トップ :: C 化学 冶金 :: C23 金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパツタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般




【発明の名称】 熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法と該皮膜を有する耐熱部品
【発明者】 【氏名】新宮 令也

【氏名】堂ヶ原 満

【氏名】吉田 直彦

【氏名】吉竹 茂

【氏名】鳥越 泰治

【氏名】大原 稔

【氏名】大森 明

【氏名】白沢 秀則

【氏名】周 展

【氏名】伊丹 二郎

【要約】 【課題】苛酷な条件下で使用される耐熱部品の表面に、厚み方向の割れによる柱状組織を有する熱遮蔽セラミック皮膜を低コストで能率よく確実に形成し、熱衝撃による界面剥離に対する充分な防止効果を発揮させる手段を提供する。

【解決手段】被加工物1の表面にセラミック皮膜3を形成するにあたり、セラミック材料をレーザ照射L下でプラズマ溶射Pする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被加工物表面にセラミック皮膜を形成するにあたり、セラミック材料をレーザ照射下でプラズマ溶射することを特徴とする熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法。
【請求項2】 セラミック皮膜を2層又は3層構造とし、その2層構造の上層ならびに3層構造の中間層をレーザ照射下でのプラズマ溶射にて形成すると共に、同2層構造の下層ならびに3層構造の上下層をプラズマ溶射のみで形成する請求項1記載の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法。
【請求項3】 ZrO2 を主成分とするセラミック材料を用いる請求項1又は2に記載の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法。
【請求項4】 プラズマ溶射を照射面でのレーザパワー密度が100〜350W/mm2 となるレーザ照射下で行う請求項1〜3のいずれかに記載の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法。
【請求項5】 プラズマ溶射をYAGレーザの連続発振によるレーザ照射下で行う請求項1〜4のいずれかに記載の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法。
【請求項6】 部品表面にプラズマ溶射層からなる2層又は3層構造の熱遮蔽セラミック皮膜を備え、該セラミック皮膜の2層構造の上層もしくは3層構造の中間層が請求項1〜5のいずれかに記載のレーザ照射下でのプラズマ溶射にて形成された皮膜厚み方向の割れによる柱状組織を有すると共に、前記2層構造の下層もしくは3層構造の上下層がプラズマ溶射のみで形成された連続組織を有してなる耐熱部品。
【請求項7】 Ni基耐熱合金基材の表面に、MCrAlY(MはCo及び又はNi)合金層を介してZrO2 を主体とする熱遮蔽セラミック皮膜が形成されてなる請求項6記載の耐熱部品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電用ガスタービン等の高温域で使用される機器の部品に適用される熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法と、該皮膜を有する耐熱部品に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンの翼や燃焼筒等の高温域で使用される耐熱部品として、Ni基耐熱合金基材の表面に、MCrAlY(MはCo及び又はNi)等の耐高温酸化性・耐高温腐食性に優れる下地合金層を介して、熱遮蔽セラミック皮膜を形成したものが汎用されている。一般的に、このセラミック皮膜は、ZrO2 にMgO、CaO、Y2 3 等を加えて安定化させたものであり、プラズマ溶射によって数百μm程度の厚みに形成されるのが普通である。
