| 【発明の名称】 |
難燃性ポリビニルアルコール系繊維 |
| 【発明者】 |
【氏名】大木 弘之
【氏名】内海 直彦
【氏名】伊藤 厚志
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| 【要約】 |
【課題】難燃性が高く繊維性能に優れたPVA系難燃繊維及び該繊維を用いてなる布帛を提供する。
【解決手段】リン系難燃剤(A)および多価アルコール(B)を含有するポリビニルアルコール系難燃繊維とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リン系難燃剤(A)および多価アルコール類(B)を含有するポリビニルアルコール系難燃繊維。 【請求項2】 ポリビニルアルコール系難燃繊維を構成するビニルアルコール系ポリマー(C)の結晶化度が65〜85%、配向度が55〜95%である請求項1に記載のポリビニルアルコール系難燃繊維。 【請求項3】 リン系難燃剤(A)として、少なくともリン酸系化合物を含有する請求項1又は請求項2に記載のポリビニルアルコール系難燃繊維。 【請求項4】 多価アルコール類(B)として、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも一種以上を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコール系難燃繊維。 【請求項5】 280℃における水分発生率が70%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリビニルアルコール系難燃繊維。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリビニルアルコール系難燃繊維を用いてなる布帛。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に安価に製造可能なポリビニルアルコール(以下PVAと略記)系難燃繊維及び該繊維を用いてなる布帛に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、アクリル繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維等の種々の繊維に難燃性を付与する方法が検討されている。なかでもPVA系繊維は、機械的性能が高く低コストでしかもメルトドリップが発生しにくい等の特徴があることから難燃性繊維として注目されている。 【0003】たとえば、ポリ塩化ビニル等のハロゲン含有樹脂やハロゲン化難燃剤を含有するPVA系繊維や、塩化ビニル共重合PVAを用いたPVA系繊維が提案されている(特公昭37―12920号公報、特公昭37−12920号公報、特公昭49−10823号公報、特公昭51−19494号公報)。しかしながら、近年、さまざまな材料・素材が環境に与える影響が非常に問題視されており、特に焼却時にダイオキシンが発生する点等から、ポリ塩化ビニルを代表とするハロゲン含有素材(ハロゲン含有樹脂、ハロゲン系難燃剤等)を非ハロゲン系素材に置き換えることが強く要望されている。 【0004】以上のことから、実質的にハロゲンを含まない非ハロゲンPVA系難燃繊維の検討がなされている。例えばリン系難燃剤を用いる方法として、PVA系繊維をポリリン酸アンモニウムの水性懸濁液等に浸漬して表面コーティング処理する方法(特開昭45−34762公報、特開昭49−74768公報)、PVA系繊維を縮合リン酸液及び反応促進剤を混合した液の中に浸漬後、該繊維を加熱してリン酸エステル化する方法(特開昭48−28085公報)、さらにポリリン酸アンモニウム又はポリリン酸アミドを含有するPVA水溶液を乾式紡糸する方法(特開昭50−22050公報、特開昭50−22051公報)等が提案されている。しかしながら、リン系難燃剤はハロゲン系難燃剤に比して難燃効果が低いために十分な難燃効果が得られにくく、また十分な難燃効果を得るために多量の難燃剤を配合すると繊維性能が損われる問題がある。またリン酸エステル化したPVA系樹脂と通常のPVA系樹脂の混合物を繊維化することが特開昭53−115794号公報に記載されているが、やはり十分な難燃性は得られにくく、難燃性を高めるためにリン酸エステルの割合を高めると繊維性能が低下してしまう。 【0005】一方、リン酸含有化合物により架橋構造を形成させてPVA系繊維の耐熱水性を改良する方法も提案されている(特開平2−249705号公報、特開平4−228610号公報、特開平2−84587号公報、特開平4−228610号公報、特開平3−287812号公報、特開平4−163309号公報、特開平4−100912号公報、特開平3−213510号公報、特開平4−240207号公報、特開平4−126829号公報、特開平4−163310号公報、特開平4−126830号公報等)。確かに架橋構造が形成されると繊維の耐熱水性は向上するものの、架橋構造が形成された繊維の難燃性は低下しやすい問題がある。さらにPVAの分子内脱水が進行して共役2重結合が生じるために激しく着色し、また繊維の柔軟性が低下して品位が損われる問題があり、消防服や作業服などの衣料分野やカーペットなどのリビング分野、カーシートなどの産業資材分野には不適当なものとなる。