| 【発明の名称】 |
繊維強化アルミニウム合金材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷澤 元治
【氏名】広本 龍太郎
【氏名】岸 英治
【氏名】馬場 敬明
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| 【要約】 |
【課題】安価であって、耐摩耗性に優れ、かつ相手攻撃性を低く抑えることができる繊維強化アルミニウム合金材料を提供する。
【解決手段】繊維強化アルミニウム合金材料を、窒化処理を施したアルミナ・シリカ繊維と炭素繊維とを所定の体積割合で母材であるアルミニウム合金中に分散させて複合化する。このような構成から、2つの強化繊維の作用が奏合される結果、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、安価であって、耐摩耗性に優れ、かつ相手攻撃性を低く抑えることができる。つまり摺動特性に優れた繊維強化アルミニウム合金材料となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 体積率で10〜18%となる窒化アルミナ・シリカ繊維と、体積率で5〜15%となる炭素繊維とを、母材となるアルミニウム合金中に分散させてなる繊維強化アルミニウム合金材料。 【請求項2】 前記炭素繊維の体積率が10〜15%である請求項1に記載の繊維強化アルミニウム合金。 【請求項3】 前記母材となるアルミニウム合金は合金成分としてMgを含む請求項1または請求項2に記載の繊維強化アルミニウム合金。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化されたアルミニウム合金材料に関し、特に、摺動部に好適に用いられ、耐摩耗性に優れ、相手攻撃性の低い繊維強化アルミニウム合金材料に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車、産業機器等種々の分野では軽量化が図られ、それらを構成する部品に、それまで用いられてきた鉄鋼材料に代え、アルミニウム合金が使用されるに至っている。特に、乗用車等の車両用エンジンにおいては、部品のアルミニウム合金化が進行している。この理由は、従来の鋳鉄製のものと比較して、アルミ合金製とすることにより飛躍的な軽量化が容易となり、また高い熱伝導率による放熱作用を備えているという有用性に着目してのことであり、また従来よりアルミ合金を使用するに当たって問題となっていた製造コストについても近年の製造技術の向上により大幅な抑制が可能となったことで使用状況を助長するものとなっている。 【0003】このように、車両用エンジン部品のアルミニウム合金化が進むなかで、例えばシリンダブロックのような摺動特性を要求される部品についてはアルミニウム合金化が遅れていた。この理由は、アルミニウム合金の耐摩耗性の低さに起因するものであり、例えばシリンダボア部においてはピストンリングが高温下にて摺動することから特に苛酷な条件に耐え得る必要があり、通常のアルミニウム合金ではその要求を満足できなかった。 【0004】アルミニウム合金の耐摩耗性を向上させる手段として、例えば、特公平3−71939号公報に示すように、アルミナ繊維と炭素繊維とを強化繊維として母材中に分散させて複合材料とする技術が存在する。この技術は、アルミナ繊維のもつ高い耐摩耗性と炭素繊維のもつ自己潤滑能とにより、シリンダボア等の摺動部に要求される耐摩耗性および相手材であるピストンリングを摩耗させないといった低い相手攻撃性の両者を満足させることを目的とするものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、アルミナ繊維は、特に特公平3−71939号公報に示すようなα化させたアルミナ繊維はその硬度が高く、炭素繊維の存在下においても相手材を傷付けるといった問題は避けられないものとなっている。さらにアルミナ繊維は高価であり、アルミナ繊維を複合化させたアルミニウム合金材料は高価なものにならざるを得ない。 【0006】本発明者は、繊維強化アルミニウム合金材料、特に強化繊維に関する度重なる実験の結果、強化繊維の種類を適正化することにより摺動部材としての良好な特性を有する複合材料を得ることができるとの知見を得た。本発明は、その知見に基づき、上記現状の繊維強化アルミニウム合金材料の抱える上記問題を解決すべくなされたものであり、安価であって、耐摩耗性に優れ、かつ相手攻撃性を低く抑えることができる繊維強化アルミニウム合金材料を提供することを課題としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、体積率で10〜18%となる窒化アルミナ・シリカ繊維と、体積率で5〜15%となる炭素繊維とを、母材となるアルミニウム合金中に分散させてなることを特徴とする。