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【発明の名称】 ポリエステル繊維の製造方法
【発明者】 【氏名】船津 義嗣

【氏名】黒田 正人

【氏名】福原 基忠

【要約】 【課題】高強度繊維を生産性に優れかつ省スペース、省エネルギーで製造する方法を提供すること。

【解決手段】密度1.355g/cm3未満、複屈折率△n0.020以上であるポリエステル未延伸糸にレーザ光を照射し、延伸速度50m/min以上で実質的に1段で延伸を施し、密度1.360g/cm3以上、△n0.130以上、沸収12%以下の繊維を得ることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】密度1.355g/cm3未満、複屈折率△n0.020以上であるポリエステル未延伸糸にレーザ光を照射し、延伸速度50m/min以上で実質的に1段で延伸を施し、密度1.360g/cm3以上、△n0.130以上、沸収12%以下の繊維を得ることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
【請求項2】得られる繊維の強度が0.90GPa以上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法。
【請求項3】レーザ光が炭酸ガスレーザであることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維の製造方法。
【請求項4】ポリエステル繊維が延伸工程においてレーザ照射部以外で実質的に加熱されないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル繊維の製造方法。
【請求項5】ポリエステルを溶融紡糸し、実質的に非加熱のローラーで引き取った後、ローラー間でレーザ光を照射し実質的に1段で延伸を施し、巻き取ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル繊維の製造方法。
【請求項6】2000m/min以上の速度で引き取ることを特徴とする請求項5記載のポリエステル繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル繊維の製造方法に関する。詳しくは機械特性良好なポリエステル繊維の生産性に優れる製造方法、さらに詳しくは高速生産に適し、省スペース、省エネルギーであり、かつ機械特性、特に強度に優れるポリエステル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル繊維は強度、弾性率、寸法安定性においてバランスよく優れた特性をもち、かつ比較的安価に製造できるため、衣料用途のみならず、産業用途にも広く使用されている。
【0003】ポリエステル繊維が産業用途に用いられる場合、一般に最も重要視される特性は機械的特性、すなわちその強度が大きいことであり、ポリエステル繊維の産業用としての用途が広がるにつれ、さらなる高強度化への要望が高まってきている。また一方ではポリエステル繊維の「比較的安価に製造できる」という特徴も重要視されており、他素材との競争力を高めるため生産性の向上、昨今の繊維製造事情を考えると省スペース、省エネルギーも要請されている。これらの事情からポリエステル繊維の需要が拡大するにつれ、高強度ポリエステル繊維の生産性向上が強く望まれている。
【0004】高強度ポリエステル繊維の代表的な製造法は「繊維便覧」p.107(繊維学会編、丸善(1994))にあり、高[η]ポリエチレンテレフタレートで低配向原糸を得て、高倍率延伸、高温セットを施すという手法が長らく採用されている。
【0005】しかし一般的な加熱延伸手法である加熱ローラーによる多段延伸は、生産性向上のため延伸速度を高速化した場合、繊維の加熱ローラーへの接触時間を維持するためローラー上への多周巻き付けあるいはローラー大径化が必要となり、ローラーのためのスペースが広く必要となる問題があることに加え、ローラー表面速度が上昇することによりローラー加熱効率が悪化するという問題がある。
【0006】加熱効率を高める他の加熱延伸手法としては、蒸気延伸、非接触高温ヒーター延伸などが知られている。確かにこのような手法により加熱効率を高めることが出来るが、高速とした場合には加熱帯の長尺化が必要でありスペースが広く必要となることに加え、単糸間での加熱ムラによる特性の悪化、特に強度低下が起こる可能性がある。
【0007】また低配向原糸を得るためには紡糸速度を極めて低くする必要があり、生産性が低いという問題がある。生産性向上のためには紡糸速度を増加させることが望ましいが、この場合未延伸糸配向が増加する。このような高配向原糸を用いる手法も特公昭63-528号公報など多数見られ、熱安定性が良好などの好ましい特性も得られるが、延伸糸強度が低下することも事実である。
【0008】上記したように、従来の手法では高強度ポリエステル繊維の生産性を向上するため紡糸速度あるいは延伸速度を高速化すると延伸スペースを広く必要とし、加えて加熱効率の悪化からエネルギー負荷が大きく増加し生産性が低下するという背反する問題を抱えており、加えて原糸配向の増加に伴い強度が低下する問題もあった。これは未延伸糸を高速で延伸する際の加熱手法が十分考慮されていないためである。
【0009】一方、延伸を行う際の加熱源としてレーザ光を用いる技術が特開昭48-45612号公報等により知られている。この中で特開昭60-94619号および61-75811号公報にはレーザ光により多段延伸して得た高配向非晶繊維を熱処理により結晶化せしめることにより超高強力糸が得られる技術が開示されており、注目される。
【0010】しかし該公報ではレーザ光により延伸して得られるのは高配向非晶繊維であり、実用的な高強力糸を得るためには熱処理工程が必要である。加えてレーザ光を用いても多段延伸が好ましいとの記載があり、レーザ光を用いた延伸でも省スペース化は達成できていない。
【0011】さらに該公報には延伸速度の記載はないものの、実施例での延伸速度は複屈折率△n0.048の未延伸糸で100m/min未満、複屈折率△n0.008の未延伸糸で約320m/minであり生産性が非常に低下してしまう。また延伸速度とレーザ出力の関係については該公報中に下記式が開示されているが、これに基づくと、延伸速度を1000m/min前後とした場合数100Wのレーザ出力が必要となってしまい工業的な実用性に乏しい。
【0012】
【数1】

