低下させていること、さらに特定の添加剤を配合したポリウレタン繊維が染色キャリアによって強度が低下しないことを見出し、本発明の完成に至った。すなわち本発明は、(1) 5%のクロルベンゼン系染色キャリアを含む水溶液中で100℃で60分間処理したときの、強力保持率が80%以上であるポリウレタン繊維であり、並びに、(2) ポリウレタン繊維が、ヒンダードアミン化合物、亜リン酸エステル化合物、及びフェノール系酸化防止剤を含むことを特徴とする(1)に記載のポリウレタン繊維であり、(3) ヒンダードアミン化合物が、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位を含有し、下記式(2)で表される繰り返し単位の数に対する下記式(1)で表される繰り返し単位の数の比が0.35以上かつ1.75以下であり、下記式(1)で表される繰り返し単位の数と下記式(2)で表される繰り返し単位の数の合計が2以上かつ10000以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリウレタン弾性繊維【0005】
【化3】

【0006】
【化4】

[上記式中、R1はメチル基または水素原子を、R2〜R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し{但し、全てが水素原子であることはない}、R6は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはオキシアルキル基を表し、R7はメチル基または水素原子を、R8は、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数10〜30のアルキル基を、X,Yは−O−基あるいは−NH−基を、それぞれ表す。]であり、並びに、(4) (1)〜(3)のいずれかに記載のポリウレタン繊維を含む伸縮性布帛、である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリウレタン繊維は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系など、公知のポリウレタンから製造することができる。かかるポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリマージオール、所望により低分子多官能活性水素化合物を反応させて得ることができる。
【0008】ポリイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの1種又はこれらの混合物を用いることができる。中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0009】ポリマージオールは、両末端にヒドロキシル基を持つ分子量が600〜7000の実質的に線状の重合体として、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオールや、コポリ(テトラメチレン・ネオペンチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2−メチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,3−ジメチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,2−ジメチルブチレン)エーテルジオールなどの2種以上の炭素数6以下のアルキレン基を含むコポリエーテルポリオールや、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、β−メチルアジピン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの二塩基酸の1種又は2種以上の混合物とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンなどのグリコールの1種あるいは2種以上の混合物から得られるポリエステルポリオールや、ポリエーテルエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどの任意のポリオールを用いることができる。中でもポリエーテル系ジオールが好ましい。
【0010】低分子多官能活性水素化合物としては、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を分子中に二つ以上有する化合物(鎖延長剤)を挙げることができる。鎖延長剤として、例えば、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミンや、エチレングリコール、ブタンジオールなどのポリオール、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリヒドロキシルアミン、水、ヒドラジン、などの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。中でもエチレンジアミンが好ましい。
【0011】また鎖延長剤と共に末端停止剤として、分子中にイソシアネート基と反応しうる活性水素基をただ1つ有する化合物を併用することもできる。活性水素基を分子中に1つだけ有する化合物として、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミンなどのジアルキルアミンや、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、エタノールアミンなどのモノアルキルアミンや、n−ブタノールなどのモノオール、エチレンジアミンとアセトンの1:1反応物などのジアミンとケトンの脱水縮合物、N,N−ジメチルヒドラジンなどの1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