つまり、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料では、アルミナ・シリカ繊維と炭素繊維とを強化繊維として用いるものである。 【0008】アルミナ・シリカ繊維は、アルミニウム合金材料にアルミナ繊維と同等の耐摩耗性を保持させることができ、また、アルミナ繊維に比べ安価であるという利点を有する。そしてまた、アルミナ・シリカ繊維は、アルミナ繊維よりも相手攻撃性が低いという利点をも有する。ただし、アルミナ・シリカ繊維は、アルミニウム合金溶湯に分散させて複合化する際に、その合金成分元素、特にMgと容易に反応し、繊維表面にMg−Si系の反応物が生成して、その複合化した材料を劣化させるという欠点をもつ。本発明の繊維強化アルミニウム合金材料では、強化繊維であるアルミナ・シリカ繊維を窒化処理することで、アルミニウム合金の合金成分との反応を抑制し、繊維強化アルミニウム合金材料の劣化を防ぐものとなっている。このアルミナ・シリカ繊維に窒化処理が施してあることは、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料における一つの技術的特徴を成している。 【0009】また、もう一つの強化繊維である炭素繊維は、潤滑能力を有するという利点を有する。摺動部に用いられた場合、相手材との間の潤滑剤として機能することで、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料の耐摩耗性を良好に保ち、また、相手材を摩耗させないといった相手攻撃性を効果的に抑制している。 【0010】窒化処理したアルミナ・シリカ繊維と炭素繊維との2つの強化繊維の上記作用が奏合される結果、それら2つの強化繊維をアルミニウム合金母材に分散して複合化させた本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、安価であって、耐摩耗性に優れ、かつ相手攻撃性を低く抑えることができる繊維強化アルミニウム合金材料となる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明の繊維強化アルミニウム合金材料の実施形態について、それぞれの構成要素、製造方法等、エンジンシリンダボアへの適用形態の項目に分けそれぞれ説明する。 【0012】〈繊維強化アルミニウム合金材料の構成要素〉本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、母材となるアルミニウム合金に強化繊維を分散させたものである。その母材、いわゆるマトリクスとなるアルミニウム合金は、その組成を特に限定するものではなく、AlならびにAl−Cu、Al−Si、Al−Mn、Al−Mg、Al−Mg、Al−Zn2元系等を基本とし、それらを組み合わせた3元系、4元系等、さらには、少量のNi、Cr、Zr、Ti等を目的に応じて添加した合金系のものを使用できる。なお、純アルミニウムも採用し得るため、本明細書において「アルミニウム合金」とは、純アルミニウムを含むことを意味する。 【0013】これらのアルミニウム合金の中でも、後に説明するように鋳造法によって複合化することが望ましいため、その場合には、JISに規定するAC1〜AC9の鋳造用アルミニウム合金、ADC1〜ADC14のダイカスト鋳造用アルミニウム合金等を用いることが望ましい。また、上述したように、窒化処理したアルミナ・シリカ繊維がアルミニウム合金溶湯のMgとの反応を特に抑制するという効果を充分に発揮できることから、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、Mgを含んだ鋳造用合金、例えば、AC4A、AC4D、ADC3、ADC12等を母材とする繊維強化アルミニウム合金材料として実施するのが好適である。 【0014】強化繊維の一つは、窒化処理したアルミナ・シリカ繊維である。繊維中のアルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)との組成比は、Al2O3:SiO2=35:65〜65:35とすることが望ましい。 【0015】アルミナ・シリカ繊維の窒化処理は、上述したように、繊維表面においてアルミニウム合金中の合金成分との化学反応により金属組織が不安定となり、その結果機械的強度が低下することを効果的に防止するための処理である。この窒化処理は、アルミナ・シリカ繊維を炭酸ガスとアンモニアガスとの混合ガス中またはアンモニアガス中において、1200〜1600℃に加熱を行う等によって容易に行うことができる。