| 【発明の名称】 |
ラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮田 由紀夫
【氏名】木村 光男
【氏名】豊岡 高明
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】C:0.03〜0.06%、Si:0.05〜0.15%、Mn:1.6 〜2.0 %、Al:0.010 〜0.10%、Ni:0.3 〜0.7 %、Mo:0.10〜0.40%、V:0.06%以下、Nb:0.03%以下、Ti:0.003 〜0.020 %、N:0.0010〜0.0100%を含有し、かつ、Mo+5V≧0.4 %、2Nb−V≦0%、なる関係を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなるラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、C:0.03〜0.06%、Si:0.05〜0.15%、Mn:1.6〜2.0 %、Al:0.010 〜0.10%、Ni:0.3 〜0.7 %、Mo:0.10〜0.40%、V:0.06%以下、Nb:0.03%以下、Ti:0.003 〜0.020 %、N:0.0010〜0.0100%を含有し、かつ、Mo+5V≧0.4 %、2Nb−V≦0%、なる関係を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなるラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管。 【請求項2】 X80級の強度、破面遷移温度−60℃以下の低温靱性、および、600 ℃×30分の焼戻しと650 ℃×30分の焼戻しでの降伏強さの差が30〜70MPaになる焼戻し軟化抵抗性を有することを特徴とする請求項1記載継目無鋼管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管に関し、とくに、API−5LのX80級のラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管に関する。 【0002】 【従来の技術】原油や天然ガスを輸送するためのパイプラインやライザー用として、要求特性に応じ種々の鋼管が開発され、実用化されている。その中で、X80級の強度(降伏強さYS:551 MPa 以上、引張り強さTS: 620〜 827MPa )を有する継目無鋼管も開発されているが、現状、靱性レベルは溶接部も含めると破面遷移温度がせいぜい-60 ℃である。 【0003】しかしながら、近年の油井環境の過酷化、開発費の節約の観点から、材料にはさらなる高強度高靱性が要求されるようになっている。また、X80級の強度を有する継目無鋼管は、通常、次の熱処理方法により強度調整される。 ■継目無鋼管製造後一旦冷却し、再加熱して焼入れ、その後焼き戻すいわゆる再加熱焼入れ−焼戻し(RQ−T) ■継目無鋼管製造後直ちに焼入れ、その後焼き戻すいわゆる直接焼入れ−焼戻し(DQ−T) 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同じ組成の鋼でも、サイズによって冷却速度が異なるので、焼入れ後の強度は異なり、そのため、焼戻し条件を変更して対応することになる。したがって、適度な焼戻し軟化抵抗性を確保することが課題となっていた。そこで、本発明は、X80級の高強度と破面遷移温度−60℃以下の低温靱性を有し、しかも適度な焼戻し軟化抵抗性を有するラインパイプ用の継目無鋼管を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意考究・実験を重ね、以下に挙げる重要な知見を得た。高強度を確保するには、C量を高めることが有効であるが、一方で低温靱性を著しく劣化させてしまう。また、溶接性の確保のためには、C量は低いほど好ましい。 【0006】C量を低く抑えたうえで、高強度を確保するには、Mn、Ni、Moなどの合金元素の添加が有効である。なお、低C鋼の焼入れ性改善にはBの微量添加が有効であることが知られているが、Bには溶接部の靱性に悪影響を与えるという負の作用があり、しかも、その影響はNやTiなどの析出物生成元素の含有量に大きく左右されるため、Bの微量添加によるのでは靱性の安定確保が困難である。 【0007】低温靱性を確保したうえで、X80級の強度を得るための焼入れ性を確保するには、Mo量とV量とを図1に示す適正範囲に制御する必要がある。さらに、焼戻し条件の変更による強度調整を容易ならしめるため、焼戻し軟化抵抗性を適正化する必要があり、そのためには、Nb量とV量とを図2に示す適正範囲に制御する必要がある。 