【0003】しかるに、上記のような熱遮蔽セラミック皮膜を設けた耐熱部品においても、熱衝撃(加熱−冷却の熱サイクル)の反復により、該セラミック皮膜が剥離し易く、苛酷な使用条件では充分な高温耐久性が得られないという問題があった。特にガスタービンの場合、発電効率の向上のために稼働温度をより高くする傾向にあり、これに伴って各部品の高温耐久性を改善して長寿命化を図ることが強く要望されている。なお、基材への熱影響を緩和するためにセラミック皮膜の膜厚を増加させた場合は、熱衝撃による内部応力が増大するため、上記の剥離はより発生し易くなる。
【0004】そこで、上記要望に対処する手段として、近年、熱遮蔽セラミック皮膜に厚み方向の割れ(縦割れ)による柱状組織を形成することが提案されている。これは、前記の界面剥離を生じる主因がセラミック皮膜と下地合金層及び耐熱合金基材との線膨張率の違い(線膨張率:安定化ZrO2 溶射皮膜…10〜11×10-6/K、Ni基耐熱合金及びMCrAlY合金…16×10-6/K)にあることから、予めセラミック皮膜側に割れを形成しておき、この割れによって熱サイクルに伴う膨張・収縮の差を吸収させるというものである。
【0005】しかして、従来の提案に係る熱遮蔽セラミック皮膜の前記柱状組織の形成方法としては、電子ビームによる蒸着と酸素イオン照射によって安定化ZrO2 層を成膜する方法(特開平9−67632号公報)、プラズマ溶射にて成膜した安定化ZrO2 層の表面に後処理としてパルスレーザを照射する方法(特開平9−327779号公報)、プラズマ溶射にて安定化ZrO2 層を形成する際の溶射条件の制御によって溶射単層(1パス)毎に割れを生じさせてゆく方法(特許第2710075号公報)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の電子ビームによる蒸着と酸素イオン照射にて成膜する方法は、高コストになると共に、成膜速度が遅いために非能率である上、処理雰囲気の調整等で膜厚を300μm以上にすることが困難であるという難点があった。また前記の成膜後にパルスレーザ照射を行う方法では、後処理としての別工程を必要として作業効率が悪い上、皮膜表面へのパルスレーザ照射では割れが皮膜深部まで進行しにくく、熱衝撃による界面剥離に対する充分な防止効果を得るためにレーザのパワー密度を高めると、穴開き等で皮膜表面が著しく荒れて耐エロージョン性などが大幅に劣化されるという問題があった。更にプラズマ溶射時の条件を制御する方法では、一回の溶射毎に温度を変える等で煩雑な制御操作が必要となり、しかも割れが安定化ZrO2 層の厚み全体に及ぶため、この割れを通して下地合金層まで直接に腐食性高温雰囲気の影響を受けることになり、安定化ZrO2 層本来の熱遮蔽機能が充分に発揮されず、基材の熱劣化を生じ易くなるという欠点があった。
【0007】本発明は、上述の事情に鑑みて、苛酷な条件下で使用される耐熱部品の表面に、厚み方向の割れによる柱状組織を有する熱遮蔽セラミック皮膜を低コストで能率よく確実に形成し、熱衝撃による界面剥離に対する充分な防止効果を発揮させることを可能にすると共に、前記割れを通した下地への腐食性高温雰囲気の直接的影響を回避し得る手段を提供し、もって高温耐久性に優れて長寿命な耐熱部品を実現することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法は、被加工物表面にセラミック皮膜を形成するにあたり、セラミック材料をレーザ照射下でプラズマ溶射することを特徴としている。すなわち、この方法によれば、プラズマ溶射されたセラミック材料が同時に溶射面に照射されているレーザ光によって高温に加熱され、溶射粒子間の結合力が増して組織は緻密化すると共に、溶射面の移動によってレーザ照射域から外れて急速に冷却固化する際の収縮に伴って皮膜厚み方向の割れが網目状に生じ、この割れを生じた単層の積み重なりによって柱状組織が形成される。これは、通常のプラズマ溶射による成膜工程で溶射面にレーザ照射を行うのであるから、別途に工程を追加する必要はなく、またレーザ照射を停止すれば、そのまま割れのない溶射皮膜が形成されることになるから、割れの深さや形成位置を任意に設定できることになる。
【0009】請求項2の発明では、上記請求項1の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法において、セラミック皮膜を2層又は3層構造とし、その2層構造の上層ならびに3層構造の中間層をレーザ照射下でのプラズマ溶射にて形成すると共に、同2層構造の下層ならびに3層構造の上下層をプラズマ溶射のみで形成するようにしている。この場合、熱遮蔽セラミック皮膜の柱状組織を構成する割れが下地面まで達していない状態になるから、割れを通して腐食性高温雰囲気の影響が下地が直接に及ぶことはない。