【0012】ポリウレタンは公知の方法で重合することができる。例えば、溶融重合、溶液重合など任意の方法及びそれらの組合せによって重合することができる。また、原料を一括して混合して反応させるワンショット法、あるいは、まずプレポリマーを形成し鎖延長するプレポリマー法など任意の方法をとることができる。また、反応速度調整剤として、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸や炭酸ガスなどを、重合反応中の任意の段階で適当な量を添加することもできる。これらの反応調節剤は、プレポリマー反応終了後、鎖延長反応終了までに添加することが好ましい。またこれらの反応速度調節剤は、鎖延長剤や末端停止剤と混合して加えてもよい。
【0013】ポリウレタン繊維は、乾式紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法など、公知の任意の方法によってポリウレタンより製造することができる。
【0014】本発明におけるポリウレタン繊維としては、特に限定されるものではないが、ヒンダードアミン化合物、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤を含むポリウレタン繊維が好ましい。
【0015】ヒンダードアミン化合物とは、一般にポリアルキル置換ピペリジン誘導体を指す。ヒンダードアミン化合物としては、公知の任意の化合物を使用することができる。ヒンダードアミン化合物は、pH4の酸性水溶液に対する溶解度が5.0×10-3eq/リットル以下であることが好ましい。ヒンダードアミン化合物の分子量は特に限定されるものではないが、1000以上1,000,000以下であることが好ましい。より好ましくは10000以上500,000以下である。ヒンダードアミン化合物中のピペリジル基の個数は特に限定されないが、1kg当たり1.3mol以上含んでいることが好ましい。ヒンダードアミン化合物の配合量は、特に限定されないがポリウレタンに対して、0.1〜5重量%であることが好ましい。ヒンダードアミン化合物をポリウレタンに配合する時期は、紡糸までであれば特に限定されないが、ポリウレタンの重合が完了した後に配合することが好ましい。ヒンダードアミン化合物の好ましい例として、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位を含有し、下記式(2)で表される繰り返し単位の数に対する下記式(1)で表される繰り返し単位の数の比が0.35以上かつ1.75以下であり、下記式(1)で表される繰り返し単位の数と下記式(2)で表される繰り返し単位の数の合計が2以上かつ10000以下であるヒンダードアミン化合物を挙げることが出来る。
【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

[上記式中、R1はメチル基または水素原子を、R2〜R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し{但し、全てが水素原子であることはない}、R6は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはオキシアルキル基を表し、R7はメチル基または水素原子を、R8は、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数10〜30のアルキル基を、X,Yは−O−基あるいは−NH−基を、それぞれ表す。]
式(1)におけるR2〜R5はすべてメチル基であることが好ましく、R6はメチル基または水素原子であることが好ましい。式(2)におけるR8はシクロアルキル基であることが好ましい。式(1)及び式(2)のX,Yはいずれも−O−基であることが好ましい。上記に示した好ましいヒンダードアミン化合物は、式(1)及び式(2)以外の構造を有していても良く、その含有量は、ヒンダードアミン化合物中20重量%以下が好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましいのは0%である。含有量が20重量%以上であると、各種加工前後の安定性をバランスよく良好に発現させることができなくなる。
【0018】本発明におけるヒンダードアミン化合物は、ヒンダードアミノ基の全部又は一部が、有機カルボン酸、炭酸ガス、リン酸化合物、リン酸エステル化合物、亜リン酸化合物、亜リン酸エステル化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物と、塩を形成していてもよい。ヒンダードアミン化合物のヒンダードアミノ基の全部又は一部を、上記化合物と塩を形成させることで、ヒンダードアミン化合物が本来有する安定化効果を損なうことなく、ヒンダードアミン化合物の塩基性度や溶解性などを調整することができる。
【0019】有機カルボン酸としては、炭素数1〜10の有機カルボン酸が好ましく、飽和のカルボン酸であることが好ましい。また、ポリカルボン酸よりもモノカルボン酸が好ましい。具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、アセト酢酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、ナフト酢酸、フェニル酢酸などを挙げることができる。
【0020】リン酸化合物とは、リン酸及びリン酸とアミン、金属イオンなどの塩基化合物との塩を表す。亜リン酸化合物とは、亜リン酸及び亜リン酸とアミン、金属イオンなどの塩基化合物との塩を表す。リン酸エステル化合物としては、リン酸モノエステル化合物又はジエステル化合物が好ましいが、高分子化合物であって一部がリン酸モノエステル又はジエステル構造を有しているような化合物であってもよい。亜リン酸エステル化合物としては、亜リン酸モノエステル化合物又はジエステル化合物が好ましいが、高分子化合物であって一部が亜リン酸モノエステル又はジエステル構造を有しているような化合物であってもよい。リン酸エステル化合物及び亜リン酸エステル化合物は、部分的にアミン、金属イオンなどの塩基化合物との塩であってもよい。
