| 【発明の名称】 |
フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメント及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 卓
【氏名】宗形 一幸
【氏名】今村 慎吾
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| 【要約】 |
【課題】十分な結節強度と巻癖の改善性を両立できるとともに、生産効率を向上できるPVDFモノフィラメント及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のPVDFモノフィラメントの製造方法は、溶融紡糸されたPVDFモノフィラメントを延伸する延伸工程と、延伸されたPVDFモノフィラメントを、温度が220℃以上300℃未満の気相中で、緩和率が4%以上10%未満、且つ、通過時間が5秒以下となる条件で緩和熱処理する乾熱緩和処理工程とを備え、下記式(1); |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フッ化ビニリデン系樹脂を含有して成り、下記式(1); 【数1】
[式中、dは直径(μm)を示し、Yは結節強度(kgf/mm2)を示す。]で表される関係を満たし、結節伸度が24%以上であり、且つ、直線伸度が30%以上である、ことを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメント。 【請求項2】 溶融紡糸されたフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを延伸する延伸工程と、延伸されたフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを、温度が220℃以上300℃未満の気相中で、緩和率が4%以上10%未満、且つ、通過時間が5秒以下となる条件で緩和熱処理する乾熱緩和処理工程と、を備えることを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの製造方法。 【請求項3】 前記延伸工程においては、溶融紡糸されたフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを5.9倍以上の延伸倍率で延伸する、ことを特徴とする請求項2記載のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメント及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】フッ化ビニリデン系樹脂から成るモノフィラメントは、その優れた物理的、化学的特性、とりわけ機械的強度及び耐久性に優れ、水膨潤性が殆ど無いため水中での強度劣化も殆ど無い等の特性から、例えば、釣り糸、漁網、ロープ材料等の資材として有用である。これらの用途の中で、特に釣り糸に対しては、巻癖により「糸撚れ」や「糸癖」が少なく、且つ、付いてしまった巻癖が取れ易いこと、糸を結んだ時の結節強度といった機械的強度が高いこと等が望まれる。 【0003】このような諸特性が要求される釣り糸に適用され得る従来のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントとしては、例えば、1)本出願人による特開平10−298825号公報、2)特開平4−91215号公報及び特開平7−138810号公報、3)本出願人による特開平11−131320号公報等に記載のものがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの結節強度を高めるためには、製造時の延伸倍率を大きくして高配向化することが有効であるが、高配向化すると巻癖が付き易くなる傾向にある。上記1)に記載のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントは、製造時の延伸倍率を低く設定することにより巻癖が改善されているものの、これにより結節強度の向上が十分ではなかった。 【0005】一方、上記2)に記載のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントは、結節強度の向上又は耐摩耗性の向上が意図されたものであるが、巻癖の改善を意図したものではない。他方、上記3)に記載のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントは、高配向化したモノフィラメントを定長状態において一定温度で一定時間熱処理が施されたものである。これにより、機械的強度の低下を抑えつつ巻癖の改善が図られる。しかし、このような定長熱処理は、大口径ボビンを用いた長時間処理を行う必要があり、バッチ式処理によって生産性が低下してしまうといった問題があった。 【0006】そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、十分な結節強度と巻癖の改善性を両立できるとともに、生産効率を向上できるフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメント及びその製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、結節強度の低下が十分に抑制される緩和熱処理条件を見出した。