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【発明の名称】 金属−セラミックス複合材料の製造方法
【発明者】 【氏名】小田野 直水

【氏名】樋口 毅

【氏名】下嶋 浩正

【要約】 【課題】大型品、あるいは複雑形状品を簡易に作製することのできる金属−セラミックス複合材料の製造方法を提供すること。

【解決手段】強化材であるセラミックス粉末でプリフォームを形成し、そのプリフォームに溶融した金属を浸透させて金属−セラミックス複合材料からなる複数のユニットを作製し、そのユニット同士を接合すべく接合する接合面を研削加工し、その接合面間にMgを含む金属粉末、またはセラミックス粉末を挟み、それを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度で熱処理してユニット同士を接合することにより大型品等の複合材料を作製することとした金属−セラミックス複合材料の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 強化材であるセラミックス粉末でプリフォームを形成し、そのプリフォームに溶融した金属を浸透させて金属−セラミックス複合材料からなる複数のユニットを作製し、そのユニット同士を接合すべく接合する接合面を研削加工し、その接合面間にMgを含む金属粉末、またはセラミックス粉末を挟み、それを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度で熱処理してユニット同士を接合することにより大型品等の複合材料を作製することを特徴とする金属−セラミックス複合材料の製造方法。
【請求項2】 前記接合面間に挟むMgを含む金属粉末が、その金属粉末にセラミックス粉末を混合した粉末であることを特徴とする請求項1記載の金属−セラミックス複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属−セラミックス複合材料の製造方法に関し、特に大型品等の金属-セラミックス複合材料を作製する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、金属の高靭性、高熱伝導性とセラミックスの高剛性、低熱膨張性を兼ね備えた材料として金属−セラミックス複合材料が注目されている。この材料の製造方法としては、粉末冶金法、高圧鋳造法、真空鋳造法などが従来から知られているが、強化材であるセラミックス粉末の含有量が制御できない、あるいは大型の加圧装置が必要である、ニアネット成形が困難であるなどの理由により、いずれも満足できず、またコストもかかるものであった。これら問題を解決した金属−セラミックス複合材料の製造方法として注目されているのが、米国ランクサイド社が開発した非加圧金属浸透法(PrimexTM)がある。
【0003】この製造方法は、SiCやAl23などのセラミックス粉末で形成されたプリフォームにアルミニウム合金を接触させ、これをN2雰囲気炉中で700〜900℃の温度に加熱して溶融したアルミニウム合金を浸透させる方法であるが、これは、化学反応を利用してセラミックス粉末と溶融金属との濡れ性を改善し、機械的な加圧を行わなくてもプリフォーム中に浸透できるという特徴がある。本発明によれば、プリフォームの形状の自由度が高いので、かなり複雑な形状をニアネットで作ることも可能であり、かつ高価な加圧装置も不要であるので、設備費が少なくて済み、かつニアネットシェイプに成形して加工部分を減らせるので、コスト的にも有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この製造方法では、大型の複合材料を作製できないという問題があった。また、ニアネットシェイプに成形できるとはいうものの、複雑形状品(例えば、両面に凹凸があるもの、あるいは中空品など)を作製することも難しいという問題があった。
【0005】本発明は、上述した金属−セラミックス複合材料の製造方法が有する課題に鑑みなされたものであって、その目的は、大型品、あるいは複雑形状品を簡易に作製することのできる金属−セラミックス複合材料の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、ユニットに分割した複合材料を作製し、そのユニット同士を接合すれば、大型品、あるいは複雑形状品の複合材料を簡易に作製できるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(1)強化材であるセラミックス粉末でプリフォームを形成し、そのプリフォームに溶融した金属を浸透させて金属−セラミックス複合材料からなる複数のユニットを作製し、そのユニット同士を接合すべく接合する接合面を研削加工し、その接合面間にMgを含む金属粉末、またはセラミックス粉末を挟み、それを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度で熱処理してユニット同士を接合することにより大型品等の複合材料を作製することを特徴とする金属−セラミックス複合材料の製造方法(請求項1)とし、また、(2)前記接合面間に挟むMgを含む金属粉末が、その金属粉末にセラミックス粉末を混合した粉末であることを特徴とする請求項1記載の金属−セラミックス複合材料の製造方法(請求項2)とすることを要旨とする。以下さらに詳細に説明する。
【0008】上記で述べたように、金属−セラミックス複合材料の製造方法としては、強化材であるセラミックス粉末でプリフォームを形成し、そのプリフォームに溶融した金属を浸透させて金属−セラミックス複合材料からなる複数のユニットを作製し、そのユニット同士を接合すべく接合する接合面を研削加工し、その接合面間にMgを含む金属粉末またはセラミックス粉末を挟み、それを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度で熱処理してユニット同士を接合することにより大型品等の複合材料を作製することとする金属−セラミックス複合材料の製造方法とした(請求項1)。
【0009】ユニット同士を接合することとしたのは、非加圧浸透法で得られるのは小型品であるため、その小型品をユニットとしてそのユニット同士を接合すれば大型品となるからである。また、複雑形状品であれば、複雑部分をいくつかのユニットに分割して簡単化し、その分割したユニットを接合すれば相当複雑な複合材料でも作製可能となるからである。
