| 【発明の名称】 |
酸性抽出剤からのチタンの逆抽出法 |
| 【発明者】 |
【氏名】内海 美鈴
【氏名】小野 浩昭
【氏名】水谷 肇
【氏名】牧山 行夫
【氏名】徳田 信幸
【氏名】古家 昌之
【氏名】菊岡 泰平
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| 【要約】 |
【課題】チタン含有抽出剤からチタンを逆抽出して分離回収することのできる方法を提供する。
【解決手段】チタンを含有する酸性抽出剤からチタンを逆抽出する方法であって、過酸化水素を添加したシュウ酸を用いてチタン含有酸性抽出剤からチタンを逆抽出する。シュウ酸濃度は0.05〜1mol/lであるのが好ましく、0.5〜0.9mol/lであるのがより好ましい。また、過酸化水素とチタンのモル比は、1:1〜50:1の範囲が好ましく、5:1〜20:1の範囲がより好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チタンを含有する酸性抽出剤からチタンを逆抽出する方法であって、過酸化水素を添加したシュウ酸を用いてチタン含有酸性抽出剤からチタンを逆抽出することを特徴とする酸性抽出剤からのチタンの逆抽出法。 【請求項2】 シュウ酸濃度が0.05〜1mol/lである請求項1に記載の酸性抽出剤からのチタンの逆抽出法。 【請求項3】 過酸化水素とチタンのモル比が1:1〜50:1である請求項1又は2に記載の酸性抽出剤からのチタンの逆抽出法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、オリマルジョン燃焼灰等の石油系燃焼灰からチタンを回収する場合等に採用することができるチタンの逆抽出法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】南米ベネズエラのオリノコ川流域に多量に埋蔵するオリノコタールが最近新規な燃料として注目されている。このオリノコタールは、水エマルジョン(オリマルジョンと呼ばれる)として直接燃料に用いることが行われている。 【0003】上記オリマルジョンには、バナジウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、チタン等の有価金属が含まれているので、その燃焼灰からこれら有価金属を回収する試みがなされている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記オリマルジョン灰から有価金属を回収する方法として、例えば特開平8−325647号公報には、オリマルジョン灰を酸或いは水に溶解した廃液に錯イオン形成剤を含む有機溶剤を加えて、有機相と水に分離し、その各相からバナジウム、ニッケル、マグネシウム等の有用金属を連続式に回収する方法が記載されている。また、特開平11−207292号公報には、オリマルジョン等の燃焼灰からバナジウムを回収する方法として、燃焼灰を水性スラリーとして酸性下でバナジウムを酸化させ、しかる後アンモニアを加えてバナジウム化合物を沈殿させ、当該バナジウムを固形分離して回収する方法が記載されている。 【0005】しかしながら、オリマルジョン灰に含まれるチタンを回収する方法として実用的な方法はいまだ開発されていない。それは、オリマルジョン灰を水又は酸で浸出した浸出液を酸性抽出剤を用いる溶媒抽出法によりチタンを含有する有機相に分離しても、該酸性抽出剤からチタンを分離するのが困難であるからである。そこで、本発明は、上記チタン含有抽出剤からチタンを逆抽出して分離回収する方法を提供することを課題としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明はつぎのような逆抽出方法を提供する。すなわち、本発明にかかる酸性抽出剤からのチタンの逆抽出法は、チタンを含有する酸性抽出剤からチタンを逆抽出する方法であって、過酸化水素を添加したシュウ酸を用いてチタン含有酸性抽出剤からチタンを逆抽出することを特徴としている。 【0007】この場合のシュウ酸濃度は0.05〜1mol/lであるのが好ましく、0.5〜0.9mol/lであるのがより好ましい。シュウ酸の濃度が上記範囲よりも低いと逆抽出率が低くなり、高すぎると常温でシュウ酸が析出する恐れがあるのでいずれも好ましくない。また、過酸化水素とチタンのモル比は、1:1〜50:1の範囲が好ましく、5:1〜20:1の範囲がより好ましい。