またかかる架橋構造を形成させるのを目的とする場合、繊維に配合されるリン系化合物はせいぜい5質量%/繊維(通常1質量%以下/繊維)であることから十分な難燃効果は奏されない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、難燃性が高く機械的性能、品位等の諸性能に優れたPVA系難燃繊維及び該繊維を用いて成る布帛を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、(1) リン系難燃剤(A)および多価アルコール(B)を含有するポリビニルアルコール系難燃繊維、(2) ポリビニルアルコール系難燃繊維を構成するビニルアルコール系ポリマー(C)の結晶化度が65〜85%、配向度が55〜95%である(1)に記載のポリビニルアルコール系難燃繊維、(3) リン系難燃剤(A)として、少なくともリン酸系化合物を含有する(1)又は(2)に記載のポリビニルアルコール系難燃繊維、(4) 多価アルコール類(B)として、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも一種以上を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載のポリビニルアルコール系難燃繊維、(5) 280℃における水分発生率が70%以上である(1)〜(4)のいずれかに記載のポリビニルアルコール系難燃繊維、(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のポリビニルアルコール系難燃繊維を用いてなる布帛、に関する。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明においては、繊維に十分な難燃性を付与する点から少なくともリン系難燃剤(A)を含有させる必要がある。リン系難燃剤は他の非ハロゲン系難燃剤に比して難燃効果が高く、しかも繊維性能を劣化させにくいことから優れた効果が得られる。リン系難燃剤による難燃効果は、以下の■〜■の少なくとも1以上のメカニズムにより発現し、通常2以上のメカニズムが相乗的に作用していると考えられる。 ■リン系難燃剤が燃焼時に縮合してポリリン酸を形成し、これが繊維表層を被膜することによって外部からの燃焼熱を遮断したり、繊維内部からの可燃性ガスの発生を抑制する。 ■リン系難燃剤によりビニルアルコール系ポリマーの脱水反応が促進されて架橋・炭化反応が加速され、この時生じたPVA由来の炭化物(チャーと呼ばれる)が繊維表面を被膜して、外部からの燃焼熱を遮断したり繊維内部からの可燃性ガスの発生を抑制する。 ■難燃剤中のリン原子が燃焼時に発生する活性ラジカルのトラップ剤として働く。 ■ビニルアルコール系ポリマーの脱水反応によって発生する水分の気化熱によって繊維表面が冷却される。 【0009】本発明者等は、リン系難燃剤によるPVA系繊維の難燃化について詳しく検討した結果、上記発現メカニズムのなかでも■及び■が繊維の難燃性に大きな影響を与えることを見出した。上記メカニズム■及び■を十分に発現させるためには、燃焼時に繊維の分解反応が大きく進行する前に脱水反応が生じ、しかも脱水反応がある温度以上で急激に進行することが重要となる。以上のことから、280℃における水分発生率が70%以上、特に75%以上、さらに80%以上であるのが好ましい。なお、本発明にいう水分発生率とは、繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーから理論的に生成する水分量に対する「280℃の窒素中にPVA系繊維を2時間放置した際に発生する水分量」の割合(百分率)であり、実施例に記載の方法により求められる。280℃における水分発生率の高い繊維ほど上記メカニズム■及び■が効果的に発現して優れた難燃効果が奏される。 【0010】また上記メカニズム■及び■を効率的に発現させる点からは、燃焼時にビニルアルコール系ポリマーの脱水反応を進行させるのに十分な酸性を有するリン系難燃剤を用いるのが好ましい。具体的には、リン酸系化合物が好適に挙げられる。工業的汎用性、難燃性発現効果、着色抑制性等を考慮すると、リン酸、亜リン酸、メタリン酸等やこれらの誘導体(リン酸、亜リン酸、メタリン酸等のリン原子に直接アルキル基又はフェニル基が結合した化合物等)、さらにリン酸、亜リン酸、メタリン酸等又はこれらの誘導体の縮合物、また該縮合物のエステル類(アルキルエステル類、フェニルエステル類等)、アンモニウム塩、アミド化物等がリン酸系化合物として好適に使用できる。なかでも同理由からリン酸及びリン酸誘導体、あるいはこれらの縮合物のアルキルエステル類、フェニルエステル類、アンモニウム塩、アミド化物がより好適に使用できる。 【0011】より具体的にはメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、トリメチルホスフェート、エチルホスフェート、ジエチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジエチルヘキシルホスフェート、ブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、エチルジエチルフォスホノアセテート、ブチルピロホスフェート、ブトキシエチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、フェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル(アルキルエステル類、フェニルエステル類等)、リン酸3アンモニウム、亜リン酸アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム等のリン酸化合物塩、そのほかホスフェートアミン化合物、リン酸アミド、フェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート等が挙げられる。