| 【発明の名称】 |
大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋爪 修司
【氏名】山▲崎▼ 一男
【氏名】鈴木 敏雄
【氏名】南 雄介
【氏名】小野 達雄
【氏名】クミノ・ギウセッペ
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| 【要約】 |
【課題】P及びSの添加量を所定値以下に低減することにより、1000℃前後で良好な熱間加工性を得、このことにより湿潤炭酸ガスと湿潤硫化水素の両者を含む環境で使用可能であり、溶接性、熱間加工性に優れ、しかも大径鋼管で輸送効率がよく良好な大径シームレス鋼管用マルテンサイト性ステンレス鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1−0.3%,Mn0.1−0.3%,P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10−13%,Ni:5−8%,Mo:1.5−3%,N:0.02%以下で、C+N:0.02−0.04%を満足し、残部が実質的にFeと不可避不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼大径シームレス鋼。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下で、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部が実質的にFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【請求項2】 質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下、さらにW:0.1〜3%、Cu:0.1〜3%の1種または2種を含有し、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部が実質的にFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【請求項3】 質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下、さらにTi:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部が実質的にFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【請求項4】 質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下、さらにW:0.1〜3%、Cu:0.1〜3%の1種または2種、Ti:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部が実質的にFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【請求項5】 外径が40.64〜66.04cm(16〜26インチ)である請求項1〜4のいずれかに記載のマルテンサイト系ステンレス鋼。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、湿潤炭酸ガス、および湿潤硫化水素を含む環境下で用いられるラインパイプ等に適する溶接性に優れた大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼に関する。 【0002】 【従来の技術】石油、天然ガスの輸送用パイプラインに用いられる鋼材には、使用環境に応じた耐食性と現地溶接性に優れていることが要求され、X50、X65グレードの炭素鋼銅管が用いられることが多かった。 【0003】近年、湿潤炭酸ガス、湿潤硫化水素を含む環境が増加し、耐食性の観点から、ステンレス鋼の使用が検討されるようになってきた。しかし、既存のステンレス鋼はラインパイプとして必ずしも充分な特性ではなく、新たな開発が望まれてきた。すなわち、湿潤炭酸ガス、湿潤硫化水素を含む環境に対して良好な耐食性を有する0.2%C〜13%Cr鋼は溶接を必要としない油井管であり、溶接割れ防止のためには高い予熱、後熱処理温度を必要とし、現地溶接性が重視されるパイプライン用としては適当でなかった。また、22%または25%Cr等の2相系ステンレス鋼は予熱、後熱処理は必要ないものの高価であり、大量の鋼材を必要とするパイプラインには使用し難い。このため、特開平6−100943号公報、特開平4−268018号公報、特開平8−100235号公報、特開平8−100236号公報などでは、C量を低下させた13%Cr鋼を提案している。これらの鋼は通常シームレスまたはUOE鋼管として供給され、シームレス鋼管の場合、耐圧性能に優れているが最大径40.64cm(16inch)外径までの製造が可能でいあり、UOE鋼管の場合、耐圧性能はシームレス鋼管に比べ劣るが、最小外径が50.8cm(20inch)である。径が大きい鋼管の方が輸送効率が向上し、安価に原油を輸送することが可能であるが、湿潤炭酸ガスと湿潤硫化水素の両者を含む環境での耐食性と現地溶接性を同時に充分な性能で満足し、しかも大径鋼管で輸送効率が良く耐圧性能が良好な鋼の要求に応えられる鋼はなかった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、湿潤炭酸ガスと浸潤硫化水素の両者を含む環境で使用可能であり、溶接性、熱間加工性に優れ、しかも大径鋼管で輸送効率が良く耐圧性能が良好な大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼を提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため、大径シームレス鋼管の製造可能なエクスパンドミルの主たる圧延温度である1000℃前後における熱間加工性を向上させる手法を種々検討した。その結果、PおよびSを所定値以下に低減すれば、1000℃前後で良好な熱間加工性を得られることがわかり、以下のような大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼を完成した。 【0006】1.質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下で、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部がFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【0007】2.質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下、さらにW:0.1〜3%、Cu:0.1〜3%の1種または2種を含有し、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部がFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【0008】3.