| 【発明の名称】 |
無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】千葉 格
【氏名】内甑 安男
【氏名】仁藤 丈裕
【氏名】中田 博道
【氏名】桜井 政一
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】次亜りん酸塩を還元剤とし、フッ素樹脂微粒子が分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっき液に、被めっき物を浸漬し、この被めっき物上にニッケル−リン合金マトリックス中に上記フッ素樹脂微粒子が分散してなる複合めっき皮膜を形成するに際し、上記被めっき物に振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動を垂直方向に与えながらめっきすることを特徴とする無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 次亜りん酸塩を還元剤とし、フッ素樹脂微粒子が分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっき液に、被めっき物を浸漬し、この被めっき物上にニッケル−リン合金マトリックス中に上記フッ素樹脂微粒子が分散してなる複合めっき皮膜を形成するに際し、上記被めっき物に振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動を垂直方向に与えながらめっきすることを特徴とする無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法。 【請求項2】 上記複合めっき皮膜中のフッ素樹脂微粒子の複合量が15容量%以下である請求項1記載のめっき方法。 【請求項3】 被めっき物が摺動部品である請求項1又は2記載のめっき方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、特にガソリン燃料ポンプ用プランジャピストン等の摺動部品に対する無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、ピストン、シリンダ等の摺動部品に対し、還元剤として次亜りん酸塩を用い、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子等のフッ素樹脂微粒子を分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっき液を使用して、ニッケル−リン合金をマトリックスとし、このマトリックス中にフッ素樹脂粒子を分散してなる複合めっき皮膜を形成し、耐摩耗性、摺動性を付与することが行われている。 【0003】この場合、例えばガソリンをエンジン燃焼室内へ噴射供給するためのガソリン供給ポンプにおいてピストンとなる部品(プランジャピストン)にかかる無電解複合めっき皮膜を形成する場合、このプランジャピストンには、そのめっき皮膜が高硬度であることが必要であり、このため上記無電解複合めっき液の中でも比較的フッ素樹脂微粒子共析量が少なく、無電解複合めっき皮膜中のフッ素樹脂微粒子量が少ないものが要求される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、このようなフッ素樹脂微粒子の共析量の少ない無電解複合めっき液を用いた場合、被めっき物のプランジャピストンにスポット的な未共析部分、ピットやかじりといった不具合が生じ易く、このためこの不具合を解決することが望まれた。 【0005】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、摺動部品等の被めっき物にスポット的な未共析部分、ピットやかじり等の不具合を生じさせることなく、フッ素樹脂微粒子がニッケル−リン合金マトリックス中に分散した複合めっき皮膜を形成することができる無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、被めっき物を特定条件下、即ち振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動条件において垂直方向に振動させながら、無電解複合ニッケル−リン合金めっきを行うことがスポット的な未共析部分、ピット、かじり等を抑制するのに有効であることを知見した。 【0007】即ち、従来から、電気めっき、無電解めっきを問わず、また複合材微粒子を含む複合めっきプロセスにおいても、めっき液を撹拌、流動したり、被めっき物を揺動もしくは振動させながらめっきを行う手法は広く採用されており、特に複合めっきの場合は、超音波撹拌を行う手法が種々提案されている(特開昭57−54262号、特開昭57−54263号、特開平5−171453号、特開平7−243052号公報)。 