| 【発明の名称】 |
多孔質プリフォーム、金属基複合材料及びそれらの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】福永 秀春
【氏名】佐々木 元
【氏名】吉田 誠
【氏名】潘 進
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| 【要約】 |
【課題】母材金属中の元素と短繊維との反応を防止することにより強度等の性能向上を図った金属基複合材料及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明のプリフォームは、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面に、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる被膜が形成されていることを特徴とする。また、本発明の金属基複合材料は、多孔質プリフォームの空隙に、連続相としてアルミニウム、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の金属連続相が存在することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面に、バインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金からなる被膜が形成されていることを特徴とする多孔質プリフォーム。 【請求項2】セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーが、前記バインダーとの反応により前記表面に被膜を形成する酸化物である請求項1記載の多孔質プリフォーム。 【請求項3】マグネシウム又はマグネシウム合金が、該セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーと反応してスピネル構造を有する化合物の状態で存在する請求項1又は2に記載の多孔質プリフォーム。 【請求項4】該セラミックスが、ホウ酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質プリフォーム。 【請求項5】セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面にバインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金を蒸着させた多孔質体を熱処理することによって、前記表面にスピネル構造を有する被膜を形成することを特徴とするプリフォームの製造方法。 【請求項6】前記セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーが、前記バインダーとの反応により前記表面に被膜を形成する酸化物である請求項5記載の方法。 【請求項7】蒸着を真空下で行う請求項5又は6項に記載の方法。 【請求項8】請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質プリフォームの空隙に、連続相としてアルミニウム、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の金属連続相が存在することを特徴とする金属基複合材料。 【請求項9】セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面にバインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金を蒸着した多孔質体の空隙に、連続相としてアルミニウム、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の金属連続相が存在することを特徴とする金属基複合材料。 【請求項10】前記マグネシウム又はマグネシウム合金が、該セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーと反応してスピネル構造を有する化合物の状態で存在する請求項9記載の金属基複合材料。 【請求項11】請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリフォームに、アルミニウム又はアルミニウム合金融液を含浸させたことを特徴とする金属基複合材料の製造方法。 【請求項12】セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面にバインダーを蒸着した多孔質体に、アルミニウム又はアルミニウム合金融液を含浸させたことを特徴とする金属基複合材料の製造方法。 【請求項13】含浸を、加圧又は無加圧下で行う請求項11又は12項に記載の方法。 【請求項14】含浸を、スクイズキャスト法によって行う請求項11又は12項に記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、金属基複合材料の強化体となるプリフォーム及びその製造方法と、前記プリフォームを用いた金属基複合材料及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】金属材料の特性向上には限界があり、1つの材料に相反する2種以上特性を同時に付加する事は難しい。金属材料の特性向上を図るために、金属に繊維等を混入させた繊維強化金属基複合材料がある。このような金属基複合材料を、シリカ、アルミナ等の酸化物のゾル又は微粉末をバインダーとして、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカー等のいわゆる強化材からなるプリフォームを形成し、その後電着、粉末冶金、拡散接合、高圧鋳造法等によって、前記プリフォームにアルミニウム又はマグネシウム等の母材金属を含浸させて製造していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プリフォームを構成するセラミックスの繊維、粒子又はウィスカーと、母材金属中の元素との間で化学反応を生じることがある。