この様に、高強度ポリエステル繊維を得るためにレーザ光を用いる従来技術では得られる繊維は超強力であっても省スペースは実現されておらず、かつ高速化のためには過大な出力が要求されエネルギー負荷が大きく、生産性向上が困難であるという課題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、高強度繊維を生産性に優れかつ省スペース、省エネルギーで製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、レーザ延伸を用いた高強度ポリエステル繊維の生産性向上について鋭意検討を重ねてきた。その中で、原糸配向と延伸速度がある一定条件を満たすことによって従来技術の欠点を解消できることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0015】すなわち、本発明は密度1.355g/cm3未満、配向度の指標である△nが0.020以上であるポリエステル未延伸糸にレーザ光を照射し、延伸速度50m/min以上で実質的に1段で延伸を施し、密度1.360g/cm3以上、△n0.130以上、沸収12%以下の繊維を得ることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルとは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物のエステル結合から形成される重合体であり、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
【0017】また本発明で用いるポリエステルは、発明の主旨を損ねない範囲で他の成分が共重合されていても良い。さらに、本発明のポリエステルは艶消剤、難燃剤、滑剤等の添加剤を少量含有しても良い。共重合成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらの誘導体、またプロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物を挙げることができる。
【0018】本発明で用いるポリエステルの固有粘度(IV)は0.70以上であることが好ましい。IVの低下に伴い、得られる繊維の強度は低下するため、IV0.70以上とすることで十分な強度を持つポリエステル繊維が得られる。
【0019】本発明での延伸における要件は密度1.355g/cm3未満、△n0.020以上であるポリエステル未延伸糸にレーザ光を照射し、延伸速度50m/min以上で実質的に1段で延伸を施すことである。このような延伸条件を採用することで密度1.360g/cm3以上、△n0.130以上、沸収12%以下、好ましくは強度0.90GPa以上である高強度ポリエステル繊維を高速、省スペース、省エネルギーで製造することができるのである。本発明者らはレーザ延伸技術について検討を行い、本発明に至ったのであるが、その理由は十分に明らかになっていないが以下に説明する。
【0020】高強度繊維を得るために必要なことは高倍率かつ均一な延伸に加え、最終的に緊張熱処理を施すことである。高倍率かつ均一な延伸を実現するためには未延伸糸を十分可塑化する必要があり、このため十分な加熱が要求される。また均一な延伸を施すためには1段で急激な延伸を加えることは好ましくないと考えられる。さらに緊張熱処理を施すためには処理温度をより高温とする必要がある。このため従来のローラー加熱延伸では広大なスペースで高温多段延伸を行う必要があった。