このような処理により、アルミナ・シリカ系繊維の表面は外部から浸透する活性窒素の作用により窒化されて窒化物または酸窒化物に変換され、表面改質がなされる。 【0016】また、アルミナ・シリカ繊維の窒化率は、例えば、前記ADC12合金等の強化剤として用いる場合には、1〜10%の範囲であることが好ましい。窒化率が1%未満では、窒化物の層が薄すぎるためアルミナ・シリカ系繊維と母材金属中のMg等の合金成分との反応防止効果が充分に得られない。一方、窒化率が10%を越えると、上記好適範囲のものと比べ、繊維が脆化して折れやすくなるからである。 【0017】窒化アルミナ・シリカ繊維の繊維強化アルミニウム合金材料中の存在割合は、繊維強化アルミニウム合金材料の体積を100%とした場合、体積率で10〜18%とする。10%未満では、充分な強化能が得られず耐摩耗性に劣ることになり、逆に、18%を超える場合は、母材となるアルミニウム合金の割合が小さく材料そのものの強度が低下しすぎ、また、相手材の攻撃性が高くなる。 【0018】もう一つの強化繊維である炭素繊維は、その種類を特に限定するものでなく、熱分解気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維等種々のものを用いることができる。 【0019】炭素繊維の繊維強化アルミニウム合金材料中の存在割合は、繊維強化アルミニウム合金材料の体積を100%とした場合、体積率で5〜15%とする。5%未満では、充分な潤滑効果が得られず耐摩耗性に劣り、相手攻撃性が高くなる。逆に、15%を超える場合は、母材となるアルミニウム合金の割合が小さくなりすぎ材料そのものの強度が低下することになる。 【0020】〈繊維強化アルミニウム合金材料の製造方法等〉上記本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、その製造方法を特に限定するものではないが、以下に示す態様の製造方法によって簡便に製造することができる。 【0021】その製造方法は、上記窒化アルミナ・シリカ繊維と上記炭素繊維とを所望の割合に混合して繊維成形体を作製する繊維成形体作製工程と、その繊維成形体を鋳型内に存置しその鋳型内に上記アルミニウム合金溶湯を注入して加圧鋳造を行う鋳造工程とを含んでなる製造方法である。この製造方法によれば、窒化アルミナ・シリカ繊維および炭素繊維が均一に分散された繊維強化アルミニウム合金材料を簡便かつ迅速に製造することができる。つまり、効率のよい強化繊維とアルミニウム合金との複合化方法となる。 【0022】繊維成形体作製工程において作製する「繊維成形体」とは、いわゆるプリフォームで、上記強化繊維が集成し、その中に無数の微細な空隙(空孔)を有する。この繊維成形体は、始めに、窒化アルミナ・シリカ繊維と炭素繊維とを水中で分散させた後、吸引成形またはろ過して作製することができる。繊維成形体は、製造するアルミニウム鋳物の形状、その鋳物の摺動特性を改善させる部分の形状等に応じ任意のものとすることができる。 【0023】なお、この繊維成形体を構成する窒化アルミナ・シリカ繊維と炭素繊維との配合割合および繊維成形体の空隙率は、アルミニウム合金溶湯が溶浸した結果において窒化アルミナ・シリカ繊維が体積率で10〜18%および炭素繊維が体積率で5〜15%となるように、適切な範囲のものとすればよい。 【0024】鋳造工程は、上記繊維成形体、詳しくは繊維成形体の有する上記空隙にアルミニウム合金溶湯を溶浸させこれを凝固させる工程である。繊維成形体にアルミニウム合金溶湯を溶浸させるためには、その溶湯に圧力をかける必要があり、その圧力は、繊維成形体の密度によっても異なるが、50〜150MPa程度とするのが望ましい。このようにアルミニウム合金溶湯を加圧できる鋳造方法としては特に限定するものではないが、いわゆる溶湯鍛造、ダイカスト鋳造等の金型鋳造等を用いることができる。ちなみに、ADC12を溶湯としたダイカストマシンによる鋳造工程においては、溶湯温度を650〜750℃とするのが望ましく、金型の予熱温度は100〜150℃となるように行うことが望ましい。 【0025】繊維成形体中にアルミニウム合金溶湯が溶浸して製造された本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、母材中の強化繊維が均一に分散し、良好な摺動特性を有するものとなる。また、この方法を用いれば、アルミニウム合金鋳物の摺動特性を必要とする部分のみ繊維強化することが簡便に行うことができ、実用的な製造方法となる。 【0026】上記工程を経て製造された本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、所定の機械加工等を施して製品として完成される。