過酸化水素とチタンのモル比が低くすぎると逆抽出率が低くなり、上記範囲よりも高くても逆抽出率は向上しないので、過酸化水素のロスが多くなり不経済である。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、オリマルジョンを燃焼した後に残る燃焼灰すなわちオリマルジョン灰からチタンを回収する場合の逆抽出法を例にとって本発明を詳細に説明する。図1は上記オリマルジョン灰から有価金属を回収する処理方法を表すフローシートであり、原料であるオリマルジョン灰は、まず水或いは酸を用いて浸出する。この浸出により、バナジウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、チタン等が浸出した硫安溶液が得られる。この場合、ニッケル、マグネシウムの浸出を抑制するためには、スラリー濃度を30%以上とするのが好ましい。スラリー濃度が30%以上になると、ニッケル、マグネシウムはアンモニウム複塩を形成して沈殿するものと考えられる。 【0009】浸出はバナジウムの沈殿を防ぐためpH3以下で行うのが好ましい。オリマルジョン灰は多量の硫酸アンモニウムを含むため、純水のみの溶解でpH1〜3程度になる。この浸出時又は浸出後に還元剤を添加し、ORP(酸化還元電位)値や色などを見ながらバナジウムを4価(VO2+)に調整すればよい。この浸出液は硫安、バナジウム、マグネシウム、ニッケル、鉄、チタン等を含んでいる。 【0010】つぎに、抽出剤と希釈液を混合した有機相と浸出液である水相とを抽出装置に供給して抽出を行う。この抽出は、例えばミキサーとセトラーとを組み合わせた多段抽出装置を用いて行う。水相と有機相を接触させると、ニッケル、マグネシウムは水相、バナジウム、鉄、チタンは有機相に移る。浸出液中のバナジウムは、陽イオンとして存在するので、抽出剤としては中性あるいは酸性抽出剤を用いることになるが、種々実験した結果、4価バナジウムの抽出及びバナジウムとニッケル、マグネシウムの分離には、酸性リン系抽出剤を使用するのが適していることがわかった。実際の使用に際しては、この酸性リン系抽出剤を芳香族炭化水素系又は脂肪族炭化水素系の希釈剤で希釈して使用する。 【0011】上記抽出によって、硫安、マグネシウム、ニッケルを含有する水相と、バナジウム、鉄、チタンを含有する有機相とに分離するので、この有機相に逆抽出液を接触させてバナジウムを回収する。逆抽出液としては、例えば硫酸水溶液を使用する。この逆抽出を行うと、バナジウムは水相に移動するので、この水相から4価のバナジウムを含む水溶液すなわち4価の硫酸バナジウム溶液が得られる。 【0012】一方、鉄、チタンを含む上記有機相は、洗浄再生工程で再生処理する。この処理は、有機相中の鉄、チタンを逆抽出して回収するが、有機相中に含まれる鉄、チタンの量は微量であるから、そのまま逆抽出処理を行うよりも、鉄、チタンを濃縮し、この濃縮された有機相の一部ずつを再生するのが効率的である。このための洗浄再生液としては、硫酸、塩酸、シュウ酸等またはこれらに逆抽出助剤を添加したものを用いることが考えられるが、実験の結果では以下に示す通り、過酸化水素を添加したシュウ酸がもっとも効果的であった。 【0013】表1は数種の逆抽出液と、助剤としての酸化還元剤の組み合わせの効果を調べたもので、使用したチタン含有酸性抽出剤(oil)の種類は後述のPC−88Aの50%IP−solvent(出光石油化学株式会社製希釈剤)、濃度は鉄(Fe)が870mg/l、チタン(Ti)が740mg/lである。表1における逆抽出条件は、O/A=1,浸透時間20min後の水相濃度逆抽出率を表す。同表から、酸化還元剤として過酸化水素を用いるのが効率的であることが分かる。 【0014】 【表1】
【0015】チタンは過酸化水素と反応させると過酸化チタン[Ti(OOH)(OH)3]を形成することが知られている。これが酸と安定な錯イオンを作るのではないかと思われる。シュウ酸の場合、この錯イオンとしては、[Ti(OH)2 (C2 O4 )2 ]+2或いは「Ti(O2 )(C2 O4 )2 」2-のようなイオンが形成されると思われる。上記実験結果から、本発明では酸性抽出剤からのチタンの逆抽出に過酸化水素を添加したシュウ酸を用いるのである。 【0016】一方、逆抽出剤としてシュウ酸を用いる場合に、シュウ酸、過酸化水素の添加量と抽出量との関係を調べた結果は表2、表3、表4の通りであった。チタン濃度(Ti/oil)は、表3では13g/l、表4では2g/l、表5では0.74g/lであった。なお、表中のAは水相を、Oは油相(抽出剤)をそれぞれ表している。 【0017】 【表2】
