| 【発明の名称】 |
セルロース成形体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡本 和▲丈▼
【氏名】大田 康雄
【氏名】中村 宗敦
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| 【要約】 |
【課題】高品質な化学セルロース以外のセルロース資源を再利用する際にも品質が安定し、工業的に利用可能な高品質の成形体製造技術を提供する。
【解決手段】化学パルプ1重量%以上とケナフパルプとを含有するセルロース三級アミンオキシド溶液を吐出させて形態を制御した後、凝固・溶媒抽出するセルロース成形体の製造方法であり、更には、前記の化学パルプとケナフパルプとを個別に三級アミンオキシドに溶解させて、前記の各セルロース溶液を、押し出し口金より複合吐出することを特徴とするセルロース成形体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】化学パルプ1重量%以上とケナフパルプとを含有するセルロース三級アミンオキシド溶液を吐出させて形態を制御した後、凝固・溶媒抽出することを特徴とするセルロース成形体の製造方法。 【請求項2】前記の各パルプを個別に三級アミンオキシドに溶解させて、成形段階で各パルプ溶液を混合することを特徴とする請求項1記載のセルロース成形体の製造方法。 【請求項3】前記の各パルプ溶液を、押し出し口金より複合吐出することを特徴とする請求項1記載のセルロース成形体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はセルロース原料を三級アミンオキシドなどの溶媒により溶液とし、繊維やロッド、シート、膜などに成形する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】ビスコース法に代わり、セルロースをN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)水和物を溶媒として成形する方法は工業的に利用されており、その代表的な例としてリオセル(Lyocell)繊維がよく知られている。NMMOは三級アミンオキシドの1種であり有機溶媒であり、この溶媒を用いることで古布や一年草、故紙などが繊維化できることが国際公開特許WO96/07778号に開示されている。しかしながら、高純度化学精製パルプに比べると安定した品質のセルロース成形体を製造することが困難であった。特に、重合度が安定しないことによる力学特性の斑およびセルロース溶液(以下成型用ドープと表現する)の流体特性が安定しないために製造時の破断トラブルに見舞われやすいという問題があった。また、国際公開特許WO98/22642号にケナフなどのヘミセルロースやリグニンの含量が多いセルロースを繊維化する技術が記載されているが、パルプにリグニンが含有されると、未溶解物により紡糸性が低下したり、高重合度精製セルロースから得られた繊維と比べると力学特性が十分高くないという問題があった。また、セルロース繊維やセルロースフィルム、セルロースシェルなどの成形体や紙の原料として、針葉樹や広葉樹などの木材を原料とするα−セルロース含有量が90%以上となるように精製された化学パルプが工業的に利用されている。この化学パルプはセルロース重合度や成分がコントロールされており、繊維やフィルムなどのように細く引き延ばす工程がある成形方法でも破断することなく安定して生産することが可能である。しかしながら、昨今の森林破壊を考えると、非木質系のセルロースの有効利用が望まれる。こうした観点からもケナフパルプは資源投入が少なくてもセルロースの生産量が高いことより、注目すべき原料である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、高品質な化学セルロース以外のセルロース資源を利用する際にも品質が安定し、工業的に利用可能な高品質の成形体製造技術を提供するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】即ち本発明は、1.化学パルプ1重量%以上とケナフパルプとを含有するセルロース三級アミンオキシド溶液を吐出させて形態を制御した後、凝固・溶媒抽出することを特徴とするセルロース成形体の製造方法、2.前記の各パルプを個別に三級アミンオキシドに溶解させて、成形段階で各パルプ溶液を混合することを特徴とする前記1記載のセルロース成形体の製造方法、3.前記の各パルプ溶液を、押し出し口金より複合吐出することを特徴とする前記1記載のセルロース成形体の製造方法、である。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、更に本発明を詳述する。