なお、部分的に繊維を分散させて強化したものでなく、略全体を強化したいわゆるインゴットのような鋳物を製造し、この鋳物を機械加工等により所定の形状に成形するといった製造方法をも採用できる。 【0027】〈エンジンシリンダボアへの適用形態〉本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、その用途を特に限定するものではなく、摺動特性を要求される、つまり耐摩耗性の良好さ、相手攻撃性の低さ等を要求される部位に使用される種々のアルミニウム合金製部材または部品として実施することができる。以下に、具体的な実施形態として、エンジンのシリンダボア部への適用形態を説明する。 【0028】その一つの形態として、ボアのピストン摺動面が上記本発明の繊維強化アルミニウム合金材料からなるシリンダブロックという構成の実施態様とすることができ、また、もう一つの形態として、シリンダブロックと別体となり例えば円筒形状をしたシリンダライナをシリンダブロックに挿設してシリンダボア部を形成する場合、そのシリンダライナを少なくともピストン摺動面が上記本発明の繊維強化アルミニウム合金材料となるように構成する実施態様とすることができる。このように、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料でボアのピストン摺動面を形成することにより、摺動特性がよくかつ軽量なシリンダブロックが実現できる。 【0029】上記シリンダライナの製造について図を用いて説明する。図1は鋳造によって強化繊維とアルミニウム合金とを複合化する工程を示す側断面図である。この図において、まず最初に、製造しようとする鋳物の形に合わせて形成された強化用の繊維成形体4が金型1にセットされ、アルミニウム合金溶湯5がその金型1に注入され、その後金型1内部で摺動自在な形にあるプランジャ3により密封され、その密封状態を維持したまま外力により図中矢印の方向に加圧されることで、その繊維成形体4中の微細な空隙のすみずみにわたって粘性の高いアルミニウム合金溶湯5の溶浸がなされ、それにより鋳物の寸法精度や健全度の向上が達成される鋳造工程となる。 【0030】ここで、シリンダライナは円筒体の形状をしており、ピストン摺動面である円筒内側面の摺動特性を向上させるために、図に示すように円筒形の繊維成形体4を金型1の中心円柱部2に挿通させた状態で複合化を行う。つまり、前述したように繊維成形体4が金型1に接触するようセットされた状態で複合化することにより、形成されたシリンダライナの内側表面のピストン摺動部にはその円筒形の繊維成形体4の内側面が表出し、その結果、その部分が機械的に補強され、耐磨耗性の向上および相手材となるピストンへの攻撃性が緩和されることになる。 【0031】上記シリンダライナを製造するのに代えて、シリンダブロックを例えばダイカスト鋳造等により製造する際、その金型内のシリンダボア部となる部分に繊維成形体を存置させ、金型内にアルミニウム合金溶湯を注入し加圧して鋳造することにより、直接、ボアのピストン摺動部が本発明の繊維強化アルミニウム合金材料からなるシリンダブロックを製造することもできる。また、そのシリンダブロックの製造において、繊維成形体を存置させる代わりに、あらかじめ形成した本発明の繊維強化アルミニウム合金材料の円筒体を金型内に存置させ、その円筒体とともに鋳込むことで、ボアのピストン摺動部が本発明の繊維強化アルミニウム合金材料からなるシリンダブロックを製造することもできる。 【0032】以上本発明の繊維強化アルミニウム合金材料の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。 【0033】 【実施例】上記実施形態に基づき、強化繊維の種類、強化繊維の配合割合の異なる種々の繊維強化アルミニウム合金材料でピストン摺動面を形成したシリンダライナを作製し、それらに耐摩耗試験を行って摺動特性について調査し、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料の優秀性を確認した。以下これらを、実施例として、説明する。 【0034】〈作製したシリンダライナ〉シリンダライナは、母材をADC12とするもので、その形状はボア径(内径)がφ96mm、長さ182mmの円筒形状のものとした。強化繊維をアルミナ繊維および炭素繊維とし、アルミナ繊維が体積率で12%、炭素繊維が体積率で9%の割合で母材中に分散している従来からの繊維強化アルミニウム合金材料を用いたシリンダライナを比較例1とした。