| 【発明の名称】 |
再生セルロース繊維の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】寺本 喜彦
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| 【要約】 |
【課題】セルロースの三級アミンオキシド溶液から再生セルロース繊維を製造するに際し、細い繊度でも簡便で、かつ安定して紡糸できる方法を提供する。
【解決手段】セルロースの三級アミンオキシド溶液を計量ポンプで紡糸口金から吐出して凝固・溶媒抽出する再生セルロース繊維の製造方法において、紡糸口金からの吐出直前に、目開き25μm以下のフィルターを用いることを特徴とする再生セルロース繊維の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】セルロースの三級アミンオキシド溶液を計量ポンプで紡糸口金から吐出して凝固・溶媒抽出する再生セルロース繊維の製造方法において、紡糸口金からの吐出直前に、目開き25μm以下のフィルターを用いることを特徴とする再生セルロース繊維の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はセルロースを三級アミンオキシドなどの溶媒に溶解させて紡糸する再生セルロース繊維の製造技術に関する。 【0002】 【従来の技術】ビスコース法に代わり、セルロースをN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)水和物を溶媒として成形する方法は工業的に利用されており、その代表例としてリオセル(Lyocell)繊維がよく知られている。NMMOは三級アミンオキシドの1種の有機溶媒であり、この溶媒を用いることで濃度10重量%以上の高濃度で溶解したドープを調整することができ、比較的高品質な再生セルロース繊維を製造できる事が特公昭60−28848号公報に開示されている。その後、リヨセル繊維の製法に関しては、改良技術が提案されており、例えば国際公開特許WO94/28210号公報では、セルロース溶液を枠の下面に紡糸口金をとりつけて形成された空間に充満させて吐出する方法が記載されている。特開平7−3523号公報では、12重量%のセルロース溶液を135℃で孔径500μmの紡糸口金から吐出して500m/分以上で引き取る技術を開示している。さらに、特開平4−308220号公報では細い孔径の紡糸口金からドープを吐出して35mm以下のエアギャップ中で10未満の引っ張り率で細く引き延ばす技術について開示されている。国際公開特許WO98/58103号公報には、少量の高分子量成分を混ぜて乾燥空気で冷却することにより低繊度リヨセル繊維を製造する技術が記載されている。しかし、何れの製造技術においても、安定な紡糸のために紡糸口金直前で異物を除去する製造方法の重要性は認識されていない。また、濾過方法については、国際公開特許WO94/28208号公報に記載があり、紡糸口金に近づくにつれて濾過精度を粗くする方式が提案されているが、多段階に濾過する方式は、同じ溶液を繰り返し濾過するため無駄を伴い合理的でない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、セルロースの三級アミンオキシド溶液から再生セルロース繊維(以下、単にセルロース繊維と表記することがある。)を製造するに際し、細い繊度でも簡便に、かつ安定して紡糸できる方法を提供するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】即ち本発明は、セルロースの三級アミンオキシド溶液を計量ポンプで紡糸口金から吐出して、凝固・溶媒抽出する再生セルロース繊維の製造方法において、紡糸口金からの吐出直前に目開き25μm以下のフィルターを用いることを特徴とする再生セルロース繊維の製造方法である。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、更に本発明を詳述する。本発明におけるセルロースは、α−セルロース含有量が90重量%以上となるように精製された化学パルプが利用できる。この化学パルプの原料としては、針葉樹、広葉樹などの木質セルロースのほかに、ケナフ、綿花、麻類などの非木質セルロースを用いることが可能である。 【0006】本発明における三級アミンオキシドは、前記N−ミチルモルホリン−N−オキシド水和物に代表されるセルロースを10重量%以上の濃度で溶解可能な有機溶媒である。この三級アミンオキシド溶液には酸化防止剤やpH調整剤、溶媒の流体特性を調整するための第三成分を含んでいても良い。 【0007】本発明における紡糸口金は、異物除去用のフィルターの支持板と兼用のものが好ましい。部材としては厚さ3mm以上のステンレス板でフィルター端部をシールできる形状に加工されていることが好ましい。ノズル外周部でセルロース溶液が淀む部分の容積を低減できるようにフィルター端部をアルミニウムやステンレスの枠で圧着し、さらに枠部分がセルロース溶液の流路にはみ出さないようにすることが好ましい。また、紡糸口金をフィルターの支持板としては用いずに、紡糸口金の直前にキャンドル型やリーフ型のフィルターを組み込んだスピンパックを用いても良い。 【0008】紡糸口金の材質は、加工性と耐食性を考慮するとSUS630やSUS316が好ましい。紡糸口金の孔形状は特に限定しないが、セルロース溶液が流入する上面に個々の孔の導入部分にテーパーを設けるなどして淀む部分を小さくすることが好ましい。紡糸口金の流出面に設けられたキャピラリーのサイズは細い方が好ましい。所望する繊度の繊維を得る際の見かけ紡糸ドラフトが15を越えないことが好ましく、より好ましくは10以下である。この見かけ紡糸ドラフトは1個のノズル孔から吐出する容積流量をキャピラリー面積で除して求めたジェット速度(Vo)と引き取り速度との比率より計算される。 【0009】本発明の重要な要件は、紡糸口金の直前にフィルターを設け、紡糸口金から吐出されるジェットに糸切れの要因となる固形物を取り除く事である。