| 【発明の名称】 |
耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小山 祐司
【氏名】阿部 雅之
【氏名】高橋 明彦
【氏名】諸星 隆
【氏名】木村 謙
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| 【要約】 |
【課題】耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%でCr:3〜30%を含有するCr含有薄鋼板において、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%でCr:3〜30%を含有するCr含有薄鋼板において、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項2】 質量%でCr:3〜30%、Ti:0.01〜0.5%、Al≦0.03%、Mg:0.0005〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼成分であり、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項3】 質量%でCr:3〜30%、Ti:0.01〜0.5%、Al>0.03%、Mg≧0.002%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼成分であり、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とするリジング特性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項4】 Mg含有酸化物がTiNを含有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でN≦0.08%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼成分であり、さらにTi×N≧0.0006を満足し、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有し、さらにこの酸化物がTiNを含有していることを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項6】 鋼中に請求項1ないし5のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でC≦0.02%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成であり、さらにTi≧6×(C+N)を満足することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項7】 鋼中に請求項1ないし6のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でMo≦2.0%、Ni≦2.0%、Cu≦2.0%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項8】 鋼中に請求項1ないし7のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でNb≦0.8%、V ≦0.5%、Zr≦0.5%、W ≦0.5%、Co≦0.5%、Sn≦0.5%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項9】 鋼中に請求項1ないし8のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でB≦0.005%を含有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【請求項10】 溶鋼過熱度≦50℃として鋳造を開始することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板を製造する方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼に代表されるCr含有薄鋼板をプレス成形すると、リジングと呼ばれるしわ状のうねりが生じる。リジングは成形品の美観を著しく損ない、これを除去するための研磨負荷が生じるため、Cr含有薄鋼板をプレス成形する際の最大の問題点である。 【0003】耐リジング性の向上には、凝固組織の微細化による結晶方位のランダム化が有効である。Cr含有鋼の凝固組織を微細化する方法として、特開平10−324956号公報に、溶鋼中に微細分散したMg系酸化物をフェライト凝固の接種核として活用する方法が開示されている。この技術はMg含有酸化物を凝固組織の等軸晶化に活用し、フェライト系ステンレス薄鋼板のリジング特性を向上するものであるが、Mg含有酸化物がCaを含む場合には凝固組織が等軸晶化しないという欠点があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、Mg含有酸化物がCaを含む場合においても凝固組織を等軸晶化し得る鋼組成、Mg含有酸化物組成および鋳造方法を規定することで、耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らはMgを添加したCr含有鋼中のMg含有酸化物の組成、大きさ、量と凝固組織との関係を詳細に調査した結果、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物が1mm2 当たり3個以上存在すれば凝固組織が等軸晶化し、Cr含有薄鋼板の耐リジング性が向上することを見出した。ここで最大径とはMg有酸化物の最も長い直径もしくは対角線長さである。 