同様に、窒化アルミナ・シリカ繊維のみを体積率で18%の割合で分散させた材料を用いたものを比較例2と、窒化アルミナ・シリカ繊維を体積率で12%および炭素繊維を5%の割合で分散させた材料を用いたものを実施例1と、窒化アルミナ・シリカ繊維を体積率で12%および炭素繊維を10%の割合で分散させた材料を用いたものを実施例2と、窒化アルミナ・シリカ繊維を体積率で12%および炭素繊維を15%の割合で分散させた材料を用いたものを実施例3とした。 【0035】なお、実施例3の繊維強化アルミニウム合金材料の組織写真を図2に、実施例1の繊維強化アルミニウム合金材料の組織写真を図3に示す。両方の写真とも、窒化アルミナ・シリカ繊維および炭素繊維が母材であるアルミニウム合金中に均一に分散している様子が観察できる。ちなみに、実施例において用いた窒化アルミナ・シリカ繊維は、平均繊維径3μm、平均繊維長100μmのものであり、炭素繊維(カーボン繊維)は、平均繊維径7μm、平均繊維長30μmであった。 【0036】〈耐摩耗試験〉上記実施例および比較例のシリンダライナを縦割りにしてそれぞれテストピースを作製し、そのテストピースに実機に使用されるピストンリング材(材質:窒化ステンレス)を摺動させて、テストピースおよびピストンリング材の摩耗量を測定する耐摩耗試験をおこなった。 【0037】試験条件は、ピストンリング材に10kgの荷重をかけてテストピースに押さえつけたまま、そのピストンリングを40mmのストロークで往復させるもので、摺動速度は毎分往復400回、試験時間は4時間とした。潤滑油にはエンジン用ベースオイル(商品名スタノール43N:エッソ石油製)を用い、毎分0.2ccの量を摺動面に滴下するものとした。なお、試験中、テストピースの温度は120℃で一定となるよう加熱するものとした。 【0038】〈試験結果と評価〉上記耐摩耗試験の結果として、テストピースである繊維強化アルミニウム合金材料の摩耗量およびピストンリング材の摩耗量を、比較例1におけるそれぞれの摩耗量を1とした場合の値で、下記表1および図4に示す。なお、表1には、それぞれの繊維強化アルミニウム合金材料を構成する強化繊維の種類およびその母材中の体積率も合わせて示す。 【0039】 【表1】
【0040】上記表1から判るように、アルミナ繊維を用いた比較例1の繊維強化アルミニウム合金材料に比べ、アルミナ繊維を用いていない比較例2および実施例1〜実施例3のものは、ピストンリング材の摩耗量が少なく、相手攻撃性が良好である。ただし比較例2のものは、炭素繊維を分散させていないことから、実施例1〜実施例3のものに比べ相手攻撃性が高いことが確認できる。これに対して、窒化アルミナ・シリカ繊維を体積率12%の割合で分散させかつ炭素繊維を分散させた実施例1〜実施例3のものは、極めて低い相手攻撃性を有することが確認できる。したがって、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、相手攻撃性の低い、摺動特性の優れた材料であることが確認できる。 【0041】実施例1〜実施例3のものの中でも、炭素繊維の体積率が10%以上となる実施例2および実施例3のものは、自身の耐摩耗性についても極めて高い値を示すことが判る。この結果から、炭素繊維を体積率で10%以上の割合で分散させた繊維強化アルミニウム合金材料は、より優れた摺動特性を有する材料であることが確認できる。 【0042】 【発明の効果】本発明は、繊維強化アルミニウム合金材料を、窒化処理を施したアルミナ・シリカ繊維と炭素繊維とを所定の体積割合で母材であるアルミニウム合金中に分散させて複合化するという構成をとっている。このような構成から、2つの強化繊維の作用が奏合される結果、本発明の繊維強化アルミニウム合金材料は、安価であって、耐摩耗性に優れ、かつ相手攻撃性を低く抑えることができる。つまり摺動特性に優れた繊維強化アルミニウム合金材料となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
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| 【出願日】 |
平成12年5月22日(2000.5.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2001−335900(P2001−335900A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月4日(2001.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2000−150059(P2000−150059) |
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