【0010】請求項3の発明では、上記請求項1又は2の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法において、ZrO2 を主成分とするセラミック材料を用いるものとしているから、形成される皮膜が優れた熱遮蔽機能を発揮するものとなる。
【0011】請求項4の発明では、上記請求項1〜3のいずれかの熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法において、プラズマ溶射を照射面でのレーザパワー密度が100〜350W/mm2 となるレーザ照射下で行うものとしている。この場合、レーザパワー密度が適度であるため、溶射皮膜に下地との界面剥離の防止に適した良好な状態の柱状組織を形成できる。
【0012】請求項5の発明では、上記請求項1〜4のいずれかの熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法において、プラズマ溶射をYAGレーザの連続発振によるレーザ照射下で行うものとしており、そのレーザービームの特性から、溶射皮膜に良好な柱状組織を形成し易い。
【0013】請求項6の発明に係る耐熱部品は、部品表面にプラズマ溶射層からなる2層又は3層構造の熱遮蔽セラミック皮膜を備え、該セラミック皮膜の2層構造の上層もしくは3層構造の中間層が請求項1〜5のいずれかに記載のレーザ照射下でのプラズマ溶射にて形成された皮膜厚み方向の割れによる柱状組織を有すると共に、前記2層構造の下層もしくは3層構造の上下層がプラズマ溶射のみで形成された連続組織を有してなるものとしている。この耐熱部品では、セラミック皮膜の柱状組織によって当該皮膜と下地との熱衝撃による界面剥離が防止されると共に、該柱状組織を構成する割れが下地面まで達しておらず、割れを通して腐食性高温雰囲気の影響が下地が直接に及ばないから、部品全体として高温耐久性に優れて長寿命となる。
【0014】請求項7の発明は、上記請求項6の耐熱部品において、Ni基耐熱合金基材の表面に、MCrAlY(MはCo及び又はNi)合金層を介してZrO2 を主体とする熱遮蔽セラミック皮膜が形成されてなるものとしている。この耐熱部品では、基材、下地合金層、セラミック層の各材質より、耐高温腐食性、耐高温酸化性、高温耐久性等の熱的性質が特に優れたものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法について、図面を参照して具体的に説明する。図1において、1は被加工物である耐熱合金よりなる基材、2は基材1上にプラズマ溶射にて形成された耐高温腐食性・耐高温酸化性の下地合金層、3は下地合金層2上に成膜中の熱遮蔽セラミック皮膜である。
【0016】図1に示すように、熱遮蔽セラミック皮膜3の成膜は、基材1を矢印aの如く所定速度で進行させつつ、定位置にプラズマ溶射機(図示省略)からのプラズマスプレーPを溶射して行うが、この溶射域Zに同時にレーザ照射装置(図示省略)から出射されるレーザービームLのスポットを重畳させる。これにより、溶射ノズルから溶着面に辿り着く飛行過程で温度低下した溶射粒子が溶射域Zで再加熱されて溶融し、溶融粒子間の結合力が増して組織は緻密化すると共に、溶射域Zの移動によってレーザービームLのスポットから外れて急速に冷却固化するが、この固化収縮に伴って皮膜厚み方向の割れ4…が図2に示すように皮膜表面から見て網目状に生じる。
【0017】しかして、溶射条件によって異なるが、溶射粒子の径は50μm前後であり、一回の溶射(1パス)で成膜される単層の厚みは20μm内外であるため、セラミック皮膜3が所要の厚さになるまで溶射を重ねることになるが、レーザ照射下でのプラズマ溶射を続けてゆくと、後から形成される単層の固化収縮に伴う割れ4…はその下の単層に生じている割れ4…のパターンに追従して発生し易いため、割れ4…の殆どが皮膜の厚み方向に延びてゆくことになる。
【0018】一方、このような皮膜形成機構においてレーザ照射のみを停止すれば、通常のプラズマ溶射となって割れ4…のない皮膜が形成される。そこで、下地合金層2上への成膜開始から溶射層の厚みがある程度になるまではレーザ照射を停止しておき、以降はレーザ照射を行いつつプラズマ溶射すれば、図3(A)に示すように、割れ4…による柱状組織の上層31aと連続組織の下層32aとの二層構造をなす熱遮蔽セラミック皮膜3Aが形成される。また、この二層構造上に更にレーザ照射を停止してプラズマ溶射すれば、図3(B)に示すように、連続組織の上下層32a,32bの間に柱状組織の中間層31bを挟んだ三層構造をなす熱遮蔽セラミック皮膜3Bが形成される。