【0008】本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、その要旨とするところは、質量%で、C:0.03〜0.06%、Si:0.05〜0.15%、Mn:1.6 〜2.0 %、Al:0.010 〜0.10%、Ni:0.3 〜0.7 %、Mo:0.10〜0.40%、V:0.06%以下、Nb:0.03%以下、Ti:0.003 〜0.020 %、N:0.0010〜0.0100%を含有し、かつ、Mo+5V≧0.4 %、2Nb−V≦0%、なる関係を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなるラインパイプ用高強度高靱性継目無鋼管にある。 【0009】この継目無鋼管は、X80級の強度、破面遷移温度−60℃以下の低温靱性、および、600 ℃×30分の焼戻しと650 ℃×30分の焼戻しでの降伏強さの差が30〜70MPa になる焼戻し軟化抵抗性を有することが特徴的である。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明において鋼の組成(化学成分)を上記のように限定した理由を以下に述べる。なお、化学成分含有量(濃度)を表す%は質量%を意味する。 C:0.03〜0.06%Cは、鋼の強度に関係する重要な元素であり、焼入れ性を高めてX80級の強度を確保するために0.03%以上を必要とするが、一方、0.06%を超えると溶接割れ感受性を高めるため、0.03〜0.06%とする。 【0011】Si:0.05〜0.15%Siは、製鋼における脱酸剤として、また高強度化のために必要であり、0.05%未満ではその効果に乏しく、一方、0.15%を超えると母材、HAZの靱性劣化や溶接性の低下を招来するため、0.05〜0.15%とする。 Mn:1.6 〜2.0 %Mnは、焼入れ性を高めて高強度化するために必要であり、また母材およびHAZの靱性を向上させる働きもあるが、1.6 %未満ではこれらの諸効果を得難く、一方、2.0 %を超えて添加しても効果は飽和するため、1.6 〜2.0 %とする。 【0012】Al:0.010 〜0.10%Alは、製鋼における脱酸剤として作用するとともに、Nと結合してAlN を形成し結晶粒を微細化し靱性を向上させる効果を有している。この効果を得るために0.010 %以上の添加を必要とするが、0.070 %を超えるとAl2O3 系介在物が増加し靭性を劣化させるとともに、表面欠陥が多発する懸念がある。そのため、Alは0.010 〜0.10%とする。なお、安定した表面品質を確保する観点からは0.010 〜0.050 %が好ましい。 【0013】Ni:0.3 〜0.7 %Niは、母材およびHAZの靱性を向上させる働きがある。この効果は0.3 %以上の添加で顕現する。しかし、0.7 %を超えて添加しても靱性、耐食性の向上効果が飽和し、徒にコスト高を招く結果となって不利である。このためNi量は0.3〜0.7 %とする。 【0014】Mo:0.10〜0.40%Moは、焼入れ性向上および固溶強化のために必須に添加され、その効果を得るには0.10%以上を必要とするが、0.40%を超える添加は特に溶接部の靱性の劣化を招くため、0.10〜0.40%とする。 V:0.06%以下Vは、炭窒化物として基地中に析出させて焼戻し軟化抵抗を適正化に資するために必須に添加されるが、0.06%を超えると特に溶接部の靱性を劣化させるため、0.06%以下に限定する。 【0015】Nb:0.03%以下Nbは、炭窒化物として基地中に析出させて焼戻し軟化抵抗の適正化に資するために必須に添加されるが、0.03%を超えて添加すると焼戻し軟化抵抗が過大となるため0.03%以下に限定する。 Ti:0.003 〜0.020 %Tiは、炭化物を形成し結晶粒を微細化し靱性を向上させるとともに、基地中に析出して強度を増加させて高強度化に寄与する。その効果は0.003 %以上の添加で発現するが、一方、0.020 %を超えて添加すると、焼入れ性の確保が難しくなるとともに靭性も劣化する。このため、Tiは0.003 〜0.020 %とする。なお、より好ましくは0.010 〜0.018 %である。 【0016】N:0.0010〜0.0100%Nは、AlN の形成やV、Nbの炭窒化物形成のために0.0010%以上の含有を必要とするが、0.0100%を超える含有はHAZの靱性を劣化させるので、0.0010〜0.0100%とする。なお、より好ましくは0.0030〜0.0080%である。 Mo+5V≧0.4 %個々の成分元素がそれぞれ上記の限定範囲内にあっても、Mo量とV量の5倍の和が0.4 %未満であると、焼入れ性が不足してX80級の強度を確保するのが難しくなる。