【0018】 【表3】
【0019】 【表4】
【0020】 【実施例】図1の工程図にしたがい、原料であるオリマルジョン燃焼灰からチタンを回収した。原料であるオリマルジョン灰の組成は表5の通りであった。 【0021】 【表5】
【0022】このオリマルジョン灰を水で浸出した。スラリー濃度は10〜40%、pHは0.1〜2.5であった。なお、バナジウム溶液としてレドックスフロー電池の電解液として使用する4価の硫酸バナジウム溶液を得るため、このスラリーに還元剤を添加し、ORP値や色などを見ながらバナジウムを4価に調整した。スラリー濃度30%、ORP=400mV、20℃、2時間撹拌で浸出させた場合のオリマルジョン浸出液の組成を表6に示す。 【0023】 【表6】
【0024】つぎに、上記浸出液を用いて多段抽出を行った。図2はこの多段抽出工程のフローシートである。抽出剤としては酸性リン系抽出剤を使用した。酸性リン系抽出剤の具体例としては、例えばビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(大八化学工業株式会社製:商品名DP−8R)又は2−エチルヘキシル2−エチルヘキシルホスホネート(大八化学工業株式会社製:商品名PC−88A)を効果的に使用することができた。図2では酸性リン酸系抽出剤としてPC−88Aを使用している。表7の浸出液と抽出液PC−88A−IP−solvent(出光石油化学株式会社製希釈剤)を用いた場合、水相と有機相との比は1:0.7程度とするのがよかった。 【0025】抽出装置は、ミキサーとセトラーが組み合わされた多段抽出装置であり、向流で供給して抽出を行った。なお、図2の抽出Aでは5段、抽出Bでは10段、抽出Cでは9段でそれぞれ抽出を行った。洗浄液としては硫酸(H2 SO4 )水溶液を使用した。まず、上記浸出液を抽出Aで抽出し、微量の不純物を含む抽残液を除去した。この抽出Aでは、pH調整用にNaOHを添加した。つぎに、抽出Bで有機相に逆抽出液である硫酸水溶液を接触させて硫酸バナジウム溶液を分離し、濃度調整を行って4価硫酸バナジウム電解液とした。 【0026】一方、抽出Bで分離された鉄、チタンを含む有機相は抽出Cの洗浄再生工程で再生した。この場合、鉄、チタンの含有量は微量であり、工程1サイクルごとに全量逆抽出するのは効率が悪いので、有機相の90%は抽出Aの抽出液として循環させ、10%を抽出Cで逆抽出した。この時の逆抽出用洗浄再生液には、過酸化水素を添加したシュウ酸を用いた。 【0027】この多段抽出の条件及び濃度を表7に、また、スラリー濃度、温度、撹拌時間、ORP(酸化還元電位)値等の条件とろ液の組成の関係を表8に示す。 【0028】 【表7】
【0029】 【表8】
【0030】 【発明の効果】以上に説明した如く、本発明にかかるチタンの逆抽出法によれば、チタンを含有する酸性抽出剤からチタンを容易に分離回収することが可能となった。なお、以上の説明では原料としてオリマルジョン燃焼灰を用いる例について説明したが、チタンを含む石油系燃焼灰からのチタンの回収に利用できることは言うまでもない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391033517 【氏名又は名称】太陽鉱工株式会社 【識別番号】000156938 【氏名又は名称】関西電力株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083611 【弁理士】 【氏名又は名称】菅原 弘志
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| 【公開番号】 |
特開2001−288515(P2001−288515A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月19日(2001.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−99800(P2000−99800) |
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