【0021】そこでレーザ光による加熱が重要となる。レーザ光を用い延伸を行う特徴は、均一性などもあるが最大の特徴は大過剰のエネルギーを瞬間に糸条に与えることができる点にある。省スペース化の理想的な形は1段延伸であるため、本発明者らは十分なレーザ光を照射することで1段で高倍率かつ均一延伸に加え緊張熱処理が実現できると考えた。しかしながらこの手法では公知例にもあるように延伸挙動が不安定となり、延伸点がレーザ照射部から外れる現象が起こった。この現象について原糸配向との関係を中心に検討を進めた結果、原糸の降伏応力と延伸倍率および延伸張力との関係が重要であることを見出した。そこで原糸配向を増加させ、原糸の降伏応力を増加させるとともに延伸倍率を低下させることで1段延伸での延伸挙動の安定化と高張力下での熱処理を同時に達成できたのである。
【0022】本発明の方法を用いることで、同一原糸を用いても一般的な加熱延伸を施した繊維に比べ強度が高くなるが、その理由については以下のように考える。
【0023】従来の一般的な加熱手法は高温物に繊維を接触させて加熱するものであり、繊維内部への加熱は主に熱伝導、単糸間での加熱は主に熱伝達であるため均一加熱が難しい。加えて、特に原糸配向が増加すると温度上昇に伴い結晶化が進行し、分子鎖の運動性を低下させるため高倍率延伸がより困難となる。非接触式の加熱手段も種々考案されているが、全て繊維表面を加熱させる方式であるため、上記した問題点は解決できない。一方レーザは単一波長で構成されており、照射物に対し適当な透過率を持つ波長のレーザを用いることで繊維断面内を瞬間的に均一に加熱することができる。このため均一、高倍率延伸が達成されるのである。加えてレーザ加熱は非接触で行うことができるため、加熱し可塑化した状態で繊維に傷を付けることもなく、さらに1段延伸であるため糸条へのローラー等の接触が極限的に減少でき、糸条へのダメージを小さくできる。これらの理由により繊維の強度が向上すると考えられる。
【0024】本発明に用いるポリエステル未延伸糸は密度1.355g/cm3未満、△n0.020以上である。△nが0.020に満たない場合未延伸糸の降伏応力が低く、かつ1段での延伸倍率が大きすぎるためレーザ延伸が安定して実現できない。△nの上昇、すなわち原糸配向の増加に伴い延伸挙動は安定するが、レーザによる加熱をもってしても結晶化したポリエステル繊維の高倍率延伸は困難であるため、原糸の結晶化度の指標である密度は1.355g/cm3未満とする必要がある。
【0025】本発明に用いるレーザ光は単一波長で構成される光線であり、好ましくは照射されるポリエステルに対する厚み1μmあたりの透過率が70%以上である。透過率が70%に満たない場合繊維表面の加熱が支配的となり、単糸間および単糸内部での均一加熱が難しくなる。透過率が高い方が均一加熱の点からは好ましいが、透過率が大きすぎると加熱効率が低下する。ポリエステルに対しこれらの要件を満たす好適な例は炭酸ガスレーザである。
【0026】レーザ光の照射方法は任意であり、平行光でもレンズを用い集光して照射しても良いし、片面照射でも多方向から照射しても良い。照射効率を高めるため反射を利用した多面照射を行うことが好ましい。なおレーザ出力は照射効率に加え糸条の走行速度、表面形態、添加物の影響などがあり一概に規定できないが、糸条に大過剰のエネルギーを付与するため、糸条が溶断しない程度に高めることが好ましい。したがってレーザ照射により糸条に与えられるエネルギーの範囲は以下の範囲が好ましい。
【0027】
【数2】