またポリリン酸メチル、ポリリン酸エチル、ポリリン酸プロピル、ポリリン酸ブチル、ポリリン酸フェニル等のリン酸又はリン酸誘導体の縮合物のエステル類(アルキルエステル類、フェニルエステル類)等も好適に使用できる。 【0012】また重合性2重結合を有するリン含有モノマーの重合体、あるいはこれらリン含有モノマーとその他重合性モノマーとの共重合体、あるいはこれら重合体の誘導体をリン系難燃剤として用いてもかまわない。重合性2重結合を有するリン含有モノマーは特に限定されないが、例えばアクリルアミド基、メタクリルアミド基、アクリレート基、メタクリレート基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基等から選ばれる少なくとも1以上の基を有するモノマーが好適に挙げられる。これらの2重結合含有化合物から重合体を得る方法は特に限定されず、2重結合の反応性によってラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法等の一般的に利用されている重合法から適宜選択される。 【0013】またリン含有モノマーと共重合する成分としては、αオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン他)、スチレン、スチレン誘導体、メタクリレート類、アクリレート類、アクリロニトリル、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ブタジエン、イソプレン、イソブテン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の重合性モノマー類から選ばれる1種、あるいは2種以上の成分が挙げられる。なかでも紡糸原液を構成する溶剤に対する親和性、溶解性を考慮すると、メタクリレート類、アクリレート類、メタクリルアミド類、アクリルアミド類、ビニルエステル類が好適に使用できる。これらの共重合モノマー類とリン含有重合性モノマーからなる共重合体は、ランダムコポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれであってもよく、さらに共重合体の後変性によって選られる誘導体も好適に用いられる。 【0014】より具体的には、ビニルエステル類とリン含有重合性モノマーとを共重合後、側鎖であるエステル基の一部あるいは全てを鹸化してビニルアルコールユニットに変換することで得られるビニルアルコール/リン含有ユニット共重合体、アクリレート類またはメタクリレート類とリン含有重合性モノマーとを共重合後、側鎖であるエステル基の一部あるいは全てを加水分解しアクリル酸あるいはアクリル酸塩に変換することで得られるアクリル酸(またはアクリル酸塩)含有ポリマー/リン含有ユニット共重合体等が挙げられる。 【0015】また上記■を発現し高い難燃効果を得る点からは、リン系難燃剤として縮合リン酸系化合物又は燃焼時に容易に縮合してポリリン酸型の縮合物を形成しやすい低分子化合物を用いるのが好ましく、特にビニルアルコール系ポリマーとの親和性・相溶性の点、さらに紡糸性を高める点から縮合リン酸系化合物を用いるのが好ましい。好適な例としては、ポリリン酸等の縮合リン酸、ポリリン酸アンモニウム等の縮合リン酸塩、ほかにポリリン酸アミド、ポリリン酸エステル類(アルキルエステル類、フェニルエステル類等)が挙げられる。 【0016】好適なポリリン酸アミドとしては、リン酸源及び窒素源、さらに必要に応じて縮合剤を混合して焼成、縮合反応を行わせて得られるアミド型窒素を含有する高分子化合物が挙げられる。好適なリン酸源としてはリン酸アンモニウム、リン酸尿素、無水リン酸、縮合リン酸、リン酸から選ばれる1種以上の化合物、好適な窒素源としてはメラミン、ジシアンジアミド、グアニジン、グアニル尿素等のシアナミド誘導体、好適な縮合剤としては尿素、リン酸尿素が挙げられる。また焼成条件によっては脱水作用が一部に生じることがあるが、かかる方法により得られる化合物、たとえばホスホリルアミド、ホスホリルイミドの結合を一部に有する化合物、また尿素結合が一部残存している化合物等もポリリン酸アミドに包含される。 【0017】また難燃効果、紡糸性及び繊維性能等の点からは、少なくともポリリン酸アンモニウムをリン酸系化合物として用いるのが好ましく、該難燃剤を用いることにより顕著な効果が奏される。ポリリン酸アンモニウムは、一般的にはオルソリン酸と尿素、無水リン酸とアンモニア、縮合リン酸と尿素、あるいはオルソリン酸アンモニウムと尿素、無水リン酸とアンモニウムなどのような、リン酸源及びアンモニア発生源、さらに必要に応じて縮合剤を配合してなる1種または数種の適当な組み合わせ原料を加熱縮合することにより得ることができる。なかでもH(n-m)+2(NH4)mPnO3n+1で示される直鎖状リン酸塩が好適に使用できる。なおnは5以上の整数であり、0<m≦n+2である。なかでもnは10以上の整数であるのが好ましく、(n−m)+2は実質的に0であるのが好ましい。 【0018】なお本発明にいうリン系難燃剤(A)とはリンを含有する化合物であり、難燃性及び繊維性能の点からリン含有化合物に占めるリン原子の質量割合が10質量%以上、特に20〜80質量%であるのが好ましい。