本発明における化学パルプとは、一般的にケミカルパルプと称される脱リグニン処理がなされたパルプであり、例えば、亜硫酸パルプ、硫酸パルプ、ソーダパルプなどである。本発明における化学パルプととケナフパルプとの混合割合は、化学パルプの割合が1重量%以上である。品質がコントロールされた化学パルプの量が1%未満であると、ケナフパルプのみの場合のドープの成形性の悪さを改善する効果が小さい。 【0006】また、各異種セルロースパルプから得られた各成型用ドープを多層吐出するなどの複合成型することにより安定した品質のセルロース成形体を製造することが出来る。多層押し出しなどの方式を用いるときは、一方の成分が5重量%以上あることが安定に共押し出しさせる上で好ましい。利用する化学パルプの重合度は組み合わせるケナフパルプの品質に応じて適切に選択する事が好ましい。ケナフパルプの重合度が高い場合には、化学パルプの重合度をそれよりも低くする組み合わせも可能であり、ケナフパルプの品質が不安定な場合には、化学パルプの混合割合を増やすことが好ましい。 【0007】本発明における三級アミンオキシドは、前記のN−メチルモルホリン−N−オキシド水和物に代表されるセルロースを10重量%以上の濃度で溶解可能な有機溶媒である。この三級アミンオキシド溶液に酸化防止剤やpH調整剤、溶媒の流体特性を調整するための第三成分を含んでいても良い。 【0008】本発明において、繊維を製造する場合には紡糸口金、フィルムを製造する場合にはスリットダイ、その他モールドゲートなどから、セルロースの三級アミンオキシド溶液を吐出して、1軸延伸、ブロー延伸、発泡成形などで吐出物の形態を制御する。本発明は、吐出溶液の形態制御方法に関して上記の例に限定されるものではなく、所望の成型物に適した成形方法を選択することができる。 【0009】形態を制御した溶液は、非溶媒と接触させて凝固させて形態を固定する。ここで用いる非溶媒は水、低級アルコール、アセトンなどのケトン類が利用できるが、工業的に多量に利用する場合には水が好ましい。凝固中およびその後の工程では成形体中の溶媒を抽出する。抽出は非溶媒の水などが利用できるが超臨界流体などを利用しても良い。 【0010】上記成形体は、非溶媒を含んだ多孔質体で利用しても良いが、繊維やフィルムとして利用する場合には、成形体中の非溶媒を取り除く乾燥工程が必要である。乾燥は、熱風加熱、常温での風乾、凍結乾燥など任意の方法で可能である。また、乾燥後もしくは乾燥前の繊維を捲縮させること、切断して利用する事、フイルムをテープ状に裁断してフラットヤーンとして利用することも可能である。 成型品を編物や、織物に加工する前もしくは後に、染色や揉み加工、表面処理や改質処理を施すことも可能である。 【0011】また本発明では、2種類以上のセルロース原料を利用することができる。セルロースを三級アミンオキシド溶液に溶解させる際に、セルロース原料により溶解速度が異なるため、それに応じて原料の粉砕条件や溶解時間を調整する必要がある。また、原料中の異物を濾過する条件も含有異物の量やサイズに応じて変更する必要がある。したがって、化学パルプとケナフパルプとを個別に溶解設備に投入することが好ましい。 【0012】この方式は、溶解後のセルロースドープを液体で混合させる場合か、或いは、個別に押し出して複合体を成形する場合に利点がある。すなわち、粉砕セルロースの状態では複数種のセルロースを均一に分散・混合させることが困難であるが、液状では混合装置を適切に利用することで均一混合が可能となる。均一に混合する手段としては、未溶解または半溶解のスラリー状態もしくは完全溶解状態で、ニーダーや2軸押し出し機、混合機構を有する1軸押し出し機、横型もしくは縦型の撹拌缶を利用することができる。短時間で混合する場合には、撹拌子のクリアランスが小さい高せん断速度の混合ができる装置が好ましい。一方、複数種のセルロースを個別に押し出す場合には個別溶解は必須である。 【0013】ケナフパルプは漂白を行うことが可能であるが、木材からなる化学パルプと比較して若干褐色味を帯びる。また、環境への配慮、原料コストの面で無漂白とすることも可能である。このような場合に、複合成型することにより、芯部に無漂白のケナフパルプを配し、外周もしくは表面に化学パルプを配することができて意匠性が良好になる。 【0014】異種のセルロースを複合成型する方式としては、配管途中でスタティクミキサーで混合する、公知の海島やサイドバイサイドの複合口金、多層スリットダイなどが選択できる。口金から独立で吐出し凝固前に接合させる方式でも良い。 【0015】以上、本発明に係る成形体は、衣料用素材、包装材、産業用資材として利用することができる。 【0016】 【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、本発明で使用した測定方法は、次のとおりである。 <セルロース重合度の測定>セルロースの重合度は、キュウブリ・エチレンジアミン法で測定した(高分子学会編 「高分子材料試験法2」第267頁、共立出版(1965))。試料を0.0075〜0.0085g秤量し、キュウブリ・エチレンジアミン溶液中に投入した。室温で約30分攪拌し、完全に試料を溶解させた後、温度を20℃一定に保持してウベローデ粘度管を用いて粘度測定を行い重合度を求めた。 【0017】<ドープ中の水分率測定>ドープ中の水分率は、微量水分測定装置(平沼産業株式会社製、型式AQ−7)にて測定した。試験片を約1g秤量し、無水エタノール(99.5%)を約10ml加え、室温で一晩静置した後、測定を行った。 【0018】<実施例1>化学セルロース(パルプ)565gと50重量%の水を含むNMMO溶媒5600gとを撹拌しながら110℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度15%のドープを調整した。ドープ中の水分率は10.7%であった。さらにケナフ全茎クラフトパルプをカット・粉砕して得られたパウダー550gと50重量%の水を含むNMMO溶媒5000gとを撹拌しながら110℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度16%のドープを調整した。このドープ中の水分率は11.2%であった。これら2種類のドープは共に飴色の粘調物であった。化学セルロースおよびケナフパルプの各単独ドープを水で凝固沈殿洗浄、乾燥させて得た各セルロースの重合度はそれぞれ600、420であった。 【0019】これらのドープをそれぞれピストンを備えた2基のプランジャー式供給タンクに充填した。これらから供給されるドープを個別のギヤポンプを通して、重量比率はケナフパルプドープ75に対して化学セルロースドープは25の割合となるように計量供給し、直径3.2mm、18エレメントからなるケニックスタイプのスタティックミキサーを用いて混合し、紡糸口金より吐出した。 【0020】紡糸口金は10孔の出口径200μmを有するものを用い、トータルのドープ吐出量を6.7g/分とした。紡糸口金の温度は108℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方にもうけた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は450m/分で風乾後の繊維デニールは23.3dTexであった。得られた再生セルロース繊維の物性を表1に示す。化学セルロースから得られた繊維と比較して同程度の力学特性を有する。 【0021】<比較例1>実施例1の化学セルロースより得られた単独ドープのみをピストンを備えたプランジャー式供給タンクに充填した。供給されるドープをギヤポンプを通して紡糸口金に計量供給した。10孔で出口径200μmを有する紡糸口金を用い、トータルのドープ吐出量を6.7g/分とした。紡糸口金の温度は105℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方に設けた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は450m/分で風乾後の繊維デニールは23.1dTexであった。得られた再生セルロース繊維の物性を表1に示す。 【0022】<比較例2>実施例1のケナフ全茎パルプより得られた単独ドープのみをピストンを備えたプランジャー式供給タンクに充填した。供給されるドープをギヤポンプを通して紡糸口金に計量供給した。10孔で出口径200μmを有する紡糸口金を用い、トータルのドープ吐出量を5.2g/分とした。紡糸口金の温度は105℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方に設けた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は350m/分で風乾後の繊維デニールは23.0dTexであった。得られた再生セルロース繊維の物性を表1に示す。 【0023】<実施例2>化学セルロース604gと50重量%の水を含むNMMO溶媒5600gとを撹拌しながら110℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度16%のドープを調整した。ドープ中の水分率は9.8%であった。ケナフ芯部クラフトパルプをカット・粉砕して得られたパウダー529gと50重量%の水を含むNMMO溶媒5600gとを撹拌しながら110℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度14%のドープを調整した。このドープ中の水分率は11.9%であった。