【0019】しかして、これら二層及び三層構造の熱遮蔽セラミック皮膜3A,3Bを設けた耐熱部品では、前者の下層32a並びに後者の中間層31bが柱状組織を有するため、発電用ガスタービン等の部品として使用中に熱衝撃を受けた際、これら皮膜3A,3Bと下地合金層2及び基材1との線膨張率の違いによる伸縮の差があっても、内部応力が該柱状組織を構成する割れ4…によって吸収緩和され、セラミック皮膜3A,3Bと下地合金層2との間の界面剥離が効果的に抑えられる上、割れ4…は下地合金層2に達していないため、この下地合金層2が割れ4…を通して直接に腐食性高温雰囲気の影響を受けることはなく、またプラズマ溶射によってセラミック皮膜3A,3Bを厚く形成して充分な熱遮蔽機能を付与でき、もって苛酷な使用条件でも充分な高温耐久性が得られる。
【0020】なお、熱遮蔽セラミック皮膜の充分な高温耐久性を確保する上で、レーザ照射下でのプラズマ溶射にて成膜される柱状組織の部分は、皮膜厚さの10%以上となるように設定するのがよい。ただし、割れを通した下地への腐食性高温雰囲気の影響を回避するため、下地面から少なくとも皮膜厚さの7%まではプラズマ溶射のみで成膜される連続組織とすることが好ましい。
【0021】ここで、熱遮蔽セラミック皮膜3,3A,3Bに用いられるセラミック材料としては、MgO、CaO、Y2 3 等を加えて安定化させたZrO2 が好適に使用される。また基材1の耐熱合金としては、インコネル等のNi基耐熱合金が好適である。下地合金層2としては、耐高温腐食性及び耐高温酸化性に優れるものであればよいが、特にMCrAlY(MはCo及び又はNi)合金が推奨される。
【0022】レーザ照射は、照射面でのレーザパワー密度が100〜350W/mm2 となる範囲が好適であり、同パワー密度が100W/mm2 未満では割れ4…が形成されにくく、逆に350W/mm2 を越えると皮膜の表面荒れが生じ易くなる。また、使用するレーザの種類は特に制約されないが、小型で取扱い性のよいYAGレーザの連続発振によるレーザビームによれば、その特性から溶射皮膜に良好な柱状組織を形成し易い。しかして、図1で示すようにプラズマスプレーPの溶射域ZにレーザービームLのスポットを重畳させて、且つレーザパワー密度を適度に設定する上で、レーザービームLは焦点から深浅いずれかに外れた位置で照射面に当て、もって照射スポットが溶射域Zに略一致するように設定することが望ましい。
【0023】
【実施例】以下に、本発明の実施例を参考例と共に具体的に説明する。これら実施例及び参考例では、インコネル合金からなる発電用ガスタービン翼を基材とし、この基材上に減圧プラズマ溶射によって成膜した100μm厚のCoNiCrAlY合金層を下地とし、この上に熱遮蔽セラミック皮膜3を大気中プラズマ溶射もしくはレーザ照射下での大気中プラズマ溶射によって成膜する。そのプラズマ溶射条件とレーザ照射条件を表1及び表2に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】実施例1前記CoNiCrAlY合金層を形成した基材をロボットに持たせる一方、プラズマ溶射機とレーザ照射装置とを図1の如くプラズマスプレーPの溶射域ZにレーザービームLのスポットが重畳するように固定し、図1の矢印aの如く基材1側を移動させながら、8重量%のY2 3 を添加したZrO2 を溶射材料として、溶射開始からプラズマ溶射のみで15パスの成膜を行い、以降についてはレーザビームLを焦点より15mm下の位置(照射面でのパワー密度=283W/mm2 )で照射しつつ6パスの成膜を行うことにより、300μm厚の熱遮蔽セラミック皮膜を形成した。
【0027】参考例1レーザビームLの照射を焦点より25mm下の位置(照射面でのパワー密度=102W/mm2 )で行った以外は、実施例1と同様にして300μm厚の熱遮蔽セラミック皮膜を形成した。
【0028】実施例2溶射開始からプラズマ溶射のみで8パスの成膜を行い、次いでレーザビームLを実施例1と同位置で照射しつつ6パスの成膜を行い、更にプラズマ溶射のみで4パスの成膜を行うことにより、300μm厚の熱遮蔽セラミック皮膜を形成した。