本発明における延伸倍率は実質的に1段である。ここで言う実質的とは延伸前後での若干のストレッチを含まないことを意味する。レーザを照射しつつ多段延伸を行うことも可能ではあるが、結晶化した糸のさらなる延伸は困難であり、高倍率延伸が達成できないことに加え、ローラー数が増加するとスペース、エネルギーの負荷が増え、糸条への損傷も懸念されることから好ましくない。
【0028】本発明の延伸手法を用いることでレーザ以外の実質的な加熱手段が不要となる。加熱手段が不要となることでローラー数の減少、ローラーの小径短尺化が可能となり省スペース、省エネルギー化が達成される。ただし、得られる繊維は十分実用的であるが、さらに低収縮、高弾性率、高強度といった特性を向上させるために熱処理帯を設けても良い。
【0029】本発明において延伸速度は50m/min以上、好ましくは延伸速度100m/min以上である。なお本発明で言う延伸速度とは延伸後最初に通過するローラーの速度である。延伸速度が50m/minに満たないと生産性が低下するばかりか、条件によっては延伸挙動が不安定となる。なおレーザを用いることで糸条の加熱効率が大幅に向上するため、本発明はより高速での延伸挙動に適しており、直接紡糸延伸は好適な実施形態である。直接紡糸延伸の場合、原糸配向をある程度高めるため引取速度は2000m/min以上、レーザ照射はローラー間で行うことがより好ましい。
【0030】以下実施例により、本発明を具体的かつより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の物性値は以下の方法によって測定した。
【0031】
【実施例】A.IVオルソクロロフェノール中、25℃で測定した。
【0032】B.強度・伸度オリエンテック社製テンシロン引張試験機を用い、未延伸糸は初期試料長50mm、引張速度400mm/min、延伸糸は初期試料長200mm、引張速度200mm/minで測定し求めた。
【0033】C.密度臭化ナトリウム水溶液による密度勾配管法で測定した。
【0034】D.複屈折率(△n)
OLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡コンペンセーターを用い、通常の干渉縞法によって、レターデーションと繊維径より求めた。
【0035】参考例1IV0.7のポリエチレンテレフタレートを2軸エクストルーダーを用い紡糸温度295℃で孔径0.30mmφ、孔数36の紡糸口金より吐出量12g/minで吐出し、250m/minの紡糸速度で引き取ってポリエステル未延伸糸を得た。
【0036】参考例2吐出量を58g/min、紡糸速度を2400m/minとする以外は参考例1と同様の方法で紡糸を行いポリエステル未延伸糸を得た。
【0037】参考例3吐出量を63g/min、紡糸速度を4200m/minとする以外は参考例1と同様の方法で紡糸を行いポリエステル未延伸糸を得た。
【0038】参考例4IV1.1のポリエチレンテレフタレートを用い、吐出量を49g/min、紡糸速度を2800m/minとする以外は参考例1と同様の方法で紡糸を行いポリエステル未延伸糸を得た。
【0039】参考例1〜4で得られた未延伸糸の物性を表1に示す。
【0040】
【表1】