【0006】最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上生成させるには、■ 鋼中のAl量を0.03%以下とし、Mg量を0.0005〜0.005%とする、■ 鋼中のAl量が0.03%を超える場合は、Mg量を0.002%以上とする、ことが必要であることを明確にした。 【0007】Mg含有酸化物中のCaの割合が高まると、Mg含有酸化物の融点は低下する。Mg含有酸化物の融点がフェライトの凝固開始温度よりも低下すると、凝固組織の等軸晶化効果が得られない。Mg含有酸化物中のMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足する範囲では、Mg含有酸化物の融点はフェライトの凝固開始温度よりも高くなる。 【0008】また、MgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物の数は、溶鋼中に存在するMg量およびCa量により変化する。溶鋼中に存在するMg量はMg添加量で決まり、また溶鋼中に存在するCa量は溶鋼中のAl量の影響を受ける。鋼中のAl量を0.03%以下とし、さらにMg量を0.0005〜0.005%とすることで、最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上生成させることができる。 【0009】また、鋼中のAl量が0.03%を超える場合にはMg量を0.002%以上とすることで、最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg系酸化物を、1mm2 当たり3個以上生成させることができる。この酸化物が凝固組織の等軸晶化に作用し、その結果薄鋼板の耐リジング性が向上する。 【0010】本発明は上述のような新規知見に基づき完成したもので、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)質量%でCr:3〜30%を含有するCr含有薄鋼板において、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (2)質量%で Cr:3〜30%、 Ti:0.01〜0.5%、 Al≦0.03%、 Mg:0.0005〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼成分であり、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (3)質量%でCr:3〜30%、 Ti:0.01〜0.5%、Al>0.03%、 Mg≧0.002%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼成分であり、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有することを特徴とするリジング特性に優れるCr含有薄鋼板。 【0011】(4)Mg含有酸化物がTiNを含有していることを特徴とする前項(1)ないし(3)のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (5)前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でN≦0.08%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼成分であり、さらにTi×N≧0.0006を満足し、最大径が0.5〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物を、1mm2 当たり3個以上含有し、さらにこの酸化物がTiNを含有していることを特徴とする耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (6)鋼中に前項(1)ないし(5)のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でC≦0.02%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成であり、さらにTi≧6×(C+N)を満足することを特徴とする前項(1)ないし(5)のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 【0012】(7)鋼中に前項(1)ないし(6)のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%で Mo≦2.0%、 Ni≦2.0%、 Cu≦2.0%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前項(1)ないし(6)のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (8)鋼中に前項(1)ないし(7)のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でNb≦0.8%、 V ≦0.5%、Zr≦0.5%、 W ≦0.5%、Co≦0.5%、 Sn≦0.5%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前項(1)ないし(7)のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (9) 鋼中に前項(1)ないし(8)のいずれかに記載の成分のほかに、さらに質量%でB≦0.005%を含有することを特徴とする前項(1)ないし(8)のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板。 (10)溶鋼過熱度≦50℃として鋳造を開始することを特徴とする前項(1)ないし(9)のいずれかに記載の耐リジング性に優れるCr含有薄鋼板を製造する方法。 