【0008】しかしながら、PTFE等のフッ素樹脂微粒子を通常の複合めっきの場合より少なく使用し、その共析量(複合量)を15容量%以下とした無電解ニッケル−リン合金めっき液においては、超音波撹拌を行ってもスポット的な未共析部分、ピットが生成し易い。また、通常の揺動、振動方式でもかかる現象を十分抑制することが困難である。また、特開平11−189880号公報には、複合めっきではないが、無電解めっきにおいて、被処理物に対して、10〜60Hz、振幅0.5〜1.0mmの振動を与えることが開示されている。しかし、その振動を与える方向については記載がなく、振動の方向によっては、十分その効果が得られない場合がある。 【0009】なお従来、ピットの抑制には、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を添加することが知られているが、複合めっき液にはフッ素樹脂微粒子を分散させるためにカチオン性界面活性剤が比較的多量に含まれているので、アニオン性界面活性剤を添加すると、これがカチオン性界面活性剤と静電的な強い結合を起こし、親水性を失うことになるので、アニオン性界面活性剤の添加によるピット防止方法は複合めっきには採用し得ない。 【0010】本発明者らは、かかる状況下において、フッ素樹脂微粒子の共析量の少ない無電解複合ニッケル−リン合金めっきにおけるスポット的な未共析部分の生成、ピットの生成を抑制する方法につき種々検討を重ねた結果、一般に、無電解ニッケル−リン/フッ素樹脂微粒子複合めっき液では、撥水性の非常に強いフッ素樹脂微粒子をめっき液中に湿潤、分散させ、更に共析能力を付与するために主にカチオン性界面活性剤を比較的多量に配合しているので、めっき液は非常に泡立ち易く、まためっき時の副反応として多量の水素ガスが発生するため、めっき液中に安定な泡が生じるものであるが、本発明者らの検討によると、この泡が共析微粒子と酷似した性質を持ち、共析現象と同様の機構により被めっき物表面に化学吸着し易く、これがスポット的な未共析部分の発生といっためっき欠陥を引き起こすものと推測された。即ち、フッ素樹脂微粒子を15〜30容量%の共析量で複合させる通常の無電解複合ニッケル−リン合金めっきでは、これまでスポット的な未共析部分の生成は殆ど問題になることがなく、ピットも超音波撹拌等により抑制することができ、被めっき物の揺動乃至は振動も均一な複合めっき皮膜を得るといった目的で行われていたものであるが、フッ素樹脂微粒子を15容量%以下、特に10容量%以下という少ない共析量で複合めっきした場合、上記泡が共析フッ素樹脂微粒子と同様に作用してこれが“共析”されてしまうことがスポット的な未共析部分、ピットの生成につながるのではないかと推測された。つまり、フッ素樹脂共析量が多い場合は、フッ素樹脂粒子が優先的に化学吸着し、上記泡の“共析”がある程度妨げられるのに対し、フッ素樹脂共析量が少ない場合は、泡の“共析”が生じ易いものと推測された。 【0011】いずれにしても、フッ素樹脂共析量が少ない場合は、スポット的な未共析部分、ピットが生成し易いものであり、かかる不具合を解消するため検討を進めた結果、上述したように、振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動を被めっき物に対し垂直方向に与えながらめっきを行うことにより、スポット的な未共析部分、ピットの生成が激減し、かじりのない均質なフッ素樹脂複合ニッケル−リン合金めっき皮膜が得られることを知見したものである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明の無電解複合ニッケル−リン合金めっき方法は、次亜りん酸塩を還元剤とし、フッ素樹脂微粒子が分散した無電解複合ニッケル−リン合金めっき液に被めっき物を浸漬し、この被めっき物上にニッケル−リン合金マトリックス中に上記フッ素樹脂微粒子が分散してなる複合めっき皮膜を形成するに際し、上記被めっき物に振動周波数30〜90Hz、振動加速度2〜15G、振幅0.5〜2mmの振動を垂直方向に与えながらめっきするものである。 【0013】この場合、本発明のめっき方法は、ガソリンをエンジン燃焼室内へ噴射供給するためのガソリン供給用ポンプにおいてピストンとなる部品(プランジャピストン)に効果的であるが、これ以外の各種摺動部品、例えば、プランジャの相手側となるシリンダの内面などの円筒状の摺動部品における内・外面、精密機器の各種駆動部のガイドシャフト、電動モーターの軸や軸受けなど、長短、大小の様々な摺動部品全般に対する複合めっきの実施において有効に採用され、耐久性、耐焼付き性などの機能を付与することができる。 