ここでいうところの固形物は主として未溶解のセルロース原料や配管の途中で溶剤が劣化するために発生したゲル状物などである。未溶解のセルロース原料は紡糸口金直前のフィルターではなく、溶液調整装置出口に適切なフィルターを設置する事で除去が可能であるが、後者の配管路での劣化により発生する固形物は紡糸口金の直前で取り除くことが有効である。 【0010】フィルターの目開きは、製造する繊維の単糸繊度に相当するドープ直径と同程度であることが好ましい。より細かい目開きのフィルターが糸切れ改善には有効であるが、細かすぎるとフィルターの目詰まりが早くなる。好ましいフィルターの目開きは単糸繊度1.7dTexの場合で25ミクロン、さらに低単糸繊度の場合には、さらに細かいフィルターが有効である。好ましい直前フィルター材料は、ステンレス織物、ステンレス不織布を積層したものである。目開き25μmは綾織りの金網では、500メッシュ相当、焼結圧縮成型ステンレス不織布の場合には日本精線製のNF−09相当で、使用後に洗浄して再利用可能な構造の物が好ましい。また、面状のフィルターの上にモランダムなどの砂状濾材を組み合わせることも可能である。 【0011】紡糸口金から吐出されたセルロース溶液のジェットは引き取りロールとの間で引き延ばされる。紡糸口金と引き取りロールとの間に凝固液漏斗に非溶媒を循環させた凝固浴を設ける。セルロース溶液ジェットの引き延ばしは紡糸口金と凝固液漏斗との間の空気層で行われる。この空気層の好ましい長さは、ドープの流量と冷却条件に応じて変化する。ドープ流量が多く冷却に時間がかかる場合には空気層の長さを大きくする必要がある。凝固漏斗を出たセルロース溶液は凝固調整液や溶剤抽出用の水と接触して繊維が形成される。 【0012】このセルロース繊維は、熱風や加熱ローラー、過熱水蒸気などで温度を上げて乾燥し紡糸油剤を付与して、フィラメント糸、ステープル糸、紡績糸、不織布などの製品に加工できる。また、後加工でフィブリル化抑制処方や適切な染色を実施することが好ましい。 【0013】本発明の方法では通常のリヨセル繊維の単糸繊度1.7dTexよりも細い製品を作る際に非常に有効である。細い繊維を作る際には、ドープ中に含まれる異物のサイズが同じ場合でも繊維断面内での占有面積が大きく糸切れにつながりやすい。単糸繊度を小さくすることで高密度織物としての利用やフィルター用不織布の濾過性能向上が期待される。 【0014】 【実施例】以下、更に本発明を、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明で使用した測定方法を述べる。 <ドープ中の水分率測定方法>ドープ中の水分率は、微量水分測定装置(平沼産業株式会社製、型式AQ−7)にて測定した。試験片を約5g秤量し、無水エタノール(99.5%)を約20ml加え、室温で一晩静置した後、測定を行った。 【0015】<繊維強度伸度測定方法>JIS L−1017に準拠して測定した。引っ張りの条件は糸長25cm、クロスヘッド速度30cm/分で測定を行った。 【0016】<実施例1、2および比較例1>化学セルロース(Buckeye社 V−81)1695gと50%重量%の水を含むNMMO溶媒16.8kgとを撹拌しながら110℃に加熱し減圧操作してセルロース濃度15重量%のドープを調整した。ドープ中の水分率は10.7%であった。ドープは飴色の粘調物であった。調合缶を窒素加圧してブースターポンプにて昇圧して計量用ギヤポンプを通して、紡糸口金より吐出した。紡糸口金は330孔の出口径160μmを有する厚み6mmのSUS630製の紡糸口金を用い、トータルのドープ吐出量を180g/分とした。紡糸口金の温度は118℃とし、その直下は風速1.2m/秒で15℃に調整された空気で糸条を冷却した。ノズルから300mm下方に設けた深さ50mmの凝固漏斗で水と接触させたのち、水を滴下させたネルソン式ローラー上を走行させて巻き取った。ネルソンローラーの速度は500m/分で風乾後の繊維デニールは550dTexであった。 【0017】この際、紡糸口金の上面に1インチあたり100メッシュの平織りステンレスの金網と日本精線製のナスロンフィルターNF−07(有効濾過径15μm)を組み合わせたセットフィルターを張り付けた場合(実施例1)、ナスロンフィルターNF−09(有効濾過径25μm)を組み合わせた場合(実施例2)およびナスロンフィルターNF−12を組み合わせた場合(有効濾過径40μm)(比較例1)を組み合わせた場合の、糸切れ状況および得られた再生セルロース繊維の物性を表1に示す。 【0018】 【表1】
これより、フィルター濾過径を小さくすると、糸切れ頻度が改善されることが認められる。 【0019】<比較例2>実施例1においてブースターポンプと計量ポンプの間に有効濾過径25μmのステンレス枠のディスクフィルターを装着して紡糸口金の直前にフィルターを装着せずに紡糸を行った。これ以外は、実施例1、2および比較例1と同じ条件で紡糸を行い、糸切れ頻度と繊維物性を評価したところ、糸切れ頻度は0.6件/日で強度および伸度は4.5cN/dTexおよび10%であった。直前にフィルターを配した場合よりも糸切れ頻度が多くなっていることがわかる。 【0020】 【発明の効果】本発明によると、セルロース溶液中の繊維形成にとって異物となるものを紡糸口金からの紡出直前の位置で効率的に取り除くことができるので、ファインデニールの繊維を安定的に紡糸することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月12日(2000.5.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−316935(P2001−316935A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−140148(P2000−140148) |
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