また2種以上のリン系難燃剤を併用してもよく、本発明の効果を損わない範囲であればリン系難燃剤以外の難燃剤をさらに併用しても構わない。PVA系繊維中のリン系難燃剤の総含有量は難燃剤の種類等によって変更すれば良いが、難燃効果、繊維の機械的性能、着色抑制等の点から1質量%以上/繊維、特に8〜45質量%/繊維、特に10〜40質量%/繊維とするのが好ましい。 【0019】本発明者等は、リン系難燃剤(A)とともに多価アルコール類(B)を含有させることにより、PVA系繊維の難燃性が顕著に高まることを見出した。リン系難燃剤を配合すると、燃焼時に該難燃剤が縮合してポリリン酸を形成し、これが繊維表層を被膜することによって外部からの燃焼熱を遮断したり、繊維内部からの可燃性ガスの発生を抑制するため優れた難燃効果が奏されるが、多価アルコール類(B)を併用すると、燃焼時に生成するポリリン酸と多価アルコール類(B)がエステル化反応を生じ、多価アルコール類(B)がポリリン酸の架橋剤として働く。その結果、ポリリン酸被膜がより熱的安定性を増して強固に繊維表層を被膜するため、外部からの燃焼熱の遮断や繊維内部からの可燃性ガスの発生抑制効果が増大すると考えられる。さらに、前述の■で示したように、燃焼時にビニルアルコール系ポリマー(C)が熱分解して生じるチャーは難燃性付与に重大な役割を果たしているが、多価アルコール類(B)を配合することによって、ポリリン酸被膜とチャー被膜とが多価アルコール類(B)を介して相互にからみあい、難燃性付与効果を一層高めると考えられる。以上のように、ビニルアルコール系ポリマー(C)、リン系難燃剤(A)および多価アルコール類(B)を組み合わせることによって、上記の機構が発現することからPVA系繊維の難燃性を顕著に高めることができる。 【0020】なお、従来、リン酸含有化合物により架橋構造を形成させてPVA系繊維の耐熱水性を改良する方法が検討されているが(特開平2−249705号公報、特開平4−228610号公報、特開平2−84587号公報、特開平4−228610号公報、特開平3−287812号公報、特開平4−163309号公報、特開平4−100912号公報、特開平3−213510号公報、特開平4−240207号公報、特開平4−126829号公報、特開平4−163310号公報、特開平4−126830号公報等)、予め架橋構造を形成させている場合には、燃焼時にポリリン酸皮膜及びチャーが形成されにくくなることから、さらに多価アルコール類(B)を配合しても本発明のような効果は得られない。 【0021】本発明に用いられる多価アルコール類(B)は特に限定されず、1分子に水酸基を2つ以上有する化合物及び該化合物の誘導体(好適には燃焼時に該化合物と同等・類似の挙動を示す誘導体;たとえば好適には脂肪族又は芳香族1〜2価カルボン酸との部分エステル化合物)が好適に用いられる。たとえばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、マンニトール、セルロース、ブドウ糖、グリセリン、トリスヒドロキシエチルイソシアネート、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、アジピン酸とペンタエリスリトールの反応生成物、アジピン酸とジペンタエリスリトールの反応生成物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、2,2,6,6−テトラメチロールシクロヘキサノール、ソルビトール、マンニトール、イノシトールなどのポリオール類およびこれらポリオールと脂肪族又は芳香族1〜2価カルボン酸との部分エステル化合物などがあげられる。もちろん、2種以上のポリアルコール類を併用してもかまわない。 【0022】なかでも、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ペンチトール類、ヘキシトール類およびサッカリド類よりなる群の中から選択された少なくとも一つの多価アルコール類は、燃焼時に生成するポリリン酸系化合物と反応して効率よく架橋構造を形成するため好ましい。なお、ペンチトール類としてはアドニトール、アラビニトール等が、ヘキシトール類としてはズルシトール、ソルビトール等が、サッカリド類としてはアミロース、キシラン等を挙げることができる。特に、ビニルアルコール系ポリマーとの親和性・相溶性の点、さらに紡糸性を高める点から、多価アルコール類として、少なくともペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールから選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。繊維における多価アルコール(B)の含有量は、0.1〜30質量%/繊維であり、特に0.5〜10質量%/繊維であるのが好ましい。 【0023】本発明の難燃繊維を構成するビニルアルコール系ポリマー(C)は特に限定されず、あらゆるビニルアルコール系ポリマーが使用できる。しかしながら、特定のビニルアルコール系ポリマーにより構成された繊維とすることにより、繊維の難燃性を顕著に高めることができる。前述の■に示したように、リン系難燃剤によるPVAの難燃化において最も重要な効果は、リン系難燃剤により繊維を構成するPVA系樹脂の脱水反応が促進され、これに続く架橋、炭化反応により生じたPVA由来の炭化物(チャー)が繊維表面を被膜し、外部からの燃焼熱を遮断したり、繊維内部からの可燃性ガスの発生を抑制することにあることを本発明者等は明らかにした。 