また、フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの物性に係る観点から、糸径に応じた所定の結節強度を満たし、且つ、所定の結節伸度及び直線伸度を有するフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントが巻癖の改善性に優れることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントは、フッ化ビニリデン系樹脂を含有して成り、上記式(1)で表される関係を満たし、結節伸度が24%以上であり、且つ、直線伸度が30%以上であることを特徴とする。このようなフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントによれば、従来と同程度の十分な結節強度を有しつつ、巻癖の改善性が高められることが確認された。 【0008】また、本発明によるフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの製造方法は、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを得るのに好適な製造方法であって、溶融紡糸されたフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを延伸する延伸工程と、延伸されたフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを、温度が220℃以上300℃未満、好ましくは250〜290℃の気相中で、緩和率が4%以上10%未満、好ましくは7〜9%、且つ、通過時間が5秒以下、好ましくは1〜5秒となる条件で緩和熱処理する乾熱緩和処理工程とを備えることを特徴とする。通常の緩和熱処理では、緩和率を高めると結節強度等の機械的強度の低下が顕著となる傾向にある。これに対し、本発明によれば、緩和率を上記範囲のように高い値としても、緩和熱処理前のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの結節強度が維持され又は殆ど低下せず、しかも巻癖の改善性が向上される。 【0009】さらに、延伸工程においては、溶融紡糸されたフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを5.9倍以上の延伸倍率で延伸することが、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを得るのに極めて好適である。 【0010】なお、本発明における「直線伸度」、「結節強度」、「結節伸度」及び「通過時間」とは、以下の通り規定される値である。また、延伸処理が複数段の延伸によって行われる場合の「延伸倍率」とは、各段における延伸倍率の合計値、つまり、延伸処理が終了したときの全体の延伸倍率を示す。 〈直線伸度〉:TOYO BALDWIN Co., LTD製のTENSILON/UTM−III−100を用い、チャック間距離(試長)30cm、引張り速度(ヘッド速度)30cm/分の条件で試料糸を引張ったときの常温下での破断伸度を示す。 〈結節強度及び結節伸度〉:上記直線伸度の測定において、試長中心部に結節点を設けた試料糸を用いた場合の破断強伸度を示す。 〈通過時間〉:フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの所定部が気相中を通過する時間又は気相中に留まる時間を示す。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメント及びその製造方法に係る好適な実施形態について説明する。 【0012】〈フッ化ビニリデン系樹脂〉本発明において用いられるフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂の単独重合体を好ましく使用できる。また、これに限られるものではなく、他のフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンモノマー及びこれと共重合可能なモノマーの一種又は二種以上との共重合体、或いは、この共重合体とフッ化ビニリデン樹脂の単独重合体との混合物等が挙げられる。 【0013】ここで、フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル等が例示され、これらを単独で又は二種以上混合して用いることができる。これらフッ化ビニリデン系樹脂中のフッ化ビニリデン樹脂の含有率は、好ましくは50mol%以上、より好ましくは、60mol%以上、特に好ましくは80mol%以上であると好適である。 【0014】また、フッ化ビニリデン系樹脂としては、固有粘度(樹脂4gを1lのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度;以下、「ηinh」で表す)が、好ましくは0.5〜2.0dl/g、より好ましくは1.0〜1.8dl/gの範囲内となる重合度を有するものが望ましい。 