これら2種類のドープはともに飴色の粘調物であった。化学セルロースおよびケナフ芯部パルプの各単独ドープを水で凝固沈殿洗浄、乾燥させて得た各セルロースの重合度はそれぞ660、320であった。 【0024】これらのドープをそれぞれピストンを備えた2基のプランジャー式供給タンクに充填した。これらから供給されるドープを個別のギヤポンプを通してシースコアタイプの紡糸口金に化学セルロースが鞘、ケナフ芯部パルプが芯に来るように計量供給した。吐出量の重量比率はケナフドープが65に対して鞘成分ドープは35の割合とした。10孔のシースコアタイプで出口径200μmを有する紡糸口金を用い、トータルのドープ吐出量を6.7g/分とした。紡糸口金の温度は108℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方に設けた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は450m/分で風乾後の繊維デニールは23.4dTexであった。得られた再生セルロース繊維の物性を表1に示す。化学セルロースから得られた繊維と比較して同程度の力学特性を有する。 【0025】<比較例3>実施例3のケナフ芯部より得られた単独ドープのみをピストンを備えたプランジャー式供給タンクに充填した。供給されるドープをギヤポンプを通して紡糸口金に計量供給した。10孔で出口径200μmを有する紡糸口金を用い、トータルのドープ吐出量を5.2g/分とした。紡糸口金の温度は105℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方に設けた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は350m/分で風乾後の繊維デニールは23.1dTexであった。得られた再生セルロース繊維の物性を表1に示す。 【0026】 【表1】
【0027】表1より明らかなように、本発明の要件を満たすものは、何ら化学セルロース単独から得られる再生セルロース繊維と遜色の無い力学強度を得ることが出来る。 【0028】<実施例3>化学セルロース463gと50%重量%の水を含むNMMO溶媒6000gとを撹拌しながら100℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度12%のドープを調整した。ドープ中の水分率は10.3%であった。さらに未漂白ケナフパルプをカット・粉砕して得られたパウダー550gと50重量%の水を含むNMMO溶媒5000gとを撹拌しながら100℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度16%のドープを調整した。このドープ中の水分率は11.2%であった。化学セルロースおよび故紙の各単独ドープを水で凝固沈殿洗浄、乾燥させて得た各セルロースの重合度はそれぞれ600、380であった。これら2種類のドープはともに飴色の粘調物であった。 【0029】これらのドープをそれぞれピストンを備えた2基のプランジャー式供給タンクに充填した。これらから供給されるドープを個別のギヤポンプを通してシースコアタイプの紡糸口金に化学セルロースドープが鞘、ケナフパルプドープが芯に来るように計量供給した。吐出量の重量比率は芯のケナフパルプドープが70に対して鞘成分ドープは30の割合とした。10孔のシースコアタイプで出口径200μmを有する紡糸口金を用い、トータルのドープ吐出量を6.7g/分とした。紡糸口金の温度は108℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方に設けた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は450m/分で風乾後の繊維デニールは23.3dTexであった。この例のようにケナフパルプ由来のセルロース分を成形体の内部に閉じこめることが可能である。 【0030】 【発明の効果】本発明によれば、原料として非木材であるケナフ由来パルプと高品質の木材化学パルプとを複合成型するなどして併用することにより、安定した品質のセルロース成形体を製造することが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月10日(2000.5.10) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−316938(P2001−316938A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−136840(P2000−136840) |
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