この場合、従来のバインダーは、セラミックスと母材金属中の元素との反応を防止する機能を有さない。 【0004】このため、母材金属中の特定の元素とセラミックスの短繊維、粒子又はウィスカーとの化学反応により、セラミックスの短繊維または粒子自身の形状が変化し、複合材料としての強化能力を低下させる要因となっていた。 【0005】さらに、母材金属中の特定の元素とウィスカーとの化学反応により、母材金属中の特定元素の濃度が変化することで、母材金属の時効及び析出強化能力を低下させていた。したがって、金属基複合材料を製造する場合、母材金属中の元素とセラミックスの短繊維等との化学反応を防ぐことが重要事項であった。しかし、このような反応を防止する方法、及び強化能力を高く維持した金属基複合材料に関して、これまで知られていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的は、母材金属中の元素と短繊維等との反応を防止することにより強度等の性能向上を図った金属基複合材料及びその製造方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、発明者らは、バインダーと酸化物セラミックス短繊維、粒子又はウィスカーとを化学反応させることにより、バインダーと短繊維等との界面に薄く緻密なスピネル相を生成させることを試みた結果、本発明のプリフォーム、金属基複合材料及びそれらの製造方法を見出すに至った。 【0008】本発明の多孔質プリフォームは、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面に、バインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金からなる被膜が形成されていることを特徴とする。 【0009】本発明の多孔質プリフォームの好ましい実施態様としては、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーが、バインダーとの反応により前記表面に被膜を形成する酸化物であることを特徴とする。 【0010】本発明の多孔質プリフォームの好ましい実施態様としては、マグネシウム又はマグネシウム合金が、該セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーと反応してスピネル構造を有する化合物の状態で存在することを特徴とする。 【0011】本発明の多孔質プリフォームの好ましい実施態様としては、該セラミックスが、ホウ酸アルミニウムであることを特徴とする。 【0012】本発明の多孔質プリフォームの製造方法は、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面にバインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金を蒸着して多孔質体を形成し、前記多孔質体を熱処理することによって、前記表面にスピネル構造を有する被膜を形成することを特徴とする。 【0013】本発明のプリフォームの製造方法の好ましい実施態様としては、前記セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーが、前記バインダーとの反応により前記表面に被膜を形成する酸化物であることを特徴とする。 【0014】本発明のプリフォームの製造方法の好ましい実施態様としては、蒸着を真空下で行うことを特徴とする。 【0015】本発明の金属基複合材料は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質プリフォームの空隙に、連続相としてアルミニウム、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の金属連続相が存在することを特徴とする。 【0016】本発明の金属基複合材料の好ましい実施態様としては、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面にバインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金を蒸着した多孔質体の空隙に、連続相としてアルミニウム、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の金属連続相が存在することを特徴とする。 【0017】本発明の金属基複合材料の好ましい実施態様としては、前記マグネシウム又はマグネシウム合金が、該セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーと反応してスピネル構造を有する化合物の状態で存在することを特徴とする。 【0018】本発明の複合材料の製造方法は、上記多孔質プリフォームに、アルミニウム又はアルミニウム合金融液を含浸させたことを特徴とする。 【0019】本発明に係る複合材料の製造方法の好ましい実施態様としては、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面にバインダーを蒸着した多孔質体に、アルミニウム又はアルミニウム合金融液を含浸させたことを特徴とする。 【0020】本発明に係る複合材料の製造方法の好ましい実施態様としては、含浸を、加圧又は無加圧下で行うことを特徴とする。 【0021】本発明に係る複合材料の製造方法の好ましい実施態様としては、含浸を、スクイズキャスト法によって行うことを特徴とする。 【0022】 【発明の実施の形態】本発明の多孔質プリフォームにおいては、セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーの表面に、バインダーとしてマグネシウム又はマグネシウム合金からなる被膜を形成する。