【0021】フェノール系酸化防止剤は、公知の任意のフェノール系酸化防止剤を用いることができる。溶剤への溶解性や、ポリウレタンとの相溶性などを考慮して、適当な化合物を選ぶことができる。フェノール系酸化防止剤の例としては、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−sec−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−ネオペンチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、p−クロロメチルスチレンとp−クレゾールの重縮合物、p−クロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの重縮合物、p−クレゾールとジビニルベンゼン重縮合物のイソブチレン反応物、などが挙げられる。中でも1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−sec−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−ネオペンチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸が特に好ましく、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸が最も好ましい。また、2種類以上のフェノール系酸化防止剤を併用してもよい。フェノール系酸化防止剤の配合量は、ポリウレタンに対して配合量は0.1〜2重量%の間にあることが好ましい。
【0022】亜リン酸エステル系化合物としては、任意の公知の化合物を用いることができる。溶剤への溶解性や、ポリウレタンとの相溶性などを考慮して、適当な化合物を選ぶことができる。亜リン酸エステル系化合物の例としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスフォナイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール・ジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリール・ジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリール・ジホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライル(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/あるいはジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトール・ジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトール ホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー、テトラフェニル テトラ(トリデシル) ペンタエリスリトール テトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデン ジフェニル ジホスファイト、テトラフェニル ジプロピレングリコール ジホスファイトなどが挙げられる。なかでも、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトール ホスファイトポリマー、水添ビスフェノールA ホスファイトポリマーが好ましい。また、2種類以上の亜リン酸エステル系化合物を併用してもよい。亜リン酸エステル系化合物の配合量は、ポリウレタンに対して0.1〜2重量%の間にあることが好ましい。
【0023】本発明のポリウレタン繊維は、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系、ラクトン系などの酸化防止剤や、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、蓚酸アニリド系などの紫外線吸収剤や、ヒドラジン誘導体、蓚酸誘導体などの金属不活性化剤、硫酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、参加亜鉛、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト及びその誘導体、二酸化チタン、硫化モリブデンなどの無機微粒子や、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、ポリオルガノシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン等の粘着防止剤や、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、青色顔料や蛍光増白剤や青色染料などの青み付け剤などを配合することができる。これらの添加剤のポリウレタン重合体への混合方法は特に限定されるものではなく、公知の任意の方法により配合することができる。配合する時期は、ポリウレタンを製造する任意の段階で配合することができるが、ポリウレタン重合終了後、紡糸段階の前に配合することが好ましい。
【0024】本発明の伸縮性布帛にポリウレタン繊維と共に用いられるポリエステル系繊維とは当業者に知られている ポリエステル系繊維のことであり、ポリエチレンテレフタレートが代表的な例として挙げることが出来る。本発明の伸縮性布帛で用いられるポリアミド系繊維とは ナイロン6ナイロン66ナイロン46およびこれらのカチオン可染型変成物やポリアミド/エステル複合繊維であり、任意の繊度、断面形状のものが使用出来る。
【0025】本発明の伸縮性布帛にポリウレタン繊維と共に使用されるセルロール系繊維とは、綿糸、レーヨンあるいはこれらとポリエステル系繊維などの混紡糸、ナイロン/エステル長繊維の複合糸などであり、任意の繊度を選ぶことが出来る。
【0026】また、本発明の伸縮性布帛にポリウレタン繊維と共に用いられる繊維は、非弾性糸であれば限定されるものでは無く、ウール、カシミア、アルパカなどの獣毛繊維、絹、アクリル系繊維、プロミックス繊維などの繊維も用いられる。
【0027】本発明の伸縮性布帛で用いられるポリウレタン繊維は、通常、ベア(裸)糸や、シングルカバーリング糸、ダブルカバーリング、コアスパン糸、プライヤーンなどの複合弾性糸の状態で使用される。本発明で対象とする伸縮性布帛とは、このポリウレタン弾性糸と前記のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、およびセルロース系繊維などの非弾性糸からなる伸縮性織編ものであり、織物では経糸および/あるいは緯糸に使用された平織り、綾織朱子織などを挙げることが出来る また編物にあっては丸編みでは平編両面編リブ編パール編やこれらの変化編地経編ではトリコット編地ラッセル編地などであって特に限定されるものではない編組織としてはトリコット編地の場合 ハーフ編逆ハーフ編ダブルデンビー編ダブルアトラス編ラッセル編地ではパワーネットハーフパワーネットサテンネットトリコネット等を例示することが出来る【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお実施例中の部及び%は、それぞれ重量部及び重量%を表す。