【0010】そのユニットの接合方法としては、作製したユニットの接合面を研削加工し、その接合面間にMgを含む金属粉末、またはセラミックス粉末を挟み、それを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度で熱処理することでユニット同士を接合することとした。接合面を研削加工するのは、ユニットの表面に露出しているアルミニウム合金が酸化されているため、それを除去すると共に、接合面が擦りあわせ状態になって確実に接合できるようになるからである。
【0011】そして、その接合面間にMgを含む金属粉末を挟むのは、それを加熱処理するとユニット中のアルミニウム合金が溶融するが、その溶融されたアルミニウム合金の染み出しがMgの存在で促進されるようになり、その結果、その染み出したアルミニウム合金によってユニット同士が接合できるようになるからである。一方、セラミックス粉末を挟むのは、染み出したアルミニウム合金が挟んだセラミックス粉末に浸透することにより、ユニット同士が接合できるようになるからである。なお、セラミックス粉末の種類は、接合する温度で融解したり、反応したりしなければ何でも構わない。
【0012】そのMgを含む金属粉末としては、Mgを10%以上含む金属粉末であればよく、Mgが100%であっても構わない。Mg以外の他成分は、Al、Zn、Cu、Ni、Ti、Sn、Siなどが共存しても構わない。
【0013】このMgを含む金属粉末にセラミックス粉末を混合した粉末にすると、前記金属粉末のみの作用効果とセラミックス粉末のみの作用効果とが相乗してユニット同士がより強く接合し、曲げ強度が向上する(請求項2)。混合するセラミックス粉末の割合は、5〜95重量%程度でよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の複合材料の製造方法をさらに詳しく述べると、先ずセラミックス粉末を用意する。このセラミックス粉末に浸透促進剤としてMg粉末を添加してもよい。
【0015】そのセラミックス粉末を用いてプリフォームを形成する。その方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、セラミックス粉末にバインダーを添加し、プレスにより成形する方法、セラミックス粉末にセラミックス粉末と反応を起こさない有機溶媒、無機バインダーを添加してスラリーとし、これを湿式フィルターなどにより成形する方法、あるいはセラミックス粉末を水などに分散させてスラリーとし、これをゴム型に注入し、セラミックス粉末を沈降させて成形するいわゆるセディメント法などがある。
【0016】得られたプリフォームに窒素雰囲気中で700〜1000℃の温度で溶融したアルミニウム合金を非加圧浸透法で浸透させて所定のユニットを作製する。得られた複数のユニットを接合するため、そのユニットの接合面を研削加工する。その接合面間にMgを含む金属粉末を、あるいはこの金属粉末にセラミックス粉末を混合した粉末を、もしくはセラミックス粉末を挟む。それを窒素雰囲気中で600〜900℃の温度で熱処理することにより、ユニット同士が接合された複合材料が作製される。熱処理温度は、ユニットが変形する温度以上にしてはならない。
【0017】以上の方法で金属−セラミックス複合材料を作製すれば、ユニット同士が接合された大型の、あるいは複雑形状の金属−セラミックス複合材料を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下本発明の実施例を比較例と共に具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0019】(実施例1〜6)
(1)金属−セラミックス複合材料の作製図1に示す複合材料からなるユニットを慣用の方法で作製した。このユニットの接合面(図1の斜線部分)を研削機で研削し、それらを図2に示す通り組み立て、その接合面間に表1に示す粉末を挟んだ。それを窒素雰囲気中で750℃の温度で加熱処理してユニット同士を接合した複合材料を作製した。
【0020】(2)評価得られた複合材料から接合面を含む4×3×40mmのJIS試験片を切り出し、その試験片の曲げ強度をJIS R 1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に従って測定した。その結果を表1に示す。
【0021】(比較例1、2)比較のために、比較例1では、接合面に所定の粉末を挟まないで接合した他は実施例1と同様に複合材料を作製し、評価した。また、比較例2では、接合面を研削加工しないで接合した他は実施例1と同様に複合材料を作製し、評価した。それらの結果も表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】表1から明らかなように、実施例全てが90MPa以上の曲げ強度を有していた。このことは、複合材料からなるユニット同士が接合された大型の、あるいは複雑形状の金属−セラミックス複合材料を得ることができることを示している。
【0024】これに対して、比較例1では、接合面間に所定の粉末を介在させていないため、曲げ強度は実施例より大幅に低くなっていた。また、比較例2では、接合面を研削加工していないため、曲げ強度はほとんど発現しなかった。
【0025】
【発明の効果】以上の通り、本発明の金属−セラミックス複合材料の製造方法であれば、複合材料からなるユニットを接合することにより、大型品、あるいは複雑形状品の複合材料を簡易にまた安価に作製することができるようになった。このことにより、この複合材料の用途が大きく広がった。
【出願人】 【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
【識別番号】596134840
【氏名又は名称】セランクス株式会社
【出願日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−288516(P2001−288516A)
【公開日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【出願番号】 特願2000−101142(P2000−101142)