本発明の多孔質プリフォームに用いられるセラミックスは、特に限定されず、焼成などの工程を経て得られる非金属無機材料を意味し、好ましくは、バインダ−との反応によりスピネル構造を有する被膜を形成することが可能な酸化物を意味する。セラミックスとして、具体的には、ホウ酸アルミニウムを挙げることができる。 【0023】マグネシウム合金としては、特に限定されないが、例えば、AZ系(Mg-Al-Zn系)、AM系(Mg-Al-Mn系)等を挙げることができる。 【0024】スピネル構造は、いわゆる化学式AB2X4(A,Bは陽性元素、Xは陰性元素)で示される化合物のとる結晶構造をいう。 【0025】マグネシウム又はマグネシウム合金からなる被膜であれば、特に限定されないが、好ましくは、マグネシウム又はマグネシウム合金が、該セラミックス粒子、セラミックス繊維又はセラミックスウィスカーと反応してスピネル構造を有する化合物の状態で存在する。この場合、短繊維、粒子又はウィスカーとバインダーとの界面に薄く緻密なマグネシウムスピネル相が形成される。 【0026】スピネル相の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、1nm〜500nmであり、より好ましくは、5〜100nmである。スピネル相の厚さをかかる範囲に設定したのは、スピネル相の厚さが、1nm未満の場合、母材金属中の元素とセラミックス短繊維等との化学反応を十分に防ぐ効果が半減する一方、 500nm以上である場合、セラミックスの繊維、粒子又はウィスカー自体の特性を劣化させる場合があるからである。 【0027】本発明の多孔質プリフォームの製造方法においては、まず、セラミックス粒子、繊維又はウィスカーの表面にバインダーを蒸着し、多孔質体を形成する。 【0028】蒸着の方法は、常法の蒸着法を適宜使用することができる。この場合、蒸着の方法は、特に限定されない。例えば、真空蒸着法を用いることができる。真空蒸着法の場合に、真空度及びバインダーの蒸気圧は特に限定されない。また、真空引きの後、アルゴンなどの不活性雰囲気を充填しても良い。こうして多孔質体を形成する。 【0029】この多孔質体又は、この多孔質体を熱処理することによりスピネル構造を有する被膜をセラミックス繊維等の表面上に形成した多孔質プリフォームを、後述するように本発明の金属基複合材料を製造する際に用いることができる。熱処理は、500〜1200℃、好ましくは、600〜900℃の温度で行うことができる。熱処理の保持時間は、特に限定されないが、好ましくは、0.5時間〜3時間である。熱処理により、短繊維等とマグネシウム等との化学反応を生じさせ、短繊維等の表面にスピネル構造を有する相を形成させることができる。スピネル構造を有する相によって、母材金属中の元素と、セラミックス短繊維等(粒子、ウィスカー)との反応を防止することができ、セラミックス短繊維の形状変形を防ぐことができる。なお、大気中、不活性雰囲気中、あるいは真空中において熱処理を行うことができる。 【0030】本発明の金属基複合材料は、上述したような多孔質プリフォームの空隙に、連続相としてアルミニウム、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の金属連続相が存在することを特徴とする。 【0031】本発明の金属基複合材料に用いられるアルミニウム合金としては、アルミニウムの材料としての性質を改善するために、マンガン、珪素、マグネシウム、銅又は亜鉛などを含む合金を挙げることができる。具体的には、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Si−Cu系、Al−Si−Mg系からなる群から選択される少なくとも1種の合金を挙げることができる。 【0032】上述の多孔質体又は多孔質プリフォームにアルミニウム又はアルミニウム合金を含浸することによって、本発明の金属基複合材料を得ることができる。なお、前記多孔質体を用いて、金属基複合材料を作製する場合には、スピネル構造を有する被膜を、含浸時の溶融金属の熱、又は、その後の熱処理(溶体化処理、時効処理等)によって形成させることが可能である。 【0033】含浸は、加圧下又は無加圧下で行うことができる。加圧下で行う含浸方法として、例えば、スクイズキャスト法(高圧鋳造法)、ダイカスト法等を挙げることができる。造形性、量産性及び経済性が優れるという観点から、含浸法としては、好ましくは、スクイズキャスト法である。 【0034】含浸した金属基複合材料について、必要に応じて溶体化処理、時効処理などの熱処理を行うことができる。溶体化処理の時間は、使用する母材金属等の種類にもより適宜変更することが可能であり、特に限定されるものではないが、5〜15時間程度である。溶体化処理の温度についても、使用する母材金属等の種類により特に限定されるものではないが、500〜1000℃程度である。時効処理についても特に限定されず、例えば、母材金属がアルミ系の場合、100〜200℃で3〜9時間程度である。熱処理は、材料の種類、強度等に応じて適宜変更して行うことができる。 【0035】 【実施例】実施例1強化材として、ホウ酸アルミニウムウィスカ(四国化成工業社製)を使用した。マグネシウムをバインダーとして用いた多孔質プリフォームを、以下のように作製した。 【0036】加熱可能なチャンバー内部にマグネシウム固体と、アルミニウムボーレート(AlBO)からなる短繊維の集合体を配置し、ロータリーポンプ、または油拡散ポンプを利用して、真空排気した。この際、チャンバー内部の全圧は、100ミリ水銀(100Torr)以下とした。チャンバー内部を加熱昇温し、500℃〜1200℃の間で、任意の温度に保持して、マグネシウム固体、または液体と平衡するマグネシウム飽和蒸気でチャンバー内部を満たした。マグネシウム飽和蒸気は、短繊維の集合体の内部の空間へ拡散し、一部のマグネシウムを、繊維表面上へ付着させた。チャンバーの温度を低下させ、マグネシウム蒸気がチャンバーの内部で過飽和とし、短繊維表面上に付着、短繊維を被覆し、多孔質体を得た。 