【0024】この時、実際にはPVA自身の熱分解反応が競争反応として存在しており、PVAの熱分解反応が生じると、チャー生成量の減少に繋がるばかりか、分解物が燃焼性ガスとして働くため難燃性発現を大きく妨げることとなる。従って、如何に繊維を構成するPVA系樹脂の熱分解反応を抑制するかが非常に重要となる。さらに燃焼時に生成するPVA由来のチャーの性状も当然重要であり、燃焼に耐えうる耐熱性の高いチャーを如何に効率よく、高収率で生成するかがポイントとなる。 【0025】そこで燃焼時のPVAからのチャー生成機構を詳しく調べた結果、リン系難燃剤によりPVAの脱水反応が生じ、その結果生成したポリエン構造がディールス・アルダー反応によって環化する際、同じ分子(鎖)内で環化するいわゆる分子内環化と、異なる分子(鎖)間で環化、架橋する分子間環化の2つのパスに大別され、分子間環化反応を優先させることが最終的に得られるチャーの収率向上及び耐熱性向上、すなわち難燃性発現に非常に有効であることを見出した。すなわち、如何にして燃焼時にポリエン鎖同志の分子間環化を促進させるかが難燃性発現に非常に重要となる。 【0026】本発明者等は、繊維を構成するPVA系重合体が高い結晶性及び配向度を有している場合に、繊維の難燃性が一層向上することを見出した。難燃効果の点からは、PVA系繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーの結晶化度を65%以上とするのが好ましく、かかる構成とすることによってPVA系樹脂の燃焼時の熱分解を抑制する、すなわちチャー生成までの時間を稼ぐことが可能になり、よってチャー生成の収率が向上して難燃性効果が高まると推察される。 【0027】また繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーの配向度を55%以上とすることによって一層顕著な効果が得られる。すなわち、分子鎖同志が高い配向度で同一方向に並列しているほど、脱水後のデイールスアルダー反応が分子鎖間で生じやすくなり、その結果、最終的に再生するチャーの収率、耐熱性等が向上し、難燃性発現に大きく貢献するものと思われる。しかしながら、繊維の結晶化度及び配向度が高すぎると加工性、耐摩耗性、柔軟性等が低下することから、結晶化度85%以下、配向度95%以下であるのが好ましい。 【0028】本発明のPVA系繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーは特に限定されないが、ポリマーの結晶性、機械的性能、難燃性等の点から粘度平均重合度1000以上、特に1500以上とするのが好ましく、紡糸性、コストの点から5000以下とするのが好ましい。また同理由からケン化度98モル%以上、なかでも99モル%以上、特に99.5モル%以上とするのが好ましい。ビニルアルコール系ポリマーには他のモノマーが共重合されていてもよく、共重合成分としてはたとえばエチレン、酢酸ビニル、イタコン酸、ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸ビニル、無水マレイン酸、スルホン酸含有ビニル化合物などが挙げられる。繊維性能、難燃性能等の点からはビニルアルコールユニットを全構成ユニットの70モル%以上有するポリマーとするのが好ましい。また本発明の効果を損わない範囲であれば、繊維にビニルアルコール系ポリマー以外のポリマーや他の添加剤を含んでいてもかまわない。繊維性能等の点からはビニルアルコール系ポリマーの含有量を30質量%以上/繊維、特に50質量%以上/繊維とするのが好ましい。 【0029】本発明のPVA系難燃繊維の製造方法は特に限定されず、たとえばビニルアルコール系ポリマー水溶液を紡糸原液とし、これを飽和芒硝浴等の凝固浴に吐出してPVA系繊維を製造する方法等を採用すればよい。しかしながら、かかる方法によると凝固浴中で急激に脱水凝固反応が起るために繊維表層部に緻密なスキン層が形成されたスキンコア構造が形成される。この場合、ビニルアルコール系ポリマーが脱水反応により水分を発生したとしても、繊維表層部が緻密なスキン層により覆われているため効率的に気化できないため、繊維表面の冷却効果も低くなる。また繊維内部まで十分に固化反応が進行せず、さらに高度に延伸を行うことができないことから得られる繊維の結晶化度はせいぜい50〜60%となる。また同紡糸原液を気体中に吐出する乾式紡糸法を採用することも知られているが、該方法を採用したとしても繊維内部まで十分に固化させることが困難である等の理由から結晶化度はせいぜい50〜60%、配向度も40〜50%と小さくなる。 【0030】よって、繊維の結晶化度を高め、機械的性能、寸法安定性、難燃性をより高めたい場合には、ビニルアルコール系ポリマーを有機溶剤に溶解して得られる紡糸原液を用い、かつ下記の条件を採用して紡糸するのが好ましい。下記の方法によれば、固化反応が時間をかけて行われるためスキンコア構造が形成されることなくかつ繊維内部まで十分に固化されることから、繊維構成ポリマーの結晶化度及び配向度が高くなり、その結果、機械的性能、乾湿寸法安定性等が向上するのみでなく優れた難燃効果が奏される。以下に本発明のPVA系難燃繊維の好適な製造方法を詳細に説明する。 【0031】まず、紡糸原液を構成するビニルアルコール系ポリマーの溶剤として、たとえばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオールなどの多価アルコール類やジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジエチレントリアミン等から選ばれる有機溶剤、またはこれら2種以上の混合溶剤、さらにこれら有機溶剤と水との混合溶剤などを用いるのが好ましい。