【0015】さらに、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの原料としてのフッ化ビニリデン系樹脂には、その性質を損なわない範囲で各種有機顔料等の添加剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、フラバントロンで代表される核剤、或いは、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネイト、ポリエステル、アクリル酸メチル−イソブチレン共重合体等のフッ化ビニリデン樹脂との相溶性が良好な樹脂を混合して成る組成物等が含まれていてもよい。このような組成物中のフッ化ビニリデン系樹脂の含有率としては、好ましくは、60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であることが望ましい。 【0016】また、上述の可塑剤としては、繰り返し単位組成が炭素数2〜4のジアルコールと炭素数4〜6のジカルボン酸とのエステルより成り、末端基が炭素数1〜3の一価の酸基若しくは一価のアルコール残基より成り、且つ、分子量が1500〜4000のポリエステルが好ましく用いられる。 【0017】〈フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメント〉本発明のフッ化ビニリデン系樹脂(以下、代表して「PVDF」と称する)モノフィラメントは、単一層又は複数層で構成されたものであり、少なくとも表層(鞘材)がPVDFから成るものである。つまり、モノフィラメントがPVDFの単一層で構成されていてもよいし、複数層から成る場合に、内層(芯材)が、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン等のPVDF以外の熱可塑性樹脂から成る単一層又は複数層で構成され、最表層(鞘材)がPVDFから成っていてもよい。好ましくは、モノフィラメントが単一層又は複数層のいずれで構成されていても、全体がPVDFから成ると好適である。 【0018】また、本発明のPVDFモノフィラメントは、その糸径(直径)をd(μm)、結節強度をY(kgf/mm2)としたときに、下記式(1); 【0019】 【数2】
で表される関係を満たし、結節伸度が24%以上であり、且つ、直線伸度が30%以上とされている。 【0020】式(1)における結節強度が式中右辺で与えられる値未満であると、その糸径に対して要求される十分な結節強度を満たし難くなる傾向にあり、具体的には、例えば、釣り糸のハリスや道糸に結節部を設けた場合に、結節部での破断が起り易くなる傾向にある。さらに、結節伸度が24%未満であり、且つ、直線伸度が30%未満であると、例えば、釣り糸に結合された釣り針に魚類等が針掛かりした場合の衝撃、特に、針掛かりの初期時又は食い込み時の衝撃が十分に吸収され難い傾向にあるとともに、更に糸癖がつき易く、糸癖を直し難い傾向となる。 【0021】また、糸径(直径)としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、上記式(1)中のdが52μm(釣り糸として0.1号)〜1.81mm(120号)、特に好ましくは、50〜1000μmの範囲内にあることが望ましい。 【0022】そして、このような諸条件を満たす本発明のPVDFモノフィラメントによれば、従来に比して、同程度の結節強度を有しつつ、巻癖が有意に改善されることが確認された。よって、釣り糸に用いた場合に、スプール等の筒状部材に巻き付けた後に巻癖が付き難く、巻癖による糸撚れや糸癖が発生しても、巻癖の改善性に優れる。したがって、水中に投入された釣り糸の弛みが低減されて、「あたり」(魚信)に対する感度が高められる。さらに、糸撚れが少ないので、取扱性を向上でき、特に細径のPVDFモノフィラメントを長い単位で取り扱う場合の取扱性が格段に向上される。 【0023】次に、本発明によるPVDFモノフィラメントの製造方法に係る好適な実施形態について説明する。まず、上述したフッ化ビニリデン系樹脂及び可塑剤等の混合組成物を溶融押出ししてペレット状にする。これを所定径、例えば、20〜40mmφの溶融押出機を用い、所定の樹脂温度、例えば、240〜310℃で溶融紡糸する。続けて、溶融紡糸したモノフィラメントを冷媒浴(例えば、温度30〜60℃の水浴)中で冷却して未延伸のPVDFモノフィラメントを得る。 【0024】ここで、単一層から成るPVDFモノフィラメントを得る場合には、単一種類のフッ化ビニリデン系樹脂を用いればよく、複数層から成るものを得る場合には、組成、粘性、添加物等の異なる又は同等のフッ化ビニリデン系樹脂、他の樹脂、これらのうち何れかを含む組成物、又はこれらの樹脂若しくは組成物の混合物を材料として使用すればよい。先述したように、PVDFモノフィラメントを複数層で構成するときには、鞘材にフッ化ビニリデン系樹脂又はその組成物を用い、芯材としてフッ化ビニリデン系樹脂、他の樹脂、これらのうち何れかを含む組成物、又は、これらの樹脂若しくは組成物の混合物を用いることができる。 【0025】次に、得られた未延伸のPVDFモノフィラメントを、引き続き、熱媒浴(例えば、温度150〜170℃のグリセリン浴)中で、例えば、5〜6倍程度に延伸する(一段目延伸)。