【0037】この多孔質体を、大気中において500℃〜900℃で熱処理することで、短繊維とマグネシウムの化学反応により、厚さ10ナノメートル前後の、均一で薄いマグネシウムスピネル酸化物相を短繊維の表面に形成させて、多孔質プリフォームを得た。その後、この多孔質プリフォームにアルミニウム合金融液、 JIS AC4CH を含浸させて、スクイズキャスト法により金属基複合材料を製造した。 【0038】比較例として、SiO2バインダーを用いた多孔質プリフォーム、バインダーを用いない多孔質プリフォームを作製し、それぞれの多孔質プリフォームにアルミニウム合金融液を含浸させて、スクイズキャスト法により金属基複合材料を製造した。 【0039】作製条件は、多孔質プリフォームの予熱温度700℃、溶湯温度760℃、金型温度200℃加圧力100MPaであった。また、525℃の温度で、8時間溶体化処理後水中焼き入れし、160℃の温度で6時間時効処理を施した。 【0040】プリフォームの評価プリフォームの強度を評価するために、プリフォームを20mm×20mm×35mmに切り出し、クロスヘッド速度0.1mm/minで圧縮試験を行った。プリフォームの圧縮試験の結果を図1に示す。これよりバインダーを添加した場合は、バインダーを添加しないものに比べ、10倍程度の強度を持っている事が分かる。 【0041】プリフォーム中のバインダーの付着状況を図2(a)〜(c)に示す。これより、SiO2及びMgバインダーではウィスカー同士の結合部で架橋しているのが見られる。この架橋効果によりプリフォームの圧縮強度が上昇したものと考えられる。 【0042】金属基複合材料の評価下記表1に金属基複合材料の引張試験の結果を示す。所定の試験片を作製し、クロスヘッド速度0.5mm/minで引張試験を行った。 【表1】
プリフォームの変形によって強化材体積率が違うので、統一的に強度を比較するため以下の式(1)を用いて体積率を20%に換算した。 σc=ασfVf+(1−Vf)σm* (1)但し、σc:複合材料の引張強度、α:繊維強化効果係数、σf:強化材の引張強度、Vf:体積率、σm*:複合材料破断時の母材の強度、とする。 【0043】体積率を20%に換算した引張強度を図3に示す。これより鋳造後の状態では、Mgバインダーを用いた金属基複合材料の引張強度が319MPaともっとも高く、熱処理後の状態の引張強度でも315MPaともっとも高かった。バインダーなし、3%SiO2バインダーの複合材料は、熱処理後の引張強度が70MPa、35MPaと低下し、合金中のMgによる時効硬化も見られなかった。SiO2バインダーの鋳造後の状態での強度が低いのは、鋳造時にSiO2がアルミニウム溶湯と反応し、Mgなどの合金元素の偏析や粗大シリコン粒の晶出等により局所的に強度低下が生じたものと考えられる。 【0044】図4に各複合材料の抽出後のウィスカーのSEM写真を示す。どのウィスカーもウィスカー表面に反応生成物が見られる。バインダーなし、SiO2バインダーのSEM写真では熱処理前後で、この反応生成物が成長しているのが見られるが、Mgバインダーは、熱処理前後でウィスカー表面状態に変化が少ないことが分かる。Mgバインダーを用いた複合材料はウィスカとマトリックスの反応で費やされるMgをバインダーに用いたMgで供給することによって強度が低下しないものと考えられる。 【0045】実施例2バインダーとしてマグネシウムを用いた場合に、熱処理の時間を変化させる以外、実施例1と同様の方法を用いてプリフォーム及び金属基複合材料を作成した。溶体化処理を、さらに535℃で、8時間行い、その後、時効処理を、155℃で、6時間行った。 【0046】プリフォームの評価プリフォーム中のバインダーの付着状況を図2(d)に示す。図2(d)は、蒸着マグネシウムがバインダーとして機能していることを示すプリフォーム内部の走査電子顕微鏡写真を示す図である。スピネル相の形成を確認するために透過電子顕微鏡(TEM)写真を撮影した。図5は、Al18B4O33/AC4CH複合材料から抽出したウィスカーのTEM写真を示す図である。図6は、MgAl2O4コートしたプリフォームの透過電子顕微鏡(TEM)写真を示す図である。図6中の拡大部分は、HRTEM写真を示す図である。 【0047】これらの結果より、ウィスカー表面に反応生成物が観察されるのが分かる。マグネシウムを被膜して熱処理を十分に行い、スピネル相を成長させたMgAl2O4コートについて、スピネル相は、約5nmの厚みを有していた。 【0048】また、各金属基複合材料の引張強度、及び圧縮強度を調べた。測定結果を図7及び図8に示す。この結果、スピネル相を十分成長させたMgAl2O4コートの金属基複合材料が、熱処理後に最も高い強度を示した。すなわち、蒸着マグネシウムコーティングを施したプリフォームを使用して製造したアルミニウム合金が時効析出強化可能であることが確認された。 【0049】 【発明の効果】本発明のプリフォームによれば、短繊維または粒子の形状を損なうことなく、かつ、アルミニウム合金中の特定元素とセラミックス短繊維の化学反応を効果的に防止できるという有利な効果を奏する。 【0050】また、本発明によれば、セラミックス短繊維、粒子又はウィスカーと、母材金属との界面にスピネル相を形成させるので、短繊維の劣化、及び、時効析出強化能力の低下を防ぎ、高品質の複合材料を得ることができるという有利な効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391012648 【氏名又は名称】広島大学長
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| 【出願日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−316785(P2001−316785A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−129822(P2000−129822) |
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