ただし、リン系難燃剤(A)を紡糸原液に直接添加して紡糸する場合には、該難燃剤を凝集させたり分離させない溶剤を用いるのが好まく、以上の点からはジメチルスルホキシド及び/又はグリセリン、特にジメチルスルホキシドがより好ましい。紡糸性、繊維性能等の点からは、紡糸原液中のビニルアルコール系ポリマー濃度は5〜25質量%程度が好ましく、紡糸原液の温度は80〜230℃が一般的である。また本発明の効果を損わない範囲であればホウ酸、界面活性剤、分解抑制剤、染料、顔料などを紡糸原液に添加してもかまわない。 【0032】このようにして得られた紡糸原液を紡糸ノズルを通して固化浴中に湿式紡糸、あるいは乾湿式紡糸する。固化浴を紡糸ノズルに直接接触させる湿式紡糸方法は、ノズル孔ピッチを狭くしても繊維同士が膠着せずに紡糸できるために多孔ノズルを用いた紡糸に適しており、一方固化浴と紡糸ノズルの間にエアギャップを設ける乾湿式紡糸の場合は、エアギャップ部での伸びが大きいことより高速紡糸に適している。目的や用途に応じて適宜紡糸法を選択するのが好ましい。 【0033】紡糸原液を固化し繊維化させる固化液としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などのようにPVAに対して固化能を有する有機溶媒が好ましい。このとき、結晶化度の高い繊維を得る点から固化における溶剤抽出をゆっくり行って均一ゲル構造を形成させることが重要であり、この点から該固化液に紡糸原液を構成する有機溶剤を10質量%以上混合させるのが好ましい。固化溶媒としてメタノール、紡糸原液溶媒としてDMSOを用いるのがより効果的である。紡糸性、繊維性能等の点からは固化浴中の紡糸原液溶媒の濃度を20〜70質量%、さらに25〜65質量%とするのがより好ましく、固化液/紡糸原液溶媒の組成質量比は25/75〜85/15であるのが好ましい。また本発明の効果を損わない範囲であれば他の添加物が配合されていてもかまわない。 【0034】さらに固化反応速度を小さくして繊維内部まで十分に均一ゲル構造を形成させる点からは固化浴の温度を30℃以下とするが好ましく、特に20℃以下、さらに15℃以下とするのが好ましい。かかる方法を採用することによって、固化が断面方向に均一でありかつ熱処理等を施さない場合であっても結晶化度の高い繊維が得られる。繊維間の膠着を少なくしその後の乾熱延伸を容易にする点からは、固化浴から離浴した糸篠を有機溶剤を含んだ状態で2〜10倍の湿延伸をするのが好ましく、20〜60℃の温度範囲で湿延伸を行うのがより好ましい。 【0035】次いで繊維を抽出浴に浸漬して溶剤の抽出を行えばよい。抽出剤としてはメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、エーテル、水などが使用できる。続いて、必要に応じ、油剤などを付与して乾燥すればよい。PVA系繊維の強度、耐熱性、耐湿熱性を高める点からはさらに乾熱延伸を行うのが好ましく、特に総延伸倍率が6倍以上、好ましくは8倍以上となるように乾熱延伸するのが好ましい。なお、総延伸倍率は湿延伸倍率と乾熱延伸倍率の積で表される。 【0036】このとき、リン系難燃剤によりビニルアルコール系ポリマーの脱水反応が進行しない条件で乾燥及び乾熱延伸するのが好ましい。リン系難燃剤によりビニルアルコール系ポリマーに脱水反応が進行してしまうと、分子内の共役2重結合生成に伴う激しい着色が生じてしまって繊維の品位が劣化し、また繊維の配向が阻害されて耐熱性の高いチャーが生成しにくくなり、しかも燃焼時における脱水反応により生じる水分による難燃効果が十分得られなくなる。 【0037】具体的には乾燥、乾熱延伸、熱処理などを行う際の温度条件はリン系難燃剤(A)の脱水開始温度より低くすることが望ましい。たとえばリン酸、ポリリン酸、オルトリン酸等の酸性が強いリン系難燃剤を用いる場合には230℃以下、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、あるいはリン酸アミド、ポリリン酸アミド等のリン系難燃剤を用いる場合は250℃以下、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類のリン系難燃剤を用いる場合は260℃以下の温度条件下で乾燥及び乾熱延伸を行うのが好ましい。なおリン系難燃剤(Aの脱水開始温度が高い場合であっても、260℃以上の条件ではPVAの分解が生じることから、260℃以下の温度条件で乾燥及び乾熱延伸を行うのが好ましい。リン系難燃剤を配合している場合には、他の化合物に比してビニルアルコール系ポリマーの脱水反応をコントロールしやすいことから優れた効果が得られる。 【0038】本発明は、風合、色調に優れたPVA系繊維を製造するものであり、火事等により燃焼した際にはじめて架橋構造を形成させて(脱水反応を生じさせて)難燃発現メカニズ■〜■を発現させて優れた難燃効果を得るものである。これまでPVA系繊維の耐熱水性を高める目的でリン化合物を配合して架橋構造を形成させる方法が検討されていたが、かかる方法により得られる繊維は色調等の点で上記のような問題が生じることから本発明の効果は得られない。 【0039】しかしながら、繊維の機械的性能、結晶化度の点からは、高い温度で乾熱延伸を行う方が好ましいことから延伸温度が高い方が好ましく、特にビニルアルコール系ポリマーの重合度が高いほど延伸温度を高めて延伸倍率を高めるのが好ましい。