【0029】(染色キャリアへの耐性の評価方法)3リットルのポットに5%の濃度のクロルベンゼン系染色キャリア(テトロシンAT/正研加工株式会社)を含む水溶液2リットルと、固定治具に定長状態で把持させたポリウレタン繊維を入れて、ミニカラー染色機(テクサム技研株式会社)を用いて、2℃/分の速度で100℃まで昇温させてから60分間処理した。その後、ポットを冷却してポリウレタン繊維を取り出し水洗、風乾させた。処理前後の糸について、引張試験機で強力(破断時の応力)を測定し、処理前の強力に対する処理後の強力のパーセンテージを強力保持率とした。
【0030】(合成例1):ヒンダードアミン化合物の合成温度計、攪拌装置、窒素導入管、及び還流冷却管を取り付けた500ccの枝付きフラスコに、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87/旭電化工業株式会社)60部、シクロヘキシルメタクリレート40部、及びN,N−ジメチルアセトアミド213部を取り、攪拌して溶解した。フラスコを、オイルバス中で窒素をバブリングしながら60℃まで攪拌しながら加熱した。60℃に達した後、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.8部を加えた。そのまま攪拌しながら60℃に保ち反応させた。AIBNを最初に添加してから5時間後、AIBN0.2部をさらに加えた。さらに反応を60℃で15時間続けた後、室温まで冷却して反応を終了しヒンダードアミン化合物溶液を得た。円錐角3°、半径14mmのローターを用い、30℃でE型粘度計で測定した溶液粘度は15poiseであった。溶液中の未反応重合性単量体をガスクロマトグラフィーにより定量したところ、仕込んだ重合性単量体の重量に対して4重量%であった。GPC−LALLSで測定したヒンダードアミン化合物の絶対分子量は11万であった。得られたヒンダードアミン化合物の 1H−NMRスペクトルをDMSO−d6 とCDCl3の1:1混合物を溶媒として50℃で測定したところ、ピペリジル基のメチン炭素のプロトンとシクロヘキシル基のメチン炭素のプロトンはそれぞれ、5.0,4 .6ppmに検出され、積分比は52:48であった。この積分比が、ヒンダードアミン化合物中での、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート由来の単位とシクロヘキシルメタクリレート由来の単位のmol比であると考えられることから、それぞれの重量分率は、60,40重量%であると計算され、仕込み量から求められる値と一致した。
【0031】(実施例1)数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコール175.37部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート38.92部をN2 気流下80℃で3時間反応させて、両末端がイソシアネート基のプレポリマーを得た。プレポリマーを40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド308.36部を加えて溶解し、さらに10℃まで冷却した。エチレンジアミン3.58部とジエチルアミン0.46部をN,N−ジメチルアセトアミド146.86部に溶解した溶液を、高速撹拌しているプレポリマー溶液に一度に加え混合し反応を完結させた。この溶液の30℃における粘度が2000poiseであった。この溶液に、上記合成例で得られたヒンダードアミン化合物溶液13.42部、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−ジメチルベンジルイソシアヌレート)(サイアノックス1790/日本サイアナミド)2.15部、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトール ホスファイト ポリマー(JPH−3800/城北化学工業)2.15部、2−〔(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミル)フェニル〕ベンゾトリアゾール(KEMISORB74/ケミプロ化成株式会社)1.08部、及びステアリン酸マグネシウム0.69部を加えて、撹拌混合しポリウレタン溶液を得た。ポリウレタン溶液を脱泡後、細孔径の口金から、230℃に加熱した空気を流した紡糸筒内に押し出し、油剤を付与しつつ巻きとって44デシテックスのポリウレタン繊維を得た。
【0032】(比較例)比較例として、4−t−ブチル−4−アザ−2,6−ヘプタンジオールとメチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)の重付加生成物4.30部及び、p−クレゾールとジビニルベンゼンの共重合体2.15部を含むポリウレタン繊維を用いて評価した。
【0033】表1に、実施例、比較例におけるそれぞれの、染色キャリアで処理したときのポリウレタン繊維の強力保持率を示す。本発明のポリウレタン弾性糸は、染色キャリアに対して耐性が高く、キャリア染色されるような布帛への使用に特に適していることが分かる。
【0034】
【表1】

【0035】
【効果】本発明のポリウレタン繊維を使用することでキャリア染色によるパワーダウンの少ない優れた伸縮性布帛を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成12年6月12日(2000.6.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−355124(P2001−355124A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−175733(P2000−175733)