【0014】本発明方法で使用する無電解複合ニッケル−リン合金めっき液は、無電解ニッケル−リン合金めっき液にフッ素樹脂微粒子を分散させたもので、公知の液組成のものを使用することができる。この場合、このめっき液は、通常、硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩をニッケルとして0.02〜0.2モル/Lと、このニッケル塩を錯化するカルボン酸やその塩などの錯化剤を0.02〜0.2モル/Lと、還元剤として次亜りん酸ナトリウム等の次亜りん酸塩を0.05〜0.5モル/L含み、更に必要に応じ鉛塩等の安定剤、その他無電解ニッケル−リン合金めっき液に添加され得る成分を添加することができる。なお、本発明方法を上記摺動部品のめっきに適用する場合、ニッケル−リン合金マトリックス中のリン含有量は4〜14重量%、特に7〜12重量%とすることが好ましい。 【0015】また、上記めっき液には、フッ素樹脂微粒子をめっき液中に分散させるため、この種の複合めっき液で公知のカチオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を0.01〜1g/L、特に0.05〜0.5g/L含有する。なお、上記界面活性剤を例示すると、住友スリーM(株)のフロラードFC−170、FC−431、FC−135や旭硝子(株)のサーフロンS−121、S−131、S−141、S−145などのフッ素系界面活性剤が好ましく、カチオン性又は両性の界面活性剤を単独で又はノニオン性界面活性剤と併用することができる。また、炭化水素系界面活性剤として、花王(株)のエマルゲン900番シリーズやコーミタン24P、D−86Pなどのノニオン性やカチオン性界面活性剤なども単独又はフッ素系界面活性剤と併用して用いることができる。 【0016】フッ素樹脂微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の乳化重合法で生産されたファインパウダーやそのディスパージョン品が好適であり、更に放射線照射によりフェブリル化(繊維化)を抑制させたPTFE微粒子も好適である。また、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂微粒子を用いることもできる。なお、フッ素樹脂微粒子に加えて、窒化ホウ素(BN)、二酸化モリブデン(MoS2)、場合によってはグラファイト(黒鉛)などの微粒子を併用することができ、これはカチオン性やノニオン性などの界面活性剤を併用しためっき液を用いている場合には非常に有効である。その微粒子の平均粒径は特に制限されるものではないが、0.05〜10μm、特に0.2〜1μmのものがよい。 【0017】フッ素樹脂微粒子の配合量は0.1〜10g/L、より好ましくは0.3〜5g/L、更に好ましくは1〜3g/Lとすることができる。この場合、本発明は、フッ素樹脂微粒子が15容量%以下、好ましくは12容量%以下、より好ましくは10容量%以下、更に好ましくは9容量%以下のフッ素樹脂微粒子が低い割合で共析する複合めっきに有効である。なお、フッ素樹脂微粒子の共析量下限は特に制限されないが、通常1容量%以上、好ましくは4容量%以上、より好ましくは5容量%以上、更に好ましくは5.5容量%以上であることがよく、フッ素樹脂微粒子共析量が少なすぎると、フッ素樹脂微粒子による耐摩耗性、摺動性などの特性を十分に付与し得ない傾向となる。ここで、フッ素樹脂微粒子の共析量15容量%はほぼ4.7重量%、10容量%はほぼ3.0重量%に相当し、また2容量%はほぼ0.6重量%、4容量%はほぼ1.1重量%に相当する。 【0018】なお、本発明のめっき液のpHは4〜6、特に4.5〜5.5とすることが好ましい。 【0019】本発明のめっき方法は、被めっき物を上記めっき液中で振動させるものである。この場合の振動条件は振動周波数が30〜90Hz、好ましくは60〜90Hz、より好ましくは65〜90Hzであり、振動加速度が2〜15G、好ましくは5〜15G、振幅が0.5〜2mm、好ましくは0.8〜1.5mmであり、また被めっき物を垂直方向に振動させることが必要であり、かかる振動条件により、スポット的な未共析部分の生成、ピットの発生を抑制することができる。なお、水平方向の振動が大きい場合には、意図した共析量が得られにくくなるだけでなく、かじり等の皮膜欠陥が著しく大きくなる問題が発生する。従って、被めっき物の水平方向の振動は極力小さいことが重要であり、垂直加速度の20%以下にすることが重要である。本発明は粒子を分散させた複合めっきにおけるピットを抑制するのが目的であるため、垂直方向の振動が必要である。一方、特開平11−189880号公報記載の技術は複合めっきではなく、微細孔へのめっきが目的のため、振動方向は特に問題とされていない。その点で相違がある。 