【0029】参考例2溶射開始から終了までをプラズマ溶射のみで成膜し、300μm厚の熱遮蔽セラミック皮膜を形成した。
【0030】上記実施例1,2と参考例1で形成した熱遮蔽セラミック皮膜の断面組織の電子顕微鏡写真(×150)を、実施例1は図4、参考例1は図5、実施例2は図6にそれぞれ示す。図4から明らかなように、実施例1にて形成されたセラミック皮膜は、厚み方向に綺麗に揃った割れによる明瞭な柱状組織の上層と、割れのない連続組織の下層との二層構造をなしている。これに対し、参考例1にて形成されたセラミック皮膜は、図5に示すように上部に明瞭な割れが殆ど認められず、柱状組織を形成するためのレーザービームの強度が不足していることが判る。一方、図6より、実施例2にて形成されたセラミック皮膜は、連続組織の上下層の間に柱状組織の中間層を挟んだ三層構造をなすことが判る。
【0031】〔熱衝撃試験〕次に、実施例1,2及び参考例1,2で熱遮蔽セラミック皮膜を形成したガスタービン翼について、加熱炉を用い、図7に示すように4.5分で990℃まで加熱後に4.5分で60℃まで冷却する熱サイクルを1回の熱衝撃として、この熱衝撃を繰り返し与え、該セラミック皮膜が剥離するまでの熱衝撃回数を調べた。その結果を次の表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】表3の結果から、プラズマ溶射のみで形成した参考例2のセラミック皮膜は僅か4回の熱衝撃で剥離したのに対し、参考例1のセラミック皮膜はある程度まで熱衝撃に耐えても不充分であり、実施例1,2のセラミック皮膜では1000回以上の熱衝撃によっても剥離が起こらず、本発明によるセラミック皮膜は極めて高温耐久性に優れていることが判る。
【0034】
【発明の効果】請求項1の発明に係る熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法によれば、被加工物表面にセラミック皮膜を形成するにあたり、セラミック材料をレーザ照射下でプラズマ溶射することから、熱衝撃による剥離を生じにくい柱状組織を有する当該皮膜を確実に且つ容易に低コストで形成でき、この皮膜を苛酷な高温域で使用される耐熱部品の表面に設けて高温耐久性を大きく改善することができる。また、この方法では、通常のプラズマ溶射による成膜工程で溶射面にレーザ照射を行えばよいから、前記柱状組織の形成のために別途に工程を追加する必要はなく、それだけ加工能率がよい上、レーザの照射と停止を行うだけで皮膜内の任意の部位ならびに任意の面領域に柱状組織を形成して、他をプラズマ溶射のみによる連続組織とすることができる。
【0035】請求項2の発明によれば、上記の熱遮蔽セラミック皮膜として、柱状組織を構成する割れが下地面まで達せず、この割れを通して腐食性高温雰囲気が下地へ直接に及ぶのを防止できるものを形成できる。
【0036】請求項3の発明によれば、上記の熱遮蔽セラミック皮膜として、特に熱遮蔽機能に優れるものを形成できる。
【0037】請求項4の発明によれば、上記の熱遮蔽セラミック皮膜として、下地との界面剥離の防止に適した良好な状態の柱状組織を有するものを形成できる。
【0038】請求項5の発明によれば、上記の熱遮蔽セラミック皮膜の形成方法において、当該皮膜に良好な柱状組織を容易に形成できるという利点がある。
【0039】請求項6の発明によれば、耐熱部品として、その表面に設けた熱遮蔽セラミック皮膜の熱衝撃による界面剥離を生じにくく、且つ腐食性高温雰囲気の影響が下地が直接に及ぶことがなく、もって全体として高温耐久性に優れて長寿命なものが提供される。
【0040】請求項7の発明によれば、上記の耐熱部品として、耐高温腐食性、耐高温酸化性、高温耐久性等の熱的性質に特に優れたものが提供される。
【出願人】 【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】596132721
【氏名又は名称】財団法人近畿高エネルギー加工技術研究所
【出願日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【代理人】 【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
【公開番号】 特開2001−335915(P2001−335915A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−156865(P2000−156865)