これを、さらに熱媒浴(例えば、温度160〜175℃のグリセリン浴)中で、例えば、1〜1.2倍程度に延伸する(二段目延伸)。このように、一段目延伸と二段目延伸とから、延伸工程が構成されている。 【0026】この延伸工程における最終的な延伸倍率は、特に限定されるものではないが、本発明においては、この延伸倍率が好ましくは5.9倍以上、より好ましくは6倍以上であることが望ましい。こうすれば、フッ化ビニリデン系樹脂の分子鎖の高配向化が高められ、上述した十分な結節強度(式(1)参照)を有する本発明のPVDFモノフィラメントを得るのに好適である。また、延伸倍率は、釣り糸に要求される結節強度に応じて適宜選択することが可能である。 【0027】次いで、延伸後のPVDFモノフィラメントを、温度が220℃以上300℃未満、好ましくは250〜290℃の気相(例えば、空気、不活性気体等)中で、緩和率が4%以上10%未満、好ましくは7〜9%、且つ、通過時間が5秒以下、好ましくは1〜5秒となる条件において緩和熱処理を行う(乾熱緩和処理工程)。 【0028】上記の気相温度が220℃未満であると、緩和率4%を達成し難くなり、結節伸度又は直線伸度を十分に高められないと共に、十分な巻癖の改善効果が得られない傾向にある。一方、この気相温度が300℃を超えると、結節強度等の機械的強度の低下が顕著となる傾向にある。また、上記の緩和率が、4%未満となると、上述の如く、巻癖や伸度が十分に改善されない傾向にある。一方、緩和率が10%以上となると、結節強度が顕著に低下するおそれがある。さらに、上記の通過時間が5秒を超えると、フッ化ビニリデン系樹脂の融点によっては、PVDFモノフィラメントが溶融するおそれがある。 【0029】このような本発明によるPVDFモノフィラメントの製造方法によれば、従来の緩和熱処理に比して、延伸後のPVDFモノフィラメントに対する結節強度等の機械的強度の低下を十分に抑制することが可能となり、延伸されて高められたPVDFモノフィラメントの機械的強度を良好に維持できる。しかも、巻癖の改善性を向上できるので、釣り糸に極めて適したPVDFモノフィラメントを得ることが可能となる。 【0030】さらに、このような緩和熱処理によって、結節強度の低下を抑えつつ巻癖を改善し、従来の定長熱処理と同等又はそれ以上に良好な特性を有するPVDFモノフィラメントが得られる。よって、釣り糸のような長尺なモノフィラメントの製造において、大口径ボビンを用いたバッチ式の長時間熱処理が必要なく、連続処理が可能となる。したがって、PVDFモノフィラメントの生産効率を格段に向上できる。 【0031】なお、上述した乾熱緩和処理工程に先立って、延伸されたPVDFモノフィラメントを、温水、温風等の温熱媒(例えば、温度85℃程度)中で熱緩和する緩和熱処理を実施してもよい。また、強度の単位換算は、1kgf/mm2≒9.80665MPaで表される関係により行うことができる。 【0032】 【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0033】〈巻癖の測定方法〉:直径44mmの小巻き用スプールにPVDFモノフィラメントの試料を約50m巻き取り、7日間室温で放置した。その後、試料を1m(この長さをa(m)とする)取り出し、試料の一方端を支持して試料をぶら下げ、このときの試料の最下部位置、すなわち、支持端と最下部との距離(この距離をb1(m)とする)を測定する。この測定値b1を元の長さaで割った値(これをcとする;すなわち、c=b1/a)を試料の巻癖(糸癖、糸撚れ)の指標とした。巻癖が付かない場合はc=1となり、cの値が小さい程、スプールの形状による糸のカールが生じており、巻癖が付き易いことを示す。 【0034】〈巻癖の改善性〉:上記〈巻癖の測定方法〉で巻癖を付けた試料の下端に1160gの荷重をかけ、10秒間放置後、荷重を取り除き、試料の最下部の位置、すなわち、支持端と最下部との距離(この距離をb2(m)とする)を測定する。この測定値b2を元の長さaで割った値(これをeとする;すなわち、e=b2/a)を試料の巻癖の取れ易さ(改善性)の指標とした。巻癖が完全に取れた状態ではe=1となる。eの値が1に近い程、巻癖が取れ易いことを示す。 【0035】〈比較例1〉ηinh=1.3及び1.55の各ポリフッ化ビニリデン樹脂をそれぞれ鞘材及び芯材とし、35mmφの溶融押出し機を用いて樹脂温度280℃で溶融紡糸したモノフィラメントを60℃の水浴中で冷却し、未延伸のPVDFモノフィラメントを得た(以下、単に「未延伸糸」という)。この未延伸糸を169℃のグリセリン浴中で5.82倍に延伸し(一段目延伸)、更に170℃のグリセリン浴中で二段目延伸を行い、合計延伸倍率6.17倍に延伸した後、この延伸糸を85℃の温水中で緩和率3%の緩和熱処理して糸径290μmの延伸糸を得た。 