【0020】この場合、上記振動を与える振動装置としては、図1に示したように、左右一対の振動受け枠1上にそれぞれスプリング2を介して上下振動可能に振動枠3を配設すると共に、加振機4を設けたものである。この加振機4は、電気モータの回転軸にバランスウエイトを設置すると共に、その回転運動を上下運動に変換する機構を介して上下振動を伝達するものであり、上記振動枠3には、ハンガークランプ5が取り付けられ、左右の振動枠3間にハンガークランプ5で支持されてハンガーバー6が架け渡され、このバー6に被めっき物7が吊下されるものである。この場合、左右の振動枠3において、それぞれの電気モータ回転軸のバランスウエイトを意図的にアンバランスな設定にすることで、モータ回転軸の回転に伴い定常振動を発生させるものであり、この場合アンバランスの度合いを大きくすると振動による加速度が大きくなるものである。また、モータの回転軸の回転数が振動の周波数となる。更に、振動枠は、上記スプリング上に配設されているが、このスプリングのバネ定数と振動加速度の関係で上下振幅が決まるものであり、振動周波数と振動加速度が決まっていても、スプリングを選定することで振幅を設定することができる。 【0021】ここで、加振機の構造が垂直方向振動の最も大きい要因であるが、スプリング、めっき治具、振動枠に工夫をすることで、周波数、加速度、振幅が大きくなることによって引き起こされる水平方向の揺れを抑えることができる。即ち、上記装置においては、加振機のモーターが水平方向へ回転するのではなく垂直方向へ回転するため垂直方向の振動を引き起こす構造となっている。また、スプリングを自由に変更できる構造となっているため、スプリングの直径の大きなものを使用することで安定性が増すと共に、硬さを持たせることで垂直方向への力が横へそれることを抑えることができる。めっき治具は被処理物を保持するため、振動の伝達に大きな影響を与える。水平方向の揺れは10Gを超える振動加速度が発生する条件になると共に顕著に現れるようになる。それを抑えるため治具に剛性のあるものを用いるのがよく、また、被めっき物に振動を的確に伝え、不要なブレを起こすことのない形状であることも必要になってくる。例えば、図2のようなL字状の片持ちの治具枝にすると振動加速度5G前後でも被めっき物が安定せず大きな水平方向の振動を起こし易く、図3に示したような治具枝とすることにより、10Gを超える条件で治具枝が折れるなどのトラブルを起こすことなく、効率よく水平方向への振動を伝えることができる。なお、図2,3において、8がハンガーであり、図2はハンガー8がL字状とされ、上部においてネジ9によりハンガーバー6に固定されていると共に、下部において被めっき物7が支持されるものである。一方、本発明において好適な図3のハンガー8は、下部がそれぞれ両側方に膨出したU字状とされ、その上部両側部において、それぞれボルト9a、ナット9bによりハンガーバー6に固定され、かつ、底部において被めっき物7が固定、支持されるものである。 【0022】更に、振動枠は振動装置からの振動をめっき治具に伝えるものであり、これも振動の伝達に大きな影響を与える。剛性がないものであると、振動装置によって振動枠が振動する時にたわみが生じ、振動枠の真ん中あたりの振り幅が大きくなり、水平方向に振動がブレることが避けられなくなる。よって振動枠にも剛性を付与することが必要となる。 【0023】従って、上記振動装置は、モータ回転軸の回転数、バランスウエイトのアンバランス度合い、振動枠を保持するスプリング特性などの因子を適切に設定することにより、上述した振動条件を与えるものである。本発明の振動条件を与える振動装置は、勿論図示の振動装置に限られるものではないが、本発明の振動条件は、このような装置によって与えられる特異な振動条件であって、従来は意図されていない振動領域であり、上述した無電解複合ニッケル−リン合金めっきにおいて、スポット的な未共析部分、ピットの生成を抑止する効果的な振動領域である。 【0024】なお、本発明のめっき方法において、上記振動を加える以外は通常の条件とすることができ、めっき温度は80〜95℃とすることができる。また、必要に応じ、超音波撹拌を行ったり、スターラーやポンプ等を用いてめっき液を流動させることは差し支えない。 【0025】本発明によれば、プランジャピストン等の摺動部品などに対して、非常に高品質なめっき皮膜を高い量産性を持って低コストで形成することができる。また、本発明により品質が向上することによる効果は、部品の信頼性が向上するだけでなく、部品の生産性を大幅に向上させる。具体的には、めっき速度が20%程度上昇することで処理時間が短縮される。更に、この部品はめっき処理後、部品精度を確保するために研削が行われているが、研削工程でめっき後の表面の凹凸を均一化して規定の表面状態を確保しながら部品寸法も確保している。この表面の凹凸を均一化するために従来の手法でめっきしたものは、凹凸を取り除くための研削取りしろ分として厚めにめっき処理していた。