以上のことから、もっとも着色が少なく(PVAの脱水反応が進行せず)、かつ高延伸倍率を達成しうる温度を選択するのが好ましく、リン系難燃剤(B)の脱水開始温度をXとするとき、(X―30)℃以上で乾熱延伸を行うのが好ましい。また所望によりさらに熱処理やホルマール化処理等を行ってもかまわないが、かかる処理を行う場合にも実質的にビニルアルコール系ポリマーの脱水反応が進行しない条件下で諸処理を行うのが好ましい。 【0040】リン系難燃剤(A)および水酸基を有する化合物(B)の付与は、繊維が難燃性を発現するに十分な量を付与可能でありかつ最終的に得られる繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーが十分な結晶性を有し得る方法であれば、紡糸原液から乾熱延伸後のいずれの工程で行ってもかまわない。たとえば、紡糸原液中に添加する方法、膨潤状態の糸篠を難燃剤および/または水酸基を含有する化合物を添加した抽出浴を通過させる方法、さらに適当な液体に溶解・分散したリン系難燃剤および/または水酸基を含有する化合物を紡糸した繊維表面に塗布する方法等が挙げられる。また本発明の効果を損わない範囲であれば、他の添加剤(難燃剤など)を配合してもかまわない。しかしながら、環境上の点からは、繊維におけるハロゲン含有率を5質量%以下/繊維、特に0.1質量%以下/繊維、さらに0.1%以下/繊維、またさらに0.1質量%以下/繊維とするのが好ましく、なかでも0〜0.001質量%/繊維とするのが好ましい。ハロゲン含有率が高い場合にはダイオキシン発生等の環境上の問題が生じる。一般的にハロゲン含有率を低くすると十分な難燃性が得られにくくなるが、本発明によれば、実質的にハロゲンを用いることなく難燃性に優れたPVA系繊維を得ることができる。なお、本発明にいうハロゲン含有率とは、繊維質量に占めるハロゲン元素質量の割合であり、実施例に記載の方法により求められる。 【0041】繊維の単繊維繊度は用途、目的に応じて適宜変更すれば良く、たとえば布帛等に用いる場合には0.01〜20dtex,特に0.1〜10dtex程度のものが広く適用できる。また繊維強度は3cN/dtex以上、特に5cN/dtex以上であるのが好ましく、本発明においては繊維の機械的性能を大きく損うことなく優れた難燃性能を付与できる。LOI値は25以上、特に30以上、さらに32以上であるのがが好ましい。本発明により得られる難燃繊維は、燃焼ガス毒性、メルトドリップ性、コスト、耐洗濯耐久性等の諸性能に優れ、しかも高い難燃効果を有しているのみでなく品位、機械的性能等にすぐれていることから、産業資材用途のみならずあらゆる用途に使用できる。具体的には戦闘服や消防服などの防護衣料分野、カーシートや車両バネ受材やエアフィルターなどの産業資材分野、カーテン、カーペット、毛布、フトン側地、シーツカバー、中入綿などの生活資材分野に有効に用いることができる。 【0042】また該難燃繊維はあらゆる形態で使用できる。たとえばフィラメント、カットファイバー(捲縮繊維等)、紡績糸、紐状物、ロープ、布帛(不織布、織編物)等の形態で使用でき、また他の非難燃繊維及び/又は他の難燃繊維と併用して繊維構造物を形成してもかまわない。なかでも本発明の難燃繊維は風合に優れていることから布帛として用いた場合に顕著な効果が得られる。本発明の難燃繊維を50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上含む布帛とすることにより一層優れた難燃効果が奏される。 【0043】 【実施例】次に本発明を実施例にてさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例中、%や比率は特に断りがない限り質量に基づく値である。 [繊維強度 cN/dtex] JIS L−1013に準じて測定した。 【0044】[280℃における水分発生率 質量%]秤量した繊維をあらかじめ280℃に加熱したカールフィッシャー型水分測定装置のセル内に設置し、窒素を流しながら2時間放置し、発生した総水分量を定量する。次いで仕込んだ繊維サンプル中のポリビニルアルコール系ポリマーから生成する理論水分量に対する該総水分量の質量比(%)を算出する。 [結晶化度 %]理学電機製「差動型示差熱天秤 TAS−2000」を用いて、約2〜3mgの精秤した繊維サンプルを窒素中で25℃から300℃まで昇温速度80℃/min、ガス流量20ml/minの条件で昇温した際のビニルアルコール系ポリマーの結晶融解に基づく吸熱ピーク面積から融解熱(J)を求めた。次いで難燃剤等を除いたビニルアルコール系ポリマー1gあたりの融解熱(ΔH/g)を換算し、該値の結晶化度100%のビニルアルコール系ポリマー1gあたりの融解熱(174.5J/g)に対する割合(%)を結晶化度として求めた。 [配向度 %]株式会社オリエンテック製パルス式直読粘弾性測定器DDV―5―B型を用い、繊維サンプルの繊維軸に沿った10KHzの音波の速度Cを測定し、ポリビニルアルコールのキャストフィルムから得られた無配向試料の音速Cu(2.20km/sec)と比較してMoselayの式(配向度=1―Cu2/C2)により配向度を算出した。 【0045】[難燃指数(LOI値)] JIS K−7201に準拠して測定した。 [ハロゲン含有率 質量%]試料(A1mg)を酸素気流中で加熱分解し、このガスを800℃の白金触媒に接触させて単体ハロゲンを生成させ、次いでこの単体ハロゲンを400〜450℃の加熱銀と反応させ、反応後の銀の質量増加分(A2mg)を測定し、A22/A1×100により算出した。 