実施例1参考例4で得た未延伸糸を1ローラー238m/min、2ローラー500m/min(延伸倍率2.1)とし、1−2ローラー間で出力60Wの炭酸ガスレーザを照射し延伸を行った。なお各ローラーは特に加熱しておらず室温である。得られた延伸糸物性を表2に示す。
【0041】表2から分かるように高配向原糸を高速でレーザ延伸することにより1段延伸で十分な強度、収縮特性を持つ延伸糸を得ることができる。
【0042】
【表2】

比較例1レーザを照射せず1ローラーを90℃、2ローラーを170℃と加熱すること以外は実施例1と同様の方法で延伸を試みたが、断糸が頻発したため1ローラーを278m/min(延伸倍率1.8)として延伸を行った。得られた延伸糸物性を表2に示す。
【0043】表2から分かるように通常の加熱延伸ではレーザ延伸に比べ延伸倍率が低く、得られる繊維の強度が低下する。
【0044】比較例2参考例1で得た未延伸糸を用い、1ローラー速度を89m/min(延伸倍率5.6)とすること以外は実施例1と同様の方法で延伸を行ったが、延伸挙動が安定せず満足な延伸糸は得られなかった。
【0045】実施例2参考例2で得た未延伸糸を用い、1ローラー速度を172m/min(延伸倍率2.9)とすること以外は実施例1と同様の方法で延伸を行った。得られた延伸糸物性を表2に示す。
【0046】表2から分かるように原糸の△nが0.022であれば高速でレーザ延伸することにより1段延伸で十分な強度、収縮特性を持つ延伸糸を得ることができる。
【0047】実施例31ローラー速度を789m/min、2ローラー速度を1500m/min(延伸倍率1.9)とし、レーザ出力を160Wとすること以外は実施例2と同様の方法で延伸を行った。得られた延伸糸物性を表2に示す。なお得られた延伸糸の伸度は28%であった。
【0048】このように、レーザ出力と延伸速度を調整することで1段延伸で強度とタフネスを兼ね備えた延伸糸を得ることができる。
【0049】実施例4参考例3で得た未延伸糸を用い、1ローラー速度を28m/min、2ローラー速度を50m/min(延伸倍率1.8)とし、レーザ出力を8Wとすること以外は実施例1と同様の方法で延伸を行った。得られた延伸糸物性を表2に示す。
【0050】表2から分かるように高配向原糸をレーザ延伸する際に延伸速度が50m/minであれば1段延伸で十分な強度、収縮特性を持つ延伸糸を得ることができる。
【0051】実施例5IV1.1のポリエチレンテレフタレートを2軸エクストルーダーを用い紡糸温度295℃で孔径0.30mmφ、孔数36の紡糸口金より吐出量47g/minで吐出し、非加熱の第1ゴデットローラー(1GR)にて2800m/minの紡糸速度で引き取り、GR間で出力180Wの炭酸ガスレーザを照射し、非加熱の第2ゴデットローラー(2GR)を5600m/min(延伸倍率2.0)として直接紡糸延伸を行った。得られた延伸糸物性を表3に示す。
【0052】表3から分かるようにレーザを用いることで直接紡糸延伸のような高速紡糸でも非加熱の1段延伸で十分な強度、収縮特性を持つ延伸糸を得ることができる。
【0053】
【表3】

比較例31GRを温度95℃、2GRを温度180℃に加熱すること以外は実施例5と同様の方法で直接紡糸延伸を試みたが、GR間で単糸切れが頻発するため、2GR速度を5100m/min(延伸倍率1.8)として直接紡糸延伸を行った。得られた延伸糸物性を表3に示す。
【0054】表3から分かるように加熱ローラーによる直接紡糸延伸ではレーザ加熱に比べ延伸倍率が低く、加えて実施例5と同程度のスペースでは十分な熱処理を施すことができず収縮特性が悪化する。
【0055】実施例6IV0.7のポリエチレンテレフタレートを用い、1GR速度を4000m/min(延伸倍率1.4)、レーザ出力を150Wとすること以外は実施例5と同様の方法で直接紡糸延伸を行った。得られた延伸糸物性を表3に示す。なお、得られた延伸糸の伸度は30%であった。
【0056】このように、レーザ出力と延伸速度を調整することで直接紡糸延伸でも1段延伸で強度とタフネスを兼ね備えた延伸糸を得ることができる。
【0057】実施例71GR速度を2000m/min、2GR速度を5100m/min(延伸倍率2.6)とすること以外は実施例5と同様の方法で直接紡糸延伸を行った。得られた延伸糸物性を表3に示す。
【0058】表3から分かるように紡糸速度(1GR速度)が2000m/minであればレーザ延伸を行うことで直接紡糸延伸でも十分な強度、収縮特性を持つ延伸糸を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】高強度繊維を生産性に優れかつ省スペース、省エネルギーで製造できる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年6月2日(2000.6.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−348727(P2001−348727A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−165545(P2000−165545)