【0036】〈実施例1〉比較例1で得た延伸糸に対し、250℃の空気中で、緩和率5%、通過時間1.7秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0037】〈比較例2〉比較例1で得た延伸糸に対し、250℃の空気中で、緩和率0%、通過時間1.7秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0038】〈比較例3〉比較例1で得た延伸糸に対し、215℃の空気中で、緩和率5%、通過時間1.7秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0039】〈比較例4〉比較例1で得た延伸糸に対し、300℃の空気中で、緩和率5%、通過時間1.7秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0040】〈比較例5〉比較例1で得た延伸糸に対し、250℃の空気中で、緩和率10%、通過時間1.7秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0041】〈比較例6〉ηinh=1.3及び1.55の各ポリフッ化ビニリデン樹脂をそれぞれ鞘材及び芯材とし、35mmφの溶融押出し機を用いて樹脂温度280℃で溶融紡糸したモノフィラメントを60℃の水浴中で冷却し、未延伸糸を得た。この未延伸糸を169℃のグリセリン浴中で5.82倍に延伸し(一段目延伸)、更に170℃のグリセリン浴中で二段目延伸を行い、合計延伸倍率6.17倍に延伸して糸径297μmの延伸糸を得た。 【0042】〈実施例2〉比較例6で得た延伸糸に対し、270℃の空気中で、緩和率7%、通過時間1.6秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0043】〈実施例3〉比較例6で得た延伸糸に対し、270℃の空気中で、緩和率8%、通過時間1.1秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0044】〈実施例4〉比較例6で得た延伸糸に対し、290℃の空気中で、緩和率8%、通過時間1.7秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0045】〈比較例7〉比較例6で得た延伸糸に対し、270℃の空気中で、緩和率2%、通過時間1.1秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0046】〈比較例8〉ηinh=1.3及び1.55の各ポリフッ化ビニリデン樹脂をそれぞれ鞘材及び芯材とし、35mmφの溶融押出し機を用いて樹脂温度280℃で溶融紡糸したモノフィラメントを60℃の水浴中で冷却し、未延伸糸を得た。この未延伸糸を169℃のグリセリン浴中で5.64倍に延伸し(一段目延伸)、更に170℃のグリセリン浴中で二段目延伸を行い、合計延伸倍率5.92倍に延伸して糸径532μmの延伸糸を得た。 【0047】〈実施例5〉比較例8で得た延伸糸に対し、270℃の空気中で、緩和率7%、通過時間4.0秒の条件で乾熱緩和処理を行った。 【0048】〈特性評価試験〉各実施例及び各比較例で得たPVDFモノフィラメントに対し、前述した「直線伸度」、「結節強度」及び「結節伸度」を測定した。また、上述した測定方法にしたがって巻癖の指標c、及び、巻癖の改善性の指標eを求めた。得られた結果を表1にまとめて示す。 【0049】 【表1】
【0050】表1に示す如く、まず、実施例1と比較例1との比較、実施例2〜4と比較例6との比較、並びに、実施例3と比較例8との比較より、本発明のPVDFモノフィラメントは、乾熱緩和処理工程が施されていない従来のPVDFモノフィラメントに比して、巻癖が付き難く、且つ、その巻癖の改善性が有意に優れることが判明した。 【0051】また、実施例1と比較例3〜5との比較より、乾熱緩和処理工程における気相温度(空気温度)が本発明の範囲(220℃以上300℃未満)を外れると結節強度の低下が顕著であり、緩和率が10%を超えると結節強度の低下が大きいことが確認された。さらに、実施例1と比較例2との比較、及び、実施例2〜4と比較例7との比較より、緩和率が小さい(0%又は2%)と、十分な結節伸度及び直線伸度が得られ難く、巻癖に関しても改善効果が確認されなかった。 【0052】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントによれば、十分な結節強度と巻癖の改善性を両立できるとともに、生産効率が向上される。また、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの製造方法によれば、フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントの生産性を向上しつつ、十分な結節強度を有し、且つ、巻癖が付き難く、しかも巻癖の改善性に優れるフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントを得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001100 【氏名又は名称】呉羽化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月18日(2000.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−200425(P2001−200425A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−9407(P2000−9407) |
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