よって、Mo量とV量とは、Mo+5V≧0.4 %なる関係を満たす必要がある。(図1参照) 2Nb−V≦0%個々の成分元素がそれぞれ上記の限定範囲内にあっても、Nb量の2倍とV量の差が0%を超えると焼戻し軟化抵抗が過大となり、サイズによらず焼戻し条件を変更するだけで強度調整を行うことが困難となる。そのため、Nb量とV量とは、2Nb−V≦0%なる関係を満たす必要がある。(図2参照) その他不可避的不純物としてP、S、Oを含有するが、母材靱性確保の面からできるだけ低減するのが望ましい。なお、P、S、Oはそれぞれ0.03%、0.01%、0.01%までは許容できる。 【0017】次に、本発明鋼管の好ましい製造プロセスについて説明する。上記組成になる鋼を転炉あるいは電気炉で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊法により凝固させ鋳片を得る。その過程で溶鋼の取鍋精錬、真空脱ガス等は必要に応じて実施する。得られた鋳片をそのまま、あるいはさらに熱間圧延して鋼管素材とする。 【0018】前記鋼管素材をAc3 点以上に加熱し、プラグミル方式、マンドレルミル方式等の熱間管圧延により継目無鋼管とし、あるいはさらにサイザ、ストレッチレデューサにより熱間のまま所望の寸法に造管する。造管後は、所望の強度−靱性バランスを得るために焼入れ−焼戻し(Q−T)からなる熱処理を行う。焼入れ(Q)は、造管後の熱間状態から直ちにMs点以下(200 ℃程度以下)まで冷却する直接焼入れ(DQ)、造管後常温付近まで放冷しその後γ域に再加熱したうえでMs点以下まで冷却する再加熱焼入れ(RQ)のいずれで行ってもよい。Q−T後にX80級の強度を得るには、γ域の温度から、好ましくは20℃/s以上の冷却速度で、焼入れた後、Ac1 点未満(好ましくは550℃以上)の範囲内に適宜設定した温度で焼き戻せばよい。焼戻し温度での保持時間は適宜決定すればよく、通常は10〜 120min 程度に設定される。 【0019】 【実施例】表1に示す組成になる鋼を転炉で溶製し、真空脱ガス処理を行い、連続鋳造法により凝固させて得た鋳片をビレット圧延して鋼管素材とした。これら鋼管素材をマンネスマン−プラグミル方式の管製造設備により外径219mm ×肉厚11.1mmの継目無鋼管となし、該鋼管を表2に示す条件で熱処理した。この熱処理は次のようにして行った。 ■焼入れ・造管後、オーステナイト温度域から直接水焼入れ(DQ)、あるいは、・一旦室温まで冷却してから再加熱(950 ℃×15分)し、900 ℃から水焼入れ(RQ) ■焼戻し・600 ℃×30分、および、650 ℃×30分、あるいは、・620 ℃×30分焼入れ後の硬さ、焼戻し後の引張特性(強度:YS,TS、伸び:El )、シャルピー試験における50%破面遷移温度(50%FATT )を調査した。また、市販のX80級溶接材料を用いてTIG溶接(電圧15V 、電流200A、溶接速度10kJ/min、入熱18kJ/cm )にて鋼管継手を作製しHAZ(ボンドから1mm )の50%FATT を調査した。それらの結果を表2に示す。 【0020】 【表1】
【0021】 【表2】
【0022】表2より、本発明範囲内のもの(本発明例)では、X80級の強度、優れた低温靱性、および、適度な焼戻し軟化抵抗性を呈したのに対し、本発明範囲外のもの(比較例)では、強度、低温靱性、焼戻し軟化抵抗性の少なくともいずれかが不十分もしくは過度であった。 【0023】 【発明の効果】本発明の継目無鋼管は、X80級の強度と優れた低温靱性を有し、かつ適度な焼戻し軟化抵抗性を有するので、サイズによらず目標強度を容易に達成でき、複数サイズの成分統合が可能となってラインパイプ用鋼管のコストダウンが図れるという優れた効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月25日(2000.4.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099531 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 英一
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| 【公開番号】 |
特開2001−288532(P2001−288532A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月19日(2001.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−123596(P2000−123596) |
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