【0013】 【発明の実施の形態】始めに実験に基づき本発明を説明する。質量%で、Cr:16.5%、Ti:0.12%、N:0.009%、Mg:0.0020%を含有し、Al量を0.005%〜0.13%の範囲で変化させた鋼を真空溶解炉で溶製し、溶鋼過熱度が37〜47℃の範囲で鋳造し、得られた鋳片の断面組織観察により等軸晶率を測定した。この鋳片を熱間圧延、冷間圧延、さらに仕上焼鈍により1mm厚の製品板とし、製品板を圧延方向に平行な方向に16%引張った際のリジング高さを測定すると共に、製品板断面を成分分析装置付きの走査型電子顕微鏡で観察することでMg含有介在物の平均組成、大きさ、量を調査した。 【0014】鋳片の等軸晶率に及ぼす鋼中Al量の影響を調査した結果が図1、製品板のリジング高さに及ぼす鋼中Al量の影響を調査した結果が図2、製品板中の最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物(有効介在物)数を測定した結果が図3である。 【0015】鋼中Al量を低下させることで鋳片の等軸晶率が上昇し、Al≦0.03%の範囲では90%以上が等軸晶となった。製品板のリジング高さは鋳片の等軸晶率の上昇に応じて低下し、鋳片の等軸晶率が90%以上となるAl≦0.03%の範囲で製品板のリジング高さは合格レベルの20μm以下となった。製品板断面を観察すると、鋳片の等軸晶率が90%以上、製品板のリジング高さが20μm以下を達成する鋼中Al量≦0.03%の範囲では、有効介在物が3個/mm2 以上存在していた。 【0016】次に、Cr:16.5%、Ti:0.12%、N:0.009%、Al:0.06%を含有し、Mg量を0.0003%〜0.0079%の範囲で変化させた鋼を真空溶解炉で溶製し、溶鋼過熱度が36〜48℃の範囲で鋳造し、得られた鋳片の断面組織観察により等軸晶率を測定した。この鋳片を熱間圧延、冷間圧延、さらに仕上焼鈍により1mm厚の製品板とし、前述と同様な手法で製品板のリジング高さ、有効介在物数を測定した。鋳片の等軸晶率に及ぼす鋼中Mg量の影響を調査した結果が図4、製品板のリジング高さに及ぼす鋼中Mg量の影響を調査した結果が図5、製品板の有効介在物数を測定した結果が図6である。 【0017】鋼中Mg量を増加させることで鋳片の等軸晶率が上昇し、Mg≧0.002%の範囲では90%以上が等軸晶となった。製品板のリジング高さは鋳片の等軸晶率の上昇に応じて低下し、鋳片の等軸晶率が90%以上となるMg≧0.002%の範囲で製品板のリジング高さは合格レベルの20μm以下となった。製品板断面を観察すると、鋳片の等軸晶率が90%以上、製品板のリジング高さが20μm以下を達成する鋼中Mg量≧0.002%の範囲では有効介在物が3個/mm2 以上存在していた。 【0018】次に本発明の限定範囲について述べる。 Cr:3%以上30%以下とする必要がある。優れた耐食性、耐熱性を得るために3%以上の含有が必要である。しかしながら30%を超えて含有しても要求される性能は既に十分満足しており、単に合金コストの増大を招くのみである。 【0019】本発明では、Mg含有酸化物をフェライトの凝固核として活用することで凝固組織を等軸晶化し、Cr含有薄鋼板の耐リジング性を向上させる。フェライトの凝固核としてMg含有酸化物を活用するには、最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するものが1mm2当たり3個以上存在する必要がある。最大径が0.5μm未満および10μmを超えるMg含有酸化物は、フェライトの凝固核としての効果がない。MgとCaとの組成比がMg/Ca<0.5となるMg含有酸化物はフェライトの凝固開始温度よりも低融点となるため、フェライトの凝固核として作用しない。最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物でも、1mm2 当たり3個未満しか存在しない場合は、フェライトの凝固核としての効果が小さく、凝固組織を等軸晶化するには至らない。 【0020】Ti:0.01%以上0.5%以下とする必要がある。Tiは鋼中のCと結合することで溶接部のCr炭化物の析出に伴う粒界腐食を抑制する効果がある。この効果は0.01%以上添加しなければ発現しない。また0.5%を超えてTiを含有してもその効果は飽和しており、合金コストの増大を招くばかりであるため上限を0.5%とした。 【0021】Al、Mg:最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物(有効介在物)を、1mm2 当たり3個以上生成させるためには、Alが0.03%以下の場合にはMgを0.0005%以上0.005%以下とする必要があり、またAlが0.03%を超える場合にはMgを0.002%以上とする必要がある。Alが0.03%以下の場合において、Mgが0.0005%未満の場合には有効介在物数が3個未満となり、鋳片の等軸晶率が向上しない。またMgが0.005%を超えて含有しても、有効介在物数は増加するものの鋳片の等軸晶率向上に対する効果は飽和しており、耐食性が劣化する場合があることから、その上限を0.005とした。Alが0.03%を超える場合では鋼中Caが増加する傾向があり、その結果Mgが0.002%未満の場合には、MgとCaとの組成比がMg/Ca<0.5となるMg含有酸化物の割合が高まり、有効介在物数が3個未満となり鋳片の等軸晶率が向上しない。またMgが0.008%を超えて含有すると耐食性が極端に劣化する場合があることから、Mgの上限を0.008%とすることが望ましい。 【0022】有効介在物がTiNを含有すると凝固組織の等軸晶化効果をさらに高め、より優れた耐リジング性を得ることができる。有効介在物がTiNを含有するためには、0.08%以下の範囲でNを含有させ、さらにTi×N≧0.0006の範囲にすることが有効である。