質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下、さらにTi:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部がFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【0009】4.質量%で、C:0.02%以下、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cr:10〜13%、Ni:5〜8%、Mo:1.5〜3%、N:0.02%以下、さらにW:0.1〜3%、Cu:0.1〜3%の1種または2種、Ti:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、C+N:0.02〜0.04%を満足し、残部がFeと不可避不純物からなる大径シームレス鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼。 【0010】そして、これらの方法は、特に、外径が40.64〜66.04cm(16〜26インチ)の大径シームレス鋼管に有効である。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の各添加成分の添加理由と添加範囲の限定理由を述べる。 【0012】C:0.02%以下鋼中のCrと炭化物を形成し、強度を高める元素であるが、過剰に添加すると耐食性に有効なCr量を減少させる。また、溶接熱影響部硬さを上昇させ、溶接後熱処理が必要となるため上限を0.02%とする。 【0013】Si:0.1〜0.3%脱酸剤として添加されるが、0.1%以下では効果がなく、一方、過剰に添加されるとデルターフェライトが晶出するので、相バランスを保つため、Niの増量が必要となるため、上限を0.3%とする。 【0014】Mn:0.1〜0.3%製鋼上、脱酸剤として添加されるが、0.1%以下ではその効果がなく、熱間加工性も低下する。一方、過剰に添加すると炭酸ガス、硫化水素環境下での耐食性が低下するため上限を0.3%とする。 【0015】P:0.02%以下Pは0.04%以下であれば、本発明の鋼が有する耐食性に影響を与えないが、さらに、良好な熱間加工性を得るために0.02%以下に制限する。 【0016】S:0.002%以下Sは0.01%以下であれば、本発明の鋼が有する耐食性に影響を与えないが、さらに、良好な熱間加工性を得るために0.002%以下に制限する。 【0017】Cr:10〜13%湿潤炭酸ガスを含む環境での耐食性向上に有効な元素であるが、10%未満ではその効果が得られない。含有量の増加に従い、耐食性は向上するが、強力なフェライト生成元素であり、マルテンサイト組織とするため高価なオーステナイト生成元素であるNiの増量が必要となるので、上限を13%とする。 【0018】Ni:5〜8%マルテンサイト組織を得るために必要な元素であるが、5%未満ではフェライト相が多くなり、靱性、耐食性を損なう。一方、8%を超えると高価な元素なため、経済性が低下するので、含有量範囲を5〜8%とする。 【0019】Mo:1.5〜3%耐食性に有効な元素であるが、1.5%未満ではその効果が充分でない。フェライト生成元素のため、3%を超えて添加すると相バランスを保つため、高価なNiの増量が必要となるため、上限を3%とする。 【0020】N:0.02%以下鋼中のCrと窒化物を形成し、強度を高める元素であるが、過剰に添加すると耐食性に有効なCr量を減少させる。また、溶接熱影響部硬さを上昇させ、溶接後熱処理が必要となるため上限を0.02%とする。 【0021】W:0.1〜3%、Cu:0.1〜3%いずれも強度、耐食性に有効な元素であり、添加する場合は0.1%未満では効果が充分でなく、3%を超えると熱間加工性が劣化するので0.1〜3%とする。 【0022】Ti:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜0.1%いずれも鋼中のCと炭化物を形成し、結晶粒を微細化する効果により、強度と靱性を向上させる元素であるが、添加する場合は0.01%未満では効果が充分でなく、0.1%を超えると効果が飽和するので0.01〜0.1%とする。 【0023】C+N:0.02〜0.04%C、Nの個々の元素は上述した限定範囲内で添加されるが、本発明ではさらにC+Nについて規定する。所定強度を得るために0.02%以上とし、溶接熱影響部の硬さを抑制するため0.04%以下とする。 【0024】本発明鋼は、所定の成分範囲であれば、転炉、電気炉またはそれらの合わせ湯等、いずれの方法で溶製しても良い。溶製後、連続鋳造機または鋳型でビレットとするか、鋼塊を熱間圧延でビレットとした後、熱間圧延で鋼管に加工し、熱処理にて目標の強度を得る。熱処理は加工後の冷却や焼準により変態マルテンサイト組織とした後、焼戻しにより強度の調整を行なうと良い。 【0025】 【実施例】表1に示す化学成分の鋼を転炉、電気炉の合わせ湯にて溶製後、連続鋳造機でビレットとした後、プラグミルにより熱間で40.64cm(16inch)外径の鋼管に加工する。その後、エキスパンドミルにより熱間で50.8cm(20inch)外径の鋼管に加工し、熱処理にて目標の強度を得る。熱処理は加工後の冷却により変態マルテンサイト組織とした後、焼戻しにより強度の調整を行なった。圧延後の表面性状を観察し、手入れの不要な場合を合格とした。さらに、これら鋼管の耐食性、溶接性の調査を実施した。湿潤硫化水素に対する耐食性を評価する試験としての耐応力腐食割れ試験(耐SSC試験)はNACE TM0177の試験方法に準拠した。耐力の90%の応力を負荷した試験片を常温にて、0.01atmの硫化水素を飽和させたpH=4.5の25%NaCl水溶液中に720時間漬け、破断しない場合を合格とした。溶接性試験は二相系ステンレス鋼の溶接棒を用いてManual TIGにて溶接した時の熱影響部の硬さを測定し、その硬さが、350Hv以下を合格とした。 【0026】表2に試験結果を示す。本発明鋼であるA、Bは、圧延後良好な表面性状を示し、手入れの必要がない。また、耐食性、溶接性の試験においても、本発明鋼は良好な成績を示し、合格であった。 【0027】 【表1】
【0028】 【表2】
【0029】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、湿潤炭酸ガスと湿潤硫化水素の両者を含む環境で優れた耐食性を示し、溶接性、熱間加工性に優れ、しかも大径鋼管で輸送効率が良く耐圧性能が良好なマルテンサイト系ステンレス鋼が得られ、石油、天然ガス用ラインパイプに使用でき、工業上著しい効果を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社 【識別番号】500201299 【氏名又は名称】ダルミネ・エス・ピー・エー
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| 【出願日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−316772(P2001−316772A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−130942(P2000−130942) |
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