【0046】[実施例1]重合度1750、ケン化度99.8モル%のPVA、ポリリン酸アンモニウム(住友化学社製「スミセーフP」)、ペンタエリスリトールをDMSO中窒素気流下80℃で5時間撹拌し、PVA/ポリリン酸アンモニウム/ペンタエリスリトール=82/16/2、PVAのポリマー濃度18質量%の組成を有する紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を孔径0.08mm、孔数1000ホールのノズルを通して、メタノール/DMSOの質量比が70/30である5℃の固化浴中に湿式紡糸した。次いでメタノールでDMSOを抽出しながら3倍に湿延伸し、100℃の熱風でメタノールを乾燥し、230℃で3.3倍乾熱延伸を施し、単繊維繊度3.4dtex(繊維強度6.1cN/dtex、PVAの結晶化度68%、配向度60%、280℃の水分発生率88%、ハロゲン含有率0%)の繊維を得た。該繊維の色相は若干薄紫色に着色していたものの従来のリン酸で架橋したPVA系繊維の着色より遥かに軽度であり、風合、品位の高いものであり、しかもLOI値は36と高く優れた難燃性能を有していた。該実施例1により得られる繊維は風合、機械的性能に優れ、しかも燃焼時には優れた難燃性能を奏するものであり、諸性能に優れる布帛を供し得るものであった。 【0047】[実施例2]ポリリン酸アンモニウムにかえてポリリン酸アミド(住友化学社製スミセーフPM)を用いた以外は実施例1と同様に単繊維繊度3.3dtexの繊維(繊維強度6.0cN/dtex、PVAの結晶化度68%、配向度63%、280℃の水分発生率82%、ハロゲン含有率0%)を得た。該繊維の色相は若干薄紫色に着色していたものの従来のリン酸で架橋したPVA系繊維の着色より遥かに軽度であり、風合、品位の高いものであり、しかもLOI値は34と高く優れた難燃性能を有していた。該実施例1により得られる繊維は風合、機械的性能に優れ、しかも燃焼時には優れた難燃性能を奏するものであり、諸性能に優れる布帛を供し得るものであった。 【0048】[実施例3]ペンタエリスリトールにかえてジペンタエリスリトールを用いた以外は実施例1と同様に単繊維繊度3.3dtexの繊維(繊維強度6.0cN/dtex、PVAの結晶化度68%、配向度63%、280℃の水分発生率82%、ハロゲン含有率0%)を得た。該繊維の色相は若干薄紫色に着色していたものの従来のリン酸で架橋したPVA系繊維の着色より遥かに軽度であり、風合、品位の高いものであり、しかもLOI値は34と高く優れた難燃性能を有していた。該実施例3により得られる繊維は風合、機械的性能に優れ、しかも燃焼時には優れた難燃性能を奏するものであり、諸性能に優れる布帛を供し得るものであった。 【0049】[比較例1]重合度1750、ケン化度98.5モル%のPVA、ポリリン酸アンモニウム(住友化学社製スミセーフPM)を水中90℃で5時間撹拌し、PVA/ポリリン酸アンモニウム=100/10、PVAのポリマー濃度20%の組成を有する紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を孔径0.08μm、孔攻1000ホールのノズルを通して、苛性ソーダ20g/lと芒硝350g/lを含有する45℃の水溶液よりなる固化浴中に湿式紡糸した。次いで1.5倍のローラー延伸、硫酸と芒硝の水溶液から中和浴にて中和、95℃の飽和芒硝水溶液中で2倍の湿延伸、30℃の水洗浴で硼酸洗浄、300g/lの芒硝水溶液で芒硝置換、100℃で乾燥、230℃で3.0倍の乾熱延伸を施こして、水系紡糸法によりPVA系難燃繊維を得た。単繊維繊度3.4dtexの繊維(繊維強度6.3cN/dtex、PVAの結晶化度56%、配向度50%、280℃の水分発生率87%、ハロゲン含有率0%)を得た。該繊維の色相は若干薄紫色に着色していたものの(L*45)、従来のリン酸で架橋したPVA系繊維の着色より遥かに軽度であり風合、品位の高いものであった。しかしながら、LOI値は31と実施例1よりも低いものであった。 【0050】 【発明の効果】本発明によれば、難燃性アクリル繊維、難燃性ポリエステル繊維、熱硬化性繊維、アラミド繊維、難燃性綿、難燃性羊毛などのPVA系以外の難燃繊維素材に比べ、燃焼ガス毒性、メルトドリップ性、強度、コスト、耐洗濯耐久性、風合などの点に優れるPVA系難燃繊維を得ることができる。本発明の繊維は、戦闘服や消防服などの防護衣料分野、カーシートや車両バネ受材やエアフィルターなどの産業資材分野、カーテン、カーペット、毛布、フトン側地、シーツカバー、中入綿などの生活資材分野に有効に用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001085 【氏名又は名称】株式会社クラレ
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| 【出願日】 |
平成12年5月9日(2000.5.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−316940(P2001−316940A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−135962(P2000−135962) |
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