凹凸除去のための取りしろ分の膜厚を小さくできることで、処理膜厚を小さくできるようになり、析出速度の増加分と併せて更に生産性を向上させることができる。加えて、めっき品質が向上して、不良率が大幅に低下することも可能である。 【0026】なお、上記複合ニッケル−リン合金めっき皮膜を摺動部品に適用する場合は、この皮膜を熱処理して、ニッケル−リンマトリックスの硬度を上げることが好ましい。熱処理条件は適宜選定されるが、200〜400℃、好ましくは250〜350℃、更に好ましくは280〜330℃であり、10分〜3時間、特に30分〜2時間程度とすることができ、ニッケル−リンマトリックスのビッカース硬度はHv500〜1000、特に600〜900とすることが好ましい。 【0027】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 【0028】[実施例、比較例]下記組成の無電解複合ニッケル−リン合金めっき液を調製した。 ニッケルイオン 0.07モル/L錯化剤 1.0 モル/L次亜りん酸ナトリウム 0.22モル/Lカチオン性界面活性剤 0.3 モル/L安定剤 微量PTFE(平均粒径0.3μm) 1.0 g/LpH 4.9次に、上記めっき液を用いて90℃で120分間プランジャピストンのめっきを行った。この場合、図1に示した振動装置を用いてプランジャピストンを種々の条件で上下方向(垂直方向)に振動させながらめっきを行った。振動状況は、加速度センサー((株)リオン製振動計VM−80.ピックアップPV−90B)をプランジャピストンに固定して実測した。 【0029】得られためっき皮膜(Ni−Pマトリックス中にPTFEが分散しためっき皮膜、20〜30μm)の性状は下記の通りであった。 【0030】 【表1】
注:*めっき液を超音波撹拌(28kHz,600W) 【0031】なお、未分散部(未共析部)面積率は、レーザー顕微鏡写真の撮影(1300×1300μm四方、1視野)を行い、画像解析装置による未分散部の2値化・定量化を行い、視野に対する未分散部の総面積の割合を算出した。 【0032】また、ピット(めっき表面の凹欠陥)密度は、同様のレーザー顕微鏡写真の撮影を行い、基準視野(500μm×2000μm)中の直径50μm以上のピット数(個/mm2)を計測したかじり(被めっき物のエッジ周辺のめっき未着欠陥)幅は、レーザー顕微鏡による観察にて行った。 【0033】更に、図4に種々振動数における未分散部面積部の状態の顕微鏡写真を示し、図5に種々振動数におけるピット形状の顕微鏡写真を示す。 【0034】上記の結果より、本発明の振動条件がスポット的な未共析部の生成、ピットの発生を抑制し得ることが認められる。 【0035】なお、図6に、PTFE微粒子複合Ni−P合金めっき皮膜をPTFE共析量とめっき液中のPTFE濃度との関係を示す。この場合は、振動は、周波数60Hz、加速度6G、振幅1.2mmを垂直方向に与えることによって行った。 【0036】[参考例]本発明によって得られたPTFE微粒子複合Ni−P合金めっき皮膜を種々の条件で熱処理することによって得られたプランジャピストンについて、PTFE共析量と皮膜硬度(図7)、焼付き面圧(図8)、摩耗深さ(図9)との関係を示す。 【0037】ここで、皮膜硬度はビッカース硬度(Hv)である。また、焼付き性能は機械試験所式試験(油滑:ガソリン)にて行い、摩耗性能はLFW試験(油滑:5W−30油)にて行った。なお、焼付き性能、摩耗性能は300℃、1時間熱処理したサンプルについて行った。 【0038】 【発明の効果】本発明によれば、スポット的な未共析部分、ピットによる欠陥が抑制されたフッ素樹脂複合無電解ニッケル−リン合金めっき皮膜を確実に形成することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000189327 【氏名又は名称】上村工業株式会社 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月9日(1999.8.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079304 【弁理士】 【氏名又は名称】小島 隆司 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−49449(P2001−49449A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月20日(2001.2.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−225040 |
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