溶鋼中のMg含有酸化物はTiNの晶出核として作用し、Ti×N≧0.0006の範囲で溶鋼中のMg含有酸化物がTiNを含有する。Mg含有酸化物がTiNを含有すると、フェライトの凝固核としての効果が向上し凝固組織の等軸晶化が促進される。Ti×N<0.0006の範囲では溶鋼中でTiNが晶出しないため、凝固組織の等軸晶化が促進されない。またNを0.08%を超えて多量に含有すると加工性が低下するため、上限を0.08%とした。 【0023】優れた加工性が必要な用途にはCを0.02%以下に限定し、さらにTi添加量を6×(C+N)以上とすることが有効である。TiはCやNとTiC、TiNの形で結合することで鋼中の固溶C、N量を低減し、加工性を高めることができる。Ti添加量が6×(C+N)未満の場合にはこの効果が得られない。またCが0.02%を超える場合には、全てのCをTiCの形で結合させることが困難であり、加工性が向上しない。 【0024】Mo、Ni、Cu:特に高耐食性が必要な用途にはそれぞれ2.0%以下の範囲でこれらの元素の1種または2種以上を添加することが有効である。それぞれ2.0%を超えて含有してもその効果は飽和し、合金コストの増大を招くため上限をそれぞれ2.0%とした。 【0025】Nb、V、Zr、W、Co、Sn:特に溶接部の高耐食性が必要な用途にはNb:0.8%以下、V:0.5%以下、Zr:0.5%以下、W:0.5%以下、Co:0.5%以下、Sn:0.5%以下の範囲でこれらの元素の1種または2種以上を添加することが有効である。これらの元素はC、Nと容易に結合し、溶接熱影響部のCr炭窒化物の析出を抑制して耐食性を向上させる。Nb:0.8%、V:0.5%、Zr:0.5%、W:0.5%、Co:0.5%、Sn:0.5%を超えて含有してもその効果は飽和し、合金コストの増大、延性の低下を招くため、上限をNb:0.8%、V:0.5%、Zr:0.5%、W:0.5%、Co:0.5%、Sn:0.5%とした。 【0026】B:特に高い2次加工性が必要な用途の場合には、0.005%以下の範囲で添加することが有効である。Bは製品を加工した際に生じた鋼中の欠陥を修復し、2次加工性を高める効果がある。しかしながらB含有量が0.005%を超えると鋼の熱間加工性を低下させ、熱間圧延中で割れや疵を生じることから、その上限を0.005%とした。 【0027】Si、Mn:本発明では特に限定しないが、自動車の排気系など高温酸化雰囲気で使用する場合には必要に応じて添加しても、耐リジング性に対する効果に何ら影響を与えない。 【0028】S:本発明では特に限定しないが、優れた耐食性を要する用途では上限を0.01%に制限することが有効である。 【0029】より優れた耐リジング性を得るためには、溶鋼過熱度≦50℃として鋳造を開始することが有効である。溶鋼過熱度を50℃以下とすることで、Mg含有酸化物による等軸晶化効果が促進されると共に、等軸晶粒径が小さくなる効果がある。その結果製品板の耐リジング性がより向上する。 【0030】 【実施例】表1に示す化学成分を有する24種のCr含有鋼A〜Xを溶製し、表1中の溶鋼過熱度条件で連続鋳造により250mm厚の鋳片とした。これらの鋳片を熱間圧延、冷間圧延、さらに仕上焼鈍し、1mm厚の製品板とした。得られた製品板の断面を成分分析が可能な走査型電子顕微鏡で観察し、最大径が0.5〜10μmでかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物の数を計測した。またこの薄鋼板に16%の引張り歪を付与した際のリジング高さも測定した。これらの測定結果についても表1に示した。 【0031】 【表1】
【0032】Alが0.03%以下でかつMgを0.0005%以上添加している鋼A〜Jについては、最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物が3個/mm2 以上存在し、リジング高さは全て合格レベルの20μm以下となった。さらにTi×N≧0.0006の場合や、連続鋳造時の溶鋼過熱度が50℃以下の場合には、リジング高さがより低くなった。 【0033】またAlが0.03%を超える場合でも、Mgを0.002%以上添加している鋼K〜Sについては、最大径が0.5μm〜10μmの範囲でかつMgとCaとの組成比がMg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物が3個/mm2 以上存在し、リジング高さは全て合格レベルの20μm以下となった。さらにこの場合も、Ti×N≧0.0006の場合や、連続鋳造時の溶鋼過熱度が50℃以下の場合には、リジング高さがより低くなった。 【0034】一方、Al量が0.03%以下でも、Mg量が0.0005%未満の鋼Tや、Al量が0.03%を超えてかつMgが0.02%未満の鋼U〜Xについては、最大径が0.5μm〜10μmの範囲で、Mg/Ca≧0.5を満足するMg含有酸化物が3個/mm2 未満となり、耐リジング性は向上しない。 【0035】 【発明の効果】本発明により、耐リジング性に優れたCr含有薄鋼板およびその製造方法を提供することが可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062421 【弁理士】 【氏名又は名称】田村 弘明 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−288542(P2001−288542A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月19日(2001.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−102581(P2000−102581) |
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